WEBVTT 00:00:06.834 --> 00:00:09.789 もし あなたが他の生物を取り込んで その生物のもつ能力を 00:00:09.789 --> 00:00:11.817 身につけることができたら? 00:00:11.817 --> 00:00:16.920 想像してみて下さい 小さな鳥を一飲みし 突然 空を飛ぶ能力を身につけたり 00:00:16.920 --> 00:00:18.884 コブラを飲み込んで 00:00:18.884 --> 00:00:23.444 歯から毒液を吐き出すようなことを 00:00:23.444 --> 00:00:25.177 生命の歴史において― 00:00:25.177 --> 00:00:29.904 特に複雑な真核細胞の進化の過程において 00:00:29.904 --> 00:00:33.210 このようなことが頻繁に起きていました 00:00:33.210 --> 00:00:35.877 ある生命が他の生命を取り込み 00:00:35.877 --> 00:00:42.401 一体となって 双方の能力を有する 新たな生命となったのです 00:00:42.401 --> 00:00:44.814 約20億年前の地球に住んでいた生物は 00:00:44.814 --> 00:00:48.960 原核生物だけだったと考えられています 00:00:48.960 --> 00:00:54.516 これは膜で覆われた細胞小器官のない 単細胞生物のことです 00:00:54.516 --> 00:00:57.311 3つの例をじっくりと見てみましょう 00:00:57.311 --> 00:01:00.659 1つ目は 大きな 単純な塊のような細胞で 00:01:00.659 --> 00:01:06.186 細胞膜により他の生物を周りを包みこみ 中に取り込む能力を持っていました 00:01:06.186 --> 00:01:07.861 2つ目は 光合成により 00:01:07.861 --> 00:01:13.761 太陽エネルギーを糖分子に 変換することができた細菌の細胞です 00:01:13.761 --> 00:01:18.585 3つ目の細胞は 酸素を用いて糖などの物質を分解し 00:01:18.585 --> 00:01:23.730 生命活動に必要なエネルギーを 取り出すことができました 00:01:23.730 --> 00:01:29.407 塊状のセルは 光合成を行う小さな細菌を 吸収することもあったことでしょう 00:01:29.407 --> 00:01:34.549 このような細菌は塊のセルの中で 今まで通り分裂しながら生活を始め 00:01:34.549 --> 00:01:37.694 一方で互いに関連するようになりました 00:01:37.694 --> 00:01:39.981 あなたが ふと この様相を目にしたら 00:01:39.981 --> 00:01:43.124 これは1つの生命であって 00:01:43.124 --> 00:01:47.461 緑色の光合成を行う細菌のことを 塊状の細胞の一部であり 00:01:47.461 --> 00:01:50.161 生存機能の一つを担っているのに 過ぎないと思うかもしれません 00:01:50.161 --> 00:01:52.189 心臓が血液を送り出す機能を持った 00:01:52.189 --> 00:01:56.182 あなたの体の一部である考えるのと 同じようなことです 00:01:56.182 --> 00:02:00.861 細胞達が一緒になるこのような過程 — 一方の生命が他の生命内で生きることを 00:02:00.861 --> 00:02:04.239 細胞内共生といいます 00:02:04.239 --> 00:02:06.995 しかし細胞内共生は それだけに留まりませんでした 00:02:06.995 --> 00:02:10.693 他の細菌が入り込んできたら 何が起こるのでしょう? 00:02:10.693 --> 00:02:14.995 この種の細胞がとても複雑になり始め 00:02:14.995 --> 00:02:17.184 葉緑体やミトコンドリアといった 00:02:17.184 --> 00:02:21.488 複雑な構造体で満たされ より大きくなっていきました 00:02:21.488 --> 00:02:24.156 このような構造体が協調し 太陽光を利用して 00:02:24.156 --> 00:02:25.146 糖を作り出し 00:02:25.146 --> 00:02:27.973 そして 地球の大気に 酸素が含まれるようになった頃には 00:02:27.973 --> 00:02:32.701 これを用いて糖を分解するようになりました 00:02:32.701 --> 00:02:34.816 生命体が他の生命体を取り込むことは 00:02:34.816 --> 00:02:39.193 周囲の環境の変化に 種が適応する 00:02:39.193 --> 00:02:41.469 1つの方法でした 00:02:41.469 --> 00:02:45.941 このちょっとした考えは 生物学者が細胞内共生説と称するもので 00:02:45.941 --> 00:02:50.862 複雑な細胞へと進化を遂げた過程を 説明する 今ある最良の理論です 00:02:50.862 --> 00:02:53.358 この理論を支持する 多くの証拠が挙げられていますが 00:02:53.358 --> 00:02:55.964 その内 主なものを 3つ紹介しましょう 00:02:55.964 --> 00:03:01.236 1つ目は 葉緑体やミトコンドリアが 細胞内で増殖する仕方は 00:03:01.236 --> 00:03:03.359 今も存在する 大昔の細菌のものと 00:03:03.359 --> 00:03:05.315 全く同じであるということです 00:03:05.315 --> 00:03:10.459 事実 細胞内のこのような構造体が破壊されると 2度と再生しません 00:03:10.459 --> 00:03:12.326 細胞は構造体を 作り出すことが出来ないのです 00:03:12.326 --> 00:03:15.144 細胞はそれ自身のみを複製します 00:03:15.144 --> 00:03:16.653 2つ目の証拠は 00:03:16.653 --> 00:03:22.635 葉緑体やミトコンドリアは どちらも それ自身のDNAやリボゾームを有することです 00:03:22.635 --> 00:03:24.725 これらのDNAは環状の構造をもっていますが 00:03:24.725 --> 00:03:28.769 これは大昔の細菌の DNAの構造とそっくりな上 00:03:28.769 --> 00:03:31.851 よく似た遺伝子も多く含んでいます 00:03:31.851 --> 00:03:36.709 葉緑体やミトコンドリア内で タンパク質を製造するリボゾームも 00:03:36.709 --> 00:03:41.064 大昔の細菌のリボゾームと 似た構造を持っていますが 00:03:41.064 --> 00:03:42.817 真核細胞内に浮かぶ 00:03:42.817 --> 00:03:46.473 他のリボゾームとは 異なっています 00:03:46.473 --> 00:03:50.810 最後は 他細胞の取り込みに関係する 細胞膜についてです 00:03:50.810 --> 00:03:55.731 葉緑体とミトコンドリアは どちらも内側と外側の 00:03:55.731 --> 00:03:58.493 2つの細胞膜で包まれています 00:03:58.493 --> 00:04:01.776 内側の細胞膜には ある種の脂質やタンパク質が含まれますが 00:04:01.776 --> 00:04:04.919 これは外側の細胞膜には含まれていません 00:04:04.919 --> 00:04:06.528 それの意味するところは? 00:04:06.528 --> 00:04:10.350 外側の細胞膜は塊状の細胞に 元来からあったものでした 00:04:10.350 --> 00:04:13.212 細胞内共生の過程で 他の細胞が取り込まれるとき 00:04:13.212 --> 00:04:18.418 それは細胞膜により包み込まれ 取り込まれた細胞の細胞膜も内側に残りました 00:04:18.418 --> 00:04:20.228 もちろん 大昔の細菌の― 00:04:20.228 --> 00:04:25.363 細胞膜においても 同じ脂質やタンパク質が見つかっています 00:04:25.363 --> 00:04:27.263 今では生物学者はこの説によって 00:04:27.263 --> 00:04:32.342 非常に多種の真核生物が登場した 理由を説明しています 00:04:32.342 --> 00:04:36.196 プールの壁にへばりついて成長する 緑色の藻を採取してみましょう 00:04:36.196 --> 00:04:41.338 回転する尾をもった より大きな真核単細胞生物である鞭毛は 00:04:41.338 --> 00:04:47.514 ある時に藻を取り込み ミドリムシと呼ばれるものになりました 00:04:47.514 --> 00:04:49.687 ミドリムシは光合成を行ったり 00:04:49.687 --> 00:04:51.779 酸素を用いて糖を分解したり 00:04:51.779 --> 00:04:54.444 池で泳ぐこともできます 00:04:54.444 --> 00:04:56.202 理論から予測されるように 00:04:56.202 --> 00:04:59.845 ミドリムシに含まれる葉緑体は 鞭毛に取り込まれる前に 00:04:59.845 --> 00:05:04.054 2つの膜を持っていたので 3つの膜があるのです 00:05:04.054 --> 00:05:06.689 細胞内共生説が語る 取り込みの過程は 00:05:06.689 --> 00:05:09.771 生物が素晴らしい能力を合体させて 00:05:09.771 --> 00:05:13.046 地球における生存への適合性を 高めることを可能にしました 00:05:13.046 --> 00:05:15.817 その結果 種はバラバラでいるよりも 00:05:15.817 --> 00:05:18.252 より多くの能力を得ました 00:05:18.252 --> 00:05:20.216 これは飛躍的な進化をもたらし 00:05:20.216 --> 00:05:22.653 現在 目にすることが出来る 00:05:22.653 --> 00:05:26.139 微生物、植物や動物を 登場させたのでした