1 00:00:06,879 --> 00:00:10,030 私たちの記憶はあらゆる方法で 私たちを形成し 2 00:00:10,030 --> 00:00:12,059 過去の思い出を残し 3 00:00:12,059 --> 00:00:13,989 スキルを習得して保持し 4 00:00:13,989 --> 00:00:16,273 将来の計画を立てています 5 00:00:16,273 --> 00:00:19,916 今や私たちの右腕となっている コンピュータでは 6 00:00:19,916 --> 00:00:22,126 その同じ役割をメモリが果たしています 7 00:00:22,126 --> 00:00:23,711 それは2時間の映画でも 8 00:00:23,711 --> 00:00:25,283 2語のテキストファイルでも 9 00:00:25,283 --> 00:00:27,833 ファイルを開く指示でも同様で 10 00:00:27,833 --> 00:00:30,322 コンピュータのメモリのすべては 11 00:00:30,322 --> 00:00:35,846 ビット(binary digits)と 呼ばれる単位で構成されています 12 00:00:35,846 --> 00:00:38,387 それぞれのビットを格納しているのはメモリセルで 13 00:00:38,387 --> 00:00:41,995 0と1という2つの状態を 切り替えることができます 14 00:00:41,995 --> 00:00:44,057 0と1という2つの状態を 切り替えることができます 15 00:00:44,057 --> 00:00:47,177 ファイルやプログラムは 数百万ビットから作られていて 16 00:00:47,177 --> 00:00:50,428 そのすべてが コンピュータの頭脳である 17 00:00:50,428 --> 00:00:54,096 中央処理装置(CPU)で処理されています 18 00:00:54,096 --> 00:00:58,521 処理するべきビットの量は 指数関数的に増大しているので 19 00:00:58,521 --> 00:01:00,512 コンピュータ設計者はつねに 20 00:01:00,512 --> 00:01:05,295 大きさ、コストやスピードという 問題に直面しています 21 00:01:05,295 --> 00:01:10,126 私たちと同じようにコンピュータにも 即時タスク用の短期的なメモリと 22 00:01:10,126 --> 00:01:13,407 永久的な保存のための 長期的なメモリがあります 23 00:01:13,407 --> 00:01:15,277 プログラムを実行するとき 24 00:01:15,277 --> 00:01:18,950 オペレーティングシステムは 命令を実行するため 25 00:01:18,950 --> 00:01:20,845 短期メモリ内の領域を割り当てます 26 00:01:20,845 --> 00:01:24,392 例えばワードプロセッサーで 1つのキーを押したとき 27 00:01:24,392 --> 00:01:29,536 CPUはこの領域にアクセスし 数ビットのデータを取得します 28 00:01:29,536 --> 00:01:33,861 CPUはそのビットを修正したり 新しいものを作ることもできます 29 00:01:33,861 --> 00:01:38,258 これにかかる時間を メモリのレイテンシー(遅延時間)と言います 30 00:01:38,258 --> 00:01:43,801 プログラムの命令は 迅速かつ連続的に処理しなければならないため 31 00:01:43,801 --> 00:01:48,563 短期メモリ内の領域は任意の順序で アクセスできるようになっています 32 00:01:48,563 --> 00:01:51,714 そのためランダム・アクセス・ メモリ(RAM)と呼ばれます 33 00:01:51,714 --> 00:01:55,900 最も一般的なRAMのタイプは ダイナミックRAM(DRAM)です 34 00:01:55,900 --> 00:01:59,899 各メモリセルは小さなトランジスタと 35 00:01:59,899 --> 00:02:02,987 電気を保持するコンデンサで構成されていて 36 00:02:02,987 --> 00:02:07,555 電気がないときは0 電気があるときは1となります 37 00:02:07,555 --> 00:02:09,167 このメモリがダイナミックと呼ばれるのは 38 00:02:09,167 --> 00:02:13,380 放電が起こるため 電気が保持できる時間が短く 39 00:02:13,380 --> 00:02:16,759 データを保持するために 一定間隔で再充電を必要とするからです 40 00:02:16,759 --> 00:02:20,006 100ナノ秒という低レイテンシーであっても 41 00:02:20,006 --> 00:02:22,651 最新CPUにとっては遅すぎるので 42 00:02:22,651 --> 00:02:25,903 スタティックRAM(SRAM)でできている 43 00:02:25,903 --> 00:02:28,513 小さな高速内蔵メモリキャッシュも 使われます 44 00:02:28,513 --> 00:02:31,722 SRAMは通常 トランジスタを 6個組み合わせて構成されていて 45 00:02:31,722 --> 00:02:33,624 リフレッシュの必要はありません 46 00:02:33,624 --> 00:02:36,779 SRAMはコンピュータシステムで 最速のメモリですが 47 00:02:36,779 --> 00:02:38,680 最も高価でもあり 48 00:02:38,680 --> 00:02:42,414 DRAMに比べ3倍以上のスペースを取ります 49 00:02:42,414 --> 00:02:46,597 RAMとキャッシュの難点は データは電源がオンのときにのみ保持され 50 00:02:46,597 --> 00:02:49,625 電源がオフのときに データを保持したい場合には 51 00:02:49,625 --> 00:02:53,005 長期記憶装置に 転送しなければなりません 52 00:02:53,005 --> 00:02:55,291 そのタイプには大きく分けて3種あります 53 00:02:55,291 --> 00:02:57,739 まずは 磁気記憶媒体 これは最も安価で 54 00:02:57,739 --> 00:03:03,560 データは回転ディスク上の磁性膜に 磁気パターンとして記憶されます 55 00:03:03,560 --> 00:03:06,353 ただデータを読み込むには データがある場所まで 56 00:03:06,353 --> 00:03:08,621 ディスクを回転する必要があるので 57 00:03:08,621 --> 00:03:14,510 ドライブのレイテンシーは DRAMよりも10万倍遅いです 58 00:03:14,510 --> 00:03:18,626 次にDVDやブルーレイなどの 光学式記憶媒体です 59 00:03:18,626 --> 00:03:20,621 これも回転するディスクを 使用していますが 60 00:03:20,621 --> 00:03:22,813 反射コーティングも 併せて使用しています 61 00:03:22,813 --> 00:03:25,029 ビット情報は 色素を使い レーザー読み取り可能な 62 00:03:25,029 --> 00:03:28,029 明・暗で識別されるスポットとして 符号化されます 63 00:03:28,029 --> 00:03:31,151 光学式記憶媒体は 安価で取り外し可能ですが 64 00:03:31,151 --> 00:03:34,878 磁気記憶媒体よりもさらに 遅延時間が大きく 65 00:03:34,878 --> 00:03:37,086 容量が小さいことも問題です 66 00:03:37,086 --> 00:03:38,571 最後にあげられるのが 67 00:03:38,571 --> 00:03:41,661 フラッシュスティックなどの ソリッドステート・ドライブ(SSD)で 68 00:03:41,661 --> 00:03:44,025 これが長期的な記憶媒体の中で 最新で最速のものです 69 00:03:44,025 --> 00:03:45,957 SSDは可動部をもたず 70 00:03:45,957 --> 00:03:48,627 フローティング・ゲート・トランジスタを 用いて 71 00:03:48,627 --> 00:03:53,134 特別に設計された内部構造に 電荷を閉じ込めたり― 72 00:03:53,134 --> 00:03:56,453 解放したりすることによって ビットを格納します 73 00:03:56,453 --> 00:03:59,739 では この数十億のビットは どのくらい信頼性があるのでしょう? 74 00:03:59,739 --> 00:04:03,463 メモリのパフォーマンスは安定していて 永久的なものと考えがちですが 75 00:04:03,463 --> 00:04:06,363 実際はかなりの速さで劣化しています 76 00:04:06,363 --> 00:04:09,000 デバイスとその周辺部から発生した熱が 77 00:04:09,000 --> 00:04:11,739 ハードドライブの磁化を失わせ 78 00:04:11,739 --> 00:04:13,991 光学式記憶媒体の色素を分解して 79 00:04:13,991 --> 00:04:17,115 フローティング ゲートの 電荷漏洩を引き起こしてしまうのです 80 00:04:17,115 --> 00:04:20,081 SSDにはもう1つ弱点があります 81 00:04:20,081 --> 00:04:23,345 フローティング・ゲート・トランジスタへの 繰り返しの書き込みが 82 00:04:23,345 --> 00:04:26,705 劣化を引き起こし 最終的に記録できなくなります 83 00:04:26,705 --> 00:04:29,215 現在の記憶媒体のデータ寿命が 84 00:04:29,215 --> 00:04:31,958 10年に満たないことを危惧して 85 00:04:31,958 --> 00:04:36,333 科学者たちは 量子レベルで物理的特性を利用し 86 00:04:38,650 --> 00:04:40,800 記憶媒体を さらに高速で 87 00:04:40,800 --> 00:04:41,620 さらに小さく 88 00:04:41,620 --> 00:04:44,140 さらに耐久性のあるものにすべく 開発に取り組んでいます 89 00:04:44,140 --> 00:04:49,156 今のところ人間もコンピュータも まだ不滅の記憶を手に入れてはいません