1 00:00:00,755 --> 00:00:03,046 退役軍人の話をしに来ることができて 興奮しています 2 00:00:03,046 --> 00:00:04,652 私が入隊したのは 3 00:00:04,652 --> 00:00:06,800 戦争に行きたかったからではありません 4 00:00:06,800 --> 00:00:09,518 海を越えて戦いに行く 5 00:00:09,518 --> 00:00:13,175 渇望や必要があった訳でもありません 6 00:00:13,175 --> 00:00:15,515 入隊した理由は 率直に言うと 7 00:00:15,515 --> 00:00:17,242 大学が滅茶苦茶に高くて 8 00:00:17,242 --> 00:00:18,951 それを軍が支援してくれたからでした 9 00:00:18,951 --> 00:00:21,291 また 私が入隊したのは 10 00:00:21,291 --> 00:00:23,447 それが自分の知っていることだったから 11 00:00:23,447 --> 00:00:26,309 うまくやれると思っていたことだからでした 12 00:00:26,309 --> 00:00:28,707 軍人の家の出身ではありませんし 13 00:00:28,707 --> 00:00:29,950 軍人の子供でもありません 14 00:00:29,950 --> 00:00:32,729 私の家族は誰も入隊したことはありません 15 00:00:32,729 --> 00:00:35,015 初めて軍を知ったのは 16 00:00:35,015 --> 00:00:37,110 13歳の時 17 00:00:37,110 --> 00:00:39,789 士官学校へ入れられた時でした 18 00:00:39,789 --> 00:00:41,458 母は私が8歳の頃から 19 00:00:41,458 --> 00:00:44,564 士官学校へ入れるぞと私を脅していたのです 20 00:00:44,564 --> 00:00:47,631 私は問題児で 21 00:00:47,631 --> 00:00:49,659 母はいつもこう言っていました 22 00:00:49,659 --> 00:00:51,105 「しっかりしないと 23 00:00:51,105 --> 00:00:52,371 アンタを士官学校へ入れるからね」 24 00:00:52,371 --> 00:00:53,931 私はこう返すのでした 25 00:00:53,931 --> 00:00:55,863 「お母さん もっとがんばるよ」 26 00:00:55,863 --> 00:00:57,347 そして私が9歳の時から 27 00:00:57,347 --> 00:00:59,575 母はパンフレットを見せ始めました 冗談ではないことを見せようとしたんですね 28 00:00:59,575 --> 00:01:00,870 パンフレットを見て私は言います 29 00:01:00,870 --> 00:01:03,197 「分かったお母さん 本気なのは分かったから これからもっとしっかりやるよ」 30 00:01:03,197 --> 00:01:05,349 10 歳 11 歳になり 31 00:01:05,349 --> 00:01:08,503 私の素行は悪くなり続けました 32 00:01:08,503 --> 00:01:10,870 10 歳前には成績も仮及第で 33 00:01:10,870 --> 00:01:14,601 素行面でも警告を受け 34 00:01:14,601 --> 00:01:17,543 初めて手錠をかけられたのは 35 00:01:17,543 --> 00:01:19,491 11 歳のときでした 36 00:01:19,491 --> 00:01:21,107 そして私が 13 歳の時 37 00:01:21,107 --> 00:01:23,121 母がこう言いました 38 00:01:23,121 --> 00:01:24,857 「これ以上耐えられない 39 00:01:24,857 --> 00:01:26,403 士官学校へ入れるからね」 40 00:01:26,403 --> 00:01:28,241 私は母を見てこう返しました 41 00:01:28,241 --> 00:01:31,381 「お母さん 怒っているのはわかるよ これから頑張るからさ」 42 00:01:31,381 --> 00:01:33,476 「いいえ もう来週から入るのよ」と言われました 43 00:01:33,476 --> 00:01:35,881 こうした経緯で私は 44 00:01:35,881 --> 00:01:38,471 軍というものに出会いました 45 00:01:38,471 --> 00:01:41,367 母は良いアイデアだと思っていたのです 46 00:01:41,367 --> 00:01:43,179 それには心底反対しなければなりません 47 00:01:43,179 --> 00:01:44,479 なぜなら私がそこへ行き始めて 48 00:01:44,479 --> 00:01:46,279 実際最初の 4 日で既に 49 00:01:46,279 --> 00:01:48,447 学校から 5 回逃げていたからです 50 00:01:48,447 --> 00:01:50,333 学校の周りに 5 つ 大きな黒いゲートがあり 51 00:01:50,333 --> 00:01:52,423 教官が目を離す度に 52 00:01:52,423 --> 00:01:54,879 私はとにかくそのゲートから出ていくのです 53 00:01:54,879 --> 00:01:56,741 ここにいたくなければ いつでも去って良いという 54 00:01:56,741 --> 00:01:58,171 教官が勧める通りにです 55 00:01:58,171 --> 00:01:59,864 ですので 私は言います 56 00:01:59,864 --> 00:02:03,112 「そういうことならぜひとも帰りたいです」 57 00:02:03,112 --> 00:02:05,223 一度も成功しませんでした 58 00:02:05,223 --> 00:02:07,397 私は逃げようとし続けました 59 00:02:07,397 --> 00:02:08,579 ただ最終的には 60 00:02:08,579 --> 00:02:11,109 しばらくそこで過ごした後 61 00:02:11,109 --> 00:02:12,511 その士官学校で 62 00:02:12,511 --> 00:02:14,359 最初の一年が過ぎる頃には 63 00:02:14,359 --> 00:02:19,015 自分が成長していることに気付きました 64 00:02:19,015 --> 00:02:22,539 この学校で学んだこと 65 00:02:22,539 --> 00:02:24,887 身に付けた規律や上下関係は 66 00:02:24,887 --> 00:02:27,634 それまで私が知らなかったものでした 67 00:02:27,634 --> 00:02:30,503 それは私が何か大きなものの一部 68 00:02:30,503 --> 00:02:32,953 チームの一員であること 69 00:02:32,953 --> 00:02:34,665 皆にとって自分の存在が意味あるのだと感じ 70 00:02:34,665 --> 00:02:37,855 リーダーシップがただの言葉だけのものでなく 71 00:02:37,855 --> 00:02:41,131 実際 本当に全体の経験において 72 00:02:41,131 --> 00:02:43,280 核を成すものだと知りました 73 00:02:43,280 --> 00:02:45,404 そしてついに高校を 74 00:02:45,404 --> 00:02:47,448 卒業する頃になると 75 00:02:47,448 --> 00:02:50,116 自分が何をしたいか考え始めました 76 00:02:50,116 --> 00:02:51,920 おそらく他の大勢の学生同様 77 00:02:51,920 --> 00:02:55,314 それがどういうことなのか 何をしたいのか分かりませんでした 78 00:02:55,314 --> 00:02:57,009 私は自分が尊敬し憧れる 79 00:02:57,009 --> 00:02:59,298 人たちのことを考えました 80 00:02:59,298 --> 00:03:00,984 たくさん考えました 81 00:03:00,984 --> 00:03:03,803 特にそれまでの人生で出会った 82 00:03:03,803 --> 00:03:05,732 私が憧れた人たちのことを考えました 83 00:03:05,732 --> 00:03:07,607 彼らは皆 84 00:03:07,607 --> 00:03:09,546 アメリカ合衆国の制服を着てました 85 00:03:09,546 --> 00:03:11,791 だから私にとっては 先程の問いも答えも 86 00:03:11,791 --> 00:03:13,858 本当に簡単になりました 87 00:03:13,858 --> 00:03:15,606 何をしたいかという問いには 88 00:03:15,606 --> 00:03:17,244 すぐにこう答えが出ました 89 00:03:17,244 --> 00:03:20,443 私は軍の士官になろうかな と 90 00:03:20,443 --> 00:03:22,267 軍は手順通り 91 00:03:22,267 --> 00:03:23,468 私を訓練しました 92 00:03:23,468 --> 00:03:24,870 私が入隊したのは 93 00:03:24,870 --> 00:03:26,500 戦争に行きたかったからではないと言いましたが 94 00:03:26,500 --> 00:03:28,583 実は私が入隊した 1996 年には 95 00:03:28,583 --> 00:03:31,353 特別何も起こっていない頃で 96 00:03:31,353 --> 00:03:33,419 危険だと感じたことはありませんでした 97 00:03:33,419 --> 00:03:34,542 母の元へ行って― 98 00:03:34,542 --> 00:03:36,155 最初入隊した時 私は 17 歳だったので 99 00:03:36,155 --> 00:03:37,864 入隊するには親の許可が 100 00:03:37,864 --> 00:03:38,947 必要だったのです― 101 00:03:38,947 --> 00:03:40,427 必要書類を母に渡しました 102 00:03:40,427 --> 00:03:42,420 母は軍を士官学校と 同じようなものだと捉えていました 103 00:03:42,420 --> 00:03:43,724 「これまでこの子にとって良かったのだし 104 00:03:43,724 --> 00:03:46,107 このまま続けさせましょう」という感じです 105 00:03:46,107 --> 00:03:48,908 母は自分がサインしている書類が 106 00:03:48,908 --> 00:03:50,940 自分の息子を士官として登録するものとは 107 00:03:50,940 --> 00:03:54,138 想像だにしていません 108 00:03:54,138 --> 00:03:55,912 私は入隊手続きを進めます 109 00:03:55,912 --> 00:03:57,706 その段になっても 私が考えていたのは 110 00:03:57,706 --> 00:04:01,529 やったぜ たまに週末とか 111 00:04:01,529 --> 00:04:06,643 2 週間集中訓練があるくらいだろう といった感じです 112 00:04:06,643 --> 00:04:09,359 そして入隊から 3〜4 年 113 00:04:09,359 --> 00:04:11,945 母があの書類にサインしてから 3 〜4年後 114 00:04:11,945 --> 00:04:15,671 世界の全てが変わりました 115 00:04:15,671 --> 00:04:18,875 9.11 後 私が選択した道は 116 00:04:18,875 --> 00:04:22,865 全く別のものに変わっていました 117 00:04:22,865 --> 00:04:27,430 入隊したのは戦うためではありませんでしたが 118 00:04:27,430 --> 00:04:29,100 軍の一員となっていたので 119 00:04:29,100 --> 00:04:32,887 戦うことこそ まさに私の任務でした 120 00:04:32,887 --> 00:04:36,234 私は自分が率いることになる 121 00:04:36,234 --> 00:04:38,091 部下たちのことをたくさん考えました 122 00:04:38,091 --> 00:04:40,601 9.11 のすぐ後 3 週間後のことになりますが 123 00:04:40,601 --> 00:04:43,224 私は海外へ向かう飛行機に乗っていました 124 00:04:43,224 --> 00:04:45,210 ただし軍と一緒ではありません 125 00:04:45,210 --> 00:04:47,245 海外の学校へ行く奨学金を 126 00:04:47,245 --> 00:04:48,566 得たからでした 127 00:04:48,566 --> 00:04:50,416 私は奨学金で海外へ行き 128 00:04:50,416 --> 00:04:52,716 そこで勉強し 生活することになります 129 00:04:52,716 --> 00:04:54,788 行き先はイギリスで とても良い経験でした 130 00:04:54,788 --> 00:04:56,254 ただ同時に 私と一緒に訓練を 131 00:04:56,254 --> 00:04:58,998 受けてきた者たちは 132 00:04:58,998 --> 00:05:01,411 ずっと一緒に訓練をこなしてきて 133 00:05:01,411 --> 00:05:03,600 戦争に備えてきた仲間たちは 134 00:05:03,600 --> 00:05:07,086 実際に戦争へ赴くところでした 135 00:05:07,086 --> 00:05:08,967 その時彼らは 136 00:05:08,967 --> 00:05:11,151 ほとんど誰も知らず 137 00:05:11,151 --> 00:05:12,719 訓練を受けてきた我々自身も 138 00:05:12,719 --> 00:05:15,445 地図で場所すら示せないような所へ 139 00:05:15,445 --> 00:05:18,924 身を投じようとしていました 140 00:05:18,924 --> 00:05:20,890 私は大学院の修士課程で 2 年を過ごし 141 00:05:20,890 --> 00:05:22,950 アメリカ合衆国ができる数百年も 142 00:05:22,950 --> 00:05:24,536 前に建てられた 143 00:05:24,536 --> 00:05:26,910 オックスフォードの建物で 144 00:05:26,910 --> 00:05:28,758 机に向かって 145 00:05:28,758 --> 00:05:31,930 教師と フェルディナンド大公の暗殺や 146 00:05:31,930 --> 00:05:35,894 その第一世界大戦開戦への 147 00:05:35,894 --> 00:05:40,216 影響を話し合っていた間も 148 00:05:40,216 --> 00:05:42,460 私の心と頭はずっと 149 00:05:42,460 --> 00:05:45,344 部下たちのこと考えていました 150 00:05:45,344 --> 00:05:47,314 彼らはケブラーを身に着け 151 00:05:47,314 --> 00:05:48,750 防弾チョッキを手にとって 152 00:05:48,750 --> 00:05:51,298 真っ暗闇でどう着替えるか 153 00:05:51,298 --> 00:05:53,590 どうマシンガンを整備するか 154 00:05:53,590 --> 00:05:56,638 把握しようとしているところです 155 00:05:56,638 --> 00:05:59,571 それが新たな現実でした 156 00:05:59,571 --> 00:06:01,944 大学院を終えて復隊し 157 00:06:01,944 --> 00:06:04,634 アフガニスタンへ出動しようとする頃には 158 00:06:04,634 --> 00:06:06,222 初戦闘もまだの私に対して 159 00:06:06,222 --> 00:06:08,320 部下の中には二度目 三度目の出動という 160 00:06:08,320 --> 00:06:09,740 隊員がいました 161 00:06:09,740 --> 00:06:11,728 初めて部隊で出動した時のことを 162 00:06:11,728 --> 00:06:13,092 覚えています 163 00:06:13,092 --> 00:06:14,748 軍で戦闘任務に出る時には 164 00:06:14,748 --> 00:06:16,082 皆 互いの肩を確認します 165 00:06:16,082 --> 00:06:19,860 そこに記章が付いているからです 166 00:06:19,860 --> 00:06:21,136 ですので 他の隊員と出会うとき 167 00:06:21,136 --> 00:06:22,552 まず握手を交わし 168 00:06:22,552 --> 00:06:24,411 それから相手の肩を見ます 169 00:06:24,411 --> 00:06:26,024 相手がどこの あるいはどの部隊に 170 00:06:26,024 --> 00:06:27,330 参加したのか知りたいからです 171 00:06:27,330 --> 00:06:29,024 その時の隊員で肩章無しは 172 00:06:29,024 --> 00:06:31,314 私だけでした 173 00:06:31,314 --> 00:06:35,404 視線を感じる度 肩が灼けるようでした 174 00:06:35,404 --> 00:06:38,412 ただ 部下と話す機会なので 175 00:06:38,412 --> 00:06:42,190 なぜ入隊したのか尋ねます 176 00:06:42,190 --> 00:06:46,279 私の場合は大学が高かったからです 177 00:06:46,279 --> 00:06:50,700 多くの部下たちは全く別の理由を持っています 178 00:06:50,700 --> 00:06:52,632 義務感で入隊した者 179 00:06:52,632 --> 00:06:54,441 怒りを抱えており 180 00:06:54,441 --> 00:06:56,258 何かしたいと入隊した者 181 00:06:56,258 --> 00:06:57,570 家族から重要なことだからと 182 00:06:57,570 --> 00:06:59,416 言われて入隊した者 183 00:06:59,416 --> 00:07:01,948 何らかの形で復讐を望んで入隊した者 184 00:07:01,948 --> 00:07:06,276 皆が皆 様々な 異なる理由を抱えていました 185 00:07:06,276 --> 00:07:09,044 そうした者たちが皆 186 00:07:09,044 --> 00:07:12,945 海を越え 紛争で戦っていました 187 00:07:12,945 --> 00:07:15,456 私にとって驚きだったのが 188 00:07:15,456 --> 00:07:19,778 ずっと 完璧には理解できなかった 189 00:07:19,778 --> 00:07:23,044 ある常套句を耳にし始めたことです 190 00:07:23,044 --> 00:07:25,402 9.11 直後から 皆が使い始めたのを 191 00:07:25,402 --> 00:07:26,759 耳にしているでしょう 192 00:07:26,759 --> 00:07:29,396 「任務ご苦労様」 193 00:07:29,396 --> 00:07:31,359 私もただそれに倣う感じで 194 00:07:31,359 --> 00:07:32,994 部下たちに同じことを言い始めました 195 00:07:32,994 --> 00:07:34,575 自分で任務に出る前のことです 196 00:07:34,575 --> 00:07:38,070 意味なんて考えていませんでした 197 00:07:38,070 --> 00:07:40,074 ただこう言うのが 正しく聞こえたのです 198 00:07:40,074 --> 00:07:41,850 こう言うのが海外で従軍した者に掛ける 199 00:07:41,850 --> 00:07:43,494 正しい言葉だと思えたからです 200 00:07:43,494 --> 00:07:45,924 「任務ご苦労様」 201 00:07:45,924 --> 00:07:47,940 ただ私はこの言葉に関する背景も分からず 202 00:07:47,940 --> 00:07:50,270 そしてそれが受け取る者にとって 203 00:07:50,270 --> 00:07:53,840 どんな意味を持つのかも分かりませんでした 204 00:07:53,840 --> 00:07:58,626 初めてアフガニスタンから戻った時 205 00:07:58,626 --> 00:08:02,100 私は紛争から生きて帰れれば 206 00:08:02,100 --> 00:08:05,941 それで危険は全てお終いだと思っていました 207 00:08:05,941 --> 00:08:08,138 紛争地域から戻ることができれば 208 00:08:08,138 --> 00:08:10,437 あれを切り抜けられて良かったと 209 00:08:10,437 --> 00:08:12,391 サッと額を拭うような感覚で 210 00:08:12,391 --> 00:08:15,415 終われると思っていました 211 00:08:15,415 --> 00:08:17,223 大勢の人にとっては 212 00:08:17,223 --> 00:08:19,366 例え家に帰ることができても 213 00:08:19,366 --> 00:08:21,665 戦争は続いているのだということを理解せずに 214 00:08:21,665 --> 00:08:23,919 我々の心の中で続いているのです 215 00:08:23,919 --> 00:08:26,557 我々の記憶の中で続いているのです 216 00:08:26,557 --> 00:08:31,220 我々の感情の中で続いているのです 217 00:08:31,220 --> 00:08:32,557 許してください 218 00:08:32,557 --> 00:08:37,767 我々が人混みに紛れるのを嫌っても 219 00:08:37,767 --> 00:08:40,030 許してください 220 00:08:40,030 --> 00:08:42,354 我々は完全灯火管制下で 221 00:08:42,354 --> 00:08:44,702 一週間過ごします 222 00:08:44,702 --> 00:08:46,930 我々は白色光を使ってはいけないのです 223 00:08:46,930 --> 00:08:48,417 なぜなら白色光は 224 00:08:48,417 --> 00:08:49,894 数キロ先からも見つけられます 225 00:08:49,894 --> 00:08:51,607 それに対して弱い緑や 226 00:08:51,607 --> 00:08:52,774 弱い青の光ならば 227 00:08:52,774 --> 00:08:54,706 遠くからは見つかりません 228 00:08:54,706 --> 00:08:56,839 だから 許してください 229 00:08:56,839 --> 00:09:00,046 そのような完全灯火管制下から 230 00:09:00,046 --> 00:09:02,599 一週間後 タイムズスクエアの ど真ん中に帰っても 231 00:09:02,599 --> 00:09:07,730 我々は適応するのが難しいのです 232 00:09:07,730 --> 00:09:09,162 許してください 233 00:09:09,162 --> 00:09:11,001 家族の元に帰ったとき 234 00:09:11,001 --> 00:09:15,105 自分抜きで暮らしていたところへ 235 00:09:15,105 --> 00:09:17,132 いざ戻ってきたところで 236 00:09:17,132 --> 00:09:20,776 「日常」という感覚に 身を落ち着けるのは難しいのです 237 00:09:20,776 --> 00:09:25,258 なぜなら「日常」はもう変わってしまったから 238 00:09:25,258 --> 00:09:28,820 帰った時のことを覚えています 私は皆と話したかった 239 00:09:28,820 --> 00:09:31,579 皆に私が経験してきたことを聞いて欲しかった 240 00:09:31,579 --> 00:09:33,327 私の所に来て聞いて欲しかった 241 00:09:33,327 --> 00:09:34,642 「何をしたの?」と 242 00:09:34,642 --> 00:09:36,399 私の所に来て言って欲しかった 243 00:09:36,399 --> 00:09:38,877 「どんな感じだった?食べ物はどうだった?」 244 00:09:38,877 --> 00:09:42,272 「どんな経験をしたの? どんな風に過ごしてきたの?」 245 00:09:42,272 --> 00:09:44,333 ですが 私が聞かれた唯一の質問は 246 00:09:44,333 --> 00:09:47,064 「誰か人を撃った?」でした 247 00:09:47,064 --> 00:09:48,890 そして人々が聞きに来たのは 248 00:09:48,890 --> 00:09:52,548 せいぜい それだけでした 249 00:09:52,548 --> 00:09:54,218 なぜならば そこには 250 00:09:54,218 --> 00:09:56,193 何か言ったことで傷付けたり 251 00:09:56,193 --> 00:09:58,129 あるいは何か引き金を引いてしまうかもという 252 00:09:58,129 --> 00:10:00,023 恐れや気遣いがあるからです 253 00:10:00,023 --> 00:10:03,291 ならばいっそ共通の態度として 何も言わない となります 254 00:10:03,291 --> 00:10:05,890 これが問題なのは 255 00:10:05,890 --> 00:10:07,496 我々の働きが知られてもいない 256 00:10:07,496 --> 00:10:10,010 もしくは 気にも掛けられないと 257 00:10:10,010 --> 00:10:13,017 感じられてしまうことです 258 00:10:13,017 --> 00:10:16,040 「任務ご苦労様」 259 00:10:16,040 --> 00:10:19,133 これで終わりです 260 00:10:19,133 --> 00:10:21,809 私がもっと理解したかったのは 261 00:10:21,809 --> 00:10:25,123 その背景であり どうして 262 00:10:25,123 --> 00:10:30,875 「任務ご苦労様」では十分でないかということです 263 00:10:30,875 --> 00:10:34,491 我々の周りには実際 264 00:10:34,491 --> 00:10:37,048 男女 260万人もの 265 00:10:37,048 --> 00:10:39,972 イラクやアフガニスタン帰りの 266 00:10:39,972 --> 00:10:42,642 退役軍人がいます 267 00:10:42,642 --> 00:10:44,482 その人のことは 分かることもありますし 268 00:10:44,482 --> 00:10:47,234 分からないこともあります 269 00:10:47,234 --> 00:10:49,401 ただあの感覚が 共通の体験が 270 00:10:49,401 --> 00:10:52,325 共通の絆があります 271 00:10:52,325 --> 00:10:54,197 我々は知っています 272 00:10:54,197 --> 00:10:56,206 我々の人生であの体験 273 00:10:56,206 --> 00:10:58,921 あの一章は閉じたかもしれませんが 274 00:10:58,921 --> 00:11:02,967 まだ終わってはないのです 275 00:11:02,967 --> 00:11:04,596 我々は「任務ご苦労様」について考えます 276 00:11:04,596 --> 00:11:06,665 人々に聞かれます 「では あなたにとってはどういう意味なのか」 277 00:11:06,665 --> 00:11:08,345 私にとっては 278 00:11:08,345 --> 00:11:12,423 我々の物語を知ることです 279 00:11:12,423 --> 00:11:15,289 我々が何者なのかを聞くことです 280 00:11:15,289 --> 00:11:17,702 これほどに多くの人たちが持つ強さ 281 00:11:17,702 --> 00:11:21,932 我々の仲間の強さを知り 282 00:11:21,932 --> 00:11:25,652 そして我々の任務がどれだけの意味を 持つのかを知ることです 283 00:11:25,652 --> 00:11:27,786 「任務ご苦労様」とは 284 00:11:27,786 --> 00:11:29,604 我々が帰ってきて 285 00:11:29,604 --> 00:11:31,175 制服を脱いだからといって 286 00:11:31,175 --> 00:11:33,735 我々の任務があっさりと 287 00:11:33,735 --> 00:11:35,851 終わったわけではないことを知ることです 288 00:11:35,851 --> 00:11:38,732 実際には まだまだ膨大なものを 289 00:11:38,732 --> 00:11:42,922 捧げられますし 与えられます 290 00:11:42,922 --> 00:11:44,352 例えば我々の友人 291 00:11:44,352 --> 00:11:49,010 テイラー ウルエラ 292 00:11:49,010 --> 00:11:50,754 彼はイラクで足を失いますが 293 00:11:50,754 --> 00:11:53,412 二つ 大きな夢を持っていました 294 00:11:53,412 --> 00:11:56,480 一つは兵士になること もう一つは野球選手になることです 295 00:11:56,480 --> 00:12:01,280 彼はイラクで足を失います 296 00:12:01,280 --> 00:12:02,904 国に戻って 297 00:12:02,904 --> 00:12:04,598 足を無くしてしまったから 298 00:12:04,598 --> 00:12:07,016 二つ目の夢はおしまいだ と考えるよりは 299 00:12:07,016 --> 00:12:09,430 野球選手になる夢を 実現させようと考え 300 00:12:09,430 --> 00:12:11,402 VET Sports なるグループを立ち上げます 301 00:12:11,402 --> 00:12:13,573 今では国中の退役軍人と共に 302 00:12:13,573 --> 00:12:18,648 治療の一環としてスポーツを楽しむグループとなりました 303 00:12:18,648 --> 00:12:20,991 例えばタミー ダックワース 304 00:12:20,991 --> 00:12:22,239 彼女はヘリのパイロットでした 305 00:12:22,239 --> 00:12:24,105 彼女のヘリは 306 00:12:24,105 --> 00:12:25,644 操縦するのに両手と 307 00:12:25,644 --> 00:12:27,175 両足が必要です 308 00:12:27,175 --> 00:12:28,644 彼女のヘリは撃たれ 309 00:12:28,644 --> 00:12:29,906 なんとか操縦しようとしますが 310 00:12:29,906 --> 00:12:31,823 ヘリは彼女の指示 311 00:12:31,823 --> 00:12:33,504 彼女の命令に反応しません 312 00:12:33,504 --> 00:12:36,015 安全に着陸させようとしますが 313 00:12:36,015 --> 00:12:37,656 そのヘリは安全着陸しません 314 00:12:37,656 --> 00:12:38,768 その理由は 315 00:12:38,768 --> 00:12:41,441 彼女の足が出している命令に ヘリが反応しないからであって 316 00:12:41,441 --> 00:12:46,289 それは彼女の足が吹き飛ばされていたからです 317 00:12:46,289 --> 00:12:49,194 彼女はなんとか生き延びます 318 00:12:49,194 --> 00:12:53,100 救護兵が彼女の命を救ったのです 319 00:12:53,100 --> 00:12:55,561 その後 彼女は家で治療を受けますが 気づくのです 320 00:12:55,561 --> 00:12:59,871 「私の仕事はまだ終わっていない」 321 00:12:59,871 --> 00:13:01,355 そして今は声を使って 322 00:13:01,355 --> 00:13:03,547 イリノイ州の議員として働き 323 00:13:03,547 --> 00:13:06,505 退役軍人の問題を含む 324 00:13:06,505 --> 00:13:10,370 様々な問題のために声を上げています 325 00:13:10,370 --> 00:13:13,096 我々が入隊したのは 326 00:13:13,096 --> 00:13:17,566 我々が代表するこの国を愛しているからです 327 00:13:17,566 --> 00:13:19,910 我々が入隊したのは 328 00:13:19,910 --> 00:13:22,468 理念を信じており 329 00:13:22,468 --> 00:13:25,256 我々の隣人を信じているからです 330 00:13:25,256 --> 00:13:27,168 我々がただ望むのは 331 00:13:27,168 --> 00:13:29,430 「任務ご苦労様」が 332 00:13:29,430 --> 00:13:32,554 ただの引用句以上のものに なるべきということです 333 00:13:32,554 --> 00:13:35,180 「任務ご苦労様」の意味が 334 00:13:35,180 --> 00:13:37,406 ただ単純に任務として進み出た 335 00:13:37,406 --> 00:13:40,356 兵士たちに対する 336 00:13:40,356 --> 00:13:44,199 心からの言葉であって欲しいのです 337 00:13:44,199 --> 00:13:46,398 それは我々にとって 意味のある言葉になります 338 00:13:46,398 --> 00:13:49,720 今だけでも 戦闘時だけでもなく 339 00:13:49,720 --> 00:13:53,069 最後の車両が帰還したずっと後 340 00:13:53,069 --> 00:13:57,943 最後の銃撃が終わった ずっと後にもです 341 00:13:57,943 --> 00:14:00,773 以上が私が任務を共にする仲間 342 00:14:00,773 --> 00:14:04,477 そして私が誇りに思う仲間です 343 00:14:04,477 --> 00:14:06,648 ご静聴 ご苦労様です 344 00:14:06,648 --> 00:14:10,500 (拍手)