1 00:00:08,747 --> 00:00:13,929 「放屁」つまり おならは ごく日常の出来事です 2 00:00:13,949 --> 00:00:17,092 あなたも含め 大体の人が 3 00:00:17,102 --> 00:00:21,402 1日に500~1,500ミリリットルの ガスを体内で生み出し 4 00:00:21,422 --> 00:00:24,986 毎日10~20回はおならをします 5 00:00:24,996 --> 00:00:27,852 でも このガスは どこから来るのでしょう? 6 00:00:27,872 --> 00:00:33,562 このうち少量は睡眠中などに 飲み込んだ空気ですが 7 00:00:33,592 --> 00:00:38,008 ほとんどは 体が消化しきれなかった食べ物を 8 00:00:38,028 --> 00:00:41,108 腸内細菌が分解する際に発生します 9 00:00:41,438 --> 00:00:44,517 腸内には何兆もの細菌が住んでおり 10 00:00:44,527 --> 00:00:47,284 ヒトとは共生関係にあります 11 00:00:47,294 --> 00:00:50,745 住みやすい環境と食料のお返しとして 腸内細菌は 12 00:00:50,765 --> 00:00:54,336 ヒトが食べ物から エネルギーを得るのを助けたり 13 00:00:54,356 --> 00:00:59,010 ビタミンBやKなどを作ったり 免疫システムを強化したり 14 00:00:59,030 --> 00:01:03,102 胃腸壁の機能や腸の運動など 15 00:01:03,112 --> 00:01:07,286 様々な内臓機能において 重要な役割を果たしています 16 00:01:07,306 --> 00:01:11,146 ですから 体のためには 腸内細菌と 上手く付き合いたいものです 17 00:01:11,166 --> 00:01:15,333 腸内細菌の主なエネルギー源は 消化されなかった食物 18 00:01:15,493 --> 00:01:20,081 例えば大腸まで届いた 炭水化物やタンパク質などです 19 00:01:20,091 --> 00:01:24,077 腸内細菌はこれらを発酵させ 様々な化合物を生み出します 20 00:01:24,077 --> 00:01:28,786 例えば短鎖脂肪酸 そして もちろんガスもです 21 00:01:28,806 --> 00:01:32,657 腸内細菌による発酵で 最もよく生成されるガスには 22 00:01:32,667 --> 00:01:35,726 水素や二酸化炭素があり これらに 臭いはありません 23 00:01:35,746 --> 00:01:40,766 中には 腸内に特定の微生物がいるために メタンガスが発生する人もいます 24 00:01:40,776 --> 00:01:43,821 でも メタンガスも 実は無臭なのです 25 00:01:43,841 --> 00:01:45,689 では 悪臭の元は何でしょうか? 26 00:01:45,689 --> 00:01:50,000 大抵の場合は 揮発性の硫黄化合物によるもので 27 00:01:50,010 --> 00:01:54,829 硫化水素やメタンチオール メチルメルカプタンなどです 28 00:01:54,829 --> 00:01:58,798 しかし こうしたガスは 全体の1%にも満たないもので 29 00:01:58,798 --> 00:02:02,960 硫黄を含むアミノ酸を 消化したためだと考えられています 30 00:02:02,960 --> 00:02:07,963 高タンパクの食事によって おならが臭くなるのはこのためです 31 00:02:07,963 --> 00:02:11,623 消化しにくい炭水化物が 多く含まれる食事の後では 32 00:02:11,623 --> 00:02:14,601 おならの排出量が多くなることが よくあります 33 00:02:14,601 --> 00:02:21,436 例えば 豆、レンズ豆、乳製品、玉ねぎ にんにく、西洋ねぎ、ラディッシュ 34 00:02:21,436 --> 00:02:29,287 じゃがいも、オーツ麦、小麦、カリフラワー ブロッコリー、キャベツ、芽キャベツなどです 35 00:02:29,287 --> 00:02:30,657 人体にはない酵素の代わりに 36 00:02:30,657 --> 00:02:35,509 複合炭水化物を発酵できる 腸内細菌が働き 37 00:02:35,509 --> 00:02:38,530 より多くのガスが生成されるのです 38 00:02:38,530 --> 00:02:42,061 しかし 腹部に不快感を感じたり 明らかにお腹が張っているなら 39 00:02:42,061 --> 00:02:46,868 それはガスが消化管内を上手く 移動できていないためかもしれません 40 00:02:46,868 --> 00:02:49,394 ガスや膨満感を 特定の食べ物のせいにして 41 00:02:49,394 --> 00:02:51,894 食べるのを避けるのは よくありません 42 00:02:51,894 --> 00:02:55,685 複合炭水化物を分解する 腸内細菌に食べ物をやらなければ 43 00:02:55,685 --> 00:03:00,047 腸内細菌は腸粘膜に含まれる 糖分を食べ始めてしまいます 44 00:03:00,047 --> 00:03:03,544 ヒトが生成するガスは その人が食べる物と 45 00:03:03,544 --> 00:03:05,734 腸内に住む細菌によって様々です 46 00:03:05,734 --> 00:03:08,013 例えば 同じ糖分を餌にしていても 47 00:03:08,013 --> 00:03:12,836 クロストリジウム属の菌が二酸化炭素 酪酸塩、水素を生むのに対して 48 00:03:12,836 --> 00:03:18,804 プロピオニバクテリウム属の菌は二酸化炭素 プロピオン酸、酢酸塩を生みます 49 00:03:18,804 --> 00:03:22,695 同時に メタン菌は 他の細菌が生成した— 50 00:03:22,695 --> 00:03:26,245 水素と二酸化炭素を使って メタンを生み出しますが 51 00:03:26,245 --> 00:03:31,213 水素と二酸化炭素を使い切ることで ガスの全体量が減ることもあります 52 00:03:31,213 --> 00:03:34,271 このように 腸内細菌には 複雑な相関関係があります 53 00:03:34,271 --> 00:03:38,438 未消化の食物を直接摂取したり 他の細菌が生み出したものを 54 00:03:38,438 --> 00:03:41,741 餌にすることで 細菌は生き延びるのです 55 00:03:41,751 --> 00:03:46,160 発生するガスの量と種類は この相互作用よって決定され 56 00:03:46,160 --> 00:03:50,309 つまり ガスが出るのは 腸内細菌が活動している証拠なのです 57 00:03:50,759 --> 00:03:55,490 しかし 中にはガスの 異常な増加が起きることもあります 58 00:03:55,500 --> 00:03:58,554 よくある例が 乳糖不耐症です 59 00:03:58,564 --> 00:04:01,991 ほとんどの人は乳糖を 分解するための酵素を持っています 60 00:04:02,001 --> 00:04:05,760 乳糖とは牛乳や 乳製品に含まれる糖のことです 61 00:04:05,760 --> 00:04:09,883 しかし 酵素を全く持っていない人や 胃腸の病気を患った後で 62 00:04:09,893 --> 00:04:12,801 十分に持っていない人の場合 63 00:04:12,811 --> 00:04:16,954 乳糖を含む製品を 消化できず 腹痛が起こったり 64 00:04:16,964 --> 00:04:21,124 細菌による発酵のせいで ガスの量が増えることもあります 65 00:04:21,144 --> 00:04:23,648 でも 忘れないでください ほとんどの場合 66 00:04:23,658 --> 00:04:27,012 ガスは 腸内細菌による発酵活動の 自然な結果であり 67 00:04:27,032 --> 00:04:30,081 腸が健康に機能していることを 示すものなのです 68 00:04:30,081 --> 00:04:34,663 量と種類は その人の食事内容と 腸内細菌によって様々です 69 00:04:34,673 --> 00:04:39,611 おならが出てしまう時はエチケットを忘れずに そして 腸内細菌を許してあげましょう 70 00:04:39,611 --> 00:04:41,774 私たちを助けてくれているだけなのですから