WEBVTT 00:00:00.968 --> 00:00:03.611 私の仕事は未来を訪れること 00:00:04.265 --> 00:00:05.891 単一の未来ではなく 00:00:05.915 --> 00:00:08.161 いくつもの可能な未来を見に行って 00:00:08.185 --> 00:00:12.304 そこから証拠を現在に持ち帰り 人々に体験してもらいます 00:00:13.197 --> 00:00:15.420 いわば未来に関する考古学者です 00:00:16.432 --> 00:00:20.004 何年も前から繰り返し未来を訪れ いろいろな物を持ち帰りました 00:00:20.268 --> 00:00:23.243 遺伝子工学で作り出した 新種のハチや 00:00:25.052 --> 00:00:27.885 『Pets as Protein』 (蛋白源としてのペット)という本や 00:00:28.153 --> 00:00:31.307 自分の遺伝子データを売って 収入を得る装置 00:00:31.451 --> 00:00:33.498 砂糖をエネルギー源とするランプ 00:00:33.845 --> 00:00:36.166 食物を栽培するための コンピューターなどです NOTE Paragraph 00:00:36.573 --> 00:00:40.844 そう 実際にいろいろな未来世界に 旅するのではありません―今のところは 00:00:40.898 --> 00:00:44.467 夫のジョンと私は 長い時間を工房で過ごし 00:00:44.597 --> 00:00:47.641 さまざまな未来のビジョンを 考え生み出しています 00:00:48.081 --> 00:00:50.857 私たちは常に 微かなシグナルを― 00:00:50.881 --> 00:00:53.255 未来の可能性を告げる ささやきを探しています 00:00:53.279 --> 00:00:57.352 そして 未来へとつながる 可能性の糸をたどり 問いかけます 00:00:57.963 --> 00:01:00.498 こんな未来に生きていたら どんな感じがするだろう? 00:01:01.068 --> 00:01:03.903 どんなものを見聞きし 呼吸するだろう? 00:01:05.157 --> 00:01:09.606 それから 実験を行い 試作し 製作に取りかかります 00:01:09.630 --> 00:01:11.660 未来のいろいろな側面に 命を吹き込み 00:01:11.684 --> 00:01:13.996 手で触れられる 具体的な形にするのです 00:01:14.020 --> 00:01:17.624 未来の可能性のインパクトを 皆さんが 今 ここで 00:01:17.624 --> 00:01:19.365 感じられるように 00:01:20.936 --> 00:01:23.737 でも この仕事の主眼は 予測することではありません 00:01:23.761 --> 00:01:25.768 狙いはツールを作ること― 00:01:25.792 --> 00:01:29.256 現在と未来の自分を 結びつけるのに役立つツールを作り 00:01:29.280 --> 00:01:33.685 私たちの望む未来― すべての人の役に立つ未来に 00:01:33.709 --> 00:01:35.565 私たちが積極的に 関われるようにすることです NOTE Paragraph 00:01:36.758 --> 00:01:38.573 では どんなふうに 取り組むのか? 00:01:39.143 --> 00:01:42.487 Drone Aviary (ドローン飼育場)という 最近のプロジェクトでは 00:01:42.503 --> 00:01:44.820 ドローンとともに 都市で暮らすというのが 00:01:44.820 --> 00:01:46.753 どういうことかを 探ろうとしています 00:01:46.861 --> 00:01:49.683 ドローンは 私たちが見られないものを見たり 00:01:49.697 --> 00:01:51.616 私たちが行けない場所に 行ったりでき 00:01:51.664 --> 00:01:54.014 しかも どんどん自律性が 高まっています 00:01:54.788 --> 00:01:56.657 でも この技術を理解するには 00:01:56.662 --> 00:01:58.372 じかに手を使って学ぶことが 欠かせません 00:01:58.406 --> 00:02:01.120 そこで 工房で何台か ドローンを組み立てました 00:02:01.165 --> 00:02:04.608 それぞれに名前をつけ 機能を与えて飛行させました 00:02:05.243 --> 00:02:07.282 すんなりとは行きません 00:02:07.506 --> 00:02:08.896 部品がはずれたり 00:02:08.920 --> 00:02:10.332 GPS信号がうまく扱えなかったり 00:02:10.349 --> 00:02:12.491 墜落したりしました 00:02:12.565 --> 00:02:14.930 でも こうした試行を 重ねたおかげで 00:02:14.934 --> 00:02:16.847 起こりうる未来の1つを 極めて具体的な形で NOTE Paragraph 00:02:16.847 --> 00:02:20.572 実験的に構成してみることが できたのです 00:02:21.559 --> 00:02:23.919 では そんな未来へ 行ってみましょう 00:02:24.006 --> 00:02:27.493 私たちの暮らす都市に こんなドローンがあるとしましょう 00:02:27.556 --> 00:02:30.275 Nightwatchman (夜警)と呼ばれるドローンで 00:02:30.279 --> 00:02:34.469 通りをパトロールする光景を 夕方や夜によく目にします 00:02:34.524 --> 00:02:38.522 当初 飛行するドローンの低く鈍い音を 気にする人が多かったのですが 00:02:39.382 --> 00:02:42.176 どんな物事であれ 私たちはやがて慣れてしまいます 00:02:42.215 --> 00:02:44.877 さて ドローンの目を通して 世界を見るとどうなるでしょう? 00:02:46.491 --> 00:02:50.591 たとえば 近所の人々を 常にログに取り 00:02:50.811 --> 00:02:54.348 ボール遊び禁止の場所で サッカーをする子供がいたら NOTE Paragraph 00:02:54.348 --> 00:02:56.895 不法迷惑行為を働く者として 記録します NOTE Paragraph 00:02:56.895 --> 00:02:58.045 (笑) 00:02:58.111 --> 00:03:00.005 こちらはまた別の若者グループで 00:03:00.027 --> 00:03:05.280 今にも非行を阻止する措置が 発動されそうになっています 00:03:06.513 --> 00:03:09.863 こちらはマディソンと呼ばれる 大きな円盤型のドローンで 00:03:09.867 --> 00:03:13.290 圧倒的な存在感があって 00:03:13.290 --> 00:03:15.111 つい じっと見つめてしまいます 00:03:15.111 --> 00:03:17.245 でも 私がこれを見るたびに 00:03:17.245 --> 00:03:19.660 少しずつ私のことが 知られていくようです 00:03:19.923 --> 00:03:23.017 たとえば 私が休暇中に 旅行を計画しているのを察知して 00:03:23.039 --> 00:03:25.906 Brianairの広告を しきりに見せようとします 00:03:26.366 --> 00:03:30.288 こういう機能を 多少は面白く思ったらいいのか NOTE Paragraph 00:03:30.288 --> 00:03:32.452 ひどい押しつけと思うべきか よく分かりません 00:03:33.651 --> 00:03:35.274 現在に戻りましょう 00:03:35.562 --> 00:03:38.168 こんな未来を作ってみることで 私たちは多くを学びました 00:03:38.222 --> 00:03:40.711 こうしたマシンが どう機能するかだけでなく 00:03:40.729 --> 00:03:43.773 それとともに生きるのが どんな感じかがわかります 00:03:43.807 --> 00:03:46.604 MadisonやNightwatchmanのような ドローンは 00:03:46.608 --> 00:03:47.899 このままの形で 00:03:47.899 --> 00:03:49.356 現実に存在するわけでは ありませんが 00:03:49.596 --> 00:03:53.567 未来のドローンの基本的な要素は 既に現実化しています 00:03:54.139 --> 00:03:55.303 たとえば 00:03:55.517 --> 00:03:57.637 顔認識システムは 至るところにあります 00:03:57.781 --> 00:04:00.341 電話にも 室温のコントローラにも 00:04:00.341 --> 00:04:02.747 街中の監視カメラにも組み込まれていて 00:04:02.764 --> 00:04:05.379 私たちの一挙一動を記録しています 00:04:05.379 --> 00:04:09.489 どの広告を眺めたかや どんな抗議行動に参加したかもです 00:04:09.747 --> 00:04:11.401 こうした装置は既にあるのに 00:04:11.415 --> 00:04:14.105 それがどう機能し どんな結果をもたらす可能性があるかを 00:04:14.105 --> 00:04:16.745 私たちはたいてい よく理解していません 00:04:17.273 --> 00:04:18.855 私たちはこんな装置に 取り囲まれています 00:04:18.855 --> 00:04:23.209 現在の行動がもたらす結果を 想像することの難しさが NOTE Paragraph 00:04:23.209 --> 00:04:25.024 私たちの未来に 影響を及ぼします 00:04:25.828 --> 00:04:27.443 私の住んでいる イギリスでは去年 [2016年] 00:04:27.453 --> 00:04:28.771 EUに留まるか離脱するか― 00:04:28.771 --> 00:04:30.693 いわゆる「Brexit」の賛否を問う 00:04:30.693 --> 00:04:34.065 国民投票が行われました 00:04:34.515 --> 00:04:36.530 投票結果が明らかになるとすぐ NOTE Paragraph 00:04:36.530 --> 00:04:39.520 「Bregret」(英国の後悔)という言葉が 使われだしました NOTE Paragraph 00:04:39.548 --> 00:04:40.723 (笑) 00:04:40.757 --> 00:04:44.307 抗議の意味を込めて EU離脱に賛成したものの 00:04:44.487 --> 00:04:47.911 結果について十分考えなかった 人々の行動を指します 00:04:49.055 --> 00:04:52.294 こうした「断絶」は ごく単純なことにも はっきり現れています 00:04:53.768 --> 00:04:55.502 たとえば 軽く1杯 呑みにいくとしましょう 00:04:55.506 --> 00:04:58.126 そのうち もう何杯か 呑んでもいいなと思い直します 00:04:58.460 --> 00:05:00.922 翌朝 ひどい気分で 目覚めるのがわかっていながら 00:05:00.922 --> 00:05:02.665 こう考えて正当化するのです 00:05:02.747 --> 00:05:04.615 「その問題は 未来の自分に任せよう」 00:05:05.669 --> 00:05:07.324 でも 次の朝が来ると気付くんです NOTE Paragraph 00:05:07.414 --> 00:05:09.381 その「未来の自分」は 今の自分だと 00:05:10.475 --> 00:05:13.566 私が育った 1970年代の終わりから 80年代初めのインドでは 00:05:13.566 --> 00:05:16.073 未来についての計画は必要だし 00:05:16.073 --> 00:05:18.183 実際に計画できるんだという 感覚がありました 00:05:18.277 --> 00:05:21.426 私の両親は ごく単純なことにも 計画を立てなければなりませんでした 00:05:21.500 --> 00:05:23.320 家に電話を引こうと考えた両親は 00:05:23.334 --> 00:05:25.321 申し込んでから 延々と待たされました NOTE Paragraph 00:05:25.795 --> 00:05:29.159 やっと工事が済んだのは 5年近く経ってからです NOTE Paragraph 00:05:29.159 --> 00:05:30.447 (笑) 00:05:30.447 --> 00:05:33.375 しかも 別の市に住んでいる祖父母に 電話をかけようと思ったら 00:05:33.375 --> 00:05:35.695 「長距離通話」の申し込みをして さらに何時間も 00:05:35.718 --> 00:05:38.655 ひどいときは何日も 待たされるのです 00:05:39.119 --> 00:05:41.679 そして夜中の2時に 突然 電話が鳴ると 00:05:41.703 --> 00:05:44.368 私たちはみなベッドから飛び出して 電話のまわりに集まり 00:05:44.368 --> 00:05:47.021 元気でやっているかどうかを 受話器に向かって大声で尋ねます NOTE Paragraph 00:05:47.219 --> 00:05:48.389 午前2時にですよ 00:05:49.493 --> 00:05:52.298 昨今は 変化が あまりにもめまぐるしく 00:05:53.172 --> 00:05:55.449 歴史の中で自らの置かれた位置を 理解するのが 00:05:55.453 --> 00:05:58.040 本当に難しくなっています 00:05:58.040 --> 00:06:01.502 そのために 不確実さや不安感に 押し潰されそうになって 00:06:01.682 --> 00:06:04.407 未来はただ 成り行きに まかせるばかりです 00:06:05.938 --> 00:06:08.250 私たちはまだ「未来の自分たち」を 自分のこととして感じていません 00:06:08.484 --> 00:06:10.672 未来の自分を 見知らぬ人のように扱い 00:06:10.785 --> 00:06:12.640 未来を異国の地のように 扱っています 00:06:13.794 --> 00:06:15.042 未来は異国ではありません 00:06:15.046 --> 00:06:16.610 未来は今も目の前で 00:06:16.690 --> 00:06:19.290 今の私たちの行動によって 少しずつ形作られていくのです 00:06:19.770 --> 00:06:21.470 私たち自身が その未来なのです 00:06:21.924 --> 00:06:24.547 自分の望む未来を求めて 戦う必要性が NOTE Paragraph 00:06:24.547 --> 00:06:27.482 かつてないほど高まり 待ったなしの状況だと思います 00:06:28.496 --> 00:06:29.890 私たちは活動を通して 00:06:29.890 --> 00:06:33.294 変化を促す 最も強力な 手段の1つを学びました 00:06:33.302 --> 00:06:36.820 それは 手で触れることができ 感情に訴える 直接的な体験を通じて 00:06:36.830 --> 00:06:40.374 現在の行動がもたらす未来の結果を 人々に知ってもらうことです 00:06:41.278 --> 00:06:44.414 今年 私たちは アラブ首長国連邦(UAE)に招かれ 00:06:44.468 --> 00:06:47.492 2050年までの エネルギー戦略の立案に 00:06:47.492 --> 00:06:49.330 協力しました 00:06:49.430 --> 00:06:53.668 UAE政府の経済データに基づいて この大都市モデルを作成し 00:06:53.668 --> 00:06:56.988 いくつもの可能な未来の姿を 視覚化しました 00:06:58.471 --> 00:07:00.898 政府職員やエネルギー企業の皆さんに 00:07:00.898 --> 00:07:03.429 私たちのモデルで 持続可能な未来を 00:07:03.449 --> 00:07:05.379 意気込んで説明していたとき 00:07:05.852 --> 00:07:07.639 参加者の1人が私に言いました 00:07:08.073 --> 00:07:10.946 「人々が自分で車を運転せず 公共輸送機関を使うようになる― 00:07:10.946 --> 00:07:12.966 そんな未来は想像できません」 00:07:13.960 --> 00:07:15.016 さらに続けて NOTE Paragraph 00:07:15.016 --> 00:07:18.377 「息子に車の運転をやめろなんて とても言えませんよ」とも 00:07:19.888 --> 00:07:21.935 でも この反応は予想していました 00:07:23.005 --> 00:07:26.560 私たちはインドの故郷の市で 化学研究所と協力して 00:07:26.560 --> 00:07:28.820 人々の行動が このまま変わらなかった場合 00:07:28.833 --> 00:07:33.476 2030年の空気がどうなるか 大まかに作ったサンプルを用意しました 00:07:34.640 --> 00:07:37.527 そして 空気のサンプルを噴き出す 装置のところへ 00:07:37.527 --> 00:07:40.793 このグループの人たちを 連れて行きました 00:07:41.734 --> 00:07:46.231 汚染された2030年の空気を ちょっと嗅いでもらうだけで 00:07:46.509 --> 00:07:48.681 どんな膨大なデータからも得られない 実感が得られました 00:07:49.080 --> 00:07:52.005 こんなものは 誰も子どもに 引き継がせたくない未来です 00:07:52.549 --> 00:07:55.092 翌日 UAE政府から 大きな発表がありました 00:07:55.116 --> 00:07:57.895 再生可能エネルギーに 何十億ドルも投入するというのです 00:07:58.439 --> 00:08:02.521 この決定に 私たちの未来体験が どれだけ影響したかはわかりませんが 00:08:02.711 --> 00:08:04.685 そんなシナリオを緩和するために NOTE Paragraph 00:08:04.685 --> 00:08:06.660 エネルギー政策を変えたことは 間違いありません 00:08:06.760 --> 00:08:10.230 未来からの空気などは とても具体的で効果がありますが 00:08:10.236 --> 00:08:13.001 私たちの現在から 未来の結果に至る経路は 00:08:13.007 --> 00:08:14.870 常にそれほど直線的だとは 限りません 00:08:15.744 --> 00:08:18.477 高い理想を掲げて開発した テクノロジーであっても 00:08:18.477 --> 00:08:21.262 研究室を離れて 現実の世界に入った瞬間から 00:08:21.267 --> 00:08:24.811 開発者のコントロールが 効かなくなってしまいます 00:08:25.985 --> 00:08:29.516 私たちは あるプロジェクトで メディカル・ゲノミクスを調査しました 00:08:29.710 --> 00:08:31.709 ヒトの遺伝子データを集めて 00:08:31.728 --> 00:08:34.896 個別化医療に利用する研究です 00:08:35.210 --> 00:08:36.864 私たちはこう問いかけました 00:08:36.864 --> 00:08:38.725 遺伝子学とヘルスケアを結びつけると 00:08:38.725 --> 00:08:41.291 どんな予想もしない結果が 生じるだろうか? 00:08:43.185 --> 00:08:45.077 この問題をさらに深く 考えるために 00:08:45.534 --> 00:08:47.410 私たちは架空の訴訟を想定し 00:08:47.523 --> 00:08:52.231 慎重に作り上げた31の証拠を 提示しました 00:08:52.295 --> 00:08:55.478 非合法の遺伝子クリニックを作り 00:08:56.072 --> 00:08:58.738 恒温培養器をDIYで組み立て NOTE Paragraph 00:08:59.158 --> 00:09:02.033 eBayで冷凍マウスを 購入することまでしました 00:09:02.262 --> 00:09:05.254 では この訴訟が行われている 未来に行って 00:09:05.254 --> 00:09:07.799 アーノルド・マン被告に 会っていただきましょう 00:09:08.173 --> 00:09:11.473 アーノルドを訴えたのは ダイナミック・ジェネティクスという 00:09:11.483 --> 00:09:13.341 バイオテクノロジーの グローバル企業で 00:09:13.491 --> 00:09:15.271 この会社が特許を持つ 遺伝子物質を 00:09:15.271 --> 00:09:18.055 アーノルドが自分の体に 不法に取り込んだ 00:09:18.055 --> 00:09:20.613 証拠があるというのです 00:09:21.513 --> 00:09:23.907 アーノルドはいったい どうしてそんなことを? 00:09:25.321 --> 00:09:26.704 事の発端は アーノルドが 00:09:26.704 --> 00:09:29.162 唾液サンプルを このキットに採取して 00:09:29.162 --> 00:09:31.602 英国の国民健康保険サービス(NHI)に 00:09:31.629 --> 00:09:34.969 提出するよう求められたことでした 00:09:35.073 --> 00:09:37.535 保険料の計算書が届いたとき 00:09:37.539 --> 00:09:39.921 自分と家族にはとても払えない 00:09:39.925 --> 00:09:42.309 とんでもなく高い保険料が 請求されていることを知って NOTE Paragraph 00:09:42.380 --> 00:09:45.511 アーノルドはショックを受けました 00:09:46.035 --> 00:09:48.573 国の保険料算定システムが 遺伝子データをスキャンして 00:09:48.573 --> 00:09:52.617 彼のDNAに潜む 慢性的疾患リスクを発見したのです 00:09:53.323 --> 00:09:55.679 病気の治療にかかる 潜在的コストに備えて 00:09:55.679 --> 00:09:57.692 その支払いを 00:09:58.190 --> 00:10:00.232 今日から始めよというのです 00:10:00.416 --> 00:10:02.456 恐怖のあまり パニックに陥ったアーノルドは 00:10:02.456 --> 00:10:04.434 裏社会に足を踏み入れ 00:10:04.434 --> 00:10:07.285 非合法クリニックでの 処置を求めました 00:10:07.432 --> 00:10:09.670 自分のDNAに手を加え 00:10:09.670 --> 00:10:12.947 保険料の算定アルゴリズムに リスクと見なされないようにして 00:10:13.677 --> 00:10:16.032 高額な保険料請求を 免れようとしたのでした 00:10:16.304 --> 00:10:18.022 でも この行為は露見して NOTE Paragraph 00:10:18.091 --> 00:10:21.813 「ダイナミック・ジェネティクス対マン訴訟」 が始まったのです 00:10:23.017 --> 00:10:25.531 このような未来を提示するにあたって 私たちが重視したのは 00:10:25.531 --> 00:10:27.449 人々がそうした可能性に触れ 00:10:27.449 --> 00:10:29.584 目で見て感じ取れるようにすること― 00:10:29.786 --> 00:10:32.317 なぜなら 間近でじかに 未来と出合うことで 00:10:32.317 --> 00:10:34.248 正しい質問を 発せられるからです 00:10:34.821 --> 00:10:35.957 たとえば― 00:10:35.957 --> 00:10:38.546 人が遺伝子に基づいて 判断される世界では 00:10:38.546 --> 00:10:40.737 どんなことが起きるのか? 00:10:41.220 --> 00:10:44.080 私の遺伝子データの権利は 誰が持っていて 00:10:44.080 --> 00:10:46.119 彼らはそれをどう扱うのか? 00:10:47.001 --> 00:10:49.723 あり得ないとか 飛躍しすぎだとか お考えかもしれませんが 00:10:49.737 --> 00:10:53.786 米国議会では今 ある目立たない法律が 成立しかかっています 00:10:53.786 --> 00:10:58.266 「従業員健康維持プログラム保護法」 (HR 1313)というものです 00:10:58.739 --> 00:11:01.315 これは 遺伝子情報差別禁止法― 00:11:01.315 --> 00:11:04.623 通称GINAを修正するもので 00:11:04.701 --> 00:11:08.145 雇用者が全従業員に対し 家族の医療情報と遺伝子データを 00:11:08.145 --> 00:11:10.708 開示するよう求めることを認める 00:11:10.708 --> 00:11:12.042 初めての法案です NOTE Paragraph 00:11:12.996 --> 00:11:16.280 開示を拒否した場合 大きなペナルティが科されるでしょう 00:11:17.414 --> 00:11:19.097 ここまで見ていただいた プロジェクトでは 00:11:19.101 --> 00:11:21.379 ドローンにしろ 遺伝子に関わる犯罪にしろ 00:11:21.379 --> 00:11:23.601 望まない未来を 回避できるようにするため 00:11:23.601 --> 00:11:26.458 未来のやっかいな面を 提示していました 00:11:27.027 --> 00:11:29.119 でも回避できないものについては? 00:11:29.543 --> 00:11:31.613 現在 私たちは 特に気候変動の面で 00:11:31.621 --> 00:11:33.800 難局に向かって 突き進んでいるように見えます 00:11:34.134 --> 00:11:37.211 ですから 今 私たちがやりたいのは そうした未来に備えること 00:11:37.211 --> 00:11:39.883 希望を―行動のきっかけとなる 希望を見出す力となるツールや態度を NOTE Paragraph 00:11:39.903 --> 00:11:44.061 用意し 育む取り組みです 00:11:44.870 --> 00:11:47.517 現在 私たちは工房で ある実験をしています 00:11:47.709 --> 00:11:49.373 まだ進行中ですが 00:11:49.597 --> 00:11:51.873 気候データの予測に基づいて 00:11:51.873 --> 00:11:53.226 西洋が豊かさを失い 00:11:53.226 --> 00:11:56.627 物資が乏しくなった 未来の世界を研究しています 00:11:56.689 --> 00:11:59.986 洪水が頻繁に起こり 00:12:00.236 --> 00:12:01.640 スーパーにほとんど食料がなく 00:12:01.640 --> 00:12:03.685 経済は不安定で 00:12:03.685 --> 00:12:06.421 サプライチェーンは崩壊― 00:12:07.055 --> 00:12:11.221 ただ生き延びるだけでなく 繁栄する術はないものでしょうか? NOTE Paragraph 00:12:12.053 --> 00:12:13.802 何を食べられるでしょう? 00:12:14.126 --> 00:12:15.910 この問題を深く追究するために 00:12:15.910 --> 00:12:19.726 私たちは2050年のロンドンを想定した アパートの部屋を作っています 00:12:20.574 --> 00:12:23.450 未来から持ち込んだ 小さなタイムカプセルみたいなもので 00:12:24.204 --> 00:12:26.110 最小限必要なものだけに 絞り込んだので 00:12:26.110 --> 00:12:28.126 私たちがぜひ家庭にほしいと 思うようなものは― 00:12:28.126 --> 00:12:29.712 薄型テレビも 00:12:29.712 --> 00:12:31.441 インターネット接続付きの冷蔵庫も 00:12:31.441 --> 00:12:32.763 職人技の光る家具も 00:12:32.833 --> 00:12:34.285 まったく置けません 00:12:34.679 --> 00:12:37.243 その代わりに私たちは フード・コンピュータを 00:12:37.255 --> 00:12:40.032 廃品や拾った材料などを再利用して 組み立てています 00:12:40.642 --> 00:12:43.063 現在の廃棄物を 明日の食料に変えるのです 00:12:44.642 --> 00:12:45.530 たとえば 00:12:45.534 --> 00:12:49.520 1号機が完成したばかりの 全自動フォグポニックス(噴霧耕)・マシンです 00:12:49.784 --> 00:12:51.953 水も土も使わず 肥料を霧状に噴霧する 00:12:51.953 --> 00:12:54.588 フォグポニックスの技術を使って 00:12:55.084 --> 00:12:56.833 作物を急速に育てます 00:12:57.277 --> 00:12:58.481 今のところ 00:12:58.481 --> 00:13:00.788 トマトの栽培に成功しています 00:13:01.095 --> 00:13:04.390 でも この小さな部屋で 栽培できる量では足りません 00:13:04.649 --> 00:13:07.021 都市で確保できる食料は 他にないでしょうか? NOTE Paragraph 00:13:07.504 --> 00:13:10.793 昆虫? ハト? キツネ? 00:13:13.827 --> 00:13:16.300 前に私たちは 未来から 空気を持ち帰りました 00:13:16.524 --> 00:13:20.041 今回は1部屋まるごと 持ってこようとしています 00:13:20.041 --> 00:13:21.914 厳しい環境条件の中で 00:13:21.944 --> 00:13:24.875 積極的な行動を起こすための 希望とツールと戦術の詰まった部屋です 00:13:25.369 --> 00:13:27.072 私たちの未来の家に なるかもしれない 00:13:27.086 --> 00:13:29.028 この部屋で過ごしてみると 00:13:29.028 --> 00:13:32.257 気候変動や食料不足の もたらす結果を NOTE Paragraph 00:13:32.257 --> 00:13:34.705 直接 現実のものとして 実感できできます 00:13:37.237 --> 00:13:38.728 こうした実験や実践 また人々との交流を通じて 00:13:38.742 --> 00:13:41.453 私たちが学んでいるのは 00:13:41.453 --> 00:13:44.311 具体的な体験を 作り出すことによって 00:13:44.311 --> 00:13:47.375 切り離された現在と未来の 橋渡しができるということです 00:13:47.499 --> 00:13:50.815 いくつもの可能な未来に 自分の身を置いてみて 00:13:50.815 --> 00:13:53.925 私たちの行動が招くかもしれない 不安や不快を 00:13:53.925 --> 00:13:56.450 心を開いて受け入れてみることにより 00:13:56.603 --> 00:13:59.647 新たな可能性を想像する 機会が得られるのです 00:14:00.291 --> 00:14:02.032 より楽観的な未来を 見つけることができます 00:14:02.032 --> 00:14:03.841 前に進む道を 見つけられます 00:14:03.841 --> 00:14:06.041 希望を行動に 結びつけることができます 00:14:06.746 --> 00:14:09.949 つまり 私たちには 方向転換のチャンスがある― 00:14:11.252 --> 00:14:13.417 声を上げて 私たちの望む未来に 00:14:13.778 --> 00:14:18.006 自分の意思を書き込む チャンスがあるということです NOTE Paragraph 00:14:19.519 --> 00:14:21.526 別の世界もあり得るのです NOTE Paragraph 00:14:22.540 --> 00:14:23.959 ありがとうございました 00:14:24.194 --> 00:14:27.774 (拍手)