WEBVTT 00:00:02.760 --> 00:00:04.280 まず重要な質問をさせてください 00:00:04.550 --> 00:00:06.390 [人体を進化させるのは倫理的か?] NOTE Paragraph 00:00:06.460 --> 00:00:10.020 人類は自身を進化させるのに必要な 手段をすべて入手し始めているからです 00:00:10.050 --> 00:00:12.500 私達は バクテリアや植物や動物を 00:00:12.500 --> 00:00:13.796 進化させることができます 00:00:14.280 --> 00:00:17.096 そして今 私達は 問題を提起すべき時期に来ています 00:00:17.120 --> 00:00:19.960 それは本当に倫理にかなったことか? 私達は人類を進化させたいか? 00:00:21.440 --> 00:00:23.336 この質問について考えるため 00:00:23.360 --> 00:00:27.096 人工装具の系譜について お話ししましょう 00:00:27.120 --> 00:00:29.800 補装具の過去 現在 そして未来です NOTE Paragraph 00:00:30.750 --> 00:00:32.496 これはあるドイツ人伯爵が使っていた 00:00:32.520 --> 00:00:34.856 鉄製の義手です 00:00:34.880 --> 00:00:39.296 伯爵は戦いを愛し 戦いで腕を失いました 00:00:39.434 --> 00:00:41.796 でも彼はそれをものともせず 一揃いの甲冑を作り 00:00:41.800 --> 00:00:42.926 義手を装着しました 00:00:42.930 --> 00:00:44.416 完璧な人工装具のできあがりです 00:00:44.440 --> 00:00:48.360 「鉄拳による支配」というコンセプトは ここに由来しています NOTE Paragraph 00:00:49.600 --> 00:00:52.910 もちろんこのような装具は ますます便利になり 00:00:52.910 --> 00:00:54.336 ますます現代的になりました 00:00:54.360 --> 00:00:56.816 半熟卵すら持つことができます 00:00:56.834 --> 00:01:00.336 あらゆる制御が可能だと 皆さんが考えているうちに 00:01:00.336 --> 00:01:02.352 ヒュー・ヘアのような偉大な人たちが 00:01:02.400 --> 00:01:05.239 これまでにも全くもって素晴らしい義肢を 開発してきましたからね 00:01:05.720 --> 00:01:08.536 かのエイミー・マリンズは 外出する時こう言うでしょう 00:01:08.560 --> 00:01:10.660 「今晩はどのくらいの身長がいいかしら」 00:01:11.040 --> 00:01:13.936 ヒューは「次はどんな崖を登ろうか」 と言うでしょう 00:01:13.960 --> 00:01:18.456 マラソンを走りたい人は? 社交ダンスをしたい人は? 00:01:18.480 --> 00:01:20.456 これらの願いを叶えるうちに 00:01:20.480 --> 00:01:24.616 補装具は面白いことに 人体内部に使えるようになりました 00:01:24.640 --> 00:01:27.616 かつて身体の外側につけていた装具が 現在では 人工膝関節となりました 00:01:27.640 --> 00:01:29.696 人工股関節となりました 00:01:29.720 --> 00:01:31.936 ここまで進化したのは 00:01:31.960 --> 00:01:33.976 ただ快適だからだけではなく 00:01:34.000 --> 00:01:35.200 不可欠だからなのです NOTE Paragraph 00:01:35.920 --> 00:01:39.776 心臓のペースメーカーも 一つの補装具とみなせば 00:01:39.800 --> 00:01:42.810 「ぼく脚がないんだ」 ではすみません 00:01:42.810 --> 00:01:45.936 「これがなければ 死んでしまう」  となってしまいます 00:01:45.960 --> 00:01:50.056 現在もはや 補装具は人の身体と 00:01:50.080 --> 00:01:52.130 共生する関係になりました NOTE Paragraph 00:01:52.560 --> 00:01:55.096 私がこれまでに会った最も優秀な4人の人物 — 00:01:55.120 --> 00:02:00.376 エド・ボイデン、ヒュー・ヘア ジョー・ジェイコブソン、ボブ・ランダー 00:02:00.400 --> 00:02:02.976 彼らはMIT先端生体工学センターで 働いています 00:02:03.000 --> 00:02:05.616 驚くべきことにこのセンターでは 00:02:05.640 --> 00:02:08.056 現在 装具を骨に埋め込もうと しているのです 00:02:08.080 --> 00:02:09.735 さらに皮膚 00:02:09.759 --> 00:02:11.475 筋肉にも埋め込みます 00:02:12.360 --> 00:02:15.336 さらにエドは別の研究もしており 00:02:15.360 --> 00:02:18.256 光や他のメカニズムを利用することで 00:02:18.280 --> 00:02:20.976 脳と補装具を 00:02:21.000 --> 00:02:23.280 直接結びつけようと考えています 00:02:24.520 --> 00:02:25.776 もしこれが現実となれば 00:02:25.800 --> 00:02:29.000 人間性の基本的な性質を 変化させ始めます 00:02:29.840 --> 00:02:33.840 例えば あなたが何かに反応する速度は 神経の直径に影響されます 00:02:34.920 --> 00:02:38.800 光や液体金属を使った 00:02:39.600 --> 00:02:41.480 体外の神経や人工の神経なら 00:02:42.120 --> 00:02:43.976 太い神経にすることもできます 00:02:44.000 --> 00:02:47.056 理論上は 発火炎さえ見えれば 00:02:47.080 --> 00:02:51.120 弾丸から逃れられます 00:02:51.840 --> 00:02:54.960 このような程度の変化なら すでにお考えだったことでしょう NOTE Paragraph 00:02:56.200 --> 00:02:58.776 さらなる次の段階は 00:02:58.800 --> 00:03:01.336 「フォナック補聴器」です 00:03:01.360 --> 00:03:03.416 この技術がすばらしいのは 00:03:03.440 --> 00:03:06.630 補装具の閾値を越えたからです 従来の補装具は 00:03:06.630 --> 00:03:08.509 「障がい」を持つ方たちのものでした 00:03:09.560 --> 00:03:13.616 しかし こうなると「健常者」も 00:03:13.640 --> 00:03:15.536 手に入れたいと思うようになるのです 00:03:15.560 --> 00:03:18.536 驚くべきことに この補聴器があれば 00:03:18.560 --> 00:03:20.216 聴力を補助するのみならず 00:03:20.240 --> 00:03:21.816 音の焦点が合わせられるのです 00:03:21.816 --> 00:03:24.056 つまり あちらの会話も聞き取れるわけです 00:03:24.080 --> 00:03:25.736 まさに「超」聴力が手に入ります 00:03:25.736 --> 00:03:28.200 全方位の音を拾えるし ホワイトノイズを聞けて 00:03:28.200 --> 00:03:31.370 録音もできて さらには電話を埋め込むこともできます 00:03:32.440 --> 00:03:35.320 補聴器であり 電話機でもあるのです 00:03:35.920 --> 00:03:41.080 ここまでくれば 補装具を自ら求める人もでてくるでしょう NOTE Paragraph 00:03:42.400 --> 00:03:46.320 何千もの様々な進歩が ひとつになろうとしています 00:03:47.120 --> 00:03:49.056 さて ここで質問です 00:03:49.080 --> 00:03:52.240 私たちは次なる世紀 人類をどのように進化させたいですか? 00:03:53.640 --> 00:03:55.680 ある偉大な哲学者に伺ってみましょうか 00:03:56.920 --> 00:03:59.976 とても聡明な方です どうやら ヤンキーズファンのようですが… NOTE Paragraph 00:04:00.000 --> 00:04:01.880 (笑) NOTE Paragraph 00:04:02.800 --> 00:04:06.616 ヨギ・ベラは言いました 「予測をすることはもちろん難しい 00:04:06.640 --> 00:04:08.016 特に 未来については」 NOTE Paragraph 00:04:08.040 --> 00:04:09.136 (笑) NOTE Paragraph 00:04:09.160 --> 00:04:12.216 それでは未来を予測するかわりに 00:04:12.240 --> 00:04:15.576 トニー・アタラ達の 現在の取り組みに注目しましょう 00:04:15.600 --> 00:04:17.839 30余りの臓器の 再設計をおこなっている人物です 00:04:19.200 --> 00:04:22.776 究極の補装具とはおそらく 外部に金属を取り付けるようなことではく 00:04:22.800 --> 00:04:25.350 多分 私たちの遺伝子を使って 00:04:25.350 --> 00:04:26.990 人体の一部を作ることです 00:04:27.920 --> 00:04:31.520 従来の補装具よりも はるかに役に立つはずです 00:04:32.440 --> 00:04:36.456 その間 クレイグ・ヴェンターや ハム・スミスが開発しており 00:04:36.480 --> 00:04:38.536 私たちも取り組んでいるのが 00:04:38.560 --> 00:04:41.120 細胞のプログラムを組みなおすことです 00:04:42.280 --> 00:04:43.856 これが可能となれば 00:04:43.880 --> 00:04:46.120 臓器中の細胞を変化させられます 00:04:47.400 --> 00:04:49.616 細胞の変化によって 00:04:49.640 --> 00:04:51.890 放射線への抵抗性を高めたり 00:04:51.890 --> 00:04:54.196 より多くの酸素を吸収させられます 00:04:54.196 --> 00:04:55.736 または体内で不要なものを 00:04:55.760 --> 00:04:58.240 もっと効率よく 排出できるかもしれません NOTE Paragraph 00:04:59.440 --> 00:05:03.096 ここ数週間 よくニュースで見かけるジョージ・チャーチ氏は 00:05:03.120 --> 00:05:06.416 このプログラム可能な細胞を取りだして 00:05:06.440 --> 00:05:08.176 その中に 00:05:08.200 --> 00:05:09.400 ヒトゲノムの全部を注入しました 00:05:10.480 --> 00:05:14.296 細胞にヒトの全遺伝子を注入することが 可能となれば 00:05:14.320 --> 00:05:16.456 ある疑問が浮かび上がります 00:05:16.480 --> 00:05:19.160 「人間はゲノムの一部を 『改良』したいのか?」 00:05:21.440 --> 00:05:23.776 「人間は身体を改良したいのか?」 00:05:23.800 --> 00:05:26.096 「どのように改良したいのか?」 00:05:26.120 --> 00:05:28.216 どこまでが道徳的で 00:05:28.240 --> 00:05:31.360 どこからが非道徳的なのか? 00:05:31.360 --> 00:05:33.506 突然 私たちが行っていることは 00:05:33.506 --> 00:05:36.376 多次元のチェス盤の様になります 00:05:36.400 --> 00:05:39.500 私たちはウイルスを使って 遺伝子発現調節を変化させ 00:05:39.500 --> 00:05:41.270 エイズなどを攻撃したり 00:05:42.120 --> 00:05:44.536 また遺伝子治療により 遺伝情報を書き換えることで 00:05:44.560 --> 00:05:47.496 遺伝性の病気から逃れられたりします 00:05:47.520 --> 00:05:49.136 環境を変え 00:05:49.160 --> 00:05:51.761 エピゲノムを介して 遺伝子発現を変化させ 00:05:51.761 --> 00:05:54.061 それを次の世代に 引き渡すことができます 00:05:55.320 --> 00:05:58.456 それらは ほんの少しの変化にはとどまりません 00:05:58.480 --> 00:06:00.336 ほんの少しが集まることで 00:06:00.360 --> 00:06:02.440 ある一部分を形成します 00:06:03.280 --> 00:06:05.280 部分的な変化がいくつも合わさって 00:06:06.160 --> 00:06:08.240 まったく別のものができあがるのです NOTE Paragraph 00:06:09.600 --> 00:06:12.336 こうした研究を懸念する人も多くいます 00:06:12.360 --> 00:06:15.280 恐ろしく聞こえます リスクもあります 00:06:16.040 --> 00:06:18.736 では なぜ我々は このような研究を望むのでしょう? 00:06:18.760 --> 00:06:21.776 なぜ我々は人体を根底から 00:06:21.800 --> 00:06:23.000 改良したいのでしょう? NOTE Paragraph 00:06:25.040 --> 00:06:27.336 答えの一部を 00:06:27.360 --> 00:06:28.560 イギリスの天文学者 00:06:29.240 --> 00:06:30.920 リーズ卿が教えてくれます 00:06:32.560 --> 00:06:36.376 「宇宙は悪意が100%である」 彼の好きな言葉です 00:06:36.400 --> 00:06:37.616 どういう意味でしょう? 00:06:37.640 --> 00:06:40.536 人間の誰かを 00:06:40.560 --> 00:06:42.456 宇宙のどこかに置いてみるとします 00:06:42.480 --> 00:06:44.200 宇宙空間に置くと 死にます 00:06:44.720 --> 00:06:46.096 太陽に置くと 死にます 00:06:46.120 --> 00:06:48.070 水星の表面に置くと 死にます 00:06:48.070 --> 00:06:49.880 超新星のそばに置くと 死にます 00:06:50.240 --> 00:06:53.360 しかし 実際の悪意はせいぜい80%までです NOTE Paragraph 00:06:54.640 --> 00:06:56.680 かつて 偉大な物理学者が言いました 00:06:58.000 --> 00:07:06.800 「生物とは エントロピーの流れに 逆らって秩序を作り出す渦である」 00:07:08.080 --> 00:07:11.056 つまり 宇宙はエネルギーを 散逸させていきますが 00:07:11.080 --> 00:07:14.560 その流れに逆らって 生物学的な秩序を生み出す渦があるのです 00:07:15.960 --> 00:07:18.240 ここで問題なのが 00:07:18.240 --> 00:07:19.896 渦は消えてしまうということです 00:07:19.920 --> 00:07:21.960 また 渦は流れに乗って移動します 00:07:22.680 --> 00:07:24.656 渦の変化に伴って 00:07:24.680 --> 00:07:28.216 地球が氷の球になることによって 地球がぐっと暑くなることによって 00:07:28.240 --> 00:07:31.496 小惑星の衝突によって 火山の大噴火によって 00:07:31.520 --> 00:07:33.376 太陽フレアによって 00:07:33.400 --> 00:07:36.736 絶滅レベルの大事件によって ― 00:07:36.760 --> 00:07:37.976 今度の大統領選のように NOTE Paragraph 00:07:38.000 --> 00:07:40.160 (笑) NOTE Paragraph 00:07:41.440 --> 00:07:44.680 突然の大絶滅は 繰り返し起きています 00:07:45.400 --> 00:07:47.840 地球上でこれまで5回起こりました 00:07:48.360 --> 00:07:50.456 つまり私たち人類も 00:07:50.480 --> 00:07:53.520 いずれは絶滅します 00:07:54.440 --> 00:07:55.936 来週ではなく 00:07:55.960 --> 00:07:57.776 来月でもないはずです 00:07:57.800 --> 00:08:00.680 11月かも あるいは1000年後かも 00:08:01.880 --> 00:08:04.696 この結果を踏まえて 00:08:04.720 --> 00:08:08.136 大絶滅が当たり前で自然で 00:08:08.160 --> 00:08:10.456 普通のことで 繰り返し起こるなら 00:08:10.480 --> 00:08:13.360 種を多様化させるのが 道義的責務でしょう NOTE Paragraph 00:08:14.520 --> 00:08:16.136 なぜならば 00:08:16.160 --> 00:08:19.136 人体を根本から改良しない限り 00:08:19.160 --> 00:08:21.880 今の私たちでは 火星に住むことは不可能ですから 00:08:22.880 --> 00:08:23.960 ですよね? 00:08:23.960 --> 00:08:25.516 人間は一つの細胞から生まれます 00:08:25.516 --> 00:08:27.856 母親と父親が出会い 一つの細胞を生み出し やがて 00:08:27.856 --> 00:08:29.896 次々と 10兆もの細胞になるのです 00:08:29.920 --> 00:08:34.376 重力を大きく変えると 00:08:34.400 --> 00:08:36.880 人体に変化が起こるかは分りません 00:08:38.159 --> 00:08:41.216 でも もし人体が 大量の放射線に曝されたら 00:08:41.240 --> 00:08:43.360 私たちが死んでしまうことは 確かです 00:08:45.040 --> 00:08:48.096 つまり 火星で暮らすことを考えたら 00:08:48.120 --> 00:08:49.376 私たちは身体を設計し直す必要があります 00:08:49.400 --> 00:08:52.320 海王星の衛星や木星へ行くなんて 考えてもみないでください NOTE Paragraph 00:08:53.000 --> 00:08:55.456 ニコライ・カルダシェフのように 00:08:55.480 --> 00:08:57.656 人類の存在を 縮尺をもとに考えてみましょう 00:08:57.680 --> 00:09:00.176 第1文明は 00:09:00.200 --> 00:09:03.200 まず 人体の見た目を 変えることから始まります 00:09:04.080 --> 00:09:06.376 実際に 人類が何千年とおこなってきたことです 00:09:06.400 --> 00:09:09.560 腹部整形手術や そういった類の 00:09:10.280 --> 00:09:12.696 見た目を気にしておこなうことです 00:09:12.720 --> 00:09:16.040 必ずしも 手術は医療目的ではないようです NOTE Paragraph 00:09:16.680 --> 00:09:18.736 (笑) NOTE Paragraph 00:09:18.760 --> 00:09:19.960 おかしいですよね NOTE Paragraph 00:09:20.360 --> 00:09:22.880 第2文明はそれと異なったものです 00:09:24.320 --> 00:09:28.880 この文明では 人体を基礎的な部分から変えてしまいます 00:09:29.840 --> 00:09:32.696 背を伸ばすために 成長ホルモンを注射したり 00:09:32.720 --> 00:09:36.656 太ったり痩せたりするために 何かしら取り入れたり 00:09:36.680 --> 00:09:38.296 そういった種類のものです 00:09:38.320 --> 00:09:41.016 人体機能を根本的に変化させます NOTE Paragraph 00:09:41.040 --> 00:09:43.656 そして 「太陽系文明」へと進歩するため 00:09:43.680 --> 00:09:46.400 第3文明を造りださなければなりません 00:09:47.720 --> 00:09:50.320 現在の私たちとは全く異なります 00:09:50.630 --> 00:09:53.256 ダイノコッカス・ラディオデュランスの 遺伝子を導入して 00:09:53.256 --> 00:09:57.200 放射線を浴びせると 細胞が新しい性質を持つかもしれません 00:09:58.320 --> 00:10:01.336 肺を使わなくても 血液に酸素を取り込んで 00:10:01.360 --> 00:10:02.800 呼吸ができるかもしれません 00:10:03.600 --> 00:10:06.320 つまり劇的な再設計のことです 00:10:07.480 --> 00:10:10.696 興味深いことに この10年で 00:10:10.720 --> 00:10:13.320 たくさんの惑星が発見されました 00:10:13.320 --> 00:10:15.290 そしていくつか地球に似たものもあります 00:10:17.440 --> 00:10:21.056 問題は そこにたどり着くためには 00:10:21.080 --> 00:10:22.736 最速の移動手段 ― 00:10:22.760 --> 00:10:25.336 ジュノーやボイジャーなどですら 00:10:25.360 --> 00:10:27.856 最も近い太陽系でも 00:10:27.880 --> 00:10:30.000 何万年とかかってしまうことです 00:10:30.720 --> 00:10:33.680 どこか違う星の浜辺を散策したければ 00:10:34.400 --> 00:10:36.800 あるいは二つの太陽の夕日が見たければ 00:10:37.840 --> 00:10:40.976 とんでもない変化が必要です 00:10:41.000 --> 00:10:46.056 なぜなら時間の尺度や人体を 00:10:46.080 --> 00:10:49.000 似ても似つかぬものに 変化させなければならないかも知れません 00:10:50.000 --> 00:10:51.840 それこそが第4文明です NOTE Paragraph 00:10:53.720 --> 00:10:56.656 今の私たちはそれを想像することすら 出来ません 00:10:56.680 --> 00:10:59.016 しかし そこへ辿りつくための手段を 00:10:59.040 --> 00:11:02.400 掴みはじめてはいます 00:11:02.960 --> 00:11:04.576 2つの例をご紹介しましょう NOTE Paragraph 00:11:04.600 --> 00:11:06.553 この人物の名は フロイド・ロームズバーグ 00:11:07.200 --> 00:11:09.336 彼が今取り組んでいるのは 00:11:09.360 --> 00:11:11.896 生命の元となる 根本的な化学反応への挑戦です 00:11:11.920 --> 00:11:16.776 すべての生命はATCGの4つの塩基の配列 つまり遺伝子からできています 00:11:16.800 --> 00:11:19.810 バクテリア 植物 動物 人間 牛 00:11:19.810 --> 00:11:21.290 あらゆるすべての生命がです 00:11:22.440 --> 00:11:26.616 フロイドは4つの塩基のうち 2つを変えてしまいました 00:11:26.640 --> 00:11:28.160 それがATXYです 00:11:29.760 --> 00:11:35.456 これにより並行した生命系が生まれました 00:11:35.480 --> 00:11:39.776 子を生み 繁殖し 進化します 00:11:39.800 --> 00:11:41.800 これは地球上のほとんどの生物 00:11:41.800 --> 00:11:44.000 いや 事実上すべての生物と 交配することができません 00:11:44.880 --> 00:11:47.250 すべてのバクテリアに感染されず 00:11:47.250 --> 00:11:49.850 すべてのウイルスに抵抗する植物も 開発できるでしょう 00:11:49.850 --> 00:11:51.776 では なぜこのことがすごいのでしょう? 00:11:51.776 --> 00:11:55.080 つまり 現在の人類のカタチが 唯一の正解ではないということです 00:11:55.400 --> 00:11:59.136 私たちのものとは違う 化学反応系を持ち 00:11:59.160 --> 00:12:03.976 全く違う惑星に適合し そこで生命を作り 子孫を遺すのに適した 00:12:04.000 --> 00:12:06.360 化学システムもあり得るのです NOTE Paragraph 00:12:08.120 --> 00:12:12.560 この実験には 第二の意味合いもあります 00:12:13.360 --> 00:12:17.576 我々 すべての生命が20のアミノ酸から 成り立っていますが 00:12:17.600 --> 00:12:20.056 もし2つの[塩基]を入れ替えるのではなく 00:12:20.080 --> 00:12:25.656 ATXYではなく 「ATCG+XY」とするならば 00:12:25.680 --> 00:12:28.440 もとは20種だったアミノ酸を 172種まで増やせるのです 00:12:29.520 --> 00:12:32.656 172種類のアミノ酸が使えれば 00:12:32.680 --> 00:12:35.480 全く異なったカタチの生命が創れます NOTE Paragraph 00:12:37.480 --> 00:12:40.536 2つ目の実験はとてつもなく変わっていて 00:12:40.560 --> 00:12:42.640 中国で行われているものです 00:12:43.920 --> 00:12:47.960 この人物は 数百ものネズミの頭を移植してきました 00:12:48.920 --> 00:12:50.296 いいですか? 00:12:50.320 --> 00:12:52.400 何が面白いかというと 00:12:53.440 --> 00:12:55.496 昔の心臓移植を思い浮かべてください 00:12:55.520 --> 00:12:57.136 かつてそういった手術では 00:12:57.160 --> 00:13:00.696 術後に心臓提供者の妻や娘を連れてきて 00:13:00.720 --> 00:13:04.470 医者が心臓の提供を受けた患者に質問します 00:13:04.470 --> 00:13:07.386 「あなたはこの人を知っていますか? この人を愛していますか? 00:13:07.386 --> 00:13:09.136 この人に対して何か思いますか?」 00:13:09.160 --> 00:13:10.640 現在ではおかしな話です 00:13:11.560 --> 00:13:13.776 なぜなら 心臓が筋肉であることは当たり前だから 00:13:13.800 --> 00:13:17.296 しかし何十万年も 何万年もの間 00:13:17.320 --> 00:13:20.120 「心を捧げた ハートを奪った ハートブレイク」と言って 00:13:20.120 --> 00:13:21.616 ここに感情があると考えていました 00:13:21.640 --> 00:13:25.250 心臓と感情が一緒に移植されると考えました しかし 違いました NOTE Paragraph 00:13:26.000 --> 00:13:27.480 では脳はどうでしょう? 00:13:28.900 --> 00:13:31.250 ネズミの脳移植実験から 二つの可能性が考えられます 00:13:31.880 --> 00:13:35.936 手術が機能的にも成功すると 00:13:35.960 --> 00:13:37.160 脳はまっさらになっている 00:13:37.940 --> 00:13:39.710 そんなことはないでしょう 00:13:41.280 --> 00:13:43.320 ここに重大な意味があります 00:13:45.040 --> 00:13:46.370 二番目の可能性 00:13:46.800 --> 00:13:48.920 移植されたネズミは恋人を覚えている 00:13:49.760 --> 00:13:51.750 恐怖の対象を覚えている 00:13:51.750 --> 00:13:53.576 迷路の進み方も覚えている 00:13:53.600 --> 00:13:54.800 もしこれが実証できれば 00:13:56.040 --> 00:13:59.360 記憶や意識を移植することは 可能だということです 00:14:01.080 --> 00:14:03.496 さらに重要な問題は 00:14:03.520 --> 00:14:07.290 もし移植できるなら 脳活動の入出力系は 00:14:07.290 --> 00:14:08.750 首より下にあるのでしょうか? 00:14:09.440 --> 00:14:12.136 ならば意識を他の物体に 移植できるでしょうか? 00:14:12.160 --> 00:14:14.136 何か人間とは全く異なり 00:14:14.160 --> 00:14:15.416 宇宙でも存在でき 00:14:15.440 --> 00:14:17.496 何万年と生きながらえる 00:14:17.520 --> 00:14:19.520 完全に再設計された人体に 00:14:19.544 --> 00:14:23.224 非常に長い期間 意識を維持できるものに NOTE Paragraph 00:14:26.040 --> 00:14:28.080 ここではじめの質問に戻りましょう 00:14:28.560 --> 00:14:30.440 「なぜ人を改良したいのでしょう?」 00:14:32.320 --> 00:14:33.500 理由をお教えします 00:14:33.500 --> 00:14:35.400 それが究極の「セルフィー」だからです NOTE Paragraph 00:14:36.000 --> 00:14:37.800 (笑) NOTE Paragraph 00:14:38.440 --> 00:14:41.000 この写真は100億キロ彼方から見た 00:14:42.040 --> 00:14:43.240 地球です 00:14:44.800 --> 00:14:46.000 ここに私たち皆がいます 00:14:47.240 --> 00:14:50.760 その小さな星が滅びれば 全人類も滅びます 00:14:52.320 --> 00:14:54.536 そして人類が自らを改良したがるのは 00:14:54.560 --> 00:14:57.336 結局は あそこにも あそこにも 00:14:57.360 --> 00:15:00.736 あそこにも人類が住んでいると 言える写真が欲しいのです 00:15:00.760 --> 00:15:03.880 そうなることで 絶滅を乗り越えられるのです 00:15:05.440 --> 00:15:07.696 だからこそ人類を改良しないことは 00:15:07.720 --> 00:15:11.656 倫理に反するのです 00:15:11.680 --> 00:15:15.016 たとえ恐ろしくても たとえ困難でも 00:15:15.040 --> 00:15:18.416 探求し 生き延び 00:15:18.440 --> 00:15:20.960 現在想像もつかない場所へと たどり着くことなのです 00:15:21.760 --> 00:15:25.496 私たちの孫の孫の孫の孫の世代が いつか行くかもしれない場所へ NOTE Paragraph 00:15:25.520 --> 00:15:26.733 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:26.853 --> 00:15:29.903 (拍手)