0:00:01.080,0:00:03.576
私が息子の声を最後に聞いたのは

0:00:03.600,0:00:05.936
息子が学校へ向かうため

0:00:05.960,0:00:07.240
玄関を出た時でした

0:00:08.480,0:00:10.680
暗闇の中で たった一言[br]こう叫びました

0:00:11.320,0:00:12.520
「行ってきます」

0:00:13.000,0:00:16.000
1999年4月20日のことでした

0:00:16.880,0:00:19.936
その日の昼前[br]コロンバイン高校で

0:00:19.960,0:00:22.896
息子ディランと友達のエリックは

0:00:22.920,0:00:25.240
生徒12人と先生１人を射殺し

0:00:26.280,0:00:29.960
他20人以上を負傷させた後[br]自らの命を絶ちました

0:00:31.160,0:00:34.216
13人の罪のない人々が殺され

0:00:34.240,0:00:37.440
彼らの大切な人たちを 深い悲しみと[br]トラウマに突き落としました

0:00:38.320,0:00:40.176
ケガを負った人々の中には

0:00:40.200,0:00:44.240
外見を損ない[br]永久的な障害を抱えた人もいます

0:00:45.840,0:00:47.656
しかし この惨事の非道さは

0:00:47.680,0:00:51.800
死者や負傷者の数だけで[br]測れるものではありません

0:00:52.720,0:00:56.136
あの日 学校にいた人々や

0:00:56.160,0:00:58.096
救出や後始末に携わった人々の

0:00:58.120,0:01:02.040
精神的ダメージを[br]数値化する術はないのです

0:01:02.280,0:01:05.920
コロンバインのような悲劇の影響は[br]算定できません

0:01:06.020,0:01:08.936
特に 事件が青写真となることで[br]他の銃撃犯が

0:01:08.960,0:01:12.400
残虐な事件を起こす可能性が[br]あるからです

0:01:13.600,0:01:15.440
コロンバイン事件という津波の

0:01:16.200,0:01:17.506
衝撃が収まった後も

0:01:17.506,0:01:21.416
コミュニティーや社会が[br]受けた影響を把握するのには

0:01:21.440,0:01:23.160
長い歳月がかかります

0:01:24.720,0:01:28.840
私も息子の罪の遺産を[br]受け入れるのに何年もかかりました

0:01:29.760,0:01:32.896
彼の最期の象徴となってしまった[br]あの残忍な行動は

0:01:32.920,0:01:36.480
私が知っていた息子の姿とは[br]全く違うものでした

0:01:37.600,0:01:39.976
事件後 周りから聞かれました

0:01:40.000,0:01:41.760
「知らなかったなんて[br]あり得るかしら？」

0:01:42.560,0:01:44.120
「母親として何やってたの？」

0:01:45.240,0:01:47.880
同じ疑問を私は今も[br]自分に問いかけています

0:01:49.080,0:01:51.960
銃撃事件の前は 自分のことを[br]良い母親だと思っていました

0:01:52.760,0:01:55.216
我が子が[br]健全で 思いやりと責任感のある

0:01:55.240,0:01:57.576
大人になるための[br]手助けをすることが

0:01:57.600,0:02:01.080
自分の人生で[br]一番重要な役割でした

0:02:01.760,0:02:05.080
でも あの悲劇が起き[br]私は親として失格だと確信しました

0:02:05.840,0:02:09.560
この挫折感が１つの要因となり[br]本日この場に立っています

0:02:11.240,0:02:12.496
父親を別にすれば

0:02:12.520,0:02:16.080
ディランを最も理解し[br]愛していたのは この私です

0:02:16.800,0:02:19.056
あの惨事の前兆に気づく人間が[br]いたとしたら

0:02:19.080,0:02:20.800
私しかいませんよね？

0:02:22.000,0:02:23.200
でも気づきませんでした

0:02:24.230,0:02:27.166
本日 私は[br]傷害や殺人を犯す人間の母親として

0:02:27.360,0:02:31.080
経験したことをお伝えしに来ました

0:02:32.200,0:02:36.056
あの悲劇の後 何年もかけ[br]じっくりと記憶をたどりました

0:02:36.080,0:02:39.680
親として どこで失敗したのか[br]はっきりさせようとしたのです

0:02:40.280,0:02:43.016
でも答えは簡単ではありません

0:02:43.040,0:02:44.960
解決策の提案など できません

0:02:45.520,0:02:46.720
唯一 私にできるのは

0:02:47.760,0:02:50.120
自分の学んだことを[br]皆さんにお話しすることです

0:02:51.440,0:02:55.056
事件前の私を知らない人と話す時[br]私は

0:02:55.080,0:02:56.880
３つの課題に直面します

0:02:57.640,0:03:00.840
１つめは このような会場に入ると[br]その中に

0:03:01.480,0:03:05.056
息子が犯した罪のために[br]どなたかを亡くした人が

0:03:05.080,0:03:06.800
いるかもしれないことです

0:03:08.080,0:03:12.216
家族の者のせいで生じた苦悩を[br]加害者本人に代わって

0:03:12.240,0:03:14.440
受け止める必要が[br]私にはあると感じます

0:03:15.080,0:03:17.640
ですので まずは[br]心の底からお詫びします

0:03:18.320,0:03:21.560
息子のせいで苦痛を抱える皆さん[br]申し訳ありません

0:03:23.640,0:03:25.400
２つめの課題は

0:03:26.040,0:03:29.760
息子の死因である自殺について[br]お話しすることで 皆さんに

0:03:30.560,0:03:33.800
ご理解ばかりか同情までも[br]求めざるを得ないことです

0:03:34.480,0:03:36.616
亡くなる２年前[br]息子は

0:03:36.640,0:03:38.856
自傷行為をおこなっていると

0:03:38.880,0:03:40.440
ノートに書いていました

0:03:41.200,0:03:42.816
苦しみの中で[br]命を絶つために

0:03:42.840,0:03:45.480
銃がほしいと[br]書いていたのです

0:03:46.160,0:03:49.920
亡くなって何ヶ月も経ってから[br]初めて知りました

0:03:50.720,0:03:54.136
息子の死因が自殺だからといって

0:03:54.160,0:03:58.200
彼が死の直前に見せた凶悪性を[br]軽んじるつもりはありません

0:03:58.840,0:04:00.816
私は[br]彼の自殺したいという考えが

0:04:00.840,0:04:02.936
殺人へと進んだ過程を

0:04:02.960,0:04:04.930
理解したいのです

0:04:05.080,0:04:08.296
あれこれ読みあさり[br]専門家と話をした結果

0:04:08.320,0:04:10.986
こう信じるようになりました

0:04:10.986,0:04:14.720
息子が銃撃事件を起こした根本にあったのは[br]人を殺す願望ではなく

0:04:15.480,0:04:17.930
彼自身の死の願望だったのです

0:04:18.320,0:04:23.616
息子の殺人と自殺を語る上での[br]３つめの課題は

0:04:23.640,0:04:26.560
これがメンタルヘルスの話だ[br]ということです

0:04:27.680,0:04:28.896
失礼―

0:04:28.920,0:04:31.536
心の健康状態の話なのですが

0:04:31.560,0:04:35.736
私はより明確に「脳の健康状態」と[br]呼ぶ方が良いと思っています

0:04:35.760,0:04:39.496
同時に これは暴力の話です

0:04:39.520,0:04:43.096
ただでさえ多い[br]精神病に対する誤解を

0:04:43.120,0:04:46.336
さらに深めることだけは[br]したくありません

0:04:46.360,0:04:51.136
精神病に悩む人のうち[br]他人に暴力を振るう人の割合は

0:04:51.160,0:04:53.400
ごくわずかしか ありません

0:04:54.800,0:04:57.936
しかし自殺で亡くなる人の

0:04:57.960,0:05:02.176
約75パーセントから[br]90パーセント以上は

0:05:02.200,0:05:05.600
なんらかの診断可能な精神病を[br]患っています

0:05:06.680,0:05:07.936
よくご存じのとおり

0:05:07.960,0:05:11.640
心のケアにおける既存のシステムは[br]皆を救うように整ってはおらず

0:05:12.000,0:05:14.496
破壊的な思考を持つ人が[br]もれなく

0:05:14.520,0:05:16.256
ある特定の診断基準に

0:05:16.280,0:05:18.440
該当するわけでは[br]ありません

0:05:19.200,0:05:22.196
恐怖、怒り、失望感を[br]常に感じながら

0:05:22.230,0:05:24.976
診断も治療も受けていない人が

0:05:25.000,0:05:27.560
大勢いるのです

0:05:27.640,0:05:32.280
患者の行動が危機に達して初めて[br]注目されるという場合がほとんどです

0:05:33.400,0:05:35.456
自殺の約１～２パーセントが

0:05:35.480,0:05:38.416
殺人に絡んでいるという

0:05:38.440,0:05:40.520
推定が正しいとすると

0:05:42.080,0:05:46.000
一部で実際そうなってきているように[br]自殺率が上昇すれば

0:05:46.720,0:05:49.400
自殺者の殺人率も上がります

0:05:50.520,0:05:56.016
私は死の直前にディランが[br]考えていたことを理解したくて

0:05:56.040,0:05:59.760
近しい人を自殺で亡くした人たちに[br]その答えを求めました

0:06:01.640,0:06:06.176
調査をしたり 資金調達イベントの[br]ボランティアをしたりしました

0:06:06.200,0:06:07.976
そして 可能な限り

0:06:08.000,0:06:12.496
自殺危機 あるいは自殺未遂の[br]生存者と

0:06:12.520,0:06:14.430
話をしました

0:06:14.840,0:06:17.056
その中で もっとも参考になった[br]１つが

0:06:17.080,0:06:18.536
ある同僚との会話でした

0:06:18.560,0:06:20.835
彼女は私が職場の個室ブースで[br]別の人と話していたのを

0:06:20.835,0:06:22.569
たまたま耳にしました

0:06:22.760,0:06:26.176
「ディランは[br]私を愛していなかったからこそ

0:06:26.200,0:06:29.760
あんなに悲惨な行動ができた」という[br]私の言葉を聞いた彼女は

0:06:30.000,0:06:31.800
後で 私が１人でいるところへ来て

0:06:32.760,0:06:35.216
会話を耳にしたことを詫びながら

0:06:35.240,0:06:36.800
私の間違いを指摘しました

0:06:37.880,0:06:40.496
彼女は若い頃[br]シングルマザーとして

0:06:40.520,0:06:41.960
幼い子３人を育てていた時に

0:06:42.600,0:06:47.240
重いうつ病にかかり[br]身の安全を考慮して入院したそうです

0:06:48.000,0:06:50.296
その頃 彼女は[br]「自分が死ねば

0:06:50.320,0:06:53.576
子供達はもっと幸せになれる」[br]と確信し

0:06:53.600,0:06:55.840
自ら命を絶つ計画を立てました

0:06:56.880,0:07:00.936
彼女は きっぱり言いました[br]「母親の愛情はこの世で一番強い絆で

0:07:00.960,0:07:04.000
私は子供達を世界中の何よりも[br]愛していた」と

0:07:04.640,0:07:06.856
それでも彼女は[br]病気のせいで

0:07:06.880,0:07:10.490
自分がいない方が子供達は幸福になれると[br]思い込んでいたのです

0:07:11.680,0:07:14.146
彼女の話や[br]他の人から私が学んだのは

0:07:14.356,0:07:18.816
自殺で死ぬという

0:07:18.840,0:07:20.416
いわゆる決心や選択は

0:07:20.440,0:07:23.296
どんな車を運転しようとか[br]土曜日の夜どこへ行こうとか

0:07:23.320,0:07:25.440
そういう選択と同じではない[br]ということです

0:07:26.360,0:07:29.456
極端な自滅的状態に陥った人[br]というのは

0:07:29.480,0:07:34.000
救急医療でいう[br]ステージ４の状態と同じです

0:07:34.680,0:07:39.160
思考が妨げられ[br]自分で自分を管理する術を失います

0:07:40.320,0:07:43.496
計画を立て論理的に行動することが[br]できたとしても

0:07:43.520,0:07:47.456
苦痛というフィルターを通して[br]自分なりに現実を解釈するため

0:07:47.480,0:07:50.080
彼らの「真実」の感覚は[br]ゆがんでしまうのです

0:07:50.880,0:07:54.536
このような状態にいることを[br]上手に隠せる人もいます

0:07:54.560,0:07:56.920
往々にして[br]隠すだけの理由を抱えています

0:07:58.840,0:08:02.016
ふと自殺を考えるというのは[br]いくらでも ありますが

0:08:02.040,0:08:05.536
長く絶え間ない自殺念慮や

0:08:05.560,0:08:07.776
死ぬ手段を考えるというのは

0:08:07.800,0:08:10.136
病理学的な症状の表れであり

0:08:10.160,0:08:12.056
多くの病気と同じように

0:08:12.080,0:08:13.900
命を落とす前に[br]状態を認識し

0:08:14.680,0:08:17.040
治療する必要があります

0:08:18.600,0:08:21.440
しかし 息子の死は[br]単なる自殺ではありません

0:08:22.200,0:08:23.960
集団殺人を伴っていました

0:08:25.080,0:08:30.960
私は彼の自殺念慮が殺人へと[br]変わっていった過程が知りたかったのです

0:08:31.920,0:08:35.080
しかし研究は少なく[br]簡単に答えが出るわけでもありません

0:08:36.240,0:08:39.159
確かに彼は継続的なうつ病を[br]患っていたのでしょう

0:08:40.679,0:08:46.240
彼の完璧主義で[br]何でも自分で決めたがる性格が

0:08:47.120,0:08:50.880
まわりに助けを求めにくく[br]していました

0:08:51.880,0:08:55.336
学校で 何度か[br]事件の引き金になるような体験をし

0:08:55.360,0:09:00.760
その結果 自尊心が傷つけられ[br]屈辱と怒りを感じていました

0:09:02.160,0:09:05.416
また ある男の子と[br]複雑な交友関係にありました

0:09:05.440,0:09:09.776
激しい怒りや孤立感を[br]共有する間柄だったのですが

0:09:09.800,0:09:12.896
その子は重度の精神障害を持ち

0:09:12.920,0:09:15.410
支配的で[br]殺人的な傾向を表していました

0:09:16.280,0:09:19.136
このような極度に傷つきやすく

0:09:19.160,0:09:22.320
不安定な時期に[br]ディランは

0:09:23.280,0:09:25.656
銃を入手する方法を[br]見つけたのです

0:09:25.680,0:09:27.840
我が家では一切[br]所持していませんでした

0:09:28.800,0:09:34.016
17歳の少年が 合法であれ非合法であれ[br]親の許可どころか 親の知らないうちに

0:09:34.040,0:09:38.680
ゾッとするほど簡単に[br]銃を購入できたのです

0:09:39.880,0:09:44.400
それから17年が経ち[br]多くの学校で乱射事件が起きたのに

0:09:45.080,0:09:46.880
なぜか今でも恐ろしいほど簡単です

0:09:49.160,0:09:51.880
あの日のディランの行為は[br]私の心を引き裂きました

0:09:53.240,0:09:55.096
ご多分に漏れず[br]トラウマが

0:09:55.120,0:09:58.080
私の体と心を襲いました

0:09:59.360,0:10:01.800
乱射事件の２年後[br]私は乳がんになり

0:10:03.200,0:10:06.560
さらに２年後[br]精神病を患うようになりました

0:10:08.480,0:10:11.896
絶え間なく襲ってくる[br]果てしない悲痛に加え

0:10:11.920,0:10:15.496
私はおびえていました[br]ディランに殺された相手の

0:10:15.520,0:10:17.576
ご家族に遭遇するのではないか

0:10:17.600,0:10:19.976
マスコミに追われたり[br]一般の人から

0:10:20.000,0:10:21.480
お叱りを受けるのではないかと

0:10:22.920,0:10:25.496
ニュースを見るのが怖くなり

0:10:25.520,0:10:30.480
「最悪の親」「最低の人間」と[br]呼ばれることを恐れました

0:10:33.320,0:10:35.360
私はパニック障害を発症しました

0:10:37.240,0:10:41.416
初めて発作が起きたのは[br]事件の４年後

0:10:41.440,0:10:43.976
証言録取で尋問を受けるための[br]準備中で

0:10:44.000,0:10:46.800
犠牲者の家族と初対面する[br]という時期でした

0:10:47.600,0:10:50.976
次の発作は事件の６年後

0:10:51.000,0:10:54.456
ある会議に出席して[br]初めて公の場で 自殺者の殺人について

0:10:54.480,0:10:56.480
話をする準備中でした

0:10:57.520,0:10:59.920
２回とも症状は数週間に及びました

0:11:02.160,0:11:04.296
発作は場所を選びませんでした

0:11:04.320,0:11:07.616
ホームセンターでも[br]職場でも

0:11:07.640,0:11:09.680
ベッドで本を読んでいる時でさえ[br]起きました

0:11:10.600,0:11:15.656
突然 頭が恐怖の渦に巻き込まれ

0:11:15.680,0:11:17.776
どんなに頑張って

0:11:17.800,0:11:21.856
自分を落ち着かせようとし[br]そこから抜け出す方法を考えても

0:11:21.880,0:11:23.160
どうにもなりませんでした

0:11:24.440,0:11:27.000
私は自分の脳に[br]殺されるような錯覚に陥り

0:11:27.920,0:11:30.496
さらに 恐怖の感覚を恐れることで

0:11:30.520,0:11:32.320
私の思考は[br]すっかり消耗していました

0:11:33.200,0:11:35.096
頭が正常に機能しない状態とは[br]どんな感じか

0:11:35.120,0:11:37.560
私はその時 初めて知り

0:11:38.640,0:11:42.120
本気で脳の健康を訴える活動を[br]始めたのです

0:11:43.760,0:11:46.736
心理療法、投薬治療[br]セルフケアにより

0:11:46.760,0:11:48.576
周りの状況はさておき

0:11:48.600,0:11:52.080
どうにか正常といえる生活に[br]戻りました

0:11:53.240,0:11:55.296
一連の出来事を振り返って[br]わかったのですが

0:11:55.320,0:11:58.880
息子が機能不全に[br]陥っていくまでには

0:11:59.680,0:12:03.176
約２年という時間が[br]かかっていたようです

0:12:03.200,0:12:05.360
助けてやるのに[br]十分な時間があったわけですが

0:12:06.280,0:12:09.296
それも誰かが その必要性を察知し[br]助ける手段を

0:12:09.320,0:12:10.640
知っていればの話です

0:12:15.680,0:12:18.256
「なぜ気づかなかったの」と

0:12:18.280,0:12:20.736
誰かに聞かれるたび

0:12:20.760,0:12:23.640
みぞおちを殴られたような[br]感じがします

0:12:23.840,0:12:28.376
そこには非難のニュアンスがあり[br]どんなにセラピーを受けても

0:12:28.400,0:12:30.896
完全に払拭することのできない

0:12:30.920,0:12:32.840
私の罪悪感を引き出します

0:12:33.880,0:12:35.500
でも 私は学びました

0:12:36.720,0:12:38.576
もし愛情を注ぐだけで

0:12:38.600,0:12:40.736
自殺念慮を持つ人が[br]自らに苦痛を加えることを

0:12:40.760,0:12:42.200
阻止できるのだとしたら

0:12:43.000,0:12:45.200
自殺は ほとんど[br]なくなるはずです

0:12:46.320,0:12:48.120
愛情だけでは足りません

0:12:49.240,0:12:51.000
自殺は蔓延しています

0:12:51.680,0:12:54.496
10歳から34歳の主な死因の中で

0:12:54.520,0:12:56.720
２番目に多いものです

0:12:57.640,0:13:00.296
アメリカの若者の15％が

0:13:00.320,0:13:03.056
過去１年間のうちに[br]自殺の計画を

0:13:03.080,0:13:05.380
立てたことがあると[br]回答しています

0:13:06.160,0:13:10.280
私が学んだのは[br]どんなに可能と信じたくても

0:13:11.000,0:13:13.816
愛する人の考えや想いの[br]すべてを知り

0:13:13.840,0:13:15.800
コントロールするのは[br]不可能だということです

0:13:16.760,0:13:19.880
そして[br]「自分たちは他と違うんだ」とか

0:13:20.560,0:13:23.976
「自分の愛する人が 自らや他人に[br]危害を加えるなんて あり得ない」という

0:13:24.000,0:13:25.200
頑固な信念のせいで

0:13:26.080,0:13:28.096
私たちは目の前に潜む事実を

0:13:28.120,0:13:29.920
見落としてしまう[br]ということです

0:13:31.840,0:13:35.280
そして[br]最悪のシナリオが現実となっても

0:13:36.520,0:13:40.416
事実を知らず[br]適切な問いかけができず

0:13:40.440,0:13:43.136
適切な治療を探そうとしなかった[br]自分を

0:13:43.160,0:13:45.880
許すことを覚えなくてはいけません

0:13:47.240,0:13:48.496
「自分の愛する人は今

0:13:48.520,0:13:51.160
苦しんでいるかもしれない」と[br]常に考えるべきです

0:13:51.880,0:13:54.496
本人が何を言おうと

0:13:54.520,0:13:56.660
どんな行動をとろうと[br]関係ありません

0:13:56.720,0:13:58.840
彼らの叫びを全身で感じ

0:13:59.800,0:14:01.000
自分の意見を押しつけず

0:14:01.680,0:14:03.800
解決策の提案もせずに[br]耳を傾けるのです

0:14:07.360,0:14:10.576
私は残りの人生を[br]この悲劇と―

0:14:10.600,0:14:12.536
この折り重なる悲劇と

0:14:12.560,0:14:14.120
共に生きていきます

0:14:15.320,0:14:17.320
大勢の方の心中をお察しすれば[br]

0:14:21.080,0:14:24.840
ご遺族が失ったものと[br]私が失ったものは比較になりません

0:14:26.240,0:14:28.840
私が葛藤しても[br]ご遺族の苦しみは和らぎません

0:14:31.000,0:14:36.376
私に苦しむ権利はなく[br]一生をかけて償うより他にないと

0:14:36.400,0:14:40.670
思う人さえいることも[br]承知しています

0:14:41.800,0:14:44.480
私にわかっていることは[br]次のように集約できます

0:14:45.320,0:14:50.436
痛ましいほど残念ですが[br]どんなに慎重で責任感の強い人でも

0:14:51.130,0:14:53.440
事実 助けられない場合があるのです

0:14:54.840,0:14:57.016
でも愛情があるのなら

0:14:57.040,0:14:59.216
知り得ないことを[br]知ろうとする努力を

0:14:59.240,0:15:00.720
絶対に止めてはいけません

0:15:01.560,0:15:02.776
ありがとうございました

0:15:02.800,0:15:04.960
（拍手）