1 00:00:00,000 --> 00:00:02,000 本日ここにおいでの方や 2 00:00:02,000 --> 00:00:05,000 この講演を別な時間 別な場所でご覧になっている方は 3 00:00:05,000 --> 00:00:08,000 みんなデジタル著作権エコシステムの一部なのです 4 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 アーティストの方 技術者の方 5 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 弁護士の方 ファンの方 6 00:00:12,000 --> 00:00:15,000 どの方の生活にも 著作件の扱いは直接影響します 7 00:00:15,000 --> 00:00:17,000 著作権の管理はもはや 8 00:00:17,000 --> 00:00:20,000 単なる所有の問題ではないのです 9 00:00:20,000 --> 00:00:22,000 網の目のような複雑な関連があり 10 00:00:22,000 --> 00:00:25,000 私達の文化的シーンにあって重要な課題になっています 11 00:00:25,000 --> 00:00:28,000 YouTubeはコンテンツ所有者の権利にとても気を使っています 12 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 しかしコピーやマッシュアップといったことに 13 00:00:30,000 --> 00:00:33,000 どう対応するかの選択肢を与えるためには 14 00:00:33,000 --> 00:00:35,000 まず著作権で保護された素材がアップされたときに 15 00:00:35,000 --> 00:00:38,000 それを認識できる必要があります 16 00:00:38,000 --> 00:00:41,000 仕組みを理解するために 具体例をご覧頂きましょう 17 00:00:41,000 --> 00:00:43,000 2年前歌手のクリス ブラウンは 18 00:00:43,000 --> 00:00:46,000 新曲“フォーエバー”のPVをリリースしました 19 00:00:46,000 --> 00:00:48,000 あるファンがそれをテレビで観て 20 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 携帯のカメラで録画し 21 00:00:50,000 --> 00:00:53,000 YouTubeにアップロードしました 22 00:00:53,000 --> 00:00:56,000 ソニー ミュージック エンタテインメントは クリス ブラウンのビデオを 23 00:00:56,000 --> 00:00:58,000 YouTubeのコンテンツIDシステムに登録しており 24 00:00:58,000 --> 00:01:00,000 ビデオをアップロードしようとすると 25 00:01:00,000 --> 00:01:02,000 瞬く間に検出され 26 00:01:02,000 --> 00:01:05,000 ソニーはどう対処するか選択することができます 27 00:01:05,000 --> 00:01:08,000 ではコピーであることはどうやって検出しているのでしょう? 28 00:01:08,000 --> 00:01:10,000 まず コンテンツの所有者が 29 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 YouTubeのデータベースにコンテンツを登録し 30 00:01:12,000 --> 00:01:14,000 コピーが検出されたときにどうするか 31 00:01:14,000 --> 00:01:17,000 利用法に関する方針を設定します 32 00:01:18,000 --> 00:01:20,000 YouTubeはアップされるごとに 33 00:01:20,000 --> 00:01:23,000 データベースにある参照ファイルと照合しています 34 00:01:23,000 --> 00:01:25,000 このヒートマップはシステムの 35 00:01:25,000 --> 00:01:27,000 頭脳部分の働きを示しています 36 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 この様にオリジナルの参照ファイルが 37 00:01:29,000 --> 00:01:32,000 アップされたものと照合されます 38 00:01:33,000 --> 00:01:35,000 このシステムはビデオの各時点を 39 00:01:35,000 --> 00:01:37,000 参照ファイルに照らしてチェックするのです 40 00:01:37,000 --> 00:01:39,000 つまりコピーされているのが 41 00:01:39,000 --> 00:01:42,000 オリジナルのほんの一部であろうと スロー再生されていようと 42 00:01:42,000 --> 00:01:44,000 音声や画像の質が落ちていようと 43 00:01:44,000 --> 00:01:47,000 検出できるのです 44 00:01:47,000 --> 00:01:49,000 そしてYouTubeはこれを 45 00:01:49,000 --> 00:01:51,000 動画がアップされる度に行っています 46 00:01:51,000 --> 00:01:54,000 その量は1分間に20時間分以上になります 47 00:01:54,000 --> 00:01:56,000 一致を検出した場合 権利者が 48 00:01:56,000 --> 00:01:59,000 あらかじめ設定した方針に従って処理します 49 00:02:00,000 --> 00:02:03,000 このシステムの規模と速度は 50 00:02:03,000 --> 00:02:05,000 本当に驚異的です 51 00:02:05,000 --> 00:02:08,000 2、3個の動画の話ではないのです 52 00:02:08,000 --> 00:02:10,000 新たにアップされる動画と 53 00:02:10,000 --> 00:02:13,000 定期的に行うサイト全体のコンテンツのスキャンを合わせると 54 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 毎日100年分ものビデオを 55 00:02:15,000 --> 00:02:18,000 チェックすることになります 56 00:02:19,000 --> 00:02:21,000 その100年分のビデオを 57 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 データベースにある何百万という 58 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 参照ファイルと照合するのです 59 00:02:25,000 --> 00:02:27,000 それはまるで3万6千人の人が 60 00:02:27,000 --> 00:02:30,000 日がな一日休みなく3万6千台のモニターを 61 00:02:30,000 --> 00:02:33,000 監視しているようなものです 62 00:02:33,000 --> 00:02:36,000 一致が確認されたら どうするのでしょう? 63 00:02:36,000 --> 00:02:39,000 権利者の多くは ブロックする代わりに 64 00:02:39,000 --> 00:02:41,000 コピーの公開を許可しています 65 00:02:41,000 --> 00:02:43,000 それによる露出や広告や 66 00:02:43,000 --> 00:02:46,000 リンクした商品の売り上げで利益を得るのです 67 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 先ほどのクリス ブラウンの“フォーエバー”は 68 00:02:48,000 --> 00:02:50,000 流行った後 ランク外になりました 69 00:02:50,000 --> 00:02:53,000 それで終わりに見えますが 70 00:02:53,000 --> 00:02:55,000 去年 ある若いカップルが結婚して 71 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 このような挙式ビデオを作りました 72 00:02:57,000 --> 00:02:59,000 ご覧になったことがあるかもしれません 73 00:02:59,000 --> 00:03:01,000 (音楽) 74 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 入場だけでこんなに楽しいなら 75 00:03:03,000 --> 00:03:05,000 披露宴はどんなに 76 00:03:05,000 --> 00:03:07,000 楽しかったことでしょう! 77 00:03:07,000 --> 00:03:09,000 どんな人たちなのか興味を引かれます 78 00:03:09,000 --> 00:03:12,000 こんな結婚式なら是非行ってみたいものです 79 00:03:12,000 --> 00:03:14,000 この小さな結婚式のビデオがアップされると 80 00:03:14,000 --> 00:03:17,000 4千万回以上再生されました 81 00:03:17,000 --> 00:03:19,000 ソニーはこれをブロックせず 82 00:03:19,000 --> 00:03:21,000 アップを容認したのです 83 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 そしてこの動画に対し広告を出し 84 00:03:23,000 --> 00:03:25,000 iTunesへのリンクを張りました 85 00:03:25,000 --> 00:03:28,000 すると発売後1年半もたっているこの曲が 86 00:03:28,000 --> 00:03:31,000 iTunesのランキングで4位に返り咲いたのです 87 00:03:31,000 --> 00:03:34,000 ソニーはそこで再び利益を得ることができました 88 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 幸せなカップルのジルとケビンは 89 00:03:36,000 --> 00:03:38,000 ハネムーンから帰ってきて 90 00:03:38,000 --> 00:03:40,000 自分たちのビデオが ものすごい評判になっているのを知ったのです 91 00:03:40,000 --> 00:03:43,000 たくさんのトーク番組に出演することになりました 92 00:03:43,000 --> 00:03:45,000 そしてこの機会を良いことに使いました 93 00:03:45,000 --> 00:03:48,000 このビデオによって 家庭内暴力撲滅のための寄付を 94 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 2万6千ドルも集めたのです 95 00:03:50,000 --> 00:03:53,000 “JK(ジムとケビン)の入場ダンス”のあまりの人気に 96 00:03:53,000 --> 00:03:56,000 NBCはドラマ“ジ・オフィス”のシーズン最終回でそのパロディをやり 97 00:03:56,000 --> 00:03:58,000 ちょうど放送されるところです 98 00:03:58,000 --> 00:04:01,000 本当に文化のエコシステムが出来ているのです 99 00:04:01,000 --> 00:04:04,000 アマチュアが大手スタジオの作品をパクるだけでなく 100 00:04:04,000 --> 00:04:07,000 大手の方でもパクり返しているのですから 101 00:04:07,000 --> 00:04:10,000 選択を与えることで 機会に満ちた文化を作り出せるのです 102 00:04:10,000 --> 00:04:12,000 変える必要があったのは 103 00:04:12,000 --> 00:04:15,000 ただ著作権チェックに際して選択を与えることだけでした 104 00:04:15,000 --> 00:04:18,000 ではなぜこの問題はこれまで解決されずにいたのでしょう? 105 00:04:18,000 --> 00:04:20,000 それは これが大きく 106 00:04:20,000 --> 00:04:22,000 複雑に絡み合った問題だからです 107 00:04:22,000 --> 00:04:24,000 1つの動画に権利者が 108 00:04:24,000 --> 00:04:26,000 複数いるのは珍しくありません 109 00:04:26,000 --> 00:04:28,000 複数のレコード会社や 110 00:04:28,000 --> 00:04:30,000 音楽出版社が関わっています 111 00:04:30,000 --> 00:04:32,000 国によって会社が違う可能性もあります 112 00:04:32,000 --> 00:04:34,000 多くの場合1つのビデオに 113 00:04:34,000 --> 00:04:36,000 何曲も取り込まれています 114 00:04:36,000 --> 00:04:38,000 だから1つのビデオに対して 115 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 たくさんの権利を管理する必要があるのです 116 00:04:40,000 --> 00:04:43,000 YouTubeのコンテンツIDシステムは そういったあらゆる場合に対応しています 117 00:04:43,000 --> 00:04:45,000 しかしこのシステムは権利者の 118 00:04:45,000 --> 00:04:47,000 協力なくしては機能しません 119 00:04:47,000 --> 00:04:50,000 誰かがYouTubeにアップしているコンテンツをお持ちなら 120 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 コンテンツIDシステムに登録してください 121 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 そうすればコンテンツの利用方法に対し 122 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 選択肢を持つことができます 123 00:04:56,000 --> 00:04:59,000 コンテンツに対する方針は良く検討してください 124 00:04:59,000 --> 00:05:01,000 再利用を単に一切禁止するなら 125 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 新たな形態の作品や 126 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 新たな聴衆 127 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 新たなチャネル そして 128 00:05:07,000 --> 00:05:09,000 新たな収入の機会を失ってしまいます 129 00:05:09,000 --> 00:05:12,000 しかしお金や露出がすべてではありません 130 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 進歩的な権利管理と 131 00:05:14,000 --> 00:05:16,000 新技術によって広がる 132 00:05:16,000 --> 00:05:18,000 喜びに目を向けて欲しいのです 133 00:05:18,000 --> 00:05:21,000 そして喜びは間違いなく「広めるべきアイデア」だと同意していただけるでしょう 134 00:05:21,000 --> 00:05:23,000 ご清聴ありがとうございました 135 00:05:23,000 --> 00:05:25,000 (拍手)