1 00:00:01,119 --> 00:00:04,590 1781年 英国の作曲家であり 科学技術者であり 2 00:00:04,590 --> 00:00:07,729 天文学者であるウィリアム・ハーシェルは 3 00:00:07,729 --> 00:00:09,472 空に他の星とは 動きが異なる天体が 4 00:00:09,472 --> 00:00:12,340 あることに気づきました 5 00:00:12,340 --> 00:00:15,434 何かが異なり 6 00:00:15,434 --> 00:00:17,301 何かがおかしいという ハーシェルの認識は 7 00:00:17,301 --> 00:00:19,123 惑星の発見になったのです 8 00:00:19,123 --> 00:00:21,200 その惑星は 天王星です 9 00:00:21,200 --> 00:00:22,555 天王星という名前は 10 00:00:22,555 --> 00:00:25,715 何世代にもわたって 子どもたちを楽しませました 11 00:00:25,715 --> 00:00:28,050 その夜に発見された惑星によって 12 00:00:28,050 --> 00:00:30,666 それまでに知られていた 太陽系の大きさが2倍になりました 13 00:00:30,666 --> 00:00:32,521 ほんの先月のこと NASAは 14 00:00:32,521 --> 00:00:34,850 近隣恒星の周りを回る軌道にある 15 00:00:34,850 --> 00:00:36,976 517個の新惑星を発見したと 発表しました 16 00:00:36,976 --> 00:00:39,227 我が銀河系で知られている惑星の数が 17 00:00:39,227 --> 00:00:41,825 一夜でほぼ2倍になりました 18 00:00:41,825 --> 00:00:44,457 天文学は データの収集能力が 19 00:00:44,457 --> 00:00:46,595 毎年ほぼ2倍になることにより 20 00:00:46,595 --> 00:00:49,140 絶えず変革を遂げてきています 21 00:00:49,140 --> 00:00:50,948 今後20年以内には 22 00:00:50,948 --> 00:00:53,266 宇宙にある主だった銀河系を 23 00:00:53,266 --> 00:00:56,120 史上初めて 24 00:00:56,120 --> 00:00:57,844 発見することになるかもしれません 25 00:00:57,844 --> 00:01:00,128 しかし このビッグデータの時代に突入し 26 00:01:00,128 --> 00:01:02,108 データ量が多ければよいということと 27 00:01:02,108 --> 00:01:05,269 異なる内容を含むデータを集めることの 28 00:01:05,269 --> 00:01:07,249 違いを理解し始め 29 00:01:07,249 --> 00:01:10,140 疑問の投げかけ方を 変えられるようになりました 30 00:01:10,140 --> 00:01:13,460 この違いはデータ収集量ではなく 31 00:01:13,460 --> 00:01:15,149 それらのデータが宇宙への新しい窓を 32 00:01:15,149 --> 00:01:16,527 開くかどうかであり 33 00:01:16,527 --> 00:01:19,412 天空の見方を 変えるかどうかなのです 34 00:01:19,412 --> 00:01:22,851 宇宙への次なる窓とは何でしょうか? 35 00:01:22,851 --> 00:01:25,642 天文学の次章とは何でしょうか? 36 00:01:25,642 --> 00:01:28,297 今後20年間に開発する 37 00:01:28,297 --> 00:01:30,861 ツールや技術を紹介し 38 00:01:30,861 --> 00:01:32,334 このような技術が 39 00:01:32,334 --> 00:01:34,202 データを上手に扱うことによって 40 00:01:34,202 --> 00:01:37,172 宇宙への窓 つまり 41 00:01:37,172 --> 00:01:39,219 時間への窓を開くことで 今一度天文学を 42 00:01:39,219 --> 00:01:41,000 変革させるかを説明します 43 00:01:41,000 --> 00:01:43,584 なぜ時間なのでしょうか? 時間とは起源に関することで 44 00:01:43,584 --> 00:01:45,474 また 進化に関することなのです 45 00:01:45,474 --> 00:01:46,970 太陽系の起源- 46 00:01:46,970 --> 00:01:49,174 太陽系の形成過程は 47 00:01:49,174 --> 00:01:52,583 特異であり 特別なのでしょうか? 48 00:01:52,583 --> 00:01:54,574 宇宙の進化において 49 00:01:54,574 --> 00:01:57,580 なぜ宇宙は膨張し続けているのでしょうか? 50 00:01:57,580 --> 00:01:59,513 宇宙を膨張させた 51 00:01:59,513 --> 00:02:02,128 神秘的なダークエネルギーとは 何なのでしょうか? 52 00:02:02,128 --> 00:02:04,892 まず最初に技術が いかに空への見方を 53 00:02:04,892 --> 00:02:07,663 変えるのかについてお話します 54 00:02:07,663 --> 00:02:09,169 想像してみてください 55 00:02:09,169 --> 00:02:11,262 あなたはチリ北部にある山脈で 座っていて 56 00:02:11,262 --> 00:02:12,669 日が昇るの数時間前に 57 00:02:12,669 --> 00:02:14,717 太平洋のある西側を 58 00:02:14,717 --> 00:02:17,281 見ています 59 00:02:17,281 --> 00:02:20,518 これは 夜空の光景で 60 00:02:20,518 --> 00:02:22,189 天の川が地平線にちょっと顔を 61 00:02:22,189 --> 00:02:25,102 覗かせている美しい光景 を眺めています 62 00:02:25,102 --> 00:02:27,262 それは 静止した光景でもあります 63 00:02:27,262 --> 00:02:30,020 多くの意味で これが私たちの 宇宙に対する考え方- 64 00:02:30,020 --> 00:02:32,414 永遠と不変であるということです 65 00:02:32,414 --> 00:02:34,405 しかし 宇宙は静止しておらず 66 00:02:34,405 --> 00:02:36,936 数秒から数十億年の時間的尺度で 67 00:02:36,936 --> 00:02:38,781 たえず変化しているのです 68 00:02:38,781 --> 00:02:40,525 銀河同士は 69 00:02:40,525 --> 00:02:43,180 融合したり 毎時数十万マイルの速さで 衝突します 70 00:02:43,180 --> 00:02:45,250 星は生まれては 死にますが 71 00:02:45,250 --> 00:02:48,400 華々しく爆発して散るのです 72 00:02:48,400 --> 00:02:49,670 実際 チリの静かな空に戻り 73 00:02:49,670 --> 00:02:52,269 時間を進めて 74 00:02:52,269 --> 00:02:54,734 その空が来年にかけて 75 00:02:54,734 --> 00:02:59,127 どう変化するのかをみてみましょう 76 00:02:59,127 --> 00:03:01,417 目にしたパルスは 77 00:03:01,417 --> 00:03:05,826 超新星- 死にゆく星の残像で 78 00:03:05,826 --> 00:03:09,573 爆発して輝きを増し そして視界から消えていくのです 79 00:03:09,573 --> 00:03:11,463 それぞれの超新星は 太陽よりも 80 00:03:11,463 --> 00:03:14,466 50億倍も明るいのです 81 00:03:14,466 --> 00:03:16,806 ですから遥か彼方にあっても 82 00:03:16,806 --> 00:03:19,302 ほんの短時間だけですが 見ることができます 83 00:03:19,302 --> 00:03:21,879 1秒間に10個の超新星が 宇宙のどこかで 84 00:03:21,879 --> 00:03:23,296 爆発しています 85 00:03:23,296 --> 00:03:24,716 音を聞くことができたなら 86 00:03:24,716 --> 00:03:28,415 ポップコーンがはじける音のようかも しれません 87 00:03:28,415 --> 00:03:31,542 さて 超新星の話はここまでにしますが 88 00:03:31,542 --> 00:03:34,771 変化するものは明るさだけではありません 89 00:03:34,771 --> 00:03:37,110 天空は絶えず動いています 90 00:03:37,110 --> 00:03:40,280 空を横切るように動いている一群は 91 00:03:40,280 --> 00:03:42,938 太陽の周りを回る小惑星で 92 00:03:42,938 --> 00:03:44,910 変化や動きが見られます 93 00:03:44,910 --> 00:03:47,234 系の動力学により 94 00:03:47,234 --> 00:03:49,607 宇宙のモデルを作り 95 00:03:49,607 --> 00:03:53,680 未来を予測したり 過去を説明することができます 96 00:03:53,680 --> 00:03:56,774 私たちが過去10年間 使っていた望遠鏡は 97 00:03:56,774 --> 00:04:00,789 この規模のデータを捉えるように 設計されていません 98 00:04:00,789 --> 00:04:02,409 ハッブル宇宙望遠鏡ですが 99 00:04:02,409 --> 00:04:04,670 過去25年間に 100 00:04:04,670 --> 00:04:06,631 宇宙遠方の 最も詳細な画像の多くを 101 00:04:06,631 --> 00:04:08,622 記録してきました 102 00:04:08,622 --> 00:04:10,692 でも もし空全体の画像を ただ一度作成するのに 103 00:04:10,692 --> 00:04:15,270 ハッブル天体望遠鏡を使うとすると 1,300万枚の画像を 104 00:04:15,270 --> 00:04:18,982 約120年かけて撮らなければなりません 105 00:04:18,982 --> 00:04:21,243 そのことが 我々が 新しい技術や新しい望遠鏡を 106 00:04:21,243 --> 00:04:23,090 開発する動機となりました 107 00:04:23,090 --> 00:04:24,832 信号が弱くなる 108 00:04:24,832 --> 00:04:26,385 遠方の宇宙を捉える望遠鏡 109 00:04:26,385 --> 00:04:29,066 しかも できるだけ素早く画像を撮って 110 00:04:29,066 --> 00:04:31,885 広い範囲を撮影できる望遠鏡です 111 00:04:31,885 --> 00:04:35,446 大型シノプティック・サーベイ望遠鏡 112 00:04:35,446 --> 00:04:37,325 LSSTともいいますが― 113 00:04:37,325 --> 00:04:39,665 天文学史上 114 00:04:39,665 --> 00:04:41,644 最も素晴らしい実験装置につけられた 115 00:04:41,644 --> 00:04:43,636 最も平凡な名前なのかもしれません 116 00:04:43,636 --> 00:04:45,850 実際 科学者やエンジニアに 117 00:04:45,850 --> 00:04:48,518 我が子の名前であれ 何であれ 118 00:04:48,518 --> 00:04:54,349 名前を付けさせるべきではないという 証明なのです (笑) 119 00:04:54,349 --> 00:04:55,814 私たちはLSSTを作っています 120 00:04:55,814 --> 00:04:59,195 10年以内にデータの取得を 開始する予定です 121 00:04:59,195 --> 00:05:00,894 我々の考えを紹介します 122 00:05:00,894 --> 00:05:04,471 宇宙に対する考えは 変わっていくでしょう 123 00:05:04,471 --> 00:05:06,845 それというのもLSSTによる1枚の画像は 124 00:05:06,845 --> 00:05:09,230 ハッブル宇宙望遠鏡の 125 00:05:09,230 --> 00:05:11,356 3,000枚分の画像に相当し 126 00:05:11,356 --> 00:05:14,494 3.5度分の空の画像で 127 00:05:14,494 --> 00:05:17,270 満月の幅の7倍あります 128 00:05:17,270 --> 00:05:19,579 この規模の画像は どのように見るのでしょう? 129 00:05:19,579 --> 00:05:23,730 携帯のカメラや 表通りで買ったデジカメのものと 130 00:05:23,730 --> 00:05:26,891 同じ技術を使って 131 00:05:26,891 --> 00:05:30,682 史上最大の望遠鏡を作るとします 132 00:05:30,682 --> 00:05:33,802 直径約1.7m 133 00:05:33,802 --> 00:05:36,210 フォルクスワーゲン・ビートル くらいのサイズで 134 00:05:36,210 --> 00:05:39,168 1枚の画像は30億ピクセルからなります 135 00:05:39,168 --> 00:05:40,506 1枚のLSST画像を 136 00:05:40,506 --> 00:05:43,735 最大解像度で見ようとすると 137 00:05:43,735 --> 00:05:48,460 1,500台もの高解像度TVスクリーンが 必要です 138 00:05:48,460 --> 00:05:51,238 しかもこのカメラは 139 00:05:51,238 --> 00:05:54,276 20秒ごとに新しい写真をとって 空をたえず走査していき 140 00:05:54,276 --> 00:05:56,464 空の全体像を作りあげていきます 141 00:05:56,464 --> 00:05:59,289 3晩ごとにチリ上空の 真新しい景色が 142 00:05:59,289 --> 00:06:01,672 見られます 143 00:06:01,672 --> 00:06:04,507 この望遠鏡が役目を終えるまでに 144 00:06:04,507 --> 00:06:07,859 400億個の星や銀河が見えることでしょう 145 00:06:07,859 --> 00:06:09,359 地上の人々の数よりも多くの 146 00:06:09,359 --> 00:06:12,134 宇宙に存在する天体が 147 00:06:12,134 --> 00:06:14,823 史上初めて見えることになるでしょう 148 00:06:14,823 --> 00:06:16,038 このことを テラバイト 149 00:06:16,038 --> 00:06:18,400 ペタバイト 数十億個の物体という 150 00:06:18,400 --> 00:06:19,919 言葉を使って語ったりしますが 151 00:06:19,919 --> 00:06:21,667 このカメラから送られてくる 152 00:06:21,667 --> 00:06:23,566 データ量を感覚的に ご理解いただくには 153 00:06:23,566 --> 00:06:28,297 録画されたTEDTalksを 154 00:06:28,297 --> 00:06:31,370 全て同時に 毎日24時間 週7日間 155 00:06:31,370 --> 00:06:34,228 10年間再生し続けるようなものと お考えください 156 00:06:34,228 --> 00:06:36,489 そして このデータ処理量は 157 00:06:36,489 --> 00:06:38,413 すべてのTEDTalksの 158 00:06:38,413 --> 00:06:40,662 ビデオの各パートを見て 159 00:06:40,662 --> 00:06:42,518 コマから次のコマへの変化を調べて 160 00:06:42,518 --> 00:06:44,543 全ての「新しいアイデア」や 「新しい概念」を 161 00:06:44,543 --> 00:06:46,388 検索するようなものです 162 00:06:46,388 --> 00:06:48,739 そして このことが科学の有り様や 163 00:06:48,739 --> 00:06:50,994 天文学の有り様を変えています 164 00:06:50,994 --> 00:06:53,250 つまりソフトウェアやアルゴリズムにより 165 00:06:53,250 --> 00:06:55,118 データから情報を見出すことであり 166 00:06:55,118 --> 00:06:58,324 我々が作り上げた望遠鏡やカメラと同じくらい 167 00:06:58,324 --> 00:07:02,351 ソフトウェアが科学にとっての 生命線になっているのです 168 00:07:02,351 --> 00:07:04,938 さて このプロジェクトで 169 00:07:04,938 --> 00:07:06,873 数千もの発見がなされるでしょうが 170 00:07:06,873 --> 00:07:08,324 この規模のデータ・アクセスにより 171 00:07:08,324 --> 00:07:10,687 変革が起こるかもしれない 172 00:07:10,687 --> 00:07:12,940 起源と進化に関する2つのアイデアを 173 00:07:12,940 --> 00:07:15,501 お話ししたいと思います 174 00:07:15,501 --> 00:07:17,886 過去5年間 NASAは 1,000個を超える 175 00:07:17,886 --> 00:07:20,147 恒星の周囲を回る 176 00:07:20,147 --> 00:07:22,240 惑星系を発見してきましたが 177 00:07:22,240 --> 00:07:24,170 私たちが見つけた系は 178 00:07:24,170 --> 00:07:26,660 太陽系とはあまり似ていませんでした 179 00:07:26,660 --> 00:07:28,235 私たちの努力不足では? 180 00:07:28,235 --> 00:07:30,553 それとも 太陽系の形成が特別であり 181 00:07:30,553 --> 00:07:32,319 特異なものではないか? 182 00:07:32,319 --> 00:07:34,737 などといった疑問に直面しました 183 00:07:34,737 --> 00:07:36,999 その疑問に答るのなら 184 00:07:36,999 --> 00:07:38,438 太陽系の歴史を 185 00:07:38,438 --> 00:07:41,274 詳細に理解する必要があります 186 00:07:41,274 --> 00:07:43,411 詳細にというのがポイントです 187 00:07:43,411 --> 00:07:47,077 空を見上げると 188 00:07:47,077 --> 00:07:50,628 空を横切る小惑星があり 189 00:07:50,628 --> 00:07:54,850 まるで太陽系の破片のようです 190 00:07:54,850 --> 00:07:56,858 小惑星の位置は 191 00:07:56,858 --> 00:07:58,995 海王星や天王星の軌道が 192 00:07:58,995 --> 00:08:00,975 ずっと太陽に近かった初期の頃に 193 00:08:00,975 --> 00:08:02,870 刻まれた記録のようなもので 194 00:08:02,870 --> 00:08:06,323 このような大型惑星が太陽系を 移動する時 195 00:08:06,323 --> 00:08:09,653 その軌跡にあった小惑星を まき散らしたのでした 196 00:08:09,653 --> 00:08:10,959 小惑星の研究は 197 00:08:10,959 --> 00:08:13,080 あたかも科学捜査を- 198 00:08:13,080 --> 00:08:15,638 太陽系の科学捜査を 行っているかのようです 199 00:08:15,638 --> 00:08:18,340 しかしこれを行うためには 距離を知らねばならず 200 00:08:18,340 --> 00:08:20,419 距離を知るには 動きを測る必要がありますが 201 00:08:20,419 --> 00:08:24,966 動きは時間を利用することによって 得られます 202 00:08:24,966 --> 00:08:26,668 これはどういうことでしょう? 203 00:08:26,668 --> 00:08:28,895 画面を動き回る 204 00:08:28,895 --> 00:08:31,168 小さな黄色い小惑星を見ると 205 00:08:31,168 --> 00:08:33,597 私たちに 地球に最も接近しているので 206 00:08:33,597 --> 00:08:36,938 最も速く動いているように見えます 207 00:08:36,938 --> 00:08:38,446 いつの日か宇宙船を小惑星に送り 208 00:08:38,446 --> 00:08:41,844 鉱物を採掘するかもしれませんし 209 00:08:41,844 --> 00:08:43,846 しかし 6,000万年前に 210 00:08:43,846 --> 00:08:45,511 恐竜が絶滅したように あるいは 211 00:08:45,511 --> 00:08:46,802 前世紀初頭には 212 00:08:46,802 --> 00:08:49,437 小惑星が1,000平方メートルの シベリアの森林を 213 00:08:49,437 --> 00:08:51,259 消滅させたように あるいは 214 00:08:51,259 --> 00:08:52,591 去年 ロシア上空で 215 00:08:52,591 --> 00:08:56,180 小型核爆弾級のエネルギーを放出したように 216 00:08:56,180 --> 00:08:59,268 いつの日にか また小惑星が 217 00:08:59,268 --> 00:09:02,880 地球に衝突するかもしれません 218 00:09:02,880 --> 00:09:06,502 つまり 太陽系の科学捜査という 研究によって 219 00:09:06,502 --> 00:09:08,560 過去だけではなく 220 00:09:08,560 --> 00:09:12,371 私たちの未来をも予測できるのです 221 00:09:14,771 --> 00:09:16,739 さて 遠く離れてみると 222 00:09:16,739 --> 00:09:20,328 太陽の周りを回る小惑星の普段の姿は 223 00:09:20,328 --> 00:09:21,650 この様に見えるでしょう 224 00:09:21,650 --> 00:09:24,557 このように視覚化された すべての点が 225 00:09:24,557 --> 00:09:27,320 本物の小惑星なのです 226 00:09:27,320 --> 00:09:31,330 軌道は空を横切る動きから 計算されました 227 00:09:31,330 --> 00:09:34,671 色は小惑星の成分を反映しています 228 00:09:34,671 --> 00:09:36,808 中央部のものは水分を含まず かつ石質ですが 229 00:09:36,808 --> 00:09:39,395 縁辺部にあるものは 水分を多く含み原始的です 230 00:09:39,395 --> 00:09:41,679 太古に小惑星が地球に衝突した時 231 00:09:41,679 --> 00:09:45,130 水を豊富に含む小惑星が 地球の海の形成に 232 00:09:45,130 --> 00:09:48,336 一役買ったのかもしれません 233 00:09:50,127 --> 00:09:52,959 LSSTは広い範囲を撮れるだけでなく 234 00:09:52,959 --> 00:09:54,657 弱い信号も検知できるので 235 00:09:54,657 --> 00:09:56,465 私たちは太陽系の内側から 236 00:09:56,465 --> 00:09:59,652 遥か離れたところにある- 237 00:09:59,652 --> 00:10:03,465 海王星や火星の軌道の彼方にある小惑星や 238 00:10:03,465 --> 00:10:05,726 太陽から約1光年離れている 彗星や小惑星を 239 00:10:05,726 --> 00:10:08,956 見ることができるのです 240 00:10:08,956 --> 00:10:11,565 この図の細部を見てみると― 241 00:10:11,565 --> 00:10:14,692 10倍から100倍に拡大してみると 242 00:10:14,692 --> 00:10:17,122 次のような疑問に答えることが できるでしょう 243 00:10:17,122 --> 00:10:20,711 たとえば 海王星の軌道の 外側にある惑星が存在する証拠や 244 00:10:20,711 --> 00:10:23,218 地球の衝突し得る小惑星を 245 00:10:23,218 --> 00:10:25,753 危険となるかなり前に見つけたり 246 00:10:25,753 --> 00:10:27,510 おそらくは 太陽が独自に形成されたのか 247 00:10:27,510 --> 00:10:30,690 もしくは星の集団の中で 形成されたのか といったことや 248 00:10:30,690 --> 00:10:33,772 太陽には兄弟星があって それが― 249 00:10:33,772 --> 00:10:37,214 太陽系の形成に影響を 与えたのではないかということや 250 00:10:37,214 --> 00:10:42,967 それが 我が太陽系の類が それほど稀である 理由かもしれない といったことです 251 00:10:42,974 --> 00:10:47,536 さて 距離と宇宙の変化についてですが 252 00:10:47,536 --> 00:10:51,395 (地球からの)距離は 宇宙の時間と同等であり 253 00:10:51,395 --> 00:10:53,454 宇宙の変化でもあります 254 00:10:53,454 --> 00:10:56,244 1フィートずつ離れて見るごとに または 255 00:10:56,244 --> 00:10:58,729 物体が1フィートずつ離れるごとに 256 00:10:58,729 --> 00:11:02,318 10億分の1秒ほどの 過去の宇宙の姿が見られます 257 00:11:02,318 --> 00:11:04,931 この過去を見るという 発想や概念は 258 00:11:04,931 --> 00:11:07,562 宇宙についての考え方に 1度ならずも 259 00:11:07,562 --> 00:11:09,842 革命をもたらしました 260 00:11:09,842 --> 00:11:12,654 最初は1929年で 261 00:11:12,654 --> 00:11:14,746 エドウィン・ハッブルという天文学者が 262 00:11:14,746 --> 00:11:16,995 宇宙が膨張していることを証明し 263 00:11:16,995 --> 00:11:19,708 ビックバン理論へと発展しました 264 00:11:19,708 --> 00:11:22,290 観測結果は 265 00:11:22,290 --> 00:11:24,444 24個の銀河系と 266 00:11:24,444 --> 00:11:27,494 手書きの図表という単純なものでした 267 00:11:29,124 --> 00:11:33,784 しかし 銀河系が遠ければ遠いほど 268 00:11:33,784 --> 00:11:35,854 より速いスピードで遠ざかる という考え方は 269 00:11:35,854 --> 00:11:39,273 それだけで 現代宇宙論を生みだすのに十分でした 270 00:11:39,273 --> 00:11:41,698 その70年後に 2回目の革命がありました 271 00:11:41,698 --> 00:11:43,770 天文学者の2つのグループが 272 00:11:43,770 --> 00:11:46,203 宇宙は単に膨張しているのではなく 膨張速度が― 273 00:11:46,203 --> 00:11:47,528 加速していることを示しました 274 00:11:47,528 --> 00:11:50,871 空に向かってボールを投げたとき 275 00:11:50,871 --> 00:11:53,683 高く遠ざかるにつれて 速度を増していくことを見出すような 276 00:11:53,683 --> 00:11:55,461 そんな驚きでした 277 00:11:55,461 --> 00:11:56,970 超新星の明るさと 278 00:11:56,970 --> 00:11:59,375 超新星の明るさが 遠くなるにつれ 279 00:11:59,375 --> 00:12:01,209 どの程度弱くなるのかを 測定することで 280 00:12:01,209 --> 00:12:03,380 このことを証明したのでした 281 00:12:03,380 --> 00:12:05,833 これらの観察結果はより複雑です 282 00:12:05,833 --> 00:12:08,847 超新星は 283 00:12:08,847 --> 00:12:12,897 ハッブルが観察した銀河より 284 00:12:12,897 --> 00:12:14,855 2,000倍以上も 遠い銀河系にあるので 285 00:12:14,855 --> 00:12:17,543 新技術や新しい望遠鏡が 必要となるのです 286 00:12:17,543 --> 00:12:22,854 超新星の爆発は 1つの銀河系で 287 00:12:22,854 --> 00:12:24,608 100年に1度しか起こらないので 288 00:12:24,608 --> 00:12:27,690 3年間かけても 42個の超新星しか 発見していません 289 00:12:27,690 --> 00:12:29,974 数万個の銀河系を探して 290 00:12:29,974 --> 00:12:33,993 3年間で42個の超新星なのです 291 00:12:33,993 --> 00:12:35,844 データを収集し 292 00:12:35,844 --> 00:12:39,592 発見したものがこの図面です 293 00:12:39,592 --> 00:12:42,303 これは印象的には見えないかもしれません 294 00:12:42,303 --> 00:12:46,418 しかし 110億光年離れている超新星の 295 00:12:46,418 --> 00:12:48,848 明るさを予測した線があって 296 00:12:48,848 --> 00:12:50,894 その線上に当て嵌まらない 一握りの点が 297 00:12:50,894 --> 00:12:54,690 物理学における革命なのです 298 00:12:54,690 --> 00:12:58,803 小さな変化が大きな結果を もたらします 299 00:12:58,803 --> 00:13:01,751 小さな変化は ハーシェルが惑星を見つけたように 300 00:13:01,751 --> 00:13:04,574 発見の機会を与えてくれます 301 00:13:04,574 --> 00:13:06,846 小さな変化は 宇宙に対する理解を 302 00:13:06,846 --> 00:13:09,247 覆します 303 00:13:09,247 --> 00:13:12,711 42個の超新星において光が 僅かながらも弱いなら 304 00:13:12,711 --> 00:13:14,720 僅かながら距離が遠く 305 00:13:14,720 --> 00:13:17,880 宇宙が単に膨張しているのではなく 306 00:13:17,880 --> 00:13:21,210 この膨張が加速していることを意味し 307 00:13:21,210 --> 00:13:23,156 今やダークエネルギーと呼ばれている 308 00:13:23,156 --> 00:13:25,642 宇宙の要素を存在を明らかにします 309 00:13:25,642 --> 00:13:28,151 これは今日の宇宙のエネルギーの 310 00:13:28,151 --> 00:13:31,178 68%を占めており 311 00:13:31,178 --> 00:13:33,213 膨張を加速させている要素です 312 00:13:34,751 --> 00:13:38,575 次の起こりうる革命とは何なのでしょうか? 313 00:13:38,575 --> 00:13:41,294 ダークエネルギーとは何であり なぜ存在するのでしょう? 314 00:13:41,294 --> 00:13:43,622 これらの個々の線は それぞれ 315 00:13:43,622 --> 00:13:46,465 ダークエネルギーに関する 異なるモデルを示し 316 00:13:46,465 --> 00:13:48,946 ダークエネルギーの特性を表しています 317 00:13:48,946 --> 00:13:52,569 それらはいずれも42個の点と整合的です 318 00:13:52,569 --> 00:13:54,796 しかし これらの線の背後にある 319 00:13:54,796 --> 00:13:56,899 考え方が抜本的に違うのです 320 00:13:56,899 --> 00:13:59,442 ダークエネルギーは 時間と共に変化すると 321 00:13:59,442 --> 00:14:00,900 考える人たちもいれば 322 00:14:00,900 --> 00:14:03,188 暗黒エネルギーの特性は どこで空を見るかで 323 00:14:03,188 --> 00:14:05,944 異なると考える人たちもいます 324 00:14:05,944 --> 00:14:07,767 亜原子レベルで 物理学に 325 00:14:07,767 --> 00:14:10,815 変化や違いをもたらすと 考える人たちもいます 326 00:14:10,815 --> 00:14:13,605 あるいは 大きな規模で 327 00:14:13,605 --> 00:14:17,170 重力や一般相対性理論の修正を考えたり 328 00:14:17,170 --> 00:14:19,961 私たちの宇宙が数ある宇宙の一つ つまり 329 00:14:19,961 --> 00:14:22,559 この神秘的な多元宇宙の一部だ と言う人たちもいます 330 00:14:22,559 --> 00:14:25,720 これらの考え方や理論のすべてが 331 00:14:25,720 --> 00:14:29,219 素晴らしく ―幾分クレージーなものもありますが― 332 00:14:29,219 --> 00:14:33,246 いずれも42個の点と 整合しています 333 00:14:33,246 --> 00:14:35,428 次の10年でこのことを 理解するために 334 00:14:35,428 --> 00:14:37,700 どうすればいいのでしょうか? 335 00:14:37,700 --> 00:14:40,930 私があなたに2つのサイコロ をあげたとします 336 00:14:40,930 --> 00:14:42,929 あなたはそのサイコロに 細工がしてあるのか 337 00:14:42,929 --> 00:14:44,796 公正なのかを調べたいとします 338 00:14:44,796 --> 00:14:47,730 サイコロを一回振っただけでは ほとんど分かりませんが 339 00:14:47,730 --> 00:14:49,722 何度もサイコロを振ると 340 00:14:49,722 --> 00:14:51,644 より多くのデータが収集されるので 341 00:14:51,644 --> 00:14:53,816 あなたはより確信をもって 342 00:14:53,816 --> 00:14:56,419 サイコロに細工がしてあるか どうかだけでなく 343 00:14:56,419 --> 00:15:00,317 細工の程度や どういう細工なのかも分かるのです 344 00:15:00,317 --> 00:15:04,119 3年間で42個の超新星しか 見つけられなかったのは 345 00:15:04,119 --> 00:15:07,166 私たちが作った望遠鏡が 346 00:15:07,166 --> 00:15:10,859 空の一部しか調査できないためです 347 00:15:10,859 --> 00:15:13,524 LSSTを使って3晩ごとに 348 00:15:13,524 --> 00:15:17,146 チリ上空の真新しい姿を 撮影します 349 00:15:17,146 --> 00:15:19,609 観測を始める最初の夜には 350 00:15:19,609 --> 00:15:22,759 ダークエネルギーの発見に使われた数の 351 00:15:22,759 --> 00:15:25,900 10倍の超新星を見つけるでしょう 352 00:15:25,900 --> 00:15:27,709 最初の4か月で 353 00:15:27,709 --> 00:15:30,202 1,000個に増え 354 00:15:30,202 --> 00:15:34,986 調査の終わる頃には 150万個の超新星になります 355 00:15:34,986 --> 00:15:38,171 各超新星がサイコロの一振りにあたり 356 00:15:38,171 --> 00:15:41,613 各超新星は どのダークエネルギーの理論と整合し 357 00:15:41,613 --> 00:15:45,741 どの理論と合わないかという 検証に使われます 358 00:15:45,741 --> 00:15:49,544 それ故 これらの超新星のデータを 359 00:15:49,544 --> 00:15:51,820 宇宙論の別の測定と 組み合わせることによって 360 00:15:51,820 --> 00:15:54,710 願わくばこの調査の終わる 2030年頃までには 361 00:15:54,710 --> 00:15:56,686 ダークエネルギーの 362 00:15:56,686 --> 00:16:03,828 さまざま考え方や理論から 徐々に絞り込んで 363 00:16:03,828 --> 00:16:06,442 願わくば 宇宙理論- 364 00:16:06,442 --> 00:16:08,584 宇宙を司る物理学の基本定理が 365 00:16:08,584 --> 00:16:11,123 徐々に解明されることを 366 00:16:11,123 --> 00:16:13,880 期待しています 367 00:16:14,950 --> 00:16:17,342 色々な意味で 私が提起した疑問は 368 00:16:17,342 --> 00:16:21,703 実は最も単純なものなのです 369 00:16:21,703 --> 00:16:23,457 答えは分からないかも しれませんが 370 00:16:23,457 --> 00:16:27,309 少なくとも質問の仕方を 知っているのです 371 00:16:27,309 --> 00:16:30,427 数万個の銀河系を調べることにより 372 00:16:30,427 --> 00:16:33,365 発見した42個の超新星が 373 00:16:33,365 --> 00:16:36,844 我々の頭上にある宇宙の理解を 覆したのならば 374 00:16:36,844 --> 00:16:39,758 数十億の銀河系を調べることにより 375 00:16:39,758 --> 00:16:41,535 42個の何倍ほどの超新星を得て 376 00:16:41,535 --> 00:16:47,183 予測と全く一致しないようなものを 見出すことになるのでしょうか 377 00:16:47,183 --> 00:16:49,940 ハーシェルが発見した惑星や 378 00:16:49,940 --> 00:16:52,357 ダークエネルギーや 379 00:16:52,357 --> 00:16:56,200 量子力学や一般相対性理論のように 380 00:16:56,200 --> 00:16:58,544 データが予測と違っていたために 381 00:16:58,544 --> 00:17:01,999 様々な考え方ができました 382 00:17:01,999 --> 00:17:05,260 今後10年で得られる 383 00:17:05,260 --> 00:17:06,930 天文学のデータによって 384 00:17:06,930 --> 00:17:09,141 我が宇宙の起源や進化といった 385 00:17:09,141 --> 00:17:10,941 疑問に対する答えが 386 00:17:10,941 --> 00:17:14,821 どれだけ得られるのだろうかと思うと ワクワクします 387 00:17:14,821 --> 00:17:15,916 質問することすら 388 00:17:15,916 --> 00:17:19,211 思い浮かばないことに対する答えが 389 00:17:19,211 --> 00:17:21,222 そこに いくつあるのでしょうか? 390 00:17:21,222 --> 00:17:23,169 ありがとうございました 391 00:17:23,169 --> 00:17:26,871 (拍手)