WEBVTT 00:00:00.793 --> 00:00:03.040 皆さんに 新しい視点を披露したいと思います 00:00:04.000 --> 00:00:06.840 壮大な表現ですが 実際にそうです 00:00:07.560 --> 00:00:09.280 昨日の朝 私はアイルランドを発ち 00:00:09.880 --> 00:00:12.336 ダブリンから ニューヨークに 00:00:12.360 --> 00:00:13.560 ひとり旅で来ました 00:00:14.080 --> 00:00:15.976 でも 空港や旅客機や 00:00:16.000 --> 00:00:18.536 ターミナルのデザインでは 00:00:18.560 --> 00:00:22.480 身長105.5センチの人が 自力で旅するのは難しいんです 00:00:23.200 --> 00:00:26.440 105.5センチは アメリカでは3フィート半です 00:00:27.680 --> 00:00:31.400 空港では 航空会社のスタッフが押す 車椅子での移動になりました 00:00:32.000 --> 00:00:35.000 私は車椅子を使う必要はありません 00:00:35.680 --> 00:00:37.776 でも 空港のデザインと 00:00:37.800 --> 00:00:40.056 アクセシビリティの欠如で 00:00:40.080 --> 00:00:42.160 私は 車椅子で移動するしかないのです 00:00:43.280 --> 00:00:46.016 機内持ち込み荷物を足の間に置いて 00:00:46.040 --> 00:00:49.416 私は 車椅子に乗って セキュリティとプレクリアランス を通り 00:00:49.440 --> 00:00:51.800 搭乗口に到着しました NOTE Paragraph 00:00:52.880 --> 00:00:55.736 空港では 私は アクセシビリティ・サービスを利用します 00:00:55.760 --> 00:00:59.000 殆どの空港ターミナルが私のような 利用者を念頭に設計されていませんから 00:00:59.920 --> 00:01:01.640 例えば セキュリティでは 00:01:02.320 --> 00:01:05.416 私の腕力では 機内持ち込み荷物を 00:01:05.440 --> 00:01:07.480 床からコンベヤーに 載せることができません 00:01:08.480 --> 00:01:10.080 コンベヤーが 私の目の高さなのです 00:01:10.560 --> 00:01:15.496 安全管理上の理由から 職員に手伝ってもらったり 00:01:15.520 --> 00:01:17.200 代理でやってもらう訳にも行きません 00:01:18.200 --> 00:01:21.960 デザインのせいで 私の 自主性と独立性が妨げられます 00:01:23.000 --> 00:01:26.480 でも この身長で 旅をするのは 悪いことばかりでもありません 00:01:26.960 --> 00:01:29.736 足元の広さは エコノミーでもビジネスクラス並みです NOTE Paragraph 00:01:29.760 --> 00:01:31.640 (笑) NOTE Paragraph 00:01:32.760 --> 00:01:34.840 私は自分の背が低いことを よく忘れます 00:01:35.360 --> 00:01:39.320 私にそのことを思い出させるものは 物理的な環境や社会です 00:01:40.120 --> 00:01:44.080 公衆トイレを利用するのは 耐え難い経験です 00:01:44.880 --> 00:01:47.056 個室に入っても 00:01:47.080 --> 00:01:48.938 ドアロックに手が届きません 00:01:49.880 --> 00:01:52.240 私は独創的でへこたれない人間ですから 00:01:53.000 --> 00:01:56.400 辺りを見回して ひっくり返せるゴミ箱がないか探します 00:01:57.400 --> 00:01:58.600 安全性はというと 00:01:59.040 --> 00:02:00.240 全然良くありません 00:02:00.640 --> 00:02:02.960 衛生面はどうでしょうか? 00:02:03.440 --> 00:02:04.640 全然ダメです 00:02:05.760 --> 00:02:07.380 他の選択肢は もっとひどいんです 00:02:08.240 --> 00:02:10.240 うまくいかなければ スマホを使います 00:02:11.160 --> 00:02:14.216 すると あと4〜6インチ 高いところに手が届くので 00:02:14.240 --> 00:02:16.920 iPhoneを使って 押して 鍵を閉めようと試みます 00:02:17.720 --> 00:02:22.136 ジョナサン・アイブは iPhoneを設計した時 こんな使い方を想定しなかったでしょう 00:02:22.160 --> 00:02:23.360 でも 役に立ちます 00:02:24.960 --> 00:02:27.440 代替案として 知らない人に 00:02:28.480 --> 00:02:30.736 平謝りしながら 00:02:30.760 --> 00:02:33.840 個室のドアの外に立って 見張りをして下さいと頼むんです 00:02:35.000 --> 00:02:36.536 やってくれますよ 00:02:36.560 --> 00:02:38.520 私は ありがたく感じると同時に 00:02:39.480 --> 00:02:41.160 この上ない屈辱感を覚え 00:02:42.040 --> 00:02:43.776 手を洗わずにトイレを出たことを 00:02:43.800 --> 00:02:46.134 気づかれませんようにと 祈ります 00:02:47.200 --> 00:02:50.440 私は 手指除菌剤を 毎日持ち歩いています 00:02:51.240 --> 00:02:56.576 シンクもソープディスペンサー ドライヤーも鏡も 全部 00:02:56.600 --> 00:02:57.960 私には届かないからです NOTE Paragraph 00:02:59.120 --> 00:03:01.856 アクセシブルなトイレは ちょっとした選択肢に見えます 00:03:01.880 --> 00:03:04.280 そこだったら ドアの鍵にも 00:03:04.840 --> 00:03:09.200 シンク、ソープディスペンサー ドライヤー、鏡にも手が届きます 00:03:10.400 --> 00:03:13.320 それでも 私はトイレを使うことができません 00:03:14.520 --> 00:03:16.976 わざと便座を高く設計して 00:03:17.000 --> 00:03:20.160 車椅子を使う人が 便座に 移動しやすくなっているのです 00:03:21.200 --> 00:03:24.560 これは素晴らしく 必要なイノベーションです 00:03:25.440 --> 00:03:29.680 でも デザインの世界で 新しい企画や新案を 「アクセシブル」だと表現する時 00:03:30.680 --> 00:03:31.880 何を意味するでしょうか? 00:03:32.920 --> 00:03:34.840 誰にとって 使いやすいのでしょうか? 00:03:35.840 --> 00:03:38.600 そして 誰のニーズが 見過ごされているのでしょうか? NOTE Paragraph 00:03:40.000 --> 00:03:41.496 さて トイレは 00:03:41.520 --> 00:03:44.040 デザインが私の尊厳を損ねている 一例です 00:03:44.920 --> 00:03:48.440 でも 物理的な環境が ごく身近な面で 私に影響しています 00:03:49.240 --> 00:03:51.480 例えば 一杯のコーヒーを 注文するような単純なことです 00:03:52.320 --> 00:03:53.680 白状しましょう 00:03:54.160 --> 00:03:56.040 私はコーヒーの飲み過ぎです 00:03:56.480 --> 00:03:59.056 スキニー・バニラ・ラテが いつもの注文です 00:03:59.080 --> 00:04:01.640 でも シロップを少なめに するようにしています 00:04:02.800 --> 00:04:05.536 でも 行きつけのコーヒーショップは デザインが良くありません 00:04:05.560 --> 00:04:06.760 少なくとも私にとっては 00:04:07.520 --> 00:04:10.296 列に並んで ケーキの入った ケースの横に立っている時 00:04:10.320 --> 00:04:12.360 バリスタが次のお客さんを呼びます 00:04:13.200 --> 00:04:15.400 「お次の方 どうぞ!」 00:04:16.440 --> 00:04:17.640 彼らには私が見えません 00:04:18.640 --> 00:04:21.456 私の後ろに並んだ人が 私のことを指して 00:04:21.480 --> 00:04:23.720 皆んな 気まずくなります 00:04:24.240 --> 00:04:27.520 私はなるべく速く注文を済ませて コーヒーを受け取りに行きます 00:04:28.480 --> 00:04:30.920 そこで ちょっと考えてください 00:04:31.560 --> 00:04:32.760 コーヒーは どこかというと 00:04:33.960 --> 00:04:35.800 ずっと上に フタなしで出てきます 00:04:36.480 --> 00:04:39.376 自分が買ったコーヒーに 手を伸ばすのが 00:04:39.400 --> 00:04:41.840 信じられないくらい危険です NOTE Paragraph 00:04:42.640 --> 00:04:45.896 デザインは 私が着たいと思う衣服にも 影響します 00:04:45.920 --> 00:04:48.560 私は 私らしい服が欲しいと思います 00:04:49.320 --> 00:04:52.000 でも そんな服は子供服売り場にはありません 00:04:52.640 --> 00:04:55.920 そして 大抵 女性服には お直しをたくさんしなければなりません 00:04:56.600 --> 00:05:01.320 成熟した プロフェッショナルで 洗練された私を表現する靴が欲しいと思います 00:05:02.160 --> 00:05:06.400 でも マジックテープつきの 歩くと光るスニーカーを勧められます 00:05:07.200 --> 00:05:10.976 歩くと光る靴は絶対に嫌とは言いません NOTE Paragraph 00:05:11.000 --> 00:05:12.200 (笑) NOTE Paragraph 00:05:13.080 --> 00:05:16.496 でも デザインは 椅子に座ると言うような こんなシンプルなことにも 00:05:16.520 --> 00:05:17.960 影響します 00:05:18.920 --> 00:05:22.440 立つ姿勢から座る姿勢へと 優雅に移動することはできません 00:05:23.320 --> 00:05:26.576 椅子のデザインの高さは基準に沿っているため 00:05:26.600 --> 00:05:29.296 手や膝を使ってはい上がらないと 00:05:29.320 --> 00:05:30.936 椅子の上に乗れないのです 00:05:30.960 --> 00:05:34.600 そして常に ひっくり返らないかと冷や冷やします NOTE Paragraph 00:05:36.120 --> 00:05:37.936 でも デザインが私に影響する一方で 00:05:37.960 --> 00:05:42.736 椅子だろうと トイレだろうと カフェだろうと 衣服だろうと 00:05:42.760 --> 00:05:45.936 私は 知らない人の親切を 00:05:45.960 --> 00:05:47.760 とても頼りにし 支えられています 00:05:49.520 --> 00:05:51.160 もちろん 皆が良い人とは限りません 00:05:52.400 --> 00:05:54.976 私は自分の身長が低いことを思い出すのは 00:05:55.000 --> 00:05:56.440 知らない人に指をさされたり 00:05:57.520 --> 00:05:58.720 ジロジロと見られたり 00:05:59.320 --> 00:06:00.520 笑われたり 00:06:01.360 --> 00:06:03.136 悪口を言われたり 00:06:03.160 --> 00:06:04.640 写真を撮られたりする時です 00:06:05.960 --> 00:06:07.389 こんなことは日常茶飯事です 00:06:08.720 --> 00:06:11.616 ソーシャルメディアの発達は 私にブロガーとして活動家として 00:06:11.640 --> 00:06:15.600 発言をするチャンスと プラットフォームを与えました 00:06:16.440 --> 00:06:18.736 と同時に私はナーバスになります 00:06:18.760 --> 00:06:20.856 私の同意無しに ネットのジョークにされたり 00:06:20.880 --> 00:06:22.440 瞬く間に広がって物議を醸したり 00:06:23.400 --> 00:06:24.800 するのではないかと NOTE Paragraph 00:06:26.240 --> 00:06:28.936 ですから 今ここで 改めて 00:06:28.960 --> 00:06:30.560 あることをはっきりさせましょう 00:06:31.720 --> 00:06:34.120 「こびと (ミジット)」という言葉は差別語です 00:06:35.360 --> 00:06:39.480 この言葉はP・T・バーナムの時代の サーカスとフリークショーから発展しました 00:06:40.640 --> 00:06:42.360 社会は発展しました 00:06:43.520 --> 00:06:45.040 私たちの語彙も発展するべきです 00:06:45.840 --> 00:06:48.216 言語は強力なツールです 00:06:48.240 --> 00:06:50.240 言葉は私たちの社会に 名前を与えるだけではなく 00:06:50.720 --> 00:06:52.160 私たちの社会を形成します NOTE Paragraph 00:06:52.880 --> 00:06:56.296 私は小さい人であること — 遺伝により軟骨無形成症を受け継いだことを 00:06:56.320 --> 00:06:59.576 とても誇りに思っています 00:06:59.600 --> 00:07:01.840 でも シネイドであることに 一番誇りを持っています 00:07:02.680 --> 00:07:05.720 軟骨無形成症は 小人症の 最も一般的なものです 00:07:06.400 --> 00:07:09.960 軟骨無形成症は 「軟骨の形成がない」という意味です 00:07:10.760 --> 00:07:14.496 私の四肢は短く 軟骨無形成症に特有の顔つきをしています 00:07:14.520 --> 00:07:16.840 額や鼻もそうです 00:07:17.560 --> 00:07:20.176 私は腕をまっすぐに 伸ばすことができません 00:07:20.200 --> 00:07:22.080 でも 肘を舐めることはできます 00:07:22.640 --> 00:07:24.021 お披露目はしませんが 00:07:25.200 --> 00:07:29.680 軟骨無形成症は 大体 2万人に1人の確率で起こります 00:07:30.520 --> 00:07:34.200 低身長の人の80%は 普通の身長の両親から生まれます 00:07:35.000 --> 00:07:38.920 つまり ここにいる誰もが 軟骨無形成症の子の親になる可能性があります 00:07:39.960 --> 00:07:43.480 でも 私の場合は 父から受け継ぎました 00:07:43.880 --> 00:07:46.160 私の家族の写真をお見せしましょう 00:07:47.280 --> 00:07:49.296 母は平均的な身長で 00:07:49.320 --> 00:07:51.536 父は低身長です 00:07:51.560 --> 00:07:53.560 そして私は5人きょうだいの一番上です 00:07:54.200 --> 00:07:56.720 私には3人の妹と1人の弟がいて 00:07:57.560 --> 00:07:59.240 きょうだいは全員 平均的な身長です 00:08:00.160 --> 00:08:03.576 とても幸運なことに この家族に生まれて 00:08:03.600 --> 00:08:06.800 好奇心と粘り強さが 育まれました 00:08:07.720 --> 00:08:12.696 そしてそのおかげで知らない人からの 不親切や無知から自分を守ることができました 00:08:12.720 --> 00:08:16.896 そのおかげで 私は打たれ強さ、独創性、 自信という武器を身につけることができ 00:08:16.920 --> 00:08:21.560 そのおかげで 私は物理的環境や社会の中で 巧みに生き抜くことができました 00:08:22.800 --> 00:08:26.616 私の成功の理由を一点示すなら 00:08:26.640 --> 00:08:30.760 私が今も昔も愛された子どもだったからです 00:08:31.560 --> 00:08:35.456 今は愛される小癪な皮肉屋ですが 00:08:35.480 --> 00:08:37.159 でも 確かに愛された子どもです NOTE Paragraph 00:08:38.360 --> 00:08:41.320 今の私の人となりを 知っていただくために 00:08:42.280 --> 00:08:44.200 新しい視点を皆さんに お伝えしたいと思います 00:08:45.200 --> 00:08:48.656 「デザインは 機能性と美しさを 創り出すツールにすぎない」というアイデアに 00:08:48.680 --> 00:08:50.240 異議申し立てをいたします 00:08:51.280 --> 00:08:54.280 デザインは 人々の生活に 大きな影響を与えます 00:08:55.400 --> 00:08:56.680 全ての人の生活にです 00:08:57.360 --> 00:09:01.056 デザインを通して 私たちは世界への帰属感を覚えます 00:09:01.080 --> 00:09:05.336 でも デザインを通じて 人の尊厳とその人の人権を 00:09:05.360 --> 00:09:06.720 守ることもできます 00:09:07.600 --> 00:09:10.296 また デザインは 自分たちのニーズが考慮されない 00:09:10.320 --> 00:09:12.800 グループの人々に 弱みを背負わす可能性もあります NOTE Paragraph 00:09:14.320 --> 00:09:18.160 ですから 今日 私は 皆さんに自分の認識を疑って欲しいのです 00:09:18.880 --> 00:09:20.976 誰のためのデザインが 忘れられているでしょうか? 00:09:21.000 --> 00:09:23.816 どうしたら その人たちの声や経験を 00:09:23.840 --> 00:09:25.440 届けられるでしょうか? 00:09:26.200 --> 00:09:27.400 次なるステップは? 00:09:28.400 --> 00:09:30.976 デザインは大きな特権である以上に 00:09:31.000 --> 00:09:32.960 それ以上に大きな責任です 00:09:33.960 --> 00:09:36.000 皆さん 目をしっかり開いて下さい NOTE Paragraph 00:09:36.760 --> 00:09:37.976 どうもありがとうございました NOTE Paragraph 00:09:38.000 --> 00:09:41.760 (拍手)