[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:12.49,0:00:15.73,Default,,0000,0000,0000,,もし人間が存在しなかったら \N数学は存在しないのでしょうか Dialogue: 0,0:00:15.73,0:00:19.06,Default,,0000,0000,0000,,数学は発見されたのか\Nはたまた発明されたのかについて Dialogue: 0,0:00:19.06,0:00:22.71,Default,,0000,0000,0000,,古来から 人々は熱く議論してきました Dialogue: 0,0:00:22.71,0:00:27.37,Default,,0000,0000,0000,,私達は 私達をとりまく宇宙を理解するために\N数学的概念を作り出したのでしょうか Dialogue: 0,0:00:27.37,0:00:31.52,Default,,0000,0000,0000,,それとも数学は私たちが真理を\N発見してもしなくても存在する Dialogue: 0,0:00:31.52,0:00:34.73,Default,,0000,0000,0000,,宇宙それ自体の母国語なのでしょうか Dialogue: 0,0:00:34.73,0:00:38.10,Default,,0000,0000,0000,,数字 多角形や方程式は\N本当に実在するのでしょうか Dialogue: 0,0:00:38.10,0:00:42.68,Default,,0000,0000,0000,,はたまた 理論的な理想形の\Nエーテル的表現にすぎないのでしょうか Dialogue: 0,0:00:42.68,0:00:46.24,Default,,0000,0000,0000,,祖先の中には \N数学の実在を唱えていた人々がいました Dialogue: 0,0:00:46.24,0:00:49.80,Default,,0000,0000,0000,,5世紀ギリシャのピタゴラス学派は Dialogue: 0,0:00:49.80,0:00:53.26,Default,,0000,0000,0000,,数字は生き物であり \N普遍的原理であると信じていました Dialogue: 0,0:00:53.26,0:00:57.57,Default,,0000,0000,0000,,彼等は数字の1を”モナド(単子)”\Nつまり他すべての数字を生み出す生成元であり Dialogue: 0,0:00:57.57,0:00:59.83,Default,,0000,0000,0000,,全創造物の起源であるとみなしていました Dialogue: 0,0:00:59.83,0:01:02.64,Default,,0000,0000,0000,,数字は自然の中では生ける力でした Dialogue: 0,0:01:02.64,0:01:05.50,Default,,0000,0000,0000,,プラトンは 数学的概念は \N私達の知識とは関係なく 具体的であり Dialogue: 0,0:01:05.50,0:01:10.44,Default,,0000,0000,0000,,宇宙それ自体と同じくらい\N現実的であると主張しました Dialogue: 0,0:01:10.44,0:01:13.90,Default,,0000,0000,0000,,幾何学者の父 ユークリッドは自然それ自体は Dialogue: 0,0:01:13.90,0:01:17.70,Default,,0000,0000,0000,,数学的法則の物質的表現であると\N考えていました Dialogue: 0,0:01:17.70,0:01:21.93,Default,,0000,0000,0000,,数字が物質的には存在するかもしれないし \Nしないかもしれない一方で Dialogue: 0,0:01:21.93,0:01:25.05,Default,,0000,0000,0000,,数学的命題は確実に存在しないと\N主張した人々もいました Dialogue: 0,0:01:25.05,0:01:29.59,Default,,0000,0000,0000,,彼等が真実であると価値をおくものは\N人間がつくったルールに基づいています Dialogue: 0,0:01:29.59,0:01:32.61,Default,,0000,0000,0000,,なので 数学は \N人間の意識的な思考の外では存在せず Dialogue: 0,0:01:32.61,0:01:36.36,Default,,0000,0000,0000,,脳によって識別されたパターンに基づいた抽象的な関係性を表す言語であり Dialogue: 0,0:01:36.36,0:01:40.100,Default,,0000,0000,0000,,混沌から便利だが人工的な秩序を発明するために これらのパターンを利用するようできた Dialogue: 0,0:01:40.100,0:01:46.69,Default,,0000,0000,0000,,つまり人間によって発明された\N論理的思考運動なのです Dialogue: 0,0:01:46.69,0:01:50.37,Default,,0000,0000,0000,,この種の考えを主張した1人に\Nレオポルト・クロネッカーがいます Dialogue: 0,0:01:50.37,0:01:53.100,Default,,0000,0000,0000,,19世紀ドイツの数学教授です Dialogue: 0,0:01:53.100,0:01:56.45,Default,,0000,0000,0000,,彼の信念は有名な文章にまとまっています Dialogue: 0,0:01:56.45,0:02:00.96,Default,,0000,0000,0000,,神は自然数をつくり\N他すべては人間がつくったものです Dialogue: 0,0:02:00.96,0:02:03.53,Default,,0000,0000,0000,,数学者デイビット・ヒルバートの時代には Dialogue: 0,0:02:03.53,0:02:07.13,Default,,0000,0000,0000,,論理的構造として数学を確立していくという\N風潮がありました Dialogue: 0,0:02:07.13,0:02:10.50,Default,,0000,0000,0000,,ヒルバートは ユークリッドが\N幾何学にそうしたように Dialogue: 0,0:02:10.50,0:02:12.97,Default,,0000,0000,0000,,数学の全てを公理化しようと試みました Dialogue: 0,0:02:12.97,0:02:17.52,Default,,0000,0000,0000,,彼やこれを試みようとした他の人たちは \N数学は奥深い哲学的ゲームであると考えました Dialogue: 0,0:02:17.52,0:02:19.70,Default,,0000,0000,0000,,ゲームにすぎないことに変わりないのですが Dialogue: 0,0:02:19.70,0:02:23.23,Default,,0000,0000,0000,,非ユークリッド幾何学者の父の1人である \Nアンリ・ポアンカレは Dialogue: 0,0:02:23.23,0:02:26.24,Default,,0000,0000,0000,,平らではない双曲面や楕円面を扱って Dialogue: 0,0:02:26.24,0:02:30.54,Default,,0000,0000,0000,,平面における幾何学を長年扱ってきた Dialogue: 0,0:02:30.54,0:02:35.00,Default,,0000,0000,0000,,ユークリッド幾何学が普遍的真理ではなく Dialogue: 0,0:02:35.00,0:02:37.36,Default,,0000,0000,0000,,一つのゲームルールを使った一つの結果である Dialogue: 0,0:02:37.36,0:02:42.05,Default,,0000,0000,0000,,ということを証明しました Dialogue: 0,0:02:42.05,0:02:45.86,Default,,0000,0000,0000,,しかし1960年 ノーベル物理学賞を受賞した\Nユージン・ウィグナーは Dialogue: 0,0:02:45.86,0:02:50.17,Default,,0000,0000,0000,,「数学の不合理な効力」という言葉を\N生み出しました Dialogue: 0,0:02:50.17,0:02:53.28,Default,,0000,0000,0000,,この言葉は数学は実在し Dialogue: 0,0:02:53.28,0:02:55.48,Default,,0000,0000,0000,,人々によって発見されたのだという考えを\N強く主張しています Dialogue: 0,0:02:55.48,0:02:58.39,Default,,0000,0000,0000,,ウィグナーは \N物理的な現象を表現するという観点を持たず Dialogue: 0,0:02:58.39,0:03:03.38,Default,,0000,0000,0000,,いわば”真空”の中で発展した\N多くの純数学的理論は Dialogue: 0,0:03:03.38,0:03:05.87,Default,,0000,0000,0000,,宇宙がどのように機能しているかを Dialogue: 0,0:03:05.87,0:03:08.34,Default,,0000,0000,0000,,説明するのに必要な枠組みであると Dialogue: 0,0:03:08.34,0:03:11.44,Default,,0000,0000,0000,,何十年もしくは何世紀も後に証明したと\N指摘しました Dialogue: 0,0:03:11.44,0:03:15.69,Default,,0000,0000,0000,,例えば イギリスの数学者 \Nゴットフリード・ハーディ Dialogue: 0,0:03:15.69,0:03:19.38,Default,,0000,0000,0000,,彼は研究のどれも \N現実世界のあらゆる現象を表現するのに Dialogue: 0,0:03:19.38,0:03:21.92,Default,,0000,0000,0000,,役には立たないだろうと 豪語したのですが Dialogue: 0,0:03:21.92,0:03:24.66,Default,,0000,0000,0000,,彼は暗号化法を確立するのに貢献しました Dialogue: 0,0:03:24.66,0:03:26.94,Default,,0000,0000,0000,,もう1つの彼の純理論的研究の一部は Dialogue: 0,0:03:26.94,0:03:30.10,Default,,0000,0000,0000,,ハーディー・ワインベルグの\N遺伝法則として知られ Dialogue: 0,0:03:30.10,0:03:31.83,Default,,0000,0000,0000,,ノーベル賞を受賞しました Dialogue: 0,0:03:31.83,0:03:34.43,Default,,0000,0000,0000,,そしてフィボナッチはウサギの繁殖の様子を見て Dialogue: 0,0:03:34.43,0:03:38.04,Default,,0000,0000,0000,,有名な数列を思いつきました Dialogue: 0,0:03:38.04,0:03:41.55,Default,,0000,0000,0000,,人間は後に ヒマワリの種や花びらの並びから Dialogue: 0,0:03:41.55,0:03:44.04,Default,,0000,0000,0000,,パイナップルの構造 \Nさらに肺における気管支の分岐まで Dialogue: 0,0:03:44.04,0:03:45.86,Default,,0000,0000,0000,,自然界のあらゆる場所に Dialogue: 0,0:03:45.86,0:03:48.50,Default,,0000,0000,0000,,その数列を見つけました Dialogue: 0,0:03:48.50,0:03:52.70,Default,,0000,0000,0000,,1850年代 非ユークリッド幾何学者である\Nベルンハルト・リーマンの研究がありました Dialogue: 0,0:03:52.70,0:03:57.29,Default,,0000,0000,0000,,その研究は1世紀後に アインシュタインが\N一般相対性理論のモデルとして使ったものです Dialogue: 0,0:03:57.29,0:03:58.71,Default,,0000,0000,0000,,さらには大きな飛躍の例があります Dialogue: 0,0:03:58.71,0:04:02.93,Default,,0000,0000,0000,,位置幾何学を表現するために\N1771年に初めて考案された Dialogue: 0,0:04:02.93,0:04:05.18,Default,,0000,0000,0000,,数学的結び目理論は20世紀後半には Dialogue: 0,0:04:05.18,0:04:10.03,Default,,0000,0000,0000,,DNAが 複製過程の中でどのように\N自然にほどけるのかを Dialogue: 0,0:04:10.03,0:04:12.21,Default,,0000,0000,0000,,説明するために使われたのです Dialogue: 0,0:04:12.21,0:04:16.16,Default,,0000,0000,0000,,それはストリング理論にも\N重要な説明であるかもしれません Dialogue: 0,0:04:16.16,0:04:18.79,Default,,0000,0000,0000,,人間の歴史の中で 最も大きな影響力を持つ\N数学者や科学者は Dialogue: 0,0:04:18.79,0:04:22.47,Default,,0000,0000,0000,,しばしば驚くべき方法で Dialogue: 0,0:04:22.47,0:04:24.09,Default,,0000,0000,0000,,発明を他の問題ともまた一致させていきます Dialogue: 0,0:04:24.09,0:04:26.90,Default,,0000,0000,0000,,だから 数学は発明なのでしょうか \Nそれとも発見なのでしょうか Dialogue: 0,0:04:26.90,0:04:29.85,Default,,0000,0000,0000,,人工的な構築物なのでしょうか \Nそれとも普遍的真理なのでしょうか Dialogue: 0,0:04:29.85,0:04:34.02,Default,,0000,0000,0000,,人間の産物なのでしょうか それとも \N自然のまたは神の創作物なのでしょうか Dialogue: 0,0:04:34.02,0:04:38.46,Default,,0000,0000,0000,,これらの問いはとても奥深いので \N議論は精神的な性質のものになってしまいます Dialogue: 0,0:04:38.46,0:04:41.55,Default,,0000,0000,0000,,答えは \N注目している具体的な概念によるのでしょうが Dialogue: 0,0:04:41.55,0:04:45.18,Default,,0000,0000,0000,,それは歪んだ禅考案のようなものに感じます Dialogue: 0,0:04:45.18,0:04:48.81,Default,,0000,0000,0000,,もし数多くの木が森にあり \N誰もその数を数えなかったとしたら Dialogue: 0,0:04:48.81,0:04:50.73,Default,,0000,0000,0000,,その数は存在するのでしょうか