WEBVTT 00:00:00.724 --> 00:00:03.428 デザインに何かしらの力があるとしたら 00:00:03.428 --> 00:00:05.771 それはパワー・オブ・シンセシス 統合する力です 00:00:05.771 --> 00:00:07.466 問題が複雑であればあるほど 00:00:07.466 --> 00:00:09.967 シンプルさが必要となります 00:00:09.967 --> 00:00:12.304 ここで三つのケースを紹介したいと思います 00:00:12.304 --> 00:00:14.114 デザインが持つ統合力を― 00:00:14.114 --> 00:00:17.117 生かそうとした事例です NOTE Paragraph 00:00:17.117 --> 00:00:21.218 都市化における地球規模の 課題から見ていきましょう 00:00:21.218 --> 00:00:24.896 事実として 人々は都市へ移動しつつあります 00:00:24.896 --> 00:00:28.361 直感的には逆に感じたとしても じつは良い事なのです 00:00:28.361 --> 00:00:32.444 都市のほうが暮らし向きがよい それは証拠が物語っています 00:00:32.444 --> 00:00:33.973 しかし 問題もあります 00:00:33.973 --> 00:00:36.899 私が3つの「S」の脅威と呼んでいるものです 00:00:36.899 --> 00:00:39.632 規模(Scale)、速度(Speed)、手段不足(Scarcity) 00:00:39.632 --> 00:00:42.827 私たちが対応を迫られている これらの現象には 00:00:42.827 --> 00:00:45.465 歴史上 前例がありません 00:00:45.465 --> 00:00:46.654 想像してみてください 00:00:46.654 --> 00:00:49.880 今日 都市部に暮らす30億人の人口のうち 00:00:49.880 --> 00:00:53.271 10億は貧困層です 00:00:53.271 --> 00:00:59.459 2030年までには 都市部に住んでいる50億人のうち 00:00:59.459 --> 00:01:02.707 20億人が貧困層となります 00:01:02.847 --> 00:01:05.161 これが― 00:01:05.171 --> 00:01:07.905 何を示しているかというと 00:01:09.615 --> 00:01:14.531 100万人規模の都市を 週にひとつの割合で 00:01:14.551 --> 00:01:17.664 創出しなければならないことを意味します 00:01:18.107 --> 00:01:23.402 しかも 世帯あたり1万ドルでです 00:01:23.672 --> 00:01:25.482 毎週毎週 15年にわたって 00:01:25.482 --> 00:01:28.206 世帯あたり1万ドルで100万人都市を 00:01:28.206 --> 00:01:30.330 一週間にひとつのペースで  つくり続けなければなりません 00:01:30.330 --> 00:01:31.995 この問題を解決しなければ 00:01:31.995 --> 00:01:34.043 都市部に人々が来なくなるのではなく 00:01:34.043 --> 00:01:35.952 どんなことをしてもやってくるけれども 00:01:35.952 --> 00:01:38.748 それらの人々が スラム街や貧民街 00:01:38.748 --> 00:01:40.368 掘っ立て小屋に住むことになります NOTE Paragraph 00:01:40.368 --> 00:01:42.346 それではどうしたらいいのでしょうか 00:01:42.346 --> 00:01:46.800 答えは貧民街やスラム街にあるかもしれません 00:01:47.840 --> 00:01:52.773 ヒントは10年前に出会ったこの式のなかに あるかもしれないということです 00:01:52.890 --> 00:01:56.001 10年前 私たちは 00:01:56.001 --> 00:01:58.939 チリ北部のイキケの中心部で 00:01:58.939 --> 00:02:01.234 5000平方メートルの土地を不法占拠していた― 00:02:01.234 --> 00:02:04.134 100家族に住む場所を 与えてくれと依頼されました 00:02:04.134 --> 00:02:07.662 1万ドルの助成金を使って 00:02:07.662 --> 00:02:10.175 土地を買い 00:02:10.175 --> 00:02:11.900 インフラを整え 00:02:11.900 --> 00:02:14.303 家屋を建てなければなりませんでした 00:02:14.303 --> 00:02:18.986 家の広さはせいぜい 40平方メートルでした 00:02:18.986 --> 00:02:22.560 ちなみに 土地代ですが 00:02:22.560 --> 00:02:24.096 都市の中心地だったため 00:02:24.096 --> 00:02:26.242 通常 公営住宅が建てられる土地の 00:02:26.242 --> 00:02:29.708 じつに3倍もの値段だったんです 00:02:30.108 --> 00:02:32.334 問題があまりに難しかったため 00:02:32.334 --> 00:02:34.726 何が問題を難しくしているのか 理解するため 00:02:34.726 --> 00:02:38.512 当事者の家族たちに 協力してもらうことにしました 00:02:38.512 --> 00:02:39.748 そうして 00:02:39.748 --> 00:02:42.194 参加型のデザインプロセスが始まりました 00:02:42.194 --> 00:02:43.732 市場にあるもので何が使えそうか 00:02:43.732 --> 00:02:45.280 テストが始まりました 00:02:45.280 --> 00:02:46.538 一戸建ての家にすると 00:02:46.538 --> 00:02:49.494 収容できるのは 30家族 00:02:49.494 --> 00:02:53.456 連続住宅なら 60家族 収容できます 00:02:53.456 --> 00:02:56.598 100家族すべてをまかなうには 00:02:56.598 --> 00:02:58.920 高い建物にするしかありません 00:02:58.920 --> 00:03:00.552 しかし 当事者たちからは 00:03:00.552 --> 00:03:02.860 ハンガーストライキをすると 脅されました 00:03:02.860 --> 00:03:05.158 そんなものを提案しようものなら 00:03:05.158 --> 00:03:06.584 ハンストも辞さないというのです 00:03:06.584 --> 00:03:09.655 各家族の区画を小さくつくったら 00:03:09.655 --> 00:03:11.109 もう広げることはできないからです 00:03:11.109 --> 00:03:13.468 そこで 結論として出されたのが 00:03:13.468 --> 00:03:16.046 ちなみに私たちが決めた結論 ではないことは重要な点ですが 00:03:16.046 --> 00:03:18.207 当事者の家族たちが 問題があるのは明らかで 00:03:18.207 --> 00:03:19.945 イノベーションが必要だと NOTE Paragraph 00:03:19.945 --> 00:03:22.611 そのあと 私たちはどうしたかというと 00:03:23.720 --> 00:03:27.619 中産階級の家庭なら 00:03:27.619 --> 00:03:30.499 そこそこ よい暮らしをしています 00:03:30.499 --> 00:03:32.850 家の面積は およそ80平方メートル 00:03:32.850 --> 00:03:34.522 しかし お金がないと 00:03:34.522 --> 00:03:35.864 市場では何が起きるかというと 00:03:35.864 --> 00:03:40.122 家を小さくするのです 00:03:40.122 --> 00:03:42.971 40平方メートルまで 00:03:42.971 --> 00:03:44.719 私たちはこう言いました 00:03:44.719 --> 00:03:47.239 もしも 00:03:48.845 --> 00:03:53.378 40平方メートルを 00:03:53.378 --> 00:03:56.059 小さな家と思う代わりに 00:03:56.059 --> 00:03:58.385 こういう風に考えてみてはどうでしょう 00:03:58.385 --> 00:04:01.191 いい家の半分なのだと 00:04:01.191 --> 00:04:02.958 問題を 小さい家ではなく 00:04:02.958 --> 00:04:05.664 いい家の半分を 00:04:05.664 --> 00:04:07.299 つくることだと捉えると 00:04:07.299 --> 00:04:09.109 重要になってくるのが 00:04:09.109 --> 00:04:11.239 半分は半分でも どちらの半分を補助するのか 00:04:11.239 --> 00:04:13.699 公的資金を使って 00:04:13.699 --> 00:04:16.159 自分たちの力ではどうにもできないほうの 00:04:16.159 --> 00:04:18.619 半分を解決するべきだと考えました 00:04:18.619 --> 00:04:21.147 デザインの条件を5つ 明確にしました 00:04:21.147 --> 00:04:24.155 家を建てるときに困難なほうの半分です 00:04:24.155 --> 00:04:26.601 家族のところに行って 二つお願いがあると伝えました 00:04:26.601 --> 00:04:30.050 力を合わせることと 仕事を手分けすることです 00:04:30.600 --> 00:04:33.244 私たちのデザインは 00:04:33.244 --> 00:04:36.265 ビルと家の中間に当たります 00:04:36.265 --> 00:04:38.357 ビルとして見ると 00:04:38.357 --> 00:04:41.349 地価が高く ロケーションも良いものです 00:04:41.349 --> 00:04:44.970 家としてなら 拡張することができる 00:04:44.970 --> 00:04:47.554 家を建てるあいだに どこか周辺へと 00:04:47.554 --> 00:04:49.920 彼らが追いやられる ことさえなければ 00:04:49.920 --> 00:04:52.733 彼らは自分たちのネットワークや仕事を 維持することができますから 00:04:52.733 --> 00:04:56.860 すぐに彼らが拡張作業に入ると わかっていました 00:04:56.980 --> 00:05:01.536 こうして 当初の公営住宅から 00:05:01.536 --> 00:05:05.930 中産階級の住宅へと 自分たちの手で変貌をとげました 00:05:05.930 --> 00:05:08.246 しかも2~3週間のうちにです 00:05:08.666 --> 00:05:10.439 これが私たちの最初のプロジェクトでした 00:05:10.439 --> 00:05:12.766 10年前のイキケでのことでした 00:05:12.766 --> 00:05:16.243 そして この映像はチリで最新の プロジェクトの様子です 00:05:16.243 --> 00:05:19.194 デザインは違いますが 考え方は同じです 00:05:19.194 --> 00:05:20.760 まず フレームを与えてあげます 00:05:20.760 --> 00:05:24.008 そこから先は家族が自分で建てます 00:05:24.598 --> 00:05:28.698 ですから デザインの目的は 00:05:28.698 --> 00:05:33.348 3つの「S」の脅威を理解し 解答を差し出すこと 00:05:33.360 --> 00:05:34.826 規模、速度、手段不足 00:05:34.826 --> 00:05:38.309 これを人々が自分の手で家を建てるという キャパシティへつなげること 00:05:38.309 --> 00:05:42.714 自分の力で家を建てるという力を利用しなければ 00:05:42.714 --> 00:05:47.399 週に100万人という式を解くことはできないでしょう 00:05:47.399 --> 00:05:49.634 適正なデザインがあれば 00:05:49.634 --> 00:05:53.035 スラム街や貧民街は 問題ではないのかもしれません 00:05:53.035 --> 00:05:56.784 むしろ 唯一の可能性を持つ 解決方法ということになります 00:05:56.784 --> 00:05:59.819 二つ目のケースは  サステナビリティ(持続可能性)に 00:05:59.819 --> 00:06:01.871 貢献するデザインについてです 00:06:01.871 --> 00:06:04.264 2012年 私たちはコンペに参加しました 00:06:04.264 --> 00:06:06.830 アンジェリーニ・イノベーション・センター 建設にかかるもので 00:06:06.830 --> 00:06:08.412 その目標は 00:06:08.412 --> 00:06:12.136 知識創造のための適切な環境づくり 00:06:13.176 --> 00:06:16.710 知識創造がねらいだということで 00:06:16.710 --> 00:06:19.783 人々のあいだのやり取り 対面で接することが 00:06:19.783 --> 00:06:21.980 重要だとされており 私たちも それに同意しました 00:06:21.980 --> 00:06:25.556 でも適正な環境とは何か 00:06:25.556 --> 00:06:27.722 私たちにとってそれは 文字通りの質問でした 00:06:27.722 --> 00:06:29.842 私たちはワークスペースを設けたかったのです 00:06:29.842 --> 00:06:32.595 適正な明かりに 適正な温度 00:06:32.595 --> 00:06:34.477 適正な空気 00:06:34.477 --> 00:06:36.555 そう考えたとき 00:06:36.555 --> 00:06:39.145 いわゆるオフィスビルが 00:06:39.145 --> 00:06:41.256 参考になるのだろうかと 私たちは自問しました 00:06:41.256 --> 00:06:44.870 オフィスビルってどんな感じでしょう? 00:06:44.870 --> 00:06:47.454 フロアの集まりですよね 00:06:47.454 --> 00:06:49.361 一つ一つが重なり合っていて 00:06:49.361 --> 00:06:52.401 真ん中にコアがあります 00:06:52.401 --> 00:06:57.090 エレベーターに階段 パイプ ワイヤー など 00:06:57.090 --> 00:07:00.677 そして表面はガラスで覆われています 00:07:00.677 --> 00:07:04.553 直射日光が当たるので 00:07:04.553 --> 00:07:09.761 屋内で大きな温室効果が起きます 00:07:09.761 --> 00:07:11.695 それだけではありません 00:07:11.695 --> 00:07:13.431 7階で働いているとしましょう 00:07:13.431 --> 00:07:16.142 毎日 3階を通って職場に行っていますが 00:07:16.142 --> 00:07:19.180 3階の人が何をしているのか 00:07:19.180 --> 00:07:20.909 まったく知りません 00:07:20.909 --> 00:07:24.305 そこで 考えたのです 00:07:24.305 --> 00:07:26.106 この構造を逆にするべきだと 00:07:26.106 --> 00:07:27.928 そこで 何をしたかというと 00:07:27.928 --> 00:07:32.110 オープンスペースのアトリウムを設けました 00:07:32.110 --> 00:07:33.999 コア部分は空洞です 00:07:33.999 --> 00:07:35.613 同じフロアの集合ですが 00:07:35.613 --> 00:07:40.053 壁や質量の大きい部分は周囲に配して 00:07:40.053 --> 00:07:44.317 太陽の光が当たっても 00:07:44.317 --> 00:07:50.444 直接ガラスに当たるのではなく 壁に当たります 00:07:50.444 --> 00:07:53.181 内部に開放的なアトリウムを設けることで 00:07:53.181 --> 00:07:55.330 ほかの人が何をしているか 00:07:55.330 --> 00:07:57.181 建物の内側から見えます 00:07:57.181 --> 00:07:59.380 光の調節もしやすく 00:07:59.380 --> 00:08:02.783 質量の大きい部分と壁を 00:08:02.783 --> 00:08:04.439 周囲に持ってくると 00:08:04.439 --> 00:08:07.872 直射日光を避けることができます 00:08:07.872 --> 00:08:09.792 窓も開けられます 00:08:09.792 --> 00:08:12.688 通風もいいです 00:08:12.688 --> 00:08:15.623 この くりぬかれたような空間は 00:08:15.623 --> 00:08:17.715 大きな空洞になっていて 00:08:17.715 --> 00:08:19.728 高さを持たせた長方形をしています 00:08:19.728 --> 00:08:21.472 こうした屋外空間が 00:08:21.472 --> 00:08:25.135 建物の高さいっぱいに広がります 00:08:25.135 --> 00:08:26.984 これらの工夫は 決して難解ではありません 00:08:26.984 --> 00:08:29.683 複雑なプログラムを組む必要はありません 00:08:29.683 --> 00:08:31.416 つまり テクノロジーの問題ではないんです 00:08:31.416 --> 00:08:36.837 大昔からある じつに原始的な一般常識であり 00:08:36.837 --> 00:08:38.806 その常識をつかって 00:08:38.806 --> 00:08:41.787 年間1平方メートルあたり 120キロワットという 00:08:41.787 --> 00:08:44.126 ガラスの塔を冷却するのに必要な 00:08:44.126 --> 00:08:46.298 典型的なエネルギー消費量から 00:08:46.298 --> 00:08:48.290 年間1平方メートルあたり 00:08:48.290 --> 00:08:52.620 40キロワットまで 抑えることに成功しました 00:08:52.620 --> 00:08:54.897 ということは 適切なデザインがあれば 00:08:54.897 --> 00:08:57.441 サステナビリティとは 誰もがすでに知っていることを 00:08:57.441 --> 00:09:01.174 最大限に活用することに他なりません 00:09:01.174 --> 00:09:04.147 最後のケーススタディでは デザインが包括的な正解を― 00:09:04.147 --> 00:09:06.442 提供することができるということを 00:09:06.442 --> 00:09:08.830 自然災害への取り組みで見てもらいましょう 00:09:08.830 --> 00:09:11.895 ご存知のように  2010年 チリでは 00:09:11.895 --> 00:09:15.700 マグニチュード8.8 という 00:09:15.700 --> 00:09:17.823 地震と津波の被害に遭いました 00:09:17.823 --> 00:09:19.698 そこで私たちが呼ばれました 00:09:19.698 --> 00:09:21.940 「コンスティトゥシオン」というチリの 00:09:21.940 --> 00:09:23.850 南部にある地域の再生を 依頼されました 00:09:23.850 --> 00:09:27.347 与えられた時間は100日 つまり3ヶ月で 00:09:27.347 --> 00:09:29.263 すべてをデザインすることになりました 00:09:29.263 --> 00:09:31.580 公共のビルから公共のスペース 00:09:31.580 --> 00:09:33.670 道路網 交通 住宅 00:09:33.670 --> 00:09:36.424 そして肝心の この都市をどうやって保護するか 00:09:36.424 --> 00:09:38.679 将来 津波が発生したときに備えて どうするのか考えるのです 00:09:38.679 --> 00:09:41.829 チリの都市デザインとしては新しい試みでした 00:09:41.829 --> 00:09:45.202 いくつかアイデアはありました 00:09:45.202 --> 00:09:46.454 一つ目は 00:09:46.454 --> 00:09:49.103 震源地には何も建てないこと 00:09:49.103 --> 00:09:51.140 予算の3000万ドルの使い道は 00:09:51.140 --> 00:09:53.524 おもに土地の収用でした 00:09:53.524 --> 00:09:56.786 これこそが今 日本で討議されている話題です 00:09:56.786 --> 00:09:58.833 国民がしっかりと規律正しい 00:09:58.833 --> 00:10:01.173 日本のような国ではうまくいくのですが 00:10:01.173 --> 00:10:02.658 チリでは 00:10:02.658 --> 00:10:06.471 土地が不法に占拠されるのを 完全に防ぐのは難しい 00:10:06.471 --> 00:10:10.543 この案は非現実的なので 望ましい方法とは言えなかった 00:10:10.543 --> 00:10:13.936 二つ目は大きな壁を建築すること 00:10:13.936 --> 00:10:16.253 重厚なインフラで 00:10:16.253 --> 00:10:18.195 防波堤にしようという考えです 00:10:18.195 --> 00:10:20.314 都合のいいことに この案件に対しては 00:10:20.314 --> 00:10:21.675 大きな建設企業の支持を受けました 00:10:21.675 --> 00:10:25.882 建築費が4200万ドルにもなる 案件だったからです 00:10:25.882 --> 00:10:28.235 政治的にも好ましかったのは 00:10:28.235 --> 00:10:32.227 土地の収用が必要なかったからです 00:10:32.227 --> 00:10:34.977 しかし 日本を見てもわかるように 00:10:34.977 --> 00:10:38.290 自然の力に抗うのは無意味です 00:10:38.290 --> 00:10:41.653 この発案は無責任なものでした 00:10:41.653 --> 00:10:43.747 家を建てる段階で 00:10:43.747 --> 00:10:45.624 コミュニティを巻き込むことが 00:10:45.624 --> 00:10:48.972 解決策を見つけるにあたって 必要だとわかりました 00:10:48.972 --> 00:10:52.145 参加型のプロセスのデザインを始めました NOTE Paragraph 00:10:52.145 --> 00:10:54.416 (スピーカー音) 「どんな街がほしいですか 00:10:54.416 --> 00:10:55.958 コンスティトゥシオンに一票を 00:10:55.958 --> 00:10:58.263 公開イベントに行き 意見を発言しましょう 00:10:58.263 --> 00:11:00.436 皆さんで参加しましょう!」 NOTE Paragraph 00:11:00.436 --> 00:11:02.510 (漁業従事者) 「私は漁業を営んでいます 00:11:02.510 --> 00:11:04.619 25人の従業員を抱えています 00:11:04.619 --> 00:11:06.958 彼らをどこへ連れて行くべき でしょうか?森林でしょうか?」 NOTE Paragraph 00:11:06.958 --> 00:11:10.343 「どうしてコンクリートの防壁じゃダメなんですか? 00:11:10.343 --> 00:11:12.251 しっかりしたものだったらいいでしょう」 NOTE Paragraph 00:11:12.251 --> 00:11:14.141 「コンスティトゥシオンに長いこと住んでいます 00:11:14.141 --> 00:11:18.101 あなた方は もうここで暮らせない と言うためにわざわざ― 00:11:18.101 --> 00:11:20.299 ここまで来たんですか? 家族全員がここで暮らし― 00:11:20.299 --> 00:11:21.771 子供たちもここで大きくなりました 00:11:21.771 --> 00:11:23.856 孫たちもここで大きくなるでしょう 00:11:23.856 --> 00:11:26.364 孫だけでなく 他の家族もみんなそうです 00:11:26.364 --> 00:11:28.890 それなのにどうして こんなことを 言われないといけないんですか 00:11:28.890 --> 00:11:31.187 そこのあなた!あなたが私に言ったんですよ! 00:11:31.237 --> 00:11:32.798 危険地域に建てることは 許可されていません NOTE Paragraph 00:11:32.798 --> 00:11:34.145 彼が自分でそう言ったじゃないか」 NOTE Paragraph 00:11:34.145 --> 00:11:36.230 「いや それは違うだろう ニーヴェス・・・」 00:11:38.940 --> 00:11:41.468 みなさん字幕は全部読めましたか 00:11:41.468 --> 00:11:42.697 いずれにせよ 00:11:42.697 --> 00:11:43.926 少なくとも 00:11:43.926 --> 00:11:45.157 彼らのボディランゲージから 00:11:45.157 --> 00:11:46.435 参加型のデザインが 00:11:46.435 --> 00:11:48.759 ヒッピーたちによる ロマンあふれる 00:11:48.759 --> 00:11:52.010 「みんなで力を合わせて 街の将来を 夢を叶えよう!」 00:11:52.010 --> 00:11:54.077 そういう類のものでないことは お分かりいただけたと思います 00:11:54.077 --> 00:11:57.240 というか― (拍手) 00:11:57.570 --> 00:11:59.970 課題は 家族の人たちと一緒に 00:11:59.970 --> 00:12:03.016 正解をみつけるというよりも むしろ― 00:12:03.016 --> 00:12:04.289 問いかけなければならない 00:12:04.479 --> 00:12:06.765 妥当な質問が何か見極めること 00:12:06.765 --> 00:12:07.921 それが主な課題だったんです 00:12:07.921 --> 00:12:09.987 間違った質問にうまく答えることほど 00:12:09.987 --> 00:12:12.091 最悪のことはありません NOTE Paragraph 00:12:12.091 --> 00:12:15.410 この段階を経た後は明確でした 00:12:15.410 --> 00:12:18.941 ここで怖気づいて 00:12:18.941 --> 00:12:21.517 議論が緊迫しすぎている と言って逃げ出すのか 00:12:21.517 --> 00:12:23.543 あるいは さらに踏み込んで 00:12:23.543 --> 00:12:24.938 本当に気がかりなのは何なのか さらに質問するか 00:12:24.938 --> 00:12:26.691 これ以外にどういう悩みを抱えていますか 00:12:26.691 --> 00:12:29.273 私たちにこの街について何をしてほしいですか 00:12:29.273 --> 00:12:33.595 振り出しに戻って考え直す 必要があるのではないか 00:12:33.595 --> 00:12:35.791 そして 彼らから返ってきたのは 00:12:35.791 --> 00:12:38.577 将来の津波に備えて都市を 守ってくれるのはありがたい 00:12:38.577 --> 00:12:43.334 しかし次の津波と言っても 20年くらい先の話だろう 00:12:43.334 --> 00:12:45.427 ところが 問題は 毎年起こっていて 00:12:45.427 --> 00:12:48.290 雨が続いて洪水になっているのです 00:12:48.290 --> 00:12:50.490 さらに この地域が この国の 00:12:50.490 --> 00:12:52.289 森林地帯の真ん中にあるため 00:12:52.289 --> 00:12:55.109 公共スペースが最低なんです 00:12:55.109 --> 00:12:58.900 貧弱な上 足りていません 00:12:58.900 --> 00:13:01.484 さらに この街の起源や アイデンティティが 00:13:01.484 --> 00:13:04.370 倒壊した建物とは何の関係もない 00:13:04.370 --> 00:13:05.984 この街は川とつながってるんです 00:13:05.984 --> 00:13:08.798 ところがこの川は公共のものではなかった 00:13:08.798 --> 00:13:12.500 河岸が私有地だったからです 00:13:12.500 --> 00:13:17.303 そこで 三つ目のアイデアを 考えることにしました 00:13:17.303 --> 00:13:21.847 私たちが取ったアプローチは 地理的な脅威に逆らう― 00:13:21.847 --> 00:13:25.467 地理的な答えを伴うものでした 00:13:25.467 --> 00:13:29.254 もしも 都市と― 00:13:31.600 --> 00:13:33.983 海のあいだに 00:13:36.590 --> 00:13:39.768 森林があったら どうだろう 00:13:39.768 --> 00:13:41.524 この森林は 00:13:41.524 --> 00:13:44.212 自然のエネルギーに抗うのではなく 00:13:44.212 --> 00:13:48.271 摩擦があることによって それを分散する 00:13:48.271 --> 00:13:51.564 大量の水が集中して比重が高くなっている 00:13:51.564 --> 00:13:54.515 それを薄くの延ばすように分散させ 洪水を防ぐ 00:13:54.515 --> 00:13:59.599 これにより 今までずっとなかった 公共スペースができ 00:13:59.599 --> 00:14:04.632 ついに 川への民主的な アクセスが可能となります 00:14:04.660 --> 00:14:07.601 参加型デザインの結論として 00:14:07.601 --> 00:14:10.604 この案は政治的に そして 社会的にも支持されました 00:14:10.604 --> 00:14:13.715 しかし 今度はコストという問題が 立ちはだかっていました 00:14:13.715 --> 00:14:16.919 4800万ドルの費用です 00:14:16.919 --> 00:14:19.323 そこで私たちは調査をしました 00:14:19.323 --> 00:14:22.245 その結果 公共投資システムには 三つの省庁があって 00:14:22.245 --> 00:14:25.360 まったく同一の場所に対して それぞれの省庁が別々の― 00:14:25.360 --> 00:14:28.230 プロジェクトを計画している ということが判明しました 00:14:28.230 --> 00:14:30.297 お互いのプロジェクトの存在を知らずにです 00:14:30.297 --> 00:14:34.634 プロジェクトの予算は合計すると 5200万ドルになりました 00:14:34.634 --> 00:14:37.310 そこで デザインが持つパワー・オブ・シンセシスで 00:14:37.310 --> 00:14:39.426 都市で最も欠乏しているリソースを 00:14:39.426 --> 00:14:42.283 最大限に効率よく使うという試みをしました 00:14:42.283 --> 00:14:44.348 最も欠乏しているリソースとは お金ではありません 00:14:44.348 --> 00:14:46.413 コーディネーションなんです 00:14:46.413 --> 00:14:49.928 コーディネーションを巧く行うことで 400万ドルを節約しました 00:14:49.928 --> 00:14:53.740 そのおかげでこの森林は 現在 建設が行われています 00:14:53.740 --> 00:14:56.550 (拍手) NOTE Paragraph 00:14:57.410 --> 00:15:01.346 ですから 自己構築力にせよ 00:15:01.346 --> 00:15:04.240 常識力にせよ 00:15:04.240 --> 00:15:05.900 自然の力にせよ 00:15:05.900 --> 00:15:07.570 すべての力という力は 00:15:07.570 --> 00:15:09.990 「形」へと置き換えられなければなりません 00:15:09.990 --> 00:15:14.357 そして その「形」が生み出そうとしているのは 00:15:14.357 --> 00:15:17.677 セメントやレンガや木材のことではありません 00:15:17.677 --> 00:15:19.922 生活そのもの なのです 00:15:19.922 --> 00:15:22.260 デザインが持つ パワー・オブ・シンセシス とは 00:15:22.280 --> 00:15:26.692 建築の内面の最も核の部分に 00:15:26.692 --> 00:15:29.107 生活の力を当てはめるという 試みに他ならない 00:15:28.959 --> 00:15:30.069 そいうことなのです NOTE Paragraph 00:15:30.069 --> 00:15:32.069 ご静聴ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:32.072 --> 00:15:35.532 (拍手)