WEBVTT

00:00:01.373 --> 00:00:04.031
知能指数IQのことを
聞いたことがありますね

00:00:04.055 --> 00:00:05.745
では Psy-Qはどうですか？

00:00:05.769 --> 00:00:07.975
やる気を出す方法を
どれだけ知っていますか？

00:00:07.999 --> 00:00:10.758
どれだけ 他人と自分の行動を
予測するのに

00:00:10.782 --> 00:00:12.027
長けていますか？

00:00:12.051 --> 00:00:15.176
心理学についてのあなたの知識は
どれぐらい間違っているでしょう？

00:00:15.200 --> 00:00:18.550
有名な心理学のウソを順に調べて
この問いに答えていきます

NOTE Paragraph

00:00:19.081 --> 00:00:22.462
多分 この心理学の理論を
聞いたことがあるでしょう

00:00:22.486 --> 00:00:25.420
『男は火星人 女は金星人』

00:00:25.444 --> 00:00:27.539
実際 男女は
どれほど違っているでしょうか

00:00:27.563 --> 00:00:29.822
それを明らかにするために

00:00:29.846 --> 00:00:31.736
まず実際に男女が違う事柄を
グラフに示し

00:00:31.760 --> 00:00:35.037
次に心理学的な性差を
同じ尺度で見てみます

00:00:35.061 --> 00:00:37.092
性差が如実に表れることのひとつは

00:00:37.116 --> 00:00:38.697
投球の飛距離です

00:00:38.721 --> 00:00:40.614
男性のデータは

00:00:40.638 --> 00:00:43.105
こんな正規分布の曲線を描きます

00:00:43.129 --> 00:00:46.215
とても遠くまで投げられる男性も
まったく短い男性も共に少なく

00:00:46.239 --> 00:00:48.041
平均のあたりが一番多いです

00:00:48.065 --> 00:00:50.223
女性も同様の分布を示しますが

00:00:50.247 --> 00:00:52.398
実は 大きな違いがあります

00:00:52.422 --> 00:00:54.749
男性の飛距離の平均は 
約98％の女性よりも

00:00:54.773 --> 00:00:56.596
長いのです

NOTE Paragraph

00:00:56.620 --> 00:01:00.046
では 同様に心理学的性差を
同じく標準化された尺度で

00:01:00.070 --> 00:01:01.579
比べましょう

00:01:02.504 --> 00:01:04.066
どの心理学者も

00:01:04.090 --> 00:01:06.661
女性より男性の方が
地図を読むなどの

00:01:06.685 --> 00:01:09.266
空間認識能力が高いなどと述べます

00:01:09.290 --> 00:01:11.793
本当ですが どの程度の差か見てみましょう

00:01:11.817 --> 00:01:14.974
カーブは接近し ほぼ重なっています

00:01:14.998 --> 00:01:18.802
実は 平均的な女性は
33％の男性よりも高いスコアです

00:01:18.826 --> 00:01:20.938
ちなみに これが 50％なら

00:01:20.962 --> 00:01:23.173
男女の差は全くないということです

00:01:23.570 --> 00:01:27.292
これと 次にお見せするものは
心理学の見出した最大の性差として

00:01:27.316 --> 00:01:30.161
覚えておいても

00:01:30.185 --> 00:01:31.628
損はないでしょう

NOTE Paragraph

00:01:31.652 --> 00:01:32.804
次の例はこれです

00:01:32.828 --> 00:01:34.283
どの心理学者も 男性よりも

00:01:34.307 --> 00:01:36.992
女性の方が語学や文法に関して
優れていると言います

00:01:37.016 --> 00:01:39.447
こちらは文法テストの成績を
標準化したものです

00:01:39.471 --> 00:01:41.171
女性と男性です

00:01:41.195 --> 00:01:43.145
女性の平均が
男性よりも高いですね

00:01:43.169 --> 00:01:44.416
でも 線は接近しています

00:01:44.440 --> 00:01:47.554
男性の33％は平均女性より高く

00:01:47.578 --> 00:01:49.122
ここでも 50％だったら

00:01:49.146 --> 00:01:51.923
男女の違いはないという意味です

00:01:52.345 --> 00:01:54.424
これは火星（マーズ）と
金星の差ではなく

00:01:54.448 --> 00:01:56.997
お菓子の
マーズとスニッカーズ程度の差です

00:01:57.021 --> 00:02:00.686
基本的に同じようなもので
ナッツの量がわずかに違うだけです

NOTE Paragraph

00:02:00.710 --> 00:02:04.476
ケーキを作るときに
(a) 写真付きのレシピ本がいい人は？

00:02:05.272 --> 00:02:06.451
何人かいますね

00:02:06.475 --> 00:02:08.233
(b) 友人に聞いて作る人は？

00:02:08.984 --> 00:02:11.266
(c) ぶっつけ本番でやってみる人？

00:02:12.052 --> 00:02:13.276
大勢いますね

00:02:13.300 --> 00:02:14.828
(a) を選んだ人は

00:02:14.852 --> 00:02:17.339
視覚学習者です

00:02:17.363 --> 00:02:20.634
情報を見て学ぶのが一番得意です

00:02:20.658 --> 00:02:23.308
(b) を選んだ人は
聴覚学習者です

00:02:23.332 --> 00:02:27.106
情報を聞いて学ぶのが一番得意です

00:02:27.130 --> 00:02:30.037
(c) を選んだ人は
身体感覚学習者です

00:02:30.061 --> 00:02:33.450
その場で手や身体を使って
学ぶのが一番得意です

NOTE Paragraph

00:02:33.474 --> 00:02:35.658
多分 お気づきのとおり


00:02:35.682 --> 00:02:38.496
これはまるごとウソ理論です

00:02:38.520 --> 00:02:42.258
学習スタイルなんて でっち上げで
科学的根拠は ありません

00:02:42.282 --> 00:02:45.702
厳密な対照実験をした結果

00:02:45.726 --> 00:02:47.896
得意な学習スタイルの教材を与えても

00:02:47.920 --> 00:02:50.549
苦手な学習スタイルの教材を与えても

00:02:50.573 --> 00:02:54.238
記憶した情報量に
まったく違いがなかったのです

00:02:54.262 --> 00:02:56.328
少し考えてみれば

00:02:56.352 --> 00:02:58.178
もっともなことなのですが

00:02:58.202 --> 00:03:02.609
どの教材の形式が最良かというのは
学習者の問題ではなく

00:03:02.633 --> 00:03:04.323
学習内容の問題なのです

00:03:04.347 --> 00:03:07.803
例えば 車の運転を

00:03:07.827 --> 00:03:10.508
実技なしの講義だけで
習得できますか？

00:03:10.532 --> 00:03:15.454
連立方程式を紙に書かずに
暗算のみで解けますか？

00:03:15.478 --> 00:03:18.757
身体感覚学習者でも 創作ダンスで
建築士試験に備えられますか？

00:03:18.781 --> 00:03:20.328
無理ですね

00:03:20.352 --> 00:03:23.147
大切なのは 学習内容に
教材形式を合わせることであり

00:03:23.171 --> 00:03:24.478
学習者に合わせることでは

00:03:24.502 --> 00:03:25.819
ありません

NOTE Paragraph

00:03:26.981 --> 00:03:28.900
GCSE（中等教育終了一般試験）で

00:03:28.924 --> 00:03:31.215
みなさん 優秀な成績だったでしょうね

00:03:31.239 --> 00:03:33.716
もし 期待通りの成績じゃなくても

00:03:33.740 --> 00:03:36.032
学習スタイルのせいにするわけにはいきません

00:03:36.056 --> 00:03:39.491
では 遺伝子のせいには
できるんでしょうか

00:03:39.515 --> 00:03:43.414
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの
最近の研究では

00:03:43.438 --> 00:03:47.567
それぞれの生徒と
GCSEの結果の間にある

00:03:47.591 --> 00:03:49.112
因子の58％は

00:03:49.136 --> 00:03:50.890
遺伝子が寄与するとのことです

00:03:50.914 --> 00:03:54.211
ずいぶん細かい数字が出てきますが
どうしたら分かるのでしょうか

00:03:54.235 --> 00:03:57.457
遺伝子と環境の相対的寄与を

00:03:57.481 --> 00:03:59.581
確認したいなら

00:03:59.605 --> 00:04:01.612
双子の研究をすればよいのです

00:04:01.636 --> 00:04:05.315
一卵性双生児は 環境も遺伝子も

00:04:05.339 --> 00:04:07.386
100％同じです

00:04:07.410 --> 00:04:10.856
一方で 二卵性双生児は
環境は100％同じですが

00:04:10.880 --> 00:04:14.430
兄弟姉妹と同様に
遺伝子は50％だけ同じです

00:04:14.454 --> 00:04:18.745
ですから GCSE結果がどれだけ近いか
一卵性双生児間のものと

00:04:18.769 --> 00:04:20.840
二卵性双生児間のもので比較し

00:04:20.864 --> 00:04:22.240
適切に計算すれば

00:04:22.264 --> 00:04:26.235
GCSE成績の違いが
どの程度 環境由来で

00:04:26.259 --> 00:04:27.942
どの程度 遺伝子由来かわかります

00:04:27.966 --> 00:04:31.390
その結果 約58％が遺伝子由来でした

00:04:31.897 --> 00:04:35.909
これは あなたと先生の努力が
無駄だと言っているのではありません

00:04:35.933 --> 00:04:39.072
GCSEが期待通りの結果じゃなかったら

00:04:39.096 --> 00:04:41.218
非難すべきは 常に両親か

00:04:41.242 --> 00:04:42.828
少なくともその遺伝子ですね

NOTE Paragraph

00:04:43.392 --> 00:04:45.037
自分が左脳タイプだからだとか

00:04:45.061 --> 00:04:47.609
右脳タイプだからと
いうべきではありません

00:04:47.633 --> 00:04:49.569
これもウソ理論だからです

00:04:49.593 --> 00:04:52.860
この理論は
左脳は論理的で計算が得意であり

00:04:52.884 --> 00:04:54.573
右脳は より創造力があるので

00:04:54.597 --> 00:04:58.229
音楽が得意というものです

00:04:58.253 --> 00:04:59.513
しかし ヒトの行動は

00:04:59.537 --> 00:05:01.068
普通の会話であったとしても

00:05:01.092 --> 00:05:03.816
ほぼ脳のすべてが伝達しあうことが必要なので

00:05:03.840 --> 00:05:07.136
これもウソ理論です

00:05:07.692 --> 00:05:10.569
それでも このウソ理論が
今でも残っているのは

00:05:10.593 --> 00:05:12.961
わずかに真実が含まれているからです

00:05:12.985 --> 00:05:16.720
これと関連した理論として
左利きの人が 右利きの人よりも

00:05:16.744 --> 00:05:17.993
創造力があるのは

00:05:18.017 --> 00:05:21.450
脳が反対側の手を
司っているからというものがあります

00:05:21.474 --> 00:05:25.163
左利きの人は
右脳が左脳よりも

00:05:25.187 --> 00:05:26.985
わずかに活性化されていて

00:05:27.009 --> 00:05:29.515
右脳の方が創造的だという発想です

00:05:29.539 --> 00:05:32.765
しかし 左利きの人の方が
右利きの人より 創造的だというのは

00:05:32.789 --> 00:05:34.040
ウソです

00:05:34.064 --> 00:05:36.354
真実は 両利きの人

00:05:36.378 --> 00:05:39.040
つまり異なる作業に応じて
両手とも使う人の方が

00:05:39.064 --> 00:05:42.819
片手のみを使う人よりも
創造力に富むというものです

00:05:42.843 --> 00:05:44.610
両利きであるということは

00:05:44.634 --> 00:05:47.326
両側の脳が伝達し合っているから

00:05:47.350 --> 00:05:51.214
創造力があって柔軟な思考を
持っているのです

00:05:51.238 --> 00:05:54.007
左利きの方が創造力があるというウソ理論は

00:05:54.031 --> 00:05:56.831
右利きの両利きよりも
左利きの両利きの方が

00:05:56.855 --> 00:05:58.010
多いからです

00:05:58.034 --> 00:06:01.140
だから 左利きは
創造的なのだとなるものの

00:06:01.164 --> 00:06:02.427
大差はありません

NOTE Paragraph

00:06:02.967 --> 00:06:05.058
それに関して 多分
聞いたことがあるのは

00:06:05.082 --> 00:06:07.374
脳は10％しか
使われていないという理論ですが

00:06:07.398 --> 00:06:08.974
それも 完全にウソです

00:06:08.998 --> 00:06:11.738
ほぼすべての行動で
普段の行動でさえ

00:06:11.762 --> 00:06:13.614
ヒトは脳の大部分を使っています

NOTE Paragraph

00:06:15.074 --> 00:06:17.234
もちろん ほとんどの人が

00:06:17.258 --> 00:06:21.814
知力を使い切っていないというのは
本当のことです

00:06:22.273 --> 00:06:24.728
では 知力を向上させる方法は？

00:06:24.752 --> 00:06:27.007
モーツァルトを
聞くことなのかもしれません

00:06:27.031 --> 00:06:29.636
モーツァルト効果を耳にしたことは？

00:06:29.660 --> 00:06:32.593
モーツァルトを聞くと賢くなり

00:06:32.617 --> 00:06:35.177
IQテストの成績が上がるという理論です

00:06:35.503 --> 00:06:37.612
このウソ理論の面白いところもまた

00:06:37.636 --> 00:06:41.048
わずかな真実を含んでいることです

00:06:41.072 --> 00:06:43.332
元々の研究結果は

00:06:43.356 --> 00:06:46.409
静かに座っていた被験者よりも

00:06:46.433 --> 00:06:48.400
モーツァルトを数分間 聞いた後の方が

00:06:48.424 --> 00:06:51.575
IQテストの結果が
高かったというものです

00:06:52.026 --> 00:06:55.636
しかし その後の研究で
モーツァルト好きの人たちと

00:06:55.660 --> 00:06:59.748
スティーブン・キングのホラー小説ファンを
集めた研究があります

00:06:59.772 --> 00:07:03.491
被験者たちに 音楽か怖い話を聞かせました

00:07:03.515 --> 00:07:06.000
モーツァルト好きは
モーツァルトを聞いた後の方が

00:07:06.024 --> 00:07:08.807
怖い話を聞いた後よりも
IQテストの成績がよく

00:07:08.831 --> 00:07:11.668
一方 ホラー好きは
スティーブン・キングを聞いた後の方が

00:07:11.692 --> 00:07:14.826
モーツァルトを聞いた後よりも
IQテスト結果の向上が

00:07:14.850 --> 00:07:16.036
大きかったのです

00:07:16.060 --> 00:07:18.808
つまり 真相は
自分が好きなものを聞くと

00:07:18.832 --> 00:07:21.973
テンションが上がって
限られた範囲の課題に対して

00:07:21.997 --> 00:07:23.652
一時的にIQが上昇するのです

00:07:23.676 --> 00:07:26.020
モーツァルトを聞こうが

00:07:26.044 --> 00:07:27.645
スティーブン・キングを聞こうが

00:07:27.669 --> 00:07:30.755
長期的に知能を上げることを
示唆していません

NOTE Paragraph

00:07:31.619 --> 00:07:33.913
他にも モーツァルトのウソ理論には

00:07:33.937 --> 00:07:38.986
モーツァルトを聞くと賢くなるだけでなく
健康になるというものもあります

00:07:39.501 --> 00:07:41.565
残念ながら これはウソのようです

00:07:41.589 --> 00:07:44.610
ほぼ毎日モーツァルトを聞いていたー

00:07:44.634 --> 00:07:45.796
モーツァルト本人が

00:07:45.820 --> 00:07:48.975
淋病と天然痘と関節炎に
苦しんでいて

00:07:48.999 --> 00:07:53.065
最期は梅毒で亡くなったのですから

00:07:53.851 --> 00:07:57.246
このことから モーツァルトは
性交渉相手をもう少し慎重に

00:07:57.270 --> 00:07:59.416
選ぶべきだったことが示唆されます

00:07:59.440 --> 00:08:01.313
でも 相手をどうやって選びますか？

NOTE Paragraph

00:08:01.337 --> 00:08:06.596
ここで 社会学者が広げた
ウソ理論を取り上げるべきでしょう

00:08:06.620 --> 00:08:10.164
それは 恋愛対象の好みは
文化的に作られたものであり

00:08:10.188 --> 00:08:12.051
文化的特性があるというものです

00:08:12.075 --> 00:08:14.326
しかし 実際これを
裏付けるデータはありません

00:08:14.350 --> 00:08:18.401
アメリカ人からズールー人に至るまで
世界の37のさまざまな文化で

00:08:18.425 --> 00:08:19.840
恋愛相手に求めるものを調査した

00:08:19.864 --> 00:08:21.896
有名な研究があります

00:08:22.269 --> 00:08:24.445
世界中のどの文化でも

00:08:24.469 --> 00:08:28.346
女性よりも男性の方が
相手の肉体的な魅力に

00:08:28.370 --> 00:08:29.536
価値を置いていて

00:08:29.560 --> 00:08:31.149
どの文化でも

00:08:31.173 --> 00:08:35.995
男性よりも女性の方が
野心や経済力を重要視していました

00:08:36.019 --> 00:08:37.257
どの文化でも

00:08:37.281 --> 00:08:39.796
男性は自分より若い女性を好み

00:08:39.820 --> 00:08:42.817
その平均は2.66歳だったと思います

00:08:42.841 --> 00:08:44.290
どの文化でも

00:08:44.314 --> 00:08:46.899
女性は自分より年上を好みました

00:08:46.923 --> 00:08:49.666
その平均は3.42歳です

00:08:49.690 --> 00:08:52.803
だから 「誰もが
シュガー・ダディが欲しいの」というわけです

NOTE Paragraph

00:08:52.827 --> 00:08:53.827
（笑）

NOTE Paragraph

00:08:53.851 --> 00:08:56.150
では パートナー獲得から

00:08:56.174 --> 00:08:59.837
バスケやサッカーなどスポーツの
得点へ話題を変えます

00:08:59.861 --> 00:09:03.993
アメリカでホットハンドの連続
イングランドでパープルパッチというー

00:09:04.017 --> 00:09:06.321
ノーミスで絶好調の状態というのは

00:09:06.345 --> 00:09:08.853
シュートを成功させた選手に
注目してるだけです

00:09:08.877 --> 00:09:12.763
実は 成功と失敗のパターンを
統計分析すると

00:09:12.787 --> 00:09:14.406
結局は

00:09:14.430 --> 00:09:16.861
常に ほぼ不規則です

00:09:16.885 --> 00:09:19.230
不規則なのにパターンがあると
錯覚するのです

00:09:19.254 --> 00:09:20.770
コインを投げて

00:09:20.794 --> 00:09:24.593
表と裏が不規則に出ているのに
何かを見いだします

00:09:24.617 --> 00:09:27.750
脳は 何もないところから
パターンを見いだしたがるのです

00:09:27.774 --> 00:09:30.365
このように連続した結果を見ると
そこに意味を付け

00:09:30.389 --> 00:09:32.414
「あの選手 今日は調子がいい」となります

00:09:32.438 --> 00:09:34.670
不規則に成功と失敗を繰り返しても

00:09:34.694 --> 00:09:37.111
同様にパターンを発見してしまうのです

NOTE Paragraph

00:09:38.591 --> 00:09:41.745
例外は PK戦です

00:09:41.769 --> 00:09:44.690
サッカーのPK戦に
注目した最近の研究では

00:09:44.714 --> 00:09:46.808
PK戦の成績が悪い

00:09:46.832 --> 00:09:49.142
ある国の代表選手ー

00:09:49.166 --> 00:09:51.325
例えば イングランドの選手は

00:09:51.349 --> 00:09:55.236
成績が良い 他の国の選手よりも
すぐにシュートをする傾向にあり

00:09:55.260 --> 00:09:58.505
おそらく その結果として
失敗する可能性が高いのです

NOTE Paragraph

00:09:58.894 --> 00:10:00.710
そこで 疑問が湧きます

00:10:00.734 --> 00:10:03.763
成績を上げる方法はないだろうか

00:10:03.787 --> 00:10:05.763
失敗したら罰を与えて

00:10:05.787 --> 00:10:09.172
成績が上がるかを
試したらどうだろう？

00:10:09.196 --> 00:10:12.735
罰を与えれば成績向上に効果があるという
このアイデアを

00:10:12.759 --> 00:10:14.971
テストしているつもりの
被験者が登場するのが―

00:10:14.995 --> 00:10:17.595
有名なミルグラムによる学習と罰の実験です

00:10:17.619 --> 00:10:20.627
心理学の学生なら
多分 聞いたことがあるでしょう

00:10:20.651 --> 00:10:23.194
被験者はパートナーが問題を間違えた時に

00:10:23.218 --> 00:10:26.514
相手に致死量にあたる電気ショックを
与えることを

00:10:26.538 --> 00:10:28.575
いとわずに行ったという話です

00:10:28.599 --> 00:10:31.330
白衣を着た人が そう指示したからです

NOTE Paragraph

00:10:31.354 --> 00:10:33.653
でも この話には ３つウソがあります

00:10:33.677 --> 00:10:38.557
1つ目 決定的に違うのは
当時の実験用白衣は 実は灰色でした

00:10:38.581 --> 00:10:43.318
2つ目 被験者は実験前と

00:10:43.342 --> 00:10:45.685
実験中に被験者が不安を口にする度に

00:10:45.709 --> 00:10:48.428
電気ショックは痛いが
命に関わることはなく

00:10:48.452 --> 00:10:51.408
後遺症は残らないという
説明を受けていました

00:10:51.432 --> 00:10:53.798
３つ目に 被験者は
研究者から指示されただけでは

00:10:53.822 --> 00:10:56.620
電気ショックを与えませんでした

00:10:56.644 --> 00:10:58.649
実験後のインタビューで
被験者の全員が

00:10:58.673 --> 00:11:01.080
この学習と罰の研究は

00:11:01.104 --> 00:11:04.637
永く残る科学的な価値ある目的に
貢献するものであり

00:11:04.661 --> 00:11:06.786
致命的ではなく
一時的な苦痛は目的ではないと

00:11:06.810 --> 00:11:12.953
固く信じていたのだと言っています

NOTE Paragraph

00:11:13.929 --> 00:11:16.719
さて 約12分間 話してきました

00:11:16.743 --> 00:11:19.332
みなさんは 私の話を 静かに聞きながら

00:11:19.356 --> 00:11:21.611
話し方やボディランゲージの
パターンを分析し

00:11:21.635 --> 00:11:25.062
私の話がウソかホントか

00:11:25.086 --> 00:11:27.500
シッポをつかもうと
頑張っていたでしょう

00:11:27.524 --> 00:11:29.643
もし そうなら 完全に失敗です

00:11:29.667 --> 00:11:31.980
ボディランゲージと
話し方のパターンから

00:11:32.004 --> 00:11:34.182
ウソが見分けられると
広く信じられていますが

00:11:34.206 --> 00:11:37.646
警察官や探偵なども参加して
何年もかけて行った山ほどの

00:11:37.670 --> 00:11:39.649
心理テストが示しているのは

00:11:39.673 --> 00:11:43.193
ボディランゲージと話し方からウソを
見抜く試みは基本的にあてずっぽうと

00:11:43.217 --> 00:11:44.369
変わりません

00:11:44.393 --> 00:11:46.307
興味深いことに 例外が１つあります

00:11:46.331 --> 00:11:48.479
行方不明の親族を探すTV番組です

00:11:48.503 --> 00:11:51.618
本当に行方不明になっている場合と

00:11:51.642 --> 00:11:55.071
呼びかけている親族が実は殺していた場合とは
非常に簡単に区別できます

00:11:55.095 --> 00:11:58.637
うその呼びかけを行うと
頭を振ったり 目をそらしたり

00:11:58.661 --> 00:12:00.364
言い間違える傾向があります

00:12:00.388 --> 00:12:03.069
一方で 本当に呼びかけている人は

00:12:03.093 --> 00:12:04.733
無事に戻ってきてほしいと言い

00:12:04.757 --> 00:12:06.176
悲観的なことは言いません

00:12:06.200 --> 00:12:10.682
例えば「殺された」ではなく
「連れていかれた」と言うでしょう

NOTE Paragraph

00:12:11.076 --> 00:12:13.617
そういえば そろそろ
このトークを切り上げますが

00:12:13.641 --> 00:12:16.593
その前に 心理学におけるウソ理論を

00:12:16.617 --> 00:12:19.964
30秒で おさらいしたいと思います

00:12:19.988 --> 00:12:24.642
心理学におけるウソ理論は
オモシロ理論の寄せ集めにすぎません

00:12:24.666 --> 00:12:28.234
でも どれもが便利そうで 
意味ありげな話です

00:12:28.258 --> 00:12:30.749
しかし それは間違っているということを
この時間で

00:12:30.773 --> 00:12:32.064
お伝えしたかったのです

00:12:32.088 --> 00:12:35.481
心理学的理論が
何を予測しているかに注目し

00:12:35.505 --> 00:12:37.311
理論をきちんと評価する必要があります

00:12:37.335 --> 00:12:40.112
モーツァルトを聞くと賢くなるのかどうか

00:12:40.136 --> 00:12:44.597
好ましい学習スタイルで情報を
提供された方が うまく学べるのか

00:12:44.621 --> 00:12:45.796
どんなことでもです

00:12:45.820 --> 00:12:48.365
どれも検証可能な経験的予測です

00:12:48.389 --> 00:12:50.200
私たちが進歩するには

00:12:50.224 --> 00:12:52.326
厳密な対照実験データを用いて

00:12:52.350 --> 00:12:54.501
それらの予測を検証するしかありません

00:12:54.525 --> 00:12:57.430
どの理論が信じられるのか

00:12:57.454 --> 00:13:00.054
どれが本日話したような
ウソ理論であるのか見分けるには

00:13:00.078 --> 00:13:03.701
そうするしかありません

NOTE Paragraph

00:13:03.725 --> 00:13:04.953
ありがとうございました

NOTE Paragraph

00:13:04.977 --> 00:13:08.437
（拍手）