1
00:00:09,367 --> 00:00:12,197
では 火星に移住されるのですね

2
00:00:12,197 --> 00:00:15,978
新しい住まいの場所は選びましたか？

3
00:00:15,978 --> 00:00:19,164
まだ？ では お手伝いしましょう

4
00:00:19,164 --> 00:00:20,488
まず最初に

5
00:00:20,488 --> 00:00:23,883
赤い惑星に持ち込むべきものは

6
00:00:23,883 --> 00:00:29,320
寒さ、孤独、放射線に対する
高い耐性です

7
00:00:29,320 --> 00:00:32,938
さらに 一生分の新鮮な酸素と食べ物

8
00:00:32,938 --> 00:00:35,321
数千億円の宇宙船

9
00:00:35,321 --> 00:00:37,927
何もかもから逃げ出したいという熱望

10
00:00:37,927 --> 00:00:39,367
そして水

11
00:00:39,367 --> 00:00:43,642
水は絶対に必要になります

12
00:00:43,642 --> 00:00:46,182
では どのような物件をお探しでしょう？

13
00:00:46,182 --> 00:00:50,051
ノクチス・ラビリンサスのような迷路に
大邸宅を建てるというのは？

14
00:00:50,051 --> 00:00:52,687
ハッピーフェイス・クレーターの閑静な住まい？

15
00:00:52,687 --> 00:00:56,225
人面岩の上に要塞を建てるとか？

16
00:00:56,225 --> 00:00:57,958
海の眺望が欲しい？

17
00:00:57,958 --> 00:01:00,788
うーん 残念ながら 最後の要望については

18
00:01:00,788 --> 00:01:04,311
40億年ほど遅かったようです

19
00:01:04,311 --> 00:01:07,948
かつては火星にも海､湖､川など

20
00:01:07,948 --> 00:01:09,970
全てがそろっていましたが

21
00:01:09,970 --> 00:01:13,695
時が経つにつれ ほぼ全ての水が
地下で凍ったり

22
00:01:13,695 --> 00:01:16,582
宇宙へ蒸発してしまいました

23
00:01:16,582 --> 00:01:19,182
おそらく いくらかは
まだ残っているはずですが

24
00:01:19,182 --> 00:01:25,062
季節によって溶けたり凍ったりする
二酸化炭素でできた極冠の下です

25
00:01:25,062 --> 00:01:29,337
では もし地表に水があれば 今日の火星は
どのような姿だったでしょう？

26
00:01:29,337 --> 00:01:32,131
もちろん どこまで仮説を
展開するかによりますが

27
00:01:32,131 --> 00:01:34,573
おそらくこんな感じでしょう

28
00:01:34,573 --> 00:01:39,064
比較的平坦な北半球は
平均的な標高よりもやや低めなので

29
00:01:39,064 --> 00:01:41,666
１つの巨大な海になっていたでしょう

30
00:01:41,666 --> 00:01:43,562
一方 クレーターだらけの南半球は

31
00:01:43,562 --> 00:01:47,089
標高が高く乾燥していたと考えられます

32
00:01:47,089 --> 00:01:50,497
北半球と南半球の間で
このような差があることは少し奇妙ですが

33
00:01:50,497 --> 00:01:52,650
その理由は解明されていません

34
00:01:52,650 --> 00:01:55,101
南半球の方がより古くから
存在していたようです

35
00:01:55,101 --> 00:01:57,432
クレーターの数などの特徴や

36
00:01:57,432 --> 00:02:02,756
北半球に火山活動の痕跡が多いということから
こう考えられています

37
00:02:02,756 --> 00:02:04,140
でも ひょっとしたら

38
00:02:04,140 --> 00:02:06,842
いつか火星に 海ができるかも？

39
00:02:06,842 --> 00:02:11,749
しかし今 火星にあるのは
巨大でほこりっぽい砂漠です

40
00:02:11,749 --> 00:02:14,611
実際 地球上の砂漠と類似点があるので

41
00:02:14,611 --> 00:02:19,239
地球にいながらして
火星について 多くを学ぶ事ができました

42
00:02:19,239 --> 00:02:22,321
例えば 火星の砂丘は

43
00:02:22,321 --> 00:02:24,663
地球の砂丘と同じように
形成され 作用します

44
00:02:24,663 --> 00:02:28,007
しかし 火星には地球に比べて
重力が約３分の１しかないので

45
00:02:28,007 --> 00:02:33,306
しばしば火星の砂丘は地球の
約２倍もの大きさになります

46
00:02:33,306 --> 00:02:36,227
TARsのように地球では見られない
火星特有のものもあります

47
00:02:36,227 --> 00:02:41,363
TARsは
頂上のない高さ最大15mの砂丘です

48
00:02:41,363 --> 00:02:44,803
どのように形成されるかは 
未だ解明されていません

49
00:02:44,803 --> 00:02:46,057
こんな風にも思うでしょう

50
00:02:46,057 --> 00:02:48,819
「惑星一帯に広がる砂漠と
地球のような大気が

51
00:02:48,819 --> 00:02:51,064
組み合わさればどうなるか？

52
00:02:51,064 --> 00:02:56,493
風が圧力の差を引き起こし
砂嵐が起こりやすくなるのでは？」

53
00:02:56,493 --> 00:02:59,422
これらは赤い惑星における
主要な気象災害です

54
00:02:59,422 --> 00:03:02,240
地上や空気中に錆びた鉄の粒子を
分散することによって

55
00:03:02,240 --> 00:03:07,644
砂嵐は赤い惑星を形成する大きな役割を
しています

56
00:03:07,644 --> 00:03:09,920
低重力で湿度が欠如しているため

57
00:03:09,920 --> 00:03:14,964
これらの砂嵐は何ヶ月も続き
惑星を砂で覆うのです

58
00:03:14,964 --> 00:03:19,779
だから 家はできるだけ高いところに
建てたいと思うでしょう

59
00:03:19,779 --> 00:03:21,481
でも 探さなくても大丈夫です

60
00:03:21,481 --> 00:03:27,195
これはオリンポス山という
太陽系最大の火山です

61
00:03:27,195 --> 00:03:29,323
たとえ火星の大気が吸えるとしても

62
00:03:29,323 --> 00:03:34,556
25kmの頂点からの眺めに
息をのんでしまうでしょう

63
00:03:34,556 --> 00:03:36,163
火山など興味はない？

64
00:03:36,163 --> 00:03:41,919
それでは太陽系最大の峡谷
マリネリス峡谷はいかがでしょう？

65
00:03:41,919 --> 00:03:44,061
幅が広いので一方の縁からでは

66
00:03:44,061 --> 00:03:48,182
反対側の縁が地平線の曲線よりも
下に見えます

67
00:03:48,182 --> 00:03:53,694
それでもなお 日中は赤い空に
青い夕日が沈む景観を楽しめます

68
00:03:53,694 --> 00:03:57,136
空が赤い理由は 砂塵が青い光を吸収してしまい

69
00:03:57,136 --> 00:04:01,630
赤い太陽光が 大気で散乱されるからです

70
00:04:01,630 --> 00:04:06,482
やる気や好奇心が湧いてきましたか？
それとも指をくわえて待っているだけですか？

71
00:04:06,482 --> 00:04:10,908
今日こそ さっさと火星への一歩を
踏み出しましょう

72
00:04:10,908 --> 00:04:14,215
火星―未曾有の赤い惑星へ