1 00:00:19,853 --> 00:00:23,119 昔 私は数学者になりたかったのですが 2 00:00:23,119 --> 00:00:24,474 うまく行きませんでした 3 00:00:24,474 --> 00:00:28,701 私は奇妙な空間や 平面について勉強していて 4 00:00:29,041 --> 00:00:30,945 「高反射空間」という用語は 5 00:00:30,945 --> 00:00:33,861 殆どの方にとっては 何の意味も持たないでしょうが 6 00:00:33,861 --> 00:00:36,780 私が覚えている例は 球体で 7 00:00:36,780 --> 00:00:40,811 その中を真っ直ぐ突っ切って 向こう側に辿り着く距離と 8 00:00:40,811 --> 00:00:45,274 向こう側まで外側を辿った距離が 全く同じなのです 9 00:00:45,274 --> 00:00:46,754 (笑) 10 00:00:46,754 --> 00:00:49,767 これは明らかに不可能です 地球上ではこれは実現しません 11 00:00:50,605 --> 00:00:52,964 でも数学ではこうした事は可能です 12 00:00:53,224 --> 00:00:56,262 素晴らしいのは 一旦それを考え始め 13 00:00:56,262 --> 00:00:59,250 昼も夜も延々と 考え続けると— 14 00:00:59,250 --> 00:01:01,056 いずれその解が見つかることです 15 00:01:01,136 --> 00:01:03,623 思考がこうした事を 可能にするのです 16 00:01:03,623 --> 00:01:07,264 そしてそうした事柄が 実現する空間が見えると 17 00:01:07,924 --> 00:01:12,114 それからは先は簡単です 18 00:01:12,784 --> 00:01:17,095 現実世界にもそういうものが あるかも知れません 19 00:01:17,205 --> 00:01:21,503 せっかくですから それを見つけてみましょうか 20 00:01:21,811 --> 00:01:24,708 さて ユートピア的思想は これに少し似ています 21 00:01:24,748 --> 00:01:26,798 それが私が大いに気に入っている 理由かもしれません 22 00:01:26,928 --> 00:01:33,017 ユートピア的思想は 私たちに現状から離れて 23 00:01:33,017 --> 00:01:34,705 想像力に挑む新規性を持ち 24 00:01:34,935 --> 00:01:39,498 「もし何々が可能だったら?」 と想像させ 25 00:01:39,661 --> 00:01:42,056 それを試してみよう と探索を促します 26 00:01:42,219 --> 00:01:44,648 私自身考えもしませんでしたが 27 00:01:44,648 --> 00:01:46,431 何年も何年も後に 28 00:01:46,431 --> 00:01:50,115 数学の試行錯誤をした30年後 29 00:01:50,475 --> 00:01:54,250 ビジョナリー思考や ユートピア的ビジョン— 30 00:01:54,250 --> 00:01:58,756 正にこうしたことを毎日 私は欧州委員会で扱っています 31 00:01:58,846 --> 00:02:01,987 真新しいアイデアやラディカルな研究 32 00:02:01,987 --> 00:02:04,727 あなたが椅子から転げ落ちるような 「驚きのファクター」 33 00:02:04,727 --> 00:02:06,989 それが私の研究活動の 日々の糧となっています 34 00:02:06,989 --> 00:02:09,509 いや 私の研究というより 私の欧州委員会での仕事のです 35 00:02:09,509 --> 00:02:13,928 自分でもこれについて 研究しましたが それはまた別の話です 36 00:02:13,928 --> 00:02:17,855 さて 欧州委員会で 37 00:02:17,855 --> 00:02:21,454 FET(未来技術)プログラムが出来て 38 00:02:21,454 --> 00:02:24,024 そこで働いて10〜12年になりますが 39 00:02:25,574 --> 00:02:29,794 クレイジーなアイデアの研究企画書が 40 00:02:29,794 --> 00:02:32,594 平均して1日に2〜3件届きます 41 00:02:33,054 --> 00:02:39,354 10年間で そんな応募を 数千件は見て来ました 42 00:02:39,504 --> 00:02:43,116 数千のクレイジーなアイデアなんて 想像できます? 43 00:02:43,235 --> 00:02:46,270 全てがクレイジーという訳ではなく 同じように革新的だったり 44 00:02:46,270 --> 00:02:48,190 現実的でもありませんが 45 00:02:48,190 --> 00:02:51,987 「ワオ!」と驚いてしまうような そんなアイデアたちです 46 00:02:52,257 --> 00:02:55,266 個人の名前は出しませんが 47 00:02:55,306 --> 00:02:58,858 それらが印象に残るのは ある共通項です 48 00:02:58,904 --> 00:03:05,498 それぞれの提案企画書から 立ち上がって来る共通の構想です 49 00:03:06,796 --> 00:03:11,104 5百年前 誰もが知っている 50 00:03:12,024 --> 00:03:13,484 「ユートピア」が書かれました 51 00:03:13,914 --> 00:03:16,470 トマス・モアがこれを著した時代には 52 00:03:17,410 --> 00:03:20,030 テクノロジーはあまり 存在していませんでしたが 53 00:03:20,080 --> 00:03:24,420 この本を見て 今朝私が受け取ったものを 思い出しました 多分― 54 00:03:24,547 --> 00:03:28,789 やっぱり 55 00:03:29,299 --> 00:03:34,535 トマス・モアは私のプログラムへ 「ユートピア」を企画書として送って来ました 56 00:03:35,112 --> 00:03:38,545 彼は研究資金を必要としています 我々は出資するでしょうか? 57 00:03:38,565 --> 00:03:40,359 どれ 見てみましょう 58 00:03:41,249 --> 00:03:43,141 いやいやこれは怪しいぞ 59 00:03:43,751 --> 00:03:46,713 成果物も実施タイムラインも 書いていない 60 00:03:47,623 --> 00:03:49,582 必要になる資源リストも 無いじゃないか 61 00:03:49,693 --> 00:03:50,833 (笑) 62 00:03:50,833 --> 00:03:54,011 3カ国間の—共同研究かな? 63 00:03:54,011 --> 00:03:57,953 3番目の協力国の名前が 「ユートピア?」 64 00:03:57,953 --> 00:04:01,346 データベースには見当たらないので 多分存在しないんだろう 65 00:04:01,346 --> 00:04:03,633 これはインチキだ 本物なわけがない 66 00:04:03,633 --> 00:04:06,710 こんな事に出資するなんて馬鹿げてる 67 00:04:07,268 --> 00:04:09,485 もちろん これはシニカルな回答ですよ 68 00:04:09,485 --> 00:04:12,831 こんなシニカルなやり方が 実際私たちの仕事のやり方かなのも 69 00:04:12,991 --> 00:04:17,514 でももし質問が 「こういう事に資金を提供すべきか」或いは 70 00:04:17,724 --> 00:04:19,476 「実際提供しているか?」だったら 71 00:04:19,476 --> 00:04:21,682 そうしたら私は必ず 「イエス」と答えるでしょう 72 00:04:21,682 --> 00:04:25,171 私たちのプロジェクトで 頻繁に行われる 73 00:04:25,171 --> 00:04:27,914 こまごました技術的側面にこだわった イノベーションより 74 00:04:27,914 --> 00:04:31,181 もっとユートピア的思索に 注目すべきです 75 00:04:32,731 --> 00:04:35,239 こうしたビジョンをもっと 発掘するというのが 76 00:04:35,239 --> 00:04:37,989 私と同僚たちが 77 00:04:37,989 --> 00:04:40,537 やっている仕事なんです 78 00:04:40,537 --> 00:04:42,837 これは非常に重要です 79 00:04:42,837 --> 00:04:46,657 こんにち 今まで以上に 80 00:04:46,657 --> 00:04:50,454 私たちには社会の現状に 代わり得る可能性が必要です 81 00:04:50,664 --> 00:04:53,726 それが無ければ 私たちには ポピュリスト的選択をしがちで 82 00:04:53,726 --> 00:04:56,764 ほんの少しの選択肢しか 想像が許されず 83 00:04:56,764 --> 00:05:00,026 若者たちに新たな方向を開拓するように 刺激を与えることもできません 84 00:05:00,026 --> 00:05:02,861 そういう訳でこれは非常に重要です 85 00:05:03,421 --> 00:05:06,122 もちろんモアが 「ユートピア」を書いたとき 86 00:05:06,122 --> 00:05:09,000 テクノロジー的なものは まだありませんでしたから 87 00:05:09,000 --> 00:05:11,953 彼はその時代に存在したものを 用いて表現しました 88 00:05:11,953 --> 00:05:16,883 それらは法律や政府機関 社会的慣習などでした 89 00:05:16,883 --> 00:05:20,001 そうして彼はユートピアを そうした概念を用いて表現しました 90 00:05:20,401 --> 00:05:24,287 こんにち 我々の世界には 量産技術があり 91 00:05:24,287 --> 00:05:29,265 それが我々の社会を ほぼ形造っていますから 92 00:05:29,355 --> 00:05:32,842 この現実を完全に取り入れ 93 00:05:32,842 --> 00:05:36,027 モアが用いたツールを使いながらも 94 00:05:36,027 --> 00:05:40,712 社会を形成する力としての テクノロジーを考慮に入れて 95 00:05:40,712 --> 00:05:45,833 全く新しいユートピア的な社会の ビジョンを作らなければなりません 96 00:05:45,833 --> 00:05:47,041 今までもそうなってきました 97 00:05:47,041 --> 00:05:51,288 まず この民主主義は印刷技術 無くしては機能していません 98 00:05:51,288 --> 00:05:55,479 高速コミュニケーション技術や 移動手段 そうしたものも必要です 99 00:05:55,479 --> 00:05:58,627 そして技術が変化すると 社会も変化します 100 00:05:58,627 --> 00:06:00,601 続いて政策が変化します 101 00:06:00,601 --> 00:06:03,567 少なくとも今は 政策はいつも 状況に遅れを取り変化します 102 00:06:03,567 --> 00:06:07,650 世界がどうなるだろうかと 予見する思考が欠けているからです 103 00:06:07,650 --> 00:06:13,509 ゆえに ユートピアについて考えることは 建設的でプロアクティブな手法であり 104 00:06:13,509 --> 00:06:16,256 私たちにとって非常に大切なのです 105 00:06:16,256 --> 00:06:19,974 さて ユートピアとテクノロジーの 繋がりは何も新しいものではなく 106 00:06:19,974 --> 00:06:22,103 数多くの例が存在します 107 00:06:23,013 --> 00:06:27,174 私の関わっているプログラムでは ここに焦点を当てています 108 00:06:27,174 --> 00:06:30,608 これら技術に着想を得たユートピア的 ビジョンはディストピア的になりがちで 109 00:06:30,608 --> 00:06:35,123 ジョージ・オーウェルの描く 「ビッグ・ブラザー」はよく知られた例です 110 00:06:35,123 --> 00:06:38,142 トマス・モアも喜んで 彼のユートピア像にぴったりな 111 00:06:38,142 --> 00:06:42,339 「ビッグ・ブラザー」的ビジョンを 取り入れたことでしょう 112 00:06:42,339 --> 00:06:46,357 しかしそのようなビジョンは 彼の時代にはありませんでした 113 00:06:46,357 --> 00:06:49,307 さてどういうことでしょう? 114 00:06:49,307 --> 00:06:52,674 工業的機械の時代は もうはるか過去のもので 115 00:06:52,674 --> 00:06:56,862 私たちは今 より洗練された機械の中に 住んでいてその最高の例は 116 00:06:56,862 --> 00:06:58,557 もちろん コンピューターです 117 00:06:59,017 --> 00:07:02,523 私たちに送られて来る 多くのアイデアは 118 00:07:03,522 --> 00:07:07,730 何通りかのバリエーションを持つ ある前提を共有しています 119 00:07:07,730 --> 00:07:09,278 これは非常に重要です 120 00:07:10,534 --> 00:07:16,744 テレコム・イタリアの新聞広告に 「世界をリセットするボタン」が 121 00:07:16,744 --> 00:07:19,483 ありますが 122 00:07:19,483 --> 00:07:20,883 これを見て思ったんです 123 00:07:20,883 --> 00:07:24,739 その広告の前提は 「世界はコンピューターみたいなものだ」と 124 00:07:24,739 --> 00:07:29,584 ボタンを押してパソコンのように リセットできるのだから 125 00:07:29,875 --> 00:07:32,692 世界はコンピューターである という考えは様々に表現されています 126 00:07:32,692 --> 00:07:34,610 世界がコンピュータかどうかはともかく 127 00:07:34,610 --> 00:07:37,256 世界をコンピュータと想定してみてください 128 00:07:37,286 --> 00:07:41,840 コンピュータとしての世界を研究することも 刺激になることでしょう 129 00:07:42,630 --> 00:07:45,669 更に洗練されているのが コンピューターの中の世界です 130 00:07:45,669 --> 00:07:48,665 数多くのプロジェクトや 研究テーマの企画書が 131 00:07:48,665 --> 00:07:50,355 送られてきますが 132 00:07:50,355 --> 00:07:53,840 科学で研究されている全ての分野には コンピューターを利用する領域があり 133 00:07:53,840 --> 00:07:57,438 計算生物学 134 00:07:57,438 --> 00:08:01,182 計算経済、計算何々 「計算」のつくあらゆる学術分野です 135 00:08:01,412 --> 00:08:04,721 これらはコンピューターの持つ能力を 最大限利用するわけです 136 00:08:04,721 --> 00:08:09,767 しかし最も根源的には 世界はコンピューターだと定義することです 137 00:08:09,887 --> 00:08:13,601 真の意味で機械ではなく コンピューターだということです 138 00:08:13,601 --> 00:08:16,224 その違いはコンピューターは プログラムできるということです 139 00:08:16,224 --> 00:08:20,005 つまりプログラム可能な 汎用機械ということです 140 00:08:20,005 --> 00:08:23,931 この考えによると世界は プログラム可能だという事になります 141 00:08:23,931 --> 00:08:26,771 この世界はプログラムできるのです 142 00:08:26,771 --> 00:08:30,253 ゆえに 私たちはどのように 未来を創造できるかを理解できます 143 00:08:30,253 --> 00:08:35,914 コンピューターであるこの世界が 算出するのは未来でしか無いのですから 144 00:08:35,914 --> 00:08:38,431 チクタクと— 世界は未来を算出しています 145 00:08:38,431 --> 00:08:41,779 それをプログラムできれば 未来が向かう方向を左右できます 146 00:08:41,779 --> 00:08:45,543 これが私たちのプログラムの 根底に流れるビジョンです 147 00:08:45,543 --> 00:08:51,517 部分的な成果はしばしば明示されますが 全体像が明確に表現されることは稀です 148 00:08:51,517 --> 00:08:53,947 しかしそれを把握することは重要です 149 00:08:54,477 --> 00:08:57,345 それから NBIC(ナノ、バイオ、情報 認知科学技術)の集約です 150 00:08:57,345 --> 00:09:01,195 アメリカで15年以上前に 生まれたテーマですが 151 00:09:01,195 --> 00:09:04,967 未だにシリコンバレーの多くが このようなアイデアに奮闘しています 152 00:09:05,157 --> 00:09:08,536 物事の基礎を構成する 最も原始的なアイデアの種類で 153 00:09:08,536 --> 00:09:12,556 ニューロンや材料、思考、などなど 154 00:09:12,986 --> 00:09:16,377 正しく発展させれば他のものに 互換できるようなものです 155 00:09:16,467 --> 00:09:20,479 例えば ヒトのニューロンを コンピューターチップに置き換え 156 00:09:20,479 --> 00:09:24,522 それが全く同じ機能を備えていれば 違いは分かりません 157 00:09:24,522 --> 00:09:28,267 ビット、原子、ニューロン 遺伝子の互換性は 158 00:09:28,267 --> 00:09:31,170 その頭文字をとりBANGと呼ばれ 159 00:09:32,760 --> 00:09:34,643 その基礎となる考えです 160 00:09:34,763 --> 00:09:37,775 多くのプロジェクトが この実現を試みています 161 00:09:37,775 --> 00:09:41,538 それは多くの人々が 医療目的で目指している 162 00:09:41,538 --> 00:09:45,697 人体の修復に限らず 163 00:09:45,697 --> 00:09:49,234 人間の増補 つまり人の能力を 増強・補完させるという目的も含まれます 164 00:09:49,234 --> 00:09:52,909 これはそんなプロジェクトの一例ですが 165 00:09:52,909 --> 00:09:56,532 義肢に感覚機能を持たせ 双方向リンクで繋げた 166 00:09:56,532 --> 00:10:01,057 世界で初の例です 167 00:10:01,673 --> 00:10:04,540 これよりももっとクレイジーな 最近の例はこうしたものです 168 00:10:04,540 --> 00:10:07,602 ハイパー・インタラクション、繋がった脳 脳の書き込みと読み出し 169 00:10:07,962 --> 00:10:10,107 私たちが最近目にするプロジェクトの多くは 170 00:10:10,107 --> 00:10:13,354 脳から情報を取り出すことを 考え始めていて 171 00:10:13,754 --> 00:10:16,724 それは技術的にも 容易になりつつありますが 172 00:10:16,724 --> 00:10:18,489 その情報の解釈は難しいままで 173 00:10:18,489 --> 00:10:20,697 情報を脳に書き込む というのも難しいままです 174 00:10:20,747 --> 00:10:22,531 そうしたものの背後にあるビジョンは 175 00:10:22,531 --> 00:10:26,789 例えばセンサーやワイヤーも無く 直接脳同士が会話するようなもの 176 00:10:26,789 --> 00:10:30,115 言葉など何も必要とせず ケーブルを使うか 無線かもしれませんが 177 00:10:30,115 --> 00:10:32,176 私の思考が直接 あなたの頭に伝わるのです 178 00:10:32,176 --> 00:10:35,830 そうすれば 私はここに立って喋る必要が無く 皆さんは私が言いたいことがもう分かっています 179 00:10:35,830 --> 00:10:39,246 何故なら—シュッ—私たちの脳同士が コミュニケートするからです 180 00:10:40,064 --> 00:10:42,913 このプロジェクトでは 確固とした成果が生まれ 181 00:10:42,913 --> 00:10:46,248 権威ある学術誌に掲載されました 182 00:10:46,248 --> 00:10:51,753 こうした研究成果では 科学、技術、概念実証の共進化が起こります 183 00:10:51,753 --> 00:10:55,580 非常に単純な方法での実証によって 184 00:10:55,580 --> 00:10:58,770 非常に一般的な意味で 実現可能なのだと証明するのです 185 00:10:58,770 --> 00:11:03,523 それが我々のプロジェクト幾つかの 野心的なビジョンです 186 00:11:03,523 --> 00:11:08,058 人工生命 プロジェクト BIONは終了しましたが 187 00:11:08,058 --> 00:11:11,011 人工カタツムリを造ろうとしました 188 00:11:11,011 --> 00:11:15,784 「カタツムリのようなもの」 ではなくて 189 00:11:15,840 --> 00:11:19,149 ポリマーなどから成り立ち 190 00:11:19,149 --> 00:11:23,082 カタツムリのように動き 生きている存在です 191 00:11:23,082 --> 00:11:25,773 カタツムリが作れれば おそらく他のものも作れるでしょう 192 00:11:25,773 --> 00:11:27,267 そしてその先が続きます 193 00:11:27,267 --> 00:11:28,940 人工生命という考えでは 194 00:11:28,940 --> 00:11:32,220 比較的最近 確固とした結果が出ました 195 00:11:32,220 --> 00:11:35,448 小細胞などにおいて新たな技術が 出てきましたが 196 00:11:35,448 --> 00:11:40,504 それらを複雑なデバイスや 複雑な生物系で扱うのは 197 00:11:40,504 --> 00:11:43,561 かなり最近の最新技術です 198 00:11:44,134 --> 00:11:48,395 それから発展させたものに こうしたラベルを与えてみました 199 00:11:48,395 --> 00:11:53,196 「ハイブリッド・ネイチャー」、「Gaia++」 それに 植物から着想を得たもの 200 00:11:53,256 --> 00:11:55,726 これらは植物のように 振る舞うロボットです 201 00:11:55,726 --> 00:11:58,776 誰が植物がロボットになると 考えたりするでしょう? 202 00:11:59,186 --> 00:12:04,649 でもこれらは実際に稼働していて 進む方向や水を見つけたりします 203 00:12:04,649 --> 00:12:09,757 そして実は 植物に着想を得て アイデアを発展させた― 204 00:12:09,757 --> 00:12:12,772 プロジェクトが数多く それもバラバラに存在していました 205 00:12:12,772 --> 00:12:17,253 突如我々のプロジェクトとして 植物生物学が浮かび上がりました 206 00:12:17,253 --> 00:12:18,606 かつて見たこともないものです 207 00:12:18,856 --> 00:12:21,608 このように 世界では色々なことが起こり 208 00:12:21,608 --> 00:12:24,542 ある日突然こうしたビジョンが 結晶化し実現します 209 00:12:25,162 --> 00:12:28,324 それから私が 「偶然の事故」と呼ぶものですが 210 00:12:28,324 --> 00:12:32,388 ビジョンが消えたり融合したり あらゆることが起きます 211 00:12:32,388 --> 00:12:36,117 詳細まで解説しませんが 想像できますよね 212 00:12:36,117 --> 00:12:40,071 例えばコンピューターが 目に見えなくなっていくというビジョンは 213 00:12:40,071 --> 00:12:44,816 20年以上昔に生まれ 色々なかたちに派生して行きました 214 00:12:44,816 --> 00:12:47,989 今はモノのインターネット(IoT) と呼ばれるものへ進化し 215 00:12:47,989 --> 00:12:53,581 ヒネリや改良が加わり 統合され、分解され— 進化しています 216 00:12:54,131 --> 00:12:57,395 これ自体に大いに価値がある 大変興味深い事です 217 00:12:57,395 --> 00:13:03,026 こうしたビジョンを起想し、言語化し 分類し、表現する言葉を創造する— 218 00:13:03,026 --> 00:13:05,400 これらは大切なことです 219 00:13:05,400 --> 00:13:10,517 そうしなければビジョンについて ただ語ろうにも 220 00:13:10,987 --> 00:13:12,856 それらを表現する言葉もないからです 221 00:13:12,856 --> 00:13:16,739 モアも彼のビジョンを説明するために 英語に存在しない言葉の数々を 222 00:13:16,739 --> 00:13:19,517 発明しなければなりませんでしたから 223 00:13:19,517 --> 00:13:23,177 これは挑戦的な革新性を持つ 非常に興味深い作品でした 224 00:13:23,177 --> 00:13:27,445 学際的であること—こうしたビジョンに 単一の学問から生じたものはありません 225 00:13:27,445 --> 00:13:31,406 学際的な協同研究の黄金時代の始まりは これからだと思うのです 226 00:13:31,636 --> 00:13:35,682 学際領域で「収穫を待っている果実」は もうありません 227 00:13:35,682 --> 00:13:38,386 小さなインスピレーションや 新たな生物学の結果がチラホラ 228 00:13:38,386 --> 00:13:41,976 しかしこれから本当に深いコラボレーションが 起ころうとしています 229 00:13:41,976 --> 00:13:45,570 これらのビジョンは動的で 変化し 応用されるものです 230 00:13:45,570 --> 00:13:48,471 そして 最も重要なのは 刷新的な意味を持つということだと思います 231 00:13:48,471 --> 00:13:52,012 これはヨーロッパの我々が学ぶべき事です 232 00:13:52,012 --> 00:13:55,988 グーグルのような企業を考えてみると 核となる技術があり 233 00:13:56,281 --> 00:13:59,313 それが至る所に応用されています 234 00:13:59,313 --> 00:14:01,305 私は「刷新的イノベーション」 と呼びますが 235 00:14:01,305 --> 00:14:04,884 思いつきがあちこちに応用されて ある日偶然車ができた訳ではなくて 236 00:14:04,884 --> 00:14:06,895 —「ええっグーグルが自動車だって?」 237 00:14:06,895 --> 00:14:08,813 考えてみたら当然の成り行きです 238 00:14:08,813 --> 00:14:10,895 何故興味を持つのか? 何故彼らがやるのか? 239 00:14:10,895 --> 00:14:13,396 彼らはあらゆる研究に投資をしますが 240 00:14:13,396 --> 00:14:15,913 核となるテクノロジーがあります 241 00:14:15,913 --> 00:14:21,270 謂わば私自身のユートピアは これに着想を得ました 242 00:14:21,270 --> 00:14:25,996 私や欧州委員会の同僚たちなどが 取り組んでいるように 243 00:14:25,996 --> 00:14:29,483 ユートピア的ビジョンを持って 研究を進めるというのが 244 00:14:29,483 --> 00:14:30,543 私自身のユートピアです 245 00:14:30,543 --> 00:14:34,784 何故ならこうしたことを通じて パズルのピースを繋げることで 246 00:14:34,784 --> 00:14:38,329 数百あるいは数千のアイデアが生まれ 247 00:14:38,329 --> 00:14:41,276 可能性をこんにちの為に 結晶化できるからです 248 00:14:41,486 --> 00:14:46,524 そして 今はか細い パイプラインでしかないイノベーション― 249 00:14:46,524 --> 00:14:50,503 例えば製品化へ繋がるような 研究成果が少しだけ生み出される仕組みを 250 00:14:50,503 --> 00:14:55,299 もっと幅広い こんにち既に 未来の社会を形作りつつある 251 00:14:55,299 --> 00:14:59,202 こうしたビジョンで代替することが できるのです 252 00:14:59,202 --> 00:15:02,886 こうしたビジョンで代替することが できるのです 253 00:15:02,886 --> 00:15:06,925 これらがまさに 未来を創造するツールです 254 00:15:06,925 --> 00:15:09,292 それは私自身の夢でもあり 255 00:15:09,292 --> 00:15:13,119 それで私は今の仕事を 続けているのです 256 00:15:13,119 --> 00:15:16,023 ありがとうございました この辺りで終わります そろそろ 257 00:15:16,023 --> 00:15:19,009 トマス・モアに返事をして 彼の考えを聞かないといけないので 258 00:15:19,009 --> 00:15:22,238 (拍手)