WEBVTT 00:00:01.134 --> 00:00:05.793 これは16世紀に描かれた ルーカス・クラナッハ (父) の絵です 00:00:06.160 --> 00:00:08.926 有名な「不老の泉」が描かれています 00:00:09.308 --> 00:00:15.034 この水で沐浴したり この水を呑んだりすると 健康になり若くなるというものです 00:00:15.857 --> 00:00:21.406 どの文明のどの文化でも人々は 永遠なる若さを求めて夢見てきました 00:00:22.044 --> 00:00:26.796 アレキサンダー大王や 探検家のポンセ・デ・レオンは 00:00:26.820 --> 00:00:30.251 「不老の泉」を生涯捜し続けましたが 00:00:30.726 --> 00:00:31.894 見つけられませんでした 00:00:33.450 --> 00:00:36.050 でも この話は これで終わりでしょうか? 00:00:36.074 --> 00:00:38.773 「不老の泉」の話には 何かが隠されているのでは? 00:00:39.284 --> 00:00:44.462 今日は加齢医学研究における 驚くべき発展をお話しします 00:00:44.486 --> 00:00:48.096 この事は加齢に関しての私たちの考えや 00:00:48.120 --> 00:00:51.322 未来の加齢に伴う疾患の治療法に 革命的貢献をするでしょう 00:00:52.145 --> 00:00:54.654 最近行われた成長に関する 00:00:54.678 --> 00:00:57.972 数々の実験研究から始まったことですが 00:00:57.996 --> 00:01:03.997 若齢マウスから得た血液を 注入された老齢マウスは若返る 00:01:04.021 --> 00:01:05.625 という事が分かったのです 00:01:06.148 --> 00:01:10.757 人間では二重胎児に 見られる事に似ていますが 00:01:10.781 --> 00:01:12.869 ちょっとゾッとする話ですね 00:01:13.338 --> 00:01:19.285 2007年 幹細胞研究者トム・ランドが 00:01:19.309 --> 00:01:22.809 老齢マウスが若齢マウスと 血液循環系を共有すると 00:01:22.833 --> 00:01:27.462 老齢マウスの筋肉が若返った という研究発表をし その数年後 00:01:27.903 --> 00:01:32.546 ハーバードでエイミー・ウェイジャーズが この再現実験に成功しました 00:01:32.570 --> 00:01:37.165 他の研究者達も同じような若返り効果を 00:01:37.189 --> 00:01:39.975 膵臓 肝臓そして心臓に観察した と報告していますが 00:01:40.974 --> 00:01:45.071 他のラボをも含む私たち研究者達が 最も関心を持っている事は 00:01:45.095 --> 00:01:47.514 脳にもこれを応用する というその可能性です 00:01:48.715 --> 00:01:54.046 つまり老齢マウスが 並体結合と呼ばれる技術で 00:01:54.070 --> 00:01:57.083 若齢マウスの影響を受けると 00:01:57.107 --> 00:01:58.899 脳が若返り機能が良くなる 00:01:58.923 --> 00:02:01.105 という事が分かりました 00:02:01.966 --> 00:02:03.556 繰り返しますが 00:02:03.580 --> 00:02:09.793 血液循環系を若齢マウスと共有する事で 老齢マウスは若い血液を得て 00:02:09.817 --> 00:02:12.801 脳は若返り 機能が亢進するのです 00:02:13.998 --> 00:02:15.530 私たちが歳を取ると 00:02:15.554 --> 00:02:18.226 あらゆる認知面で変化が見られます 00:02:18.250 --> 00:02:20.003 このスライドでは 00:02:20.027 --> 00:02:23.410 論理的思考 言語能力などの推移を 見る事ができます 00:02:23.899 --> 00:02:29.178 50〜60才あたりでは これらの機能損傷は見られません 00:02:29.202 --> 00:02:33.684 今 こうやって見渡して見ると 私たちはまだ大丈夫みたいですが 00:02:33.708 --> 00:02:34.716 (笑) 00:02:34.740 --> 00:02:38.547 これらの線が下がって行くのを 見るのは怖いですね 00:02:38.571 --> 00:02:40.160 歳を取るにつれ 00:02:40.184 --> 00:02:44.235 アルツハイマーなどの病気が 起きる事があります 00:02:45.004 --> 00:02:48.575 この様な病気では ニューロン同士を繋げる 00:02:48.599 --> 00:02:53.250 シナプス間に隙間が出来 ニューロン間の通信が悪くなり 00:02:53.274 --> 00:02:56.580 ニューロンの死滅 脳の萎縮へと進みます 00:02:56.604 --> 00:03:00.596 こうして加齢に伴い 神経変性疾患に 罹り易くなる事は分かっていますが 00:03:01.573 --> 00:03:05.666 ここで大きな問題が1つあります 00:03:05.666 --> 00:03:09.102 それがどのように起きているのかを 分子、機能レベルで 00:03:09.126 --> 00:03:13.176 ヒトの生体を使い実験して 詳しく脳内を見る事ができない事です 00:03:14.033 --> 00:03:17.019 私たちは認知テストをしたり 脳画像を撮ったり 00:03:17.043 --> 00:03:19.739 あらゆる最先端のテストができますが 00:03:19.763 --> 00:03:23.381 加齢に伴い 又は 病気が原因で 00:03:23.405 --> 00:03:28.499 どの様に脳が変化したかを実際に見るには その人の死を待つしかないのです 00:03:28.888 --> 00:03:31.952 これが神経病理学者が行っていることです 00:03:32.333 --> 00:03:38.000 それでは 脳を大きな生体の一部 00:03:38.024 --> 00:03:40.501 体全体の一部として考えると 00:03:40.525 --> 00:03:43.454 脳内で起きていることが 00:03:43.478 --> 00:03:47.064 分子レベルで もっと良く 理解できるのではないでしょうか? 00:03:47.088 --> 00:03:51.965 体の老化や病気が 脳に影響を与えるのでしょうか? 00:03:51.989 --> 00:03:56.412 又その逆の視点から 脳の老化は 体の他の部分に影響するのでしょうか? 00:03:57.050 --> 00:04:00.541 身体の全組織を結合しているのは 00:04:00.565 --> 00:04:01.715 循環組織です 00:04:02.366 --> 00:04:09.471 血液は酸素を運ぶ赤血球細胞や 00:04:09.480 --> 00:04:11.680 感染症と闘う免疫細胞だけでなく 00:04:11.704 --> 00:04:15.975 シグナル伝達分子すなわち 00:04:15.999 --> 00:04:19.911 ホルモンのような 00:04:19.935 --> 00:04:24.068 細胞や組織間の情報伝達をする 因子をも運搬します 00:04:24.092 --> 00:04:25.549 脳においても同様です 00:04:25.573 --> 00:04:30.711 加齢と病気による血液の変化を見れば 00:04:30.735 --> 00:04:33.098 脳に関して何か分かるかもしれません 00:04:33.651 --> 00:04:38.487 歳を取るにつれ血液は変化し 00:04:38.511 --> 00:04:41.470 ホルモン様因子が変わる事が分かっています 00:04:41.494 --> 00:04:45.693 体組織の成長や維持に必要な因子は 00:04:45.717 --> 00:04:49.138 概して歳を取るにつれ 00:04:49.162 --> 00:04:52.039 減少し始めます 00:04:52.063 --> 00:04:56.780 と同時に怪我や炎症の修復に携わる因子が増え 00:04:56.780 --> 00:04:58.740 と同時に怪我や炎症の修復に携わる因子が増え 00:04:58.764 --> 00:05:03.806 良い因子と悪い因子のバランスが 崩れて来るとも言えます 00:05:04.988 --> 00:05:07.981 この現象を私たちの次の実験で 00:05:08.005 --> 00:05:10.657 理解して頂きたいと思います 00:05:10.681 --> 00:05:14.330 健康な20才から89才までの人々から 00:05:14.354 --> 00:05:16.871 300近くの血液サンプルを採り 00:05:16.895 --> 00:05:20.790 組織間の情報伝達をする百以上の因子 00:05:20.814 --> 00:05:24.908 ホルモン様タンパク質を測定しました 00:05:25.266 --> 00:05:26.942 それでまず最初に 00:05:26.966 --> 00:05:29.783 若齢者と老齢者の間では 00:05:29.807 --> 00:05:33.104 約半分の因子が大きく違っている事が 分かったのです 00:05:33.128 --> 00:05:36.263 これらの因子の変化から見ると ヒトの生体環境は 00:05:36.287 --> 00:05:38.038 加齢に伴い大きく変わるという事です 00:05:38.062 --> 00:05:41.558 これから統計を取り 生物情報学のプログラムを用い 00:05:41.582 --> 00:05:46.276 逆算し およその年齢推定を 可能にしてくれる そんな因子を 00:05:46.300 --> 00:05:49.943 発見できるかもしれません 00:05:50.337 --> 00:05:53.193 それが どんなものか このグラフで分かります 00:05:53.618 --> 00:05:58.987 横軸は被験者の実年齢を表します 00:05:59.011 --> 00:06:00.316 横軸は被験者の実年齢を表します 00:06:00.340 --> 00:06:02.062 つまり何年前に生まれたかです 00:06:02.086 --> 00:06:04.794 そして先程のたんぱく質因子から 00:06:04.818 --> 00:06:09.662 被験者のおよその年齢を割り出します 00:06:10.708 --> 00:06:14.342 この様に 推定年齢は 実年齢にとても近いのです 00:06:14.366 --> 00:06:17.681 こうして大体の年齢を推定できるのです 00:06:17.705 --> 00:06:21.620 でも本当にすごいのは そのはずれ値なんです 00:06:21.644 --> 00:06:23.448 「変わり者」とはそんなもんです 00:06:23.922 --> 00:06:28.490 ここに緑色でハイライトしてあるのは 00:06:28.514 --> 00:06:31.110 70才位の人ですが 00:06:31.134 --> 00:06:36.140 私たちの測定が正しければ この人の生物学的年齢は 00:06:36.164 --> 00:06:38.207 ほんの45才でしかないのです 00:06:38.231 --> 00:06:41.715 この人は実年齢より ずっと若く見えるのでしょうか? 00:06:42.183 --> 00:06:46.699 それよりもっと重要な事は この人は 加齢に伴う病気に罹るリスクが低く 00:06:46.723 --> 00:06:50.047 百才まで いやそれよりもっと 00:06:50.071 --> 00:06:51.566 長生きするのでしょうか? 00:06:52.402 --> 00:06:56.963 一方 赤でハイライトされたこの人は 00:06:56.987 --> 00:07:01.893 40才にもなっていないのに 生物学的年齢は65才です 00:07:01.917 --> 00:07:06.315 この人は加齢に伴う病気に罹る リスクが高いのでしょうか? 00:07:06.339 --> 00:07:09.995 私たちのラボでは これらの 因子の研究を更に進めています 00:07:10.019 --> 00:07:12.257 多くの研究団体が真の加齢因子を 00:07:12.281 --> 00:07:14.357 突き止めようとしています 00:07:14.381 --> 00:07:19.354 それらの因子から何かが分かり 加齢による病の予測ができるでしょうか? 00:07:20.281 --> 00:07:24.343 このグラフは ただ相関関係を示し 00:07:24.367 --> 00:07:28.398 これら因子は加齢に伴い変化する と言えるだけで 00:07:28.422 --> 00:07:32.077 加齢に働きかけるかどうかは これからは良く分かりません 00:07:33.031 --> 00:07:36.079 次にお見せするのは 画期的な研究結果で 00:07:36.103 --> 00:07:41.174 これらの因子が組織の老化を 調節できることを示唆しています 00:07:41.845 --> 00:07:45.143 並体結合と呼ばれるモデルに戻りましょう 00:07:45.167 --> 00:07:47.707 マウスを使っての並体結合は 00:07:47.731 --> 00:07:52.643 手術で2匹のマウスを結合させ 00:07:52.667 --> 00:07:55.000 血液循環系を共有させるというものです 00:07:55.024 --> 00:07:59.811 ここで「若いマウスの血液が どうして老いたマウスの脳に影響するの?」 00:07:59.835 --> 00:08:01.573 という疑問が湧くでしょう 00:08:02.144 --> 00:08:04.348 これを明らかにする為 00:08:04.372 --> 00:08:07.825 ヒトの年齢にして20才と65才位に相当する 00:08:07.849 --> 00:08:12.185 2匹の若齢マウスと老齢マウスを使いました 00:08:12.958 --> 00:08:15.784 これで私たちは実に貴重な発見をしました 00:08:15.808 --> 00:08:19.528 ニューロン新生を行う神経幹細胞が 00:08:19.552 --> 00:08:21.294 老いたマウスの脳に増え 00:08:21.351 --> 00:08:23.933 ニューロンを結合するシナプスの活動が 00:08:23.957 --> 00:08:25.996 活発になり 00:08:26.020 --> 00:08:29.305 新しい記憶形成に携わる遺伝子が増え 00:08:29.329 --> 00:08:31.076 新しい記憶形成に携わる遺伝子が増え 00:08:31.659 --> 00:08:34.167 ひどい炎症を起こす事が少なくなりました 00:08:35.427 --> 00:08:41.923 でもマウスの脳への細胞混入は 観察されていません 00:08:41.947 --> 00:08:43.332 循環系を共有している間 00:08:43.357 --> 00:08:48.733 このモデルでは老齢マウスの脳に 細胞が混入していないので 00:08:49.379 --> 00:08:53.040 血液中の成分がその因子だと論理づけ 00:08:53.064 --> 00:08:57.847 血液内の血漿を採取し 00:08:57.871 --> 00:09:01.815 若齢 又は 老齢マウスの血漿を マウスに注入して調べ 00:09:01.839 --> 00:09:04.207 若返り効果を再現することができました 00:09:04.231 --> 00:09:05.945 これはマウスの記憶を 00:09:05.969 --> 00:09:08.419 テストして証明できました 00:09:08.443 --> 00:09:12.296 ヒトと同じ様にマウスも 加齢に伴い記憶障害が起きます 00:09:12.818 --> 00:09:14.411 ただ それは検知し難いのですが 00:09:14.435 --> 00:09:16.779 このあと その方法をお見せします 00:09:16.803 --> 00:09:19.498 それから これを一歩進めて 00:09:19.522 --> 00:09:23.562 ヒトにも応用できる様にしたいと思いました 00:09:23.586 --> 00:09:26.783 今からお見せするのは 未公開の研究結果です 00:09:26.807 --> 00:09:31.340 ここでは若いヒトの血漿と コントロールに生理食塩水を使い 00:09:31.364 --> 00:09:33.213 老いたマウスに 00:09:33.237 --> 00:09:35.113 その血漿を注入します 00:09:35.137 --> 00:09:39.989 これで その老齢マウスを 若返らせ マウスの学習能力を 00:09:40.013 --> 00:09:41.673 向上させられるでしょうか? 00:09:42.104 --> 00:09:45.393 それを調べる為に「バーンズ迷路」 と呼ばれるテストをしました 00:09:45.417 --> 00:09:48.572 これは穴が幾つも開けられた大きなテーブルに 00:09:48.596 --> 00:09:52.079 穴を識別する為のマークが 周りにつけてあり 00:09:52.103 --> 00:09:54.709 このステージのように まぶしい光が照らされています 00:09:54.733 --> 00:09:57.866 マウスは大嫌いな まぶしい光から逃れようと 00:09:57.890 --> 00:10:02.146 赤い矢印が示す 唯一の穴を捜します 00:10:02.170 --> 00:10:04.115 その穴の下には管が繋がれていて 00:10:04.139 --> 00:10:07.332 マウスは その暗い穴の中で 安心できる様になっています 00:10:07.977 --> 00:10:09.779 まず最初に数日間マウスに 00:10:09.803 --> 00:10:12.706 マークに従い その穴を捜す学習をさせます 00:10:12.730 --> 00:10:15.524 私たちが1日中 00:10:15.548 --> 00:10:19.778 買い物をした後 駐車場で 自分の車を捜すようなものです 00:10:19.802 --> 00:10:20.803 (笑) 00:10:20.827 --> 00:10:24.578 なかなか見つけられない人も たぶん多い事でしょう 00:10:24.602 --> 00:10:26.620 では老齢マウスを見てみましょう 00:10:26.954 --> 00:10:29.130 これは記憶障害がある老齢マウスです 00:10:29.154 --> 00:10:30.843 これを見ると分かりますが 00:10:31.305 --> 00:10:36.029 穴毎を覗き回っていて 最後に学習した場所を 00:10:36.053 --> 00:10:41.300 見つける手助けとなる 場所の地理的把握ができていません 00:10:41.873 --> 00:10:47.340 それと全く対照的に この同じ歳の兄弟は 00:10:47.364 --> 00:10:52.783 3日毎に若いヒトの血漿を少量 00:10:52.807 --> 00:10:55.340 3週間注入されたマウスですが 00:10:55.741 --> 00:10:59.964 ご覧の様に「ここは何処?」 とでも言うかの様に見回すと 00:10:59.988 --> 00:11:02.895 真っすぐに正解の穴へ向かいます 00:11:02.919 --> 00:11:05.783 その穴の場所を覚えていたのです 00:11:06.742 --> 00:11:10.430 この老齢マウスは確かに若返ったみたいに 00:11:10.454 --> 00:11:12.833 脳機能は若齢マウスのそれのようです 00:11:12.857 --> 00:11:15.563 これが示唆している事は 00:11:15.587 --> 00:11:20.578 若いマウスの血漿だけでなく 若いヒトの血漿にも 00:11:20.602 --> 00:11:24.262 老いた脳を助ける可能性が あるという事です 00:11:24.834 --> 00:11:25.986 要約すると 00:11:26.010 --> 00:11:30.209 老齢マウスの脳は 手の施しようがないのではなく 00:11:30.233 --> 00:11:33.684 可塑性を持たせることができる という事が分かりました 00:11:33.708 --> 00:11:35.181 若返らすことが出来るのです 00:11:35.680 --> 00:11:38.277 若い血液内の因子が老化を逆行させます 00:11:38.301 --> 00:11:40.013 それから お見せしなかったのですが 00:11:40.037 --> 00:11:45.259 並体結合で 若齢マウスは 老齢マウスとは逆の影響を受け 00:11:45.283 --> 00:11:48.663 老齢マウスの血液因子が 若齢マウスの老化を加速化させます 00:11:49.725 --> 00:11:54.042 ここで最も重要なのはヒトにも 同じような因子がある可能性です 00:11:54.066 --> 00:11:58.144 若いヒトの血液でも 同じような効果があるのですから 00:11:58.592 --> 00:12:02.148 老いたヒトの血液では この効果がなく 00:12:02.172 --> 00:12:03.934 老いたマウスは若返りません 00:12:05.071 --> 00:12:08.699 では この魔法をヒトに使えるでしょうか? 00:12:08.723 --> 00:12:12.352 今スタンフォードで 小さな臨床研究をやっています 00:12:12.376 --> 00:12:16.252 そこでは軽症のアルツハイマー病患者に 00:12:16.276 --> 00:12:22.886 若い20才のボランティアからの血漿で 治療を試みています 00:12:22.910 --> 00:12:25.505 週に1回の血漿注入を4週間続け 00:12:25.529 --> 00:12:28.692 MRIで画像を撮り 00:12:29.050 --> 00:12:30.894 患者の認知度をテストし 00:12:30.918 --> 00:12:34.924 患者の介護者に 患者の日常生活について訊ねます 00:12:34.948 --> 00:12:38.867 この治療でなんらかの効果が現れれば 00:12:38.891 --> 00:12:40.255 と私たちは願っています 00:12:40.758 --> 00:12:43.314 この治療が効くなら 私たちも 00:12:43.338 --> 00:12:45.758 マウスでの若返り効果はヒトにもあり得る 00:12:45.782 --> 00:12:47.560 という希望が持てるでしょう 00:12:48.478 --> 00:12:50.836 私たちは永遠の命は望めませんが 00:12:51.955 --> 00:12:54.292 この研究で発見した事は 00:12:54.316 --> 00:12:57.403 「不老の泉」は私たち自身の中にある という事かもしれません 00:12:57.427 --> 00:12:59.165 それが枯渇してしまうだけなので 00:12:59.574 --> 00:13:02.402 それを ちょっと復活させたいなら 00:13:02.426 --> 00:13:07.053 私たちは若返りに力を 貸してくれる因子を捜し出し 00:13:07.077 --> 00:13:09.664 そんな因子を人工的に生産して 00:13:09.688 --> 00:13:13.701 アルツハイマーなどの 加齢に伴う病気を 00:13:13.725 --> 00:13:14.955 治す事ができるのです 00:13:15.282 --> 00:13:16.433 ありがとうございました 00:13:16.457 --> 00:13:19.750 (拍手)