WEBVTT 00:00:00.380 --> 00:00:02.787 皮膚科の医者になる前 00:00:02.787 --> 00:00:05.339 他の多くのイギリスの皮膚科医と同じように 00:00:05.339 --> 00:00:07.555 私は内科医として仕事を始めました 00:00:07.555 --> 00:00:09.603 内科医として働いていた時期の最後に 00:00:09.603 --> 00:00:11.499 オーストラリアにいきました 20年ほど前です 00:00:11.499 --> 00:00:13.620 オーストラリアで感じるのは 00:00:13.620 --> 00:00:16.346 オーストラリア人は とても競争心が強く 00:00:16.346 --> 00:00:18.403 負けず嫌いである ということです 00:00:18.403 --> 00:00:20.467 そう感じることが よく起きました 例えば 00:00:20.467 --> 00:00:22.899 「君たちイギリス人はクリケットもラグビーもできない」 という感じです 00:00:22.899 --> 00:00:25.017 まあ これはその通りですが NOTE Paragraph 00:00:25.017 --> 00:00:27.347 しかし仕事のこととなると・・・ 00:00:27.347 --> 00:00:29.885 そのころ毎週 論文の輪講をしていました 00:00:29.885 --> 00:00:32.343 他の医者と共に 00:00:32.343 --> 00:00:34.463 医学関係の論文を読んで 00:00:34.463 --> 00:00:36.304 勉強する集まりです 00:00:36.304 --> 00:00:39.053 ある週の話題は 心臓疾患に関連した死亡率 でした 00:00:39.053 --> 00:00:42.733 データに基づいた 心臓病でどのくらいの人が亡くなるか 00:00:42.733 --> 00:00:44.117 その比率はどのくらいか という話題でした 00:00:44.117 --> 00:00:46.093 彼らはこの話題でも競争心をもっていました 00:00:46.093 --> 00:00:49.189 「君たちイギリス人の 心臓疾患の比率は驚くほど高い」 NOTE Paragraph 00:00:49.189 --> 00:00:51.085 そして彼らは正しかったのです 00:00:51.085 --> 00:00:55.066 オーストラリア人の心臓疾患の 比率は我々の3分の1です 00:00:55.066 --> 00:00:58.857 心臓発作 心臓麻痺で 死亡する可能性は低く 00:00:58.857 --> 00:01:00.917 一般的に我々より健康的です 00:01:00.917 --> 00:01:02.608 彼らはもちろん その理由として 00:01:02.608 --> 00:01:04.672 道徳性が高い 運動をよくする 00:01:04.672 --> 00:01:08.740 彼らはオーストラリア人で 我々はイギリス人だから といったことを挙げました NOTE Paragraph 00:01:08.740 --> 00:01:13.771 しかし我々より健康なのは オーストラリア人に限りません 00:01:13.771 --> 00:01:17.299 また イギリス国内でも 健康の度合いには違いがあります 00:01:17.299 --> 00:01:19.235 これは 標準化死亡率 と呼ばれるもので 00:01:19.235 --> 00:01:21.323 基本的には あなたが死亡する確率です 00:01:21.323 --> 00:01:24.667 これは20年前の論文のデータですが 00:01:24.667 --> 00:01:26.142 今日でも正しいものです 00:01:26.142 --> 00:01:29.232 北緯50度の地域の死亡率 00:01:29.232 --> 00:01:31.499 これは ロンドンなどイギリス南部です 00:01:31.499 --> 00:01:34.851 これが北緯55度 00:01:34.851 --> 00:01:37.235 残念ながら これは我々のいる グラスゴーです 00:01:37.235 --> 00:01:40.083 私はエジンバラ出身です これまた残念なことに 状況は同じです NOTE Paragraph 00:01:40.083 --> 00:01:44.207 (笑) NOTE Paragraph 00:01:44.207 --> 00:01:47.513 スコットランド南部と 00:01:47.513 --> 00:01:49.717 イギリス南部との間の 00:01:49.717 --> 00:01:50.727 この極端な違いの 原因はなんでしょうか 00:01:50.727 --> 00:01:52.145 我々は 喫煙や 00:01:52.145 --> 00:01:54.847 揚げ菓子 フライドポテトといった グラスゴーの食習慣 00:01:54.847 --> 00:01:56.175 についてはわかっています 00:01:56.175 --> 00:01:58.967 しかしこのグラフは それらのリスク要因を 00:01:58.967 --> 00:02:01.031 考慮した結果です 00:02:01.031 --> 00:02:04.800 これは喫煙 社会階級 ダイエット といったリスク要因を 00:02:04.800 --> 00:02:06.543 考慮した上での結果です 00:02:06.543 --> 00:02:08.767 我々は 北に行くほど死亡率が高くなる 00:02:08.767 --> 00:02:12.627 この失われた空間に取り残されています NOTE Paragraph 00:02:12.627 --> 00:02:15.264 ここで 太陽光が絡んでくるのです 00:02:15.264 --> 00:02:17.584 ビタミンDは非常に注目されていて 00:02:17.584 --> 00:02:19.586 多くの人がビタミンDを気にしています 00:02:19.586 --> 00:02:23.578 ビタミンDは必要なものです 子供達は ビタミンDをとることを義務づけられています 00:02:23.578 --> 00:02:25.810 私の祖母はグラスゴーで育ちました 00:02:25.810 --> 00:02:29.396 くる病が大きな問題だった 1920年代 1930年代に 00:02:29.396 --> 00:02:31.594 肝油が使われ始めました 00:02:31.594 --> 00:02:35.538 この街でごく普通に見られた くる病の予防に 肝油は効果的でした 00:02:35.538 --> 00:02:39.458 祖母は 子供だった私に 肝油を飲ませました 00:02:39.458 --> 00:02:42.482 その味をはっきり覚えています 誰も忘れられないと思いますが NOTE Paragraph 00:02:42.482 --> 00:02:47.264 血液中にビタミンDが多く含まれるほど 00:02:47.264 --> 00:02:50.591 心臓病や癌の比率が減ります 00:02:50.591 --> 00:02:54.433 ビタミンDが体にいいという証拠は いろいろあります 00:02:54.433 --> 00:02:56.727 くる病といった病気を防ぐ効果もあります 00:02:56.727 --> 00:02:59.447 しかし ビタミンDのサプリメントを服用しても 00:02:59.447 --> 00:03:02.879 心臓病の発症率の高さは変わりません 00:03:02.879 --> 00:03:06.607 同じように 癌を予防する効果も あまりありません 00:03:06.607 --> 00:03:11.464 ビタミンDだけが 主役ではないと言えます 00:03:11.464 --> 00:03:14.775 ビタミンDだけが 心臓病を予防しているのではないのです 00:03:14.775 --> 00:03:19.144 ビタミンDが多いという事は単に日光を浴びている証拠で 00:03:19.144 --> 00:03:22.359 これからお話するように 日光を浴びることが 00:03:22.359 --> 00:03:24.798 心臓病の予防に 効果があるのではないかと思います NOTE Paragraph 00:03:24.798 --> 00:03:26.759 それはそれとして 私はオーストラリアから戻り 00:03:26.759 --> 00:03:30.255 健康へのリスクが高いことを承知で アバディーンに移りました 00:03:30.255 --> 00:03:32.807 (笑) 00:03:32.807 --> 00:03:35.958 そして アバディーンで 皮膚科医としてのトレーニングを始めました 00:03:35.958 --> 00:03:37.903 また研究にも興味をもつようになりました 00:03:37.903 --> 00:03:41.078 特に一酸化窒素という物質に 興味を持っていました 00:03:41.078 --> 00:03:42.454 ここにいる3人の人物 00:03:42.454 --> 00:03:44.024 ファーチゴット、イグナロ、ムラドは 00:03:44.024 --> 00:03:47.286 ノーベル医学賞を1998年に受賞しました 00:03:47.286 --> 00:03:49.429 彼らは 一酸化窒素が 00:03:49.429 --> 00:03:52.774 新しい化学伝達物質であることを 最初に見つけました 00:03:52.774 --> 00:03:55.799 一酸化窒素は血管を拡張させる効果があります 00:03:55.799 --> 00:03:57.670 つまり 血圧を下げる効果があります 00:03:57.670 --> 00:04:01.837 また 冠状動脈を拡張させて 狭心症を防ぐ効果もあります NOTE Paragraph 00:04:01.837 --> 00:04:03.223 この発見の画期的なところは 00:04:03.223 --> 00:04:07.294 いままで体内の化学伝達物質というと 00:04:07.294 --> 00:04:10.464 女性ホルモンやインシュリン 神経伝搬といったものを 00:04:10.464 --> 00:04:11.934 想像していました 00:04:11.934 --> 00:04:15.229 非常に複雑なプロセスをもち 非常に複雑な化学反応が起き 00:04:15.229 --> 00:04:17.517 非常の複雑な受容体に 影響を与えるようなものでした 00:04:17.517 --> 00:04:19.878 一方 これは非常に単純な分子です 00:04:19.878 --> 00:04:23.216 窒素の原子と酸素の原子が結合したものです 00:04:23.216 --> 00:04:27.846 しかし これは血圧を下げることや 神経伝達にとって 00:04:27.846 --> 00:04:30.452 非常に重要な物質です 00:04:30.452 --> 00:04:33.854 特に心臓血管の健康維持に重要な意味を持ちます NOTE Paragraph 00:04:33.854 --> 00:04:37.156 そこで私は研究を始め 皮膚が一酸化窒素を生成する 00:04:37.156 --> 00:04:39.766 という驚くべき事実を見つけました 00:04:39.766 --> 00:04:42.663 心臓血管システムのなかで生成されるだけではなく 00:04:42.663 --> 00:04:44.530 皮膚でも生成されるのです 00:04:44.530 --> 00:04:46.396 このことを発見し 論文としてまとめた後 00:04:46.396 --> 00:04:48.452 私は 次に何をするべきか考えました 00:04:48.452 --> 00:04:49.932 皮膚が低血圧になる とはどういうことか 00:04:49.932 --> 00:04:52.023 心臓ではありません どう考えればいいのでしょうか NOTE Paragraph 00:04:52.023 --> 00:04:56.094 そこで 多くの研究者と同じように 私はアメリカに渡り 00:04:56.094 --> 00:04:59.831 数年間ピッツバーグで過ごしました これがピッツバーグです 00:04:59.831 --> 00:05:02.444 私は 非常に複雑なシステムに興味をもちました 00:05:02.444 --> 00:05:06.485 我々は 一酸化窒素が細胞死に 関係しているのではないか と考えました 00:05:06.485 --> 00:05:08.965 細胞の生存や様々なものに対する 耐性に関係があるのではないかと 00:05:08.965 --> 00:05:12.332 そこでまず育てた 培養細胞を使って研究を始めました 00:05:12.332 --> 00:05:14.452 次に 遺伝子を作らない ノックアウトマウスを使った 00:05:14.452 --> 00:05:16.189 研究に取り組みました 00:05:16.189 --> 00:05:20.599 我々は 一酸化窒素が細胞の生存を 助ける仕組みを解明し NOTE Paragraph 00:05:20.599 --> 00:05:24.420 エジンバラに戻ってきました 00:05:24.420 --> 00:05:27.202 エジンバラでは 医学生が我々の実験動物です 00:05:27.202 --> 00:05:29.260 それは人類に近い種で 00:05:29.260 --> 00:05:31.162 マウスよりも優位な点がいくつかあります 00:05:31.162 --> 00:05:34.618 費用が掛からず 毛を剃る必要がなく 自分でえさを探すことができます 00:05:34.618 --> 00:05:36.738 そして「実験用医学生を救え」と言いながら 00:05:36.738 --> 00:05:39.138 研究室の周りを占拠する人もいません 00:05:39.138 --> 00:05:42.401 彼らは本当に理想的な実験動物です NOTE Paragraph 00:05:42.401 --> 00:05:44.362 ところが マウスで得られた実験結果が 00:05:44.362 --> 00:05:48.979 人間では再現しないことがわかりました 00:05:48.979 --> 00:05:52.219 皮膚の一酸化窒素の生成を止めることは 00:05:52.219 --> 00:05:55.299 できませんでした 00:05:55.299 --> 00:05:58.091 酵素の生成を抑制するクリームを塗ったり 00:05:58.091 --> 00:06:02.475 いろいろな注射をしましたが ー酸化窒素の生成を止めることはできませんでした NOTE Paragraph 00:06:02.475 --> 00:06:05.739 そして2・3年の研究の結果 00:06:05.739 --> 00:06:09.787 我々の皮膚には そのままではありませんが 00:06:09.787 --> 00:06:12.875 一酸化窒素を大量に蓄える機能 があることがわかりました 00:06:12.875 --> 00:06:16.027 一酸化窒素はガスで 数秒でなくなるので 00:06:16.027 --> 00:06:19.251 窒素酸化物として蓄えます 00:06:19.251 --> 00:06:22.883 硝酸塩 (NO3) や亜硝酸塩 (NO2) ニトロソチオールなど 00:06:22.883 --> 00:06:24.299 これらはより安定した物質です 00:06:24.299 --> 00:06:28.459 皮膚は非常に多くの窒素酸化物を 蓄えることができます 00:06:28.459 --> 00:06:31.284 そこで考えました 00:06:31.284 --> 00:06:34.595 もし太陽光が 皮膚に蓄えられた窒素酸化物を活性化して 00:06:34.595 --> 00:06:36.339 皮膚から放出できるとしたら 00:06:36.339 --> 00:06:39.731 その量は 循環している一酸化窒素の 約10倍になるのではないかと 00:06:39.731 --> 00:06:42.571 太陽光が貯蔵されたものを活性化して 循環させられるでしょうか? 00:06:42.571 --> 00:06:47.811 そして循環した一酸化窒素は心臓血管に 良い効果をもたらすのでしょうか NOTE Paragraph 00:06:47.811 --> 00:06:50.339 さて 私は実験を重んじる皮膚科医です 00:06:50.339 --> 00:06:51.644 そこで実験動物を 00:06:51.644 --> 00:06:55.171 太陽に当ててみることにしました 00:06:55.171 --> 00:06:59.251 多くのボランティアを集めて 00:06:59.251 --> 00:07:01.949 紫外線ライトに当てました 00:07:01.949 --> 00:07:03.678 太陽灯の一種です 00:07:03.678 --> 00:07:06.374 ここで我々が注意したのは 00:07:06.374 --> 00:07:09.334 ビタミンDが 紫外線B波から生成される ということです 00:07:09.334 --> 00:07:13.310 実験からビタミンDの影響を排除するために 00:07:13.310 --> 00:07:17.157 ビタミンDを生成しない紫外線A波を使用しました NOTE Paragraph 00:07:17.157 --> 00:07:19.438 実験ボランティアの人々を紫外線ランプに当てて 00:07:19.438 --> 00:07:24.514 エジンバラの夏の日差しに 30分当たるのと同じ条件を作りました 00:07:24.514 --> 00:07:27.054 結果的に 循環する一酸化窒素の生成量を 00:07:27.054 --> 00:07:29.046 増加させることが出来ました 00:07:29.046 --> 00:07:31.894 そこで 患者に同じように紫外線を当てました 00:07:31.894 --> 00:07:34.310 その結果 一酸化窒素のレベルが上がり 00:07:34.310 --> 00:07:36.446 血圧が下がりました 00:07:36.446 --> 00:07:38.823 個人個人の変化は大きくありませんが 00:07:38.823 --> 00:07:41.190 集団全体としては 00:07:41.190 --> 00:07:44.910 心臓疾患の比率に変化を及ぼすのに十分です 00:07:44.910 --> 00:07:47.334 紫外線を当てる代わりに 00:07:47.334 --> 00:07:50.996 同じ温度まで患者の皮膚を暖めた場合には 00:07:50.996 --> 00:07:54.258 この効果は顕われませんでした 00:07:54.258 --> 00:07:58.122 これは 紫外線を皮膚に当てたときの 効果と言えると思います NOTE Paragraph 00:07:58.122 --> 00:07:59.946 いまもデータの収集を続けています 00:07:59.946 --> 00:08:01.394 良い点をいくつか挙げます 00:08:01.394 --> 00:08:04.541 この効果は 年を取った人の方が高いようです 00:08:04.541 --> 00:08:06.154 どのくらい高いか 具体的にはわかりませんが 00:08:06.154 --> 00:08:07.927 私の義母が一例です 00:08:07.927 --> 00:08:10.879 もちろん正確な年齢は知らないのですが 00:08:10.879 --> 00:08:14.311 私の妻より年齢の高い人々では 00:08:14.311 --> 00:08:17.444 このような傾向が高いようです 00:08:17.444 --> 00:08:18.695 もう一つ指摘しておきたいのは 00:08:18.695 --> 00:08:20.751 ビタミンDの量には 変化がなかったということです 00:08:20.751 --> 00:08:22.871 これはビタミンDの効果とは別の効果です 00:08:22.871 --> 00:08:24.407 ビタミンDには くる病や 00:08:24.407 --> 00:08:26.647 カルシウム代謝障害を防ぐ効果があります 00:08:26.647 --> 00:08:29.679 しかし今お話したことは ビタミンDとは別のメカニズムです NOTE Paragraph 00:08:29.679 --> 00:08:32.255 血圧を考えるときに課題となるのは 00:08:32.255 --> 00:08:33.807 人体は血圧を一定に保つために 00:08:33.807 --> 00:08:35.390 あらゆる反応をする ということです 00:08:35.390 --> 00:08:37.039 仮に 脚が切断され 血液を失うと 00:08:37.039 --> 00:08:39.944 あなたの体は引き締まり 心拍数を上げ 00:08:39.944 --> 00:08:42.168 血圧を一定に保つために できることを全て行ないます 00:08:42.168 --> 00:08:45.144 これは生理学的な基本原理です NOTE Paragraph 00:08:45.144 --> 00:08:46.951 そこで我々が次に行なったのは 00:08:46.951 --> 00:08:50.607 血管拡張を観察することです 00:08:50.607 --> 00:08:52.104 そこでまた実験を行いました 00:08:52.104 --> 00:08:57.432 これが医学生です しっぽがなく 毛がないのが特徴です 00:08:57.432 --> 00:09:00.050 腕で血管の膨張を測定することで 00:09:00.050 --> 00:09:03.282 血流を測ることができます 00:09:03.282 --> 00:09:06.757 ここでは偽の照射をおこなっています 00:09:06.757 --> 00:09:08.226 この太い線です 00:09:08.226 --> 00:09:10.626 紫外線を腕に当てているもので 温度が上がりますが 00:09:10.626 --> 00:09:13.450 カバーによって紫外線が 皮膚に当たらないようにしています 00:09:13.450 --> 00:09:17.362 血流や血管拡張に関して変化は見られません 00:09:17.362 --> 00:09:19.211 しかし 有効な紫外線を照射した場合 00:09:19.211 --> 00:09:22.563 照射中と その後1時間とでは 00:09:22.563 --> 00:09:24.660 血管拡張が観察されました 00:09:24.660 --> 00:09:27.260 これが血圧を下げるメカニズムで 00:09:27.260 --> 00:09:29.636 冠状動脈も心臓から血液を送り込むために 00:09:29.636 --> 00:09:31.347 拡張します 00:09:31.347 --> 00:09:35.740 これは紫外線の効果 つまり 太陽光の効果を示す別のデータです 00:09:35.740 --> 00:09:40.619 紫外線が血流や心臓血管に 良い効果を与えていることがわかります NOTE Paragraph 00:09:40.619 --> 00:09:42.962 そこで 以下のようなモデルを考えました 00:09:42.962 --> 00:09:49.211 紫外線の量は場所や時期で変わります 00:09:49.211 --> 00:09:53.235 そこで皮膚に蓄えられた窒素酸化物 00:09:53.235 --> 00:09:55.491 硝酸塩や亜硝酸塩 ニトロソチオールから 00:09:55.491 --> 00:09:58.363 一酸化窒素を取り出すことが できるのではないかと考えました 00:09:58.363 --> 00:10:02.188 異なる波長の光には異なる効果があるので 00:10:02.188 --> 00:10:04.267 うまく作用する光の波長を探すことができます 00:10:04.267 --> 00:10:08.252 赤道直下に住んでいる場合 太陽の光は真上から降り注ぎます 00:10:08.252 --> 00:10:10.068 光は 非常に薄い空気の層を通して届きます 00:10:10.068 --> 00:10:12.507 冬と夏の光の量は同じです 00:10:12.507 --> 00:10:15.020 ここに住んでいる場合 00:10:15.020 --> 00:10:17.676 夏は 太陽の光はかなり高いところから 降り注ぎます 00:10:17.676 --> 00:10:20.983 しかし冬には 光は非常に厚い空気の層を通り 00:10:20.983 --> 00:10:24.204 紫外線の多くが失われます 00:10:24.204 --> 00:10:26.556 地表に届く光の波長も 00:10:26.556 --> 00:10:28.884 夏と冬では違います 00:10:28.884 --> 00:10:30.826 これらのデータと 00:10:30.826 --> 00:10:32.819 放出された一酸化窒素の量を掛けることで 00:10:32.819 --> 00:10:36.003 どれだけの一酸化窒素が 皮膚から放出され 00:10:36.003 --> 00:10:39.172 循環したかがわかります NOTE Paragraph 00:10:39.172 --> 00:10:41.172 赤道直下にいる場合には 00:10:41.172 --> 00:10:44.599 この赤と紫の2つ線が該当します 00:10:44.599 --> 00:10:48.996 放出された一酸化窒素の量は この線の下側の面積になります 00:10:48.996 --> 00:10:51.027 この部分です 00:10:51.027 --> 00:10:53.724 12月でも6月でも 00:10:53.724 --> 00:10:56.980 大量の一酸化窒素が皮膚から放出されます 00:10:56.980 --> 00:10:59.444 ベンチュラは南カリフォルニアにあります 00:10:59.444 --> 00:11:01.660 夏は赤道直下にいるのとあまり変わりません 00:11:01.660 --> 00:11:03.716 たくさんの一酸化窒素が放出されます 00:11:03.716 --> 00:11:07.659 冬のベンチュラは まだある程度の一酸化窒素の量があります 00:11:07.659 --> 00:11:11.620 夏のエジンバラでも 十分な一酸化窒素の量があります 00:11:11.620 --> 00:11:15.835 しかし冬のエジンバラで 放出される一酸化窒素は 00:11:15.835 --> 00:11:19.693 ほとんどありません 非常に小さい値です NOTE Paragraph 00:11:19.693 --> 00:11:21.498 ここから何がわかるでしょうか 00:11:21.498 --> 00:11:23.090 我々はこの問題に取り組んでいます 00:11:23.090 --> 00:11:25.002 理解を深め 理論を拡張しています 00:11:25.002 --> 00:11:26.650 この問題は非常に重要だと考えています 00:11:26.650 --> 00:11:30.243 これがイギリスの北と南での 健康の違いの大きな原因だと予測しています 00:11:30.243 --> 00:11:31.874 これは妥当な結論だと考えています 00:11:31.874 --> 00:11:33.562 皮膚は 00:11:33.562 --> 00:11:36.450 窒素酸化物をいろいろな形態で保存できる 00:11:36.450 --> 00:11:38.674 大きな貯蔵庫だということが わかっています 00:11:38.674 --> 00:11:40.547 窒素酸化物の多くは 正しい食事 00:11:40.547 --> 00:11:42.818 新鮮な葉野菜 ビーツ レタスから 採れるだろうと考えています 00:11:42.818 --> 00:11:46.138 これらの食物は 皮膚に保存できる窒素酸化物を多く含んでいます 00:11:46.138 --> 00:11:48.282 窒素酸化物は皮膚に蓄えられて 00:11:48.282 --> 00:11:50.682 太陽の光で放出されます 00:11:50.682 --> 00:11:53.315 これは通常 よい効果をもたらします NOTE Paragraph 00:11:53.315 --> 00:11:55.794 これはまだ研究中の内容ですが 00:11:55.794 --> 00:11:57.514 皮膚科医としての私の毎日の仕事は 00:11:57.514 --> 00:12:00.042 人々に 「皮膚癌があります」 00:12:00.042 --> 00:12:01.922 「太陽光が原因なので外出禁止です」 と言うことです 00:12:01.922 --> 00:12:04.658 本当は もっと重要な メッセージがあると考えています 00:12:04.658 --> 00:12:08.082 それは 太陽光にはリスクだけでなく メリットもあるということです 00:12:08.082 --> 00:12:13.835 確かに 太陽光は皮膚癌のリスク要因です 00:12:13.835 --> 00:12:16.706 しかし 心臓疾患の死亡率は 皮膚癌の死亡率より 00:12:16.706 --> 00:12:18.658 100倍も高いものです 00:12:18.658 --> 00:12:21.307 我々はリスクとメリットを正しくに理解し 00:12:21.307 --> 00:12:23.386 リスクとメリットの割合を 見極める必要があります 00:12:23.386 --> 00:12:24.858 どの程度の太陽光ならば安全で 00:12:24.858 --> 00:12:29.058 健康にとって最適な解を どのようにして導きだせるのか NOTE Paragraph 00:12:29.058 --> 00:12:31.238 ありがとうございました 00:12:31.238 --> 00:12:38.135 (拍手)