1 00:00:08,857 --> 00:00:10,825 今 進行中の環境上のミステリーがあります 2 00:00:10,825 --> 00:00:13,285 それは些細に見えることで始まり 3 00:00:13,285 --> 00:00:18,146 世界規模の災害に発展するものです 4 00:00:18,146 --> 00:00:20,761 ある日 あなたは 朝食のトーストに塗るハチミツが 5 00:00:20,761 --> 00:00:22,177 高価になっていることに気がつきます 6 00:00:22,177 --> 00:00:24,063 あなたはジャムに替える代わりに 7 00:00:24,063 --> 00:00:26,823 値段が上がった理由を調べてみます 8 00:00:26,823 --> 00:00:28,555 その結果は驚くべきものでした 9 00:00:28,555 --> 00:00:30,951 米国で飼育されているミツバチの数が 10 00:00:30,951 --> 00:00:34,799 驚異的な割合で減少していたのです 11 00:00:34,799 --> 00:00:36,666 その減少の程度は 12 00:00:36,666 --> 00:00:39,824 病気、寄生虫、飢餓による通常の死亡では 13 00:00:39,824 --> 00:00:42,961 説明不能なほどに見えました 14 00:00:42,961 --> 00:00:46,347 典型的な事件の現場では 女王バチや少数の生き残りを除いて 15 00:00:46,347 --> 00:00:50,085 ほとんどの成虫が巣からいなくなっています 16 00:00:50,085 --> 00:00:54,013 手付かずの食物庫、孵化前の幼虫達は 17 00:00:54,013 --> 00:00:58,759 成虫達が幼虫が孵るのを待たずに 逃げ出したことを暗示しています 18 00:00:58,759 --> 00:01:00,685 しかし何より不気味なのは 19 00:01:00,685 --> 00:01:04,569 事実を伝える 八チの死がいや死にかけた ハチの姿を近くに見かけないことです 20 00:01:04,569 --> 00:01:07,202 巣に帰る道を忘れてしまったのか 21 00:01:07,202 --> 00:01:10,534 それとも ただ消えてしまったのか 22 00:01:10,534 --> 00:01:13,075 この謎めいた失踪は 新しいことではありません 23 00:01:13,075 --> 00:01:15,786 人類は何百年もハチミツを集めてきました 24 00:01:15,786 --> 00:01:18,853 しかし 1600年代に欧州の移住者が 25 00:01:18,853 --> 00:01:21,440 亜種である西洋ミツバチを持ち込んで初めて 26 00:01:21,440 --> 00:01:23,809 ハチの飼育が始まりました 27 00:01:23,809 --> 00:01:25,160 19世紀以降 28 00:01:25,161 --> 00:01:28,335 養蜂家達は時折 29 00:01:28,335 --> 00:01:29,985 消滅病 、春の減少病 または秋の破滅といった 30 00:01:29,985 --> 00:01:33,493 不可解な名前を与えて 31 00:01:33,493 --> 00:01:35,515 大量消滅を報告して来ました 32 00:01:35,515 --> 00:01:38,149 しかし 2006年に このような消滅が 33 00:01:38,149 --> 00:01:40,443 全米の半数以上の巣に 影響しているのが見つかると 34 00:01:40,443 --> 00:01:42,524 この現象は新しい名前を与えられました 35 00:01:42,524 --> 00:01:45,441 “蜂群崩壊症候群” (CCD)です 36 00:01:45,441 --> 00:01:47,489 この謎の最も恐ろしいことは 37 00:01:47,489 --> 00:01:50,994 紅茶に再び普通の砂糖を 使わなければいけないことではありません 38 00:01:50,994 --> 00:01:52,857 我々はハチミツのためにもハチを飼いますが 39 00:01:52,857 --> 00:01:56,118 ミツバチは穀物の受粉を 産業規模で行なっており 40 00:01:56,119 --> 00:02:00,962 全米の3分の1の穀物は このように生産されています 41 00:02:00,962 --> 00:02:03,940 では この災厄の犯人は どうやって見つけられるのでしょう? 42 00:02:03,940 --> 00:02:06,690 ここに 3人の容疑者が居ます 43 00:02:06,690 --> 00:02:10,782 容疑者A: 害虫や病気 44 00:02:10,782 --> 00:02:12,710 最も悪名高いのはバロアダニ 45 00:02:12,710 --> 00:02:16,663 極小の赤い害虫で 巣に侵入し 蜂を餌とするだけでなく 46 00:02:16,663 --> 00:02:19,877 蜂の発育を阻害する病原体を媒介し 47 00:02:19,877 --> 00:02:21,917 寿命を縮めてしまします 48 00:02:21,917 --> 00:02:24,672 容疑者B: 遺伝子 49 00:02:24,672 --> 00:02:26,924 女王蜂は健康な巣の中心です 50 00:02:26,924 --> 00:02:29,794 しかし最近では たった数匹の女王バチから生まれた 51 00:02:29,794 --> 00:02:33,795 数百万もの女王バチが 商業用巣箱に配布されており 52 00:02:33,795 --> 00:02:36,378 遺伝子の多様性が乏しくなり 53 00:02:36,378 --> 00:02:40,545 病原体や害虫に対するハチの 防御力の低下を懸念させます 54 00:02:40,545 --> 00:02:43,398 容疑者C: 化学薬品 55 00:02:43,398 --> 00:02:45,937 商業用の巣箱と農作物の両方で 56 00:02:45,937 --> 00:02:48,326 寄生虫駆除のために使われる殺虫剤が 57 00:02:48,326 --> 00:02:51,796 ミツバチが消費する食べ物や水に 混入しているのかもしれません 58 00:02:51,796 --> 00:02:54,129 研究者達はいくつかの殺虫剤が 59 00:02:54,129 --> 00:02:58,295 ミツバチの帰巣性を損ねることも 確認しています 60 00:02:58,295 --> 00:03:00,209 さて 我々はいくつものヒントを得ましたが 61 00:03:00,209 --> 00:03:01,751 決定的な手がかりはありません 62 00:03:01,751 --> 00:03:04,836 事実 科学者達は この事件の捜査を続けていますが 63 00:03:04,836 --> 00:03:08,710 いまだに蜂群崩壊症候群の原因について 意見の一致を見ていません 64 00:03:08,710 --> 00:03:13,213 今の所 いくつかの要因が考えられています 65 00:03:13,213 --> 00:03:16,140 ミツバチは絶滅の危機に あるわけではありませんが 66 00:03:16,140 --> 00:03:20,102 ハチの数の減少は受粉の減少と 食料生産コストの上昇を意味します 67 00:03:20,102 --> 00:03:24,355 だから科学者達がミツバチ失踪事件を 解決することはとても重要なのです 68 00:03:24,355 --> 00:03:26,898 ハチミツが減るのは残念で済むかもしれませんが 69 00:03:26,898 --> 00:03:30,319 穀物不足は刺すような傷みを伴うからです