1
00:00:06,760 --> 00:00:10,560
小説家のマーク・トウェインの格言と
言われている一節があります

2
00:00:10,560 --> 00:00:14,211
「真実が靴を履く間に

3
00:00:14,211 --> 00:00:17,269
嘘は世界を半周する」

4
00:00:17,269 --> 00:00:18,936
実は面白いことに
この格言は

5
00:00:18,936 --> 00:00:22,985
マーク・トウェインが本当に言ったのか
疑わしいのです

6
00:00:22,985 --> 00:00:26,000
そのため皮肉にも
格言自体の正しさを証明しています

7
00:00:26,000 --> 00:00:31,753
そして現代 誰が言ったかに関わらず 
この格言はますます正しくなっています

8
00:00:31,753 --> 00:00:35,180
過去数十年の間
世界規模のメディアの大半は

9
00:00:35,180 --> 00:00:38,496
直接情報を集める能力を持つ

10
00:00:38,496 --> 00:00:43,062
いくつかの主要な新聞や
ネットワークからなっていました

11
00:00:43,062 --> 00:00:45,722
ロイターやAP通信のような

12
00:00:45,722 --> 00:00:51,921
情報を収集し 配信するメディアは
現代に比べると珍しいものでした

13
00:00:51,921 --> 00:00:54,846
現代に情報が拡散する速度は

14
00:00:54,846 --> 00:01:00,623
「循環報告」として知られる現象に
理想的な条件を生み出しました

15
00:01:00,623 --> 00:01:04,224
循環報告とは
メディアAが間違った情報を流し

16
00:01:04,224 --> 00:01:06,916
メディアBがそれを転載し

17
00:01:06,916 --> 00:01:12,807
メディアAがさらにBを
情報源として引用するものです

18
00:01:12,807 --> 00:01:15,433
同一の間違った情報を

19
00:01:15,433 --> 00:01:17,871
複数のメディアが報道し

20
00:01:17,871 --> 00:01:21,122
たくさんの情報源によって
裏づけられているように見える場合も

21
00:01:21,122 --> 00:01:27,414
循環報告の１つと見なされます

22
00:01:27,414 --> 00:01:32,678
例えば1998年に
ある疑似科学的な論文が

23
00:01:32,678 --> 00:01:36,667
子供の定期予防接種が
自閉症を誘発すると発表し

24
00:01:36,667 --> 00:01:40,584
反ワクチン運動の原因となりました

25
00:01:40,584 --> 00:01:44,697
元の論文は科学界から

26
00:01:44,697 --> 00:01:47,173
何度となく疑問視されていた
事実にもかかわらずです

27
00:01:47,173 --> 00:01:52,157
あえて予防接種されなかった子供は

28
00:01:52,157 --> 00:01:56,007
米国で事実上根絶されていた
伝染病にかかり

29
00:01:56,007 --> 00:01:58,803
死に至るケースも出ています

30
00:01:58,803 --> 00:02:00,890
これより少しましな例ですが

31
00:02:00,890 --> 00:02:04,676
本物を真似して作られた風刺記事が

32
00:02:04,676 --> 00:02:09,235
冗談と理解されないまま
メディアに取り上げられることもあります

33
00:02:09,235 --> 00:02:14,362
例えば権威ある学術誌
『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の

34
00:02:14,362 --> 00:02:19,513
「次世代コンピューターゲームで遊ぶ
青少年のエネルギー消費」という冗談の記事は

35
00:02:19,513 --> 00:02:25,548
400回以上も本物の科学雑誌で引用されました

36
00:02:25,548 --> 00:02:27,999
Wikiのように
ユーザーが編集する記事も

37
00:02:27,999 --> 00:02:31,853
循環報告の常習犯です

38
00:02:31,853 --> 00:02:35,869
手軽な情報源として
そのようなページに頼る執筆者の増加により

39
00:02:35,869 --> 00:02:41,137
Wikiのページの未証明の事実が
記事として発表され

40
00:02:41,137 --> 00:02:46,213
後日 全く同じWikiの情報に
引用として加えられる可能性があります

41
00:02:46,213 --> 00:02:49,038
そうなると虚偽の立証が
ずっと難しくなります

42
00:02:49,038 --> 00:02:51,517
コミュニケーションテクノロジーの
最近の進化は

43
00:02:51,517 --> 00:02:53,436
情報と人間の間の障壁を壊す

44
00:02:53,436 --> 00:02:57,518
計り知れない便益をもたらしました

45
00:02:57,518 --> 00:02:59,315
しかし素早い回答への
私たちの欲望は

46
00:02:59,315 --> 00:03:03,335
情報の信頼性を確実にしたいという欲望を
上回る可能性があります

47
00:03:03,335 --> 00:03:07,574
そして世界の何十億人の人々により
この偏りが増幅されると

48
00:03:07,574 --> 00:03:11,877
ほとんどたちどころに
要注意情報が増えてしまいます

49
00:03:11,877 --> 00:03:13,832
扇情的なメディアを避け

50
00:03:13,832 --> 00:03:16,980
疑わしい情報についての
批判を探し

51
00:03:16,980 --> 00:03:22,088
レポートの情報源をたどることは
嘘の拡散を遅らせる助けになり

52
00:03:22,088 --> 00:03:25,360
真実に靴を履くための時間を
もう少し与えることができます