物理学者 航空管制官 テレビゲームのクリエイター この人達には共通点が 少なくともひとつあります ベクトルです これは一体何であり どうして重要なのでしょうか? それには まずスカラーを 理解する必要があります スカラーは大きさのある量です これでそこにある物の量が分かります あなたとベンチの間の距離 カップの中の飲み物の体積や温度 これらは どれもスカラーで 表すことができます ベクトルにも大きさがありますが さらにもう1つ情報が加わります 方向です ベンチに誘導しようとすると その距離と方向を 知る必要があります 距離だけでなく その相対的な位置関係も必要だからです ベクトルを特別なものにし 様々な分野で有用としているのは 視点によって変わることがなく 座標系に対しても 不変であるからです これはどういう意味でしょうか? 例えば 友達と一緒に テントを移動しているとします あなたは反対側に立って お互いに向き合っているわけです 友達は右側に2歩動いてから 3歩前進しますが あなたは左側に2歩動いてから 3歩後退します 別の動きをしているように見えたとしても 同じベクトルに従って 同じ方向に同じ距離 進んだわけです どの方向を向いていたとしても キャンプ場でどんな座標系を 使用したとしても ベクトルが変わることはありません x座標と y座標がある おなじみの直交座標系を 使ってみましょう この2つの方向を基底ベクトルと 呼んでいます それは グラフ上の全ての点を 表すのに使うことができるからです テントを原点からB点まで 移動するとしましょう 2点をつなぐ真っ直ぐな矢印は 原点からB点までのベクトルです 友達が移動しようとする時 これを数学では 2x + 3yと表記したり この様に配列というもので 表記します あなたは反対向きなので 基底ベクトルは 反対の方向を向いていますが これらを x' およびy' とすると あなたの動きは このように表したり このような配列で表すことができます この2つの配列を見てみると 明らかに異なりますが この配列自体がベクトルを完全に 表しているわけではありません 各配列を定めるには 基底ベクトルが必要で 適切なものを割り当ててやると 実は同じベクトルを 記述していることが分かります この配列の要素を個々の数字だと みなすことができます 特定の言語の文脈では 文字の列が語になるように 配列は基底ベクトルを指定すると ベクトルとしての意味を持つようになります 2つの言語の異なる語が 同じ概念をもたらすように 2つの基底ベクトルの異なる配列表現が 同じベクトルを記述し得るのです ベクトルは記述する言語によらず コミュニケーションの中身の 本質を伝えます スカラーもまた座標系に対し 不変である性質を持っています 実際この性質を持つ量は テンソルと呼ばれるものの一種です 様々なタイプのテンソルがあり それぞれが異なる量の情報を含んでいます ベクトルより多くの情報量を伝え得る 何かがあるということでしょうか? その通りです 例えば TVゲームを設計中に リアルな水の動きを表すモデルが 欲しいとしましょう たとえ 同じ方向に 同じ大きさで力を加えたとしても その水の向きによって波になったり 渦になったりします ベクトルである力が 方向性を与える他のベクトルと結びつくと 応力という物理的な量が得られます これが2階のテンソルの一例です これらのテンソルは テレビゲームだけでなく あらゆる目的 ― 科学的なシミュレーション カーデザイン 脳撮像も含まれます スカラーにベクターそしてテンソルは 比較的シンプルな方法で 複雑な概念や相互作用を 表すことができるので それ自体が数学の 優美さ、美しさ そして― 根本的な有用性を示す 好例となっているのです