1 00:00:10,048 --> 00:00:11,933 人の集まりを想像してみてください 2 00:00:11,933 --> 00:00:14,304 何人いれば 3 00:00:14,304 --> 00:00:18,778 誕生日が同じ人がいる確率が 4 00:00:18,778 --> 00:00:21,218 50%を超えると思いますか? 5 00:00:21,218 --> 00:00:24,187 ここでは 双子はおらず 6 00:00:24,187 --> 00:00:26,748 どの誕生日の確率も同じで 7 00:00:26,748 --> 00:00:29,977 閏年は無視することにします 8 00:00:29,977 --> 00:00:33,049 しばらく考えてみてください 9 00:00:33,049 --> 00:00:35,908 答えを聞くと驚くほどに 小さな数字に思えるかもしれませんが 10 00:00:35,908 --> 00:00:37,708 23人のグループなら 11 00:00:37,708 --> 00:00:44,669 同じ誕生日の人が2人いる確率は 50.73%です 12 00:00:44,669 --> 00:00:47,239 1年には365日もあるのに 13 00:00:47,239 --> 00:00:50,489 誕生日が重なる確率が50%となるのが 14 00:00:50,489 --> 00:00:53,700 なぜ こんなに少ない人数に なり得るのでしょうか? 15 00:00:53,700 --> 00:00:58,156 なぜ こんなにも 直感が外れたのでしょうか? 16 00:00:58,156 --> 00:00:59,498 この答えを理解するために 17 00:00:59,498 --> 00:01:01,389 誕生日が一致する確率を 18 00:01:01,389 --> 00:01:05,218 数学者が計算する方法を見てみましょう 19 00:01:05,218 --> 00:01:09,110 様々な組合せの起こり易さを 計算する― 20 00:01:09,110 --> 00:01:14,419 数学の一分野である 組合せ理論を用います 21 00:01:14,419 --> 00:01:16,950 まず最初に問題を 逆の見方で考えてみます 22 00:01:16,950 --> 00:01:21,330 誕生日が一致する確率を 直接計算するのはとても困難です 23 00:01:21,330 --> 00:01:25,229 なぜなら集団の中で誕生日が一致する パターンは非常に多くあるからです 24 00:01:25,229 --> 00:01:31,389 代わりに全員の誕生日が異なる確率を 求める方が簡単です 25 00:01:31,389 --> 00:01:32,820 なぜ その方が良いのでしょうか? 26 00:01:32,820 --> 00:01:35,741 グループの中で 誕生日が一致する人がいる確率と 27 00:01:35,741 --> 00:01:38,461 誰も一致しない確率を足すと 28 00:01:38,461 --> 00:01:41,860 100%になります 29 00:01:41,860 --> 00:01:44,271 つまり 100から 一致しない確率を引けば 30 00:01:44,271 --> 00:01:50,381 一致する確率が分かるわけです 31 00:01:50,381 --> 00:01:53,806 まず少ない数で 一致しない確率を計算しましょう 32 00:01:53,806 --> 00:01:58,281 2人の誕生日が異なる確率を 計算します 33 00:01:58,281 --> 00:02:00,632 1年のある1日が Aさんの誕生日だとすると 34 00:02:00,632 --> 00:02:06,022 Bさんの誕生日は 364通りしかありません 35 00:02:06,022 --> 00:02:10,592 2人の誕生日が異なる確率は 36 00:02:10,592 --> 00:02:14,412 365分の364で 37 00:02:14,412 --> 00:02:20,514 約0.997 つまり99.7%と とても高いですね 38 00:02:20,514 --> 00:02:22,562 Cさんを加えてみましょう 39 00:02:22,562 --> 00:02:25,793 この小さなグループで 彼女の誕生日が異なる可能性は 40 00:02:25,793 --> 00:02:29,532 365分の363です 41 00:02:29,532 --> 00:02:33,964 それは 既にAとBの誕生日が 決まっているからです 42 00:02:33,964 --> 00:02:38,582 Dの確率は365分の362になります 43 00:02:38,582 --> 00:02:44,474 続けていくと23人目のWの確率は 365分の343になります 44 00:02:44,474 --> 00:02:46,385 これらの数字をすべて掛けていけば 45 00:02:46,385 --> 00:02:50,942 全員の誕生日が異なる確率が 計算できます 46 00:02:50,942 --> 00:02:54,064 0.4927となるので 47 00:02:54,064 --> 00:03:01,362 23人の誕生日が全て異なる可能性は 49.27%です 48 00:03:01,362 --> 00:03:05,955 それを100から引くと 49 00:03:05,955 --> 00:03:08,701 少なくとも1組が 同じ誕生日である確率は 50 00:03:08,701 --> 00:03:11,955 50.73%になり 五分五分を超えています 51 00:03:11,955 --> 00:03:16,144 比較的少ない人数なのに 確率が高くなるのは 52 00:03:16,144 --> 00:03:20,325 実は考え得るペアの数が 非常に多いからです 53 00:03:20,325 --> 00:03:26,017 グル-プが大きくなるにつれて 可能な組合せは急速に増加し 54 00:03:26,017 --> 00:03:29,196 5人のグループでは 10ペアが可能です 55 00:03:29,196 --> 00:03:32,905 5人にはそれぞれ 他の4人とのペアが考えられます 56 00:03:32,905 --> 00:03:34,835 AとB、BとAのペアは 同じものであり 57 00:03:34,835 --> 00:03:39,615 ペアの半分が 重複しているため 58 00:03:39,615 --> 00:03:41,685 2で割ります 59 00:03:41,685 --> 00:03:43,045 同じ理由により 60 00:03:43,045 --> 00:03:45,836 10人のグループでは 45ペア 61 00:03:45,836 --> 00:03:49,835 23人の場合は 253ペアになります 62 00:03:49,835 --> 00:03:52,905 このペア数は人数の2乗に比例する 63 00:03:52,905 --> 00:03:57,665 二次関数的に増加していきます 64 00:03:57,665 --> 00:04:00,966 あいにく人の脳は非線形関数を 65 00:04:00,966 --> 00:04:04,447 直感的に把握するのが とても苦手なので 66 00:04:04,447 --> 00:04:11,235 23人いれば253通りものペアが可能だとは 思いつかないのです 67 00:04:11,235 --> 00:04:15,267 これを受け入れれば誕生日の問題は 理にかなっていると思えるでしょう 68 00:04:15,267 --> 00:04:20,135 253組の どのペアにおいても 2人の誕生日が同じになる可能性があります 69 00:04:20,135 --> 00:04:22,897 同様に70人のグループだと 70 00:04:22,897 --> 00:04:26,616 2,415ペアが考えられ 71 00:04:26,616 --> 00:04:33,337 同じ誕生日の人が2人いる確率は 99.9%以上になります 72 00:04:33,337 --> 00:04:36,707 この誕生日の問題は 同じ人が2度宝くじに当たるといった 73 00:04:36,707 --> 00:04:38,917 一見不可能に思えることが 74 00:04:38,917 --> 00:04:41,410 実は全く起こり得ないことではないことを 75 00:04:41,410 --> 00:04:44,551 数学が示す一例にすぎません 76 00:04:44,551 --> 00:04:48,868 一見 偶然に見えることが 実は偶然ではないこともあるのです