フライドポテトは美味しいですね ケチャップをつけたら もう最高 でも問題はボトル入りのケチャップは 必要な量だけ出せないこと ケチャップを出すのには慣れてしまって その不思議な性質に気づきません ビンの中身が 鉄の塊ような固体だったら いくら振っても鉄は出てきませんね でも同じビンに入っているのが 水のような液体なら 注ぐのは まるで夢のように簡単 しかしケチャップは 決めかねているよう 一体 固体なのか? 液体なのか? その答えは 場合によりけりです ごく一般的な液体 水、油、アルコールなどは 加えた力に比例して反応します 2倍強く押せば 2倍速く動きます この関係を見抜いたのは リンゴの逸話で有名な アイザック・ニュートン卿なので ニュートン流体と呼ばれます しかしケチャップは 比例関係に従わないグループに属し 非ニュートン流体と呼ばれます マヨネーズ、歯磨き粉、血液、ペンキ、 ピーナツバターや 他にも多くの流体が力に対し 比例的に反応しません これらの流体の見かけの粘性は どれだけ強く 長く 速く押したかに 依存します 実は ケチャップは2つの意味で 非ニュートン的なのです 1つ目:ケチャップは 加える力が強いほど流れやすくなります 一定の力以下では 基本的に固体のように振舞います しかし 限界点を超えると 突然 粘性を失い 桁違いに流れやすくなります 経験ありますね? 2つ目は: 加わる力が この限界点以下でも いずれは ケチャップは流れ始めます この場合 力ではなく時間が ガラスの牢獄に閉じ込められたケチャップを 解放する重要な要素なのです ケチャップは なぜこうも奇妙に 振舞うのでしょう ケチャップは 細かく砕いてつぶされた 完全に粉々のトマトから できています 小さな粒子が見えますか? これがケチャップ製造工程で残った トマトの細胞です 粒子を取り巻く液体は何でしょう? 大半は水で 酢、砂糖と香辛料が含まれます ケチャップが静かに留まった状態では トマトの粒子は均一に しかも ランダムに散らばっています さて 素早く弱い力を加えてみましょう 粒子はお互いにぶつかり合い 邪魔しあって 通り抜ける事ができず ケチャップは流れることができません 今度は強い力を一気に加えてみましょう 十分な力がトマトを押しつぶし 小さな球ではなく 楕円状になって ブン! 粒子の集団は十分な空間を得て 間を通り抜け ケチャップは流れます 次に僅かな力をとても長い時間 与え続けてみましょう この場合 何が起こっているのか 正確には分っていません 一つの可能性は 容器の壁付近にあるトマトの粒子が 真ん中付近にゆっくりと押し寄せられ 粒子を溶かしていた液体が― これは主に水でしたね― 端っこ付近に残され この水がビン中心部の ケチャップの塊との間で 潤滑剤として機能するので ケチャップはうまく流れるというものです もう一つの可能性は 粒子同士が小さな塊となり散らばって 互いに通りやすくなるというものです 流体の流れを研究する 科学者たちは 今もなお― ケチャップやその仲間の流れについて 精力的に研究しています ケチャップは力を加えるほど 流れやすくなりますが ウーブレック(水溶き片栗粉)や 純粋なピーナツバターなどの物質では 力が加わるほど硬くなっていきます 回転する棒の表面を上ったり 一旦流れが始まると ビーカーから 流れ出し続ける流体もあります でも 物理学的な観点からは ケチャップはその中でも 特に複雑な混合物です さらに ややこしいことに 各種含有物と 多くのフルーツ飲料や ミルクシェークに含まれる キサンタンガムのような天然増粘剤の 割合によって 異なる種類のケチャップは 全く異なる挙動を示すことです でも その多くは2つの特徴を示します ある力を超えると 突然流れやすくなることと 弱い力でも長い時間 かけると 徐々に流れやすくなることです つまり ケチャップをボトルから 出す方法は2つ 時間をかけて そっと容器を振ることです でも 力を加え続けることが大切です もしくは 容器に力を一気に加えます でも玄人はふたをしたまま 容器を何回か さっと強く振って トマト粒子を眠りから覚まし それから ふたを取って 適量をうまく おいし~い ポテトにかけています