WEBVTT 00:00:01.227 --> 00:00:03.275 私はカリフォルニア州にある キャンプ・ペンドルトンの 00:00:03.299 --> 00:00:04.570 第1海兵連隊 第1大隊 00:00:04.570 --> 00:00:06.819 武器中隊 第81小隊に所属する 海兵隊員でした 00:00:06.819 --> 00:00:07.705 行くぞ! NOTE Paragraph 00:00:07.705 --> 00:00:08.831 聴衆:行くぞ! NOTE Paragraph 00:00:08.855 --> 00:00:09.760 (笑) NOTE Paragraph 00:00:09.760 --> 00:00:11.848 9・11テロ事件の数か月後に 入隊しました 00:00:11.872 --> 00:00:14.891 あの時 ほとんどの アメリカ国民が感じたように 00:00:14.915 --> 00:00:18.200 愛国心と報復の 感情でいっぱいになって 00:00:18.224 --> 00:00:19.866 何かしたいと強く望みました 00:00:19.890 --> 00:00:22.635 自分は何もできなかったという 事実と相まってのことです 00:00:22.659 --> 00:00:25.905 その時 私は17才で 夏に高校を卒業したところで 00:00:25.929 --> 00:00:28.525 実家の奥部屋に 家賃を払って住んでいました 00:00:28.525 --> 00:00:31.150 そこは私が育った ノースインディアナにある 00:00:31.170 --> 00:00:32.426 ミシャワカという小さな町です 00:00:32.450 --> 00:00:35.028 興味がおありでしたら 後でつづりを教えましょう NOTE Paragraph 00:00:35.052 --> 00:00:35.840 (笑) NOTE Paragraph 00:00:35.840 --> 00:00:39.940 ミシャワカには良いものが多くありますが 文化の中心地ではありません 00:00:39.964 --> 00:00:41.860 だから 唯一の 演劇や映画との接点は 00:00:41.884 --> 00:00:43.760 高校の時 自分が演じた劇と 00:00:43.780 --> 00:00:46.265 今は亡きレンタルビデオ屋だけでした NOTE Paragraph 00:00:46.289 --> 00:00:47.461 (笑) NOTE Paragraph 00:00:47.485 --> 00:00:49.132 私は演技に 真剣に取り組んでいて 00:00:49.156 --> 00:00:52.464 高校3年で ジュリアード音楽院の オーデションを受けましたが 00:00:52.488 --> 00:00:53.639 不合格でした 00:00:53.663 --> 00:00:56.389 大学進学は自分向きではないと考え 他には受験しませんでした 00:00:56.413 --> 00:00:57.706 賢明な判断でした 00:00:57.730 --> 00:01:01.181 「出たとこ勝負 LA進出」も やってみました 00:01:01.205 --> 00:01:02.840 これはよく耳にしたことがある話で 00:01:02.864 --> 00:01:05.165 俳優たちが 7ドル程を手にLAに引っ越して 00:01:05.188 --> 00:01:07.132 仕事をみつけて 成功するというものです 00:01:07.156 --> 00:01:10.512 テキサス州アマリロまで 辿り着いたところで車が故障しました 00:01:10.536 --> 00:01:12.263 修理で持ち金を全て使い果たし 00:01:12.287 --> 00:01:13.932 やっとサンタモニカに到着 00:01:13.956 --> 00:01:15.234 LAにさえ近づけず 00:01:15.258 --> 00:01:17.917 48時間滞在して ただビーチを散歩して 00:01:17.941 --> 00:01:19.227 車で家に帰りました 00:01:19.251 --> 00:01:20.957 こうして私の俳優への道は 幕を閉じました NOTE Paragraph 00:01:20.981 --> 00:01:22.259 (笑) NOTE Paragraph 00:01:22.283 --> 00:01:24.171 17才、ミシャワカ 00:01:24.195 --> 00:01:28.023 実家、家賃 掃除機のセールス 00:01:28.047 --> 00:01:29.602 テレマーケティング 00:01:29.626 --> 00:01:31.809 地元4-Hクラブの催事会場での芝刈り 00:01:31.833 --> 00:01:34.125 これが2001年9月に至るまでの 私の生活でした NOTE Paragraph 00:01:34.149 --> 00:01:35.490 だから9・11テロ事件の後 00:01:35.490 --> 00:01:37.526 どうしようもない義務感を感じ 00:01:37.550 --> 00:01:39.901 全てに ただ腹を立てました それは自分自身 00:01:39.925 --> 00:01:41.321 両親、政府に対してでした 00:01:41.345 --> 00:01:43.798 自信が持てず 立派な仕事にも就けず 00:01:43.822 --> 00:01:46.924 おんぼろミニ冷蔵庫を持って カリフォルニアまで往復しただけ 00:01:46.948 --> 00:01:49.921 海兵隊に入隊して良かった 海兵隊員になれて嬉しかった 00:01:49.945 --> 00:01:52.137 私の人生で 誇れることの1つです 00:01:52.137 --> 00:01:53.897 武器を撃つのは格好いいし 00:01:53.897 --> 00:01:56.632 高価な軍用車両の運転や 爆破するのは気持ち良かった 00:01:56.656 --> 00:01:58.764 でも 海兵隊で 一番気に入ったのは 00:01:58.788 --> 00:02:01.429 入隊した時には 考えてもいなかったもの— 00:02:01.453 --> 00:02:02.614 そこにいた人々でした 00:02:02.638 --> 00:02:06.218 風変わりな奴ら— アメリカの縮図のような 00:02:06.242 --> 00:02:08.624 様々な人格を持った 人々の集まりでした 00:02:08.648 --> 00:02:10.979 表面上は 自分と共通点が あったわけではありません 00:02:11.002 --> 00:02:12.611 時が経つにつれて 00:02:12.635 --> 00:02:14.461 私を軍へと導いた 政治的 個人的な― 00:02:14.485 --> 00:02:16.362 虚勢は全て消え失せ 00:02:16.386 --> 00:02:19.368 私にとって 海兵隊は 友を意味するようになりました NOTE Paragraph 00:02:19.392 --> 00:02:21.680 その後 入隊して数年が経ち 00:02:21.704 --> 00:02:23.783 イラクに展開する数か月前に 00:02:23.807 --> 00:02:26.672 私はマウンテンバイクの事故で 胸骨を脱臼し 00:02:26.696 --> 00:02:28.338 治療のために部隊を離れました 00:02:28.362 --> 00:02:31.365 軍にいたことがないと 理解し難いかもしれませんが 00:02:31.365 --> 00:02:34.176 イラクやアフガニスタンに 派兵しないと言われたことに 00:02:34.176 --> 00:02:35.873 私はひどく打ちのめされました 00:02:35.873 --> 00:02:39.114 軍の病院から担架で運び出され そして私の無事を確かめる為 00:02:39.138 --> 00:02:42.198 所属部隊の全員が待っていたのを 鮮明に覚えています NOTE Paragraph 00:02:42.198 --> 00:02:44.466 突然 私はまた 民間人に戻りました 00:02:44.490 --> 00:02:46.695 演技に再挑戦したいという思いに 気づいていました 00:02:46.719 --> 00:02:48.553 理由は また私らしいのですが 00:02:48.553 --> 00:02:52.266 軍に比べたら一般社会での問題は 何でも些細だと思ったからです 00:02:52.290 --> 00:02:55.047 だって 本当に現状に対して 不平を言えますか? 00:02:55.071 --> 00:02:56.243 「暑いよ 00:02:56.672 --> 00:02:58.904 誰かエアコンを つければいいのに」 00:02:58.928 --> 00:03:00.728 「コーヒーを買う行列が 長すぎだ」 00:03:01.095 --> 00:03:02.151 私は海兵隊員でした 00:03:02.151 --> 00:03:03.482 生きのびる術を知っていました 00:03:03.506 --> 00:03:05.478 ニューヨークで 俳優になりたかったのです 00:03:05.478 --> 00:03:06.729 もし上手くいかなかったら 00:03:06.753 --> 00:03:10.027 セントラルパークに住み着き パン屋の裏でごみ箱を漁っていたでしょう NOTE Paragraph 00:03:10.027 --> 00:03:10.762 (笑) NOTE Paragraph 00:03:10.786 --> 00:03:13.476 ジュリアード音楽院を再受験して 今度は幸運にも 00:03:13.500 --> 00:03:14.651 合格しましたが 00:03:14.675 --> 00:03:17.216 驚いたのは 軍人から民間人になることが 00:03:17.240 --> 00:03:18.541 とても困難なことでした 00:03:18.565 --> 00:03:22.040 私は比較的 健康だったので 心身の傷を抱えて 民間人になることなど 00:03:22.064 --> 00:03:23.926 想像すらできません 00:03:23.950 --> 00:03:25.541 でもとにかく大変なことでした 00:03:25.565 --> 00:03:27.735 理由の1つは自分が 演劇学校にいたことです 00:03:27.759 --> 00:03:31.296 正当化できないと思ったのは 発声や話し方の授業に行って 00:03:31.757 --> 00:03:34.588 部屋の後ろに向けて 架空の「気」を放つ練習や 00:03:34.612 --> 00:03:37.175 演技の授業で 自分自身を産む姿を 練習していることでした 00:03:37.199 --> 00:03:38.200 (笑) NOTE Paragraph 00:03:38.224 --> 00:03:40.958 だって 海外で 仲間達が 私抜きで兵役に就いていたのですから 00:03:40.982 --> 00:03:43.591 さらに 軍で学んだことを 一般人の環境で 00:03:43.615 --> 00:03:45.968 応用する方法が 分からなかったことも一因です 00:03:45.992 --> 00:03:48.151 それは現実的にも 感情的にもです 00:03:48.175 --> 00:03:49.744 現実的には 仕事に就く必要がありました 00:03:49.768 --> 00:03:51.500 私は海兵隊の歩兵であり 00:03:51.524 --> 00:03:54.080 機関銃や迫撃砲を 撃っていました 00:03:54.104 --> 00:03:57.525 一般社会ではこうした技術を 生かせる場所はそんなに多くはありません NOTE Paragraph 00:03:57.525 --> 00:03:58.280 (笑) NOTE Paragraph 00:03:58.280 --> 00:04:00.722 感情的な面では 意味を見出すことに苦労しました 00:04:01.103 --> 00:04:03.064 軍では全てのことに 意味がありました 00:04:03.088 --> 00:04:05.255 伝統に根ざしていたり 実用的な目的があったり 00:04:05.255 --> 00:04:06.693 全てのことに意味がありました 00:04:06.717 --> 00:04:08.070 戦地ではたばこを吸えません 00:04:08.094 --> 00:04:10.445 敵に居場所を 知られないようにする為です 00:04:10.469 --> 00:04:12.764 顔には触れないのは 自分の健康と衛生状態を 00:04:12.788 --> 00:04:14.670 維持する為です 00:04:14.694 --> 00:04:16.519 国旗掲揚の時には 顔をこう向けます 00:04:16.543 --> 00:04:18.733 自分よりも先に 進撃した仲間に敬意を表すためです 00:04:18.757 --> 00:04:20.898 こんな風に歩き 話す事にも 意味があります 00:04:20.922 --> 00:04:22.802 軍服は隅々まで整えられています 00:04:22.826 --> 00:04:25.273 こうした規律に どのくらい忠実かで 00:04:25.273 --> 00:04:26.978 どんな海兵隊員なのか よく分りました 00:04:27.002 --> 00:04:29.030 軍での階級は 経歴と自分が得た信望を 00:04:29.054 --> 00:04:30.538 表していました NOTE Paragraph 00:04:30.562 --> 00:04:32.394 一般社会では階級はありません 00:04:32.418 --> 00:04:33.857 ここでは単に1人の人間で 00:04:33.881 --> 00:04:37.088 自分の価値を繰り返し 証明しなければならない気がしました 00:04:37.112 --> 00:04:40.112 私が軍服を着ていた時に 民間人から受けていた敬意は 00:04:40.136 --> 00:04:41.762 退役と共になくなりました 00:04:41.786 --> 00:04:43.539 そこには連帯感が 00:04:43.563 --> 00:04:44.763 無いように感じました 00:04:44.787 --> 00:04:47.453 一方 軍では こうした連帯感を感じていました 00:04:47.477 --> 00:04:49.206 一般社会では 00:04:49.748 --> 00:04:52.982 親友達と共に生きるか死ぬかの状況に置かれ あなたを見捨てたりしないと 00:04:53.006 --> 00:04:56.312 友が絶えず気持ちを示してくれることが どれ程あるでしょうか? 00:04:56.336 --> 00:04:58.389 一方 演劇学校では 00:04:58.413 --> 00:05:00.871 (笑) NOTE Paragraph 00:05:00.895 --> 00:05:02.569 本当に初めて 00:05:02.593 --> 00:05:04.878 脚本家、登場人物、芝居の中に 00:05:04.902 --> 00:05:06.865 軍とは関係ないけれど 00:05:06.889 --> 00:05:09.244 軍の経験を何らかの形で 表現しているものを見つけました 00:05:09.268 --> 00:05:11.815 それは以前の私には 表現できないものでした 00:05:11.839 --> 00:05:14.230 そして自分が 攻撃的でなくなるのを感じました 00:05:14.254 --> 00:05:17.457 初めて感情を 言葉で表せるようになって 00:05:17.481 --> 00:05:19.600 それがとても有益な道具だと 分ったからです NOTE Paragraph 00:05:19.624 --> 00:05:22.104 軍で過ごした時間を 振り返る時に 00:05:22.128 --> 00:05:24.539 真っ先に考えるのは 型通りの訓練や 00:05:24.563 --> 00:05:26.015 規律やつらさではありません 00:05:26.039 --> 00:05:28.323 それよりも こじんまりとした 親密な人間関係や 00:05:28.323 --> 00:05:29.710 楽しかったことを考えます 00:05:29.710 --> 00:05:32.259 家族が恋しくて 無断外出する友や 00:05:32.283 --> 00:05:33.518 離婚した友 00:05:33.542 --> 00:05:35.540 共に悲嘆にくれたこと 祝ったこと 00:05:35.564 --> 00:05:37.499 その全てが軍の中にありました 00:05:37.523 --> 00:05:39.805 友人がそうした状況と 闘うのを目にし 00:05:39.829 --> 00:05:42.860 彼らや私には 不安が募ってくるものの 00:05:42.884 --> 00:05:45.470 そういった感情を表せない状況を 経験してきました NOTE Paragraph 00:05:46.026 --> 00:05:49.074 軍と演劇界は 実際にはとても似ています 00:05:49.098 --> 00:05:51.823 1人ではできない大きな目標を チームとして達成しようとします 00:05:51.847 --> 00:05:53.910 個人の問題ではないのです 00:05:53.934 --> 00:05:56.902 自分の役割があり チーム内での 役目を理解する必要があります 00:05:56.926 --> 00:05:59.085 どのチームにも リーダーや指揮官がいて 00:05:59.109 --> 00:06:01.659 彼らは見事に振舞うこともあれば そうでないこともあります 00:06:01.683 --> 00:06:04.287 短時間で見知らぬ人と親密に 00:06:04.311 --> 00:06:05.596 ならざるを得ません 00:06:05.620 --> 00:06:07.667 それは自制心と 自己管理が必要です 00:06:08.132 --> 00:06:10.615 私はある空間を作り出せたら 素晴らしいと思いました 00:06:10.639 --> 00:06:13.966 そこは 軍と一般市民という 一見異なる2つの集団を結び付け 00:06:13.990 --> 00:06:16.225 人々に娯楽を提供し 00:06:16.249 --> 00:06:18.344 また 彼らの職業に対する視点から 00:06:18.368 --> 00:06:20.812 典型的な強制された お楽しみイベントよりは 00:06:20.836 --> 00:06:22.669 もう少し示唆に富んだ空間です 00:06:22.693 --> 00:06:25.754 私は軍にいた時に命令を受け 「ボランティア」でイベントに参加したんです NOTE Paragraph 00:06:25.778 --> 00:06:26.780 (笑) NOTE Paragraph 00:06:26.804 --> 00:06:29.082 善意だけど ちょっと嫌なイベントで 00:06:29.106 --> 00:06:32.200 「サンディエゴ・チャージャーズの チアリーダーとデート権獲得」みたいな 00:06:32.200 --> 00:06:33.957 ポップカルチャーの クイズに答えて 00:06:33.981 --> 00:06:35.874 正解したらデートできる 00:06:35.898 --> 00:06:38.244 パレードデッキを 一緒に歩けるんです 00:06:38.268 --> 00:06:40.659 既婚で妊娠中の チアリーダーとね NOTE Paragraph 00:06:40.683 --> 00:06:41.850 (笑) NOTE Paragraph 00:06:41.874 --> 00:06:44.254 チアリーダーに 敵意はありませんよ 好きです 00:06:44.278 --> 00:06:47.390 要するに 恩着せがましくない とっつきやすい登場人物を通して 00:06:47.414 --> 00:06:50.392 演劇を上演できたら なんて素晴らしいだろうということです 00:06:50.392 --> 00:06:53.877 だから非営利団体 「AITAF」 (軍隊のための芸術)を設立しました 00:06:53.877 --> 00:06:55.246 そこで試そうとしたことは 00:06:55.270 --> 00:06:58.188 一見似ていない この2つの集団を 結び付けようとすることです 00:06:58.212 --> 00:07:02.027 アメリカの現代劇の中から 演劇か一人芝居を選んでいます 00:07:02.051 --> 00:07:05.725 軍人客と同様に 年齢や人種が多様な劇で 00:07:05.749 --> 00:07:08.098 舞台でよく鍛えられた 素晴らしい俳優と 00:07:08.122 --> 00:07:09.975 素晴らしい作品で固めて 00:07:09.999 --> 00:07:12.219 制作費用をできるだけ抑えて 00:07:12.243 --> 00:07:15.279 セットも衣装もライトもなく ただ朗読するものです 00:07:15.303 --> 00:07:17.782 ひたすら言葉に重きを置き 00:07:17.806 --> 00:07:20.521 舞台劇はどんなセットでも 可能だと見せるのです NOTE Paragraph 00:07:20.545 --> 00:07:21.725 それは影響力のあるもので 00:07:21.749 --> 00:07:24.635 全く見知らぬ人と 限られた空間にいて 00:07:24.659 --> 00:07:27.307 自分達の人間性というものを 思い起こさせます 00:07:27.331 --> 00:07:29.728 自己表現は 肩に担いだライフルと同様に 00:07:29.752 --> 00:07:31.109 価値ある道具なのです 00:07:31.133 --> 00:07:33.138 頭字語を別の頭字語で表すことに 00:07:33.162 --> 00:07:36.089 誇りを持つ軍のような組織では 00:07:36.113 --> 00:07:37.536 集団体験を話す段になると 00:07:37.560 --> 00:07:40.242 どうしたら良いか 分からなくなってしまうのです 00:07:40.266 --> 00:07:42.340 新たな自己表現の手段を 身に付けようと思えば 00:07:42.360 --> 00:07:44.205 国を守ろうとする集団よりも 00:07:44.229 --> 00:07:46.251 優れた人たちを 思い浮かべることができません NOTE Paragraph 00:07:46.275 --> 00:07:48.755 私たちは全米各地や 世界中を訪れました 00:07:48.779 --> 00:07:51.460 メリーランド州ベセスダの ウォルターリード米軍医療センターから 00:07:51.484 --> 00:07:53.930 キャンプ・ペンドルトン クウェートのキャンプ・アリフジャン 00:07:53.954 --> 00:07:55.663 ババリア駐留米軍 00:07:55.687 --> 00:07:58.227 ニューヨークの 大小のブロードウェイ劇場まで行きました 00:07:58.227 --> 00:07:59.823 出演する俳優達が 00:07:59.847 --> 00:08:01.515 文化を紹介する担い手となり 00:08:01.539 --> 00:08:03.699 彼らは 人々の目に触れる機会を得ました 00:08:03.723 --> 00:08:05.742 軍人たちにとっても全く同じです NOTE Paragraph 00:08:05.766 --> 00:08:07.753 こうした活動を 過去6年間行ってきましたが 00:08:07.777 --> 00:08:10.008 演技には多くの側面があると いつも思い起こされます 00:08:10.032 --> 00:08:13.237 演劇は手工業であり 政治活動であり ビジネスであり 00:08:13.608 --> 00:08:16.013 あなたにピッタリ当てはまる あらゆるものになるのです 00:08:16.037 --> 00:08:17.476 しかしサービス業でもあります 00:08:17.500 --> 00:08:19.024 もう少し言うべきことがあります 00:08:19.048 --> 00:08:20.680 この最高のサービス業に ― 00:08:20.704 --> 00:08:23.981 それは私にとって軍を意味しますが― 私がお役に立てるのならば 00:08:24.005 --> 00:08:26.052 それ以上に 素晴らしいことはありません NOTE Paragraph 00:08:26.076 --> 00:08:27.404 どうもありがとうございました NOTE Paragraph 00:08:27.428 --> 00:08:32.015 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:32.039 --> 00:08:35.964 我々はマルコ・ラミレスの 作品を上演します 00:08:35.988 --> 00:08:37.682 『I am not Batman (俺はバットマンじゃない)』です 00:08:37.706 --> 00:08:40.734 素晴らしい俳優で 私の良き友人でもあるジェシー・ペレスが 00:08:40.758 --> 00:08:41.897 朗読をします 00:08:41.897 --> 00:08:44.911 私が数時間前に会ったばかりの マット・ジョンソンも出演します 00:08:44.911 --> 00:08:46.616 彼らは初共演です 00:08:46.640 --> 00:08:47.878 とにかく見てみましょう NOTE Paragraph 00:08:47.902 --> 00:08:49.821 ジェシー・ぺレスと マット・ジョンソンです NOTE Paragraph 00:08:49.845 --> 00:08:52.999 (拍手) NOTE Paragraph 00:09:00.669 --> 00:09:02.636 ジェシー・ペレス: 真夜中に 00:09:02.660 --> 00:09:04.970 狂ったように空が輝く 放射能を放つ赤色だ 00:09:04.994 --> 00:09:07.116 目を細めれば 多分 月が見えるだろう 00:09:07.140 --> 00:09:09.890 厚く立ち込めた 煙草の煙と 飛行機の排ガスの向こうだ 00:09:09.890 --> 00:09:11.321 それは町全体を覆いつくして 00:09:11.345 --> 00:09:13.287 まるで天使を招き入れない 蚊帳のようだ NOTE Paragraph 00:09:13.287 --> 00:09:14.411 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:09:14.411 --> 00:09:16.101 高く見上げると 00:09:16.101 --> 00:09:19.678 87階建てのビルの端に立つ 俺が見えるはず 00:09:19.702 --> 00:09:23.129 そこにはガーゴイルと 壊れた時計塔があって 00:09:23.153 --> 00:09:26.129 多分 百年ほどの間 止まったままでいる 00:09:26.153 --> 00:09:27.664 そこにいるのが俺だ NOTE Paragraph 00:09:27.688 --> 00:09:28.718 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:09:28.742 --> 00:09:30.326 俺はクソなバットマンだ NOTE Paragraph 00:09:30.350 --> 00:09:31.389 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:09:31.413 --> 00:09:33.578 バットモービルとバットラング 00:09:33.602 --> 00:09:35.997 バットケイブもまあ本物だ 00:09:36.021 --> 00:09:37.715 あと必要なのは掃除用具入れか 00:09:37.739 --> 00:09:39.683 奥部屋か非常階段だ 00:09:39.707 --> 00:09:42.698 ダニーのお古のジーンズは なくなっちまった 00:09:42.722 --> 00:09:44.618 ネイビーブルーのポロシャツ 00:09:44.642 --> 00:09:47.753 何か俺に良く似合っているけど 尻の辺りに穴が開いてるんだ 00:09:47.753 --> 00:09:50.091 アートゥロの裏にある 金網塀に引っ掛けたから 00:09:50.091 --> 00:09:52.487 でも大したことじゃない 裾はズボンに入れるからだ 00:09:52.487 --> 00:09:53.590 それでまあオーケーだ 00:09:53.590 --> 00:09:56.871 そのポロシャツ それもなくなった! 00:09:56.871 --> 00:10:00.098 俺はその まあ 変身したんだ NOTE Paragraph 00:10:00.122 --> 00:10:01.122 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:10:01.434 --> 00:10:04.769 口答えしたって ベルトをはずして バットマンを鞭うつ奴はいない NOTE Paragraph 00:10:04.793 --> 00:10:05.810 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:10:05.834 --> 00:10:07.254 返事をしなくても NOTE Paragraph 00:10:07.278 --> 00:10:09.602 誰もバットマンを地味だとか 00:10:09.626 --> 00:10:11.175 馬鹿だとか 00:10:11.199 --> 00:10:12.396 痩せっぽち呼ばわりしない 00:10:12.784 --> 00:10:16.003 誰もバットマンの兄弟を イースタンタクシーからクビにしない 00:10:16.027 --> 00:10:18.059 減給すらしていないからだ 00:10:18.083 --> 00:10:19.972 得るのは尊敬だけだ 00:10:19.996 --> 00:10:22.131 怖くて尊敬しているような ものではなく 00:10:22.155 --> 00:10:24.534 ただ まあ 尊敬からの尊敬だ NOTE Paragraph 00:10:24.558 --> 00:10:25.559 (笑) NOTE Paragraph 00:10:25.583 --> 00:10:27.090 誰も恐れてなんていないんだ 00:10:27.114 --> 00:10:29.248 バットマンは誰も貶めたり 傷つけないから NOTE Paragraph 00:10:29.272 --> 00:10:30.273 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:10:30.297 --> 00:10:31.851 決して (ドラムの音2回) NOTE Paragraph 00:10:31.875 --> 00:10:34.312 バットマンは皆 本当に人助けをしたがっているから 00:10:34.336 --> 00:10:36.290 いつかお婆ちゃんの 請求書を払ってくれるかも 00:10:36.310 --> 00:10:37.258 そして悔いなく死ぬ 00:10:37.282 --> 00:10:39.478 もしかしたら まあ 本当にすごく有名になる NOTE Paragraph 00:10:39.502 --> 00:10:40.337 (笑) NOTE Paragraph 00:10:40.337 --> 00:10:42.054 あぁ それからジョーカーを倒す NOTE Paragraph 00:10:42.054 --> 00:10:43.358 (ドラムの連打) NOTE Paragraph 00:10:43.382 --> 00:10:46.080 今夜 いつもの晩のように 俺は独りぼっち 00:10:46.080 --> 00:10:48.257 じっと見て 待っている 00:10:48.281 --> 00:10:49.463 鷲のように 00:10:49.487 --> 00:10:50.657 もしくは 00:10:50.681 --> 00:10:52.390 いいや そうだ 鷲のように NOTE Paragraph 00:10:52.414 --> 00:10:53.415 (笑) NOTE Paragraph 00:10:53.439 --> 00:10:56.257 俺の肩マントは風にはためく とっても長いからだ 00:10:56.281 --> 00:10:57.695 尖った耳もつけたし 00:10:57.719 --> 00:11:00.549 顔の半分を覆う あのマスクも付けた 00:11:00.573 --> 00:11:04.049 まあ防弾具も胸に装着したから 誰も俺を痛めつけられない 00:11:04.073 --> 00:11:05.787 誰も 誰も! 00:11:05.811 --> 00:11:07.850 バットマンと 00:11:07.874 --> 00:11:09.053 正義を引き裂けない NOTE Paragraph 00:11:09.077 --> 00:11:10.879 (ドラムの音) (笑) NOTE Paragraph 00:11:10.903 --> 00:11:12.411 ここから 00:11:12.435 --> 00:11:14.022 全てが聞こえる NOTE Paragraph 00:11:14.046 --> 00:11:15.212 (沈黙) NOTE Paragraph 00:11:15.236 --> 00:11:16.396 この町のどこかで 00:11:16.420 --> 00:11:19.636 老婆がごみ箱から 捨てられていた発砲スチロールを拾って 00:11:19.660 --> 00:11:22.510 誰かが吐き出した セサミチキンを 00:11:22.534 --> 00:11:23.845 口にしている 00:11:23.869 --> 00:11:27.178 どこかにダサい髪型で 黒い実験着を着た博士がいて 00:11:27.202 --> 00:11:29.240 いつか人間を 本当に絶滅させてしまうような 00:11:29.240 --> 00:11:32.042 病気に対する治療法を 見つけようとしている 00:11:32.066 --> 00:11:33.426 それからどこかに 1人の男がいる 00:11:33.450 --> 00:11:34.847 管理人の服を着た男は 00:11:34.871 --> 00:11:36.804 酔ってフラフラとよろめきながら 家に帰っている 00:11:36.828 --> 00:11:40.580 給料の半分を ねじりキャップの 1.2L入りの瓶ビールに 00:11:40.604 --> 00:11:43.548 残り半分は彼女の家への 4時間の訪問のために使った後だ 00:11:43.572 --> 00:11:45.997 その家は 街灯が 全て撃ち抜かれた通りにある 00:11:46.021 --> 00:11:49.054 この町の暗がりで 何気なくやってしまう奴らの仕業だ 00:11:49.078 --> 00:11:51.004 管理人の男から半ブロック先に 00:11:51.028 --> 00:11:53.546 礼儀知らずの ろくでなし集団がいて 00:11:53.546 --> 00:11:56.490 錆びた自転車のチェーンと 有名ブランド・バットの模造品を持って 00:11:56.514 --> 00:11:58.183 管理人の男を待ち受けていた 00:11:58.207 --> 00:11:59.989 もし男から 1セントも奪えなかったら 00:12:00.013 --> 00:12:01.164 取れないだろうが 00:12:01.188 --> 00:12:04.546 奴らの腕が熱くなって へし折る歯がなくなるまで 00:12:04.570 --> 00:12:06.643 男を強打するだろう NOTE Paragraph 00:12:06.667 --> 00:12:08.166 でも奴らは 俺の参上を予期していない 00:12:08.664 --> 00:12:10.911 ダークナイトが 来るなんて思っちゃいない 00:12:10.935 --> 00:12:13.493 食料品店で手にしたブランドの マカロニ&チーズと 00:12:13.503 --> 00:12:15.632 刻んだウィンナソーセージで 満腹のダークナイトなんて NOTE Paragraph 00:12:15.632 --> 00:12:16.567 (笑) NOTE Paragraph 00:12:16.591 --> 00:12:19.147 むしろ奴らは俺が存在しない と思いたいんだ NOTE Paragraph 00:12:19.893 --> 00:12:23.506 87階にいる俺には ろくでなしの言葉が聞こえる 00:12:23.530 --> 00:12:25.831 「金をよこせ!」 そんな風に早口で 00:12:25.855 --> 00:12:27.598 ただ「金をよこせ!」と 00:12:27.622 --> 00:12:31.175 管理人の男が酔っ払い言葉で 何かをつぶやき 青ざめるのが見えた 00:12:31.199 --> 00:12:32.376 87階で 00:12:32.400 --> 00:12:35.422 ディッキーズを着た彼が 吐きそうになっているのが聞こえた NOTE Paragraph 00:12:35.422 --> 00:12:37.633 だから俺は急降下した まあ めちゃくちゃ速くだ 00:12:37.633 --> 00:12:40.452 俺は暗闇のように 「ビューッ」という感じで 00:12:40.476 --> 00:12:42.931 俺は裸電球の1つに バットラングを投げた NOTE Paragraph 00:12:42.955 --> 00:12:43.994 (シンバルの音) NOTE Paragraph 00:12:44.018 --> 00:12:46.146 奴らは皆こんな感じだ 「うわ てめえ! 00:12:46.170 --> 00:12:47.761 電気を消したのは誰だ?」 NOTE Paragraph 00:12:47.785 --> 00:12:48.786 (笑) NOTE Paragraph 00:12:48.810 --> 00:12:50.479 「あそこにいるのは誰だ?」 「何?」 NOTE Paragraph 00:12:50.503 --> 00:12:52.096 「老いぼれ 何か分かったら教えろ!」 NOTE Paragraph 00:12:52.120 --> 00:12:53.286 「あれが聞こえたか?」 00:12:53.310 --> 00:12:57.150 「何を?何も聞こえないぞ 本当だ バットマンなんていない!」 NOTE Paragraph 00:12:57.174 --> 00:12:58.401 しかしそれから 00:12:58.425 --> 00:13:01.904 3人のろくでなしのうち 1人の頭にパンチが当たる ボカッ! NOTE Paragraph 00:13:01.928 --> 00:13:04.785 2人目は目の前の黒マントに 闇雲に殴りかかる 00:13:04.809 --> 00:13:06.618 でも奴の拳がぶち込まれる前に 00:13:06.642 --> 00:13:08.546 俺はごみ箱の蓋をつかんで 00:13:08.570 --> 00:13:09.757 腹に直撃だ 00:13:09.781 --> 00:13:11.896 1人目が 戻ってきて跳び蹴りしてきたが 00:13:11.920 --> 00:13:14.551 俺だって柔道や空手の心得がある だからこんな具合だ NOTE Paragraph 00:13:14.575 --> 00:13:18.356 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:13:18.380 --> 00:13:19.531 もう1回! NOTE Paragraph 00:13:19.555 --> 00:13:20.556 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:13:20.580 --> 00:13:21.805 (笑) NOTE Paragraph 00:13:21.829 --> 00:13:23.281 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:13:23.305 --> 00:13:25.065 でももっとダメージを 与える前に 00:13:25.089 --> 00:13:27.288 突然「カチャカチャ」 という音がした 00:13:28.217 --> 00:13:30.453 そして突然 辺りは静寂に包まれた 00:13:31.049 --> 00:13:33.065 1人のろくでなしが佇んでいた 00:13:33.089 --> 00:13:34.960 ピストルを握って 真上に狙いを定めている 00:13:34.960 --> 00:13:36.631 イエスを 人質にしているかのようだ 00:13:36.655 --> 00:13:39.540 まるで月に穴を開けると 脅しているかのようでもある 00:13:39.564 --> 00:13:41.836 頭にパンチを受け 俺に跳び蹴りをしようとした 00:13:41.860 --> 00:13:43.128 ろくでなしと 00:13:43.152 --> 00:13:45.645 腹に一発 食らった もう1人のろくでなしとも 00:13:45.669 --> 00:13:48.550 目の前の黒い人影から 急いで後ずさりした 00:13:48.574 --> 00:13:50.257 そして酔っ払いの管理人の男は 00:13:50.281 --> 00:13:52.544 角にうずくまり 聖アントニウスに祈っていた 00:13:52.568 --> 00:13:54.684 それしか覚えていなかったから NOTE Paragraph 00:13:54.708 --> 00:13:55.709 (ドラムの音2回) 00:13:55.733 --> 00:13:56.885 そして俺がそこにいる 00:13:57.310 --> 00:13:58.680 目が白く光り 00:13:58.704 --> 00:14:00.711 肩ガウンが 風にふんわりと揺れていた NOTE Paragraph 00:14:00.735 --> 00:14:01.736 (ドラムの音) 00:14:01.760 --> 00:14:03.257 防弾した胸は波打ち 00:14:03.281 --> 00:14:05.821 心臓の鼓動はそれを通して モールス信号を打つ 00:14:05.845 --> 00:14:06.996 「かかってこい 00:14:07.020 --> 00:14:08.171 一度だけだ 00:14:08.195 --> 00:14:08.920 さあ 00:14:08.920 --> 00:14:10.520 やってみろ」 NOTE Paragraph 00:14:10.830 --> 00:14:12.910 そしてピストルを持って 佇んでいた 00:14:12.934 --> 00:14:14.249 ろくでなしが 00:14:14.273 --> 00:14:15.268 そう 奴が笑った 00:14:15.268 --> 00:14:16.464 そして奴は武器を下ろし 00:14:16.464 --> 00:14:17.964 俺に照準を合わせ 00:14:17.988 --> 00:14:19.439 月には猶予を与えた 00:14:19.463 --> 00:14:21.636 奴は 自分が 特殊急襲部隊だといわんばかりに 00:14:21.660 --> 00:14:24.609 俺の尖った2本の耳を ゴールポストに見立ててその間に狙いを定めた 00:14:25.444 --> 00:14:28.113 管理人の男は なおも 聖アントニウスに祈り続けていたが 00:14:28.137 --> 00:14:29.493 その祈りは届かなかった 00:14:30.277 --> 00:14:31.955 一瞬 00:14:31.979 --> 00:14:33.233 予感がした 00:14:35.040 --> 00:14:36.765 多分 俺は負ける NOTE Paragraph 00:14:38.899 --> 00:14:40.057 訳がない! NOTE Paragraph 00:14:40.081 --> 00:14:40.911 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:14:40.911 --> 00:14:42.436 撃て!撃て! ヤァー! NOTE Paragraph 00:14:42.436 --> 00:14:43.481 「殺さないでくれ!」 NOTE Paragraph 00:14:43.505 --> 00:14:45.463 バキッ!手首が折れる! 首だ!かき切れ! NOTE Paragraph 00:14:45.487 --> 00:14:49.470 肌が酸で焼かれるようだ 「あぁー!」 NOTE Paragraph 00:14:49.494 --> 00:14:50.732 奴は床に倒れた 00:14:50.756 --> 00:14:51.954 俺は奴を見下ろした 00:14:51.978 --> 00:14:53.887 今 俺の手には銃がある 00:14:53.911 --> 00:14:56.575 俺は銃を憎み 銃を持つことを憎む バットマンだからだ 00:14:56.599 --> 00:14:57.777 そして 補足すると 00:14:57.801 --> 00:15:01.359 バットマンが銃を嫌うのは ずっと前に両親が銃で殺されたからだ 00:15:01.383 --> 00:15:02.598 でもほんの一瞬 00:15:02.622 --> 00:15:03.940 俺の目が白く光り 00:15:03.964 --> 00:15:05.123 これを手にした 00:15:05.147 --> 00:15:07.130 ろくでなしが多分理解できる言葉で 00:15:07.154 --> 00:15:08.900 話しかけるためだ 00:15:08.924 --> 00:15:10.471 カチャカチャ! 00:15:10.495 --> 00:15:11.508 (ドラムの音) NOTE Paragraph 00:15:11.532 --> 00:15:14.117 奴らが這い出してきた 有害廃棄物だか 00:15:14.121 --> 00:15:17.816 化学汚泥のたまりへと ろくでなしが姿なしになって失せていった 00:15:18.784 --> 00:15:20.760 そして俺と管理人だけになった 00:15:21.555 --> 00:15:23.025 彼を起き上がらせ 00:15:23.049 --> 00:15:26.182 彼のおでこから 汗と安い香水を拭ってやった 00:15:26.206 --> 00:15:27.642 彼は痛めつけないでと懇願した 00:15:27.666 --> 00:15:30.196 彼の襟を強く掴んで 00:15:30.220 --> 00:15:31.507 俺の顔に近付けた 00:15:31.531 --> 00:15:33.611 彼は俺よりも背が高かったが 肩マントでごまかせた 00:15:33.635 --> 00:15:36.228 だから俺が彼の目を 真っ直ぐに見たとき 彼は耳を傾けた 00:15:36.228 --> 00:15:37.773 俺は一言だけ言った 00:15:38.467 --> 00:15:40.075 「帰れ」 NOTE Paragraph 00:15:41.282 --> 00:15:42.528 彼は3メートルごとに 00:15:42.552 --> 00:15:45.020 振り返りながら 帰っていった 00:15:45.044 --> 00:15:47.633 俺は彼の通り道に沿って ビルからビルへとさっと移動した 00:15:47.657 --> 00:15:49.061 彼の家を知っていたからだ 00:15:49.085 --> 00:15:51.889 震える手で鍵を出して 00:15:51.913 --> 00:15:53.622 彼が住むビルの ドアを開けるのを見た 00:15:53.646 --> 00:15:54.917 彼が玄関に入る前に 00:15:54.941 --> 00:15:57.213 俺は寝床に戻った NOTE Paragraph 00:15:57.548 --> 00:15:59.167 そして彼が蛇口を捻って 00:15:59.191 --> 00:16:01.447 コップにお湯を 注ぐのが聞こえた 00:16:01.796 --> 00:16:03.692 そしてコップを流し台に置いた 00:16:04.399 --> 00:16:05.800 彼の足音が聞こえた 00:16:06.440 --> 00:16:08.685 俺の部屋に近付くにつれ 足音がゆっくりになった 00:16:09.758 --> 00:16:12.883 彼はドアをきしませながら開けた まあ とてもゆっくりとだ 00:16:13.953 --> 00:16:15.781 今まで 入ってきたことはないが 00:16:15.805 --> 00:16:17.161 入り込んできた NOTE Paragraph 00:16:17.677 --> 00:16:18.677 (ドラムの音) 00:16:19.167 --> 00:16:20.897 彼はどこも見つめていなかった 00:16:20.897 --> 00:16:23.486 彼の顔、夏の歩道の色 00:16:23.510 --> 00:16:25.091 俺は目覚めたばかりのふりをして 00:16:25.115 --> 00:16:27.524 こう言った「ああ 父さん どうしたの?」 00:16:28.452 --> 00:16:30.723 管理人の男は何も言わなかった 00:16:31.753 --> 00:16:32.914 だが 俺は暗闇の中に見た 00:16:32.938 --> 00:16:34.311 腕をだらりとして 00:16:34.335 --> 00:16:36.449 彼の頭が まあ 俺の方を向いたのが見えた 00:16:36.473 --> 00:16:38.849 顔と目を俺が見えるように 00:16:38.873 --> 00:16:40.739 彼は頭を上げた 00:16:40.763 --> 00:16:43.135 頬は濡れていた でも汗じゃなかった 00:16:43.704 --> 00:16:45.485 ただそこに立って呼吸をしていた 00:16:45.509 --> 00:16:47.941 俺の目が白く光ったのを 覚えているかのように 00:16:47.965 --> 00:16:50.655 俺の防弾した胸を 覚えているかのように 00:16:51.513 --> 00:16:53.456 俺の父さんだと 覚えているかのように 00:16:57.575 --> 00:17:00.531 長い間 俺は何も言わなかった 00:17:02.583 --> 00:17:04.608 彼は背を向けて ドアノブに手を掛けた 00:17:04.633 --> 00:17:06.060 こっちを見なかったが 00:17:06.085 --> 00:17:08.627 一言つぶやいたのが聞こえた 00:17:10.252 --> 00:17:11.666 「すまなかった」 NOTE Paragraph 00:17:14.317 --> 00:17:17.596 俺は身を乗り出して 窓を少しだけ開けた 00:17:18.696 --> 00:17:20.382 高く見上げれば 00:17:21.036 --> 00:17:22.612 俺がみえるだろう 00:17:23.519 --> 00:17:24.935 俺のいるところから NOTE Paragraph 00:17:25.641 --> 00:17:26.912 (シンバルの音) NOTE Paragraph 00:17:27.692 --> 00:17:29.442 全て聞くことができた NOTE Paragraph 00:17:32.076 --> 00:17:40.500 (拍手) NOTE Paragraph 00:17:40.544 --> 00:17:41.761 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:17:41.801 --> 00:17:49.140 (拍手)