WEBVTT 00:00:16.027 --> 00:00:19.295 まず聞いてみたいと思います 00:00:19.295 --> 00:00:21.502 皆さんの中で 自信を持って 00:00:21.562 --> 00:00:23.843 自分はリーダーだと言える人は? 00:00:24.666 --> 00:00:27.166 私はこの質問を カナダ中でしてきましたが 00:00:27.166 --> 00:00:28.792 どこで聞いても 00:00:28.792 --> 00:00:30.713 いつも 観客の中の大部分の人が 00:00:30.713 --> 00:00:32.259 手を挙げません 00:00:32.259 --> 00:00:34.773 それで私は気付きました 私たちはリーダーシップを 00:00:34.773 --> 00:00:36.252 自分より大きなものと考えています 00:00:36.252 --> 00:00:37.245 自分たちを超えたもの 00:00:37.245 --> 00:00:39.130 世界を変えるようなこととして 00:00:39.130 --> 00:00:42.483 「リーダー」という肩書は いつの日かそう呼ばれるように 00:00:42.483 --> 00:00:44.401 なりたいとは思うけれど 00:00:44.401 --> 00:00:46.262 今すでにそうなっていると言うのは 00:00:46.262 --> 00:00:49.022 傲慢さや自信過剰にも感じられて はばかられるものです 00:00:49.022 --> 00:00:51.955 私が時々心配するのは ほとんど誰も出来ないような 00:00:51.955 --> 00:00:54.499 素晴らしいことを 誉めたたえるあまり 00:00:54.499 --> 00:00:55.973 私たちは そういったことだけが 00:00:55.973 --> 00:00:57.932 称賛に値する と思い込むようになったことです 00:00:57.932 --> 00:01:00.660 そして 私たちは日常的に出来ることを 十分に評価しなくなり 00:01:00.660 --> 00:01:02.995 自分が本当にリーダーとして 行動しているような時でも 00:01:02.995 --> 00:01:04.569 自分を誉めたり 00:01:04.569 --> 00:01:06.368 良い気持ちになったり しません 00:01:06.398 --> 00:01:08.567 私は幸運にも これまで10年以上にわたり 00:01:08.567 --> 00:01:10.586 出会った 素晴らしい人たちのおかげで 00:01:10.606 --> 00:01:12.846 リーダーシップの意味することを考え直し 00:01:12.866 --> 00:01:14.692 私自身 より幸せになったと思います 00:01:14.692 --> 00:01:16.289 今日はみなさんに その新しい定義に 00:01:16.289 --> 00:01:19.599 おそらく一番影響した ひとつの出来事を お話ししたいと思います 00:01:19.599 --> 00:01:21.907 私は ニューブランズウィック州 サックビル市 にある 00:01:21.907 --> 00:01:24.169 マウントアリソン という 小さな大学に 通いました。 00:01:24.169 --> 00:01:26.712 大学での最後の日 ひとりの女性が 私のところに来て言いました 00:01:26.722 --> 00:01:29.163 「私は 最初にあなたに会った日を覚えています」と 00:01:29.163 --> 00:01:32.470 そして 彼女は4年前のことを 話してくれました 00:01:32.470 --> 00:01:34.863 「大学生活が始まる前日 00:01:34.863 --> 00:01:36.911 私は 母と父と一緒に ホテルにいたんだけど 00:01:36.911 --> 00:01:39.762 私は本当に怖くて 私には無理だ 00:01:39.762 --> 00:01:42.593 私はまだ大学には行けない って確信して しまいには 泣き出しました 00:01:42.593 --> 00:01:44.646 両親は温かく こう言ってくれました 00:01:44.646 --> 00:01:47.254 『怖い気持ちは よく分かるけど とにかく 明日行ってみよう 00:01:47.254 --> 00:01:50.405 初日に行ってみて もしあなたが 出来ないと思ったら 00:01:50.405 --> 00:01:52.640 それでいいから 教えてね そしたら一緒に帰ろう』 00:01:52.640 --> 00:01:54.526 『何があっても あなたを愛しているから』 00:01:54.526 --> 00:01:56.129 私は次の日 大学に行って 00:01:56.129 --> 00:01:57.503 学生登録の列に 並んで 00:01:57.503 --> 00:01:59.700 周りを見回して これは無理だ 00:01:59.700 --> 00:02:02.581 わたしにはまだ出来ない 辞めよう と心に決めました 00:02:02.581 --> 00:02:04.308 私は その決心をしたとたんに 00:02:04.308 --> 00:02:06.692 ものすごく穏やかな 気持ちになりました 00:02:06.692 --> 00:02:09.687 私は 両親に向かって うちへ帰ろう と伝えようとした 00:02:09.687 --> 00:02:12.221 その時あなたが 学生自治会の建物から 出てきたの 00:02:12.221 --> 00:02:15.524 私が人生で見た中で 一番ふざけた帽子をかぶって」(笑) 00:02:15.524 --> 00:02:17.055 「あれは すっごくよかった 00:02:17.055 --> 00:02:19.401 シネラマという嚢胞性線維症と戦う学生団体の 00:02:19.401 --> 00:02:21.086 大きな看板を持ってましたね」 00:02:21.086 --> 00:02:22.271 ―私はそのメンバーでした― 00:02:22.271 --> 00:02:23.956 「バケツにペロペロキャンディーを入れて 00:02:23.956 --> 00:02:26.666 あなたはキャンディーを配って歩いては 00:02:26.666 --> 00:02:29.112 並んでいる人たちに 団体のことを話していました 00:02:29.112 --> 00:02:33.549 そしたら あなたが 急に私を見つけて 止まって じっと見つめたの 00:02:33.549 --> 00:02:36.062 あれは 気味悪かった」(笑) 00:02:36.062 --> 00:02:39.089 そこにお座りの女性の方 何の話かよく分かりますね(笑) 00:02:39.089 --> 00:02:40.849 「それから 隣の男の子を見て微笑んで 00:02:40.849 --> 00:02:42.751 バケツからキャンディーを取り出すと 00:02:42.751 --> 00:02:44.558 彼に渡して 言ったの 00:02:44.558 --> 00:02:46.262 『君は このキャンディーをお隣の 00:02:46.262 --> 00:02:48.212 美しい女性にあげるんだ』」 00:02:48.212 --> 00:02:52.279 彼女は言いました「あんなに早く 照れちゃった人 他に見たこと無かったわ 00:02:52.279 --> 00:02:54.787 彼は真っ赤になって 私のこと見もしないで 00:02:54.787 --> 00:02:58.288 ただキャンディーを こんな感じで差し出したので」 (笑) 00:02:58.288 --> 00:03:00.791 「すごくかわいそうになって それを受け取ったの 00:03:00.791 --> 00:03:03.990 そのとたんに あなたが すごく真剣な顔になって 00:03:03.990 --> 00:03:05.502 私の両親に向かって 言ったの 00:03:05.502 --> 00:03:07.282 『見てください 00:03:07.282 --> 00:03:10.201 家を離れて 1日目に もう彼女 キャンディー 受け取ってますよ 00:03:10.201 --> 00:03:13.398 それも見知らぬ人から』」 (笑) 00:03:13.398 --> 00:03:15.794 「みんなやられて 周り5メートルの人たちが 00:03:15.794 --> 00:03:17.553 全員 大笑い 00:03:17.553 --> 00:03:20.032 つまらない話で なんでこの話をしてるのか分からないけど 00:03:20.032 --> 00:03:21.817 でも みんなが笑っていたあの時に 00:03:21.817 --> 00:03:23.387 諦めるべきじゃない 00:03:23.387 --> 00:03:25.425 自分は 居るべきところにいるし 00:03:25.425 --> 00:03:27.085 ここが我が家だって 分かったの 00:03:27.085 --> 00:03:30.317 あの日から4年間 あなたと一度も 話したことなかったけれど 00:03:30.317 --> 00:03:33.082 あなたがここを去る って聞いたから 伝えに来たんです 00:03:33.082 --> 00:03:35.366 あなたが 私の人生で とてつもなく重要な人で 00:03:35.366 --> 00:03:38.063 あなたが いないと寂しくなるって お元気で」 00:03:38.063 --> 00:03:39.933 彼女は立ち去り 呆然とするわたし 00:03:39.933 --> 00:03:42.429 2メートル先で 彼女は振り返って笑い こう言います 00:03:42.429 --> 00:03:44.103 「あと もう一つ付け加えるなら 00:03:44.103 --> 00:03:48.051 あの男の子と 4年経った今も まだ 付き合ってるの」(笑) 00:03:48.051 --> 00:03:50.394 トロントに移ってから1年半後 00:03:50.394 --> 00:03:53.060 彼らの結婚式に招かれました 00:03:53.060 --> 00:03:55.957 不思議なのはここです 私はそのことを覚えていないのです 00:03:55.957 --> 00:03:57.759 何の記憶も無いのです 00:03:57.759 --> 00:03:59.901 自分の記憶を辿ってみました 面白いから 00:03:59.901 --> 00:04:02.408 覚えていても良いはずです でも 覚えていません 00:04:02.408 --> 00:04:05.332 私をはっとさせた 転換点 とも言えるのは 00:04:05.332 --> 00:04:08.210 私が誰かの人生に与えた 多分 一番大きな影響が 00:04:08.210 --> 00:04:10.405 ―1人の女性が 4年もたってから 他人である私のところに来て 00:04:10.405 --> 00:04:11.221 ―1人の女性が 4年もたってから 他人である私のところに来て 00:04:11.221 --> 00:04:13.729 「あなたは私の人生で とてつもなく 重要な人だ」と言うのに 00:04:13.729 --> 00:04:15.748 その出来事を 私が覚えていないのです 00:04:15.748 --> 00:04:17.767 どれだけの皆さんが こんなキャンディーの瞬間 00:04:17.767 --> 00:04:20.363 ―誰かの発言や行動が あなたの人生を 00:04:20.363 --> 00:04:23.023 根本的に良くしてくれたと思う瞬間 を経験したでしょう? 00:04:23.023 --> 00:04:26.514 さて その中でどれだけの方が それをしてくれた人に伝えたでしょうか? 00:04:26.514 --> 00:04:27.671 なんで伝えないのでしょう 00:04:27.671 --> 00:04:32.655 誕生日なんて365日間死ななかったってだけで 祝うのに(笑) 00:04:32.655 --> 00:04:34.717 それでいて 人生を変えてくれた人には 00:04:34.717 --> 00:04:36.472 何も知らせないのです 00:04:36.472 --> 00:04:38.914 皆さん一人一人が 「ペロペロキャンディーの瞬間」を 00:04:38.914 --> 00:04:40.198 作ったことが あるのです 00:04:40.198 --> 00:04:43.506 あなたの 言動や行動が 誰かの人生を 良くしたことがあるのです 00:04:43.506 --> 00:04:45.411 もし それはないと思うなら 2つめの質問で 00:04:45.411 --> 00:04:47.323 手を挙げなかった人のことを 考えてください 00:04:47.323 --> 00:04:49.303 あなたは ただ 知らされなかった1人です 00:04:49.303 --> 00:04:51.930 しかし 自分にそんなに力がある としたら怖いことです 00:04:51.930 --> 00:04:55.046 他の人を それだけ左右する と思うと 恐ろしいことです 00:04:55.046 --> 00:04:57.224 リーダーシップを何か 自分たちよりも 大きなもの 00:04:57.224 --> 00:04:59.292 自分たちを 超えたもの 00:04:59.292 --> 00:05:01.202 世界を変えるようなこと とするかぎり 00:05:01.202 --> 00:05:03.269 毎日 自分や周りの人に リーダーシップを 00:05:03.269 --> 00:05:05.788 期待しないように 私たちは言い訳をしているのです 00:05:05.788 --> 00:05:07.157 マリアン・ウィリアムソンの言葉― 00:05:07.157 --> 00:05:09.026 「私たちの 最大の恐れは 自分の力不足ではなく 00:05:09.026 --> 00:05:11.172 自分には 想像をこえて 力がある ということだ 00:05:11.172 --> 00:05:14.038 闇ではなく 光が 私たちを 脅かすのです」 00:05:14.038 --> 00:05:16.525 私は それを乗り越えるべきだ と提案します 00:05:16.525 --> 00:05:19.027 私たちは お互いの人生で とても大きな存在になりうる― 00:05:19.027 --> 00:05:20.339 その恐れは克服するべきです 00:05:20.339 --> 00:05:22.551 その先に進めるように それを乗り越えるべきです 00:05:22.551 --> 00:05:23.993 私たちが互いに与え合う力は 00:05:23.993 --> 00:05:26.860 お金 権力 地位 社会的影響力 のどれよりも強いということに 00:05:26.860 --> 00:05:29.537 私たちの同胞や そして子供たちが気付いて 00:05:29.537 --> 00:05:32.666 大事にできるようにです 00:05:32.666 --> 00:05:35.813 私たちはリーダシップを「キャンディーの瞬間」 と定義し直すべきなのです 00:05:35.813 --> 00:05:38.262 そんな瞬間を いくつ 作るか いくつに 気付くか 00:05:38.262 --> 00:05:41.153 いくつを 次の人につなげるか そして いくつに 感謝するか 00:05:41.153 --> 00:05:43.754 私たちはリーダーシップを 「世界を変えること」としていましたが 00:05:43.754 --> 00:05:45.283 一つだけの「世界」なんてありません 00:05:45.283 --> 00:05:47.500 60億通りの見方が あるだけです 00:05:47.500 --> 00:05:49.597 そして 一人の見方を 変えられれば 00:05:49.597 --> 00:05:51.414 自分に何ができるのか 00:05:51.414 --> 00:05:54.039 どれほど 人々が 自分を大事に思っているか 00:05:54.039 --> 00:05:57.942 変化を起こすために 自分がどれほど この世界で 力のある存在か 00:05:57.942 --> 00:06:00.004 という見方を変え 全部が変えられるのです 00:06:00.004 --> 00:06:04.980 そして 私たちがリーダシップをそのように 理解して 定義し直せたら 00:06:04.980 --> 00:06:06.909 私たちはすべてを変えられる と思うのです 00:06:06.909 --> 00:06:09.942 これは 単純な発想ですが ちっぽけだとは思いません 00:06:09.942 --> 00:06:12.035 これを 皆さんにお話しできたこと を感謝します 00:06:12.035 --> 00:06:14.125 素晴らしい一日を (拍手)