[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:00.84,0:00:02.90,Default,,0000,0000,0000,,私は神秘的なことが大好きです Dialogue: 0,0:00:02.90,0:00:07.31,Default,,0000,0000,0000,,科学における最大の未解決の謎に\N魅せられています Dialogue: 0,0:00:07.31,0:00:09.27,Default,,0000,0000,0000,,その理由は おそらく個人的なものです Dialogue: 0,0:00:09.68,0:00:11.54,Default,,0000,0000,0000,,その謎とは\N我々とは何かということで Dialogue: 0,0:00:11.54,0:00:13.66,Default,,0000,0000,0000,,私はこのことに興味を抱かずにはいられません Dialogue: 0,0:00:14.19,0:00:16.28,Default,,0000,0000,0000,,この謎とは Dialogue: 0,0:00:16.28,0:00:19.71,Default,,0000,0000,0000,,脳の働きと 意識体験の間にある Dialogue: 0,0:00:19.71,0:00:21.22,Default,,0000,0000,0000,,関係のことです Dialogue: 0,0:00:21.22,0:00:23.89,Default,,0000,0000,0000,,ここで体験とは\Nたとえば チョコレートの味とか Dialogue: 0,0:00:23.89,0:00:25.66,Default,,0000,0000,0000,,ビロードの肌触りといったことです Dialogue: 0,0:00:26.80,0:00:28.39,Default,,0000,0000,0000,,これは昔からある謎で Dialogue: 0,0:00:28.100,0:00:32.60,Default,,0000,0000,0000,,1868年に トーマス・ハックスレイは\Nこう記しています Dialogue: 0,0:00:32.60,0:00:37.89,Default,,0000,0000,0000,,「神経組織が刺激された結果として Dialogue: 0,0:00:37.89,0:00:41.26,Default,,0000,0000,0000,,意識という状態が現れるというのは Dialogue: 0,0:00:41.26,0:00:43.32,Default,,0000,0000,0000,,アラジンがランプをこすったら Dialogue: 0,0:00:43.32,0:00:47.38,Default,,0000,0000,0000,,ジニーが現れることと同じ位\N説明不可能で 見事なことだ」 Dialogue: 0,0:00:49.27,0:00:51.54,Default,,0000,0000,0000,,もちろん ハックスレイは\N脳の活動と Dialogue: 0,0:00:51.54,0:00:54.82,Default,,0000,0000,0000,,意識体験が関係していることを\N理解していましたが Dialogue: 0,0:00:54.82,0:00:56.98,Default,,0000,0000,0000,,その理由については知りませんでした Dialogue: 0,0:00:56.98,0:01:00.30,Default,,0000,0000,0000,,彼の時代においては\Nこれは謎でした Dialogue: 0,0:01:00.30,0:01:02.44,Default,,0000,0000,0000,,彼の時代の後になり Dialogue: 0,0:01:02.44,0:01:05.80,Default,,0000,0000,0000,,脳の活動については\N多くの知識が得られましたが Dialogue: 0,0:01:05.80,0:01:07.82,Default,,0000,0000,0000,,脳の活動と Dialogue: 0,0:01:07.82,0:01:10.91,Default,,0000,0000,0000,,意識体験との関係については\N今でも解明されていません Dialogue: 0,0:01:10.91,0:01:14.56,Default,,0000,0000,0000,,なぜ? なぜ解明が\N遅々として進まないのでしょうか? Dialogue: 0,0:01:14.56,0:01:19.41,Default,,0000,0000,0000,,この問題の解明は不可能だ\Nという専門家もいます Dialogue: 0,0:01:19.41,0:01:23.21,Default,,0000,0000,0000,,我々人類には必要な概念と知性が\N欠如しているからだといいます Dialogue: 0,0:01:23.88,0:01:27.95,Default,,0000,0000,0000,,サルが量子力学の問題を解くことは\N無理だと思われるように Dialogue: 0,0:01:27.95,0:01:32.12,Default,,0000,0000,0000,,人類がこの問題を解き明かすことは\Nあり得ないと考えているのです Dialogue: 0,0:01:32.53,0:01:35.66,Default,,0000,0000,0000,,でも私はそう思いません\Nもっと楽観的に考えています Dialogue: 0,0:01:35.66,0:01:38.70,Default,,0000,0000,0000,,我々が単に誤った仮定を\N置いているのだと思います Dialogue: 0,0:01:38.70,0:01:42.21,Default,,0000,0000,0000,,これを改めれば この謎を\N解き明かすことが出来るかもしれません Dialogue: 0,0:01:42.21,0:01:44.63,Default,,0000,0000,0000,,今日は その誤った仮定が何なのか\Nなぜ誤りなのか Dialogue: 0,0:01:44.63,0:01:47.38,Default,,0000,0000,0000,,どう修正すべきかについて\Nお話ししたいと思います Dialogue: 0,0:01:47.87,0:01:49.57,Default,,0000,0000,0000,,まずは 問題を確認してみましょう Dialogue: 0,0:01:49.78,0:01:52.87,Default,,0000,0000,0000,,我々は現実をあるがままに\N見ているのでしょうか? Dialogue: 0,0:01:52.87,0:01:54.56,Default,,0000,0000,0000,,眼を開いて Dialogue: 0,0:01:54.56,0:01:59.50,Default,,0000,0000,0000,,1メートル先に赤いトマトがあることを\N認識します Dialogue: 0,0:02:00.61,0:02:03.85,Default,,0000,0000,0000,,その結果 私は\N現実に1メートル先に赤いトマトが Dialogue: 0,0:02:03.85,0:02:06.49,Default,,0000,0000,0000,,あるのだと信じることになります Dialogue: 0,0:02:06.75,0:02:11.62,Default,,0000,0000,0000,,次に 目を閉じると\N私の意識は 灰色の世界へと変わります Dialogue: 0,0:02:12.42,0:02:17.59,Default,,0000,0000,0000,,それでも 現実には\N1メートル先に赤いトマトがあるのでしょうか? Dialogue: 0,0:02:18.36,0:02:21.91,Default,,0000,0000,0000,,私はそう思いますが\N間違っているでしょうか? Dialogue: 0,0:02:21.91,0:02:26.51,Default,,0000,0000,0000,,もしかしたら知覚というものを\N誤って解釈していないでしょうか? Dialogue: 0,0:02:27.35,0:02:30.55,Default,,0000,0000,0000,,人類は 知覚によって\N現実を誤って解釈したことがあります Dialogue: 0,0:02:30.55,0:02:34.01,Default,,0000,0000,0000,,地球は平らであると考えていました\Nなぜなら そのように見えるのですから Dialogue: 0,0:02:34.71,0:02:37.59,Default,,0000,0000,0000,,ピタゴラスは それが間違っていることを\N発見しました Dialogue: 0,0:02:37.59,0:02:41.60,Default,,0000,0000,0000,,次に 我々は地球は不動で\N宇宙の中心にあると考えました Dialogue: 0,0:02:41.60,0:02:43.51,Default,,0000,0000,0000,,やはり そのように見えるからです Dialogue: 0,0:02:44.41,0:02:49.31,Default,,0000,0000,0000,,またもや コペルニクスとガリレオは\N我々の考えが間違っていたことを発見しました Dialogue: 0,0:02:49.31,0:02:53.40,Default,,0000,0000,0000,,ガリレオは 我々が認識したことを\N捻じ曲げて解釈しているのではないかと Dialogue: 0,0:02:53.40,0:02:54.91,Default,,0000,0000,0000,,疑いました Dialogue: 0,0:02:54.91,0:02:59.92,Default,,0000,0000,0000,,彼はこう書き残しています\N「味、臭いや色といったものは Dialogue: 0,0:02:59.92,0:03:01.92,Default,,0000,0000,0000,,我々の意識の中にあるものだと思う Dialogue: 0,0:03:02.29,0:03:08.04,Default,,0000,0000,0000,,だから 生物がいなくなったら\Nこういった性質は全て消失するだろう」 Dialogue: 0,0:03:08.96,0:03:10.79,Default,,0000,0000,0000,,驚くべき主張ですね Dialogue: 0,0:03:11.18,0:03:12.100,Default,,0000,0000,0000,,ガリレオは正しいのでしょうか? Dialogue: 0,0:03:12.100,0:03:17.59,Default,,0000,0000,0000,,我々は経験することを\Nひどく誤って解釈しているのでしょうか? Dialogue: 0,0:03:17.59,0:03:20.15,Default,,0000,0000,0000,,現代の科学による見解は? Dialogue: 0,0:03:20.70,0:03:25.93,Default,,0000,0000,0000,,神経科学者は\N大脳皮質の3分の1が Dialogue: 0,0:03:25.93,0:03:27.79,Default,,0000,0000,0000,,視覚に関わっていると主張しています Dialogue: 0,0:03:27.79,0:03:31.29,Default,,0000,0000,0000,,あなたが目を開き 部屋を見渡す時 Dialogue: 0,0:03:31.29,0:03:35.56,Default,,0000,0000,0000,,何十億という数のニューロンと\N何兆ものシナプスが関わってきます Dialogue: 0,0:03:35.56,0:03:37.17,Default,,0000,0000,0000,,これはちょっとした驚きですね Dialogue: 0,0:03:37.17,0:03:39.81,Default,,0000,0000,0000,,なぜなら我々は視覚というものは Dialogue: 0,0:03:39.81,0:03:42.65,Default,,0000,0000,0000,,カメラのようなものに過ぎないと\N考えているからです Dialogue: 0,0:03:42.65,0:03:46.59,Default,,0000,0000,0000,,客観的な現実を\Nそのまま写真として撮るのです Dialogue: 0,0:03:46.59,0:03:50.29,Default,,0000,0000,0000,,視覚にはカメラのような部分があります Dialogue: 0,0:03:50.29,0:03:54.93,Default,,0000,0000,0000,,眼球にはレンズがあり\N眼球の後方に像を写します Dialogue: 0,0:03:54.93,0:03:58.32,Default,,0000,0000,0000,,そこには1億3千万個の\N光受容体があるので Dialogue: 0,0:03:58.32,0:04:02.22,Default,,0000,0000,0000,,眼は1億3千万ピクセルの\Nカメラのようなものです Dialogue: 0,0:04:02.22,0:04:05.70,Default,,0000,0000,0000,,しかしこれでは視覚に関わる\N何十億もあるニューロンと Dialogue: 0,0:04:05.70,0:04:09.32,Default,,0000,0000,0000,,何兆にもなるシナプスについて\N説明できていません Dialogue: 0,0:04:09.32,0:04:11.62,Default,,0000,0000,0000,,ニューロンは何のためにあるのでしょう? Dialogue: 0,0:04:11.62,0:04:15.83,Default,,0000,0000,0000,,神経科学者は 我々が目にする Dialogue: 0,0:04:15.83,0:04:20.16,Default,,0000,0000,0000,,形、物体、色や動きといったものを\Nリアルタイムに創造していくのだと言います Dialogue: 0,0:04:20.16,0:04:23.65,Default,,0000,0000,0000,,この部屋の写真を撮るように\Nありのままを感じると思いますが Dialogue: 0,0:04:23.65,0:04:27.23,Default,,0000,0000,0000,,実際には 見たものを頭の中で\N構築しているという訳です Dialogue: 0,0:04:27.23,0:04:30.41,Default,,0000,0000,0000,,我々は同時に\N全てを構築しているわけではなく Dialogue: 0,0:04:30.41,0:04:33.17,Default,,0000,0000,0000,,その時に必要なものだけを\N構築します Dialogue: 0,0:04:33.54,0:04:36.91,Default,,0000,0000,0000,,我々は見たものを\N構築しているのだという Dialogue: 0,0:04:36.91,0:04:38.72,Default,,0000,0000,0000,,紛れもない証拠が多くあります Dialogue: 0,0:04:38.72,0:04:40.76,Default,,0000,0000,0000,,2つの例をお見せしましょう Dialogue: 0,0:04:40.76,0:04:46.53,Default,,0000,0000,0000,,この例では円盤がいくつかあって\Nその一部が取り除かれています Dialogue: 0,0:04:46.53,0:04:49.47,Default,,0000,0000,0000,,しかし この円盤を少し回転すると Dialogue: 0,0:04:49.47,0:04:54.21,Default,,0000,0000,0000,,突然 3次元の立方体が\N飛び出して見えるでしょう Dialogue: 0,0:04:54.21,0:04:57.04,Default,,0000,0000,0000,,もちろん スクリーンは平らですから Dialogue: 0,0:04:57.04,0:04:59.64,Default,,0000,0000,0000,,皆さんが経験した3次元の立方体は Dialogue: 0,0:04:59.64,0:05:02.62,Default,,0000,0000,0000,,構築されたものに違いありません Dialogue: 0,0:05:03.40,0:05:05.31,Default,,0000,0000,0000,,次の例では Dialogue: 0,0:05:05.31,0:05:09.53,Default,,0000,0000,0000,,とてもシャープな縁をもった\N光り輝く青い帯が Dialogue: 0,0:05:09.53,0:05:12.72,Default,,0000,0000,0000,,多数の点がある面を動いているように\N見えるでしょう Dialogue: 0,0:05:13.71,0:05:16.84,Default,,0000,0000,0000,,実際のところ どの点も動いていません Dialogue: 0,0:05:16.84,0:05:21.47,Default,,0000,0000,0000,,フレームから次のフレームに移る時に\N点の色を Dialogue: 0,0:05:21.47,0:05:23.93,Default,,0000,0000,0000,,青から黒に または 黒から青に\N変えているだけです Dialogue: 0,0:05:23.93,0:05:25.76,Default,,0000,0000,0000,,でも これを素早く行うと Dialogue: 0,0:05:25.76,0:05:29.48,Default,,0000,0000,0000,,皆さんの視覚が\Nシャープな縁をもった光り輝く青い帯が Dialogue: 0,0:05:29.48,0:05:32.15,Default,,0000,0000,0000,,動いているイメージを創造するのです Dialogue: 0,0:05:32.15,0:05:34.82,Default,,0000,0000,0000,,まだ多くの例がありますが Dialogue: 0,0:05:34.82,0:05:37.58,Default,,0000,0000,0000,,見たものを構築していることを示す例を\N2つだけご紹介しました Dialogue: 0,0:05:37.58,0:05:39.96,Default,,0000,0000,0000,,神経科学者は更に先を行っていて Dialogue: 0,0:05:41.40,0:05:46.50,Default,,0000,0000,0000,,我々は 現実すらも再構築していると\N主張しています Dialogue: 0,0:05:46.50,0:05:50.72,Default,,0000,0000,0000,,「赤いトマト」なるものの体験において Dialogue: 0,0:05:50.72,0:05:54.86,Default,,0000,0000,0000,,たとえ現実の赤いトマトを Dialogue: 0,0:05:54.86,0:05:56.97,Default,,0000,0000,0000,,実際に見ていなくとも Dialogue: 0,0:05:56.97,0:06:00.26,Default,,0000,0000,0000,,正確に再構築できる体験なのです Dialogue: 0,0:06:01.60,0:06:04.82,Default,,0000,0000,0000,,さて 神経科学者は\N「構築する」とは言わず Dialogue: 0,0:06:04.82,0:06:06.70,Default,,0000,0000,0000,,「再構築する」と言うのでしょう? Dialogue: 0,0:06:06.70,0:06:09.23,Default,,0000,0000,0000,,標準的な理論では Dialogue: 0,0:06:09.23,0:06:11.78,Default,,0000,0000,0000,,進化論に基づき説明しています Dialogue: 0,0:06:12.94,0:06:15.38,Default,,0000,0000,0000,,より正確に見ることが出来るようになった\N我々の祖先は Dialogue: 0,0:06:15.38,0:06:20.23,Default,,0000,0000,0000,,より不正確にしか見ることが出来ない\N個体に対し生存競争での優位性がありました Dialogue: 0,0:06:20.23,0:06:22.99,Default,,0000,0000,0000,,そのため 彼らはより多く遺伝子を\N後世に残していきました Dialogue: 0,0:06:22.99,0:06:26.38,Default,,0000,0000,0000,,我々は そのような より正確な\N視覚をもった者たちの子孫なのです Dialogue: 0,0:06:26.38,0:06:29.15,Default,,0000,0000,0000,,だから 通常において\N知覚が正確であると Dialogue: 0,0:06:29.15,0:06:31.68,Default,,0000,0000,0000,,自信を持って言うことができます Dialogue: 0,0:06:31.68,0:06:35.38,Default,,0000,0000,0000,,これは標準的な教科書に書いてあることです Dialogue: 0,0:06:35.38,0:06:37.37,Default,,0000,0000,0000,,ここでは 例えば Dialogue: 0,0:06:37.37,0:06:39.34,Default,,0000,0000,0000,,「進化論的に見て Dialogue: 0,0:06:39.34,0:06:43.38,Default,,0000,0000,0000,,知覚はとても正確であり\Nとても有用である」 Dialogue: 0,0:06:43.38,0:06:48.18,Default,,0000,0000,0000,,この概念の背後にあるのは 正確な知覚は\N適応により進化したものであり Dialogue: 0,0:06:48.18,0:06:50.32,Default,,0000,0000,0000,,生存競争における\N優位性があると考えています Dialogue: 0,0:06:50.32,0:06:52.24,Default,,0000,0000,0000,,これは本当でしょうか? Dialogue: 0,0:06:52.24,0:06:54.90,Default,,0000,0000,0000,,進化論の正しい解釈といえるでしょうか? Dialogue: 0,0:06:54.90,0:06:58.28,Default,,0000,0000,0000,,まずは自然における\Nいくつかの例を見てみましょう Dialogue: 0,0:06:58.80,0:07:01.24,Default,,0000,0000,0000,,オーストラリア玉虫は Dialogue: 0,0:07:01.24,0:07:04.35,Default,,0000,0000,0000,,くぼみがあり\N艶々とした褐色の虫です Dialogue: 0,0:07:04.35,0:07:06.69,Default,,0000,0000,0000,,メスは飛ぶことが出来ません Dialogue: 0,0:07:06.69,0:07:10.71,Default,,0000,0000,0000,,オスは飛ぶことが出来て\Nもちろん 魅力的なメスを探し求めます Dialogue: 0,0:07:10.71,0:07:14.66,Default,,0000,0000,0000,,探し当てると 降り立って交尾を始めます Dialogue: 0,0:07:14.66,0:07:17.13,Default,,0000,0000,0000,,全く違う種を見てみましょう Dialogue: 0,0:07:17.13,0:07:18.46,Default,,0000,0000,0000,,ホモ・サピエンスです Dialogue: 0,0:07:18.46,0:07:21.53,Default,,0000,0000,0000,,この種のオスは巨大な脳を Dialogue: 0,0:07:21.53,0:07:25.48,Default,,0000,0000,0000,,冷えたビールを探すのに利用します Dialogue: 0,0:07:25.89,0:07:27.17,Default,,0000,0000,0000,,(笑) Dialogue: 0,0:07:27.17,0:07:29.54,Default,,0000,0000,0000,,ビールを見つけると\Nこれを飲みほし Dialogue: 0,0:07:29.54,0:07:32.93,Default,,0000,0000,0000,,時には瓶を\Nどこかに投げ捨てます Dialogue: 0,0:07:32.93,0:07:37.18,Default,,0000,0000,0000,,すると ビール瓶は\N窪みがあり艶々としており Dialogue: 0,0:07:37.18,0:07:41.32,Default,,0000,0000,0000,,程よい褐色をしているので\N玉虫の興味を惹きます Dialogue: 0,0:07:42.77,0:07:46.24,Default,,0000,0000,0000,,オスは交尾しようと瓶に群がり Dialogue: 0,0:07:47.58,0:07:50.37,Default,,0000,0000,0000,,本物のメスに対する興味を\N全く失ってしまうのです Dialogue: 0,0:07:50.37,0:07:54.57,Default,,0000,0000,0000,,酒瓶に夢中になって女性を放っておく\N男性の典型的な例ですね Dialogue: 0,0:07:54.57,0:07:57.52,Default,,0000,0000,0000,,(笑)(拍手) Dialogue: 0,0:07:59.40,0:08:01.77,Default,,0000,0000,0000,,この種は絶滅しそうになりました Dialogue: 0,0:08:02.44,0:08:06.75,Default,,0000,0000,0000,,オーストラリアはこの玉虫を救うために\N瓶のデザインを変えなければなりませんでした Dialogue: 0,0:08:06.75,0:08:09.75,Default,,0000,0000,0000,,(笑) Dialogue: 0,0:08:09.75,0:08:13.96,Default,,0000,0000,0000,,オスは何千年もの間\Nいや おそらく何百万年もの間 Dialogue: 0,0:08:13.96,0:08:16.40,Default,,0000,0000,0000,,メス探しに成功してきました Dialogue: 0,0:08:16.40,0:08:20.83,Default,,0000,0000,0000,,現実を見ていたようで\Nそうではなかったようです Dialogue: 0,0:08:20.83,0:08:23.69,Default,,0000,0000,0000,,進化の仕組みにより\Nハッキングが起きてしまいました Dialogue: 0,0:08:23.69,0:08:28.42,Default,,0000,0000,0000,,メスには窪みがあり艶々とした褐色で Dialogue: 0,0:08:28.42,0:08:30.70,Default,,0000,0000,0000,,大きければ 大きいほど良いと! Dialogue: 0,0:08:30.70,0:08:32.54,Default,,0000,0000,0000,,(笑) Dialogue: 0,0:08:32.54,0:08:37.38,Default,,0000,0000,0000,,瓶の上で這い回っていても\Nオスは間違いに気づくことが出来ませんでした Dialogue: 0,0:08:37.94,0:08:41.59,Default,,0000,0000,0000,,こう言うかもしれません\N玉虫なんて単純な生き物だ Dialogue: 0,0:08:41.59,0:08:43.45,Default,,0000,0000,0000,,哺乳動物ではないからね と Dialogue: 0,0:08:43.45,0:08:46.16,Default,,0000,0000,0000,,哺乳動物ならこんなトリックには\N引っかかったりしないと Dialogue: 0,0:08:46.16,0:08:52.18,Default,,0000,0000,0000,,これについて詳しくは述べませんが\Nこの写真で想像がつきますね(笑) Dialogue: 0,0:08:52.18,0:08:55.34,Default,,0000,0000,0000,,ここで重要な技術的な問題が提起されます Dialogue: 0,0:08:55.34,0:09:01.33,Default,,0000,0000,0000,,現実をそのまま見る性質は\N自然選択において本当に優位性があるのか? Dialogue: 0,0:09:01.88,0:09:05.41,Default,,0000,0000,0000,,幸いにも 手を挙げて\N答えを当ててもらう必要はありません Dialogue: 0,0:09:05.41,0:09:08.59,Default,,0000,0000,0000,,進化は数学的に精密な理論であり Dialogue: 0,0:09:08.59,0:09:12.15,Default,,0000,0000,0000,,進化の方程式に当てはめて\Nこの点を検証することができます Dialogue: 0,0:09:12.15,0:09:16.30,Default,,0000,0000,0000,,我々は様々な生物が競争する\N人工的世界を作り上げ Dialogue: 0,0:09:16.30,0:09:18.25,Default,,0000,0000,0000,,何が生き残り繁栄するか Dialogue: 0,0:09:18.25,0:09:21.81,Default,,0000,0000,0000,,どの感覚系がより適合するのが\N見てみることができます Dialogue: 0,0:09:21.81,0:09:25.89,Default,,0000,0000,0000,,これらの方程式で鍵となる概念は\N適応度です Dialogue: 0,0:09:25.89,0:09:28.59,Default,,0000,0000,0000,,このステーキについて考えてみましょう Dialogue: 0,0:09:29.96,0:09:32.92,Default,,0000,0000,0000,,これが動物の適応度と どう関係するのでしょうか? Dialogue: 0,0:09:33.44,0:09:39.45,Default,,0000,0000,0000,,腹をすかせて食べ物を探しているライオンにとっては\N適応度が高まりますが Dialogue: 0,0:09:40.18,0:09:44.77,Default,,0000,0000,0000,,満腹のライオンが交尾の相手を\N探しているのならば適応度は高まりません Dialogue: 0,0:09:46.05,0:09:49.92,Default,,0000,0000,0000,,ウサギの場合 どんな状態にあっても\Nステーキの適応度は高まりません Dialogue: 0,0:09:49.92,0:09:54.05,Default,,0000,0000,0000,,適応度はもちろん 現実に依存しますが Dialogue: 0,0:09:54.05,0:09:58.24,Default,,0000,0000,0000,,生物、状態と行動にも依存します Dialogue: 0,0:09:58.24,0:10:01.79,Default,,0000,0000,0000,,適応度は あるがままの現実とは結びつきません Dialogue: 0,0:10:01.79,0:10:05.27,Default,,0000,0000,0000,,進化の方程式で中心となる働きをするのは Dialogue: 0,0:10:05.27,0:10:09.45,Default,,0000,0000,0000,,あるがままの現実ではなく適応度です Dialogue: 0,0:10:09.45,0:10:12.64,Default,,0000,0000,0000,,そこで私の研究室では Dialogue: 0,0:10:12.64,0:10:16.42,Default,,0000,0000,0000,,何十万回という進化の\Nゲーム・シミュレーションを行いました Dialogue: 0,0:10:16.42,0:10:19.48,Default,,0000,0000,0000,,そこでは多数の異なった世界が\Nランダムに選ばれ Dialogue: 0,0:10:19.48,0:10:23.66,Default,,0000,0000,0000,,生物が生きるための資源を\N求めて競争するのです Dialogue: 0,0:10:23.66,0:10:27.98,Default,,0000,0000,0000,,ある種の生物は\N現実を全て見ることが出来て Dialogue: 0,0:10:27.98,0:10:29.87,Default,,0000,0000,0000,,またあるものは\N現実の一部だけが見え Dialogue: 0,0:10:29.87,0:10:31.97,Default,,0000,0000,0000,,別のあるものは現実が全く見えず Dialogue: 0,0:10:31.97,0:10:33.74,Default,,0000,0000,0000,,適応だけが可能です Dialogue: 0,0:10:34.24,0:10:35.82,Default,,0000,0000,0000,,誰が勝利するのでしょうか? Dialogue: 0,0:10:36.29,0:10:42.26,Default,,0000,0000,0000,,皆さんを落胆させたくはないのですが\N現実を認識するものが滅びます Dialogue: 0,0:10:42.26,0:10:44.16,Default,,0000,0000,0000,,殆ど全てのシミュレーションで Dialogue: 0,0:10:44.16,0:10:46.35,Default,,0000,0000,0000,,現実を全く見ることなく Dialogue: 0,0:10:46.35,0:10:48.44,Default,,0000,0000,0000,,ただ適応していくものだけが Dialogue: 0,0:10:48.44,0:10:53.66,Default,,0000,0000,0000,,現実をあるがままに見る生物を\N絶滅に追いやるのです Dialogue: 0,0:10:53.66,0:10:58.25,Default,,0000,0000,0000,,少なくとも進化の向かう方向は\N事実と認識の一致や Dialogue: 0,0:10:58.25,0:10:59.91,Default,,0000,0000,0000,,正確な知覚の獲得にはありません Dialogue: 0,0:10:59.91,0:11:03.67,Default,,0000,0000,0000,,現実を知覚することは絶滅へと導きます Dialogue: 0,0:11:03.67,0:11:05.69,Default,,0000,0000,0000,,これはちょっとした驚きです Dialogue: 0,0:11:05.69,0:11:09.37,Default,,0000,0000,0000,,世界を正確に見ないことが\N生存する上で Dialogue: 0,0:11:09.37,0:11:11.19,Default,,0000,0000,0000,,優位性があるのは なぜでしょうか? Dialogue: 0,0:11:11.19,0:11:13.30,Default,,0000,0000,0000,,これは直感に反することです Dialogue: 0,0:11:13.30,0:11:15.14,Default,,0000,0000,0000,,しかし玉虫のことを思い出してください Dialogue: 0,0:11:15.14,0:11:18.90,Default,,0000,0000,0000,,玉虫は単純な視覚のトリックだけで Dialogue: 0,0:11:18.90,0:11:21.59,Default,,0000,0000,0000,,何千年 もしくは 何百万年と\N生き延びてきました Dialogue: 0,0:11:21.59,0:11:24.77,Default,,0000,0000,0000,,進化の方程式は Dialogue: 0,0:11:24.77,0:11:30.41,Default,,0000,0000,0000,,人類を含めた全ての生物は玉虫と\N同じルールに従っていることを示しています Dialogue: 0,0:11:30.41,0:11:32.34,Default,,0000,0000,0000,,我々は現実をあるがままには見ません Dialogue: 0,0:11:32.34,0:11:36.62,Default,,0000,0000,0000,,我々は生存を可能にするために現実を\N異なる表現で知覚しているのです Dialogue: 0,0:11:36.62,0:11:38.64,Default,,0000,0000,0000,,それでもなお Dialogue: 0,0:11:38.64,0:11:40.70,Default,,0000,0000,0000,,我々は直感に頼ることが必要です Dialogue: 0,0:11:40.70,0:11:45.48,Default,,0000,0000,0000,,現実をあるがままに知覚することが\Nなぜ有益ではないのでしょうか? Dialogue: 0,0:11:45.48,0:11:49.15,Default,,0000,0000,0000,,幸いにも とても参考になる\Nたとえがあります Dialogue: 0,0:11:49.15,0:11:51.99,Default,,0000,0000,0000,,パソコンのデスクトップの\Nインターフェイスを見てみましょう Dialogue: 0,0:11:51.99,0:11:56.12,Default,,0000,0000,0000,,あなたが原稿を書いているTEDトークを\N保存する青いアイコンについて考えましょう Dialogue: 0,0:11:56.12,0:12:00.12,Default,,0000,0000,0000,,アイコンは青い色をした長方形で Dialogue: 0,0:12:00.12,0:12:02.50,Default,,0000,0000,0000,,デスクトップの右下の角にあります Dialogue: 0,0:12:03.32,0:12:07.51,Default,,0000,0000,0000,,このことは パソコンに保存されている\Nテキスト・ファイルが青く 長方形であり Dialogue: 0,0:12:08.20,0:12:11.96,Default,,0000,0000,0000,,パソコンの右下の角に\Nあることを意味しているのでしょうか? Dialogue: 0,0:12:11.96,0:12:13.28,Default,,0000,0000,0000,,もちろん 違います Dialogue: 0,0:12:13.28,0:12:17.99,Default,,0000,0000,0000,,そんな風に考える人は\Nインターフェースの役割を誤解しています Dialogue: 0,0:12:17.99,0:12:20.76,Default,,0000,0000,0000,,パソコンの実際のデータは\Nそこにはありません Dialogue: 0,0:12:20.76,0:12:23.68,Default,,0000,0000,0000,,実のところ 現実は隠されているのです Dialogue: 0,0:12:23.68,0:12:25.56,Default,,0000,0000,0000,,ダイオードや抵抗器 それに Dialogue: 0,0:12:25.56,0:12:27.80,Default,,0000,0000,0000,,ソフトの全データについて\N知る必要はありません Dialogue: 0,0:12:27.80,0:12:30.94,Default,,0000,0000,0000,,そんなことをしていたら\Nテキストを書いたり 写真を編集することは Dialogue: 0,0:12:30.94,0:12:32.41,Default,,0000,0000,0000,,決してできないでしょう Dialogue: 0,0:12:32.41,0:12:37.13,Default,,0000,0000,0000,,こう考えます\N進化は我々にインターフェースを提供し Dialogue: 0,0:12:37.13,0:12:41.44,Default,,0000,0000,0000,,現実を隠して\N適応できるような行動を導いています Dialogue: 0,0:12:41.44,0:12:44.46,Default,,0000,0000,0000,,あなたが今 知覚している\N空間と時間は Dialogue: 0,0:12:44.46,0:12:46.64,Default,,0000,0000,0000,,あなたにとってのデスクトップであり Dialogue: 0,0:12:46.64,0:12:51.37,Default,,0000,0000,0000,,物理的に存在する物体は\Nデスクトップ上のアイコンに過ぎません Dialogue: 0,0:12:52.19,0:12:54.41,Default,,0000,0000,0000,,明らかな反対意見もあります Dialogue: 0,0:12:54.41,0:12:58.36,Default,,0000,0000,0000,,「ホフマン あの電車が時速約320キロで\N近づいてきても Dialogue: 0,0:12:58.36,0:13:00.82,Default,,0000,0000,0000,,それがデスクトップ上のアイコンに\N過ぎないというのなら Dialogue: 0,0:13:00.82,0:13:02.95,Default,,0000,0000,0000,,正面から飛び込んでみたら?」 Dialogue: 0,0:13:02.95,0:13:05.24,Default,,0000,0000,0000,,理論を道連れに死ぬことになります Dialogue: 0,0:13:05.24,0:13:08.55,Default,,0000,0000,0000,,でも電車は単なるアイコン以上のもので\Nあるに違いありません Dialogue: 0,0:13:08.55,0:13:10.60,Default,,0000,0000,0000,,私は電車に飛びこんだりしませんよ Dialogue: 0,0:13:10.60,0:13:12.15,Default,,0000,0000,0000,,それはアイコンを不注意に Dialogue: 0,0:13:12.15,0:13:16.45,Default,,0000,0000,0000,,ゴミ箱にドラッグしないのと\N同じ理由からであり Dialogue: 0,0:13:16.45,0:13:19.63,Default,,0000,0000,0000,,アイコンが文字通りの単なるアイコンとは\N考えていないからです Dialogue: 0,0:13:19.63,0:13:22.63,Default,,0000,0000,0000,,ファイルは実際に青色でも\N長方形でもありませんが Dialogue: 0,0:13:22.93,0:13:25.26,Default,,0000,0000,0000,,注意深く扱うのは Dialogue: 0,0:13:25.26,0:13:27.29,Default,,0000,0000,0000,,数週間分の仕事を失いたくないからです Dialogue: 0,0:13:27.29,0:13:29.84,Default,,0000,0000,0000,,同様に 進化は\N我々を持続的に生存させるために Dialogue: 0,0:13:29.84,0:13:34.28,Default,,0000,0000,0000,,知覚的なシンボルというものを\N形作ってきたのです Dialogue: 0,0:13:34.81,0:13:37.28,Default,,0000,0000,0000,,このことを真面目に考えるべきです Dialogue: 0,0:13:37.28,0:13:39.48,Default,,0000,0000,0000,,ヘビを見たら つかんではいけません Dialogue: 0,0:13:40.39,0:13:43.15,Default,,0000,0000,0000,,崖に立ったら 飛び降りてはいけません Dialogue: 0,0:13:43.15,0:13:46.73,Default,,0000,0000,0000,,これは我々の安全を保つため設計された\N仕組みであり 軽視してはいけません Dialogue: 0,0:13:46.73,0:13:49.42,Default,,0000,0000,0000,,とはいえ 文字通りにとらえても\Nいけないのです Dialogue: 0,0:13:49.42,0:13:51.67,Default,,0000,0000,0000,,そこに論理的な過ちが潜んでいます Dialogue: 0,0:13:51.67,0:13:54.88,Default,,0000,0000,0000,,別の反論です\N新しい考えではないね と Dialogue: 0,0:13:54.88,0:13:58.80,Default,,0000,0000,0000,,物理学によれば 強固に見える\N金属製の電車も実際には微小な粒子が Dialogue: 0,0:13:58.80,0:14:03.19,Default,,0000,0000,0000,,ほとんど空っぽの空間を飛び回っているだけだと\Nずいぶん前からわかっていた Dialogue: 0,0:14:03.19,0:14:04.68,Default,,0000,0000,0000,,新しい考えではないではないか Dialogue: 0,0:14:04.68,0:14:06.88,Default,,0000,0000,0000,,でも 厳密にはそうではありません Dialogue: 0,0:14:06.88,0:14:10.92,Default,,0000,0000,0000,,こういうことです\Nデスクトップ上の青いアイコンは Dialogue: 0,0:14:10.92,0:14:13.22,Default,,0000,0000,0000,,現実のパソコンそのものでは\Nありませんが Dialogue: 0,0:14:13.22,0:14:16.68,Default,,0000,0000,0000,,ちゃんとした虫眼鏡で近づいて見てみると Dialogue: 0,0:14:16.68,0:14:18.49,Default,,0000,0000,0000,,小さなピクセルが見えますが Dialogue: 0,0:14:18.49,0:14:20.95,Default,,0000,0000,0000,,これこそがパソコンの現実なのです Dialogue: 0,0:14:20.95,0:14:24.76,Default,,0000,0000,0000,,いいえ - まだデスクトップを見ているだけで\Nここにポイントがあります Dialogue: 0,0:14:24.76,0:14:27.75,Default,,0000,0000,0000,,この微視的な粒子は\Nなおも時空に存在してます Dialogue: 0,0:14:27.75,0:14:30.14,Default,,0000,0000,0000,,まだユーザー・インタフェース上の\N世界であるということです Dialogue: 0,0:14:30.14,0:14:33.91,Default,,0000,0000,0000,,かの物理学者よりも\N過激なことを主張しているつもりです Dialogue: 0,0:14:34.73,0:14:36.20,Default,,0000,0000,0000,,最後に\Nこういう反論もあるでしょう Dialogue: 0,0:14:36.20,0:14:38.76,Default,,0000,0000,0000,,ご覧ください\N誰にでも電車が見えます Dialogue: 0,0:14:38.76,0:14:41.80,Default,,0000,0000,0000,,だから誰も電車を\N「構築」しているわけではないのだと Dialogue: 0,0:14:41.80,0:14:43.89,Default,,0000,0000,0000,,しかし こちらの例をご覧いただきましょう Dialogue: 0,0:14:43.89,0:14:46.61,Default,,0000,0000,0000,,この例では誰にでも立方体が見えますが Dialogue: 0,0:14:47.60,0:14:49.69,Default,,0000,0000,0000,,スクリーンは平らです Dialogue: 0,0:14:49.69,0:14:52.43,Default,,0000,0000,0000,,だからご覧になっている立方体は\N皆さんが構築したものなのです Dialogue: 0,0:14:53.74,0:14:55.78,Default,,0000,0000,0000,,誰にでも立方体が見えるのは Dialogue: 0,0:14:55.78,0:15:00.64,Default,,0000,0000,0000,,それぞれの人が見た立方体を\N構築しているからです Dialogue: 0,0:15:00.64,0:15:02.70,Default,,0000,0000,0000,,電車についても同じことがいえます Dialogue: 0,0:15:02.70,0:15:07.18,Default,,0000,0000,0000,,誰にでも電車が見えるのは\N各人が構築した電車を見ているからです Dialogue: 0,0:15:07.18,0:15:10.73,Default,,0000,0000,0000,,全ての物理的に存在する物体について\N同じことが言えます Dialogue: 0,0:15:12.34,0:15:17.40,Default,,0000,0000,0000,,我々は 知覚というものは あるがままの\N現実を覗く窓のようなものだと考えがちです Dialogue: 0,0:15:17.40,0:15:22.40,Default,,0000,0000,0000,,進化論は我々の知覚に関する\Nこの考えが Dialogue: 0,0:15:22.40,0:15:23.86,Default,,0000,0000,0000,,正しくないと主張します Dialogue: 0,0:15:25.10,0:15:28.64,Default,,0000,0000,0000,,現実は3次元のデスクトップのようなもので Dialogue: 0,0:15:28.64,0:15:31.94,Default,,0000,0000,0000,,現実の世界の複雑さを隠ぺいし\N適応的な行動をとるように Dialogue: 0,0:15:31.94,0:15:33.80,Default,,0000,0000,0000,,設計されています Dialogue: 0,0:15:34.28,0:15:37.21,Default,,0000,0000,0000,,知覚する空間がデスクトップであって Dialogue: 0,0:15:37.21,0:15:40.24,Default,,0000,0000,0000,,物理的に存在する物体は\Nデスクトップ上のアイコンに過ぎません Dialogue: 0,0:15:41.46,0:15:45.13,Default,,0000,0000,0000,,我々は地球が平らであると考えてきました\Nそのように見えるからです Dialogue: 0,0:15:45.52,0:15:48.65,Default,,0000,0000,0000,,次に地球は宇宙における不動の中心であると\N考えました Dialogue: 0,0:15:48.65,0:15:50.38,Default,,0000,0000,0000,,そのように見えるからです Dialogue: 0,0:15:50.38,0:15:51.52,Default,,0000,0000,0000,,でも我々は間違っていました Dialogue: 0,0:15:51.52,0:15:54.19,Default,,0000,0000,0000,,知覚は誤解されていました Dialogue: 0,0:15:54.91,0:15:58.32,Default,,0000,0000,0000,,時空と物体は Dialogue: 0,0:15:58.32,0:16:00.93,Default,,0000,0000,0000,,あるがままの現実であると信じています Dialogue: 0,0:16:01.45,0:16:05.38,Default,,0000,0000,0000,,進化論は またもや\N我々が間違っているのだと主張します Dialogue: 0,0:16:05.38,0:16:10.42,Default,,0000,0000,0000,,我々は知覚による体験を\N誤って解釈しているのです Dialogue: 0,0:16:10.42,0:16:12.95,Default,,0000,0000,0000,,我々が目で見なくても\N存在している何かがありますが Dialogue: 0,0:16:12.95,0:16:16.35,Default,,0000,0000,0000,,それは時空でも\N物理的な物体でもありません Dialogue: 0,0:16:16.35,0:16:19.38,Default,,0000,0000,0000,,体験する時空や物体を否定することは Dialogue: 0,0:16:19.38,0:16:22.86,Default,,0000,0000,0000,,玉虫がボトルから離れることと同様に\N難しいことです Dialogue: 0,0:16:22.86,0:16:27.28,Default,,0000,0000,0000,,なぜでしょう? 我々は本当のところが\N見えていないことに対し盲目だからです Dialogue: 0,0:16:28.41,0:16:30.76,Default,,0000,0000,0000,,それでも 玉虫よりは優れていることがあります Dialogue: 0,0:16:30.76,0:16:32.54,Default,,0000,0000,0000,,それは科学と技術です Dialogue: 0,0:16:32.54,0:16:34.94,Default,,0000,0000,0000,,望遠用のレンズを通して\N眺めることにより Dialogue: 0,0:16:34.94,0:16:39.57,Default,,0000,0000,0000,,地球は現実の世界における不動の中心では\Nないことを発見しました Dialogue: 0,0:16:39.57,0:16:42.45,Default,,0000,0000,0000,,また進化論を注意深く考察することで Dialogue: 0,0:16:42.45,0:16:44.77,Default,,0000,0000,0000,,認識する時空と物体が Dialogue: 0,0:16:44.77,0:16:47.14,Default,,0000,0000,0000,,現実の真の姿でないことも分かりました Dialogue: 0,0:16:47.14,0:16:51.42,Default,,0000,0000,0000,,私が赤いトマトと表現するものを知覚によって体験する時 Dialogue: 0,0:16:51.42,0:16:54.36,Default,,0000,0000,0000,,現実との作用が起りますが Dialogue: 0,0:16:54.36,0:16:59.57,Default,,0000,0000,0000,,現実は赤いトマトとは全く異なるものなのです Dialogue: 0,0:16:59.57,0:17:04.97,Default,,0000,0000,0000,,同様にライオンやステーキなるものを知覚により体験する時 Dialogue: 0,0:17:04.97,0:17:06.82,Default,,0000,0000,0000,,現実との作用が起こりますが Dialogue: 0,0:17:06.82,0:17:09.98,Default,,0000,0000,0000,,現実は(見たままの)ライオンやステーキではありません Dialogue: 0,0:17:09.98,0:17:11.100,Default,,0000,0000,0000,,ここに問題を見てとることができます Dialogue: 0,0:17:11.100,0:17:16.69,Default,,0000,0000,0000,,脳ないしニューロンによって知覚的な体験をするとき Dialogue: 0,0:17:16.69,0:17:18.78,Default,,0000,0000,0000,,現実との作用が働きますが Dialogue: 0,0:17:18.78,0:17:22.31,Default,,0000,0000,0000,,現実は脳やニューロンによって構築されたものではなく Dialogue: 0,0:17:22.31,0:17:25.80,Default,,0000,0000,0000,,脳やニューロンの構築物とは全く異なったものです Dialogue: 0,0:17:25.80,0:17:30.58,Default,,0000,0000,0000,,現実は それが何であれ Dialogue: 0,0:17:30.58,0:17:34.20,Default,,0000,0000,0000,,世の中の原因と結果の\N元となる真の存在であり Dialogue: 0,0:17:34.20,0:17:38.23,Default,,0000,0000,0000,,脳やニューロンの構築物ではありません Dialogue: 0,0:17:38.23,0:17:40.83,Default,,0000,0000,0000,,脳とニューロンには原因を引き起こす力は無く Dialogue: 0,0:17:40.83,0:17:43.43,Default,,0000,0000,0000,,我々の知覚的な体験や行動そのものを Dialogue: 0,0:17:43.43,0:17:45.22,Default,,0000,0000,0000,,引き起こしません Dialogue: 0,0:17:45.22,0:17:50.59,Default,,0000,0000,0000,,脳やニューロンが構築するイメージや\Nその方法は種に依存します Dialogue: 0,0:17:50.59,0:17:53.27,Default,,0000,0000,0000,,このことは意識の謎の解明に\Nどの様な意味をもたらすでしょうか? Dialogue: 0,0:17:53.92,0:17:57.92,Default,,0000,0000,0000,,新しい可能性の道を開くことでしょう Dialogue: 0,0:17:57.92,0:17:59.61,Default,,0000,0000,0000,,例えば Dialogue: 0,0:17:59.61,0:18:06.59,Default,,0000,0000,0000,,現実は我々に知覚的な体験をもたらす\N複雑な機械のような物なのかもしれません Dialogue: 0,0:18:06.59,0:18:10.26,Default,,0000,0000,0000,,個人的には否定的ですが\N探究する価値はあります Dialogue: 0,0:18:10.26,0:18:15.61,Default,,0000,0000,0000,,現実は意識を引き起こす元となるものが作用する\N巨大なネットワークなのかもしれません Dialogue: 0,0:18:15.61,0:18:21.18,Default,,0000,0000,0000,,単純な様でも複雑であり\N個々に認識的な体験をもたらします Dialogue: 0,0:18:21.18,0:18:24.43,Default,,0000,0000,0000,,実際のところ 聞くほどには\N奇妙なアイデアではありません Dialogue: 0,0:18:24.43,0:18:26.05,Default,,0000,0000,0000,,私が研究を進めている分野です Dialogue: 0,0:18:26.59,0:18:28.66,Default,,0000,0000,0000,,しかしここに重要な点があります Dialogue: 0,0:18:28.66,0:18:31.98,Default,,0000,0000,0000,,ひとたび 我々がとても直感的な- Dialogue: 0,0:18:31.98,0:18:35.90,Default,,0000,0000,0000,,しかしながら誤った 現実の本質に関する仮定を捨て去れば Dialogue: 0,0:18:35.90,0:18:40.29,Default,,0000,0000,0000,,生命の最大の謎を探求する\N新しい手法が切り開かれるのです Dialogue: 0,0:18:41.25,0:18:45.86,Default,,0000,0000,0000,,現実というものは もっと魅力的で Dialogue: 0,0:18:45.86,0:18:49.83,Default,,0000,0000,0000,,これまでに想像し得なかったような\N予想外のものだと分ると信じています Dialogue: 0,0:18:49.83,0:18:54.22,Default,,0000,0000,0000,,進化論は非常に大胆なアイデアを\N提示しています Dialogue: 0,0:18:54.22,0:18:59.36,Default,,0000,0000,0000,,知覚とは真実を見ることではないと\N認めましょう Dialogue: 0,0:18:59.36,0:19:03.46,Default,,0000,0000,0000,,子供を持つようなものです Dialogue: 0,0:19:03.46,0:19:08.20,Default,,0000,0000,0000,,ところで このTEDのサインですら\N皆さんの頭の中で構築されたものですよ Dialogue: 0,0:19:08.20,0:19:10.24,Default,,0000,0000,0000,,どうも有難うございました Dialogue: 0,0:19:10.24,0:19:13.63,Default,,0000,0000,0000,,(拍手) Dialogue: 0,0:19:20.79,0:19:24.22,Default,,0000,0000,0000,,クリス: ここにいるのが現実のあなたなら\Nどうも有難うございました Dialogue: 0,0:19:24.22,0:19:27.15,Default,,0000,0000,0000,,多くのことを教えて頂きました Dialogue: 0,0:19:27.15,0:19:30.42,Default,,0000,0000,0000,,まず 気になったのは\N進化は現実を重視しない Dialogue: 0,0:19:30.42,0:19:35.97,Default,,0000,0000,0000,,と知ってとてもがっかりする人もいるだろうということです Dialogue: 0,0:19:35.97,0:19:39.30,Default,,0000,0000,0000,,つまり 人々の全ての努力が \N少々損なわれることになり Dialogue: 0,0:19:39.30,0:19:41.98,Default,,0000,0000,0000,,我々が有する能力によって\N真実を見出せるという Dialogue: 0,0:19:41.98,0:19:45.49,Default,,0000,0000,0000,,あなたの理論も含んだ考え方の\N妨げになるのでは? Dialogue: 0,0:19:45.49,0:19:49.94,Default,,0000,0000,0000,,ドナルド: 私の理論が科学の進歩を\N停止させてしまうのではありません Dialogue: 0,0:19:49.94,0:19:52.76,Default,,0000,0000,0000,,私が主張しているのは\N知覚したものが現実であり Dialogue: 0,0:19:52.76,0:19:57.22,Default,,0000,0000,0000,,現実は知覚したものとほぼ等しいという\N1つの理論が過ちと判明したということです Dialogue: 0,0:19:57.22,0:19:58.90,Default,,0000,0000,0000,,その理論は間違いでした Dialogue: 0,0:19:58.90,0:20:00.32,Default,,0000,0000,0000,,こんな理論は捨て去りましょう Dialogue: 0,0:20:00.32,0:20:03.57,Default,,0000,0000,0000,,だからと言って現実とは何かという\N他の理論の提示を Dialogue: 0,0:20:03.57,0:20:04.93,Default,,0000,0000,0000,,妨げるわけではありません Dialogue: 0,0:20:04.93,0:20:08.54,Default,,0000,0000,0000,,理論の一つが否定された事は進歩です Dialogue: 0,0:20:08.54,0:20:11.19,Default,,0000,0000,0000,,科学は今までとおり進歩します\N何の問題もありません Dialogue: 0,0:20:11.19,0:20:13.79,Default,,0000,0000,0000,,クリス: だから この様な理論は\N発展するのですね(笑) Dialogue: 0,0:20:13.79,0:20:17.90,Default,,0000,0000,0000,,素晴らしいことです\N進化によって理論的な思考力が Dialogue: 0,0:20:17.90,0:20:20.55,Default,,0000,0000,0000,,高められていく可能性が\Nあるものとお考えですね? Dialogue: 0,0:20:20.55,0:20:22.86,Default,,0000,0000,0000,,ドナルド: それは大変重要なポイントです Dialogue: 0,0:20:22.86,0:20:27.39,Default,,0000,0000,0000,,私が紹介した 特に知覚に関する\Nシミュレーションによると Dialogue: 0,0:20:27.39,0:20:29.97,Default,,0000,0000,0000,,知覚は現実を隠蔽すように Dialogue: 0,0:20:29.97,0:20:31.85,Default,,0000,0000,0000,,デザインされています Dialogue: 0,0:20:31.85,0:20:36.12,Default,,0000,0000,0000,,しかし論理学や数学については\Nその限りではありません Dialogue: 0,0:20:36.12,0:20:39.74,Default,,0000,0000,0000,,それを確かめるシミュレーションを\N行ってはいませんが Dialogue: 0,0:20:39.74,0:20:43.37,Default,,0000,0000,0000,,少なくとも真実を理解する\N論理的・数学的な思考への進化論的選択圧が Dialogue: 0,0:20:43.37,0:20:45.57,Default,,0000,0000,0000,,働いていることが\N示されることと信じています Dialogue: 0,0:20:45.57,0:20:48.22,Default,,0000,0000,0000,,私だけでなく我々人類にとって\N数学や論理学の理解は難しく Dialogue: 0,0:20:48.22,0:20:51.57,Default,,0000,0000,0000,,十分な理解力を有していませんが\N進化論的な選択は 少なくとも Dialogue: 0,0:20:51.57,0:20:53.91,Default,,0000,0000,0000,,真の数学や論理学から\N退化する方向には向かっていません Dialogue: 0,0:20:53.91,0:20:57.23,Default,,0000,0000,0000,,我々は脳の各認識能力を\N一つ一つ調べ Dialogue: 0,0:20:57.23,0:20:59.85,Default,,0000,0000,0000,,それぞれがどう進化したかを\N見てみるべきでしょう Dialogue: 0,0:20:59.85,0:21:03.61,Default,,0000,0000,0000,,知覚に関するしくみは\N数学や理論学には当てはまらないでしょう Dialogue: 0,0:21:03.61,0:21:07.61,Default,,0000,0000,0000,,クリス: あなたの提言はまるで現代版の\Nバークリー司教による Dialogue: 0,0:21:07.61,0:21:09.100,Default,,0000,0000,0000,,世界の解釈のようです Dialogue: 0,0:21:09.100,0:21:12.95,Default,,0000,0000,0000,,意識が物を生じさせ\Nその逆ではないと Dialogue: 0,0:21:12.95,0:21:15.34,Default,,0000,0000,0000,,ドナルド: バークリーとは少し異なります Dialogue: 0,0:21:15.34,0:21:18.70,Default,,0000,0000,0000,,彼は理神論者でした\Nつまるところ Dialogue: 0,0:21:18.70,0:21:20.74,Default,,0000,0000,0000,,現実というものは\N神であるといったことです Dialogue: 0,0:21:20.74,0:21:23.85,Default,,0000,0000,0000,,私はバークリーの考えには\N与しません Dialogue: 0,0:21:23.85,0:21:26.54,Default,,0000,0000,0000,,かなり考えが異なっています Dialogue: 0,0:21:27.72,0:21:31.24,Default,,0000,0000,0000,,認識現実論と称する\N私のアプローチはとても異なっています Dialogue: 0,0:21:31.24,0:21:34.82,Default,,0000,0000,0000,,クリス: いずれ 何時間かかけて この話を伺いたいところです Dialogue: 0,0:21:34.82,0:21:37.30,Default,,0000,0000,0000,,どうも有難うございました\Nドナルド: 有難うございました(拍手)