WEBVTT 00:00:00.700 --> 00:00:05.676 皆さんにお話したいのは 00:00:05.700 --> 00:00:12.716 コストが最優先の世界で いかに医療を提供するかという問題です 00:00:13.014 --> 00:00:14.571 どうしたらいいでしょう? 00:00:15.109 --> 00:00:17.534 私が提案したいと思っている 00:00:17.558 --> 00:00:19.083 基本的な考え方は 00:00:19.083 --> 00:00:22.479 病気を治療するためには 00:00:22.503 --> 00:00:24.759 まず何を治療しているのか 知らなくてはならない 00:00:24.759 --> 00:00:27.546 つまり 診断してから治療を行う ということです 00:00:27.570 --> 00:00:31.886 私達はこの活動を 「全ての人のための臨床検査」または 00:00:31.910 --> 00:00:34.021 「ゼロコストの臨床検査」と呼んでいます NOTE Paragraph 00:00:34.045 --> 00:00:37.459 医学的に適切な情報を どうやったら 00:00:37.483 --> 00:00:40.107 限りなくゼロに近いコストで 提供できるでしょうか? 00:00:40.131 --> 00:00:41.361 どうします? 00:00:41.385 --> 00:00:43.316 例を二つ挙げましょう 00:00:43.707 --> 00:00:49.573 軍事医学の困難さは 第三世界のそれと さほど違いがありません 00:00:49.597 --> 00:00:53.949 資源の少なさ 困難な環境 その他諸々 00:00:53.973 --> 00:00:55.954 軽量化の問題などもです 00:00:55.978 --> 00:00:59.412 それは在宅医療や 診断システムと 00:00:59.436 --> 00:01:01.841 さほど変わりません 00:01:01.865 --> 00:01:05.227 従って 私がお話したいことは 00:01:05.227 --> 00:01:08.135 第三世界 開発途上国のためのものですが NOTE Paragraph 00:01:08.159 --> 00:01:10.700 幅広く応用が利くと思います 00:01:10.724 --> 00:01:14.527 なぜなら 医療制度では 情報は非常に重要だからです 00:01:15.041 --> 00:01:16.835 ここに例が二つあります 00:01:16.859 --> 00:01:22.608 一つは アフリカでは最高レベルの 検査施設です(右下) 00:01:22.632 --> 00:01:25.010 もう一つは 要するに商売人で 00:01:25.010 --> 00:01:28.407 市場にテーブルを設置して よくわからないことをしています 00:01:28.431 --> 00:01:31.378 そこでの医療状況は 分かりませんが 00:01:31.402 --> 00:01:35.254 最も効率的なものでないのは 確かです 00:01:36.281 --> 00:01:39.084 私達のアプローチは どんなでしょう? 00:01:39.442 --> 00:01:44.967 コストを下げるという 問題に対する NOTE Paragraph 00:01:44.991 --> 00:01:47.854 私たちの典型的な手法は アメリカ合衆国の視点から出発し 00:01:47.878 --> 00:01:50.021 私たちの解決法を使い 00:01:50.045 --> 00:01:52.740 それでコストを下げよう というものです 00:01:52.763 --> 00:01:54.176 どうやっても 00:01:54.200 --> 00:01:56.706 10万ドルの機械から始めて 00:01:56.730 --> 00:01:58.151 ゼロコストにはなりません 00:01:58.175 --> 00:01:59.348 そう上手くはいきません 00:01:59.372 --> 00:02:02.231 だから我々は全く逆の方法を 取りました 00:02:02.255 --> 00:02:04.720 最も安価な診断機械を作り NOTE Paragraph 00:02:04.744 --> 00:02:07.680 有益な情報を取り出す 00:02:07.704 --> 00:02:10.251 そして機能を加えていくことです 00:02:10.275 --> 00:02:12.272 何かというと 答えは紙でした 00:02:12.296 --> 00:02:15.320 これは試作品です 00:02:15.344 --> 00:02:17.176 一辺が1cmくらいです 00:02:17.200 --> 00:02:19.177 爪くらいの大きさです 00:02:19.201 --> 00:02:22.804 ふちの線は ポリマーです 00:02:22.828 --> 00:02:24.670 紙で出来ていますから 00:02:24.694 --> 00:02:29.379 液体を吸い上げます 紙 布などがそうです 00:02:29.403 --> 00:02:31.279 テーブルクロスに ワインをこぼすと 00:02:31.303 --> 00:02:34.040 ワインが全体に 広がりますよね 00:02:34.064 --> 00:02:36.103 シャツにこぼせば 台無しになってしまう 00:02:36.127 --> 00:02:38.866 親水性の表面ではそうなります 00:02:38.890 --> 00:02:42.513 つまりこの装置の場合 一番下のところに 00:02:42.537 --> 00:02:45.176 一滴尿をたらします NOTE Paragraph 00:02:45.200 --> 00:02:48.948 液体は 上の方にある区画まで 染みていきます 00:02:48.972 --> 00:02:53.176 尿中ブドウ糖の量を茶色で示し 00:02:53.200 --> 00:02:56.747 タンパク質の量を青色で示します 00:02:56.771 --> 00:02:59.807 この2つの組み合わせが あなたが検査したい物の 00:02:59.831 --> 00:03:02.953 第一弾となります 00:03:02.977 --> 00:03:06.334 これが 普通の紙でできた 装置の例です 00:03:06.358 --> 00:03:09.018 どれくらい簡単に これを作れるでしょうか? 00:03:09.200 --> 00:03:10.965 なぜ紙を選んだのか? 00:03:11.459 --> 00:03:14.369 実際に指先に 乗せてみた例があるので 00:03:14.393 --> 00:03:16.649 どんな感じかわかりますね NOTE Paragraph 00:03:16.673 --> 00:03:19.101 紙を使う理由の一つは どこにでもあるからです 00:03:19.125 --> 00:03:23.512 これらの装置を ナプキンや 00:03:23.512 --> 00:03:26.552 トイレットペーパー、包み紙 いろんなもので作りました 00:03:26.576 --> 00:03:29.014 ほぼ 何でも利用できます 00:03:29.038 --> 00:03:33.335 二つ目は 非常にたくさんの検査項目を 小さくまとめられる点です 00:03:33.359 --> 00:03:36.178 のちほど皆さんに 一束の紙で 00:03:36.202 --> 00:03:38.934 10万くらいの検査項目を 00:03:38.958 --> 00:03:40.699 分析できることを お見せします NOTE Paragraph 00:03:40.723 --> 00:03:43.568 三つ目は 世界的に医学ではあまり 00:03:43.592 --> 00:03:46.176 考えないことですが 00:03:46.200 --> 00:03:48.319 鋭利な部品を含まないことです 00:03:48.319 --> 00:03:51.285 鋭利なものとは 針とかそういうものです 00:03:51.309 --> 00:03:53.603 採取した誰かの血液が 00:03:53.627 --> 00:03:56.124 C型肝炎ウィルスを 持っているかも知れない場合 NOTE Paragraph 00:03:56.148 --> 00:03:58.695 間違ってその針を自分に 00:03:58.719 --> 00:04:00.016 刺したくはないですよね 00:04:00.040 --> 00:04:01.529 それに廃棄の問題もあります 00:04:01.553 --> 00:04:04.235 紙なら単に燃やせばいい 00:04:04.259 --> 00:04:07.959 取っかかりとしては 実践的なアプローチです 00:04:09.417 --> 00:04:13.073 でも 紙が丁度いいなら 00:04:13.097 --> 00:04:15.060 誰がかが すでに 思いついたはずですよね 00:04:15.084 --> 00:04:16.966 答えは「もちろん その通り」です 00:04:16.990 --> 00:04:20.810 ここにいる大体半分は 女性ですが 00:04:20.834 --> 00:04:23.296 妊娠テストを 受けた人もいるでしょう 00:04:23.320 --> 00:04:27.304 その場合 普通の検査器具は 00:04:27.328 --> 00:04:29.176 左側に示してあるようなものです NOTE Paragraph 00:04:29.200 --> 00:04:31.692 「側方流動免疫測定法」 と呼ばれるものです 00:04:31.716 --> 00:04:33.176 このテストの場合は 00:04:33.200 --> 00:04:36.815 「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」 というホルモンが 00:04:36.839 --> 00:04:40.176 尿中にあるかどうかを 試験紙で調べます 00:04:40.200 --> 00:04:44.101 線が2本あり 1本目が テストが機能しているかを示し 00:04:44.125 --> 00:04:47.290 2本目が現れれば 妊娠しているわけです 00:04:47.314 --> 00:04:50.485 二者択一の場合は これは素晴らしい検査です 00:04:50.509 --> 00:04:52.848 妊娠の場合ありがたい事に 00:04:52.848 --> 00:04:54.602 「イエス」か「ノー」しかありません 00:04:54.626 --> 00:04:57.221 「部分的妊娠」とか 「妊娠を考え中」とか 00:04:57.221 --> 00:04:58.769 そういうことはありません 00:04:58.769 --> 00:05:00.708 そういう場合は 非常にうまく行きます 00:05:00.708 --> 00:05:03.528 しかしもっと定量的な結果が 必要な場合はうまくいきません 00:05:03.528 --> 00:05:05.028 ディップスティックもあります 00:05:05.052 --> 00:05:06.798 このディップスティックは NOTE Paragraph 00:05:06.822 --> 00:05:09.035 別の尿検査のためのものです 00:05:09.059 --> 00:05:11.936 いろんな色がありますね 00:05:11.960 --> 00:05:15.253 複雑な検査は どうしたらいいでしょう? 00:05:16.372 --> 00:05:20.681 私達は こう自らに 問いかけました 00:05:20.705 --> 00:05:24.176 「こういうモノを作るのは実用的か?」 00:05:24.200 --> 00:05:28.487 これは純粋に技術的に 解決されました 00:05:28.511 --> 00:05:32.060 その手順は 単に紙から始めるだけです NOTE Paragraph 00:05:32.084 --> 00:05:35.630 新しいタイプの 「ワックスプリンター」でやるのです 00:05:35.654 --> 00:05:38.286 ワックスプリンターは まあプリンターのようなことをします 00:05:38.310 --> 00:05:39.468 プリントするんです 00:05:39.492 --> 00:05:41.532 ワックスを装着し 温めると 00:05:41.556 --> 00:05:44.599 ワックスがプリントされ 紙に染み込みます 00:05:44.623 --> 00:05:46.767 そして思い通りの試験紙が 出来上がります 00:05:46.791 --> 00:05:49.870 プリンターは800ドルくらい 00:05:49.894 --> 00:05:53.782 予想では 24時間稼働すれば 00:05:53.806 --> 00:05:55.914 年間1000万の検査ができます 00:05:55.938 --> 00:05:59.162 つまりこの問題は これで解決です 00:05:59.186 --> 00:06:01.962 だいたい ご覧になっている ようなものができます 00:06:01.986 --> 00:06:03.825 20 X 30センチの紙に プリントされます 00:06:03.849 --> 00:06:06.118 1枚が約2秒くらいでできます 00:06:06.142 --> 00:06:08.784 完成と言って良いでしょう NOTE Paragraph 00:06:08.808 --> 00:06:10.602 ここに大事なポイントがあります 00:06:10.626 --> 00:06:12.898 これはプリンターなので 00:06:12.898 --> 00:06:16.592 カラープリンターなので 色が印刷できます 00:06:16.616 --> 00:06:19.382 それがとても役に立つのです 00:06:20.651 --> 00:06:23.176 次に知りたいのは 00:06:23.200 --> 00:06:26.391 何を測るのか? ですよね 何を分析するのか? 00:06:26.415 --> 00:06:31.176 一番分析したいのは 測定の難しい 00:06:31.200 --> 00:06:35.176 「原因不明熱」です 00:06:35.200 --> 00:06:37.245 誰かが診療所にやってきて 00:06:37.245 --> 00:06:39.951 熱があるし 調子が悪い  診断は? 00:06:39.975 --> 00:06:43.377 結核か? エイズなのか? ただの風邪か? 00:06:43.401 --> 00:06:44.615 トリアージ(分別)の問題です NOTE Paragraph 00:06:44.639 --> 00:06:47.295 詳しくは説明しませんが 難問です 00:06:47.319 --> 00:06:50.861 鑑別したいものが 非常にたくさんあります 00:06:50.885 --> 00:06:53.767 エイズ、肝炎、マラリアや 00:06:53.767 --> 00:06:56.695 結核など 病気の診断や 00:06:56.719 --> 00:07:00.214 治療効果判定の指標など 単純なものもあります 00:07:00.238 --> 00:07:03.176 しかしそれでも想像するより ずっと複雑です 00:07:03.200 --> 00:07:07.415 私の友人が 比較文化精神医学の 仕事をしています 00:07:07.439 --> 00:07:09.545 彼は 人々がなぜ 00:07:09.569 --> 00:07:12.299 薬を飲まないのかという 問題に関心があります 00:07:12.323 --> 00:07:15.898 しばらく服用しなくてはならない 00:07:15.922 --> 00:07:17.862 「ダプソン」とかいう薬について 00:07:17.862 --> 00:07:20.713 インドの村人との 素晴らしい会話の物語があります 00:07:20.737 --> 00:07:22.543 「ダプソンは飲みましたか?」「はい」 00:07:22.567 --> 00:07:24.433 「毎日飲んでいますか?」「はい」 00:07:24.457 --> 00:07:26.411 「1ヶ月は飲みましたか?」「はい」 00:07:26.435 --> 00:07:28.126 村人が言っているのは 実は NOTE Paragraph 00:07:28.126 --> 00:07:31.862 30日分のダプソンを 今朝まとめて 犬に飲ませたということです 00:07:31.886 --> 00:07:33.011 (笑) 00:07:33.035 --> 00:07:36.791 彼はまじめです なぜなら ある文化では 00:07:36.815 --> 00:07:39.389 犬はあなたの代理であり 00:07:39.413 --> 00:07:42.556 「今日」「今月」「雨期からずっと」など 00:07:42.580 --> 00:07:45.064 誤解の可能性は いくらでもあるからです 00:07:45.088 --> 00:07:46.095 (笑) 00:07:46.119 --> 00:07:49.683 「医者の指示に従う」といった 些細な事も 00:07:49.707 --> 00:07:53.818 時に 問題になるということです 00:07:55.160 --> 00:07:58.705 典型的な検査がどうなるかを 見てみましょう 00:07:59.419 --> 00:08:03.176 指先を刺して 採血します 大体50マイクロリットルくらい 00:08:03.200 --> 00:08:05.031 それくらいしか得られません 00:08:05.055 --> 00:08:09.031 普通の装置は使えません 00:08:09.585 --> 00:08:11.259 難しい作業は行えませんから 00:08:11.283 --> 00:08:13.399 あとからお見せしますが 00:08:13.423 --> 00:08:16.176 採血したら それ以上いじりません 00:08:16.200 --> 00:08:17.983 そのまま この器具に垂らします 00:08:18.007 --> 00:08:22.680 器具が血球をフィルタし 血清を通過させ 00:08:22.704 --> 00:08:26.465 一番下に幾つかの色が現れます 00:08:26.489 --> 00:08:30.648 色が 病気か正常かを示すのです 00:08:30.672 --> 00:08:32.354 それでもまだ複雑です 00:08:32.378 --> 00:08:35.979 人によって「正常」の色の 判断基準が異なりますから 00:08:36.003 --> 00:08:40.963 結局のところ我々は 教育されすぎで困っているのです NOTE Paragraph 00:08:40.987 --> 00:08:45.574 定量分析を必要とする場合は どうしたらいいのか? 00:08:45.598 --> 00:08:48.280 我々や他の人々が考えた 00:08:48.304 --> 00:08:49.915 解決方法 00:08:49.939 --> 00:08:52.528 しかも現在急速に 広がりつつあるもので 00:08:52.552 --> 00:08:55.724 今日のあらゆることの 解決になりつつあるのは 00:08:55.748 --> 00:08:56.809 携帯電話です 00:08:56.809 --> 00:08:58.927 この場合は特に カメラ付き携帯です 00:08:58.951 --> 00:09:03.176 インドではどこでも手に入り 毎月600万台売れています 00:09:03.200 --> 00:09:08.722 どうするかというと まずは器具を使って 00:09:08.746 --> 00:09:11.176 検査します  色が出ますね 00:09:11.200 --> 00:09:14.425 写真を撮り 検査センターに送ります 00:09:14.449 --> 00:09:16.176 医者を派遣する必要はありません 00:09:16.200 --> 00:09:18.941 採血のできる人を 派遣すればいいわけです 00:09:18.965 --> 00:09:21.784 診療所では医者か この場合は理想的には 00:09:21.784 --> 00:09:23.878 コンピュータが 分析するわけです 00:09:23.902 --> 00:09:25.753 特に色見本が印刷してある場合は 00:09:25.777 --> 00:09:28.523 結果の評価方法がわかるので NOTE Paragraph 00:09:28.523 --> 00:09:30.714 非常に上手く行くことが 分かりました 00:09:30.738 --> 00:09:33.762 だから私は 将来のヘルスケアワーカーは 00:09:33.786 --> 00:09:35.377 医師ではなく 00:09:35.377 --> 00:09:38.073 バックパック一杯の 検査キットおよび 00:09:38.073 --> 00:09:41.236 たまに採血するための 採血針と 00:09:41.260 --> 00:09:43.176 機関銃をもった 18歳くらいの少年か 00:09:43.200 --> 00:09:44.759 無職の人です 00:09:44.783 --> 00:09:47.569 それで仕事をこなして いくわけです 00:09:47.569 --> 00:09:48.951 (笑) 00:09:50.112 --> 00:09:52.447 もう一つ面白い つながりがあります 00:09:52.471 --> 00:09:58.011 我々がやりたいのは 有用な情報を とても品質の悪い 00:09:58.035 --> 00:10:01.566 電話システムを使って 送ることです 00:10:01.590 --> 00:10:05.386 この問題に関しては すでに非常に多くの情報があります 00:10:05.386 --> 00:10:07.579 「マーズローバー問題」です 00:10:07.603 --> 00:10:11.470 非常にわずかしか 通信帯域がないのに 00:10:11.494 --> 00:10:15.280 どうやって火星から正確な カラー映像を送れたのか? 00:10:15.304 --> 00:10:17.176 答えはさほど 複雑ではありませんが 00:10:17.200 --> 00:10:19.741 今日はその点を 追求することはしません 00:10:19.765 --> 00:10:22.373 ただ こういうことに使う 通信システムは NOTE Paragraph 00:10:22.373 --> 00:10:24.534 非常に良く開発されているのです 00:10:24.558 --> 00:10:27.295 そして ご存じないかも 知れませんが 00:10:27.319 --> 00:10:29.847 携帯電話のもつ計算能力は 00:10:29.847 --> 00:10:33.850 あなたのパソコンと さほど変わりません 00:10:33.850 --> 00:10:37.601 携帯電話の可能性は 活用され始めたばかりです 00:10:37.625 --> 00:10:40.125 OLPC(全ての子どもにPCを)計画が 00:10:40.125 --> 00:10:42.246 意味を持つかわかりませんが NOTE Paragraph 00:10:42.270 --> 00:10:44.326 コンピュータの未来は こちらにあるでしょう 00:10:44.326 --> 00:10:47.401 画面もついていますし 誰でも持っています 00:10:48.851 --> 00:10:52.088 より進歩した器具を お見せします 00:10:52.112 --> 00:10:54.266 ちょっとした問題提起から 入りましょう 00:10:54.290 --> 00:10:57.687 これはまた別の 1センチサイズの器具です 00:10:57.711 --> 00:11:01.694 色の部分はそれぞれ 異なる染料です 00:11:01.718 --> 00:11:03.706 そこでちょっと驚かれるかも 知れませんが 00:11:03.706 --> 00:11:05.619 面白いのは 00:11:05.643 --> 00:11:08.500 黄色い線が途中で消えて 00:11:08.524 --> 00:11:11.013 青い線と 次に赤い線を 突き抜けていることです 00:11:11.037 --> 00:11:12.190 一体どうやって 00:11:12.214 --> 00:11:14.789 別の色を通り抜けているのか? NOTE Paragraph 00:11:14.813 --> 00:11:17.008 答えは「そんなことはしていない」です 00:11:17.032 --> 00:11:18.775 上か下を通らせるんです 00:11:18.799 --> 00:11:20.880 ではどうやって一枚の紙の上で 00:11:20.880 --> 00:11:23.526 上か下を通れるのでしょう? 00:11:23.550 --> 00:11:25.610 答えはこうです 00:11:25.610 --> 00:11:29.176 細かいことは省きますが 00:11:29.200 --> 00:11:31.091 もう少し手の込んだものを作ります 00:11:31.115 --> 00:11:33.192 紙を何枚も重ねて NOTE Paragraph 00:11:33.216 --> 00:11:36.287 それぞれの紙に 固有の溝を作っておいて 00:11:36.311 --> 00:11:40.900 それを両面テープで隔てます 00:11:40.924 --> 00:11:43.810 あの絨毯を固定する テープと同じです 00:11:43.834 --> 00:11:47.060 液体は一つの層から 次の層へと流れます 00:11:47.084 --> 00:11:50.170 穴を通って 広がっていきます 00:11:50.170 --> 00:11:51.789 穴を通って 広がっていきます 00:11:51.813 --> 00:11:55.054 右下の図は 00:11:55.078 --> 00:12:00.377 一番上に垂らされた血液が 00:12:00.401 --> 00:12:02.911 紙から紙へ広がって 00:12:02.935 --> 00:12:06.281 底では16の穴に入ったところです 00:12:06.305 --> 00:12:07.863 紙2枚分の厚さで NOTE Paragraph 00:12:07.863 --> 00:12:10.771 コンピュータのチップのようにも見えます 00:12:10.795 --> 00:12:12.278 特にこの場合 00:12:12.302 --> 00:12:15.066 再現性にだけ注目しています 00:12:15.090 --> 00:12:17.394 しかし原理的には それが 00:12:17.418 --> 00:12:19.574 「原因不明熱」問題を 解決するのです 00:12:19.598 --> 00:12:22.354 なぜなら このそれぞれのスポットが 特定の病気を発見できる 00:12:22.378 --> 00:12:25.977 マーカーの組み合わせと なるからです 00:12:26.001 --> 00:12:28.267 その時が来れば役に立ちます 00:12:28.291 --> 00:12:31.607 こちらはもう少し 複雑な器具です 00:12:31.631 --> 00:12:32.813 チップがあります 00:12:32.837 --> 00:12:34.053 角を浸すと 00:12:34.077 --> 00:12:35.624 液が中央まで染みて 00:12:35.648 --> 00:12:37.415 それがいくつかの NOTE Paragraph 00:12:37.415 --> 00:12:40.691 穴に届き 色が変わります 00:12:40.715 --> 00:12:43.408 全部 紙と両面テープで 出来るんです 00:12:43.432 --> 00:12:45.589 これが 考え得る 00:12:45.613 --> 00:12:48.440 最低コストの 製作方法だと思います 00:12:49.432 --> 00:12:52.728 さて このプレゼンの最後に 00:12:52.752 --> 00:12:55.362 二つお話をしましょう 00:12:55.386 --> 00:12:56.551 一つはこれです 00:12:56.575 --> 00:12:59.016 血清と血球を 00:12:59.040 --> 00:13:01.687 分離するときに使います 00:13:02.874 --> 00:13:04.559 問題は 00:13:04.583 --> 00:13:06.684 普通 サンプルを 00:13:06.708 --> 00:13:10.570 遠心分離機に入れ 回転させ 00:13:10.594 --> 00:13:13.061 血球を取り出します 00:13:13.085 --> 00:13:13.978 見事です 00:13:13.978 --> 00:13:17.715 でも もし電気や 遠心分離機が なかったらどうしますか? NOTE Paragraph 00:13:17.739 --> 00:13:20.255 どうしたらいいか しばらく考えました 00:13:20.279 --> 00:13:22.916 そして ご覧のものができたのです 00:13:22.940 --> 00:13:27.547 どこにでもある泡だて器です ワイアーを取り去って 00:13:27.571 --> 00:13:30.054 チューブをその上に接着します 00:13:30.078 --> 00:13:32.818 血液を入れて グルグルやるんです 00:13:32.842 --> 00:13:34.961 非常にうまく行きます 00:13:34.985 --> 00:13:37.399 我々は泡立て器の物理学的考察 00:13:37.423 --> 00:13:40.500 自動調心チューブやら いろいろ考えて NOTE Paragraph 00:13:40.524 --> 00:13:41.986 学術雑誌に投稿しました 00:13:42.010 --> 00:13:43.912 非常に誇りに思っています 00:13:43.912 --> 00:13:46.338 特に表題が「泡だて器を使った遠心分離」なので 00:13:46.338 --> 00:13:47.316 (笑) 00:13:47.340 --> 00:13:48.491 それを送ったんですが 00:13:48.515 --> 00:13:50.422 すぐに返送されてきました 00:13:50.446 --> 00:13:52.176 編集者に電話して言いました 00:13:52.200 --> 00:13:54.322 「いったいどういうことなんだ?」 00:13:54.346 --> 00:13:57.480 編集者は 明らかに 軽蔑しながら言いました 00:13:57.504 --> 00:14:00.247 「読んだよ でも掲載はしないよ 00:14:00.247 --> 00:14:02.917 我々は科学的内容のものだけ 取り扱うんだ」 00:14:02.917 --> 00:14:04.164 (笑) 00:14:04.188 --> 00:14:05.657 これは重要なことで 00:14:05.681 --> 00:14:09.079 我々は 社会全体で ものの価値を 00:14:09.103 --> 00:14:11.080 考えなくてはいけない 00:14:11.104 --> 00:14:13.888 単にPhysical Review Letters誌だけの 00:14:13.912 --> 00:14:15.695 問題ではないのかも? と 00:14:15.818 --> 00:14:17.922 ここで例をもう一つ NOTE Paragraph 00:14:17.922 --> 00:14:21.113 こっちは分光光度計です 00:14:21.137 --> 00:14:24.427 サンプルの吸光度を測定します 00:14:24.451 --> 00:14:26.710 1000ヘルツくらいで明滅する 00:14:26.710 --> 00:14:29.645 光源が装着してあって 00:14:29.669 --> 00:14:33.338 もう一つ1000ヘルツの光の 検出器を用意します 00:14:33.362 --> 00:14:36.176 なので 日中の光の中でも使えます 00:14:36.200 --> 00:14:38.269 それが10万ドルクラスの 00:14:38.293 --> 00:14:42.862 機械と同じ働きをします 00:14:42.886 --> 00:14:44.607 たった50ドルですが 00:14:44.607 --> 00:14:48.176 5セントまで 下げられるかもしれません 00:14:48.200 --> 00:14:50.073 なぜ誰もやろうとしない  なぜか? 00:14:50.097 --> 00:14:51.968 「この資本主義社会では 00:14:51.968 --> 00:14:54.542 それでは稼げないから」です 00:14:54.566 --> 00:14:56.098 興味深い問題です 00:14:57.315 --> 00:15:02.268 おわりの言葉です 我々はこれを 00:15:02.292 --> 00:15:04.494 工学的問題として考えました 00:15:04.518 --> 00:15:08.900 そして問いました 「ここでの科学的解決法はなにか?」 00:15:08.924 --> 00:15:10.838 そして 問題をコストでなく 00:15:10.838 --> 00:15:14.080 単純さの観点から 考えてみることにしました NOTE Paragraph 00:15:14.080 --> 00:15:15.778 「単純さ」とは素敵な言葉ですが 00:15:15.802 --> 00:15:18.346 意味するところは何でしょう 00:15:18.755 --> 00:15:19.911 その言葉を知っていますが 00:15:19.935 --> 00:15:22.112 本当の意味は知らないのです 00:15:22.136 --> 00:15:24.233 そこで興味が出てきて 00:15:24.257 --> 00:15:28.010 何人かの人を集めました 00:15:28.644 --> 00:15:31.176 最近来たのはMITの連中で 00:15:31.200 --> 00:15:33.320 そのうちの一人は ものすごく頭が良くて 00:15:33.344 --> 00:15:36.054 私が「本物の天才」と認める 00:15:36.078 --> 00:15:37.467 数少ない一人でした 00:15:37.491 --> 00:15:41.541 我々は一日かけて 「単純さ」について考えました 00:15:41.565 --> 00:15:45.681 我々がたどり着いた 真に科学的な結論はこうです 00:15:45.681 --> 00:15:47.104 [単純さとは何か? 00:15:47.128 --> 00:15:49.075 「ヘマしようのないものである」] 00:15:49.075 --> 00:15:49.752 (笑) NOTE Paragraph 00:15:49.752 --> 00:15:52.262 ある意味 払っただけのものが 手に入るということです 00:15:52.286 --> 00:15:53.795 どうもありがとう 00:15:53.819 --> 00:15:55.904 (拍手)