1 00:00:00,000 --> 00:00:05,224 私は陶芸師です 2 00:00:05,224 --> 00:00:09,749 しがない職業に思われるかも知れません 3 00:00:09,749 --> 00:00:12,629 焼き物の事はとても良く知っています 4 00:00:12,629 --> 00:00:16,309 15年陶芸を続けて来ましたから 5 00:00:16,309 --> 00:00:19,339 芸術活動や 陶芸家としての鍛錬を通して 6 00:00:19,339 --> 00:00:22,056 最も充実感を覚えるのは 7 00:00:22,056 --> 00:00:27,500 無から素晴らしい物を創りあげる事を 非常に速く学べるということや 8 00:00:27,500 --> 00:00:34,283 粘土を手にろくろの前で 多くの時間を創作に費やしたこと 9 00:00:34,283 --> 00:00:37,775 それに 自分の可能性や能力の限界は 10 00:00:37,775 --> 00:00:40,506 自分の両手と想像力に かかっていたということ― 11 00:00:40,506 --> 00:00:42,706 もし素敵な器を作りたくて 12 00:00:42,706 --> 00:00:44,810 まだそれに付ける 脚の作り方を知らなくても 13 00:00:44,810 --> 00:00:47,829 では それを学べば良いのだ 14 00:00:47,829 --> 00:00:51,933 この学習プロセスは 非常に重要な人生の糧になって来ました 15 00:00:52,983 --> 00:00:54,957 陶芸師は 16 00:00:54,957 --> 00:00:59,067 世界を形作る方法をも 学び始めるのだと感じるのです 17 00:00:59,067 --> 00:01:02,178 幾度か 私の芸術的能力の許す限り 18 00:01:02,178 --> 00:01:05,041 アメリカや世界の歴史の 19 00:01:05,041 --> 00:01:07,704 重要な出来事の数々を― 20 00:01:07,704 --> 00:01:13,394 それも過酷な出来事を 作品に表してみたいと 思ったことがあります 21 00:01:13,405 --> 00:01:16,086 しかし 難しい概念を 22 00:01:16,086 --> 00:01:20,196 それにまつわる物事から人々を分断せずに 語るには どうしたら良いだろう? 23 00:01:20,196 --> 00:01:25,792 例えば このアラバマから来た 古い 消火ホースの切れ端を芸術として用いて 24 00:01:25,792 --> 00:01:31,946 60年代の市民権運動の頃の 複雑さを語る事が出来ないだろうか? 25 00:01:31,946 --> 00:01:36,797 父と二人で共に作業をした 時のことを語れないだろうか? 26 00:01:36,797 --> 00:01:40,954 父は屋根職人として 小さな工務店を営んでいました 27 00:01:40,954 --> 00:01:46,470 80歳にして引退し 私はタールケットル (タールを溶解させる釜)を譲り受けました 28 00:01:47,850 --> 00:01:51,659 タールケットルはご想像の通り 大した財産ではありませんでした 29 00:01:51,659 --> 00:01:55,606 臭いがひどいし スタジオの中で場所を取るし 30 00:01:55,606 --> 00:01:59,901 でも 私は父に一緒にアートを作ろうと言いました 31 00:01:59,901 --> 00:02:03,732 こうした価値の無い素材の可能性を見直して 32 00:02:03,732 --> 00:02:06,217 何かとても特別なものと考えてみようと 33 00:02:06,217 --> 00:02:09,607 父の技術と材料を 芸術に昇華することで 34 00:02:09,607 --> 00:02:14,625 タールを陶芸用の粘土のように捉え直し 35 00:02:15,905 --> 00:02:20,017 それで様々な形を構想し 私たちの想像を促そうと考えました 36 00:02:21,607 --> 00:02:25,790 粘土の後 色々な素材に興味が湧き 37 00:02:25,790 --> 00:02:30,562 造形出来るのは素材では無く 創造力があるからなのだと考え 38 00:02:30,562 --> 00:02:32,849 私のスタジオはかなり広くなって行きました 39 00:02:32,849 --> 00:02:35,705 次第にいろいろなアイデアが湧き 40 00:02:35,705 --> 00:02:40,537 段々とスタジオの外で起こっていることに 興味を持ち始めました 41 00:02:41,897 --> 00:02:45,096 少し背景をご説明しましょう 私はシカゴに住んでいます 42 00:02:45,104 --> 00:02:48,359 私は今 サウスサイドに住んでいる ウエストサイダーです 43 00:02:48,359 --> 00:02:51,773 シカゴの人間では無い人々には 何の意味も持たないことでしょう 44 00:02:51,773 --> 00:02:54,025 でももし私がウエストサイダーだと 言わなかったら 45 00:02:54,025 --> 00:02:58,204 憤慨する人が地元に大勢いるでしょうね 46 00:02:58,204 --> 00:03:01,153 私はグランド・クロッシング という地区に住んでいます 47 00:03:01,153 --> 00:03:04,195 ここはかつて 栄えていたこともありますが 48 00:03:04,976 --> 00:03:09,071 品の良い高級住宅地からは程遠いエリアで 49 00:03:09,071 --> 00:03:12,205 多くの空き家が打ち捨てられており 50 00:03:12,205 --> 00:03:15,711 私が 陶芸などの創作活動や 美術のキャリアを築く事に 51 00:03:15,711 --> 00:03:17,662 忙しく明け暮れていた傍ら 52 00:03:17,662 --> 00:03:19,807 私のスタジオの外では 53 00:03:19,807 --> 00:03:21,600 あらゆることが起こっていました 54 00:03:22,460 --> 00:03:25,748 住宅価格の下落そして それに伴う都市環境の荒廃は 55 00:03:25,748 --> 00:03:27,580 皆さんご存知のとおりで 56 00:03:27,580 --> 00:03:31,057 特にその中でも 私の街が 頻繁に取り上げられるようですが 57 00:03:31,057 --> 00:03:33,991 思うに 多くのアメリカの街や近郊が 58 00:03:33,991 --> 00:03:36,011 手のつけようのないまでに 59 00:03:36,011 --> 00:03:40,237 廃屋が増えつつある状況に悩まされています 60 00:03:40,237 --> 00:03:43,093 だから こう考え始めました 61 00:03:43,093 --> 00:03:48,479 これらの建物を自分の芸術活動の 延長と考えられないだろうか? 62 00:03:48,479 --> 00:03:51,498 それで もし創造する側の人々と 共に考えを巡らせたら― 63 00:03:51,498 --> 00:03:55,166 建築家、エンジニア、不動産ブローカー 64 00:03:55,166 --> 00:03:58,046 こうした人々と共に 街を生まれ変わらせ再生する方法を 65 00:03:58,046 --> 00:04:01,715 より詳細に計画出来るかもしれないと 66 00:04:03,085 --> 00:04:04,733 それで建物を購入しました 67 00:04:04,733 --> 00:04:07,473 この家屋はとても安く買えました 68 00:04:07,473 --> 00:04:09,185 それからこの建物に手を加え 69 00:04:09,185 --> 00:04:15,120 この地区で何らかの活動が起こるように 私たちは この建物を出来る限り美しくしました 70 00:04:15,872 --> 00:04:18,310 200万円程で建物を買った後には 71 00:04:18,310 --> 00:04:20,329 財布が底を突いてしまい 72 00:04:20,329 --> 00:04:24,509 それで 私は建物の 掃除パフォーマンスを始めました 73 00:04:25,599 --> 00:04:28,341 これはパフォーマンス・アートとして行っていたので 人々は見物に来て― 74 00:04:28,341 --> 00:04:29,897 それから私は掃除をし始める訳です 75 00:04:29,897 --> 00:04:32,544 ホウキも床を掃くのも無料でしたからね 76 00:04:32,544 --> 00:04:34,703 これは成功でした 77 00:04:34,703 --> 00:04:36,938 (笑) 78 00:04:36,938 --> 00:04:42,389 そこから建物で展示をしたり 小規模の夕食会を開いたりしはじめ 79 00:04:42,389 --> 00:04:46,336 私の区画であるドーチェスターにある建物― 80 00:04:46,336 --> 00:04:49,052 その区画は 今では ドーチェスター・プロジェクトと呼ばれ 81 00:04:49,052 --> 00:04:54,755 その建物が 色々な活動の為の 集会場のようなものになったと気付きました 82 00:04:54,769 --> 00:04:59,222 私たちは この建物を 「アーカイブ・ハウス」と呼び 83 00:04:59,222 --> 00:05:02,403 アーカイブ・ハウスでは 様々な 素晴らしい催しが行われました 84 00:05:02,403 --> 00:05:05,747 市内外を問わず著名な方々が 85 00:05:05,747 --> 00:05:08,422 この地区まで足を運ぶ時 86 00:05:08,422 --> 00:05:10,790 こう思いました 87 00:05:10,790 --> 00:05:13,602 私自身が粘土を扱って来た歴史と 88 00:05:13,602 --> 00:05:16,172 この新しく生まれつつあるものとは 関係があるのではないかと 89 00:05:16,172 --> 00:05:18,514 私たちはゆっくりと 人々が持つ サウスサイドの 90 00:05:18,514 --> 00:05:22,370 イメージを一新し始めていたのではないかと 91 00:05:23,440 --> 00:05:25,622 それから 1つの家屋が2~3戸に増え 92 00:05:25,622 --> 00:05:28,084 私たちはその度にいつもこうつけ加えました 93 00:05:28,084 --> 00:05:32,008 大切なのは美しい容れ物を作ることだけではなく 94 00:05:32,008 --> 00:05:35,884 その場所で催される企画の内容も大事なんだと 95 00:05:35,884 --> 00:05:38,532 私たちは 再開発だけでなく 96 00:05:38,532 --> 00:05:40,854 催されるプログラムの事や 97 00:05:40,854 --> 00:05:44,360 そこで建物同士、隣人同士の間に 98 00:05:44,360 --> 00:05:48,809 どんな繋がりが生まれるだろうか ということを考えていました 99 00:05:50,159 --> 00:05:53,181 この建物は「リスニング・ハウス」 と呼ばれるようになり 100 00:05:53,181 --> 00:05:56,431 ジョンソン出版社からの廃棄書物や 101 00:05:56,431 --> 00:05:59,102 ジョンソン出版社からの廃棄書物や 102 00:05:59,102 --> 00:06:03,095 店を畳んだ書店からも 本が寄付されました 103 00:06:03,095 --> 00:06:07,368 私はこれらの建物が出来る限り 有意義な使われ方をするように 104 00:06:07,368 --> 00:06:10,688 力になろうというモノや人を とにかく 仕掛けたかったのです 105 00:06:11,678 --> 00:06:14,612 シカゴには 使われていない 建物が豊かに眠っています 106 00:06:14,612 --> 00:06:18,791 この建物は 界隈の麻薬密売所だったのですが 107 00:06:18,791 --> 00:06:21,345 空き家になった時 108 00:06:21,345 --> 00:06:25,246 その新たな用途を見い出し 再利用する素晴らしい機会が生まれたのです 109 00:06:25,246 --> 00:06:29,298 それでここはブラック・シネマ・ハウス と呼ばれる建物に生まれ変わりました 110 00:06:29,298 --> 00:06:33,419 ブラック・シネマ・ハウスは この地区で 111 00:06:33,419 --> 00:06:37,633 私の周りに住んでいるような人々にとって 重要で関連深い映画を上映する場所で 112 00:06:37,633 --> 00:06:41,348 例えばメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの映画を 鑑賞できるような場所なのです 113 00:06:41,348 --> 00:06:44,018 『カー・ウォッシュ』を上映したりも出来ます 114 00:06:44,018 --> 00:06:45,991 そうなるといいですね 115 00:06:45,991 --> 00:06:48,546 ここは直ぐに手狭になり 116 00:06:48,546 --> 00:06:51,053 もっと広い空間が必要になりました 117 00:06:51,053 --> 00:06:55,488 ブラック・シネマ・ハウスは 小さな粘土の塊から始まり 118 00:06:55,488 --> 00:07:02,779 より大きな粘土の塊へと育ち それは今や私のスタジオとなりました 119 00:07:02,779 --> 00:07:06,588 都市計画や土地利用規制が大好きな方々からは 120 00:07:07,363 --> 00:07:11,882 打ち捨てられた空き家で私がやっていたことが 121 00:07:11,882 --> 00:07:15,713 元々建物が建てられた時の目的と違っていて 122 00:07:15,713 --> 00:07:17,941 市の規制により 123 00:07:17,941 --> 00:07:21,260 「住宅は住居空間として利用しなさい」 と警告を受けることがありました 124 00:07:21,260 --> 00:07:26,067 でも それがもし誰もそこに住もうとも思わないような 地域の事だったら 一体どうしますか? 125 00:07:26,067 --> 00:07:30,011 引っ越せる財力があった人々は もう既に去って行った後の 126 00:07:30,011 --> 00:07:32,498 廃屋の数々をどうしたら良いと思います? 127 00:07:32,498 --> 00:07:35,703 それで 私は文化によって 建物たちを目覚めさせようと考えました 128 00:07:35,703 --> 00:07:38,706 このアイデアを人々はとても気に入り 129 00:07:38,706 --> 00:07:43,271 プロジェクトへの反応がとても高かったので より大きな建物が必要になりました 130 00:07:43,271 --> 00:07:45,316 より大きな建物が見つかった時 131 00:07:45,316 --> 00:07:49,569 この構想が可能になったのですが― 132 00:07:49,569 --> 00:07:53,901 私達が「アート・バンク」と呼ぶ この建物は当初ひどい有様でした 133 00:07:53,901 --> 00:07:57,187 2メートル弱も水が溜まっていて 134 00:07:57,187 --> 00:07:59,649 銀行はこの地域の活性化に興味を持たず 135 00:07:59,649 --> 00:08:02,079 資金も集めにくかったのです 136 00:08:02,079 --> 00:08:04,641 誰も興味を持っていなかったからです 137 00:08:04,641 --> 00:08:06,742 何も無い場所でしたから 138 00:08:06,742 --> 00:08:10,724 ゴミ溜めでした 何も無い どこでも無い そんな場所でした 139 00:08:10,724 --> 00:08:16,381 それで私達は想像し始めたんです― ではこの建物でどんなことが出来るだろう? 140 00:08:16,381 --> 00:08:21,846 (拍手) 141 00:08:21,846 --> 00:08:24,615 それで私の建物の噂は広まり 142 00:08:24,615 --> 00:08:26,595 大勢が訪れはじめ 143 00:08:26,595 --> 00:08:28,696 銀行だったそこは 144 00:08:28,696 --> 00:08:31,908 今や展覧会や資料館 音楽ホールとなるセンターになり 145 00:08:31,908 --> 00:08:34,686 人々はこの いわば私たちがおこした火に惹かれ 146 00:08:34,686 --> 00:08:38,224 興味を持ち この建物たちの近くに集まりだしました 147 00:08:38,224 --> 00:08:40,677 興味を持ち この建物たちの近くに集まりだしました 148 00:08:40,677 --> 00:08:44,926 その中の一つが ジョンソン出版社による 資料館になる予定です 149 00:08:44,926 --> 00:08:48,525 私達は近所に住んでいる人や かつて住んでいた方々から 150 00:08:48,525 --> 00:08:52,356 アメリカの歴史に関する 記念品を収集し始めました 151 00:08:52,356 --> 00:08:56,094 中には虐げられた 黒人の姿を描いたものもあり 152 00:08:56,094 --> 00:08:59,368 私たちの意識に強く訴える 内容の歴史を映し出しています 153 00:08:59,368 --> 00:09:01,829 このお陰で私たちの地区では 154 00:09:01,829 --> 00:09:06,099 人種や階級の複雑さを語る為の アイデンティティを 155 00:09:06,099 --> 00:09:08,354 若者たちが問い続けなくても良いので 156 00:09:08,354 --> 00:09:10,606 恵まれていると言えます 157 00:09:10,826 --> 00:09:15,303 ある意味 この「銀行」は 私たちが かなり本格的な文化活動の中心拠点を 158 00:09:15,303 --> 00:09:19,975 創りだそうとしていることから ハブを象徴しています 159 00:09:19,975 --> 00:09:22,842 もし私たちが複数のこのようなハブを作り 160 00:09:22,842 --> 00:09:25,791 周りの緑と繋げ 161 00:09:25,791 --> 00:09:28,740 買い取った建物を改装して 162 00:09:28,740 --> 00:09:32,014 ―現在60から70棟あります― 163 00:09:32,014 --> 00:09:37,447 そこにいわば小さなヴェルサイユ宮殿を作り 164 00:09:37,447 --> 00:09:40,930 美しい緑地帯で これらの建物を繋げたら― 165 00:09:40,930 --> 00:09:43,855 (拍手) 166 00:09:43,855 --> 00:09:47,315 人々が忌み避けていた場所が 167 00:09:47,315 --> 00:09:49,776 国中いや世界中の人々が訪れたいと願う 168 00:09:49,776 --> 00:09:52,357 重要な目的地となるでしょう 169 00:09:53,027 --> 00:09:56,812 ある意味 私たちは 170 00:09:56,812 --> 00:10:00,225 まるでろくろに向かう陶芸師そのもので 171 00:10:00,225 --> 00:10:02,488 それぞれに備わっている才能で 172 00:10:02,488 --> 00:10:07,028 次に作りたい器について考える そんな感じを受けます 173 00:10:07,028 --> 00:10:11,927 それは器から 一軒の家となり 次に隣近所から地区となり― 174 00:10:11,927 --> 00:10:14,621 文化地域となり 市全体となりましたが 175 00:10:14,621 --> 00:10:18,707 その全ての過程で 私は思っても みなかったことを学びました 176 00:10:18,707 --> 00:10:21,749 区画整理法についてこんなに 学んだことはありませんでした 177 00:10:21,749 --> 00:10:23,529 学ぶ日が来るなんて思ってもいませんでした 178 00:10:23,529 --> 00:10:26,486 結果として 私は自分の芸術活動だけでなく 179 00:10:26,486 --> 00:10:28,227 その他にも沢山の 180 00:10:28,227 --> 00:10:30,763 別の芸術的機会があることに気付きました 181 00:10:31,803 --> 00:10:33,382 次第にこんな質問が来るようになりました 182 00:10:33,382 --> 00:10:35,853 「シアスタ― どうやって 拡大展開しようというのかね?」 183 00:10:35,853 --> 00:10:37,988 「持続維持可能性計画は どうなってる?」とかね 184 00:10:37,988 --> 00:10:42,739 (笑)(拍手) 185 00:10:42,739 --> 00:10:46,616 オハイオ州のアクロンやミシガン州デトロイト 186 00:10:46,616 --> 00:10:50,355 インディアナ州ゲーリーのような場所が 必要としていたように― 187 00:10:50,355 --> 00:10:52,955 自分の能力を箱詰めにして 届けたりは出来なかったけれど 188 00:10:52,955 --> 00:10:56,653 そうした場所にはその場所の 可能性や魅力を信じている人々がいて 189 00:10:56,653 --> 00:10:59,579 そこを美しくして行きたいと 痛切に願っている人々がいて 190 00:10:59,579 --> 00:11:03,038 そうした場所に情熱を持つ人々は 191 00:11:03,038 --> 00:11:07,450 往々にして そうしたクールな事を 実現する為の資源や 192 00:11:07,450 --> 00:11:10,027 その実現を手助け出来る人々と 出会う機会から 193 00:11:10,027 --> 00:11:11,908 分断されている事に気付きました 194 00:11:11,908 --> 00:11:16,200 だから今 私たちは 国中へアドバイスをし始めています 195 00:11:16,200 --> 00:11:18,345 今ある資源で どう始めるか 196 00:11:18,345 --> 00:11:21,140 目の前の資源を使って 197 00:11:21,140 --> 00:11:23,517 無から価値のある物をどう作るのか 198 00:11:23,517 --> 00:11:28,045 世界をどう創り変えていくのかを そのステージがろくろであれ 住んでいる地域であれ 199 00:11:28,045 --> 00:11:30,530 そして 市という大きな規模であれ 200 00:11:30,530 --> 00:11:32,225 有難うございました 201 00:11:32,225 --> 00:11:38,131 (拍手) 202 00:11:39,695 --> 00:11:43,201 ジューン・コーエン:有難うございました 203 00:11:43,201 --> 00:11:46,406 最後の質問を自らに問いかける人が 大勢いるでしょうね 204 00:11:46,406 --> 00:11:48,588 どうすれば自分達の街でこれが出来るだろう?と 205 00:11:48,588 --> 00:11:50,209 あなたがどこにでも 駆けつける訳には行かないので 206 00:11:50,209 --> 00:11:53,882 あなたのようなプロジェクトで 自分の街を変えたいという 207 00:11:53,882 --> 00:11:56,772 インスピレーションを受けた方々への アドバイスをお願いします 208 00:11:56,772 --> 00:11:59,965 シアスター・ゲイツ: 重要だと気付いた事は 209 00:11:59,965 --> 00:12:04,052 ある古い家屋だとか 一つのプロジェクトに 210 00:12:04,052 --> 00:12:06,846 固執してしまうのではなく 211 00:12:06,846 --> 00:12:12,833 その古い家屋と地元の学校 小さな食糧雑貨店 212 00:12:12,875 --> 00:12:15,871 そうしたものの関係や 相乗効果に目を向け 213 00:12:15,871 --> 00:12:18,169 人々が出会い 語り合い始めることが出来るか? 214 00:12:18,169 --> 00:12:22,720 健全に発展しなかった地域にも 215 00:12:22,720 --> 00:12:24,903 それぞれ まだ可能性があります 216 00:12:24,903 --> 00:12:28,362 どうしたらその脈動や 情熱を持つ人々を見つけ 217 00:12:28,362 --> 00:12:31,907 どうやればその場所で20年も生活し 燻り奮闘し続けて来た人々に 218 00:12:31,907 --> 00:12:35,758 自分の住む地域について希望を持ち 活気付かせる事ができるかを考えるのです 219 00:12:35,758 --> 00:12:38,219 誰かがそれをやらなくちゃならない 220 00:12:38,219 --> 00:12:42,492 もし私が従来の土地開発業者だったら ビルのことだけ考えて 221 00:12:42,492 --> 00:12:46,439 「貸出中」の看板を窓に貼って それで終わりでしょう 222 00:12:46,439 --> 00:12:49,086 実はそれ以上のものを 創り出さなければならないんです 223 00:12:49,086 --> 00:12:51,784 より注意深く考えるべき問題があります 224 00:12:51,784 --> 00:12:54,840 例えばどんなビジネスが ここで育まれるべきだろうか? 225 00:12:54,840 --> 00:12:57,282 それからここに住む人々は 私と共に 226 00:12:57,282 --> 00:12:59,302 そのビジネスを育てたいだろうか? ということです 227 00:12:59,302 --> 00:13:02,135 何故なら 単に文化施設や 家屋があれば良いのではなく 228 00:13:02,135 --> 00:13:05,177 そこには経済活動を核とした 再生が起こるべきなのです 229 00:13:05,177 --> 00:13:08,845 だからそうしたことを 同時に考えてこそ しっくり来ますね 230 00:13:08,845 --> 00:13:11,651 コーエン:20年も停滞していた 環境にいた人々に再び活気を 231 00:13:11,651 --> 00:13:13,698 取り戻してもらうのは至難の業でしょうね 232 00:13:13,698 --> 00:13:16,815 これまで何か 特に有効だった 方法はありましたか? 233 00:13:16,815 --> 00:13:19,782 ゲイツ:ええ 今では多くの人々が 素晴らしい成果をあげている 234 00:13:19,782 --> 00:13:21,616 例があります 235 00:13:21,616 --> 00:13:26,051 そうした例が 時折採る手法は例えば 236 00:13:26,051 --> 00:13:29,023 メディアが常にその場所の暴力的な事件だけを 取り上げているような状況に対して 237 00:13:29,023 --> 00:13:32,320 自分の技術や文脈を用いて そうした地域のイメージを 238 00:13:32,320 --> 00:13:35,640 払拭するような事を企画する 239 00:13:35,640 --> 00:13:37,765 そうした方法があります 240 00:13:37,765 --> 00:13:40,668 だから もしあなたが演劇の方面の人だったら 241 00:13:40,668 --> 00:13:42,943 屋外でシアター・フェスティバルを 開催したり出来る 242 00:13:42,943 --> 00:13:46,867 時には 貧しい地域に目を引くような 243 00:13:46,867 --> 00:13:50,211 イベントが出来るほどの 資源が無いことがあります 244 00:13:50,211 --> 00:13:54,842 しかし 地元の人々と そこで行われる事に 賛同し援助する人々が 245 00:13:54,854 --> 00:14:00,388 力を合わせられるように 仕組めると 246 00:14:00,450 --> 00:14:02,586 本当に素晴らしい事を起こせると思います 247 00:14:02,586 --> 00:14:04,072 コーエン:本当に興味深いですね 248 00:14:04,072 --> 00:14:06,394 それではどうしたらあなたが 創り出しているプロジェクトが 249 00:14:06,394 --> 00:14:08,159 本当に 恵まれない人々の為に提供され― 250 00:14:08,159 --> 00:14:12,199 ベジタリアンでインディー映画好き そんな格好の良い流行好きなだけの層に移り住まれ 251 00:14:12,199 --> 00:14:14,318 いい所だけを持って行かれたり しないように出来るのでしょう? 252 00:14:14,318 --> 00:14:19,359 ゲイツ:その通り その点が実は複雑に入り組む この話の繁みの部分につながるんです 253 00:14:19,359 --> 00:14:21,996 コーエン:行っちゃいましょう ゲイツ:今グランド・クロッシングは 254 00:14:21,996 --> 00:14:24,993 99%が黒人で占められており― 少なくとも住んでおり 255 00:14:24,993 --> 00:14:28,313 そこの土地の所有者は 日々そこで生活している人達とは 256 00:14:28,313 --> 00:14:30,774 違うタイプでしょう 257 00:14:30,774 --> 00:14:33,630 だから グランド・クロッシングはもう既に 258 00:14:33,630 --> 00:14:37,485 今日のグランド・クロッシングとは違う場所に なりつつあると言えると思います 259 00:14:37,485 --> 00:14:43,080 しかし(低所得者層の為の公益の) 住宅・土地信託基金や 260 00:14:43,080 --> 00:14:45,518 公共の利益追求型の開発事業が 活動が起こる為の 261 00:14:45,518 --> 00:14:48,281 土地を保護し始めるような事を 考えることは可能でしょうか― 262 00:14:48,281 --> 00:14:52,600 何しろ 街に7,500もの空き地があれば そこで何か文化活動が 263 00:14:52,600 --> 00:14:54,551 起こって欲しいと思うものですから― 264 00:14:54,551 --> 00:14:59,055 しかしそれには単に利益追求の為に 開発する業者では無く 265 00:14:59,055 --> 00:15:02,143 人々がそこに根付き土地が健全な発展を続ける事を 目的とする開発業者が必要で 266 00:15:02,143 --> 00:15:05,649 そのうえ 往々にして土地の再開発という 側面は非常に勢いづいているが 267 00:15:05,649 --> 00:15:09,016 その ご近所の住民の為の工夫や 取り組みというものは 268 00:15:09,016 --> 00:15:10,990 忘れ去られていると感じます 269 00:15:10,990 --> 00:15:15,796 ですから 再開発後 そこに長年住んで来た住民達にも 270 00:15:15,796 --> 00:15:18,518 新たに流入して来た居住者たち同様に 271 00:15:18,518 --> 00:15:19,954 新たに創出された価値や資源が 272 00:15:19,954 --> 00:15:23,346 行き渡るように 重要な番人が計らうような仕組みを 育てられるかが大切です 273 00:15:23,346 --> 00:15:25,955 コーエン:成程 良く分かりました もう一つ聞かせて下さい 274 00:15:25,955 --> 00:15:30,002 あなたは美や芸術の重要性について 説得力のある主張をしています 275 00:15:30,002 --> 00:15:33,280 資金を恵まれない方々への サービスに使う方が良いと 276 00:15:33,280 --> 00:15:36,484 考える人々もいるでしょう 277 00:15:36,484 --> 00:15:40,194 そうした考えにはどう反論しますか? 278 00:15:40,194 --> 00:15:42,694 ゲイツ:美は私達に不可欠な サービスだと信じています 279 00:15:42,694 --> 00:15:48,713 (拍手) 280 00:15:50,333 --> 00:15:54,168 私がしばしば気付いたのは― 281 00:15:54,168 --> 00:15:59,698 そもそも資源に手が届かない貧しい街や地域 コミュニティなどには 282 00:15:59,698 --> 00:16:04,397 時として 文化が起爆剤となります 283 00:16:04,397 --> 00:16:07,037 そしてもちろん私には 全てを手助けすることはできません 284 00:16:07,037 --> 00:16:10,444 でも もし文化を創りだすことから始め― 285 00:16:10,444 --> 00:16:13,416 そこに住まう人々が その場所に力を注ぐようになり 286 00:16:13,416 --> 00:16:17,689 その周りの施設も徐々に発展し始めると 287 00:16:17,689 --> 00:16:21,642 更に文化への憧憬が生まれ 詩的な要求が生じます 288 00:16:21,642 --> 00:16:26,883 すると街を目覚めさせる為の 政治・経済的要求もまた 289 00:16:26,883 --> 00:16:28,646 詩的な要求へと変化して行くのです 290 00:16:28,646 --> 00:16:30,558 コーエン:しっかりと心に響きました 291 00:16:30,558 --> 00:16:33,225 シアスター 今日はご登壇いただき 本当に有難うございました 292 00:16:33,225 --> 00:16:34,476 シアスター・ゲイツでした 293 00:16:34,476 --> 00:16:39,491 (拍手)