WEBVTT

00:00:07.065 --> 00:00:10.900
彼は人類史上
最も恐ろしい将軍の１人で

00:00:10.900 --> 00:00:16.062
ユーラシア大陸中で
征服を続けました

00:00:16.062 --> 00:00:19.449
しかしゲンギス・カーンは
残忍な野蛮人だったのでしょうか

00:00:19.449 --> 00:00:23.687
それとも現代社会への道を開いた
統一者だったのでしょうか

00:00:23.687 --> 00:00:28.400
「歴史対ゲンギス・カーン裁判」で
見ていきましょう

00:00:28.400 --> 00:00:32.481
「静粛に 静粛に
さて 本日の被告はだれだ

00:00:32.481 --> 00:00:35.577
カーン！」

00:00:35.577 --> 00:00:38.620
「裁判長はゲンギス・カーンに
詳しいようですね

00:00:38.620 --> 00:00:43.919
彼は13世紀の将軍で
彼の軍事作戦で何百万もの人が殺され

00:00:43.919 --> 00:00:48.189
彼らが通った後には
破壊だけが残りました」

00:00:48.189 --> 00:00:52.771
「異議あり
まず彼の名前はチンギス・ハーンです」

00:00:52.771 --> 00:00:54.347
「本当に？」

00:00:54.347 --> 00:00:56.309
「モンゴル語ではそうです

00:00:56.309 --> 00:01:00.062
とにかく彼は人類史上
もっとも偉大なリーダーの１人でした

00:01:00.062 --> 00:01:05.202
テムジンの名で生まれた彼には
父がなく子供の時は貧しかったのですが

00:01:05.202 --> 00:01:10.371
絶え間ない戦いに勝ち続けることで
モンゴル民族同士をまとめ

00:01:10.371 --> 00:01:14.444
かつて見たこともない
偉大な帝国を築きました

00:01:14.444 --> 00:01:18.782
結果その帝国は
太平洋からヨーロッパ中心部に広がりました」

00:01:18.782 --> 00:01:21.871
「侵略と虐殺の
どこが偉大だと言うのですか？

00:01:21.871 --> 00:01:25.464
中国北部は
人口の３分の２を失ったのですよ」

00:01:25.464 --> 00:01:29.537
「金王朝は長く
北部の部族を苦しめ

00:01:29.537 --> 00:01:33.754
部族間が戦うように仕向け
そして定期的に彼らを攻撃しました

00:01:33.754 --> 00:01:36.859
チンギス・ハーンは
モンゴル統一を試みた先代ハーンと

00:01:36.859 --> 00:01:40.590
同じ運命をたどることは
ありませんでした

00:01:40.590 --> 00:01:44.473
また 人口減少は
お粗末な調査方法のせいかもしれません

00:01:44.473 --> 00:01:49.455
また言うまでもなく 小作農の多くが
ハーンの軍に徴兵されました」

00:01:49.455 --> 00:01:52.351
「人数には いくらでも
異議を唱えられるでしょうが

00:01:52.351 --> 00:01:57.747
彼らは住民もろとも
都市を一掃したのです」

00:01:57.747 --> 00:02:01.339
「ハーンは敵が降伏し
敬意を表するのを望んでいましたが

00:02:01.339 --> 00:02:05.390
その一方で 忠誠心と外交における法を
固く信じていました

00:02:05.390 --> 00:02:10.136
大虐殺を被った都市は
降伏後に反逆したり

00:02:10.136 --> 00:02:12.248
使節を殺した都市でした

00:02:12.248 --> 00:02:16.676
彼は正義というものを
厳密に理解していました」

00:02:16.676 --> 00:02:21.308
「多数の記述によると
彼の軍のどう猛さは正義を超えており

00:02:21.308 --> 00:02:24.381
まだ生まれていない赤ちゃんを
母親の子宮から剥ぎ取ったり

00:02:24.381 --> 00:02:26.698
人間の盾として
または

00:02:26.698 --> 00:02:29.594
堀を埋めて 攻城兵器を支えるために
囚人を使ったり

00:02:29.594 --> 00:02:32.404
征服した町から女性をすべて連れ出し―」

00:02:32.404 --> 00:02:34.978
「もういい！なんて野蛮な！」

00:02:34.978 --> 00:02:38.729
「それは本当に他の中世の軍隊よりも
悪いのでしょうか」

00:02:38.729 --> 00:02:41.893
「それはチンギス・ハーンの悪行の
言い訳にはなりませんよ」

00:02:41.893 --> 00:02:45.193
「でもチンギス・ハーンの時代には
それが普通で

00:02:45.193 --> 00:02:48.106
血に飢えた野蛮人とはいえません

00:02:48.106 --> 00:02:52.393
実際 彼が部族を統合し
誘拐婚が廃止されると

00:02:52.393 --> 00:02:55.367
モンゴル人階級の女性たちは
それを最大限に利用しました

00:02:55.367 --> 00:02:57.160
彼女たちは家庭をコントロールし

00:02:57.160 --> 00:02:58.843
夫と離婚もでき

00:02:58.843 --> 00:03:00.726
信頼されるアドバイザーでした

00:03:00.726 --> 00:03:03.676
テムジンは生涯
最初の妻と添い遂げ

00:03:03.676 --> 00:03:08.195
おそらく嫡出でない息子を
実子として育てさえしました」

00:03:08.195 --> 00:03:11.765
「とにかくチンギス・ハーンが
残したものは 大惨事だけです

00:03:11.765 --> 00:03:17.217
彼の子孫が征服している間
ユーラシア中で４千万人が殺されました

00:03:17.217 --> 00:03:20.764
世界の人口の10％ですよ

00:03:20.764 --> 00:03:23.644
その数にはモンゴル軍がカッファ攻城戦で

00:03:23.644 --> 00:03:28.292
ヨーロッパにもたらした
ペストの犠牲者さえ入っていません」

00:03:28.292 --> 00:03:30.386
「たしかにそれは
意図的ではなかった」

00:03:30.386 --> 00:03:33.276
「実際自軍の兵士が
ペストで死ぬのを見て

00:03:33.276 --> 00:03:37.191
彼らは感染した死体を
城壁の中へ放り込んだのです」

00:03:37.191 --> 00:03:39.030
「おえー」

00:03:39.030 --> 00:03:40.621
「参考にしている記述は

00:03:40.621 --> 00:03:43.708
実際に起こってから
100年以上たって書かれました

00:03:43.708 --> 00:03:46.079
どれだけ信用できるでしょう？

00:03:46.079 --> 00:03:50.831
さらに生き残った者たちはチンギス・ハーンが
築いた帝国の恩恵を受けたのです」

00:03:50.831 --> 00:03:52.497
「恩恵？」

00:03:52.497 --> 00:03:56.457
「モンゴル帝国は
あらゆる面において宗教に寛容で

00:03:56.457 --> 00:04:00.807
兵士は厚遇され
生まれでなく功績で昇進し

00:04:00.807 --> 00:04:03.117
郵便システムが広く確立され

00:04:03.117 --> 00:04:06.134
法の支配を全国で実施し

00:04:06.134 --> 00:04:08.290
言うまでもなく文化にも貢献しました」

00:04:08.290 --> 00:04:12.020
「フレグ・ハーンが当時の
文化的中心地バグダッドを

00:04:12.020 --> 00:04:14.300
消滅させたことを言っているのですか

00:04:14.300 --> 00:04:18.975
図書館や病院、宮殿は燃やされ
灌漑水路は埋められたのに？」

00:04:18.975 --> 00:04:21.514
「バグダッドは不運でしたが

00:04:21.514 --> 00:04:24.493
カリフは降伏を拒否し

00:04:24.493 --> 00:04:29.595
フレグは後に理由なく破壊したということで
ベルケ・ハーンに罰せられました

00:04:29.595 --> 00:04:32.685
文化の破壊は
モンゴルの政策ではありませんでした

00:04:32.685 --> 00:04:37.207
通常彼らは医者や学者、職人を
征服地から救い出し

00:04:37.207 --> 00:04:39.416
国中に彼らを送り

00:04:39.416 --> 00:04:42.224
世界中に知識を広めたのです」

00:04:42.224 --> 00:04:45.308
「キエフ大公国の荒廃はどうですか

00:04:45.308 --> 00:04:47.664
人々を暗黒時代に取り残したのです

00:04:47.664 --> 00:04:51.492
ルネサンスが西ヨーロッパ中に
広がった時でさえですよ」

00:04:51.492 --> 00:04:54.311
「当時 西ヨーロッパは
平穏とは言えませんでした

00:04:54.311 --> 00:04:58.939
モンゴルによる支配が安定したことで
シルクロードがもう一度栄え

00:04:58.939 --> 00:05:02.468
それにより東洋と西洋の
貿易や文化交流が可能になり

00:05:02.468 --> 00:05:06.945
ロシアと中国は交戦状態にある国から

00:05:06.945 --> 00:05:09.225
統一された国となったのです

00:05:09.225 --> 00:05:11.045
実際 帝国消滅後
ずっと後になっても

00:05:11.045 --> 00:05:13.199
チンギス・ハーンの子孫は

00:05:13.199 --> 00:05:16.818
ユーラシア中の支配階級の貴族の中で
見られました」

00:05:16.818 --> 00:05:20.709
「独裁者がさらなる独裁者を刺激するのは
驚くことではありません」

00:05:20.709 --> 00:05:24.458
「彼の呼び方には気をつけて
あなたも血を引いているかもしれません

00:05:24.458 --> 00:05:25.750
「なんですって？」

00:05:25.750 --> 00:05:29.913
「現在いる1,600万人の男性は
チンギス・ハーンの子孫です

00:05:29.913 --> 00:05:32.201
200人に１人ですよ」

00:05:32.201 --> 00:05:36.250
偉大な征服者がいれば
征服される人は何百万人にも上ります

00:05:36.250 --> 00:05:38.234
どちらの話が歴史に残るでしょう？

00:05:38.234 --> 00:05:41.455
また 歴史や文化における
指導者の重要性は

00:05:41.455 --> 00:05:44.815
その過程で 彼らが招いた
多くの死に勝るでしょうか？

00:05:44.815 --> 00:05:50.216
これは歴史を裁判にかけたときに
表面化する問題なのです