1 00:00:01,787 --> 00:00:04,780 私は少女達と話していました 2 00:00:04,780 --> 00:00:06,293 ジョイという子がこう言いました 3 00:00:06,293 --> 00:00:10,271 「もう ほっといてくれればいいのに 4 00:00:10,271 --> 00:00:14,127 私のお父さん いつも電話かけてくるのよ」 5 00:00:14,127 --> 00:00:17,393 「電話をもらえるなんていいわね」 ジャスミンが言いました 6 00:00:17,393 --> 00:00:21,053 「私なんてお父さんから何年も連絡がないのよ」 7 00:00:21,053 --> 00:00:25,285 これを聞いてこの子達には 父親との繋がりを築く手段が 8 00:00:25,285 --> 00:00:27,862 必要だと気づきました 9 00:00:27,862 --> 00:00:31,625 私の運営する非営利団体 キャンプ・ディバでは 10 00:00:31,625 --> 00:00:35,162 始終このような会話が繰り広げられます 11 00:00:35,162 --> 00:00:38,354 目的は このアフリカ系の少女達が 12 00:00:38,354 --> 00:00:41,936 大人の女性になる準備の手助けです 13 00:00:41,936 --> 00:00:45,477 この子達は 14 00:00:45,477 --> 00:00:49,318 自分なりのやり方で 父親を受け入れる 15 00:00:49,318 --> 00:00:52,015 きっかけが必要だと思ったので 16 00:00:52,015 --> 00:00:53,468 こう尋ねました 17 00:00:53,468 --> 00:00:56,604 「他の女の子のためにも 父親と良い関係を築くのに 18 00:00:56,604 --> 00:01:00,894 なにかできる事はないかな?」 19 00:01:00,894 --> 00:01:05,397 「ダンスパーティーをしよう」 一人の子が提案しました 20 00:01:05,397 --> 00:01:09,730 子どもたちは皆 すぐに賛同し 21 00:01:09,730 --> 00:01:12,636 いろいろと想像を膨らませ始めました 22 00:01:12,636 --> 00:01:16,050 飾り付け 招待状 彼女達のドレス 23 00:01:16,050 --> 00:01:20,196 そして父親の服装のルールまで (笑) 24 00:01:20,196 --> 00:01:24,767 あっという間に話はどんどん進みました 25 00:01:24,767 --> 00:01:28,837 じっくり考えさせる事が できたとしても 26 00:01:28,837 --> 00:01:30,177 そんなことはしなかったでしょう 27 00:01:30,177 --> 00:01:32,258 ここ十年来 少女達と関わってきて 28 00:01:32,258 --> 00:01:35,336 学んだのですが 29 00:01:35,336 --> 00:01:38,856 彼女達は何が必要が きちんとわかっているからです 30 00:01:38,856 --> 00:01:43,533 とても聡明で 31 00:01:43,533 --> 00:01:46,181 活動の基盤や助言する人 32 00:01:46,181 --> 00:01:48,597 目的達成に必要なものさえ整っていたら 33 00:01:48,597 --> 00:01:52,015 何でも自分達で作り上げられるのです 34 00:01:52,015 --> 00:01:57,449 生きながらえるためだけでなく 成功するためにです 35 00:01:57,449 --> 00:02:01,673 そうしてダンスパーティが行われ 36 00:02:01,673 --> 00:02:06,213 たくさんの少女達と父親達が参加しました 37 00:02:06,213 --> 00:02:09,188 皆華やかに着飾っていました 38 00:02:09,188 --> 00:02:11,431 仲良く幸せそうに踊り 39 00:02:11,431 --> 00:02:15,117 (笑) 40 00:02:15,117 --> 00:02:16,967 ふざけ合ったり 41 00:02:16,967 --> 00:02:20,188 お互いと過ごす時間を楽しみ 42 00:02:20,188 --> 00:02:23,029 大成功でした 43 00:02:23,029 --> 00:02:28,240 少女達はこれを 毎年恒例の行事にしようと決めました 44 00:02:28,240 --> 00:02:30,832 季節が移り変わり 45 00:02:30,832 --> 00:02:33,552 再びダンスパーティの時期になった時 46 00:02:33,552 --> 00:02:36,659 ブリアナという子が声を上げ 47 00:02:36,659 --> 00:02:38,849 こう言いました 48 00:02:38,849 --> 00:02:41,595 「私のお父さんは来れないから 49 00:02:41,595 --> 00:02:45,832 こんなパーティー 考えただけでも悲しくなるわ」 50 00:02:45,832 --> 00:02:48,840 「どうして来られないの?」 と他の子達が訊きました 51 00:02:48,840 --> 00:02:53,520 「だってお父さんは刑務所にいるから」 彼女は思い切って言いました 52 00:02:53,520 --> 00:02:58,454 「その日だけ出てこれない?」 一人の子が訊きました (笑) 53 00:02:58,454 --> 00:03:01,632 「手錠を付けて? 54 00:03:01,632 --> 00:03:05,977 それなら来ない方がましだわ」 55 00:03:05,977 --> 00:03:10,395 こんなやりとりを聞いて ひらめいたんです 56 00:03:10,395 --> 00:03:13,321 この子達が仲間を救う ヒーローになれる 57 00:03:13,321 --> 00:03:16,085 チャンスがここにあると 58 00:03:16,085 --> 00:03:20,758 そこで訊きました 「どうすればいいと思う? 59 00:03:20,758 --> 00:03:26,008 だれでも皆 お父さんと ダンスに行けたらいいわね 60 00:03:26,008 --> 00:03:27,671 少女達は少し考えて 61 00:03:27,671 --> 00:03:29,980 一人が提案しました 62 00:03:29,980 --> 00:03:34,286 「刑務所でダンスパーティーをやるのはどう?」 63 00:03:34,286 --> 00:03:38,102 ほとんどの少女は無理だと思い こう言いました 64 00:03:38,102 --> 00:03:40,896 「できるわけないわ! 65 00:03:40,896 --> 00:03:43,904 おめかしした女の子が大勢 66 00:03:43,904 --> 00:03:46,368 刑務所に入って行って (笑) 67 00:03:46,368 --> 00:03:51,955 スポンジ・ボブの服を着たパパ達と 踊るのを許可してくれるわけないわ」 68 00:03:51,955 --> 00:03:55,303 彼女達は囚人服をそう呼んでいたのです 69 00:03:55,303 --> 00:03:59,461 私は言いました 「まあ まあ 70 00:03:59,461 --> 00:04:03,464 訊いてみるまでわからないわよ」 71 00:04:03,464 --> 00:04:07,904 そこでリッチモンド刑務所所長宛に 72 00:04:07,904 --> 00:04:11,723 少女達全員の著名入りで 手紙を書きました 73 00:04:11,723 --> 00:04:17,129 あの所長さんは とても特別な方なんです 74 00:04:17,129 --> 00:04:22,062 すぐに連絡をくれ言いました 75 00:04:22,062 --> 00:04:28,016 刑務所内に囚人の家族を招く機会があれば 76 00:04:28,016 --> 00:04:31,188 いつでも喜んで受け入れます と 77 00:04:31,188 --> 00:04:33,513 彼はわかっていたのです 78 00:04:33,513 --> 00:04:36,840 自らの子供達と触れ合える囚人たちは 79 00:04:36,840 --> 00:04:41,803 刑務所に戻ってくる確率が低くなることを 80 00:04:41,803 --> 00:04:43,884 そうして 81 00:04:43,884 --> 00:04:49,738 16人の受刑者と18人の娘たちの パーティーが実現しました 82 00:04:49,738 --> 00:04:53,387 子供達は特別おしゃれに着飾り 83 00:04:53,387 --> 00:04:58,416 父親達は黄色と青のつなぎを 84 00:04:58,416 --> 00:05:02,920 ワイシャツとネクタイに着替えました 85 00:05:02,920 --> 00:05:05,291 彼らは抱き合い 86 00:05:05,291 --> 00:05:10,042 用意された鶏と魚のご馳走を楽しみ 87 00:05:10,042 --> 00:05:13,767 共に笑いもしました 88 00:05:13,767 --> 00:05:18,175 心温まる光景でした 89 00:05:18,175 --> 00:05:22,416 父親と娘達は 90 00:05:22,416 --> 00:05:26,491 長い間できなかった 91 00:05:26,491 --> 00:05:29,220 体と体のふれあいを 92 00:05:29,220 --> 00:05:30,452 実現できたのです 93 00:05:30,452 --> 00:05:34,863 父親は娘達を遊ばせてやれる 94 00:05:34,863 --> 00:05:37,576 スペースを与えられ 95 00:05:37,576 --> 00:05:43,825 娘の椅子を引き ダンスに誘いました 96 00:05:43,825 --> 00:05:47,502 看守達までも感動で泣いていました 97 00:05:47,502 --> 00:05:50,222 でもダンスの後 98 00:05:50,222 --> 00:05:55,782 父親達はそのまま刑務所に残るのが わかっていました 99 00:05:55,782 --> 00:05:58,875 そこで持ち帰ることができる何かを 100 00:05:58,875 --> 00:06:00,633 作る必要がありました 101 00:06:00,633 --> 00:06:03,248 小さなビデオカメラを持ち込み 102 00:06:03,248 --> 00:06:05,989 カメラに向かって お互いに 103 00:06:05,989 --> 00:06:07,717 インタビューしてもらうことにしました 104 00:06:07,717 --> 00:06:11,431 メッセージや想いを記録するビデオです 105 00:06:11,431 --> 00:06:14,614 これを基にして 106 00:06:14,614 --> 00:06:17,030 お互いが離れていて 107 00:06:17,030 --> 00:06:19,330 恋しくなったとき 108 00:06:19,330 --> 00:06:22,694 このビデオを見て 繋がりを再確認できるようにです 109 00:06:22,694 --> 00:06:28,076 私は一生忘れません ある少女が父親の目を見て 110 00:06:28,076 --> 00:06:29,396 カメラを通して言いました 111 00:06:29,396 --> 00:06:36,106 「パパ 私を見るとき何が見える?」 112 00:06:36,106 --> 00:06:40,194 父親は娘が自分を見る鏡なんです 113 00:06:40,194 --> 00:06:42,616 私達は鏡に映る自分を見て 114 00:06:42,616 --> 00:06:47,386 自分にはどんな男性がふさわしいかを決め 115 00:06:47,386 --> 00:06:50,977 その男性が自分をどう見るのかを 決めるのです 116 00:06:50,977 --> 00:06:54,522 私にはそれがよくわかっています 117 00:06:54,522 --> 00:06:56,923 私は恵まれた少女の一人だからです 118 00:06:56,923 --> 00:06:59,182 私の父は 119 00:07:02,798 --> 00:07:08,805 いつも私のそばにいてくれました 120 00:07:08,805 --> 00:07:10,685 今日もそこに座っています 121 00:07:10,685 --> 00:07:19,722 (拍手) 122 00:07:19,722 --> 00:07:23,700 だからこの少女達が 123 00:07:23,700 --> 00:07:26,944 父親達と繋がれるようにすることは 124 00:07:26,944 --> 00:07:29,474 私にとって特別大事なことで 125 00:07:29,474 --> 00:07:32,383 有刺鉄線の柵や鉄のドアで 126 00:07:32,383 --> 00:07:37,269 離れている場合は特にです 127 00:07:37,269 --> 00:07:40,362 少女達の心の奥にある問い― 128 00:07:40,362 --> 00:07:43,745 父親への質問を 129 00:07:43,745 --> 00:07:48,237 実際に父親に訊く場を設け 130 00:07:48,237 --> 00:07:53,004 父親がそれに答える自由を私達は与えたのです 131 00:07:53,004 --> 00:07:56,349 なぜなら私達にはわかっています 132 00:07:56,349 --> 00:07:59,597 父親達もある想いを抱いている事を― 133 00:07:59,597 --> 00:08:04,966 どんな女性として娘を世界に送り出せるだろう? 134 00:08:04,966 --> 00:08:08,383 父親が刑務所にいるからといって 135 00:08:08,383 --> 00:08:11,433 彼等を少女達の人生から 136 00:08:11,433 --> 00:08:13,984 締め出すべきではないのです 137 00:08:13,984 --> 00:08:25,737 (拍手)