人の集まりを想像してみてください 何人いれば 誕生日が同じ人がいる確率が 50%を超えると思いますか? ここでは 双子はおらず どの誕生日の確率も同じで 閏年は無視することにします しばらく考えてみてください 答えを聞くと驚くほどに 小さな数字に思えるかもしれませんが 23人のグループなら 同じ誕生日の人が2人いる確率は 50.73%です 1年には365日もあるのに 誕生日が重なる確率が50%となるのが なぜ こんなに少ない人数に なり得るのでしょうか? なぜ こんなにも 直感が外れたのでしょうか? この答えを理解するために 誕生日が一致する確率を 数学者が計算する方法を見てみましょう 様々な組合せの起こり易さを 計算する― 数学の一分野である 組合せ理論を用います まず最初に問題を 逆の見方で考えてみます 誕生日が一致する確率を 直接計算するのはとても困難です なぜなら集団の中で誕生日が一致する パターンは非常に多くあるからです 代わりに全員の誕生日が異なる確率を 求める方が簡単です なぜ その方が良いのでしょうか? グループの中で 誕生日が一致する人がいる確率と 誰も一致しない確率を足すと 100%になります つまり 100から 一致しない確率を引けば 一致する確率が分かるわけです まず少ない数で 一致しない確率を計算しましょう 2人の誕生日が異なる確率を 計算します 1年のある1日が Aさんの誕生日だとすると Bさんの誕生日は 364通りしかありません 2人の誕生日が異なる確率は 365分の364で 約0.997 つまり99.7%と とても高いですね Cさんを加えてみましょう この小さなグループで 彼女の誕生日が異なる可能性は 365分の363です それは 既にAとBの誕生日が 決まっているからです Dの確率は365分の362になります 続けていくと23人目のWの確率は 365分の343になります これらの数字をすべて掛けていけば 全員の誕生日が異なる確率が 計算できます 0.4927となるので 23人の誕生日が全て異なる可能性は 49.27%です それを100から引くと 少なくとも1組が 同じ誕生日である確率は 50.73%になり 五分五分を超えています 比較的少ない人数なのに 確率が高くなるのは 実は考え得るペアの数が 非常に多いからです グル-プが大きくなるにつれて 可能な組合せは急速に増加し 5人のグループでは 10ペアが可能です 5人にはそれぞれ 他の4人とのペアが考えられます AとB、BとAのペアは 同じものであり ペアの半分が 重複しているため 2で割ります 同じ理由により 10人のグループでは 45ペア 23人の場合は 253ペアになります このペア数は人数の2乗に比例する 二次関数的に増加していきます あいにく人の脳は非線形関数を 直感的に把握するのが とても苦手なので 23人いれば253通りものペアが可能だとは 思いつかないのです これを受け入れれば誕生日の問題は 理にかなっていると思えるでしょう 253組の どのペアにおいても 2人の誕生日が同じになる可能性があります 同様に70人のグループだと 2,415ペアが考えられ 同じ誕生日の人が2人いる確率は 99.9%以上になります この誕生日の問題は 同じ人が2度宝くじに当たるといった 一見不可能に思えることが 実は全く起こり得ないことではないことを 数学が示す一例にすぎません 一見 偶然に見えることが 実は偶然ではないこともあるのです