WEBVTT 00:00:00.439 --> 00:00:02.531 皆さんこんにちは マックといいます 00:00:02.531 --> 00:00:06.589 私の仕事は 子どもに嘘をつく事です 00:00:06.589 --> 00:00:08.605 ただし それは誠実な嘘です NOTE Paragraph 00:00:08.605 --> 00:00:10.373 私は児童文学作家です 00:00:10.373 --> 00:00:13.601 パブロ・ピカソの格言にこうありますー 00:00:13.601 --> 00:00:16.787 “我々はみな芸術が 真実ではないことを知っている 00:00:16.787 --> 00:00:20.429 芸術は我々に 真実を悟らせる嘘でありー 00:00:20.429 --> 00:00:23.127 少なくとも 我々が理解するために 与えられる真実で 00:00:23.127 --> 00:00:25.237 芸術家は 自分の嘘の誠実さをー 00:00:25.237 --> 00:00:30.074 他の人たちに納得させるような方法を 知っていなければならない” NOTE Paragraph 00:00:30.074 --> 00:00:32.932 この言葉に初めて出会った時 まだ子どもでしたがー 00:00:32.932 --> 00:00:34.623 とても気に入りました 00:00:34.623 --> 00:00:37.415 でも 意味は分かりませんでした 00:00:37.415 --> 00:00:38.992 (笑) NOTE Paragraph 00:00:38.992 --> 00:00:40.889 という訳で 私はここにいるのです 00:00:40.889 --> 00:00:42.508 つまり 皆さんに今日お話しするのはー 00:00:42.508 --> 00:00:44.721 “真実と虚” “物語と現実” についてです 00:00:44.721 --> 00:00:46.573 さて この謎めいた言葉の意味を 00:00:46.573 --> 00:00:49.100 どうやって解き明かしましょうか? 00:00:49.100 --> 00:00:52.527 パワーポイントを使って ベン図で示してみましょう 00:00:52.527 --> 00:00:55.020 [ “真実” “嘘” ] (笑) 00:00:55.020 --> 00:00:56.780 どうです?ドカーン 00:00:56.780 --> 00:00:58.485 真実と嘘が示されました 00:00:58.485 --> 00:00:59.557 僅かな領域がー 00:00:59.557 --> 00:01:01.118 真ん中に見えます 00:01:01.118 --> 00:01:07.918 あの境界域 あれが芸術です 00:01:07.918 --> 00:01:12.915 さすが ベン図です (笑)(拍手) NOTE Paragraph 00:01:12.915 --> 00:01:15.941 ただ あまり役に立ちません 00:01:15.941 --> 00:01:20.316 分かった事といえばー 00:01:20.316 --> 00:01:22.806 ピカソの格言や いわゆる芸術 00:01:22.806 --> 00:01:25.023 これらが物語という点でー 00:01:25.023 --> 00:01:26.463 子どもたちと関わっている事です 00:01:26.463 --> 00:01:28.723 昔 大学時代に夏休みを利用して 00:01:28.723 --> 00:01:31.010 夏季キャンプのリーダーをしていました 00:01:31.010 --> 00:01:34.389 とても充実していました 00:01:34.389 --> 00:01:36.148 4歳から6歳が参加する 00:01:36.148 --> 00:01:37.982 あるスポーツキャンプで 00:01:37.982 --> 00:01:39.628 私は 4歳児の世話を任されました 00:01:39.628 --> 00:01:41.431 都合がよかった 何故ならー 00:01:41.431 --> 00:01:44.780 彼らも私も 競技できないからです 00:01:44.780 --> 00:01:46.355 (笑) 00:01:46.355 --> 00:01:49.280 私の運動神経は 4歳レベルです 00:01:49.280 --> 00:01:52.997 キャンプで 子どもたちはー 00:01:52.997 --> 00:01:54.696 コーンの周りでドリブルを練習します 00:01:54.696 --> 00:01:56.959 そして暑くなると 木陰で休憩しますが 00:01:56.959 --> 00:01:59.804 そこには私が先に休んでいたのです (笑) 00:01:59.804 --> 00:02:02.349 そして 彼らに 物語を聞かせました 00:02:02.349 --> 00:02:04.168 自分の生活を交えたりもします 00:02:04.168 --> 00:02:05.911 例えば 週末になると実家に帰りー 00:02:05.911 --> 00:02:09.126 イングランド女王をスパイするとか 00:02:09.126 --> 00:02:12.447 すると すぐに他の子どもたちが来ます 00:02:12.447 --> 00:02:14.287 年齢に関係なくー 00:02:14.287 --> 00:02:15.756 集まって来て こう言うのです 00:02:15.756 --> 00:02:17.668 “マック・バーネットさんでしょう? 00:02:17.668 --> 00:02:20.737 イングランド女王の スパイなんでしょう?” 00:02:20.737 --> 00:02:23.959 私は 見ず知らずの人がー 00:02:23.959 --> 00:02:26.389 この質問をしてくれるのを ずっと待っていました 00:02:26.389 --> 00:02:28.662 空想の中では すらりとしたロシア女性ですが 00:02:28.662 --> 00:02:29.899 現実は4歳児... 00:02:29.899 --> 00:02:34.528 カリフォルニアのバークレーでは こんなところでしょう NOTE Paragraph 00:02:34.528 --> 00:02:38.956 そして話しているうちに 気づいたんです 00:02:38.956 --> 00:02:42.453 物語の中の現実には どことなく馴染みがありー 00:02:42.453 --> 00:02:43.658 こんなにワクワクするのだと 00:02:43.658 --> 00:02:45.864 私にとって 忘れられない 出来事があります 00:02:45.864 --> 00:02:48.687 ライリーという 小さな女の子がいてー 00:02:48.687 --> 00:02:51.126 毎日 お昼ご飯をもって来てはー 00:02:51.126 --> 00:02:53.466 その中の果物を 捨てていました 00:02:53.466 --> 00:02:54.874 お弁当の果物ー 00:02:54.874 --> 00:02:56.222 お母さんが 毎日 持たせたメロンを 00:02:56.222 --> 00:02:57.971 ツタに投げつけていました 00:02:57.971 --> 00:03:00.284 でも フルーツのグミは 食べていました 00:03:00.284 --> 00:03:02.657 それとプリンも 私はこう言いました “ライリー 00:03:02.657 --> 00:03:05.713 そんなことしちゃダメだよ 果物も食べないと” 00:03:05.713 --> 00:03:07.530 すると彼女は “どうして?” と 00:03:07.530 --> 00:03:09.362 そこで私は “だって そうやって捨てているとー 00:03:09.362 --> 00:03:13.254 いまに あちこちに メロンができちゃうよ” 00:03:13.254 --> 00:03:15.256 結局それがきっかけでー 00:03:15.256 --> 00:03:20.875 私は 子どもの栄養士ではなく 児童文学作家になりました 00:03:20.875 --> 00:03:22.763 ライリーは言い返しました “そんなこと 起こりっこないわ 00:03:22.763 --> 00:03:23.863 絶対ないわ” 00:03:23.863 --> 00:03:26.914 そこで キャンプの最終日 00:03:26.914 --> 00:03:29.367 早起きして スーパーに行きー 00:03:29.367 --> 00:03:31.393 大きなマスクメロンを買ってきました 00:03:31.393 --> 00:03:33.495 そして ツタの中に隠しました 00:03:33.495 --> 00:03:34.946 お昼ご飯の時間になると 彼女に こう言ったんですー 00:03:34.946 --> 00:03:37.621 “ライリー あそこに行って 自分が何をしたか見てごらん” 00:03:37.621 --> 00:03:40.796 するとー (笑) 00:03:40.796 --> 00:03:43.474 彼女はツタの辺りまで てくてく歩いていきました 00:03:43.474 --> 00:03:45.566 そして目を見開いて 自分の頭よりも 00:03:45.566 --> 00:03:47.680 大きなメロンを指差すと 00:03:47.680 --> 00:03:50.650 子どもたちは みんな 彼女に駆け寄ってきました 00:03:50.650 --> 00:03:52.237 すると一人が言いました “ねえー 00:03:52.237 --> 00:03:54.126 どうしてメロンに ステッカーが貼ってあるの?” 00:03:54.126 --> 00:03:57.350 (笑) 00:03:57.350 --> 00:03:59.819 私はこう答えました “だから言っただろう? 00:03:59.819 --> 00:04:02.811 ステッカーをツタの中に 捨てちゃダメだって 00:04:02.811 --> 00:04:08.283 ちゃんとゴミ箱に捨てないと 自然破壊になっちゃうぞ” 00:04:08.283 --> 00:04:13.633 ライリーは 一日中 あのメロンを持ち歩きー 00:04:13.633 --> 00:04:15.661 とても誇らしげでした NOTE Paragraph 00:04:15.661 --> 00:04:20.505 彼女は7日ではメロンが育たないことを 知っていました 00:04:20.505 --> 00:04:23.441 でも 同時に彼女が育てたことも 分かっていました 00:04:23.441 --> 00:04:25.657 不思議な空間です 00:04:25.657 --> 00:04:28.402 そこは子どもだけの 空間ではありません 00:04:28.402 --> 00:04:31.934 大人も芸術を通して導かれます 00:04:31.934 --> 00:04:33.891 あの時 彼女の想像力は フル回転していました 00:04:33.891 --> 00:04:37.316 芸術とも物語とも言える領域で 00:04:37.316 --> 00:04:39.381 これを“不思議” と呼ぶ事にしましょう 00:04:39.381 --> 00:04:42.010 コールリッジの 不信の自発的停止ー 00:04:42.010 --> 00:04:43.690 または詩的技巧です 00:04:43.690 --> 00:04:46.100 どんなに不思議でも 物語のある所にはー 00:04:46.100 --> 00:04:48.140 見せかけの真実が存在します 00:04:48.140 --> 00:04:50.117 それは信じるに値します 00:04:50.117 --> 00:04:51.747 その場所へ 子どもも大人もー 00:04:51.747 --> 00:04:54.436 物語を通して導かれます 00:04:54.436 --> 00:04:56.686 だからこそ 私たちは 2日間に渡ってー 00:04:56.686 --> 00:05:00.220 ブルームの日に因み ダブリンの ウォーキングツアーに参加します 00:05:00.220 --> 00:05:05.825 実際は何も起こっていないのに 『ユリシーズ』の世界に 00:05:05.825 --> 00:05:08.080 浸るためです 00:05:08.080 --> 00:05:10.337 或いはロンドンのベーカー街に行きー 00:05:10.337 --> 00:05:11.809 シャーロックホームズの アパートを訪れます 00:05:11.809 --> 00:05:13.936 たとえ221Bなんて住所は架空だとー 00:05:13.936 --> 00:05:17.082 存在しないと 分かっていても 00:05:17.082 --> 00:05:18.807 彼らは実在しないことを知りつつも 00:05:18.807 --> 00:05:21.427 私たちは 彼らの存在を感じー 00:05:21.427 --> 00:05:22.471 思いを馳せることができます 00:05:22.471 --> 00:05:24.364 彼らが架空の登場人物であると 知りながらもー 00:05:24.364 --> 00:05:27.682 その存在は 現実味を帯びています NOTE Paragraph 00:05:27.682 --> 00:05:31.338 子どもの方が 大人に比べ その世界に入りやすい 00:05:31.338 --> 00:05:32.891 だから童話を書いています 00:05:32.891 --> 00:05:34.871 純粋な文芸小説では特に 00:05:34.871 --> 00:05:39.260 子どもは最高の読者です 00:05:39.260 --> 00:05:42.084 私が幼少の頃ー 00:05:42.084 --> 00:05:44.710 秘密の扉が出てくる小説に ハマっていました 00:05:44.710 --> 00:05:45.871 例えば『ナルニア国物語』です 00:05:45.871 --> 00:05:49.574 衣装ダンスの奥に隠れた扉を開き 魔法の国に行くのです 00:05:49.574 --> 00:05:52.304 秘密の扉は存在すると信じていた私は 00:05:52.304 --> 00:05:54.332 扉があれば 試していました 00:05:54.332 --> 00:05:58.076 現実を超えた 空想の世界に憧れてー 00:05:58.076 --> 00:06:03.771 いろんな家のクローゼットの扉を 片っ端から開けました (笑) 00:06:03.771 --> 00:06:06.548 母のボーイフレンドの クローゼットも試しました 00:06:06.548 --> 00:06:08.798 でも そこで目にしたのは 秘密の魔法の国ではなくー 00:06:08.798 --> 00:06:11.386 ちょっと意外なモノで これは母に知らせねば と思い 00:06:11.386 --> 00:06:13.107 (笑) 00:06:13.107 --> 00:06:17.272 喜んで報告しました NOTE Paragraph 00:06:19.545 --> 00:06:23.683 大学を卒業後 初めて就いた仕事はー 00:06:23.683 --> 00:06:26.231 秘密の扉の向こうにありました 00:06:26.231 --> 00:06:28.188 826バレンシアというー 00:06:28.188 --> 00:06:30.280 住所と同じ名前の建物で 00:06:30.280 --> 00:06:32.766 サンフランシスコ ミッション地区にあります 00:06:32.766 --> 00:06:34.792 当時 そこにはー 00:06:34.792 --> 00:06:37.431 マックスウィーニーという 出版社の本部と 00:06:37.431 --> 00:06:40.585 “826バレンシア” という 非営利の学習支援センターがありました 00:06:40.585 --> 00:06:42.790 ただ 入り口付近はー 00:06:42.790 --> 00:06:44.360 変わった店が 構えていました 00:06:44.360 --> 00:06:45.787 ここは商業地区で 00:06:45.787 --> 00:06:48.903 サンフランシスコでは 特例許可が下りませんでした 00:06:48.903 --> 00:06:51.790 そこで 作家で創立者の デイブ・エガーズはー 00:06:51.790 --> 00:06:54.129 条例に従って こう言いました  “よしー 00:06:54.129 --> 00:06:58.505 海賊用品店をオープンしよう” 00:06:58.505 --> 00:07:01.583 これが その店内です (笑) 00:07:01.583 --> 00:07:03.534 木製の美しい店です 00:07:03.534 --> 00:07:05.464 タンスの引き出しには ミカンがあるのでー 00:07:05.464 --> 00:07:08.483 壊血病も防げます 00:07:08.483 --> 00:07:10.631 眼帯も色とりどり 00:07:10.631 --> 00:07:13.331 ほら 海賊は春に熱狂しがちでしょう? 00:07:13.331 --> 00:07:17.674 “黒色はつまらない パステルでいこう” 00:07:17.674 --> 00:07:19.670 義眼も このとおり 00:07:19.670 --> 00:07:21.475 色は状況に応じてー 00:07:21.475 --> 00:07:25.187 選べます 00:07:25.187 --> 00:07:28.312 不思議と 人々はー 00:07:28.312 --> 00:07:32.324 この海賊用品店で 買い物をします 00:07:32.324 --> 00:07:34.151 その売上高は 店の裏のー 00:07:34.151 --> 00:07:36.215 支援センターの家賃を 賄うまでになりました 00:07:36.215 --> 00:07:39.267 ですが 私にとって重要なのはー 00:07:39.267 --> 00:07:41.918 自分たちが手がける 仕事の質です 00:07:41.918 --> 00:07:44.404 子どもたちは書くことを習いに ここに やって来る訳ですがー 00:07:44.404 --> 00:07:48.670 この一風変わった空間から 執筆の世界に移動することはー 00:07:48.670 --> 00:07:52.420 作品の内容に かなりの影響をもたらします 00:07:52.420 --> 00:07:54.607 秘密の扉を通り抜けるー そんな気持ちになります NOTE Paragraph 00:07:54.607 --> 00:07:57.358 それで “826ロサンゼルス” を 運営することにしました 00:07:57.358 --> 00:08:00.840 これが自分のなすべき仕事と考えたのです 00:08:00.840 --> 00:08:04.400 そして『エコーパーク タイムトラベルマート』を作りました 00:08:04.400 --> 00:08:07.240 モットーは “お客様が来れば 私たちはいつでもそこに” 00:08:07.240 --> 00:08:11.100 (笑) 00:08:11.100 --> 00:08:15.857 ロスのサンセットブールバードの 大通りに面した建物で 00:08:15.857 --> 00:08:17.967 時空を超えてやって来た 親切なスタッフが 00:08:17.967 --> 00:08:20.110 対応します 00:08:20.110 --> 00:08:23.719 左端の男性は 1980年代から来ました 00:08:23.719 --> 00:08:25.916 ごく最近の人物です 00:08:25.916 --> 00:08:27.618 これは “月間優秀社員リスト” 00:08:27.618 --> 00:08:30.604 チンギス・カン に チャールズ・ディケンズ 00:08:30.604 --> 00:08:33.596 偉人もランクインしています 00:08:33.596 --> 00:08:35.947 これは いわゆる薬局でー 00:08:35.947 --> 00:08:37.286 特許医薬品も販売しています 00:08:37.286 --> 00:08:39.637 ミイラのお供に “カノピック壷” 00:08:39.637 --> 00:08:41.271 “共産主義 石けん” の売り文句はー 00:08:41.271 --> 00:08:45.722 “今年の石けんは これで決まり” (笑) 00:08:45.722 --> 00:08:47.938 開店初日に フローズンドリンク マシンがー 00:08:47.938 --> 00:08:50.571 壊れてしまい 私たちは 途方に暮れました 00:08:50.571 --> 00:08:52.810 あるスタッフは いちごシロップにまみれー 00:08:52.810 --> 00:08:55.284 まるで返り血を浴びた 殺人者のようでした 00:08:55.284 --> 00:08:56.971 しっくりきていて 00:08:56.971 --> 00:08:59.021 結構似合っていましたけど 00:08:59.021 --> 00:09:00.607 とにかく 直らないんです 00:09:00.607 --> 00:09:01.639 “どうしようー うちのイチオシなのに” 00:09:01.639 --> 00:09:02.984 仕方なく貼り紙で ごまかしました 00:09:02.984 --> 00:09:07.489 “故障中 昨日来て下さい” (笑) 00:09:07.489 --> 00:09:09.525 結局 フローズンドリンク以上に 好評だったので 00:09:09.525 --> 00:09:13.621 今でも あのままです 00:09:13.621 --> 00:09:17.934 “マンモス肉” 一つ 7キロ 00:09:17.934 --> 00:09:20.134 “原始人よけスプレー” サラダとポプリ入り 00:09:20.134 --> 00:09:24.712 原始人が嫌いなものです 00:09:24.712 --> 00:09:26.670 [ “ラテン語” “コプト語” ] 死語 00:09:26.670 --> 00:09:29.370 (笑) 00:09:29.370 --> 00:09:32.450 “ヒル”ー 自然界の 小さなお医者さん 00:09:32.450 --> 00:09:35.590 “バイキング臭” の 原材料は様々で 00:09:35.590 --> 00:09:39.595 足の爪、汗、腐った野菜 それから薪ストーブの灰 00:09:39.595 --> 00:09:41.703 ほら AXE(斧)のボディスプレーは 00:09:41.703 --> 00:09:43.366 戦場で使うものでしょう? 00:09:43.366 --> 00:09:47.560 脇の下ではなく (笑) 00:09:47.560 --> 00:09:49.544 これは “ロボット感情チップ” でー 00:09:49.544 --> 00:09:51.771 ロボットに愛情や恐怖心が生まれます 00:09:51.771 --> 00:09:53.481 ヒット商品は “他人の不幸” 00:09:53.481 --> 00:09:54.782 これは意外でした 00:09:54.782 --> 00:09:55.793 (笑) 00:09:55.793 --> 00:09:58.240 予想もしていませんでした 00:09:58.240 --> 00:10:00.501 店の裏には 支援センターがあります 00:10:00.501 --> 00:10:02.481 子どもたちは “スタッフ専用” の扉を抜けてー 00:10:02.481 --> 00:10:03.696 この場所に辿り着きます 00:10:03.696 --> 00:10:05.870 そこで 宿題をしたり物語を書いたり 00:10:05.870 --> 00:10:08.330 映画も作ります これは子どもたちが朗読する 00:10:08.330 --> 00:10:09.814 本の発売記念パーティーです 00:10:09.814 --> 00:10:11.716 彼らの作品を集めた季刊誌で 00:10:11.716 --> 00:10:13.145 放課後ここに来てはー 00:10:13.145 --> 00:10:14.202 毎日 物語を書きます 00:10:14.202 --> 00:10:15.730 そして ケーキでお祝いしー 00:10:15.730 --> 00:10:18.677 両親に自作の物語を発表しー 00:10:18.677 --> 00:10:21.529 シャンパングラスに 牛乳で乾杯します 00:10:21.529 --> 00:10:24.777 そこは 特別な空間です 00:10:24.777 --> 00:10:27.996 表の店が影響しているからです 00:10:27.996 --> 00:10:31.295 もはや冗談ではなくなりました 00:10:31.295 --> 00:10:33.695 二つの空間に 継ぎ目はありません 00:10:33.695 --> 00:10:36.603 紛れもなく 小さな物語がー 00:10:36.603 --> 00:10:39.865 現実の世界に入り込んでいます 00:10:39.865 --> 00:10:43.922 いわゆる3次元の本です NOTE Paragraph 00:10:43.922 --> 00:10:46.162 これを “メタフィクション” といいー 00:10:46.162 --> 00:10:50.245 “物語についての物語” を意味します 00:10:50.245 --> 00:10:51.820 “メタ” は 読者が 目を通す今をいいます 00:10:51.820 --> 00:10:53.845 最近の文学では 1960年代のー 00:10:53.845 --> 00:10:56.522 ジョン・バースや ウィリアム・ギャディスの物語が 00:10:56.522 --> 00:10:57.770 今日に引き継がれています 00:10:57.770 --> 00:11:01.311 昔話みたいです 00:11:01.311 --> 00:11:03.851 また ある技巧によりー 00:11:03.851 --> 00:11:05.645 “第四の壁を破る” ことができます 00:11:05.645 --> 00:11:08.895 すると 役者は観客を意識し あたかも こう語りかけますー 00:11:08.895 --> 00:11:09.961 “私は役を演じていて 00:11:09.961 --> 00:11:12.552 全部お芝居なんです” と 00:11:12.552 --> 00:11:14.577 問題は その空間が 真実であるにも関わらずー 00:11:14.577 --> 00:11:16.803 “偽りの奉仕” と 見なされてしまう事です 00:11:16.803 --> 00:11:19.559 でも偽りの物語が 浮き彫りになるのが 00:11:19.559 --> 00:11:21.246 自然です 00:11:21.246 --> 00:11:23.395 むしろ反対だったらいいのに 00:11:23.395 --> 00:11:25.529 もし私が第四の壁を破るならー 00:11:25.529 --> 00:11:27.872 物語から現実の世界へとー 00:11:27.872 --> 00:11:29.955 読者を導きます 00:11:29.955 --> 00:11:34.554 秘密の扉を開いて 現実の世界へ いざなう物語ー 00:11:34.554 --> 00:11:37.446 それが本であってほしい NOTE Paragraph 00:11:37.446 --> 00:11:40.427 そこで やってみました 00:11:40.427 --> 00:11:41.970 一つの例をご紹介します 00:11:41.970 --> 00:11:43.892 私のデビュー作でー 00:11:43.892 --> 00:11:46.513 『ビリー・ツイッターと シロナガスクジラ問題』という本は 00:11:46.513 --> 00:11:48.643 子どもがシロナガスクジラを 世話する話です 00:11:48.643 --> 00:11:50.229 ただし おしおき としてで 00:11:50.229 --> 00:11:52.704 ビリーの生活は一転します 00:11:52.704 --> 00:11:55.516 ある日クジラが FedUp (くたびれ) 社から配達されます 00:11:55.516 --> 00:11:58.106 (笑) 00:11:58.106 --> 00:12:00.100 とにかく学校にクジラを 連れて行く訳ですがー 00:12:00.100 --> 00:12:01.454 彼の住むサンフランシスコではー 00:12:01.454 --> 00:12:03.985 かなり無謀です 00:12:03.985 --> 00:12:08.419 無数の丘に プレミアム付きの不動産物件 00:12:08.419 --> 00:12:10.927 考えられません 00:12:10.927 --> 00:12:14.718 この本を書いた時 ある事をしました 00:12:14.718 --> 00:12:18.904 本の表紙の下にー 00:12:18.904 --> 00:12:20.284 広告を載せたんです 00:12:20.284 --> 00:12:23.527 “安心の30日間トライアルでー 00:12:23.527 --> 00:12:25.426 シロナガスクジラを飼育できます 00:12:25.426 --> 00:12:28.420 切手を貼った自分宛の 封筒を同封すれば 00:12:28.420 --> 00:12:32.270 クジラをお届けします” と 00:12:32.270 --> 00:12:36.610 すると子どもたちは 手紙を書きます NOTE Paragraph 00:12:36.610 --> 00:12:40.018 ご紹介しましょう “皆さんへー 00:12:40.018 --> 00:12:43.199 シロナガスクジラが送られない事に 10ドル賭けます 00:12:43.199 --> 00:12:45.676 エリオット・ギャノン (6歳)より” 00:12:45.676 --> 00:12:49.350 (笑)(拍手) NOTE Paragraph 00:12:50.838 --> 00:12:52.960 こうやってエリオットや 他の子どもたちがー 00:12:52.960 --> 00:12:55.451 手紙を書いて受け取るのはー 00:12:55.451 --> 00:12:58.376 ノルウェーの法律事務所からの 小さな活字で綴られた手紙です (笑) 00:12:58.376 --> 00:13:02.337 ノルウェーの法律事務所からの 小さな活字で綴られた手紙です (笑) 00:13:02.337 --> 00:13:05.698 “関税法の変更により 君のクジラはー 00:13:05.698 --> 00:13:07.905 ソグネ・フィヨルドで保護されました 00:13:07.905 --> 00:13:09.129 とても快適なフィヨルドで...” 00:13:09.129 --> 00:13:10.593 こうやって フィヨルドやー 00:13:10.593 --> 00:13:13.073 北欧の食べ物の話で 本題からそれます 00:13:13.073 --> 00:13:14.855 (笑) 00:13:16.767 --> 00:13:18.680 ただし 終わりにこう綴りますー 00:13:18.680 --> 00:13:21.414 “君のクジラは 君と お話しをしたがっています 00:13:21.414 --> 00:13:23.000 だから この番号に電話して 00:13:23.000 --> 00:13:27.714 メッセージを残して下さい” 00:13:27.714 --> 00:13:30.290 子どもたちが クジラに電話するとー 00:13:30.290 --> 00:13:32.281 応答メッセージが流れます 00:13:32.281 --> 00:13:37.399 クジラの鳴き声と ピーッという音です 00:13:37.399 --> 00:13:40.954 この音の方がクジラっぽいです 00:13:40.954 --> 00:13:42.934 すると 子どもたちは 自分のクジラをイメージします 00:13:42.934 --> 00:13:45.465 これはランドルフです 00:13:45.465 --> 00:13:48.806 ランドルフの飼い主は ニコといいー 00:13:48.806 --> 00:13:53.088 彼は一番最初に電話してきました 00:13:53.088 --> 00:13:55.398 少し聞いてみましょう 00:13:55.398 --> 00:13:59.530 これは一回目のメッセージです NOTE Paragraph 00:13:59.530 --> 00:14:01.769 (音声)ニコ: “こんにちは 僕はニコだよ 00:14:01.769 --> 00:14:05.803 君の主人だよ ランドルフ こんにちは 00:14:05.803 --> 00:14:09.279 初めてお話しするね 00:14:09.279 --> 00:14:15.523 また今度 電話するよ さよなら” NOTE Paragraph 00:14:15.523 --> 00:14:18.110 マック:そして 1時間後 ニコから電話がありました 00:14:18.110 --> 00:14:20.360 (笑) 00:14:20.360 --> 00:14:24.297 ニコからの別のメッセージです NOTE Paragraph 00:14:24.297 --> 00:14:27.840 (音声)ニコ: “こんにちは ランドルフ ニコだよ 00:14:27.840 --> 00:14:32.993 長い間 お話ししなかったね 00:14:32.993 --> 00:14:37.688 でも土曜日か日曜日に お話ししたね 00:14:37.688 --> 00:14:39.938 土曜日か日曜日だったね 00:14:39.938 --> 00:14:42.953 だから今日 電話してみたよ 00:14:42.953 --> 00:14:47.869 元気?今 何をしてるの? 00:14:47.869 --> 00:14:50.805 また電話するね 00:14:50.805 --> 00:14:52.988 明日か今日 00:14:52.988 --> 00:14:57.184 また後で バイ” NOTE Paragraph 00:14:57.184 --> 00:15:01.492 マック:そして数時間後 ニコから電話がありました 00:15:01.492 --> 00:15:05.373 ニコは ランドルフに4年間でー 00:15:05.373 --> 00:15:08.125 25件のメッセージを残しました 00:15:08.125 --> 00:15:10.216 ニコが思い浮かぶでしょう? 00:15:10.216 --> 00:15:11.852 彼の大好きな お婆ちゃんやー 00:15:11.852 --> 00:15:14.207 それ程 好きでない お婆ちゃんの姿も 00:15:14.207 --> 00:15:16.400 (笑) 00:15:16.400 --> 00:15:18.827 またクロスワードパズルをする 彼の姿も 00:15:18.827 --> 00:15:22.607 他のメッセージも聞いてみましょう 00:15:22.607 --> 00:15:25.910 ニコからのクリスマス メッセージです NOTE Paragraph 00:15:25.910 --> 00:15:28.273 (ビープ音) (音声)ニコ: “こんにちは ランドルフ 00:15:28.273 --> 00:15:31.528 長い間 電話できなくて ごめんね 00:15:31.528 --> 00:15:34.194 学校が始まったから 00:15:34.194 --> 00:15:36.893 とっても忙しかったんだ 00:15:36.893 --> 00:15:39.926 君はクジラだから 00:15:39.926 --> 00:15:43.807 多分 知らないと思うけど 00:15:43.807 --> 00:15:48.487 今日は君にー 00:15:48.487 --> 00:15:52.177 メリークリスマスを 伝えたかったんだ 00:15:52.177 --> 00:15:56.778 素敵なクリスマスをー 00:15:56.778 --> 00:16:03.651 バイバイ ランドルフ さようなら” 00:16:03.651 --> 00:16:05.175 マック:ニコはー 00:16:05.175 --> 00:16:08.306 18ヶ月間 電話してきませんでした 00:16:08.306 --> 00:16:12.424 これは 2日前に残したメッセージです 00:16:12.424 --> 00:16:14.850 彼の声は全く変わっていますがー 00:16:14.850 --> 00:16:18.350 電話口でベビーシッターと一緒にー 00:16:18.350 --> 00:16:22.211 ランドルフに とても優しく 話しかけていました NOTE Paragraph 00:16:22.211 --> 00:16:26.561 ニコは最高の読者です 00:16:26.561 --> 00:16:30.287 私は読者にー 00:16:30.287 --> 00:16:32.428 私が創り出す物語を 00:16:32.428 --> 00:16:34.664 しっかり感じて欲しいのです 00:16:34.664 --> 00:16:38.365 ニコのような読者に 出会えた私は幸せです 00:16:38.365 --> 00:16:41.960 彼らは 最高の本を読むに ふさわしい読者です NOTE Paragraph 00:16:41.960 --> 00:16:44.162 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:16:44.162 --> 00:16:46.817 (拍手)