WEBVTT 00:00:00.742 --> 00:00:07.963 我々人間は 善行への 並外れた可能性を持っています 00:00:07.963 --> 00:00:12.363 しかし 害を為す 計り知れない力も持っています 00:00:12.363 --> 00:00:18.029 どんな道具も やり方次第で 建設的にも破壊的にも使えます 00:00:18.036 --> 00:00:21.217 全ては我々の動機にかかっています 00:00:21.217 --> 00:00:24.664 したがって 利己的な動機よりも 00:00:24.664 --> 00:00:28.938 愛他的な動機を育むことが とても重要です 00:00:30.508 --> 00:00:37.008 我々は 今まさに 多くの問題に直面しています 00:00:37.008 --> 00:00:40.325 個人的な問題もあるでしょう 00:00:40.325 --> 00:00:44.911 己の心は 最高の友にも 最悪の敵にもなり得ます 00:00:46.341 --> 00:00:49.225 社会的な問題もあります 00:00:49.225 --> 00:00:54.924 豊かさの只中にある貧困や 不平等、葛藤、不正です 00:00:54.924 --> 00:00:59.120 それから新しい問題もあります 我々が予期していなかったものです 00:00:59.120 --> 00:01:03.763 1万年前 地球上にいた人類は およそ500万人でした 00:01:03.763 --> 00:01:05.373 人類がどんなことをしようとも 00:01:05.373 --> 00:01:10.559 地球の回復力が人間の活動による 傷をすぐに癒していたものです 00:01:10.559 --> 00:01:13.775 産業革命や技術革命の後 00:01:13.775 --> 00:01:16.008 状況は変わりました 00:01:16.008 --> 00:01:20.073 いまや我々は地球に影響を及ぼす 主要因子になっています 00:01:20.073 --> 00:01:24.977 我々は「人新世」 つまり人類の時代にいるのです 00:01:24.977 --> 00:01:31.550 ですから もし我々が この際限のない成長 — 00:01:31.550 --> 00:01:35.616 際限のない物質的資源の消費を 続ける必要があると言うのなら 00:01:35.616 --> 00:01:38.514 この男のようなことになります 00:01:38.514 --> 00:01:43.386 某国の前首脳がこう言うのを聞きました お名前は出しませんが — 00:01:43.386 --> 00:01:47.395 「5年前 我々は崖っぷちにいた 00:01:47.395 --> 00:01:50.272 今日 我々は大きな一歩を踏み出した」と 00:01:50.587 --> 00:01:56.590 この崖っぷちは科学者達が 「地球の限界」として 00:01:56.590 --> 00:01:59.244 定義してきたものです 00:01:59.244 --> 00:02:03.705 この限界に含めるものとして 様々な要因を考えることができます 00:02:03.705 --> 00:02:06.961 我々は繁栄を続けることもできます 00:02:06.961 --> 00:02:12.563 気候の安定性を ここ1万年の完新世と同水準に維持すれば 00:02:12.563 --> 00:02:15.721 人類はさらに15万年 繁栄し続けられます 00:02:15.721 --> 00:02:20.849 しかしこれは 簡素な生活を 自発的に選択することや 00:02:20.849 --> 00:02:24.160 量的成長から質的成長へと 転換できるかに かかっています 00:02:24.160 --> 00:02:30.394 1900年には ご覧のように 安全な範囲のずっと内側にいました 00:02:30.394 --> 00:02:35.793 それから1950年代に 大きな加速がありました 00:02:35.793 --> 00:02:40.762 さあこの後どうなるか想像して 息を飲んで下さい 00:02:40.762 --> 00:02:46.907 今や 我々は地球の限界のいくつかを 大幅に超えてしまっています 00:02:46.907 --> 00:02:50.866 生物多様性だけを見ても 今のペースでは 00:02:50.866 --> 00:02:57.288 2050年には 地球上の全ての種のうち 30%が滅ぶでしょう 00:02:57.288 --> 00:03:03.085 いくらDNAを冷凍保存しても それらの種が 生き返る訳ではありません 00:03:03.085 --> 00:03:04.936 ですから私は 00:03:04.936 --> 00:03:10.836 ブータンにある 標高7千メートルの 氷河の前に座っているわけです 00:03:10.836 --> 00:03:17.987 この「第3の極」では 2千の氷河が 北極よりも早く溶けています 00:03:17.987 --> 00:03:20.994 ではこの状況で我々に 何ができるのでしょう? 00:03:22.144 --> 00:03:29.453 環境問題が政治的 経済的 また科学的に 00:03:29.453 --> 00:03:31.851 いかに複雑であっても 00:03:31.851 --> 00:03:38.678 それは 愛他性 対 利己性 の問題に 単純に還元できます 00:03:38.678 --> 00:03:42.287 私はマルクスを信奉しています — グルーチョの方ですけど 00:03:42.287 --> 00:03:43.432 (笑) 00:03:43.432 --> 00:03:47.121 グルーチョ・マルクス曰く 「なんで将来の世代を気にかけなきゃいけない? 00:03:47.121 --> 00:03:49.381 そいつらが俺に何してくれたって言うんだ?」 00:03:49.381 --> 00:03:50.647 (笑) 00:03:50.647 --> 00:03:55.430 大富豪スティーヴ・フォーブスも Fox ニュースで 同じことを言っていましたが 00:03:55.430 --> 00:03:58.958 彼の方は真剣でした 00:03:58.958 --> 00:04:01.293 海面上昇について聞かれて 言ったんです 00:04:01.293 --> 00:04:04.640 「100年後に起きることのために 00:04:04.640 --> 00:04:07.695 今日の自分の行動を変えるなんて 馬鹿げている」 と 00:04:07.695 --> 00:04:10.593 もし将来の世代のことなんて 気にしないというなら 00:04:10.593 --> 00:04:13.494 ご勝手に 00:04:13.494 --> 00:04:16.420 我々の時代における 主な問題の一つは 00:04:16.420 --> 00:04:19.538 3つの時間尺度の間を 取り持つことです 00:04:19.538 --> 00:04:21.683 経済という短期的なもの つまり 00:04:21.683 --> 00:04:25.915 株式市場の変動や 年末決算といったもの 00:04:25.915 --> 00:04:28.621 それから生活の質という 中期的なもの — 00:04:28.621 --> 00:04:33.945 10年 20年にわたる 生活の質はどうかということ 00:04:33.945 --> 00:04:37.554 そして環境という 長期的なものです 00:04:37.554 --> 00:04:39.903 環境活動家が経済学者と話をすると 00:04:39.903 --> 00:04:42.982 統合失調症風の会話になって 筋が全く通りません 00:04:42.982 --> 00:04:45.814 彼らは話す言語が 違っているんです 00:04:45.814 --> 00:04:49.354 この10年 私は世界中を回って 至る所の 00:04:49.354 --> 00:04:53.062 経済学者、科学者 神経科学者、環境活動家 00:04:53.062 --> 00:04:57.332 哲学者、ヒマラヤの思索家に 会ってきましたが 00:04:57.332 --> 00:05:01.834 先程の 3つの時間尺度の間を 取り持てるのは 00:05:01.834 --> 00:05:04.794 たった1つの概念しか ないように思えます 00:05:04.794 --> 00:05:09.198 それは単に 他者を もっと大事にするということです 00:05:09.198 --> 00:05:14.099 もし他者をもっと大事にすれば 経済は思いやりに基づくものになるでしょう 00:05:14.099 --> 00:05:17.051 そこでは金融が社会に 奉仕するのであって 00:05:17.051 --> 00:05:20.319 社会が金融に 奉仕するのではありません 00:05:20.319 --> 00:05:22.187 人々が信頼して 預けた資産を 00:05:22.187 --> 00:05:25.073 カジノで賭けたりは しないでしょう 00:05:25.073 --> 00:05:27.919 もしあなたが他人を もっと大事にするなら 00:05:27.919 --> 00:05:31.396 あなたはきっと 不平等を是正したり 00:05:31.396 --> 00:05:33.936 社会や教育や職場に 00:05:33.936 --> 00:05:37.176 何らかの幸せを もたらそうとするでしょう 00:05:37.176 --> 00:05:40.649 そうでなければ 国自体は力や富を持っても 00:05:40.649 --> 00:05:43.936 一人一人は不幸な国になってしまいます そんなの意味があるでしょうか? 00:05:43.936 --> 00:05:45.973 そして他人をもっと 大事にするなら 00:05:45.973 --> 00:05:49.369 今のようなペースで地球を 荒らしたりはしないでしょう 00:05:49.369 --> 00:05:53.703 こんなことを続けられる 予備の惑星がある訳ではないのです 00:05:53.703 --> 00:05:56.056 そこで生じる疑問はこれです 00:05:56.056 --> 00:06:00.387 愛他性が答えなのだとして それは単に目新しい理想ではなく 00:06:00.387 --> 00:06:03.611 現実的で実用的な 解決策なのか? 00:06:03.611 --> 00:06:06.469 そもそも 真の愛他性なんて 存在するのか? 00:06:06.469 --> 00:06:10.213 我々は本当のところ 利己的ではないのか? 00:06:10.213 --> 00:06:15.553 我々は救いようのないほど 利己的な存在だと考えた哲学者もいます 00:06:15.553 --> 00:06:20.765 しかし我々は皆 本当に単なる 悪党なのでしょうか? 00:06:20.765 --> 00:06:23.579 ありがたい話ですな 00:06:23.579 --> 00:06:26.108 ホッブズなど多くの哲学者は かつてそう言いました 00:06:26.108 --> 00:06:28.999 しかし悪党には見えない人もいます 00:06:28.999 --> 00:06:32.262 それとも人間は 人間の敵なのでしょうか? 00:06:32.262 --> 00:06:35.150 でもこの人は それほど悪人面をしていません 00:06:35.150 --> 00:06:38.073 彼はチベットにいる 私の友人の1人です 00:06:38.073 --> 00:06:40.312 彼はとても親切です 00:06:40.312 --> 00:06:43.937 それに 我々は協同することが大好きです 00:06:43.937 --> 00:06:48.275 一緒に活動すること以上に 喜ばしいことはないですよね? 00:06:48.275 --> 00:06:52.350 そしてこれは 人間に限ったことではありません 00:06:52.350 --> 00:06:54.837 もちろん 生きる上での闘争はあります 00:06:54.837 --> 00:06:59.178 適者生存 社会的ダーウィニズムです 00:06:59.178 --> 00:07:05.015 しかし進化の中では もちろん競争もありますが 00:07:05.015 --> 00:07:10.732 複雑さを増す世界を生きていくために もっと創造的に協同する必要があります 00:07:10.732 --> 00:07:15.414 我々は協同することに長けていますが さらなる進歩が必要です 00:07:15.414 --> 00:07:21.443 そこで何よりも 人間関係の質が問題になります 00:07:21.443 --> 00:07:25.925 OECDが収入その他 10の要因について 調査を行ったところ 00:07:25.925 --> 00:07:29.268 幸福の重要な要因として 人々が一番に挙げたのは 00:07:29.268 --> 00:07:32.621 社会的関係の質でした 00:07:32.621 --> 00:07:35.498 これは人間に限ったことではありません 00:07:35.498 --> 00:07:38.844 そしてご覧下さい この素敵なおばあちゃん達を 00:07:38.846 --> 00:07:44.000 ですから つまるところ我々が 00:07:44.000 --> 00:07:46.570 救いようないほどに 利己的であるという考えは 00:07:46.570 --> 00:07:49.224 机上の考えにすぎません 00:07:49.224 --> 00:07:51.491 社会学の研究にも 心理学の研究にも 00:07:51.491 --> 00:07:54.737 そんな結果を示すものは 1つもありません 00:07:54.737 --> 00:07:56.697 むしろ逆です 00:07:56.697 --> 00:08:00.355 友人の ダニエル・バトソンは 全人生を費やして 00:08:00.355 --> 00:08:03.118 人々を非常に複雑な状況に置く 実験をしてきました 00:08:03.118 --> 00:08:07.487 もちろん我々は利己的になる時もあるし 他の人より利己的な人もいます 00:08:07.487 --> 00:08:10.149 しかし体系的に研究した結果 どんな場合にも 00:08:10.149 --> 00:08:13.149 愛他的にふるまう人は 00:08:13.149 --> 00:08:16.504 かなり多くいることを 彼は見出しました 00:08:16.504 --> 00:08:19.696 もしひどい怪我をして 苦しんでいる人を見かけたら 00:08:19.696 --> 00:08:22.988 苦しみに共感して とにかく助けようとするでしょう 00:08:22.988 --> 00:08:26.468 見ているのが耐えられず 助ける方が楽なのです 00:08:26.468 --> 00:08:32.344 それを検証した結果 彼は言いました 人間は明らかに愛他的だと 00:08:32.344 --> 00:08:34.284 これは吉報です 00:08:34.284 --> 00:08:39.895 さらに言えば 善行がありふれていることにも 我々は目を向けるべきです 00:08:39.895 --> 00:08:41.600 この場を見て下さい 00:08:41.600 --> 00:08:43.809 ここから帰る時 我々は こうは言わないでしょう 00:08:43.809 --> 00:08:48.937 「素晴らしかった!誰も殴り合わずに 愛他性について考えていたんだから!」 00:08:48.937 --> 00:08:51.099 それを当然のことと 思っていますよね? 00:08:51.099 --> 00:08:54.278 もし殴り合いがあったら 何か月も 語り草になるでしょう 00:08:54.278 --> 00:08:57.949 ありふれた善行には 誰も注意を向けません 00:08:57.949 --> 00:08:59.437 しかしそれは存在するのです 00:08:59.437 --> 00:09:04.913 これをご覧下さい 00:09:09.253 --> 00:09:12.054 こんなことを言う心理学者もいました 00:09:12.054 --> 00:09:15.291 私はヒマラヤで 140の 人道的プロジェクトを運営していて 00:09:15.291 --> 00:09:17.545 それが多くの喜びを もたらしてくれると言うと 00:09:17.545 --> 00:09:20.799 彼らは言いました 「なるほど 満足感のための活動ですね 00:09:20.799 --> 00:09:23.923 愛他的なのではなく 単に自分が良い気分になりたいだけでしょう」 00:09:23.923 --> 00:09:26.991 皆さんは この人が 電車の前に飛び込んだ時 00:09:26.991 --> 00:09:29.947 「よしこれで良い気分になれるぞ」 と考えたと思うわけですね 00:09:29.947 --> 00:09:31.563 (笑) 00:09:31.563 --> 00:09:33.849 しかも それだけではありません 00:09:33.849 --> 00:09:36.391 彼は後でインタビューされて 言ったんです 00:09:36.391 --> 00:09:39.526 「選択の余地などなく ともかく 飛び込む以外にありませんでした」 00:09:39.526 --> 00:09:43.407 選択の余地がないなら自動的な行動で 利己的でも愛他的でもありません 00:09:43.407 --> 00:09:45.162 でも本当に 選択の余地がないのか? 00:09:45.162 --> 00:09:47.844 もちろん この人は 「手を貸そうか 貸すまいか」と 00:09:47.844 --> 00:09:49.881 30分かけて考えたりはしないでしょう 00:09:49.881 --> 00:09:53.526 彼に選択の余地はありましたが 答えは明らかで 即決です 00:09:53.526 --> 00:09:56.497 そうして ここでも 選択をしています 00:09:56.497 --> 00:09:58.738 (笑) 00:09:58.738 --> 00:10:02.500 選択の余地のあった人々がここにもいます 牧師アンドレ・トロクメとその妻 00:10:02.500 --> 00:10:05.187 そして ル・シャンボン・シュル・リニョンの 村人達です 00:10:05.187 --> 00:10:09.135 第二次世界大戦中 彼らは 3千5百人のユダヤ人を救いました 00:10:09.135 --> 00:10:11.792 彼らをかくまい スイスに逃がしたのです 00:10:11.792 --> 00:10:15.237 自分や家族の命を 危険にさらしてです 00:10:15.237 --> 00:10:17.394 そう 愛他性はまさに存在するのです 00:10:17.394 --> 00:10:19.119 では愛他性とは何なのでしょう? 00:10:19.119 --> 00:10:23.021 それは願いです― 「他の人々が幸せになり 幸せの源を見つけてほしい」という 00:10:23.021 --> 00:10:27.476 さて 共感とは 感情的あるいは 認知的な共鳴のことで 00:10:27.476 --> 00:10:30.977 この人は喜んでいるとか 苦しんでいるとか 教えてくれます 00:10:30.977 --> 00:10:34.463 しかし共感だけでは 十分ではありません 00:10:34.463 --> 00:10:36.686 苦しみに直面し続ける場合 00:10:36.686 --> 00:10:39.447 共感的な苦痛や燃え尽きを 感じるかもしれません 00:10:39.447 --> 00:10:43.507 ですから必要なのは より高次の領域である慈しみです 00:10:43.507 --> 00:10:46.234 ライプツィヒにある マックス・プランク研究所の 00:10:46.234 --> 00:10:52.335 タニア・シンガーと我々は 脳のネットワークが 共感と慈しみの場合で異なることを示しました 00:10:52.335 --> 00:10:54.716 我々は 素晴らしいものを 持っているんです 00:10:54.716 --> 00:10:59.790 進化の過程 そして母親の心遣いや 親の愛情のおかげです 00:10:59.790 --> 00:11:01.625 しかしこれを拡張せねばなりません 00:11:01.625 --> 00:11:04.688 他の種の生物にまで 拡張することもできます 00:11:04.688 --> 00:11:09.375 さてもっと愛他的な社会を望むなら しなければならないことは2つです 00:11:09.375 --> 00:11:12.592 個人の変化と 社会の変化です 00:11:12.592 --> 00:11:15.150 では個人の変化は可能でしょうか? 00:11:15.150 --> 00:11:18.349 2千年にわたる瞑想研究によると 答えはイエスです 00:11:18.349 --> 00:11:21.951 神経科学とエピジェネティクスによる 15年間の共同研究でも 00:11:21.951 --> 00:11:26.435 答えはイエスです 愛他性の訓練は脳を変化させます 00:11:26.435 --> 00:11:30.707 そこで私はMRIの機械に入って 120時間過ごしました 00:11:30.707 --> 00:11:33.493 これは最初の2時間半を 終えたところです 00:11:33.493 --> 00:11:37.167 そうしてこの結果は 多くの学術誌に掲載されました 00:11:37.167 --> 00:11:40.749 利他愛を抱くよう 訓練した人には 00:11:40.749 --> 00:11:44.502 脳の構造的・機能的変化が 明らかに見られます 00:11:44.502 --> 00:11:46.252 参考のために少し紹介すると 00:11:46.252 --> 00:11:50.433 左側は瞑想者の安静時の状態と 慈悲の瞑想中の状態です 00:11:50.433 --> 00:11:52.776 活動の様子がよく分かるでしょう 00:11:52.776 --> 00:11:55.610 右側の対照群では 安静時にも瞑想時にも 00:11:55.610 --> 00:11:57.272 何も起きていません 00:11:57.272 --> 00:11:59.250 彼らは訓練を受けていません 00:11:59.250 --> 00:12:03.671 では5万時間ばかりの瞑想が 必要なのでしょうか? -いいえ 00:12:03.671 --> 00:12:07.837 4週間 1日20分 思いやりと マインドフルネスの瞑想をするだけで 00:12:07.838 --> 00:12:14.141 対照群と比較して 脳の構造的変化が起きるのです 00:12:14.141 --> 00:12:19.199 1日20分を4週間 それだけです 就学前の子供でもできます 00:12:19.199 --> 00:12:21.217 リチャード・デビッドソンは マディソンで 00:12:21.217 --> 00:12:27.627 8週間のプログラムを行いました 感謝、慈しみ、協同、マインドフル呼吸法についてです 00:12:27.627 --> 00:12:29.882 「就学前の子供にはまだ無理だ」 と仰るでしょう 00:12:29.882 --> 00:12:31.508 8週間で 向社会的行動が 00:12:31.508 --> 00:12:33.958 青い線のように変化します 00:12:33.958 --> 00:12:39.402 そして完璧に科学的な 「ステッカーテスト」を行います 00:12:39.402 --> 00:12:43.350 事前に それぞれの子供の 好きな子 好きでない子 00:12:43.350 --> 00:12:47.425 それから知名度の低い子 病気の子を 調べておきます 00:12:47.425 --> 00:12:50.129 そして子供達はステッカーを 配らねばなりません 00:12:50.129 --> 00:12:54.181 訓練前には 大半のステッカーを 好きな子にあげます 00:12:54.181 --> 00:12:58.810 この4、5歳の子供達に 週3回 20分の訓練をしたところ 00:12:58.810 --> 00:13:01.123 差別をしなくなったんです 00:13:01.123 --> 00:13:05.048 仲の良い子にも そうでない子にも 同数のステッカーをあげていました 00:13:05.048 --> 00:13:08.436 世界中の学校で これをすべきだと思います 00:13:08.436 --> 00:13:10.510 ではそこからどうしましょうか? 00:13:10.510 --> 00:13:14.308 (拍手) 00:13:14.308 --> 00:13:17.359 これを耳にしたダライ・ラマは デビッドソンに言いました 00:13:17.359 --> 00:13:20.815 「10校で 100校で 国連で 全世界でやりなさい」 00:13:20.815 --> 00:13:22.499 ではそこからどうしましょうか? 00:13:22.499 --> 00:13:24.762 個人の変化は可能です 00:13:24.762 --> 00:13:29.378 人類が愛他性の遺伝子を獲得するまで 我々は待たねばならないのでしょうか? 00:13:29.378 --> 00:13:33.132 それには5万年かかるでしょう 環境はそんなに待ってくれません 00:13:33.132 --> 00:13:37.157 さいわい 文化も進化します 00:13:37.157 --> 00:13:43.301 専門家が示してきたように 文化は遺伝子より速いスピードで変化します 00:13:43.301 --> 00:13:44.829 これは吉報です 00:13:44.829 --> 00:13:48.189 ほら 戦争への態度は年月を経て 劇的に変化したでしょう 00:13:48.189 --> 00:13:53.370 そのように 個人の変化と文化の変化は 互いを形づくるのです 00:13:53.370 --> 00:13:56.146 我々はもっと愛他的な社会を 作り上げることもできます 00:13:56.146 --> 00:13:57.888 ではここから何をしましょう? 00:13:57.888 --> 00:14:00.137 私自身は 東へ戻るつもりです 00:14:00.137 --> 00:14:03.597 今 我々のプロジェクトでは 1年に10万人の患者を治療し 00:14:03.597 --> 00:14:07.346 我々の学校では2万5千人が学んでいて 4%の管理費で運営しています 00:14:07.346 --> 00:14:09.921 こう言う人達がいます 「君達は 実践はしているよ 00:14:09.921 --> 00:14:11.945 でも理論的検討はしているのかい?」 00:14:11.945 --> 00:14:15.287 「良い逸脱」は常にあるものです 00:14:15.287 --> 00:14:17.706 ですから私は僧院に戻り 00:14:17.706 --> 00:14:20.995 もっと人への奉仕に役立てられる 内的資源を探すつもりです 00:14:20.995 --> 00:14:24.182 しかし よりグローバルな水準で 我々がすべきことは何でしょうか? 00:14:24.182 --> 00:14:25.973 必要なのは3つの事です 00:14:25.973 --> 00:14:28.325 協同を増すことが必要です 00:14:28.325 --> 00:14:32.041 学校では競争的学習ではなく 協同学習を行うことであり 00:14:32.041 --> 00:14:35.612 職場では見返りを求めず 協働することです- 00:14:35.612 --> 00:14:40.019 企業間での競争は有り得ますが 内部では しません 00:14:40.019 --> 00:14:43.971 それから「持続可能な調和」も必要です 私はこの言葉がとても好きです 00:14:43.971 --> 00:14:45.914 もう持続可能な成長はいりません 00:14:45.914 --> 00:14:49.500 持続可能な調和とは 不平等を減らすことです 00:14:49.500 --> 00:14:53.826 将来的に より少ないもので より多くのことができるようになるでしょう 00:14:53.826 --> 00:14:58.310 そして我々は 質的に成長し続けます 量的にではありません 00:14:58.310 --> 00:15:00.615 さらに思いやりに基づく経済が必要です 00:15:00.615 --> 00:15:06.446 「ホモ・エコノミクス」は 豊かさの中の貧困には対処できませんし 00:15:06.446 --> 00:15:08.798 大気や海洋といった 共有資源の問題を 00:15:08.798 --> 00:15:10.746 取り扱うこともできません 00:15:10.746 --> 00:15:12.679 思いやりに基づく経済が 我々には必要です 00:15:12.679 --> 00:15:14.918 経済に思いやりが必要と言ったら 返事はこうでしょう 00:15:14.918 --> 00:15:16.353 「それは我々の仕事じゃない」 00:15:16.353 --> 00:15:19.588 しかし彼らが気にかけないとしたら それはまずいことです 00:15:19.588 --> 00:15:22.967 我々には地元への貢献と 世界に対する責任が必要です 00:15:22.967 --> 00:15:28.307 我々は愛他性を他の160万種の生き物にも 拡大しなければなりません 00:15:28.307 --> 00:15:31.732 生きとし生けるものは 世界に共に暮らす仲間です 00:15:31.732 --> 00:15:34.724 我々は愛他性を実践せねばなりません 00:15:34.724 --> 00:15:38.605 それでは 皆さん 愛他性革命万歳! 00:15:38.605 --> 00:15:43.155 Viva la revolución de altruismo. (愛他性革命万歳) 00:15:43.155 --> 00:15:48.515 (拍手) 00:15:48.515 --> 00:15:50.496 ありがとうございました 00:15:50.496 --> 00:15:52.448 (拍手)