0:00:00.765,0:00:02.276
時には 最も大切なことが

0:00:02.276,0:00:05.258
最も小さなものに[br]秘められていることがあります

0:00:05.258,0:00:08.847
私に与えられた15分のトークで[br]「生命がいるのは地球だけか？」

0:00:08.847,0:00:13.100
といった疑問に 微生物は多くの情報を[br]与えてくれるのだということを

0:00:13.100,0:00:14.998
皆さんに納得してもらおうと思います

0:00:14.998,0:00:20.223
微生物は太陽系だけでなく[br]その外にいる生命についても

0:00:20.223,0:00:22.100
語ることができるかもしれません

0:00:22.100,0:00:27.397
私はそう考えて 地球上で[br]最もありえないと思える場所

0:00:27.397,0:00:29.766
生きのびることがとても難しい

0:00:29.766,0:00:32.450
極限環境の地を探求しています

0:00:32.450,0:00:35.704
実際 そういう場所に近づきすぎると[br]自分自身も命の危機に晒されます

0:00:35.704,0:00:37.521
でも大切なことがあります

0:00:37.521,0:00:43.134
我々人類は太陽系で[br]唯一の進んだ文明を有しています

0:00:43.134,0:00:46.878
だからといって近くの惑星に[br]微生物がいないとは言えません

0:00:46.878,0:00:50.663
実際 ここでご覧になっている[br]惑星や衛星は

0:00:50.663,0:00:54.633
何れも生命を宿しているかもしれません

0:00:54.633,0:00:57.482
その可能性が高いと思います

0:00:57.482,0:01:02.135
これらの衛星や惑星で[br]生命を見つけようと試みれば

0:01:02.135,0:01:05.150
次のような疑問に[br]答えることができるでしょう

0:01:05.150,0:01:07.287
「太陽系に生命がいるのは[br]地球だけなのか？」

0:01:07.287,0:01:09.256
「生命はどこから来たのか？」

0:01:09.256,0:01:12.233
「近くの星にも生命がいるのか？」

0:01:12.233,0:01:16.157
「太陽系の外にも生命はいるのか？」

0:01:16.157,0:01:20.244
こういった質問が可能になった背景には

0:01:20.244,0:01:24.520
生存可能な惑星に関する知識の[br]飛躍的な進歩があります

0:01:24.520,0:01:27.860
今日の理解では [br]生存可能な惑星の条件とは

0:01:27.860,0:01:32.193
水が安定して存在する[br]領域があることです

0:01:32.193,0:01:35.922
でも これは生存可能性の[br]水平方向の定義に過ぎないと思います

0:01:35.922,0:01:38.197
恒星からの距離に基づく定義だからです

0:01:38.197,0:01:41.169
しかし生存可能性には別の次元 つまり

0:01:41.169,0:01:43.350
垂直方向という次元があるのです

0:01:43.840,0:01:47.527
垂直方向の次元とは

0:01:47.527,0:01:54.210
恒星から かなり離れた惑星の[br]地下の条件と考えてください

0:01:54.210,0:01:57.353
ただし そこには水、エネルギー、

0:01:57.353,0:01:59.304
一部は食料となる栄養素、それに

0:01:59.304,0:02:01.207
シールドがあるとします

0:02:01.207,0:02:03.251
地球の場合だと

0:02:03.251,0:02:07.796
太陽の光が届かない[br]深い海では

0:02:07.796,0:02:09.663
生命は化学反応だけを

0:02:09.663,0:02:13.676
生存のためのプロセスとして利用し[br]繁栄しているのです

0:02:13.676,0:02:19.326
そう考えると[br]旧来の理屈は全て崩壊します

0:02:19.326,0:02:21.600
基本的に制約はなくなります

0:02:21.600,0:02:24.160
最近のニュースの[br]ヘッドラインによると

0:02:24.160,0:02:27.120
エウロパ、ガニメデ、[br]エンケラドゥス、タイタンといった

0:02:27.120,0:02:30.989
衛星の地下には[br]海があることが発見されており

0:02:30.989,0:02:33.923
エンケラドゥスでは間欠泉や温泉が[br]見つかっています

0:02:33.923,0:02:37.978
太陽系は巨大な温泉だと[br]わかりつつあるのです

0:02:37.978,0:02:41.864
温泉に行けば 多くの微生物が[br]温泉好きなことがわかるでしょう

0:02:41.864,0:02:43.582
(笑)

0:02:43.582,0:02:47.111
では 火星についても考えてみましょう

0:02:47.111,0:02:50.478
現在の火星の地表では[br]生命は存在できませんが

0:02:50.478,0:02:53.729
地下になら潜んでいる可能性があります

0:02:53.729,0:02:59.339
我々は生存可能性についての[br]理解を深めています

0:02:59.339,0:03:02.111
しかし それだけでなく[br]地球上の

0:03:02.111,0:03:05.687
生命の痕跡といったことにも[br]理解を深めています

0:03:05.687,0:03:08.543
たとえば有機分子と称するものは

0:03:08.543,0:03:10.470
生物を構成する基本ブロックです

0:03:10.470,0:03:12.350
それから化石や

0:03:12.350,0:03:15.253
バクテリアと岩石との反応によって[br]生成された

0:03:15.253,0:03:18.643
鉱物であるバイオミネラルがあります

0:03:18.643,0:03:21.777
勿論 大気中の成分にも[br]痕跡が含まれます

0:03:21.777,0:03:23.983
このスライドの右側にある

0:03:23.983,0:03:25.934
小さな緑藻類は

0:03:25.934,0:03:29.450
十億年前から大気中に[br]酸素を排出している生物の

0:03:29.450,0:03:31.843
直系の子孫にあたります

0:03:31.843,0:03:34.465
当初は 地表に住む90％の生物にとって

0:03:34.465,0:03:35.987
酸素は有害でしたが

0:03:35.987,0:03:39.190
今では そのおかげで[br]我々は呼吸することができます

0:03:40.740,0:03:45.925
このように我々の知識が[br]積み重なっているにも関わらず

0:03:45.925,0:03:48.851
未だに答えられない疑問があります

0:03:48.851,0:03:51.126
「一体 我々はどこから来たのか？」

0:03:51.126,0:03:52.844
また さらに厄介なことに

0:03:52.844,0:03:55.886
我々がどこから来たのかという[br]物的証拠が

0:03:55.886,0:03:58.440
この地球上で見つかることは[br]ないでしょう

0:03:58.440,0:04:04.130
というのも 40億年以上前の痕跡は[br]何も残されていないのですから

0:04:04.130,0:04:05.754
全ての記録はプレートの運動や

0:04:05.754,0:04:09.632
侵食によって[br]消滅してしまったのです

0:04:09.632,0:04:13.184
これを私は[br]地球の生物学的地平線と呼んでいます

0:04:13.184,0:04:16.666
この地平線を越えると[br]我々はその起源を知りえないのです

0:04:16.666,0:04:19.593
では全てが失われたのでしょうか？[br]そうとは限りません

0:04:19.593,0:04:23.308
生命の起源を示す証拠は[br]予期せぬ場所にあるかもしれません

0:04:23.308,0:04:26.419
その場所とは火星です

0:04:27.929,0:04:29.420
どうしてでしょうか？

0:04:29.420,0:04:32.201
太陽系の黎明期には

0:04:32.201,0:04:37.169
火星と地球に巨大な隕石や彗星が[br]衝突していたのに違いありません

0:04:37.169,0:04:40.327
あらゆる場所で衝突が起こり[br]噴出物が放出されました

0:04:40.327,0:04:44.187
地球と火星は 非常に長い間[br]岩石をぶつけ合っていたのです

0:04:44.187,0:04:46.230
岩石のかけらが地球に落下し

0:04:46.230,0:04:48.181
地球のかけらが火星に落下しました

0:04:48.181,0:04:53.359
ですから この２つの惑星は[br]同じ物質から始まったのかもしれません

0:04:53.359,0:04:57.283
我々の祖先が「探してごらん」と[br]火星の表面で待っているかもしれません

0:04:58.659,0:05:06.190
つまり火星に行けば生命の起源の[br]痕跡を探し出せるということです

0:05:06.190,0:05:08.442
火星は秘密を握っているかもしれません

0:05:08.442,0:05:11.150
だから我々にとって[br]火星は特別なのです

0:05:11.150,0:05:13.160
でも 実際に発見するには

0:05:13.160,0:05:18.544
火星に 生命が生存可能だった[br]時期がなくてはいけません

0:05:18.544,0:05:20.400
火星は生存可能だったのでしょうか？

0:05:20.400,0:05:24.254
まさにその質問に答えてくれる[br]数々の探査ミッションがあります

0:05:24.254,0:05:27.992
生命が地球に登場した時

0:05:27.992,0:05:32.830
火星にも 海があり[br]火山や湖もありました

0:05:32.830,0:05:35.673
この美しい写真のような[br]三角州もありました

0:05:35.673,0:05:39.460
探査車キュリオシティから[br]数日前に送られてきたものです

0:05:39.460,0:05:43.142
三角州の面影が写っている[br]この写真は あることを物語っています

0:05:43.142,0:05:45.096
かつて水が豊富にあり

0:05:45.096,0:05:47.757
長期間 地表に水が湧いていたのです

0:05:47.757,0:05:49.568
生命にとって 良いニュースです

0:05:49.568,0:05:52.990
生命を生じさせる化学反応が起きるには[br]長い時間が必要です

0:05:52.990,0:05:54.507
だからとても良いニュースです

0:05:54.507,0:05:58.127
では火星に行けば生命の痕跡を[br]容易に見つけられるのでしょうか

0:05:58.127,0:06:00.010
いえ そうとは限りません

0:06:00.010,0:06:01.861
火星で起きたのは こんなことです

0:06:01.861,0:06:05.230
地球の表面で[br]生物が爆発的に増えた頃

0:06:05.230,0:06:07.369
火星では文字通り

0:06:07.369,0:06:08.901
事態は悪化していました

0:06:08.901,0:06:12.472
大気は太陽風によって[br]吹き飛ばされ

0:06:12.472,0:06:14.775
磁気圏も消失し

0:06:14.775,0:06:19.187
宇宙線と紫外線が地表に降り注ぎ

0:06:19.187,0:06:23.410
水は宇宙空間に散逸したり[br]地下に封じ込められました

0:06:23.410,0:06:26.501
ですから もし火星の表面に

0:06:26.501,0:06:31.430
生命の痕跡が存在するとして

0:06:31.430,0:06:33.644
それを理解し見つけたいなら

0:06:33.644,0:06:36.831
こういった現象が[br]生命の痕跡の記録の保存に

0:06:36.831,0:06:40.484
どのような影響があったのか[br]理解しなければなりません

0:06:40.484,0:06:45.314
そうして はじめて[br]痕跡が残された場所がわかって

0:06:45.314,0:06:48.997
探査車を適切な場所に[br]送り込むことができ

0:06:48.997,0:06:52.146
生命の正体について[br]重要な手がかりとなる

0:06:52.146,0:06:54.862
岩石のサンプルが採取できるでしょう

0:06:54.862,0:06:58.972
仮にうまくいかなくても[br]生命がどこか別の惑星で

0:06:58.972,0:07:01.828
独自に誕生したのだと[br]言えるかもしれません

0:07:01.828,0:07:04.336
痕跡の在処を知るのは[br]難しいことではありません

0:07:04.336,0:07:07.894
35億年前の惑星に

0:07:07.894,0:07:10.285
戻るだけです

0:07:10.285,0:07:12.909
タイムマシンがあれば良いのです

0:07:12.909,0:07:15.103
簡単なことですよね？

0:07:15.103,0:07:16.673
実際そうなんです

0:07:16.673,0:07:18.574
周りを見てましょう[br]我が地球 ―

0:07:18.574,0:07:20.618
これこそがタイムマシンなのです

0:07:20.618,0:07:24.788
地質学者は地質学によって[br]地球の過去に遡ります

0:07:24.788,0:07:26.971
でも私の応用の仕方は[br]少し異なります

0:07:26.971,0:07:29.966
地球上の超極限環境 ー

0:07:29.966,0:07:32.868
気候条件が変化した時の

0:07:32.868,0:07:34.865
火星と類似した環境を利用し

0:07:34.865,0:07:37.745
何が起きたのかを[br]理解しようと努めています

0:07:37.745,0:07:39.439
生命の痕跡とは何か？

0:07:39.439,0:07:42.272
何が残されているのか？[br]どうやって探せばよいのか？

0:07:42.272,0:07:45.276
では今からちょっとした

0:07:45.276,0:07:48.130
タイムマシンの旅にお連れしましょう

0:07:48.130,0:07:52.865
ご覧いただいているのは[br]アンデス山脈 標高4,500m地点で

0:07:52.865,0:07:59.594
地球と火星が形成されて十億年も[br]経っていない時期にあたります

0:07:59.594,0:08:03.285
地球と火星は[br]どこを見ても

0:08:03.285,0:08:06.796
火山だらけで 湖はどこも[br]蒸気で泡立っていて

0:08:06.796,0:08:10.103
ミネラル分を含み[br]温泉のようになっていることでしょう

0:08:10.103,0:08:13.934
湖岸の盛り上がっている場所が[br]ご覧になれるでしょうか？

0:08:13.934,0:08:17.394
これは地球上 最古の化石となった[br]最初の生命体の

0:08:17.394,0:08:20.496
子孫によって形成されたものです

0:08:20.496,0:08:24.555
でも何が起きていたか知るためには[br]より深く見る必要があります

0:08:24.555,0:08:26.470
もう一つ指摘しておくべきことは

0:08:26.470,0:08:29.946
ここは 35億年前の火星と[br]全く同じ状況だということです

0:08:29.946,0:08:34.462
気候は急激に変化し[br]水と氷が消滅していきます

0:08:34.462,0:08:37.678
ただ 火星が変化を終えた時点まで[br]時間を進めるには

0:08:37.678,0:08:39.760
さらに上へ登る必要があります

0:08:40.441,0:08:41.857
なぜでしょうか？

0:08:41.857,0:08:43.215
高い場所に行くほど

0:08:43.215,0:08:46.337
空気は薄く不安定になっていきます

0:08:46.337,0:08:51.648
温度が下がり[br]より紫外線の照射を受けます

0:08:51.648,0:08:52.457
これこそが

0:08:52.457,0:08:57.191
火星で変化が起きた後の[br]状況なのです

0:08:58.340,0:09:04.837
さて 私は快適なタイムマシンの旅を[br]お約束したわけではありません

0:09:04.837,0:09:07.371
タイムマシンの中で[br]ただ座っているのではなく

0:09:07.371,0:09:10.399
皆さんには 600キロほどの資器材を

0:09:10.399,0:09:14.184
アンデスの標高２万フィートにある[br]火口へと運んでいただきます

0:09:14.184,0:09:16.784
これは約６千メートルになります

0:09:16.784,0:09:20.407
寝る場所は42度も傾斜がある斜面で

0:09:20.407,0:09:23.518
夜の間 地震が起こらないことを[br]願うばかりです

0:09:23.518,0:09:28.464
しかし頂上にたどり着くと[br]まさに探し求めていた湖があります

0:09:28.464,0:09:33.126
この高度における湖の環境は

0:09:33.126,0:09:36.245
35億年前の火星のものと[br]全く同じです

0:09:36.245,0:09:39.170
ここで旅の趣きを変え

0:09:39.170,0:09:41.890
湖の中へと入って行くことにします

0:09:41.890,0:09:45.541
では 山登り用の装備を外し

0:09:45.541,0:09:49.847
潜水用スーツに着替え[br]中に入って行きましょう

0:09:50.277,0:09:54.452
湖に潜った まさにその時

0:09:54.452,0:09:56.380
我々は隣の惑星の

0:09:56.380,0:09:59.561
35億年前へと遡ったことになり

0:09:59.561,0:10:03.661
求める答えが そこで見つかるのです

0:10:04.511,0:10:07.633
生命はどこにも[br]まさに どこにでもいます

0:10:07.633,0:10:10.953
この写真に写っているのは[br]すべて生きている微生物です

0:10:10.953,0:10:14.446
ダイバーを別としてですが

0:10:15.626,0:10:18.853
ただ この写真は誤解を招きます

0:10:18.853,0:10:21.523
この湖には生命が豊富ですが

0:10:21.523,0:10:25.630
現在の地球上の多くの場所と同様に[br]気候変動によって

0:10:25.630,0:10:28.324
生物の多様性が著しく[br]損なわれています

0:10:28.744,0:10:31.740
持ち帰ったサンプルによると

0:10:31.740,0:10:37.556
これらの湖に住むバクテリアの36％は[br]３つの種で占められおり

0:10:37.556,0:10:41.375
この３つの種こそが[br]今まで生き延びてこられたのです

0:10:41.375,0:10:44.162
これは１つ目の湖の隣にある[br]別の湖です

0:10:44.162,0:10:47.830
赤い色は鉱物によるものではなく

0:10:47.830,0:10:51.151
微小な藻が存在していることによります

0:10:51.151,0:10:55.660
この地域では[br]紫外線がひどく照射しています

0:10:55.660,0:10:59.129
UVインデックス11は[br]極端に強いレベルとされますが

0:10:59.129,0:11:03.160
紫外線の嵐が降り注ぐ時[br]ここではインデックス43に達します

0:11:03.730,0:11:07.976
SPF30の日焼け止めでも[br]歯が立ちません

0:11:07.976,0:11:11.342
湖水の透明度が非常に高いので

0:11:11.342,0:11:14.675
藻は隠れる場所も無く

0:11:14.675,0:11:16.965
太陽光を遮る仕組みを[br]発達させました

0:11:16.965,0:11:18.749
それがご覧の赤い色の理由です

0:11:18.749,0:11:21.310
ただ 藻が適応できるのもここまでで

0:11:21.310,0:11:23.788
地表から水が消滅してしまうと

0:11:23.788,0:11:26.388
微生物に残される道は唯一つ

0:11:26.388,0:11:28.246
地下に潜むことしかありません

0:11:28.246,0:11:31.171
微生物は[br]このスライドに写っている

0:11:31.171,0:11:34.391
岩石の内側で生きています

0:11:34.391,0:11:37.585
岩石の半透明性を利用し

0:11:37.585,0:11:39.382
紫外線の良い部分を[br]取り込む一方

0:11:39.382,0:11:43.126
DNAを破壊する有害な成分を[br]排除して身を守ります

0:11:43.126,0:11:45.401
火星の生命の探査に備え[br]探査車のテストを

0:11:45.401,0:11:48.977
ここで行う理由は そこにあります

0:11:48.977,0:11:52.714
35億年前の火星に生物が居たのなら

0:11:52.714,0:11:57.074
自らを守るために[br]同じ戦略を取ったはずですから

0:11:57.864,0:12:00.242
ですから 極限環境の調査が

0:12:00.242,0:12:03.770
火星探査ミッションの準備に

0:12:03.770,0:12:07.761
役に立つのは明らかです

0:12:07.761,0:12:12.100
これまでのところ その成果として[br]火星の地質に対する理解が深まりました

0:12:12.100,0:12:16.221
過去の火星の気候と その後の変化 ―

0:12:16.221,0:12:19.208
そして 生存可能性についても[br]理解が進みました

0:12:19.208,0:12:24.747
火星に送り込まれた最新の探査車は[br]微量の有機物を発見しました

0:12:24.747,0:12:27.706
火星の地表に有機物があったのです

0:12:27.706,0:12:31.607
微量のメタンも発見されました

0:12:31.607,0:12:34.152
このメタンが

0:12:34.152,0:12:37.990
地質由来なのか 生物由来なのかは[br]分かっていません

0:12:37.990,0:12:42.859
どちらにしろ[br]この発見により

0:12:42.859,0:12:46.100
今日の火星にも[br]まだ生命が生きているという仮説は

0:12:46.100,0:12:48.455
まだ捨てられません

0:12:48.455,0:12:53.652
ここまでの話で 火星には特別な意味が[br]あることを分かって頂けたと思います

0:12:53.652,0:12:56.628
ただし微生物が見つかる可能性という点で

0:12:56.628,0:13:01.574
太陽系で興味深いのは[br]火星だけだと考えるのは間違いです

0:13:02.434,0:13:06.352
なぜなら火星と地球では[br]生命が共通の起源を持つ

0:13:06.352,0:13:09.143
可能性がありますが

0:13:09.143,0:13:13.290
火星から向こうになると[br]話は単純ではないからです

0:13:13.290,0:13:15.900
惑星間の物質のやり取りは

0:13:15.900,0:13:18.315
天体力学上 簡単には起こりえないので

0:13:18.315,0:13:22.355
他の惑星で生命が発見された場合

0:13:22.355,0:13:24.212
おそらく地球の生命とは

0:13:24.212,0:13:26.050
タイプが異なるでしょう

0:13:26.050,0:13:28.903
結局は地球にしか[br]生命はいないかもしれません

0:13:28.903,0:13:30.899
地球と火星だけかも しれませんし

0:13:30.899,0:13:34.382
太陽系には起源の異なる多くの生命が[br]いるかもしれません

0:13:34.382,0:13:38.110
私はその答えをまだ持ち合わせませんが[br]お伝えできることもあります

0:13:38.110,0:13:42.542
つまり結果である魔法の数字が[br]どんなものであろうと

0:13:42.542,0:13:44.553
太陽系を越えたところにおける

0:13:44.553,0:13:49.081
生命生存の可能性と その豊かさ[br]そして多様性を測る基準を

0:13:49.081,0:13:52.191
提示できるようになるということです

0:13:52.191,0:13:54.751
これは我々の世代で達成できます

0:13:54.751,0:13:58.614
探求する勇気があれば[br]後世に残すことができるのです

0:13:59.654,0:14:01.740
最後になりますが

0:14:01.740,0:14:05.708
哲学的な論議をする相手にも[br]成り得ないような

0:14:05.708,0:14:09.138
地球外微生物を探すなんて意味がないと[br]言い出す人がいたら

0:14:09.138,0:14:15.014
こんな風に言って[br]間違いを諭してください

0:14:15.804,0:14:18.572
有機物からわかることは

0:14:18.572,0:14:24.231
環境、生態系の複雑性や多様性です

0:14:24.231,0:14:30.350
DNAを始めとする情報担体からは

0:14:30.350,0:14:35.371
適応、進化、生存や[br]惑星環境の変化 ―

0:14:35.371,0:14:38.219
そして情報伝達のことが[br]わかります

0:14:38.219,0:14:41.307
これらすべてをまとめると

0:14:41.307,0:14:45.208
微生物がどの様に発生し

0:14:45.208,0:14:48.226
なぜ それが進化して[br]文明になる場合があるのか

0:14:48.226,0:14:51.686
あるいは逆に なぜ進化が途絶えて

0:14:51.686,0:14:55.308
絶滅するのかがわかるのです

0:14:55.308,0:14:58.724
太陽系 特に地球を見てみましょう

0:14:58.724,0:15:01.531
地球では多くの種が[br]知性を持っていますが

0:15:01.531,0:15:04.898
ただ一つの種だけが[br]技術を発展させました

0:15:04.898,0:15:08.195
そして我々が太陽系を[br]旅するということには

0:15:08.195,0:15:10.934
とても重要な意義があります

0:15:10.934,0:15:16.320
それが 大小に関わらず[br]地球外生命を探す方法だからです

0:15:16.320,0:15:19.618
微生物が我々に語りかけ[br]我々は それに耳を傾けます

0:15:19.618,0:15:21.337
そして微生物が我々を

0:15:21.337,0:15:23.891
次の惑星や次の衛星へと誘い

0:15:23.891,0:15:26.770
遥か彼方の 彼らの兄弟の元に[br]連れて行ってくれるのです

0:15:26.770,0:15:29.486
微生物が我々に教えてくれるのは

0:15:29.486,0:15:32.110
生物の多様性や生命の豊かさです

0:15:32.110,0:15:36.150
さらに 地球上の生命が[br]どうやって今まで生き残り

0:15:36.150,0:15:39.192
文明、知性、

0:15:39.192,0:15:44.174
技術それに哲学を作り上げるまでに[br]なったのかを教えてくれるのです

0:15:44.174,0:15:45.879
どうも有難うございました

0:15:45.879,0:15:49.115
(拍手)