WEBVTT 00:00:00.681 --> 00:00:03.969 今日 私が話す内容は 00:00:03.969 --> 00:00:07.667 質問するのも 答えるのも嫌になる内容 00:00:07.667 --> 00:00:11.269 家庭内暴力の秘密 について話します 00:00:11.269 --> 00:00:13.603 みなさんがよく尋ねる質問に 00:00:13.603 --> 00:00:17.684 答えたいと思います  それは― 00:00:17.684 --> 00:00:19.296 「なぜ逃げないの?」 00:00:19.296 --> 00:00:23.292 「なぜ暴力を振るう男と一緒にいるの?」 という質問です 00:00:23.292 --> 00:00:26.269 私は精神科医でも ソーシャルワーカーでもありません 00:00:26.269 --> 00:00:28.604 家庭内暴力の エキスパートでもありません 00:00:28.604 --> 00:00:31.803 単なる経験者なんです NOTE Paragraph 00:00:31.803 --> 00:00:36.316 22歳の時 ハーバード大学を卒業しました 00:00:36.316 --> 00:00:38.788 そして 就職先の ニューヨークに引っ越して 00:00:38.788 --> 00:00:42.084 雑誌セブンティーンの 記者と編集者として働きました 00:00:42.084 --> 00:00:44.324 初めてのアパートを借り 00:00:44.324 --> 00:00:47.524 人生初のクレジットカードも持ち 00:00:47.524 --> 00:00:50.552 一方で 大きな秘密を抱えてました 00:00:50.552 --> 00:00:54.251 弾の入った銃が 00:00:54.251 --> 00:00:57.689 私の頭に向けられていたのです 00:00:57.689 --> 00:01:00.252 私がソウルメイトと 信じた男によって 00:01:00.252 --> 00:01:03.737 何度も 何度も 00:01:03.737 --> 00:01:07.297 地球上で 私が最も愛した男は 00:01:07.297 --> 00:01:11.376 私に銃を向け 「殺す」と脅しました 00:01:11.376 --> 00:01:14.561 何度されたか 思い出せないくらい何回も 00:01:14.561 --> 00:01:17.304 今日は ”危険な愛” について話します 00:01:17.304 --> 00:01:20.488 愛に扮した心の罠 00:01:20.488 --> 00:01:23.340 何百万人の女性と男性までもが 00:01:23.340 --> 00:01:25.721 毎年経験する 愛の話です 00:01:25.721 --> 00:01:28.470 あなたの話かもしれません NOTE Paragraph 00:01:28.470 --> 00:01:31.513 私は 典型的な家庭内暴力の 元被害者には見えないでしょう 00:01:31.513 --> 00:01:33.819 ハーバード大学で 英語学の学位を習得し 00:01:33.819 --> 00:01:36.181 ワートン・ビジネススクールで マーケティングでMBAを取得しました 00:01:36.181 --> 00:01:39.473 そして 収入の高い会社で キャリアを積んできました 00:01:39.473 --> 00:01:43.745 ジョンソン・エンド・ジョンソン ワシントン・ポストでも働きました 00:01:43.745 --> 00:01:47.541 2人目の夫と 結婚して 約20年経ちます 00:01:47.541 --> 00:01:50.330 3人の子供にも恵まれました 00:01:50.330 --> 00:01:54.559 黒のラブラドールを飼っていて 車はホンダのミニバンです 00:01:54.559 --> 00:01:57.039 (笑) NOTE Paragraph 00:01:57.039 --> 00:01:59.758 私の1つ目のメッセージは家庭内暴力というものは 00:01:59.758 --> 00:02:02.126 誰にも起こり得るということです 00:02:02.126 --> 00:02:06.302 人種も宗教も 収入も学歴も関係ありません 00:02:06.302 --> 00:02:08.241 どこでも起こり得るのです 00:02:08.241 --> 00:02:10.761 2つ目のメッセージは 00:02:10.761 --> 00:02:12.879 家庭内暴力は女性に起きるもの 00:02:12.879 --> 00:02:15.147 だから 女性の問題と 思われがちですが 00:02:15.147 --> 00:02:17.366 必ずしもそうとは言えません 00:02:17.366 --> 00:02:21.478 加害者の85%以上は男性です 00:02:21.478 --> 00:02:27.396 暴力は 親密で相互依存した 長い付き合いのカップルに起きます 00:02:27.396 --> 00:02:29.565 つまり 家庭で 起きているのです 00:02:29.565 --> 00:02:33.430 最も暴力が 存在してほしくないと願う場所です 00:02:33.430 --> 00:02:37.708 だから 家庭内暴力は やっかいものなのです NOTE Paragraph 00:02:37.708 --> 00:02:41.259 ”暴力を振るう男性と 一緒にならない人間” 00:02:41.259 --> 00:02:43.831 自分ではそうだと信じていました 00:02:43.831 --> 00:02:47.238 しかし 私の年齢こそ 典型的な被害者の特徴でした 00:02:47.238 --> 00:02:50.523 当時 私は22歳でした 00:02:50.523 --> 00:02:54.372 アメリカ人女性の 16歳から24歳の女性は 00:02:54.372 --> 00:02:57.133 他の年齢と比べると 被害者になる確率が 00:02:57.133 --> 00:02:59.948 3倍も高いのです 00:02:59.948 --> 00:03:03.251 アメリカでは この年齢層の 500人以上の女性が 00:03:03.251 --> 00:03:06.822 暴力的な彼氏や夫によって 00:03:06.822 --> 00:03:11.455 毎年 命を失っているのです NOTE Paragraph 00:03:11.455 --> 00:03:14.515 ”無知”だったのも典型です 00:03:14.515 --> 00:03:19.100 家庭内暴力の危険信号や パターンを知りませんでした NOTE Paragraph 00:03:19.100 --> 00:03:24.165 コーナーに会ったのは 寒い1月の雨の夜 00:03:24.165 --> 00:03:27.128 ニューヨークの地下鉄で 彼は私の隣に座りました 00:03:27.128 --> 00:03:29.267 そして 私を口説きました 00:03:29.267 --> 00:03:31.135 彼は 2つの事を教えてくれました 00:03:31.135 --> 00:03:34.937 彼も アメリカ屈指の 名門大学を卒業したこと 00:03:34.937 --> 00:03:39.292 そして ウォール街の 銀行で働いているということです 00:03:39.292 --> 00:03:42.952 この時 彼への 強い第一印象は 00:03:42.952 --> 00:03:46.240 頭が良く 面白いということ 00:03:46.240 --> 00:03:47.640 そして 田舎者に見えました 00:03:47.640 --> 00:03:49.987 彼の 大きくて赤い丸い頬 00:03:49.987 --> 00:03:51.672 輝く金色の髪の毛 00:03:51.672 --> 00:03:54.959 とても優しそうに見えました NOTE Paragraph 00:03:54.959 --> 00:03:58.743 知り合いたての頃 彼の行動は 賢いものでした 00:03:58.743 --> 00:04:04.317 私が主導権を握っていると 勘違いさせるのです 00:04:04.317 --> 00:04:06.518 特に出会ってすぐの頃は 00:04:06.518 --> 00:04:09.384 私を崇拝しているかのようでした 00:04:09.384 --> 00:04:12.670 付き合い始めると  彼は私のすべてを愛しました 00:04:12.670 --> 00:04:14.354 私の頭の良さや ハーバード大学出であること 00:04:14.354 --> 00:04:17.384 10代の少女を助けることや 仕事に熱心だということ 00:04:17.384 --> 00:04:19.915 彼は私の全てを 知りたがりました 00:04:19.915 --> 00:04:22.531 家族や 幼少期のこと 望みや 夢など全てです 00:04:22.531 --> 00:04:26.165 彼は私を 記者として 女性として信頼していました 00:04:26.165 --> 00:04:29.844 こんなことは 彼が初めてでした 00:04:29.844 --> 00:04:34.169 彼は秘密を打ち明けることで 私たちの間にー 00:04:34.169 --> 00:04:36.689 ”信用”を築き上げました 00:04:36.689 --> 00:04:41.169 秘密とは 4歳頃から 00:04:41.169 --> 00:04:44.080 義理の父親から継続的でひどい 暴力をふるわれていたのです 00:04:44.080 --> 00:04:45.766 義理の父親から継続的でひどい 暴力をふるわれていたのです 00:04:45.766 --> 00:04:49.706 虐待はエスカレートし 中学2年生で中退したのです 00:04:49.706 --> 00:04:52.325 ”できる”生徒 だったのにも関わらず 00:04:52.325 --> 00:04:55.581 そして 約20年間を 人生のやり直しに費やしたのです 00:04:55.581 --> 00:04:58.737 だから 名門大学を卒業し 00:04:58.737 --> 00:05:01.550 ウォール街で働き 待ち受ける輝かしい未来は 00:05:01.550 --> 00:05:04.121 彼にとって 非常に意味があったのです 00:05:04.121 --> 00:05:06.265 当時の私は 00:05:06.265 --> 00:05:11.629 笑い飛ばしたでしょう この賢くて面白く 繊細な男がー 00:05:11.629 --> 00:05:16.012 化粧をするかどうか 00:05:16.012 --> 00:05:18.062 スカートの丈が短いかどうか 00:05:18.062 --> 00:05:19.992 どこに住み どこで働くか 00:05:19.992 --> 00:05:23.356 だれと友達になり クリスマスをどこで過ごすか 00:05:23.356 --> 00:05:25.304 指図するようになると言われたら 00:05:25.304 --> 00:05:28.352 最初の頃の彼に 暴力性や支配力 00:05:28.352 --> 00:05:31.836 怒りなど見られなかったのです 00:05:31.836 --> 00:05:34.961 私は知りませんでした 00:05:34.961 --> 00:05:37.336 どの家庭内暴力でも 00:05:37.336 --> 00:05:40.988 相手を魅了し 誘惑することから始まりー NOTE Paragraph 00:05:40.988 --> 00:05:45.748 次段階では 相手を 孤立させるということを 00:05:45.748 --> 00:05:49.902 ある日 彼が帰宅して突然 こう言ったわけではありません 00:05:49.902 --> 00:05:53.036 「ロミオとジュリエットのような 日々は最高だったね」 00:05:53.036 --> 00:05:55.041 「でも 次の段階に進みたいんだ」 00:05:55.041 --> 00:05:59.220 「君を隔離して痛めつけたいんだ」 (笑) 00:05:59.220 --> 00:06:00.575 「今から引っ越そう」 00:06:00.575 --> 00:06:02.216 「近所に叫び声を聞かれずにー」 00:06:02.216 --> 00:06:04.689 「君の友達も家族もいなくてー」 00:06:04.689 --> 00:06:07.995 「同僚に あざがバレない所にさ」 00:06:07.995 --> 00:06:12.216 現実には ある金曜日 仕事から戻った彼は 00:06:12.216 --> 00:06:14.947 仕事を辞めたと言ってきたのです 00:06:14.947 --> 00:06:17.412 彼の夢の仕事ですよ 00:06:17.412 --> 00:06:21.553 私が理由で辞めたと言うのです 00:06:21.553 --> 00:06:24.731 私が彼に 安心と愛を与えたから 00:06:24.731 --> 00:06:27.854 ウォール街で 自分の証明をする必要がなくなったと 00:06:27.854 --> 00:06:30.369 ただ街を出たいと言ったのです 00:06:30.369 --> 00:06:33.347 暴力にまみれ 崩壊した家族から離れて 00:06:33.347 --> 00:06:36.469 ニューイングランドの 小さな町に引っ越し 00:06:36.469 --> 00:06:40.042 私と人生を 再スタートさせたいと言ったのです 00:06:40.042 --> 00:06:43.908 ニューヨークを離れることは 私が最もしたくないことでした 00:06:43.908 --> 00:06:47.515 私の夢の仕事も 辞めたくありませんでした 00:06:47.515 --> 00:06:50.098 でも ソウルメイトのためには 自分を犠牲にするべきだと信じていたのです 00:06:50.098 --> 00:06:53.562 だから 彼に賛成し 仕事を辞めました 00:06:53.562 --> 00:06:56.193 私たちは マンハッタンを後にしました 00:06:56.193 --> 00:07:00.559 危険な恋をしていると 思いもしませんでした 00:07:00.559 --> 00:07:04.191 慎重に計画された 肉体的 金銭的 精神的な罠に 00:07:04.191 --> 00:07:09.171 私は頭から 飛び込んでいったのです NOTE Paragraph 00:07:09.171 --> 00:07:11.491 家庭内暴力の 次の段階のパターンは 00:07:11.491 --> 00:07:15.773 暴力を垣間見せることです 00:07:15.773 --> 00:07:17.972 そして 相手の反応を見るのです 00:07:17.972 --> 00:07:20.681 私たちの生活に銃が 紛れ込んだのは この段階でした 00:07:20.681 --> 00:07:23.599 ニューイングランドに 引っ越した直後でした 00:07:23.599 --> 00:07:26.337 彼が安心して 暮らせると言っていた場所です 00:07:26.337 --> 00:07:28.753 彼は3丁の銃を購入したのです 00:07:28.753 --> 00:07:32.193 ダッシュボードの中に1丁 00:07:32.193 --> 00:07:34.849 ベッドの枕の下に1丁 00:07:34.849 --> 00:07:38.011 そして最後の1丁は ポケットの中に常備していました 00:07:38.011 --> 00:07:40.329 銃がいる理由を 教えてくれました 00:07:40.329 --> 00:07:43.125 少年時代の経験が トラウマになっていて 00:07:43.125 --> 00:07:45.609 銃があると 守られていると感じるのだと 00:07:45.609 --> 00:07:48.521 しかし実際は私への メッセージだったのです 00:07:48.521 --> 00:07:51.215 この時点で 暴力はありませんでしたが 00:07:51.215 --> 00:07:57.021 私の生活は 毎日少しずつ 重大な危険に近づいていたのです NOTE Paragraph 00:07:57.021 --> 00:08:00.594 彼が私に初めて 暴力を振るったのは 00:08:00.594 --> 00:08:03.419 結婚式の5日前でした 00:08:03.419 --> 00:08:07.611 朝の7時 私はまだ ねまきを着ていました 00:08:07.611 --> 00:08:11.851 フリーランスの執筆の仕事を 終わらせようと パソコンに向かい 00:08:11.851 --> 00:08:13.665 イライラしていました 00:08:13.665 --> 00:08:16.752 彼は私の怒りを言い訳に 00:08:16.752 --> 00:08:19.903 両手で私の首を絞めたのです 00:08:19.903 --> 00:08:23.723 息も 叫ぶこともできない程 強く絞められました 00:08:23.723 --> 00:08:25.547 彼は私の首を絞めたまま 00:08:25.547 --> 00:08:29.973 私の頭を壁に 何度も叩き付けたのです 00:08:29.973 --> 00:08:35.291 首の10個のあざが やっと消えた5日後に 00:08:35.291 --> 00:08:37.766 私は母のウェディングドレスを着て 00:08:37.766 --> 00:08:40.083 彼と結婚しました NOTE Paragraph 00:08:40.083 --> 00:08:42.364 こんな事が起きたにも関わらず 00:08:42.364 --> 00:08:45.883 私は幸せな生活が 待っていると信じていました 00:08:45.883 --> 00:08:49.964 なぜならば 私たちは お互いに愛し合っていたからです 00:08:49.964 --> 00:08:53.336 また彼は深く反省していました 00:08:53.336 --> 00:08:56.509 結婚式や 私と家族になることが 00:08:56.509 --> 00:08:58.706 ストレスになっていたと 00:08:58.706 --> 00:09:00.427 今回限りであって 00:09:00.427 --> 00:09:04.023 もう暴力を振るわないと 約束しました NOTE Paragraph 00:09:04.023 --> 00:09:06.603 しかし ハネムーンで 2度同じことが起きました 00:09:06.603 --> 00:09:09.690 私が穴場のビーチへ運転していて 00:09:09.690 --> 00:09:12.392 道に迷ってしまったのです 00:09:12.392 --> 00:09:15.362 すると彼は私の側頭部を 思い切り殴りつけました 00:09:15.362 --> 00:09:17.506 殴られなかった側の頭は 00:09:17.506 --> 00:09:19.913 何度も 運転席の窓に 打ち付けられました 00:09:19.913 --> 00:09:23.279 それから数日後 ハネムーンから帰宅する車の中で 00:09:23.279 --> 00:09:25.562 彼は渋滞に我慢できなくなり 00:09:25.562 --> 00:09:28.994 冷えたハンバーガーを 私の顔に投げつけました 00:09:28.994 --> 00:09:31.602 彼は週に1〜2度 暴力を振るうようになり 00:09:31.602 --> 00:09:35.019 これが2年半ほど続きました NOTE Paragraph 00:09:35.019 --> 00:09:38.144 私はこの状況を 勘違いしていました 00:09:38.144 --> 00:09:40.787 特別で孤独な状況と 思っていたのです 00:09:40.787 --> 00:09:42.978 アメリカ人女性の3人に1人は 00:09:42.978 --> 00:09:47.130 家庭内暴力や ストーカーの被害者なのです 00:09:47.130 --> 00:09:50.771 また CDCの統計によると 毎年1500万人の子供が 00:09:50.771 --> 00:09:54.181 虐待されています 1500万人ですよ 00:09:54.181 --> 00:09:58.554 つまり 私と同じ状況の 仲間がたくさんいたのです NOTE Paragraph 00:09:58.554 --> 00:10:00.970 最初の質問に戻ります 00:10:00.970 --> 00:10:03.465 「なぜ逃げなかったのか?」 00:10:03.465 --> 00:10:06.203 答えは簡単です 00:10:06.203 --> 00:10:08.891 私は暴力を受けていると 認識していなかったのです 00:10:08.891 --> 00:10:12.739 頭に銃が向けられても 00:10:12.739 --> 00:10:14.962 階段から落とされても 00:10:14.962 --> 00:10:16.343 ペットの犬を殺すと脅されても 00:10:16.343 --> 00:10:20.266 高速道路を運転中に 車の鍵を抜かれても 00:10:20.266 --> 00:10:22.783 仕事の面接のために 服を着替えた後ー 00:10:22.783 --> 00:10:25.099 熱いコーヒーの粉を 頭にかけられてもです 00:10:25.099 --> 00:10:29.469 暴力を受けていると 一度も思いませんでした 00:10:29.469 --> 00:10:33.046 代わりに とても強い 女性だと思っていました 00:10:33.046 --> 00:10:35.298 多くの問題を 抱えた男を愛した女 00:10:35.298 --> 00:10:37.355 そして地球上で私だけが 00:10:37.355 --> 00:10:40.795 悪魔と立ち向かう彼を 助けられると思っていたのです NOTE Paragraph 00:10:40.795 --> 00:10:44.506 皆から聞かれる もう1つの質問 00:10:44.506 --> 00:10:46.923 「どうして逃げないの?」 00:10:46.923 --> 00:10:50.874 なぜ出て行かなかったのか? いつでも逃げられたのに 00:10:50.874 --> 00:10:55.586 私にとって この質問が 最も悲しく辛い質問です 00:10:55.586 --> 00:10:58.677 それは 被害者にしか 分からない事があるからです 00:10:58.677 --> 00:11:03.070 暴力者から逃げるのは 非常に危険だということです 00:11:03.070 --> 00:11:06.389 家庭内暴力の 最終段階のパターンは 00:11:06.389 --> 00:11:09.284 相手を殺すことです 00:11:09.284 --> 00:11:11.825 家庭内暴力による 殺人の70%以上は 00:11:11.825 --> 00:11:15.893 被害者が関係を 終わらせた後に起きています 00:11:15.893 --> 00:11:17.786 被害者が逃げてからです 00:11:17.786 --> 00:11:21.037 もう加害者には 失う物が何もないからです 00:11:21.037 --> 00:11:24.128 長期のストーカー行為に 発展することもあります 00:11:24.128 --> 00:11:27.080 相手が再婚した後でさえも 00:11:27.080 --> 00:11:29.235 経済援助を拒否したり 00:11:29.235 --> 00:11:31.624 家庭裁判所の 制度をうまく使い 00:11:31.624 --> 00:11:34.447 被害者と その子供に 恐怖を与えるのです 00:11:34.447 --> 00:11:39.373 裁判所の判断によっては 子供たちは定期的に 00:11:39.373 --> 00:11:41.342 第三者を交えず 父親と会わなくてはなりません 00:11:41.342 --> 00:11:45.013 母親に暴力を振るう父親ですよ 00:11:45.013 --> 00:11:49.188 知りたいですよね? それでも なぜ逃げないのか NOTE Paragraph 00:11:49.188 --> 00:11:50.942 私は逃げる事ができました 00:11:50.942 --> 00:11:53.844 最後に受けた 残虐な暴力によって 00:11:53.844 --> 00:11:57.003 否定し続けたことが 壊されたからです 00:11:57.003 --> 00:12:00.173 やっと私は気付いたのです 私が心から愛する男は 00:12:00.173 --> 00:12:03.083 私を殺すかも知れないと 00:12:03.083 --> 00:12:05.598 だから私は沈黙を破りました 00:12:05.598 --> 00:12:08.428 周りの人 全員に話したのです 00:12:08.428 --> 00:12:12.213 警察や近所のみんな 00:12:12.213 --> 00:12:16.053 友達や家族 全く知らない人にまで 00:12:16.053 --> 00:12:22.907 そして今日 ここにいられるのも そんな皆さんのおかげです NOTE Paragraph 00:12:22.907 --> 00:12:25.445 私たちは被害者を 一方的に決めつけがちです 00:12:25.445 --> 00:12:28.507 新聞の一面トップになるような 00:12:28.507 --> 00:12:31.803 自滅的な女性だと 思い込んでいます 00:12:31.803 --> 00:12:34.806 「なぜ逃げないのか」 という質問をするのは 00:12:34.806 --> 00:12:40.442 「逃げない彼女の責任」と 決め付けるようなものです 00:12:40.442 --> 00:12:43.766 まるで被害者は わざと暴力を振るう男性に 00:12:43.766 --> 00:12:46.398 恋をしたとでもいうように NOTE Paragraph 00:12:46.398 --> 00:12:48.902 しかし『Crazy Love(危険な恋)』の出版以来 00:12:48.902 --> 00:12:52.425 性別問わず 多くの話を聞きました 00:12:52.425 --> 00:12:54.870 逃げることができた人々です 00:12:54.870 --> 00:12:59.250 経験を通し貴重な 人生の教訓を得た人たち 00:12:59.250 --> 00:13:03.463 楽しく 幸せな 新しい人生を スタートさせた人たち 00:13:03.463 --> 00:13:05.797 仕事をしたり 妻や母として 00:13:05.797 --> 00:13:10.478 皆 私と同様に 暴力が 完全に存在しない人生を送っています 00:13:10.478 --> 00:13:14.509 私は家庭内暴力の 典型的な被害者の一人でした 00:13:14.509 --> 00:13:17.953 また典型的な暴力から 逃げれた被害者の一人です 00:13:17.953 --> 00:13:21.978 私はとても優しい男性と再婚しました 00:13:21.978 --> 00:13:24.314 3人の子供に恵まれました 00:13:24.314 --> 00:13:27.715 黒のラブラドールを飼い ミニバンを運転しています 00:13:27.715 --> 00:13:31.181 私が2度と手に入れないものは 00:13:31.181 --> 00:13:34.139 2度と・・・ 00:13:34.139 --> 00:13:36.264 それは ”頭に向けられる銃”です 00:13:36.264 --> 00:13:39.907 私を愛してるという 男から向けられる銃です NOTE Paragraph 00:13:39.907 --> 00:13:42.538 今 あなたたちは 考えていることでしょう 00:13:42.538 --> 00:13:44.445 「すばらしい話だ」 とか 00:13:44.445 --> 00:13:47.573 「彼女は なんて馬鹿だったんだ」 00:13:47.573 --> 00:13:53.576 しかし 実はずっと あなたのことを話していました 00:13:53.576 --> 00:13:57.093 私は知っていますよ 00:13:57.093 --> 00:13:58.835 あなたたちの中にも 00:13:58.835 --> 00:14:01.847 現在 暴力を受けている方が いるということを 00:14:01.847 --> 00:14:04.362 子供の頃に 虐待された方や 00:14:04.362 --> 00:14:07.732 加害者も いるかもしれません 00:14:07.732 --> 00:14:09.669 暴力はあなたの娘や 00:14:09.669 --> 00:14:14.962 親友の人生を 脅かしているかもしれないのです NOTE Paragraph 00:14:14.962 --> 00:14:18.406 私は自分で"危険な恋”を 終わらせることができました 00:14:18.406 --> 00:14:20.607 沈黙を破ったからです 00:14:20.607 --> 00:14:23.122 今日も沈黙を破り続けています 00:14:23.122 --> 00:14:26.938 これが私なりの 他の被害者を助ける方法です 00:14:26.938 --> 00:14:30.306 あなたに最後のお願いです 00:14:30.306 --> 00:14:33.138 ここで聞いた事を話してください 00:14:33.138 --> 00:14:36.466 暴力は沈黙の中で 脅威を振るいます 00:14:36.466 --> 00:14:40.169 あなたには 暴力を止める力があります 00:14:40.169 --> 00:14:43.678 単にそこに スポットライトを当てるだけです 00:14:43.678 --> 00:14:46.752 私たち被害者は 皆さんを必要としています 00:14:46.752 --> 00:14:50.825 皆さんの理解が必要です 00:14:50.825 --> 00:14:54.603 家庭内暴力の秘密について 00:14:54.603 --> 00:14:57.587 伝える事で暴力に スポットを当てて下さい 00:14:57.587 --> 00:14:59.714 あなたの子供や同僚 00:14:59.714 --> 00:15:01.651 友達や家族に話して下さい 00:15:01.651 --> 00:15:05.097 元被害者のイメージを変えて下さい 00:15:05.097 --> 00:15:07.912 素晴らしく 愛されるべき 未来を持つ人々だと 00:15:07.912 --> 00:15:11.393 暴力の早期の兆候に気づき 00:15:11.393 --> 00:15:14.226 仲介して下さい 00:15:14.226 --> 00:15:18.388 暴力を終わらせ 被害者に安全な出口を教えて下さい 00:15:18.388 --> 00:15:22.383 皆で力を合わせれば 安心して眠り 00:15:22.383 --> 00:15:26.000 食事を楽しみ 家族と過ごせる 00:15:26.000 --> 00:15:29.257 本来 安全で幸せな オアシスであるべき家庭を作れるのです NOTE Paragraph 00:15:29.257 --> 00:15:31.229 ありがとう NOTE Paragraph 00:15:31.229 --> 00:15:38.937 (拍手)