1 00:00:00,621 --> 00:00:01,992 皮むきナイフひとつで 2 00:00:01,992 --> 00:00:05,168 武装したイスラム教グループから 父を守れるのだろうか? 3 00:00:05,168 --> 00:00:06,729 この問いに直面したのは 4 00:00:06,729 --> 00:00:09,497 1993年6月の ある火曜日の朝 5 00:00:09,497 --> 00:00:11,339 私が法学生だった時でした 6 00:00:11,339 --> 00:00:13,277 私は父のアパートで 7 00:00:13,277 --> 00:00:14,397 朝早く目を覚ましました 8 00:00:14,397 --> 00:00:16,695 アルジェリアのアルジェのはずれにある 9 00:00:16,695 --> 00:00:19,969 アパートの玄関を絶え間なく 叩く音がしました 10 00:00:19,969 --> 00:00:22,729 その当時 地元紙はこう書いていました 11 00:00:22,729 --> 00:00:25,585 毎週火曜日には学者が 12 00:00:25,585 --> 00:00:28,768 原理主義者の銃弾に倒れるのだと 13 00:00:28,768 --> 00:00:31,130 父が大学でダーウィンについて 教えていたので 14 00:00:31,130 --> 00:00:33,130 いわゆるイスラム救国戦線の 15 00:00:33,130 --> 00:00:36,601 幹部が教室を訪れ 16 00:00:36,601 --> 00:00:39,657 父を生物学主義の擁護者として非難し 17 00:00:39,657 --> 00:00:42,323 父がその男を追い出したこともあったのです 18 00:00:42,323 --> 00:00:43,810 そして ドアの向こうの誰かは 19 00:00:43,810 --> 00:00:46,910 名乗りもせず 立ち去ろうともしません 20 00:00:46,910 --> 00:00:49,882 そこで父は警察に電話をしましたが― 21 00:00:49,882 --> 00:00:51,980 既にアルジェリア人警官の命を 22 00:00:51,980 --> 00:00:54,404 多く奪っていた 武装した過激主義の高まりを 23 00:00:54,404 --> 00:00:56,937 恐れていたのか― 24 00:00:56,937 --> 00:00:59,063 誰も電話に出ませんでした 25 00:00:59,063 --> 00:01:01,402 そこで私は台所へ行き 26 00:01:01,402 --> 00:01:02,777 皮むきナイフを持ち出して 27 00:01:02,777 --> 00:01:05,755 玄関で構えたのでした 28 00:01:05,755 --> 00:01:07,302 実に馬鹿げていますが 29 00:01:07,302 --> 00:01:09,151 それ以外 思いつかなかったので 30 00:01:09,151 --> 00:01:11,740 私はそこに立ちました 31 00:01:11,740 --> 00:01:14,247 今思い返してみると この瞬間が 32 00:01:14,247 --> 00:01:16,761 この本を書く道へと 歩ませてくれたのでしょう 33 00:01:16,761 --> 00:01:19,413 『あなたのファトワーは ここでは通用しない: 34 00:01:19,413 --> 00:01:23,450 イスラム原理主義との闘いの裏側で』 35 00:01:23,450 --> 00:01:26,416 題名はパキスタンの戯曲に由来します 36 00:01:26,416 --> 00:01:29,266 実に あの瞬間が 37 00:01:29,266 --> 00:01:31,010 およそ30ヵ国の 38 00:01:31,010 --> 00:01:33,960 300人のイスラム教徒に インタビューを行う 39 00:01:33,960 --> 00:01:35,494 旅路へと送り出してくれたのです 40 00:01:35,494 --> 00:01:37,910 アフガニスタンからマリまで 41 00:01:37,910 --> 00:01:40,251 彼らがいかに 父のように平和的な方法で 42 00:01:40,251 --> 00:01:42,479 原理主義と闘ったか― 43 00:01:42,479 --> 00:01:46,214 そして訪れる危険を いかに切り抜けたかを知るための旅でした 44 00:01:46,214 --> 00:01:48,431 幸い 1993年6月の 45 00:01:48,431 --> 00:01:51,263 身元も知れない訪問者は 立ち去りましたが 46 00:01:51,263 --> 00:01:54,308 他の家族たちが同じように 幸運だったわけではありません 47 00:01:54,308 --> 00:01:58,161 この気持ちが私の研究に対する モチベーションとなりました 48 00:01:58,161 --> 00:01:59,691 いずれにせよ 何者かが 49 00:01:59,691 --> 00:02:01,275 数ヵ月後に戻ってきて 50 00:02:01,275 --> 00:02:02,727 父のキッチンテーブルに 51 00:02:02,727 --> 00:02:06,857 「自分はもう死んだと思え」 と残すことになります 52 00:02:06,857 --> 00:02:09,845 やがて アルジェリアの 原理主義武装集団は 53 00:02:09,845 --> 00:02:12,908 20万人もの市民を殺害し 54 00:02:12,908 --> 00:02:14,260 1990年代は 55 00:02:14,260 --> 00:02:17,138 「暗黒の10年」として 知られるようになりました 56 00:02:17,138 --> 00:02:19,010 この女性たちの1人ひとりも 57 00:02:19,010 --> 00:02:22,257 亡くなった市民に含まれています 58 00:02:22,257 --> 00:02:25,130 また政府は 厳しい対テロ対策の中で 59 00:02:25,130 --> 00:02:27,127 拷問や強制失踪も 60 00:02:27,127 --> 00:02:28,838 用いました 61 00:02:28,838 --> 00:02:32,200 これらの非道な出来事に加えて さらに 62 00:02:32,200 --> 00:02:35,835 国際社会はほとんど これらの行いを無視しました 63 00:02:35,835 --> 00:02:39,558 アルジェリアの農家の息子から 教授となった父は とうとう 64 00:02:39,558 --> 00:02:41,661 大学で教鞭を振るうことを辞め 65 00:02:41,661 --> 00:02:43,850 アパートから出るよう強要されました 66 00:02:43,850 --> 00:02:45,223 しかし私は父である 67 00:02:45,223 --> 00:02:47,458 マフード・ベノウネが 68 00:02:47,458 --> 00:02:50,167 アルジェリアの多くの知識人と同様に 69 00:02:50,167 --> 00:02:51,941 国を去ることを拒み 70 00:02:51,941 --> 00:02:54,999 的を射た批評を出版し続けたことは 決して忘れません 71 00:02:54,999 --> 00:02:56,949 原理主義について 72 00:02:56,949 --> 00:02:59,919 そして時には彼らが戦う 政府についてもです 73 00:02:59,919 --> 00:03:03,041 例えば1994年11月の 74 00:03:03,041 --> 00:03:05,195 エル・ワタン紙に連載された 75 00:03:05,195 --> 00:03:06,704 『原理主義からテロリズムが 76 00:03:06,704 --> 00:03:10,246 生まれることがどれほど異例か』 というシリーズでは 77 00:03:10,246 --> 00:03:11,483 先祖が守ってきた 78 00:03:11,483 --> 00:03:14,816 本来のイスラム教から テロリストが極端に離れていることを 79 00:03:14,816 --> 00:03:17,684 父は公然と批判しました 80 00:03:17,684 --> 00:03:20,515 この発言は殺される恐れさえ あるものでした 81 00:03:20,515 --> 00:03:21,992 父の祖国が1990年代の 82 00:03:21,992 --> 00:03:24,546 「暗黒の10年」に教えてくれたのは 83 00:03:24,546 --> 00:03:27,954 「イスラム原理主義に対する 人々の抵抗は 84 00:03:27,954 --> 00:03:29,642 人権をめぐる闘いの中でも 85 00:03:29,642 --> 00:03:32,173 世界で最も見逃されているものの 86 00:03:32,173 --> 00:03:33,928 1つだ」ということです 87 00:03:33,928 --> 00:03:37,539 これは20年経った今でも その通りです 88 00:03:37,539 --> 00:03:39,120 市民を標的にする 89 00:03:39,120 --> 00:03:40,970 武装したジハードの戦士の話のある 90 00:03:40,970 --> 00:03:42,726 どの国にも 91 00:03:42,726 --> 00:03:44,401 武器を持たずに 92 00:03:44,401 --> 00:03:47,248 過激派に抵抗する人々もいます 私たちの耳には入りませんが 93 00:03:47,248 --> 00:03:51,830 彼らは私たちの支援を必要としているのです 94 00:03:51,830 --> 00:03:53,648 西欧諸国では 多くの場合 95 00:03:53,648 --> 00:03:56,685 イスラム教徒はテロリズムを 容認していると思われています 96 00:03:56,685 --> 00:03:58,687 このように考える右派の人々は 97 00:03:58,687 --> 00:04:00,950 イスラム文化は本質的に暴力的だと考え 98 00:04:00,950 --> 00:04:02,535 左派の人々は 99 00:04:02,535 --> 00:04:04,323 イスラム教徒の暴力や 100 00:04:04,323 --> 00:04:05,674 原理主義の暴力は 101 00:04:05,674 --> 00:04:09,307 正当な抗議の産物に過ぎないと 考えています 102 00:04:09,307 --> 00:04:11,804 しかし どちらの見解も全く間違っています 103 00:04:11,804 --> 00:04:13,619 事実 世界中にいる 104 00:04:13,619 --> 00:04:16,382 イスラム教徒の多くは 断固として 105 00:04:16,382 --> 00:04:19,644 原理主義とテロリズムの どちらに対しても反対しており 106 00:04:19,644 --> 00:04:22,110 大抵正当な理由があります 107 00:04:22,110 --> 00:04:24,150 彼らはこの暴力において 108 00:04:24,150 --> 00:04:27,305 加害者というよりもむしろ犠牲者です 109 00:04:27,305 --> 00:04:29,322 ここで1つ 例を挙げてみましょう 110 00:04:29,322 --> 00:04:32,165 アラブ語圏メディアによる 111 00:04:32,165 --> 00:04:34,505 2009年の調査では 112 00:04:34,505 --> 00:04:37,756 2004年から2008年の間の 113 00:04:37,756 --> 00:04:40,880 アルカイダの犠牲者のうち 西洋人は 114 00:04:40,880 --> 00:04:42,461 わずか15%でした 115 00:04:42,461 --> 00:04:45,406 これもひどい人数ですが 犠牲者の大多数は 116 00:04:45,406 --> 00:04:47,175 イスラム系の人々であり 117 00:04:47,175 --> 00:04:49,991 彼らはイスラム原理主義者に殺されたのです 118 00:04:49,991 --> 00:04:52,819 5分間 原理主義について 話してきましたが 119 00:04:52,819 --> 00:04:55,302 私が原理主義と言う語で 何を意味しているか 120 00:04:55,302 --> 00:04:56,996 お教えしましょう 121 00:04:56,996 --> 00:05:00,901 アルジェリアの社会学者である― 122 00:05:00,901 --> 00:05:02,940 マリエメ・エリ・ルーカスによる定義を引用します 123 00:05:02,940 --> 00:05:05,336 彼女はこう述べています 原理主義とは― 124 00:05:05,336 --> 00:05:07,834 複数形ですから 世界のあらゆる 125 00:05:07,834 --> 00:05:09,656 宗教的伝統における原理主義とは― 126 00:05:09,656 --> 00:05:13,627 「極右の政治的活動であり 127 00:05:13,627 --> 00:05:15,790 グローバル化という文脈において 128 00:05:15,790 --> 00:05:18,284 自らの政治的目的を達成するために 129 00:05:18,284 --> 00:05:19,933 宗教を巧みに操っているのだ」と 130 00:05:19,933 --> 00:05:23,616 サディア・アバスはこのことを 神学の過激な政治化と 131 00:05:23,616 --> 00:05:25,127 呼んでいます 132 00:05:25,127 --> 00:05:27,542 どこに行っても同じ 133 00:05:27,542 --> 00:05:29,328 一枚岩のような イスラム原理主義が 134 00:05:29,328 --> 00:05:32,541 存在しているというイメージを 与えることは避けたいと考えています 135 00:05:32,541 --> 00:05:35,257 なぜなら 原理主義活動も様々だからです 136 00:05:35,257 --> 00:05:37,720 暴力を用い 擁護する者もいれば 137 00:05:37,720 --> 00:05:40,350 両者は関係していることが多いとはいえ そうでない者もいます 138 00:05:40,350 --> 00:05:41,920 様々な形をとるのです 139 00:05:41,920 --> 00:05:44,544 非政府組織であることもあります 140 00:05:44,544 --> 00:05:47,076 ここイギリスにも 「ケージプリズナーズ」があります 141 00:05:47,076 --> 00:05:49,169 またイスラム同胞団のように 142 00:05:49,169 --> 00:05:50,740 政党となることもありますし 143 00:05:50,740 --> 00:05:52,458 タリバンのような武装グループに なることもあります 144 00:05:52,458 --> 00:05:54,183 タリバンのような武装グループに なることもあります 145 00:05:54,183 --> 00:05:57,504 しかし どの場合においても すべて過激な取り組みです 146 00:05:57,504 --> 00:06:00,733 保守的でも伝統的でもないやり方です 147 00:06:00,733 --> 00:06:03,946 ほとんどの場合 人々とイスラム教の 関係を守るのでなく 148 00:06:03,946 --> 00:06:05,501 むしろ変えてしまうものです 149 00:06:05,501 --> 00:06:08,891 私は極右のイスラム教徒について お話ししているのですが 150 00:06:08,891 --> 00:06:10,890 その支持者が 151 00:06:10,890 --> 00:06:12,730 イスラム教徒であると主張したところで 152 00:06:12,730 --> 00:06:14,140 他の極右派と同様 153 00:06:14,140 --> 00:06:16,631 攻撃的であることに変わりはありません 154 00:06:16,631 --> 00:06:18,498 私の考えでは 私たちが 155 00:06:18,498 --> 00:06:20,248 自由主義や左派 156 00:06:20,248 --> 00:06:22,708 人権擁護者やフェミニストであるなら 157 00:06:22,708 --> 00:06:24,909 私たちはこれらの活動に対して立ち向かい 158 00:06:24,909 --> 00:06:27,754 草の根的に反対している人々を 支持すべきです 159 00:06:27,754 --> 00:06:29,370 はっきり言わせて下さい 160 00:06:29,370 --> 00:06:31,372 私は原理主義に対して 161 00:06:31,372 --> 00:06:33,317 有効に対抗することを支持していますが 162 00:06:33,317 --> 00:06:35,597 その闘いそのものが国際法を 163 00:06:35,597 --> 00:06:37,535 配慮したものでなければなりません 164 00:06:37,535 --> 00:06:39,964 ですから私の発言が 民主化を拒絶することを 165 00:06:39,964 --> 00:06:41,809 正当化するものであると 166 00:06:41,809 --> 00:06:43,274 受け取らないでください 167 00:06:43,274 --> 00:06:45,949 ここで支持の声を上げたいと思います 168 00:06:45,949 --> 00:06:50,000 現在アルジェリアで行われている 民主化運動に幸あれと 169 00:06:50,000 --> 00:06:52,282 また私の発言は 170 00:06:52,282 --> 00:06:55,149 様々な人権侵害― たとえば今週初めにエジプトで 171 00:06:55,149 --> 00:06:56,555 多くの死刑宣告が 172 00:06:56,555 --> 00:06:59,475 言い渡されたようなことを 正当化するものでもありません 173 00:06:59,475 --> 00:07:00,998 私が言いたいのは 174 00:07:00,998 --> 00:07:04,305 こうしたイスラム原理主義運動に 立ち向かわねばならないということです 175 00:07:04,305 --> 00:07:06,123 なぜなら彼らはイスラム教徒が 176 00:07:06,123 --> 00:07:08,706 多数を占める文脈において 人権を脅かしているからです 177 00:07:08,706 --> 00:07:11,087 その方法は様々ですが 178 00:07:11,087 --> 00:07:14,050 武装グループによる市民の直接攻撃が 179 00:07:14,050 --> 00:07:16,289 最も明らかな例でしょう 180 00:07:16,289 --> 00:07:19,336 しかし そのような暴力は 氷山の一角に過ぎません 181 00:07:19,336 --> 00:07:22,127 これらの運動は全体として 宗教的マイノリティや 182 00:07:22,127 --> 00:07:25,448 性的マイノリティに対する 差別を広めています 183 00:07:25,448 --> 00:07:27,528 別のやり方で宗教を実践する人々からも 184 00:07:27,528 --> 00:07:30,427 信仰しないことを選択する人々からも 185 00:07:30,427 --> 00:07:32,391 宗教の自由を奪おうとしています 186 00:07:32,391 --> 00:07:35,815 そして典型的には 女性の権利に関する 187 00:07:35,815 --> 00:07:37,896 全面戦争を先導するのです 188 00:07:37,896 --> 00:07:39,692 近年 これらの運動に直面し 189 00:07:39,692 --> 00:07:41,264 西欧諸国における言説では 190 00:07:41,264 --> 00:07:42,899 ほとんどの場合 191 00:07:42,899 --> 00:07:45,156 2つの欠陥ある回答が提示されています 192 00:07:45,156 --> 00:07:47,719 右派に時折見られる1つ目の言説は 193 00:07:47,719 --> 00:07:50,261 ほとんどのイスラム教徒が 原理主義的であるか 194 00:07:50,261 --> 00:07:53,607 イスラム教には本質的に 原理主義的なところがあるというもので 195 00:07:53,607 --> 00:07:56,898 これはただ攻撃的なばかりで 間違っています 196 00:07:56,898 --> 00:07:59,306 しかし 残念ながら 左派に見られる言説は 197 00:07:59,306 --> 00:08:01,488 政治的に公正すぎて 198 00:08:01,488 --> 00:08:05,290 イスラム原理主義の問題を 全く認識しておらず 199 00:08:05,290 --> 00:08:07,651 更に悪いことには それについて謝罪しており 200 00:08:07,651 --> 00:08:10,199 これも容認できるものではありません 201 00:08:10,199 --> 00:08:12,261 ですから 私はこれらを語るための 202 00:08:12,261 --> 00:08:14,382 実際に生きた経験と 203 00:08:14,382 --> 00:08:17,110 前線にいる人々の希望に根ざした― 204 00:08:17,110 --> 00:08:20,059 新たな方法を探し求めています 205 00:08:20,059 --> 00:08:22,010 痛切に感じられるのは 206 00:08:22,010 --> 00:08:25,191 近年イスラム教徒に対する差別が 207 00:08:25,191 --> 00:08:27,662 イギリスやアメリカといった国々で 208 00:08:27,662 --> 00:08:30,716 増えているということで それもまた深刻な問題です 209 00:08:30,716 --> 00:08:31,855 しかし 私は 210 00:08:31,855 --> 00:08:34,816 原理主義者に立ち向かい 211 00:08:34,816 --> 00:08:36,142 1番の犠牲者となっている 212 00:08:36,142 --> 00:08:38,313 イスラム教徒の人々に関する 213 00:08:38,313 --> 00:08:40,328 固定観念を覆す話を語ることも 214 00:08:40,328 --> 00:08:44,906 差別に反対する素晴らしい方法だと 強く信じています 215 00:08:44,906 --> 00:08:46,686 ここで 光栄にも 216 00:08:46,686 --> 00:08:48,342 素晴らしい物語をお持ちの4人を 217 00:08:48,342 --> 00:08:51,558 ご紹介しましょう 218 00:08:51,558 --> 00:08:53,791 ファイザン・ピアゼダと 彼の父にちなんで名づけられた 219 00:08:53,791 --> 00:08:55,793 レフィ・ピア・シアターワークショップは 220 00:08:55,793 --> 00:08:57,931 何年にもわたり パキスタンで 舞台芸術を 221 00:08:57,931 --> 00:08:59,663 推進してきました 222 00:08:59,663 --> 00:09:01,124 ジハードによる暴力の増加とともに 223 00:09:01,124 --> 00:09:02,700 彼らはイベントを取りやめるよう 224 00:09:02,700 --> 00:09:05,950 脅かされ始めましたが 屈しませんでした 225 00:09:05,950 --> 00:09:09,220 そして2008年に 爆撃犯が 226 00:09:09,220 --> 00:09:12,104 ラホールでの第8回世界舞台芸術祭を襲うと 227 00:09:12,104 --> 00:09:13,792 ガラスの雨が 228 00:09:13,792 --> 00:09:15,457 会場に降り注ぎ 229 00:09:15,457 --> 00:09:17,392 9人が負傷しました 230 00:09:17,392 --> 00:09:18,960 その日の夜遅く 231 00:09:18,960 --> 00:09:21,711 ピアゼダらは とても難しい決断を下しました 232 00:09:21,711 --> 00:09:23,580 舞台芸術祭を予定通り 233 00:09:23,580 --> 00:09:26,987 翌日も続行すると発表したのです 234 00:09:26,987 --> 00:09:28,438 当時 ファイザンが言ったように 235 00:09:28,438 --> 00:09:30,380 もしイスラム原理主義者に屈すれば 236 00:09:30,380 --> 00:09:33,491 ただ暗闇の角に座っているようなものなのです 237 00:09:33,491 --> 00:09:35,149 どうなるかは分かりませんでした 238 00:09:35,149 --> 00:09:37,586 誰か来るのだろうか? 239 00:09:37,586 --> 00:09:40,475 実際は 翌日何千もの人々が訪れ 240 00:09:40,475 --> 00:09:42,877 ラホールの舞台芸術を支援しました 241 00:09:42,877 --> 00:09:44,722 このことは素晴らしいとともに 242 00:09:44,722 --> 00:09:46,544 恐ろしくもあったので 243 00:09:46,544 --> 00:09:47,997 ファイザンは幼い子を2人連れている 244 00:09:47,997 --> 00:09:50,214 ある女性に駆け寄り こう言いました 245 00:09:50,214 --> 00:09:53,408 「昨日 ここで爆発があり 246 00:09:53,408 --> 00:09:55,735 今日も恐怖に脅かされているのを ご存知ですか」 247 00:09:55,735 --> 00:09:57,618 彼女は「知っています 248 00:09:57,618 --> 00:09:59,182 でも私はこの子たちくらいの年頃の時 249 00:09:59,182 --> 00:10:01,612 母とあなたのフェスティバルに来たことが 250 00:10:01,612 --> 00:10:04,660 印象深く 心に残っています 251 00:10:04,660 --> 00:10:06,798 私たちはここにいなくちゃいけないんです」 252 00:10:06,798 --> 00:10:08,655 このような熱烈な観客とともに 253 00:10:08,655 --> 00:10:10,309 ピアゼタらは予定通り 254 00:10:10,309 --> 00:10:12,769 フェスティバルを終えることができました 255 00:10:12,769 --> 00:10:14,006 そして次の年 256 00:10:14,006 --> 00:10:15,889 安全面のリスクのため 257 00:10:15,889 --> 00:10:18,258 彼らはすべてのスポンサーを失いました 258 00:10:18,258 --> 00:10:20,558 2010年に私が会った時には 259 00:10:20,558 --> 00:10:22,844 彼らは同じ場所で行うことができた― 260 00:10:22,844 --> 00:10:25,910 後に続く初のイベントの最中でした 261 00:10:25,910 --> 00:10:29,174 第9回青年舞台芸術祭で 262 00:10:29,174 --> 00:10:32,149 その年 街はすでに 263 00:10:32,149 --> 00:10:36,219 44回ものテロ攻撃を受けていました 264 00:10:36,219 --> 00:10:38,322 これはパキスタンのタリバンが 265 00:10:38,322 --> 00:10:40,139 女子校を標的として 266 00:10:40,139 --> 00:10:42,347 組織的な攻撃を始めた頃のことで 267 00:10:42,347 --> 00:10:45,106 マララ・ユサフザイの襲撃事件で 幕を閉じることとなります 268 00:10:45,106 --> 00:10:49,501 この状況で ピアゼタらは何をしたと思いますか? 269 00:10:49,501 --> 00:10:52,674 彼らは女子学生による舞台作品を 上演したのです 270 00:10:52,674 --> 00:10:55,486 私は光栄なことに『ナン・ウォール』 という 271 00:10:55,486 --> 00:10:58,118 パンジャブ語のミュージカルを観ました 272 00:10:58,118 --> 00:10:59,880 ラホール・グラマー・スクールの 273 00:10:59,880 --> 00:11:01,606 女子学生がすべての役を演じました 274 00:11:01,606 --> 00:11:02,840 彼女たちは歌い 踊り 275 00:11:02,840 --> 00:11:05,498 ねずみや水牛の役を演じました 276 00:11:05,498 --> 00:11:07,962 私はこの素晴らしい劇が 277 00:11:07,962 --> 00:11:09,229 無事終わるかどうかと 278 00:11:09,229 --> 00:11:11,515 息を飲んで見守りました 279 00:11:11,515 --> 00:11:14,071 そして無事 幕が下りると 280 00:11:14,071 --> 00:11:15,809 観客は一斉に息をついて 281 00:11:15,809 --> 00:11:18,073 中には涙を流している人もいました 282 00:11:18,073 --> 00:11:20,596 観客席は観客の拍手という 283 00:11:20,596 --> 00:11:23,435 平和な高揚感で満たされました 284 00:11:23,435 --> 00:11:26,422 私はその瞬間 こう考えたことを 覚えています 285 00:11:26,422 --> 00:11:28,853 「2年前にこの場所で爆撃犯が 286 00:11:28,853 --> 00:11:30,516 トップニュースとなったけれども 287 00:11:30,516 --> 00:11:32,880 今晩 ここに居合わせた人々は 288 00:11:32,880 --> 00:11:36,171 それと同じくらいに重要なニュースなのだ」と 289 00:11:38,488 --> 00:11:40,968 マリア・バシルはアフガニスタンで 290 00:11:40,968 --> 00:11:44,092 初の そして唯一の女性主席検事です 291 00:11:44,092 --> 00:11:46,306 彼女は2008年から この職についており 292 00:11:46,306 --> 00:11:48,492 女性に対する暴力事件を調査するために 293 00:11:48,492 --> 00:11:50,318 調査機関を設置しました 294 00:11:50,318 --> 00:11:52,576 彼女は自らの任務の中でも 295 00:11:52,576 --> 00:11:54,310 最も重要な領域だと語っています 296 00:11:54,310 --> 00:11:57,375 ヘラートの彼女の事務所で会う時には 297 00:11:57,375 --> 00:11:59,120 彼女は4挺の大きな銃を手にした 298 00:11:59,120 --> 00:12:02,486 4人の大きな男性に囲まれて入ってきます 299 00:12:02,486 --> 00:12:05,450 事実 彼女には今 23人のボディーガードがいます 300 00:12:05,450 --> 00:12:06,870 なぜなら 彼女は爆弾の攻撃を受けて 301 00:12:06,870 --> 00:12:08,548 子供を殺されかけたからです 302 00:12:08,548 --> 00:12:11,899 その際 ボディーガードの1人は 片足を失いました 303 00:12:11,899 --> 00:12:14,009 彼女はなぜ続けるのでしょうか? 304 00:12:14,009 --> 00:12:16,663 皆に同じことを聞かれるのだと 305 00:12:16,663 --> 00:12:18,710 彼女は微笑んで言います 306 00:12:18,710 --> 00:12:22,535 「なぜ生きないという 危険を冒すのか?」と 307 00:12:22,535 --> 00:12:24,174 彼女にとっては単に 308 00:12:24,174 --> 00:12:27,643 マリア・バシルの家族にとっての よりよい未来は 309 00:12:27,643 --> 00:12:29,127 危険を冒す価値のあるものであり 310 00:12:29,127 --> 00:12:30,837 自分のような人間が 311 00:12:30,837 --> 00:12:32,752 危険を冒さなければ 312 00:12:32,752 --> 00:12:35,049 より良い未来は来ないのです 313 00:12:35,049 --> 00:12:36,776 後にインタビューの中で 314 00:12:36,776 --> 00:12:39,139 バシル検事は私に いかに彼女が 315 00:12:39,139 --> 00:12:40,658 自分を狙うタリバンと政府との 316 00:12:40,658 --> 00:12:43,157 起こりうる交渉結果について 心配しているかを 317 00:12:43,157 --> 00:12:45,551 話してくれました 318 00:12:45,551 --> 00:12:47,303 「もし政府での居場所をタリバンに与えたら 319 00:12:47,303 --> 00:12:50,520 誰が女性の権利を守るのでしょうか」 と彼女は問います 320 00:12:50,520 --> 00:12:52,886 そして国際社会に 321 00:12:52,886 --> 00:12:55,518 タリバンとの和平を築きたいからといって 322 00:12:55,518 --> 00:12:59,345 女性との約束を忘れないよう 呼びかけています 323 00:12:59,345 --> 00:13:01,550 私がアフガニスタンを経った数週間後 324 00:13:01,550 --> 00:13:04,425 インターネットでトップ記事を目にします 325 00:13:04,425 --> 00:13:08,030 アフガニスタンの検事が暗殺されたと言うのです 326 00:13:08,030 --> 00:13:10,166 必死でグーグルで調べると 327 00:13:10,166 --> 00:13:11,840 ありがたいことに マリアは 328 00:13:11,840 --> 00:13:13,926 犠牲者ではないことがわかりました 329 00:13:13,926 --> 00:13:16,149 しかし悲しいことに 別のアフガニスタンの検事が 330 00:13:16,149 --> 00:13:18,180 仕事に向かう途中に射殺されたのでした 331 00:13:18,180 --> 00:13:21,175 私は今 そのようなトップ記事を耳にすると 332 00:13:21,175 --> 00:13:23,473 今年以降 国際部隊が 333 00:13:23,473 --> 00:13:26,521 アフガニスタンを離れるからこそ 334 00:13:26,521 --> 00:13:28,427 現地の人々やすべての マリア・バシルのような人々に 335 00:13:28,427 --> 00:13:29,860 何が起きているかに 336 00:13:29,860 --> 00:13:32,886 関心を持ち続けなければなりません 337 00:13:32,886 --> 00:13:35,499 時々 彼女の声が頭の中で響きます 338 00:13:35,499 --> 00:13:38,580 虚勢などではなく 彼女はこう言うのです 339 00:13:38,580 --> 00:13:41,185 「アフガニスタンにおける 女性を取り巻く状況は 340 00:13:41,185 --> 00:13:43,091 いつか必ずよくなるでしょう 341 00:13:43,091 --> 00:13:45,326 私たちはたとえ殺されたとしても 342 00:13:45,326 --> 00:13:48,269 その基盤を作らねばなりません」 343 00:13:49,854 --> 00:13:51,502 アル・シャバブというテロ組織を 344 00:13:51,502 --> 00:13:53,478 批判するに適切な言葉が見つかりません 345 00:13:53,478 --> 00:13:55,740 彼らは2013年9月の 346 00:13:55,740 --> 00:13:59,202 子供たちの料理大会が 行われていたのと同じ日に 347 00:13:59,202 --> 00:14:01,620 ナイロビのウエストゲート・モールを襲撃しました 348 00:14:01,620 --> 00:14:06,119 詩人や妊婦を含め 67人が殺害されました 349 00:14:06,119 --> 00:14:08,218 遠く離れたアメリカ中西部で 350 00:14:08,218 --> 00:14:10,565 私は運良く ソマリア系アメリカ人に会いました 351 00:14:10,565 --> 00:14:13,413 アル・シャバブが少数の若者を ミネアポリスで勧誘して 352 00:14:13,413 --> 00:14:15,637 ウエストゲートのような残虐行為に 353 00:14:15,637 --> 00:14:17,581 参加させようとする企てに対して 354 00:14:17,581 --> 00:14:21,279 反対する活動をしていました 355 00:14:21,279 --> 00:14:23,239 アブドリザク・ ビヒ氏の勉強好きな 356 00:14:23,239 --> 00:14:26,128 17歳の甥 ブルハン・ハッサンは 357 00:14:26,128 --> 00:14:28,776 2008年にここで兵士として採用され 358 00:14:28,776 --> 00:14:30,536 ソマリアへと誘拐され 359 00:14:30,536 --> 00:14:33,906 帰国しようとしたら殺されたのです 360 00:14:33,906 --> 00:14:35,500 その時から ビヒ氏は 361 00:14:35,500 --> 00:14:39,753 無予算のソマリア教育・権利擁護センターの 理事長でもありますが― 362 00:14:39,753 --> 00:14:42,204 テロ組織による兵士の採用と 363 00:14:42,204 --> 00:14:44,060 政府の失態と 364 00:14:44,060 --> 00:14:46,279 アブバカー・アサディク・イスラム教センターのような 365 00:14:46,279 --> 00:14:49,304 ソマリア系アメリカ人団体に対する 非難の声を上げ続けています 366 00:14:49,304 --> 00:14:51,535 彼はこのセンターの青年プログラムを通じて 367 00:14:51,535 --> 00:14:53,641 甥が原理主義に傾倒したと考えています 368 00:14:53,641 --> 00:14:55,794 しかし 彼はただモスクを 非難するのではありません 369 00:14:55,794 --> 00:14:57,373 彼は政府の失態を糾弾し 370 00:14:57,373 --> 00:14:59,158 コミュニティーでの貧困を防ぐために 371 00:14:59,158 --> 00:15:01,656 もっと何かすべきだと批判しています 372 00:15:01,656 --> 00:15:03,945 財源に乏しかったので 373 00:15:03,945 --> 00:15:06,256 ビヒ氏には創造力が必要でした 374 00:15:06,256 --> 00:15:08,150 不満を抱く若者に影響を与えようという 375 00:15:08,150 --> 00:15:10,535 アル・シャバブの企てに反対するため 376 00:15:10,535 --> 00:15:12,970 ウガンダのワールドカップ観戦者らに対する 377 00:15:12,970 --> 00:15:15,564 2010年の集団攻撃に続いて 378 00:15:15,564 --> 00:15:18,904 彼はそれに応えるようにミネアポリスで 379 00:15:18,904 --> 00:15:21,436 ラマダン・バスケットボール選手権を計画しました 380 00:15:21,436 --> 00:15:24,120 たくさんのソマリア系アメリカ人の子供たちが 381 00:15:24,120 --> 00:15:25,508 スポーツに参加しました 382 00:15:25,508 --> 00:15:28,000 ファトワーでは禁じられているにも拘らず 383 00:15:28,000 --> 00:15:29,745 ブルハン・ハッサンには 384 00:15:29,745 --> 00:15:33,612 二度とできないバスケットボールを 彼らはやったのです 385 00:15:33,612 --> 00:15:36,262 このことにより ビヒ氏は かつては良好な関係を築いていた 386 00:15:36,262 --> 00:15:39,334 アブバカル・アサディク・イスラム教センターの 387 00:15:39,334 --> 00:15:41,899 指導者によって追放されました 388 00:15:41,899 --> 00:15:44,285 彼が言ったことには 「ある日 テレビでイマームが 389 00:15:44,285 --> 00:15:46,343 私たちを異端者だと呼んで 390 00:15:46,343 --> 00:15:49,912 『彼らはモスクを破壊しようとしている』 と言っていた」のだそうです 391 00:15:49,912 --> 00:15:51,323 これはアドリザク・ ビヒ氏が 392 00:15:51,323 --> 00:15:53,856 アル・シャバブによる兵士採用を減らすことで 393 00:15:53,856 --> 00:15:55,656 達成しようとしていることとは 394 00:15:55,656 --> 00:15:58,062 まったく食い違っています 395 00:15:58,062 --> 00:16:00,484 彼は私の愛する宗教を 少数の原理主義者から 396 00:16:00,484 --> 00:16:03,610 守ろうとしているのです 397 00:16:04,938 --> 00:16:07,499 最後にもう1つお話ししたいと思います 398 00:16:07,499 --> 00:16:10,513 アルジェリアの22才の法学生である 399 00:16:10,513 --> 00:16:12,459 アメル・ゼヌーン=ズアニは 400 00:16:12,459 --> 00:16:14,338 私が90年代にそうであったように 401 00:16:14,338 --> 00:16:17,040 法律家としてのキャリアを夢見ていました 402 00:16:17,040 --> 00:16:18,969 彼女は勉学を諦めることを拒みましたが 403 00:16:18,969 --> 00:16:20,938 原理主義がその頃 404 00:16:20,938 --> 00:16:23,468 アルジェリアを取り戻すために戦い 405 00:16:23,468 --> 00:16:27,090 教育を受け続ける者全てを脅かしていました 406 00:16:27,090 --> 00:16:31,200 1997年1月26日 アメルは学校に通っていた 407 00:16:31,200 --> 00:16:33,122 アルジェでバスに乗り 408 00:16:33,122 --> 00:16:35,305 ラマダンの夜を家族と過ごすために 409 00:16:35,305 --> 00:16:36,994 家に向かい― 410 00:16:36,994 --> 00:16:39,380 ロースクールを卒業することは ありませんでした 411 00:16:39,380 --> 00:16:40,840 バスが彼女の家のある 412 00:16:40,840 --> 00:16:42,615 郊外まで来たとき 413 00:16:42,615 --> 00:16:44,757 武装イスラム集団の人々に 414 00:16:44,757 --> 00:16:47,051 占拠された検問所で止められました 415 00:16:47,051 --> 00:16:48,780 アメルは学校かばんを手に 416 00:16:48,780 --> 00:16:50,766 バスから降ろされ 417 00:16:50,766 --> 00:16:53,355 路上で殺されました 418 00:16:53,355 --> 00:16:54,491 彼女の喉を切り裂いた男は 419 00:16:54,491 --> 00:16:56,341 他の乗客に言いました 420 00:16:56,341 --> 00:16:58,235 「お前たちが大学に行けば 421 00:16:58,235 --> 00:17:00,789 こんな風にお前たちを全員 422 00:17:00,789 --> 00:17:04,020 殺す日が来るぞ」 423 00:17:04,020 --> 00:17:06,720 アメルは午後5時17分きっかりに亡くなりました 424 00:17:06,720 --> 00:17:09,568 路上で倒れた時に 彼女の腕時計が壊れたので 425 00:17:09,568 --> 00:17:11,345 そう分かるのです 426 00:17:11,345 --> 00:17:12,574 彼女のお母さんは秒針が 427 00:17:12,574 --> 00:17:14,575 決して訪れることのない 428 00:17:14,575 --> 00:17:16,070 5時18分に向けて 429 00:17:16,070 --> 00:17:19,507 悠然と上を向いている その時計を見せてくれました 430 00:17:19,507 --> 00:17:20,656 死の直前に 431 00:17:20,656 --> 00:17:22,511 アメルは母親と 432 00:17:22,511 --> 00:17:24,397 姉妹たちにこう言ったそうです 433 00:17:24,397 --> 00:17:28,015 「アラーの思し召しがあれば 私たちには何も起こらないわ 434 00:17:28,015 --> 00:17:29,885 でも もし何かあったら 435 00:17:29,885 --> 00:17:32,768 私たちは知識のために 命を失ったのだと思ってね 436 00:17:32,768 --> 00:17:36,978 お母さんもお父さんも 胸を張り続けていてね」 437 00:17:36,978 --> 00:17:40,960 このような若い女性を失うことは 深くはかり知れず 438 00:17:40,960 --> 00:17:42,515 ですから私は研究をしました 439 00:17:42,515 --> 00:17:45,769 私はアメルの希望を再び見出そうと努め 440 00:17:45,769 --> 00:17:48,706 そして彼女の名は実に アラブ語で「希望」という意味なのです 441 00:17:48,706 --> 00:17:51,957 私は希望を2つの場所で見つけました 442 00:17:51,957 --> 00:17:54,252 1つ目は彼女の家族や他の家族が 443 00:17:54,252 --> 00:17:57,518 この話を語り継ぎ続け 444 00:17:57,518 --> 00:18:00,583 テロにも屈さず生活を続けていく 強さの中にです 445 00:18:00,583 --> 00:18:03,865 事実 アメルの妹 ラミアは悲しみを乗り越え 446 00:18:03,865 --> 00:18:05,236 ロースクールへと行き 447 00:18:05,236 --> 00:18:07,990 現在ではアルジェで弁護士をしています 448 00:18:07,990 --> 00:18:09,591 これが可能であったのは ひとえに 449 00:18:09,591 --> 00:18:10,780 武装した原理主義者が 450 00:18:10,780 --> 00:18:13,658 アルジェリアではぼ敗れたからです 451 00:18:13,658 --> 00:18:16,505 私がアメルの希望を見つけた 2つ目の場所は 452 00:18:16,505 --> 00:18:18,977 男性も女性もジハードの戦士に 453 00:18:18,977 --> 00:18:21,672 立ち向かい続けている全ての場所でした 454 00:18:21,672 --> 00:18:24,930 私たちはアメルに敬意を表し 455 00:18:24,930 --> 00:18:27,563 「イスラム法の下に生きる女性たち」の ネットワークのように 456 00:18:27,563 --> 00:18:31,560 現在でも人権に関する戦いを 続けている人々を支援すべきです 457 00:18:31,560 --> 00:18:34,187 被害者の権利が主張しているように 458 00:18:34,187 --> 00:18:36,074 テロと戦うだけでは十分ではないと 459 00:18:36,074 --> 00:18:39,139 シュリファ・ハダールにアルジェで言われました 460 00:18:39,139 --> 00:18:41,683 私たちは原理主義に 戦いを挑まなければなりません 461 00:18:41,683 --> 00:18:44,120 なぜなら原理主義は 462 00:18:44,120 --> 00:18:46,711 テロリズムの温床となる イデオロギーだからです 463 00:18:46,711 --> 00:18:50,150 なぜアメルや彼らのような人々が 464 00:18:50,150 --> 00:18:51,844 もっと知られないのでしょうか? 465 00:18:51,844 --> 00:18:55,121 なぜオサマ・ビンラディンが誰かは 皆知っているのに 466 00:18:55,121 --> 00:18:57,054 その背後でビンラディンらに抵抗して 467 00:18:57,054 --> 00:19:00,747 立ち上がっている人々については ほとんど知らないのでしょう? 468 00:19:00,747 --> 00:19:03,404 私たちはこの状況を 変えていかなければなりません 469 00:19:03,404 --> 00:19:05,172 ですから あなたのネットワークを通して 470 00:19:05,172 --> 00:19:06,945 これらの話を共有して欲しいのです 471 00:19:06,945 --> 00:19:09,044 もう一度アメル・ゼヌーンの時計を見て下さい 472 00:19:09,044 --> 00:19:10,704 永遠に止まったままです 473 00:19:10,704 --> 00:19:13,066 あなたの時計を見てください 474 00:19:13,066 --> 00:19:16,090 今この瞬間が アメルのような人々を支援していく 475 00:19:16,090 --> 00:19:17,998 時だと決意してください 476 00:19:17,998 --> 00:19:20,379 彼らについて沈黙する権利は 私たちにはないのです 477 00:19:20,379 --> 00:19:21,877 より簡単だからとか 478 00:19:21,877 --> 00:19:24,738 西欧諸国の政策の欠陥は理由になりません 479 00:19:24,738 --> 00:19:27,074 なぜなら 5時17分は今もなお 480 00:19:27,074 --> 00:19:28,941 学生が今でもジハードによって殺されている 481 00:19:28,941 --> 00:19:30,911 ナイジェリア北部のような場所で 482 00:19:30,911 --> 00:19:33,487 あまりに多くのアメルたちの 元に近づいているのです 483 00:19:33,487 --> 00:19:36,568 自らのコミュニティにおいて 原理主義とテロリズムに対して 484 00:19:36,568 --> 00:19:38,876 平和的に戦いを挑む全ての人々を 485 00:19:38,876 --> 00:19:41,840 支持すると声を上げるべき時は 486 00:19:41,840 --> 00:19:43,376 今なのです 487 00:19:43,376 --> 00:19:45,659 ありがとうございました 488 00:19:45,659 --> 00:19:48,165 (拍手)