WEBVTT 00:00:00.591 --> 00:00:04.471 私の人生は学校と共にあります 00:00:04.471 --> 00:00:08.878 校舎の中で過ごす 校舎へ向かう 00:00:08.878 --> 00:00:12.643 校舎の中での出来事を話す そういう毎日です 00:00:12.643 --> 00:00:15.042 うちは父も母も教育者で 00:00:15.042 --> 00:00:17.984 母方の祖父母も教育者でした 00:00:17.984 --> 00:00:21.922 ここ40年は 私も同じことをしてきました 00:00:21.922 --> 00:00:24.712 そういう訳ですから 長年に渡り 00:00:24.712 --> 00:00:28.228 さまざまな角度から 教育改革に目を向ける機会がありました 00:00:28.228 --> 00:00:30.059 さまざまな角度から 教育改革に目を向ける機会がありました 00:00:30.059 --> 00:00:32.013 良い改革もあれば 00:00:32.013 --> 00:00:34.282 イマイチのもありました 00:00:34.282 --> 00:00:36.479 中退の原因や 勉強しない理由は 00:00:36.479 --> 00:00:37.958 中退の原因や 勉強しない理由は 00:00:37.958 --> 00:00:40.813 貧困や出席日数の不足 00:00:40.813 --> 00:00:44.889 悪い仲間の影響 それは判りました 00:00:44.889 --> 00:00:47.235 しかし議論に上らず 00:00:47.235 --> 00:00:49.476 見落とされていることの一つが 00:00:49.476 --> 00:00:53.745 人と人とのつながり 人間関係の価値と重要性です 00:00:53.745 --> 00:00:56.078 人と人とのつながり 人間関係の価値と重要性です NOTE Paragraph 00:00:56.078 --> 00:00:59.675 ジェームス・カマーは言います 実り多い人間関係なくして 00:00:59.675 --> 00:01:02.470 実り多い学習はあり得ない 00:01:02.470 --> 00:01:05.247 G. W. カーヴァーは言います 00:01:05.247 --> 00:01:09.354 学習とはすなわち 人間関係を理解することだと 00:01:09.354 --> 00:01:11.750 今日お集まりの皆さんは もれなく 00:01:11.750 --> 00:01:14.203 教師など大人の影響を受けています 00:01:14.203 --> 00:01:19.516 私は長年 先生方の様子を見てきました 00:01:19.516 --> 00:01:22.899 最高の先生もいれば 時には最低のもいました NOTE Paragraph 00:01:22.899 --> 00:01:24.720 ある時 同僚が言いました 00:01:24.720 --> 00:01:26.929 「子どもを好きになる手当ては 貰っていない 00:01:26.929 --> 00:01:29.002 教えることで給料を貰っている 00:01:29.002 --> 00:01:30.300 子どもの仕事は学ぶこと 00:01:30.300 --> 00:01:33.929 私は教える 子どもは学ぶ 一件落着でしょ」 NOTE Paragraph 00:01:33.929 --> 00:01:35.819 私は彼女に言いました 00:01:35.819 --> 00:01:39.307 「子どもは嫌いな人から 学んだりしないものよ」 NOTE Paragraph 00:01:39.307 --> 00:01:47.331 (笑いと拍手) NOTE Paragraph 00:01:47.331 --> 00:01:50.625 「バカバカしい」と彼女が言うので NOTE Paragraph 00:01:50.625 --> 00:01:53.865 こう言っておきました 「あなたの教員生活は 00:01:53.865 --> 00:01:56.086 長くて辛いものになりそうね」 NOTE Paragraph 00:01:56.086 --> 00:01:58.383 実際そうなりました 00:01:58.383 --> 00:02:01.346 人間関係を築くことを 素質の問題と考える人もいますが 00:02:01.346 --> 00:02:02.970 人間関係を築くことを 素質の問題と考える人もいますが 00:02:02.970 --> 00:02:05.174 私はS. コヴィーの考えを支持します 00:02:05.174 --> 00:02:08.716 真っ先に理解してもらおうとするのではなく 00:02:08.716 --> 00:02:11.022 まず相手を理解しようとすること 00:02:11.022 --> 00:02:13.263 そういうことを自ら始めるのです 00:02:13.263 --> 00:02:16.366 ちょっとしたことです たとえば謝るとか 00:02:16.366 --> 00:02:17.453 考えたことありますか 00:02:17.453 --> 00:02:21.092 子どもに謝ってみてください 子どもは驚きますよ NOTE Paragraph 00:02:21.092 --> 00:02:23.522 割合を教えたときのことです 00:02:23.522 --> 00:02:27.446 算数は苦手なのですが 頑張りました 00:02:27.446 --> 00:02:30.520 授業が終わってマニュアルを確認すると 00:02:30.520 --> 00:02:33.817 教えたことが全部 間違っていました (笑) NOTE Paragraph 00:02:33.817 --> 00:02:35.774 翌日 教室でこう言いました 00:02:35.774 --> 00:02:38.224 「みなさんに謝らなくては 00:02:38.224 --> 00:02:42.002 昨日の授業は全部 間違いでした ごめんなさい」 NOTE Paragraph 00:02:42.002 --> 00:02:43.380 子どもたちは「いいよ 00:02:43.380 --> 00:02:45.843 先生ノリノリだったから黙ってた」と 00:02:45.843 --> 00:02:50.950 (笑いと拍手) NOTE Paragraph 00:02:50.950 --> 00:02:54.708 成績の著しく低いクラスの 00:02:54.708 --> 00:02:58.554 担任をしてきました 00:02:58.554 --> 00:03:01.506 悩みました 9ヶ月でこの生徒たちを 00:03:01.506 --> 00:03:03.453 今いるところから 00:03:03.453 --> 00:03:06.477 どこまで引き上げてやれるか 00:03:06.477 --> 00:03:09.331 ものすごく大変でした 00:03:09.331 --> 00:03:12.703 子どもに自信をつけさせ 同時に 00:03:12.703 --> 00:03:15.646 成績を上げさせるにはどうすればよいか NOTE Paragraph 00:03:15.646 --> 00:03:17.792 何年目かに 良いことを思いつき 00:03:17.792 --> 00:03:19.637 生徒全員にこう言いました 00:03:19.637 --> 00:03:23.170 「皆さんは選ばれて このクラスに入りました 00:03:23.170 --> 00:03:24.826 私は先生の代表で 00:03:24.826 --> 00:03:26.373 皆さんは生徒代表なので 00:03:26.373 --> 00:03:27.817 最高の組み合わせになって 00:03:27.817 --> 00:03:30.986 他の子供たちに お手本を見せるのが目的です」 NOTE Paragraph 00:03:30.986 --> 00:03:33.291 生徒の一人が「嘘でしょ?」 00:03:33.291 --> 00:03:35.092 (笑) NOTE Paragraph 00:03:35.092 --> 00:03:38.342 「本当です 他のクラスの子たちのお手本として 00:03:38.342 --> 00:03:40.677 廊下を歩くと皆が注目しますから 00:03:40.677 --> 00:03:43.406 静かにしなくてはなりません 00:03:43.406 --> 00:03:46.460 良い所を見せましょう」 00:03:46.460 --> 00:03:49.228 こう唱えさせました 「私は重要な人間です 00:03:49.228 --> 00:03:50.593 もともと重要だったけど 00:03:50.593 --> 00:03:52.717 もっと重要な人間になる 00:03:52.717 --> 00:03:54.710 私には力がある 私は強い 00:03:54.710 --> 00:03:57.400 私はここで学ぶに値し やることがあり 00:03:57.400 --> 00:03:59.637 感銘を与える相手がいて 00:03:59.637 --> 00:04:01.326 行く場所もある」 NOTE Paragraph 00:04:01.326 --> 00:04:04.336 生徒たちは「そうだ!」と言いました NOTE Paragraph 00:04:04.336 --> 00:04:05.757 ずっと言い続けていると 00:04:05.757 --> 00:04:09.523 血肉となってくるものです NOTE Paragraph 00:04:09.523 --> 00:04:15.560 そのクラスで — (拍手) 00:04:15.560 --> 00:04:19.607 小テストをしました 全20問です 00:04:19.607 --> 00:04:22.317 18問 間違えた生徒がいました 00:04:22.317 --> 00:04:27.529 「プラス2」と大きなにっこりマークを描いて 返しました NOTE Paragraph 00:04:27.529 --> 00:04:31.276 「先生 これって不合格?」 NOTE Paragraph 00:04:31.276 --> 00:04:33.785 「そうね」 NOTE Paragraph 00:04:33.785 --> 00:04:37.081 「じゃあ何故にっこりマークなの?」 NOTE Paragraph 00:04:37.081 --> 00:04:39.329 「だってあなたはイケてるから 00:04:39.329 --> 00:04:43.401 2つ正解した 全問不正解じゃない 00:04:43.401 --> 00:04:45.201 それに これを復習したら 00:04:45.201 --> 00:04:46.820 ちゃんとできるでしょ?」 NOTE Paragraph 00:04:46.820 --> 00:04:49.349 「はい 頑張ります」 NOTE Paragraph 00:04:49.349 --> 00:04:52.981 「マイナス18」では再起不能になりますが 00:04:52.981 --> 00:04:55.063 「プラス2」なら「捨てたもんじゃない」 00:04:55.063 --> 00:05:00.835 (笑いと拍手) NOTE Paragraph 00:05:00.835 --> 00:05:03.976 長年 母を見習ってきました 00:05:03.976 --> 00:05:06.810 休み時間には生徒の復習を見てやり 00:05:06.810 --> 00:05:09.634 午後は家庭訪問する教師でした 00:05:09.634 --> 00:05:12.653 クシやブラシ ピーナツバターやクラッカーを 00:05:12.653 --> 00:05:15.387 引き出しに入れておき 生徒たちに与えました 00:05:15.387 --> 00:05:18.616 臭いが気になる子には タオルと石鹸を 00:05:18.616 --> 00:05:22.323 臭い子を教えるのは大変ですし 00:05:22.323 --> 00:05:24.770 子どもは時に残酷ですからね 00:05:24.770 --> 00:05:27.403 母はそういうものを常備していました 00:05:27.403 --> 00:05:30.523 何年も過ぎ 母が退職した後 00:05:30.523 --> 00:05:33.545 その子達が母に こう言いに来たのを見ました 00:05:33.545 --> 00:05:35.529 「先生のおかげで私は変わりました 00:05:35.529 --> 00:05:37.951 先生が私の人生を うまくいくようにしてくれた 00:05:37.951 --> 00:05:39.280 先生が私の人生を うまくいくようにしてくれた 00:05:39.280 --> 00:05:41.319 そうじゃないとわかっていても 00:05:41.319 --> 00:05:44.878 自分が重要な人間だと感じられた 00:05:44.878 --> 00:05:46.663 先生に今の姿を見てほしい」 NOTE Paragraph 00:05:46.663 --> 00:05:49.955 母が2年前 92歳で亡くなったとき 00:05:49.955 --> 00:05:52.788 葬儀に教え子たちが詰めかけました 00:05:52.788 --> 00:05:55.612 涙が出ました 母がいなくなったからではなく 00:05:55.612 --> 00:05:59.280 母が遺してくれた 揺るぎない人間関係に触れたからです 00:05:59.280 --> 00:06:01.788 母が遺してくれた 揺るぎない人間関係に触れたからです NOTE Paragraph 00:06:01.788 --> 00:06:06.314 より多くの人間関係を築くことは もちろん可能です 00:06:06.314 --> 00:06:10.991 どの生徒も好きになれるかと言えば それは不可能 00:06:10.991 --> 00:06:15.049 やりにくい子ほど 休まず学校へ出てきますよね 00:06:15.049 --> 00:06:17.041 (笑) 00:06:17.041 --> 00:06:20.139 全員を好きになるなんて無理です 00:06:20.139 --> 00:06:23.549 やりにくい子の存在には 意味があります 00:06:23.549 --> 00:06:26.483 それこそが つながりです 人間関係です 00:06:26.483 --> 00:06:28.118 全員を好きになれなくても 00:06:28.118 --> 00:06:32.230 大事なのはそれを 子どもたちに悟らせないこと 00:06:32.230 --> 00:06:36.021 教師は優れた役者になるのです 00:06:36.021 --> 00:06:38.172 やる気が出なくても職場へ向かい 00:06:38.172 --> 00:06:41.334 意味不明の教育政策に耳を傾け 00:06:41.334 --> 00:06:44.515 とにかく教壇に立ちます 00:06:44.515 --> 00:06:48.579 それが仕事ですから NOTE Paragraph 00:06:48.579 --> 00:06:51.729 教え学ぶことは 喜びを伴わなければなりません 00:06:51.729 --> 00:06:54.279 もし子どもたちがリスクを恐れず 00:06:54.279 --> 00:06:58.029 考えることを恐れず 強い味方を持つようになったら 00:06:58.029 --> 00:06:59.297 この世はどれほど力強くなることでしょう 00:06:59.297 --> 00:07:00.790 この世はどれほど力強くなることでしょう 00:07:00.790 --> 00:07:03.255 どの子にも強い味方がいていいんです 00:07:03.255 --> 00:07:05.465 その子を決して見捨てず 00:07:05.465 --> 00:07:08.178 つながりの素晴らしさを理解し 00:07:08.178 --> 00:07:12.093 子どもの力を最大限発揮させる大人が 味方になってやるのです NOTE Paragraph 00:07:12.093 --> 00:07:16.863 大変だと思うでしょう その通り 実に大変です 00:07:16.863 --> 00:07:20.096 でも不可能ではありません 00:07:20.096 --> 00:07:21.852 できます 我々は教育者ですから 00:07:21.852 --> 00:07:24.136 貢献するために生まれたのですから NOTE Paragraph 00:07:24.136 --> 00:07:25.527 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:07:25.527 --> 00:07:30.820 (拍手)