1 00:00:06,756 --> 00:00:08,790 約2千年前 2 00:00:08,790 --> 00:00:14,447 ローマの哲学者セネカは 本の文字をコップの水越しに見ました 3 00:00:14,447 --> 00:00:18,504 すると突然 文字が変形し 4 00:00:18,504 --> 00:00:21,790 魔法のようにクッキリしたのです 5 00:00:21,790 --> 00:00:25,041 千年も後のことになりますが それと同じ原理による 6 00:00:25,041 --> 00:00:30,143 最初の眼鏡が作成されました 7 00:00:30,143 --> 00:00:33,622 今では 屈折異常により視力が低下した 何億もの人が 8 00:00:33,622 --> 00:00:36,778 眼鏡のお世話になっています 9 00:00:36,778 --> 00:00:40,987 それがどういうことか理解するための キーワードは「屈折」です 10 00:00:40,987 --> 00:00:43,951 屈折とは 透明な物体 たとえばガラスや 11 00:00:43,951 --> 00:00:44,980 水 12 00:00:44,980 --> 00:00:49,782 または眼球内を 光が通過する時に 方向を変える特性です 13 00:00:49,782 --> 00:00:52,320 眼球には2つの主たる屈折面があります 14 00:00:52,320 --> 00:00:54,800 角膜と水晶体(レンズ)です 15 00:00:54,800 --> 00:00:57,379 この2つの面は協力して働き 16 00:00:57,379 --> 00:01:02,137 網膜に正確に焦点が結ぶよう 光を屈折させます 17 00:01:02,137 --> 00:01:05,749 網膜とは 眼の後ろ側にある 光を感じる細胞の層のことで 18 00:01:05,749 --> 00:01:08,903 脳と共に働いて 視覚を作りだします 19 00:01:08,903 --> 00:01:11,442 しかし多くの人が 屈折異常になります 20 00:01:11,442 --> 00:01:14,213 屈折異常は 目が発達する子供の時や 21 00:01:14,213 --> 00:01:17,402 目が老化する高齢期に起きます 22 00:01:17,402 --> 00:01:19,527 角膜と水晶体がうまく働かないと 23 00:01:19,527 --> 00:01:24,380 屈折した光が 網膜の前や後ろで焦点を結び 24 00:01:24,380 --> 00:01:27,377 像がぼやけて見えます 25 00:01:27,377 --> 00:01:29,888 屈折異常のある人でも 色や 26 00:01:29,888 --> 00:01:30,946 動き 27 00:01:30,946 --> 00:01:32,072 光は見えますが 28 00:01:32,072 --> 00:01:35,560 見ているものの細部にピントが合いません 29 00:01:35,560 --> 00:01:38,840 屈折異常はその人の目の状態によって 30 00:01:38,840 --> 00:01:41,320 異なる形で現れます 31 00:01:41,320 --> 00:01:43,666 光が屈折しすぎる場合もあれば 32 00:01:43,666 --> 00:01:45,980 屈折が足りない場合もあります 33 00:01:45,980 --> 00:01:49,461 焦点が網膜より前にあることを 34 00:01:49,461 --> 00:01:51,131 近視といいます 35 00:01:51,131 --> 00:01:53,066 近くのものははっきり見えますが 36 00:01:53,066 --> 00:01:56,059 遠くのものはぼやけて見えます 37 00:01:56,059 --> 00:01:58,345 逆に焦点が網膜より後ろにあることを 38 00:01:58,345 --> 00:02:01,627 遠視といいます 39 00:02:01,627 --> 00:02:04,870 近くのものにはピントが合わず 40 00:02:04,870 --> 00:02:07,907 遠くのものははっきり見えます 41 00:02:07,907 --> 00:02:11,859 中には角膜が球状でない人もいて 42 00:02:11,859 --> 00:02:13,790 乱視の原因になります 43 00:02:13,790 --> 00:02:18,040 近い遠いにかかわらず 全てのものが 44 00:02:18,040 --> 00:02:20,356 ぼやけて見える状態です 45 00:02:20,356 --> 00:02:23,224 歳をとるにつれて 目は新たな課題に直面します 46 00:02:23,224 --> 00:02:26,412 若い時は水晶体が柔軟で 47 00:02:26,412 --> 00:02:29,789 ピントを合わせるために 形を変えることができ 48 00:02:29,789 --> 00:02:31,981 これは遠近調整機能と呼ばれます 49 00:02:31,981 --> 00:02:37,131 これで 遠くのものから近くのものを見る時に ピントが合った状態を保つことができます 50 00:02:37,131 --> 00:02:40,444 ところが歳をとると 水晶体の柔軟性が落ち 51 00:02:40,444 --> 00:02:44,313 近くのものを見たい時に 水晶体が形を変えられなくなるのです 52 00:02:44,313 --> 00:02:46,404 これが老眼で 53 00:02:46,404 --> 00:02:51,040 40歳ごろから始まります 54 00:02:51,040 --> 00:02:51,849 近視 55 00:02:51,849 --> 00:02:52,776 遠視 56 00:02:52,776 --> 00:02:53,834 乱視 57 00:02:53,834 --> 00:02:55,475 老眼 58 00:02:55,475 --> 00:02:57,926 どれも屈折異常です 59 00:02:57,926 --> 00:03:01,757 現代では眼鏡やコンタクトレンズで 光の屈折を補正し 60 00:03:01,757 --> 00:03:07,200 焦点が正確に網膜に合うようにすれば これらの異常は全て矯正できます 61 00:03:07,200 --> 00:03:09,769 手術による視力矯正も可能です 62 00:03:09,769 --> 00:03:13,086 レーザーで角膜の形を変え 63 00:03:13,086 --> 00:03:15,656 屈折の仕方を変化させます 64 00:03:15,656 --> 00:03:17,913 しかし今でも 最も一般的なのは眼鏡です 65 00:03:17,913 --> 00:03:19,880 丁寧に加工されたレンズが 66 00:03:19,880 --> 00:03:23,257 光を網膜の適切な位置に導くことで 67 00:03:23,257 --> 00:03:27,060 良い視力を取り戻します 68 00:03:27,060 --> 00:03:29,635 セネカの発見や 眼鏡の原型の誕生以来 69 00:03:29,635 --> 00:03:32,178 長い年月が過ぎました 70 00:03:32,178 --> 00:03:36,324 エドワード・スカーレットという イギリスの眼鏡商が 1727年に 71 00:03:36,324 --> 00:03:39,132 つるを耳にかけて固定する 72 00:03:39,132 --> 00:03:42,697 近代的な眼鏡を発明しました 73 00:03:42,697 --> 00:03:46,046 現在の眼鏡は当時のデザインを 真似たものですが 74 00:03:46,046 --> 00:03:49,753 より精密で個性的なものになっています 75 00:03:49,753 --> 00:03:55,061 眼鏡は 個々の視力を引き出すために 1人1人に合わせて調整されます 76 00:03:55,061 --> 00:04:00,598 もしあなたが近視 遠視 もしくはその両方で困っている 77 00:04:00,598 --> 00:04:01,883 5億人の1人なら 78 00:04:01,883 --> 00:04:05,589 目の前にあるはずの 全く新しい世界を見せてくれる眼鏡が 79 00:04:05,589 --> 00:04:07,663 あなたを待っています