WEBVTT 00:00:06.701 --> 00:00:09.973 (音楽) NOTE Paragraph 00:01:33.636 --> 00:01:36.507 (拍手) NOTE Paragraph 00:01:44.329 --> 00:01:47.813 (トレバー・コップ)芸能人と踊る 社交ダンス選手権の放映が始まった当初 00:01:47.833 --> 00:01:49.536 こんな光景はなかったですよね NOTE Paragraph 00:01:49.560 --> 00:01:51.097 (笑) NOTE Paragraph 00:01:51.121 --> 00:01:54.148 番組の効果で社交ダンスの 一大リバイバルが起きた当時は 00:01:54.172 --> 00:01:57.585 僕もジェフもフルタイムで 社交ダンス講師をしていて 00:01:57.609 --> 00:02:00.800 それはもう 信じられないほどの反響でした 00:02:01.132 --> 00:02:03.896 前は「フォックストロット (社交ダンスの一種)」と言うと 00:02:03.916 --> 00:02:07.467 「狐(fox)が駆ける(trot)???」 のような反応だった人たちが NOTE Paragraph 00:02:07.487 --> 00:02:08.551 (笑) NOTE Paragraph 00:02:08.575 --> 00:02:10.739 うってかわって フェザーステップのコツやら 00:02:10.749 --> 00:02:13.050 もっと細かいウンチクをたれたり するようになり 00:02:13.055 --> 00:02:15.322 度肝を抜かれましたね 00:02:15.342 --> 00:02:20.564 それまで僕らがいつも熱心に交わしてきた 社交ダンスに関するコアな話— 00:02:20.588 --> 00:02:24.191 例えばサルサの踊り方が競技ルンバと 違うのはなぜかとか 00:02:24.201 --> 00:02:26.805 タンゴでの移動の仕方が ワルツとは違うのはなぜかとか 00:02:26.825 --> 00:02:31.006 そういったことが 一般人の意識に 一挙になだれ込んで 00:02:31.383 --> 00:02:33.299 すっかり状況が変わったのです NOTE Paragraph 00:02:33.834 --> 00:02:36.200 でも テンションが上がる一方で— 00:02:36.224 --> 00:02:40.675 突如 なぜか僕らが「イケてる人」に なったわけですからね— NOTE Paragraph 00:02:40.699 --> 00:02:43.020 (笑) NOTE Paragraph 00:02:43.044 --> 00:02:45.337 同時に戸惑いも発生しました 00:02:45.914 --> 00:02:48.591 なぜ 今 社交ダンスなのか?と NOTE Paragraph 00:02:49.556 --> 00:02:52.283 (ジェフ・フォックス) トレバーと僕は講習で集まった折や 00:02:52.293 --> 00:02:53.112 おふざけまでに 00:02:53.136 --> 00:02:55.576 お互いにクルクル回しあったり 役割を混ぜたり 00:02:55.596 --> 00:02:58.073 常にやるはめになるリード役を 休んだりしていました 00:02:58.097 --> 00:03:02.697 踊りながらリードとフォローの役割を 交替する仕組みの考案さえしました 00:03:02.707 --> 00:03:04.075 公平に順番交替するわけです 00:03:04.099 --> 00:03:06.640 その後この仕組みを とある小さなフェスティバルでの 00:03:06.670 --> 00:03:08.241 ショーの一環に取り入れたら 00:03:08.265 --> 00:03:10.392 大きなチャンスが舞い込みました 00:03:10.416 --> 00:03:13.724 ある脚本家事務所で芸術監督をしている リサ・オコネルという劇作家に 00:03:13.748 --> 00:03:15.956 ショーの後に呼び止められ こう言われたんです 00:03:16.154 --> 00:03:18.834 「今のショーの思想性の強さ 分かってるの?」 NOTE Paragraph 00:03:18.858 --> 00:03:20.874 (笑) NOTE Paragraph 00:03:20.898 --> 00:03:23.667 ここから8年にわたる 共同制作が始まりました 00:03:23.691 --> 00:03:26.600 僕らが考えた役割交替の仕組みを さらに発展させるだけでなく 00:03:26.605 --> 00:03:30.234 人が単一の役割の中に 閉じ込められてしまうことや 00:03:30.258 --> 00:03:31.422 もっと深刻な問題として 00:03:31.446 --> 00:03:33.705 その役割で定義されてしまう怖さを 掘り下げました NOTE Paragraph 00:03:33.725 --> 00:03:36.022 (トレバー)というのも 当然 00:03:36.028 --> 00:03:40.407 昔ながらのラテンダンスや社交ダンスは ダンスの体系であるのみならず 00:03:40.719 --> 00:03:43.554 人の考え方や存り方 00:03:43.924 --> 00:03:45.547 そして他者との関わり方など 00:03:45.571 --> 00:03:48.162 その時代時代の社会観念を そっくり反映しています 00:03:48.599 --> 00:03:50.966 ただし どの時代でも 常に一貫していたのが 00:03:50.990 --> 00:03:52.316 男性がリードし 00:03:52.340 --> 00:03:53.885 女性がフォローする という観念です 00:03:54.126 --> 00:03:56.854 ストリート・サルサでも 競技タンゴでも 何であっても 00:03:56.878 --> 00:03:58.906 男がリードし 女がフォローします NOTE Paragraph 00:03:59.335 --> 00:04:01.184 つまり これはジェンダー教育なのです 00:04:01.623 --> 00:04:03.179 ダンスを習うだけにとどまらず 00:04:03.209 --> 00:04:06.669 男は男として 女は女としての振る舞い方も 習うものだったのです 00:04:07.813 --> 00:04:09.043 もはや過去の遺物です 00:04:09.590 --> 00:04:11.936 遺物というものは ポイっと捨てたりはしないものの 00:04:11.950 --> 00:04:14.303 過去のものだと 認識する必要はあります 00:04:14.327 --> 00:04:15.887 現在には当てはまりません 00:04:16.866 --> 00:04:19.975 シェイクスピアのようなもので 敬意を払い 復刻させるのはよし 00:04:19.989 --> 00:04:21.455 でも 過去のものです 00:04:21.479 --> 00:04:24.111 現代人の考え方を代表するものではありません NOTE Paragraph 00:04:25.045 --> 00:04:26.585 そこで僕らは考えました 00:04:26.609 --> 00:04:28.343 「余計なものを全て削ぎ落としたら 00:04:28.672 --> 00:04:31.431 社交ダンスの中核にあるのは何だろう?」 NOTE Paragraph 00:04:32.094 --> 00:04:34.329 (ジェフ)社交ダンスの中核にある原理は 00:04:34.353 --> 00:04:36.753 1人がリードし もう1人がフォローすることです 00:04:37.088 --> 00:04:40.358 誰がどちらの役で踊るにしても 体の動かし方は同じです 00:04:40.388 --> 00:04:43.739 物体の運動という観点ではジェンダーなど 全くどうでもいいことですからね NOTE Paragraph 00:04:43.759 --> 00:04:44.477 (笑) NOTE Paragraph 00:04:44.487 --> 00:04:46.351 ただ 既存の型を作り変えるとしたら 00:04:46.361 --> 00:04:49.375 今この場 2015年における 人の交流の在り方を代表するものとして 00:04:49.395 --> 00:04:51.619 よりふさわしい形に変えなければなりません 00:04:52.031 --> 00:04:54.963 社交ダンスを観るときは そこに現れているものだけでなく 00:04:55.517 --> 00:04:57.069 現れないものも意識してください 00:04:57.089 --> 00:05:00.101 ペアは常に男1人と 女1人の組み合わせのみ 00:05:00.125 --> 00:05:01.283 男女一組で 00:05:01.307 --> 00:05:02.579 それしかなく 00:05:02.603 --> 00:05:03.754 これまでずっとそうです 00:05:03.778 --> 00:05:07.860 同性同士や 男らしい女・女らしい男が ペアで登場することは全くありません 00:05:07.884 --> 00:05:10.516 メジャーな国際競技ダンス大会の ほとんどにおいて 00:05:10.540 --> 00:05:13.159 同性同士のペアはまず 出場させてもらえませんし 00:05:13.183 --> 00:05:14.151 多くの場合 00:05:14.161 --> 00:05:16.128 規定で完全に禁止されています NOTE Paragraph 00:05:16.152 --> 00:05:21.237 (トレバー)「ラテンダンスのプロ」で グーグル画像検索して 00:05:21.504 --> 00:05:23.915 本物のラテンアメリカ系の人を 探してみてください NOTE Paragraph 00:05:23.929 --> 00:05:25.106 (笑) NOTE Paragraph 00:05:25.130 --> 00:05:26.709 何日もかかること請け合いです 00:05:27.145 --> 00:05:31.170 何ページにもわたって実際に出てくるのは どう見ても白人な男女ペア 00:05:31.194 --> 00:05:33.499 日焼けスプレーをかけまくって ガン黒肌なだけ NOTE Paragraph 00:05:33.519 --> 00:05:35.084 (笑) NOTE Paragraph 00:05:35.108 --> 00:05:37.368 黒人やアジア系や 00:05:37.392 --> 00:05:38.676 混血のペアはなく 00:05:38.700 --> 00:05:42.228 要は 白人以外の人は 全く登場しないのです NOTE Paragraph 00:05:42.727 --> 00:05:46.739 さらに 白人の男女ペアしかいない中でさえ 00:05:48.008 --> 00:05:49.389 女のほうが背が高いのはナシ 00:05:49.413 --> 00:05:50.911 男のほうが背が低いのもナシ 00:05:50.925 --> 00:05:52.628 女のほうが勇壮なのもナシ 00:05:53.025 --> 00:05:54.830 男のほうが物腰柔らかなのもナシ NOTE Paragraph 00:05:55.261 --> 00:05:57.481 社交ダンスの世界の外で 00:05:57.505 --> 00:05:59.798 このルールを会話に落とし込んで 00:05:59.822 --> 00:06:01.264 映画に登場させたとしたら 00:06:01.288 --> 00:06:04.910 世間は絶対に受け付けないでしょう 00:06:04.934 --> 00:06:07.857 「男が命令し女が応じる」 00:06:08.674 --> 00:06:11.769 こんな関係 ゲイであれストレートであれ どんなカップルであれ 00:06:11.799 --> 00:06:16.110 健全 または良好な関係の2人には 全くありえないですよね 00:06:16.134 --> 00:06:17.720 それなのになぜか 00:06:17.744 --> 00:06:20.358 ゴールデンタイムの番組で ゴテゴテにメイクして 00:06:20.382 --> 00:06:24.039 派手に着飾った人が 言葉ではなく動きで表現すると 00:06:24.832 --> 00:06:26.950 それを世間は 00:06:26.974 --> 00:06:28.677 お茶の間から喜んで観るわけです 00:06:29.805 --> 00:06:33.231 実感と かけ離れたものに対し 拍手喝采しているのです 00:06:34.130 --> 00:06:37.158 あまりにも多くの人々が 社交ダンスの世界には不在なのにです NOTE Paragraph 00:06:38.414 --> 00:06:41.222 (音楽) NOTE Paragraph 00:07:22.276 --> 00:07:25.705 (拍手) NOTE Paragraph 00:07:28.957 --> 00:07:31.496 (ジェフ)今 男2人で踊るのを ご覧になりましたね NOTE Paragraph 00:07:31.520 --> 00:07:32.533 (笑) NOTE Paragraph 00:07:32.557 --> 00:07:33.872 それを見て 少し 00:07:34.412 --> 00:07:35.694 変な感じがしたでしょう 00:07:36.130 --> 00:07:38.175 面白いし 目を惹くとさえ言えますが 00:07:38.199 --> 00:07:39.902 でも ちょっと異様ですよね 00:07:40.372 --> 00:07:43.356 同性同士の社交ダンス競技会の 追っかけに熱心な人でも 00:07:43.380 --> 00:07:47.490 同性ペアのダンスはダイナミックで 力強く 盛り上がるけど 00:07:47.514 --> 00:07:49.997 どうも何かが違う感じがすると言います 00:07:50.446 --> 00:07:51.663 見た目の話をすれば 00:07:51.687 --> 00:07:55.813 アリーダと僕が 典型的なクローズ・ホールドを組むと 00:07:57.637 --> 00:07:59.414 美しいものと見なされますが・・・ NOTE Paragraph 00:08:02.204 --> 00:08:04.392 (笑) NOTE Paragraph 00:08:04.703 --> 00:08:06.241 なぜこれではダメなのでしょう NOTE Paragraph 00:08:06.261 --> 00:08:07.675 (笑) NOTE Paragraph 00:08:07.699 --> 00:08:11.437 常識とされている リード役のほうが大きくて男らしく 00:08:11.457 --> 00:08:14.115 フォロー役のほうが 小さく女らしくなければならない― 00:08:14.130 --> 00:08:15.779 その考え方が障害になるのです NOTE Paragraph 00:08:15.978 --> 00:08:19.848 (トレバー)僕らはこれを 全く別の角度から考えました 00:08:21.467 --> 00:08:25.035 もしもリードとフォローという 概念はそのままで 00:08:25.059 --> 00:08:28.255 ジェンダーと結びつける部分は 捨てていいとしたら? 00:08:28.824 --> 00:08:33.827 さらに お互いにリードしたり フォローしたりした後に 00:08:33.851 --> 00:08:35.110 交替していいとしたら? 00:08:35.513 --> 00:08:36.926 そして元に戻したなら? 00:08:37.690 --> 00:08:40.139 これを会話のような形でできたとしたら? 00:08:40.949 --> 00:08:44.018 誰もが毎日しているように 順番に話して聴いてといった具合です 00:08:44.042 --> 00:08:47.424 そんな風に踊っていいとしたら どうでしょうか? 00:08:48.418 --> 00:08:51.559 僕らはこのダンス手法を 「流動的リード」と名づけました NOTE Paragraph 00:08:52.542 --> 00:08:54.461 (ジェフ)これをラテンダンス — 00:08:55.045 --> 00:08:56.259 サルサで試してみますね 00:08:56.524 --> 00:09:00.161 サルサでは 位置交替用のステップ クロスボディリードが多用されます 00:09:00.185 --> 00:09:02.945 即興で踊るときに メリハリをつけるために 使われています 00:09:02.969 --> 00:09:05.953 見慣れていない人だと 気づきにくいかもしれません 00:09:05.973 --> 00:09:06.804 こんな感じです 00:09:13.191 --> 00:09:14.975 安い席のお客さんのために もう一度 NOTE Paragraph 00:09:14.995 --> 00:09:17.305 (笑) NOTE Paragraph 00:09:20.378 --> 00:09:22.383 この動きを もう一度 00:09:22.407 --> 00:09:23.876 ゆっくり 丁寧にやります 00:09:28.842 --> 00:09:32.929 流動的リードという考え方を このステップに当てはめると 00:09:32.953 --> 00:09:34.635 クロスボディリードの時点で 00:09:34.659 --> 00:09:36.644 リードとフォローが交替できます 00:09:36.668 --> 00:09:39.191 フォロー役の人が リード役になろうとしたり 00:09:39.215 --> 00:09:41.372 リード役の人がその役を 譲ることにしたりと 00:09:41.392 --> 00:09:44.184 つまり クロスボディリードの 逆をやるわけです 00:09:44.208 --> 00:09:46.214 スローモーションで見てみましょう 00:09:53.913 --> 00:09:57.370 冒頭にお見せしたダンスを 再現してみますね NOTE Paragraph 00:10:02.789 --> 00:10:06.162 この ちょっとしたひねりを加えることで ダンスは「命令」から 00:10:06.186 --> 00:10:07.495 「交渉」になります 00:10:07.761 --> 00:10:10.254 誰がリードしてもいい 誰がフォローしてもいい 00:10:10.278 --> 00:10:13.051 さらに肝心な部分は 気が変わるのもアリだということです 00:10:13.523 --> 00:10:15.753 今のは この考え方を 応用したほんの1例ですが 00:10:15.773 --> 00:10:18.562 視野が広がってしまえば それから何をしたっていいんです NOTE Paragraph 00:10:19.090 --> 00:10:24.273 (トレバー)ここで流動的リードの考え方を 昔ながらのワルツに当てはめてみましょう 00:10:24.297 --> 00:10:25.525 当然のことながら 00:10:25.549 --> 00:10:28.140 これはリードを交替する仕組みにとどまらず 00:10:28.164 --> 00:10:32.760 実際に ダンス自体の効率を 改善する考え方でもあります NOTE Paragraph 00:10:32.981 --> 00:10:34.479 さて ワルツとは何か 00:10:34.891 --> 00:10:36.563 ワルツとは回転するダンスです 00:10:36.984 --> 00:10:38.596 つまりこういうことです 00:10:38.620 --> 00:10:41.832 リード役の人は 踊っている時間のうち半分は 00:10:41.856 --> 00:10:43.326 完全に進行方向が見えません 00:10:43.350 --> 00:10:45.899 そしてフォロー役の 位置も位置なので 00:10:45.923 --> 00:10:48.731 要は2人とも 行き先が 見えていないのです NOTE Paragraph 00:10:48.755 --> 00:10:50.103 (笑) NOTE Paragraph 00:10:50.127 --> 00:10:52.139 仮に このへんに立っていて 00:10:52.163 --> 00:10:54.827 あれが自分に向かってくるんだと 想像してみてください NOTE Paragraph 00:10:54.851 --> 00:10:56.200 (ジェフ)グアアア! NOTE Paragraph 00:10:56.224 --> 00:10:57.748 (笑) NOTE Paragraph 00:10:57.772 --> 00:11:01.068 (トレバー)実際に この死角のせいで 00:11:01.092 --> 00:11:03.394 事故もたくさん発生しています 00:11:04.080 --> 00:11:07.322 でも もしもペアが一瞬だけ 体勢を入れ替える余地が 00:11:07.346 --> 00:11:09.495 あったとしたらどうでしょう? 00:11:09.519 --> 00:11:11.798 たくさんの事故が回避できます 00:11:12.253 --> 00:11:17.093 1人がずっとリードを続けたとしても 今のような組み替えを挟むようにすれば 00:11:17.117 --> 00:11:18.503 もっと安全に踊れるようになり 00:11:18.527 --> 00:11:21.571 また同時に ワルツの踊りに 新たな美の形が生まれます 00:11:22.221 --> 00:11:25.654 物体の運動的には ジェンダーなんて クソどうでもいいことですからね NOTE Paragraph 00:11:25.678 --> 00:11:26.737 (笑) NOTE Paragraph 00:11:28.154 --> 00:11:31.285 (ジェフ)この流動的リードのダンスを クラブや公会堂ステージで 00:11:31.295 --> 00:11:34.097 リサと共同制作した演目 『ファーストダンス』の一環として 00:11:34.117 --> 00:11:36.363 北アメリカやヨーロッパで 披露してきましたが 00:11:36.387 --> 00:11:38.190 必ず観客が釘付けになります 00:11:38.736 --> 00:11:42.217 男2人が組んで踊るという 異様な光景であること以上に 00:11:42.241 --> 00:11:44.765 必ず心を動かし 魅了する力があるダンスなのです 00:11:45.174 --> 00:11:46.461 なぜでしょうか? NOTE Paragraph 00:11:46.485 --> 00:11:49.580 その鍵は 僕らの初めてのショーに リサが「思想性」を 00:11:49.604 --> 00:11:50.907 見出した原因にあります 00:11:50.931 --> 00:11:53.506 ただリードとフォローを 切り替えるだけではなく 00:11:53.530 --> 00:11:56.587 それぞれの存在感や個性や力強さを 一貫して保っており 00:11:56.611 --> 00:11:59.540 どっちの役を演じていても その点は変わらなかったことです 00:11:59.564 --> 00:12:01.284 自分らしさはそのままでした NOTE Paragraph 00:12:01.816 --> 00:12:03.851 ここに本当の自由があるのです 00:12:03.875 --> 00:12:05.864 役割を交替する自由だけではなく 00:12:05.888 --> 00:12:09.503 どっちの役割を演じていても その役に定義されずに済む自由であり 00:12:09.527 --> 00:12:12.133 常に自分に正直であり続けられる自由です 00:12:12.457 --> 00:12:15.667 リード役やフォロー役が どんな姿であるべきかは忘れましょう 00:12:15.687 --> 00:12:17.136 男らしいフォローや 00:12:17.160 --> 00:12:18.453 女らしいリードでもいい 00:12:18.795 --> 00:12:20.475 ただ自分らしくあることです 00:12:20.873 --> 00:12:23.590 もちろん この原理は ダンスフロアの外でも同じです 00:12:23.618 --> 00:12:26.157 しかしダンスフロアは 古い世界観を塗り替え 00:12:26.177 --> 00:12:29.474 古い遺物に活力を吹き込み 現代や この時代を生きる人の在り方に 00:12:29.498 --> 00:12:33.897 よりふさわしい表現になるよう作り変えるのに もってこいの場所なのです NOTE Paragraph 00:12:34.630 --> 00:12:37.971 (トレバー)ジェフと僕はいつも 相手が男でも女でも踊りますし 00:12:37.995 --> 00:12:39.383 すごく楽しいですよ 00:12:39.407 --> 00:12:43.970 しかし 僕らが踊るとき意識しているのは 社交ダンスは昔から存在するものであり 00:12:43.994 --> 00:12:48.304 現代人が謳歌している 様々な種類のアイデンティティによっては 00:12:48.328 --> 00:12:51.332 自分を表現できない人や 無視される人が 出てくるということです 00:12:51.820 --> 00:12:54.274 流動的リードを考案したのは 1つの方法として でした 00:12:54.294 --> 00:12:58.226 現代の人々にはそぐわない概念を 1つ残らず削ぎ落とし 00:12:58.527 --> 00:13:02.852 本来 社交ダンスがいつもそうであった姿を 取り戻すことが目的です 00:13:03.830 --> 00:13:07.316 つまり お互いを気遣う 繊細な技術としての社交ダンスです NOTE Paragraph 00:13:08.829 --> 00:13:11.753 (音楽) NOTE Paragraph 00:15:08.910 --> 00:15:11.853 (拍手)