WEBVTT

00:00:00.999 --> 00:00:05.975
年間100万人以上が
災害で死亡します

00:00:05.999 --> 00:00:11.233
250万人が回復不能の障害を負ったり
住む場所を失ったりします

00:00:11.257 --> 00:00:15.181
そして復興には20〜30年かかり

00:00:15.205 --> 00:00:17.606
被害額は数十億ドルにのぼります

NOTE Paragraph

00:00:19.054 --> 00:00:23.425
初動対応を１日繰り上げるだけで

00:00:23.449 --> 00:00:26.976
全体の復興にかかる期間が

00:00:27.000 --> 00:00:29.808
1,000日 つまり３年も短縮できます

00:00:29.832 --> 00:00:31.585
その仕組みを見てゆきましょう

00:00:31.609 --> 00:00:34.459
第１陣が現地入りして
人命救助をし

00:00:34.483 --> 00:00:36.999
洪水の危険性などを緩和する
ことさえできれば

00:00:37.023 --> 00:00:39.307
その後 現地入りする人たちの仕事は

00:00:39.331 --> 00:00:42.316
水道､道路､電気の復旧
ということになります

00:00:42.340 --> 00:00:45.456
従って 建設業や
保険会社の社員も

00:00:45.480 --> 00:00:48.094
現地入りして
家屋を再建できるので

00:00:48.118 --> 00:00:51.106
経済を復興できるのです

00:00:51.130 --> 00:00:56.003
また 次の被災時に より迅速な
復興対応ができるかもしれません

00:00:57.899 --> 00:00:59.695
大手保険会社によると

00:00:59.719 --> 00:01:04.831
保険会社が世帯主の請求を
１日早く処理できれば

00:01:04.855 --> 00:01:06.975
半年も早く

00:01:06.999 --> 00:01:09.239
家を修理してもらえるのです

NOTE Paragraph

00:01:10.118 --> 00:01:12.447
ですから私は
災害ロボット工学を研究しています

00:01:12.471 --> 00:01:16.970
ロボットを使えば
すばやく災害を処理できるからです

NOTE Paragraph

00:01:18.305 --> 00:01:20.322
さて この２台のロボットは

00:01:20.346 --> 00:01:22.066
無人航空機(UAV)です

00:01:22.090 --> 00:01:23.951
展示してある２種類のUAVは

00:01:23.975 --> 00:01:25.840
回転翼機のハミングバードと

00:01:25.864 --> 00:01:27.934
固定翼機のホークです

00:01:27.958 --> 00:01:31.348
2005年のハリケーン・カトリーナ以降
広範囲で

00:01:31.372 --> 00:01:32.547
使用されてきました

00:01:32.571 --> 00:01:35.895
回転翼機のハミングバードの
動きをご覧に入れましょう

00:01:35.919 --> 00:01:38.975
構造工学技術者にとっては
最高のロボットですよね

00:01:38.999 --> 00:01:43.419
地上の双眼鏡や 衛星などの飛行物体の
高角度の画像では

00:01:43.443 --> 00:01:44.753
見られないアングルから

00:01:44.777 --> 00:01:47.969
被害状況が把握できます

00:01:48.530 --> 00:01:52.902
構造工学技術者や保険業者でなくても
状況把握は必要です

00:01:52.926 --> 00:01:55.393
このホークのような
固定翼機もあります

00:01:55.417 --> 00:01:58.688
さて このホークは地理空間の調査に
使えます

00:01:58.712 --> 00:02:01.561
地理空間調査では
画像を集めて

00:02:01.585 --> 00:02:03.410
３次元に再構築します

NOTE Paragraph

00:02:03.434 --> 00:02:07.508
ワシントン州オソの土砂災害では
両方の機種が使用されました

00:02:07.532 --> 00:02:09.731
その理由は捜索救援ではなく

00:02:09.755 --> 00:02:12.913
地理空間的､水文学的に
災害状況を把握することが

00:02:12.937 --> 00:02:14.183
重要だったからです

00:02:14.207 --> 00:02:16.526
捜索救援チームは現地状況を
コントロール下に置き

00:02:16.550 --> 00:02:18.028
活動内容を理解していました

00:02:18.052 --> 00:02:21.922
もっと大きな問題だったのは 
二次災害により隊員たちが

00:02:21.946 --> 00:02:23.440
土砂や洪水に流されることでした

00:02:23.464 --> 00:02:27.206
問題は隊員の怪我や
物的損害だけでなく

00:02:27.230 --> 00:02:30.509
ワシントン州の被災地での
サケ釣りの将来も

00:02:30.533 --> 00:02:32.249
危ぶまれていました

00:02:32.273 --> 00:02:34.749
そのため 現状を
理解する必要がありました

00:02:34.773 --> 00:02:37.382
７時間のうちに アーリントンの

00:02:37.406 --> 00:02:42.220
現場指揮所から被災地へ車を走らせ
UAVを飛ばして

00:02:42.244 --> 00:02:45.975
データを処理し 
アーリントンの指令所に戻りました

00:02:45.999 --> 00:02:47.405
７時間です

00:02:47.429 --> 00:02:50.963
他の方法だったら2、3日かかるものを

00:02:50.987 --> 00:02:54.737
７時間で届けたのです

00:02:54.761 --> 00:02:56.598
しかも より鮮明な高解像度です

00:02:57.064 --> 00:02:58.437
それが形勢を一変させます

NOTE Paragraph

00:02:59.773 --> 00:03:01.842
UAVだけに注目しないでください

00:03:01.866 --> 00:03:04.494
確かに UAVについ目が行くのはわかりますけどね

00:03:04.518 --> 00:03:07.854
世界の人口の８割が
水辺で暮らしているのです

00:03:07.878 --> 00:03:10.742
つまり 橋などの
重要なインフラが

00:03:10.766 --> 00:03:14.052
水没して
人間が立ち入れなくなるのです

00:03:14.076 --> 00:03:16.668
そのため
無人水中機(UMV)を使うのです

00:03:16.692 --> 00:03:21.144
ご覧のものは SARbotで
四角いドルフィンです

00:03:21.168 --> 00:03:23.864
水中に潜り
ソナー（超音波探信儀）を使います

00:03:23.888 --> 00:03:26.221
なぜ無人水中機が
重要なのでしょうか？

00:03:26.245 --> 00:03:29.369
どうしてこんなにも重要なのに

00:03:29.393 --> 00:03:30.909
見過ごされているのでしょうか？

00:03:30.933 --> 00:03:33.335
日本の津波について
考えてみましょう

00:03:33.359 --> 00:03:37.325
約650kmの海岸線が
壊滅的な被害を受けました

00:03:37.349 --> 00:03:42.045
アメリカのハリケーン・カトリーナによる
沿岸被害の２倍です

00:03:42.069 --> 00:03:45.925
橋､パイプライン､港などが
破壊されたらどうなるのか？

00:03:45.949 --> 00:03:47.561
港がなければ

00:03:47.585 --> 00:03:50.831
被災者を支援する
十分な救援物資を受け取る

00:03:50.855 --> 00:03:52.076
方法がなくなるのです

00:03:52.100 --> 00:03:54.672
ハイチの地震では
それが大問題となりました

00:03:55.565 --> 00:03:57.687
だから UMVが要るのです

NOTE Paragraph

00:03:57.711 --> 00:04:00.142
SARbotが
何を捉えているのかを

00:04:00.166 --> 00:04:01.637
見てみましょう

00:04:01.661 --> 00:04:03.907
漁港で活動した時のものです

00:04:03.931 --> 00:04:09.647
SARbotのソナーを使って
４時間で 漁港を再開できました

00:04:09.671 --> 00:04:12.324
その漁港では潜水チームの

00:04:12.348 --> 00:04:15.054
手作業が始まるのに半年かかり

00:04:15.078 --> 00:04:17.765
さらに２週間の潜水作業がかかると
言われていました

00:04:17.789 --> 00:04:20.083
それでは地域の主要な収入源である

00:04:20.107 --> 00:04:24.333
秋の出漁期を逃してしまいます
アメリカならケープコッドのような場所です

00:04:24.357 --> 00:04:26.625
だから UMVは大変重要なのです

NOTE Paragraph

00:04:26.649 --> 00:04:29.897
お見せしたロボットが
すべて小さいのは

00:04:29.921 --> 00:04:33.698
ロボットは人間がすることはせず

00:04:33.722 --> 00:04:35.975
人間が行けない所に行くからです

00:04:35.999 --> 00:04:38.975
良い例がブジョルドです

00:04:38.999 --> 00:04:41.975
無人地上探索機は
特に小さいのです

00:04:41.999 --> 00:04:43.317
ブジョルドは―

NOTE Paragraph

00:04:43.341 --> 00:04:44.849
（笑）

NOTE Paragraph

00:04:44.873 --> 00:04:46.056
ブジョルドに挨拶して

NOTE Paragraph

00:04:46.080 --> 00:04:48.764
（笑）

NOTE Paragraph

00:04:49.606 --> 00:04:52.975
ブジョルドは世界貿易センターで
広範囲に使われ

00:04:52.999 --> 00:04:55.379
１､２､４号棟を捜索しました

00:04:55.403 --> 00:05:00.048
瓦礫を登ったり懸垂下降をしたり
隙間の奥に進んで行きます

00:05:00.072 --> 00:05:04.631
ブジョルドの視線での
世界貿易センターです

00:05:04.655 --> 00:05:09.724
人間や犬が入れないような
被災地で活躍するのです

00:05:09.748 --> 00:05:11.890
しかも 火災が起きています

00:05:11.914 --> 00:05:15.648
地下の生存者の元にたどり着く
希望がただ１つあるとしたら

00:05:15.672 --> 00:05:17.867
火の中をかいくぐって
捜さねばなりません

00:05:17.891 --> 00:05:22.395
熱さのあまり １台のロボットの
車輪が溶けて外れました

00:05:23.161 --> 00:05:25.949
ロボットは人間や犬
ハチドリや鷹

00:05:25.973 --> 00:05:28.494
イルカの代わりをするのではありません

00:05:28.518 --> 00:05:30.554
ロボットは新しいことをするのです

00:05:30.578 --> 00:05:36.267
新しい画期的な方法で
隊員や専門家をサポートするのです

NOTE Paragraph

00:05:36.291 --> 00:05:40.720
最大の問題は
ロボットをより小さく作ることでも

00:05:40.744 --> 00:05:42.975
耐熱性の向上や
センサーの増設でもなく

00:05:42.999 --> 00:05:44.756
耐熱性の向上や
センサーの増設でもなく

00:05:44.780 --> 00:05:48.390
最大の問題はデータ
つまり情報科学なのです

00:05:48.414 --> 00:05:52.450
適切な時間に適切なデータを得る
必要があるからです

NOTE Paragraph

00:05:52.474 --> 00:05:57.975
専門家が現場に到着するまでの時間を待たず
専門家が直接ロボットに

00:05:57.999 --> 00:06:00.975
アクセスできたら
素晴らしくありませんか？

00:06:00.999 --> 00:06:03.932
現場にいる人が使えたら
素晴らしくありませんか？

00:06:03.956 --> 00:06:05.338
一緒に考えてみましょう

00:06:05.362 --> 00:06:08.734
田舎で化学薬品を積んだ列車の
脱線事故があったとしましょう

00:06:08.758 --> 00:06:12.600
UAVを所有している国の
専門家､化学技術者

00:06:12.624 --> 00:06:14.486
輸送技術者のうち

00:06:14.510 --> 00:06:19.371
UAVの訓練を受けている者の
割合はどのくらいでしょうか？

00:06:19.395 --> 00:06:20.928
おそらくゼロに近いと思います

00:06:20.952 --> 00:06:23.342
だから このようなインターフェースで

00:06:23.366 --> 00:06:27.706
ロボットの種類が分からなくても
ロボットを使っていてもいなくても

00:06:27.730 --> 00:06:30.516
ロボットを使えるようにします

00:06:32.252 --> 00:06:38.286
ロボットが皆さんや専門家に
提供するのはデータです

NOTE Paragraph

00:06:38.310 --> 00:06:41.890
問題は「誰が何のデータをいつ得るのか」です

00:06:41.914 --> 00:06:45.807
たとえば あらゆる情報を
集めて皆で共有して

00:06:45.831 --> 00:06:47.343
それを仕分けしてもらう手があります

00:06:47.367 --> 00:06:51.223
ただし それだと問題はネットワークが
負荷に耐えられず

00:06:51.247 --> 00:06:54.933
さらに悪いことに
状況を一変させる決断をするのに

00:06:54.957 --> 00:06:59.466
決断をするために必要となる情報が
一塊になってしまうと

00:06:59.490 --> 00:07:03.295
それを受け止めようとする人間１人ひとりの
認識能力を越えてしまいます

00:07:03.999 --> 00:07:07.093
だから そういう難題について
考える必要があるのです

00:07:07.117 --> 00:07:08.382
だから データなのです

NOTE Paragraph

00:07:08.406 --> 00:07:10.642
世界貿易センターの話に戻しますと

00:07:10.666 --> 00:07:14.975
ブジョルドが瓦礫の奥に入った時の
データだけを記録することで

00:07:14.999 --> 00:07:16.975
その問題解決を図りました

00:07:16.999 --> 00:07:19.563
それが米陸軍予備役のチームの
求めるデータだったからです

00:07:20.523 --> 00:07:23.111
あとで気づいたんですが

00:07:23.135 --> 00:07:25.733
土木技術者だったら
瓦礫の奥に辿りつくまでの

00:07:25.757 --> 00:07:29.975
箱型梁､シリアルナンバー､採取場所
などのデータに

00:07:29.999 --> 00:07:32.618
興味を持ち
必要としたかも知れません

00:07:33.343 --> 00:07:34.810
価値あるデータを失ったのです

00:07:34.834 --> 00:07:37.213
今後の課題はすべてのデータを記録し

00:07:37.237 --> 00:07:39.417
しかるべき相手に提供することです

NOTE Paragraph

00:07:39.441 --> 00:07:41.518
別の理由もあります

00:07:41.542 --> 00:07:43.853
その時分かったのですが
いくつかの施設

00:07:43.877 --> 00:07:47.149
学校､病院､市役所などでは

00:07:47.173 --> 00:07:51.192
調査段階によって対応する機関が違うので

00:07:51.216 --> 00:07:53.466
４回も調査が入ることになるのです

00:07:54.156 --> 00:07:57.425
ロボットが収集したデータを
共有すれば

00:07:57.449 --> 00:08:02.299
各フェーズを集約することによって

00:08:02.323 --> 00:08:03.976
対応時間が短くなるだけでなく

00:08:04.000 --> 00:08:08.358
フェーズの同時進行も行えるのです

00:08:08.382 --> 00:08:09.761
誰もがデータを見られます

00:08:09.785 --> 00:08:11.247
そうやって時間短縮できます

NOTE Paragraph

00:08:11.999 --> 00:08:15.405
だから「災害ロボット工学」
というのは誤称です

00:08:16.227 --> 00:08:18.122
ロボットではなく

00:08:18.146 --> 00:08:20.028
主体はデータなんです

NOTE Paragraph

00:08:20.433 --> 00:08:23.763
（拍手）

NOTE Paragraph

00:08:23.787 --> 00:08:25.744
皆さんにお願いしたいことは

00:08:25.768 --> 00:08:28.068
次に 災害のニュースを見るとき

00:08:28.092 --> 00:08:29.417
ロボットを探してください

00:08:29.441 --> 00:08:32.566
地下、水中、空中のどこにいるかわかりませんが

00:08:32.590 --> 00:08:34.284
地下、水中、空中のどこにいるかわかりませんが

00:08:34.308 --> 00:08:36.273
きっといるはずです

00:08:36.297 --> 00:08:37.464
救援に駆けつける

00:08:37.488 --> 00:08:40.235
ロボットを探してください

NOTE Paragraph

00:08:40.259 --> 00:08:45.920
（拍手）