1 00:00:00,439 --> 00:00:02,531 皆さんこんにちは マックといいます 2 00:00:02,531 --> 00:00:06,589 私の仕事は 子どもに嘘をつく事です 3 00:00:06,589 --> 00:00:08,605 ただし それは誠実な嘘です 4 00:00:08,605 --> 00:00:10,373 私は児童文学作家です 5 00:00:10,373 --> 00:00:13,601 パブロ・ピカソの格言にこうありますー 6 00:00:13,601 --> 00:00:16,787 “我々はみな芸術が 真実ではないことを知っている 7 00:00:16,787 --> 00:00:20,429 芸術は我々に 真実を悟らせる嘘でありー 8 00:00:20,429 --> 00:00:23,127 少なくとも 我々が理解するために 与えられる真実で 9 00:00:23,127 --> 00:00:25,237 芸術家は 自分の嘘の誠実さをー 10 00:00:25,237 --> 00:00:30,074 他の人たちに納得させるような方法を 知っていなければならない” 11 00:00:30,074 --> 00:00:32,932 この言葉に初めて出会った時 まだ子どもでしたがー 12 00:00:32,932 --> 00:00:34,623 とても気に入りました 13 00:00:34,623 --> 00:00:37,415 でも 意味は分かりませんでした 14 00:00:37,415 --> 00:00:38,992 (笑) 15 00:00:38,992 --> 00:00:40,889 という訳で 私はここにいるのです 16 00:00:40,889 --> 00:00:42,508 つまり 皆さんに今日お話しするのはー 17 00:00:42,508 --> 00:00:44,721 “真実と虚” “物語と現実” についてです 18 00:00:44,721 --> 00:00:46,573 さて この謎めいた言葉の意味を 19 00:00:46,573 --> 00:00:49,100 どうやって解き明かしましょうか? 20 00:00:49,100 --> 00:00:52,527 パワーポイントを使って ベン図で示してみましょう 21 00:00:52,527 --> 00:00:55,020 [ “真実” “嘘” ] (笑) 22 00:00:55,020 --> 00:00:56,780 どうです?ドカーン 23 00:00:56,780 --> 00:00:58,485 真実と嘘が示されました 24 00:00:58,485 --> 00:00:59,557 僅かな領域がー 25 00:00:59,557 --> 00:01:01,118 真ん中に見えます 26 00:01:01,118 --> 00:01:07,918 あの境界域 あれが芸術です 27 00:01:07,918 --> 00:01:12,915 さすが ベン図です (笑)(拍手) 28 00:01:12,915 --> 00:01:15,941 ただ あまり役に立ちません 29 00:01:15,941 --> 00:01:20,316 分かった事といえばー 30 00:01:20,316 --> 00:01:22,806 ピカソの格言や いわゆる芸術 31 00:01:22,806 --> 00:01:25,023 これらが物語という点でー 32 00:01:25,023 --> 00:01:26,463 子どもたちと関わっている事です 33 00:01:26,463 --> 00:01:28,723 昔 大学時代に夏休みを利用して 34 00:01:28,723 --> 00:01:31,010 夏季キャンプのリーダーをしていました 35 00:01:31,010 --> 00:01:34,389 とても充実していました 36 00:01:34,389 --> 00:01:36,148 4歳から6歳が参加する 37 00:01:36,148 --> 00:01:37,982 あるスポーツキャンプで 38 00:01:37,982 --> 00:01:39,628 私は 4歳児の世話を任されました 39 00:01:39,628 --> 00:01:41,431 都合がよかった 何故ならー 40 00:01:41,431 --> 00:01:44,780 彼らも私も 競技できないからです 41 00:01:44,780 --> 00:01:46,355 (笑) 42 00:01:46,355 --> 00:01:49,280 私の運動神経は 4歳レベルです 43 00:01:49,280 --> 00:01:52,997 キャンプで 子どもたちはー 44 00:01:52,997 --> 00:01:54,696 コーンの周りでドリブルを練習します 45 00:01:54,696 --> 00:01:56,959 そして暑くなると 木陰で休憩しますが 46 00:01:56,959 --> 00:01:59,804 そこには私が先に休んでいたのです (笑) 47 00:01:59,804 --> 00:02:02,349 そして 彼らに 物語を聞かせました 48 00:02:02,349 --> 00:02:04,168 自分の生活を交えたりもします 49 00:02:04,168 --> 00:02:05,911 例えば 週末になると実家に帰りー 50 00:02:05,911 --> 00:02:09,126 イングランド女王をスパイするとか 51 00:02:09,126 --> 00:02:12,447 すると すぐに他の子どもたちが来ます 52 00:02:12,447 --> 00:02:14,287 年齢に関係なくー 53 00:02:14,287 --> 00:02:15,756 集まって来て こう言うのです 54 00:02:15,756 --> 00:02:17,668 “マック・バーネットさんでしょう? 55 00:02:17,668 --> 00:02:20,737 イングランド女王の スパイなんでしょう?” 56 00:02:20,737 --> 00:02:23,959 私は 見ず知らずの人がー 57 00:02:23,959 --> 00:02:26,389 この質問をしてくれるのを ずっと待っていました 58 00:02:26,389 --> 00:02:28,662 空想の中では すらりとしたロシア女性ですが 59 00:02:28,662 --> 00:02:29,899 現実は4歳児... 60 00:02:29,899 --> 00:02:34,528 カリフォルニアのバークレーでは こんなところでしょう 61 00:02:34,528 --> 00:02:38,956 そして話しているうちに 気づいたんです 62 00:02:38,956 --> 00:02:42,453 物語の中の現実には どことなく馴染みがありー 63 00:02:42,453 --> 00:02:43,658 こんなにワクワクするのだと 64 00:02:43,658 --> 00:02:45,864 私にとって 忘れられない 出来事があります 65 00:02:45,864 --> 00:02:48,687 ライリーという 小さな女の子がいてー 66 00:02:48,687 --> 00:02:51,126 毎日 お昼ご飯をもって来てはー 67 00:02:51,126 --> 00:02:53,466 その中の果物を 捨てていました 68 00:02:53,466 --> 00:02:54,874 お弁当の果物ー 69 00:02:54,874 --> 00:02:56,222 お母さんが 毎日 持たせたメロンを 70 00:02:56,222 --> 00:02:57,971 ツタに投げつけていました 71 00:02:57,971 --> 00:03:00,284 でも フルーツのグミは 食べていました 72 00:03:00,284 --> 00:03:02,657 それとプリンも 私はこう言いました “ライリー 73 00:03:02,657 --> 00:03:05,713 そんなことしちゃダメだよ 果物も食べないと” 74 00:03:05,713 --> 00:03:07,530 すると彼女は “どうして?” と 75 00:03:07,530 --> 00:03:09,362 そこで私は “だって そうやって捨てているとー 76 00:03:09,362 --> 00:03:13,254 いまに あちこちに メロンができちゃうよ” 77 00:03:13,254 --> 00:03:15,256 結局それがきっかけでー 78 00:03:15,256 --> 00:03:20,875 私は 子どもの栄養士ではなく 児童文学作家になりました 79 00:03:20,875 --> 00:03:22,763 ライリーは言い返しました “そんなこと 起こりっこないわ 80 00:03:22,763 --> 00:03:23,863 絶対ないわ” 81 00:03:23,863 --> 00:03:26,914 そこで キャンプの最終日 82 00:03:26,914 --> 00:03:29,367 早起きして スーパーに行きー 83 00:03:29,367 --> 00:03:31,393 大きなマスクメロンを買ってきました 84 00:03:31,393 --> 00:03:33,495 そして ツタの中に隠しました 85 00:03:33,495 --> 00:03:34,946 お昼ご飯の時間になると 彼女に こう言ったんですー 86 00:03:34,946 --> 00:03:37,621 “ライリー あそこに行って 自分が何をしたか見てごらん” 87 00:03:37,621 --> 00:03:40,796 するとー (笑) 88 00:03:40,796 --> 00:03:43,474 彼女はツタの辺りまで てくてく歩いていきました 89 00:03:43,474 --> 00:03:45,566 そして目を見開いて 自分の頭よりも 90 00:03:45,566 --> 00:03:47,680 大きなメロンを指差すと 91 00:03:47,680 --> 00:03:50,650 子どもたちは みんな 彼女に駆け寄ってきました 92 00:03:50,650 --> 00:03:52,237 すると一人が言いました “ねえー 93 00:03:52,237 --> 00:03:54,126 どうしてメロンに ステッカーが貼ってあるの?” 94 00:03:54,126 --> 00:03:57,350 (笑) 95 00:03:57,350 --> 00:03:59,819 私はこう答えました “だから言っただろう? 96 00:03:59,819 --> 00:04:02,811 ステッカーをツタの中に 捨てちゃダメだって 97 00:04:02,811 --> 00:04:08,283 ちゃんとゴミ箱に捨てないと 自然破壊になっちゃうぞ” 98 00:04:08,283 --> 00:04:13,633 ライリーは 一日中 あのメロンを持ち歩きー 99 00:04:13,633 --> 00:04:15,661 とても誇らしげでした 100 00:04:15,661 --> 00:04:20,505 彼女は7日ではメロンが育たないことを 知っていました 101 00:04:20,505 --> 00:04:23,441 でも 同時に彼女が育てたことも 分かっていました 102 00:04:23,441 --> 00:04:25,657 不思議な空間です 103 00:04:25,657 --> 00:04:28,402 そこは子どもだけの 空間ではありません 104 00:04:28,402 --> 00:04:31,934 大人も芸術を通して導かれます 105 00:04:31,934 --> 00:04:33,891 あの時 彼女の想像力は フル回転していました 106 00:04:33,891 --> 00:04:37,316 芸術とも物語とも言える領域で 107 00:04:37,316 --> 00:04:39,381 これを“不思議” と呼ぶ事にしましょう 108 00:04:39,381 --> 00:04:42,010 コールリッジの 不信の自発的停止ー 109 00:04:42,010 --> 00:04:43,690 または詩的技巧です 110 00:04:43,690 --> 00:04:46,100 どんなに不思議でも 物語のある所にはー 111 00:04:46,100 --> 00:04:48,140 見せかけの真実が存在します 112 00:04:48,140 --> 00:04:50,117 それは信じるに値します 113 00:04:50,117 --> 00:04:51,747 その場所へ 子どもも大人もー 114 00:04:51,747 --> 00:04:54,436 物語を通して導かれます 115 00:04:54,436 --> 00:04:56,686 だからこそ 私たちは 2日間に渡ってー 116 00:04:56,686 --> 00:05:00,220 ブルームの日に因み ダブリンの ウォーキングツアーに参加します 117 00:05:00,220 --> 00:05:05,825 実際は何も起こっていないのに 『ユリシーズ』の世界に 118 00:05:05,825 --> 00:05:08,080 浸るためです 119 00:05:08,080 --> 00:05:10,337 或いはロンドンのベーカー街に行きー 120 00:05:10,337 --> 00:05:11,809 シャーロックホームズの アパートを訪れます 121 00:05:11,809 --> 00:05:13,936 たとえ221Bなんて住所は架空だとー 122 00:05:13,936 --> 00:05:17,082 存在しないと 分かっていても 123 00:05:17,082 --> 00:05:18,807 彼らは実在しないことを知りつつも 124 00:05:18,807 --> 00:05:21,427 私たちは 彼らの存在を感じー 125 00:05:21,427 --> 00:05:22,471 思いを馳せることができます 126 00:05:22,471 --> 00:05:24,364 彼らが架空の登場人物であると 知りながらもー 127 00:05:24,364 --> 00:05:27,682 その存在は 現実味を帯びています 128 00:05:27,682 --> 00:05:31,338 子どもの方が 大人に比べ その世界に入りやすい 129 00:05:31,338 --> 00:05:32,891 だから童話を書いています 130 00:05:32,891 --> 00:05:34,871 純粋な文芸小説では特に 131 00:05:34,871 --> 00:05:39,260 子どもは最高の読者です 132 00:05:39,260 --> 00:05:42,084 私が幼少の頃ー 133 00:05:42,084 --> 00:05:44,710 秘密の扉が出てくる小説に ハマっていました 134 00:05:44,710 --> 00:05:45,871 例えば『ナルニア国物語』です 135 00:05:45,871 --> 00:05:49,574 衣装ダンスの奥に隠れた扉を開き 魔法の国に行くのです 136 00:05:49,574 --> 00:05:52,304 秘密の扉は存在すると信じていた私は 137 00:05:52,304 --> 00:05:54,332 扉があれば 試していました 138 00:05:54,332 --> 00:05:58,076 現実を超えた 空想の世界に憧れてー 139 00:05:58,076 --> 00:06:03,771 いろんな家のクローゼットの扉を 片っ端から開けました (笑) 140 00:06:03,771 --> 00:06:06,548 母のボーイフレンドの クローゼットも試しました 141 00:06:06,548 --> 00:06:08,798 でも そこで目にしたのは 秘密の魔法の国ではなくー 142 00:06:08,798 --> 00:06:11,386 ちょっと意外なモノで これは母に知らせねば と思い 143 00:06:11,386 --> 00:06:13,107 (笑) 144 00:06:13,107 --> 00:06:17,272 喜んで報告しました 145 00:06:19,545 --> 00:06:23,683 大学を卒業後 初めて就いた仕事はー 146 00:06:23,683 --> 00:06:26,231 秘密の扉の向こうにありました 147 00:06:26,231 --> 00:06:28,188 826バレンシアというー 148 00:06:28,188 --> 00:06:30,280 住所と同じ名前の建物で 149 00:06:30,280 --> 00:06:32,766 サンフランシスコ ミッション地区にあります 150 00:06:32,766 --> 00:06:34,792 当時 そこにはー 151 00:06:34,792 --> 00:06:37,431 マックスウィーニーという 出版社の本部と 152 00:06:37,431 --> 00:06:40,585 “826バレンシア” という 非営利の学習支援センターがありました 153 00:06:40,585 --> 00:06:42,790 ただ 入り口付近はー 154 00:06:42,790 --> 00:06:44,360 変わった店が 構えていました 155 00:06:44,360 --> 00:06:45,787 ここは商業地区で 156 00:06:45,787 --> 00:06:48,903 サンフランシスコでは 特例許可が下りませんでした 157 00:06:48,903 --> 00:06:51,790 そこで 作家で創立者の デイブ・エガーズはー 158 00:06:51,790 --> 00:06:54,129 条例に従って こう言いました  “よしー 159 00:06:54,129 --> 00:06:58,505 海賊用品店をオープンしよう” 160 00:06:58,505 --> 00:07:01,583 これが その店内です (笑) 161 00:07:01,583 --> 00:07:03,534 木製の美しい店です 162 00:07:03,534 --> 00:07:05,464 タンスの引き出しには ミカンがあるのでー 163 00:07:05,464 --> 00:07:08,483 壊血病も防げます 164 00:07:08,483 --> 00:07:10,631 眼帯も色とりどり 165 00:07:10,631 --> 00:07:13,331 ほら 海賊は春に熱狂しがちでしょう? 166 00:07:13,331 --> 00:07:17,674 “黒色はつまらない パステルでいこう” 167 00:07:17,674 --> 00:07:19,670 義眼も このとおり 168 00:07:19,670 --> 00:07:21,475 色は状況に応じてー 169 00:07:21,475 --> 00:07:25,187 選べます 170 00:07:25,187 --> 00:07:28,312 不思議と 人々はー 171 00:07:28,312 --> 00:07:32,324 この海賊用品店で 買い物をします 172 00:07:32,324 --> 00:07:34,151 その売上高は 店の裏のー 173 00:07:34,151 --> 00:07:36,215 支援センターの家賃を 賄うまでになりました 174 00:07:36,215 --> 00:07:39,267 ですが 私にとって重要なのはー 175 00:07:39,267 --> 00:07:41,918 自分たちが手がける 仕事の質です 176 00:07:41,918 --> 00:07:44,404 子どもたちは書くことを習いに ここに やって来る訳ですがー 177 00:07:44,404 --> 00:07:48,670 この一風変わった空間から 執筆の世界に移動することはー 178 00:07:48,670 --> 00:07:52,420 作品の内容に かなりの影響をもたらします 179 00:07:52,420 --> 00:07:54,607 秘密の扉を通り抜けるー そんな気持ちになります 180 00:07:54,607 --> 00:07:57,358 それで “826ロサンゼルス” を 運営することにしました 181 00:07:57,358 --> 00:08:00,840 これが自分のなすべき仕事と考えたのです 182 00:08:00,840 --> 00:08:04,400 そして『エコーパーク タイムトラベルマート』を作りました 183 00:08:04,400 --> 00:08:07,240 モットーは “お客様が来れば 私たちはいつでもそこに” 184 00:08:07,240 --> 00:08:11,100 (笑) 185 00:08:11,100 --> 00:08:15,857 ロスのサンセットブールバードの 大通りに面した建物で 186 00:08:15,857 --> 00:08:17,967 時空を超えてやって来た 親切なスタッフが 187 00:08:17,967 --> 00:08:20,110 対応します 188 00:08:20,110 --> 00:08:23,719 左端の男性は 1980年代から来ました 189 00:08:23,719 --> 00:08:25,916 ごく最近の人物です 190 00:08:25,916 --> 00:08:27,618 これは “月間優秀社員リスト” 191 00:08:27,618 --> 00:08:30,604 チンギス・カン に チャールズ・ディケンズ 192 00:08:30,604 --> 00:08:33,596 偉人もランクインしています 193 00:08:33,596 --> 00:08:35,947 これは いわゆる薬局でー 194 00:08:35,947 --> 00:08:37,286 特許医薬品も販売しています 195 00:08:37,286 --> 00:08:39,637 ミイラのお供に “カノピック壷” 196 00:08:39,637 --> 00:08:41,271 “共産主義 石けん” の売り文句はー 197 00:08:41,271 --> 00:08:45,722 “今年の石けんは これで決まり” (笑) 198 00:08:45,722 --> 00:08:47,938 開店初日に フローズンドリンク マシンがー 199 00:08:47,938 --> 00:08:50,571 壊れてしまい 私たちは 途方に暮れました 200 00:08:50,571 --> 00:08:52,810 あるスタッフは いちごシロップにまみれー 201 00:08:52,810 --> 00:08:55,284 まるで返り血を浴びた 殺人者のようでした 202 00:08:55,284 --> 00:08:56,971 しっくりきていて 203 00:08:56,971 --> 00:08:59,021 結構似合っていましたけど 204 00:08:59,021 --> 00:09:00,607 とにかく 直らないんです 205 00:09:00,607 --> 00:09:01,639 “どうしようー うちのイチオシなのに” 206 00:09:01,639 --> 00:09:02,984 仕方なく貼り紙で ごまかしました 207 00:09:02,984 --> 00:09:07,489 “故障中 昨日来て下さい” (笑) 208 00:09:07,489 --> 00:09:09,525 結局 フローズンドリンク以上に 好評だったので 209 00:09:09,525 --> 00:09:13,621 今でも あのままです 210 00:09:13,621 --> 00:09:17,934 “マンモス肉” 一つ 7キロ 211 00:09:17,934 --> 00:09:20,134 “原始人よけスプレー” サラダとポプリ入り 212 00:09:20,134 --> 00:09:24,712 原始人が嫌いなものです 213 00:09:24,712 --> 00:09:26,670 [ “ラテン語” “コプト語” ] 死語 214 00:09:26,670 --> 00:09:29,370 (笑) 215 00:09:29,370 --> 00:09:32,450 “ヒル”ー 自然界の 小さなお医者さん 216 00:09:32,450 --> 00:09:35,590 “バイキング臭” の 原材料は様々で 217 00:09:35,590 --> 00:09:39,595 足の爪、汗、腐った野菜 それから薪ストーブの灰 218 00:09:39,595 --> 00:09:41,703 ほら AXE(斧)のボディスプレーは 219 00:09:41,703 --> 00:09:43,366 戦場で使うものでしょう? 220 00:09:43,366 --> 00:09:47,560 脇の下ではなく (笑) 221 00:09:47,560 --> 00:09:49,544 これは “ロボット感情チップ” でー 222 00:09:49,544 --> 00:09:51,771 ロボットに愛情や恐怖心が生まれます 223 00:09:51,771 --> 00:09:53,481 ヒット商品は “他人の不幸” 224 00:09:53,481 --> 00:09:54,782 これは意外でした 225 00:09:54,782 --> 00:09:55,793 (笑) 226 00:09:55,793 --> 00:09:58,240 予想もしていませんでした 227 00:09:58,240 --> 00:10:00,501 店の裏には 支援センターがあります 228 00:10:00,501 --> 00:10:02,481 子どもたちは “スタッフ専用” の扉を抜けてー 229 00:10:02,481 --> 00:10:03,696 この場所に辿り着きます 230 00:10:03,696 --> 00:10:05,870 そこで 宿題をしたり物語を書いたり 231 00:10:05,870 --> 00:10:08,330 映画も作ります これは子どもたちが朗読する 232 00:10:08,330 --> 00:10:09,814 本の発売記念パーティーです 233 00:10:09,814 --> 00:10:11,716 彼らの作品を集めた季刊誌で 234 00:10:11,716 --> 00:10:13,145 放課後ここに来てはー 235 00:10:13,145 --> 00:10:14,202 毎日 物語を書きます 236 00:10:14,202 --> 00:10:15,730 そして ケーキでお祝いしー 237 00:10:15,730 --> 00:10:18,677 両親に自作の物語を発表しー 238 00:10:18,677 --> 00:10:21,529 シャンパングラスに 牛乳で乾杯します 239 00:10:21,529 --> 00:10:24,777 そこは 特別な空間です 240 00:10:24,777 --> 00:10:27,996 表の店が影響しているからです 241 00:10:27,996 --> 00:10:31,295 もはや冗談ではなくなりました 242 00:10:31,295 --> 00:10:33,695 二つの空間に 継ぎ目はありません 243 00:10:33,695 --> 00:10:36,603 紛れもなく 小さな物語がー 244 00:10:36,603 --> 00:10:39,865 現実の世界に入り込んでいます 245 00:10:39,865 --> 00:10:43,922 いわゆる3次元の本です 246 00:10:43,922 --> 00:10:46,162 これを “メタフィクション” といいー 247 00:10:46,162 --> 00:10:50,245 “物語についての物語” を意味します 248 00:10:50,245 --> 00:10:51,820 “メタ” は 読者が 目を通す今をいいます 249 00:10:51,820 --> 00:10:53,845 最近の文学では 1960年代のー 250 00:10:53,845 --> 00:10:56,522 ジョン・バースや ウィリアム・ギャディスの物語が 251 00:10:56,522 --> 00:10:57,770 今日に引き継がれています 252 00:10:57,770 --> 00:11:01,311 昔話みたいです 253 00:11:01,311 --> 00:11:03,851 また ある技巧によりー 254 00:11:03,851 --> 00:11:05,645 “第四の壁を破る” ことができます 255 00:11:05,645 --> 00:11:08,895 すると 役者は観客を意識し あたかも こう語りかけますー 256 00:11:08,895 --> 00:11:09,961 “私は役を演じていて 257 00:11:09,961 --> 00:11:12,552 全部お芝居なんです” と 258 00:11:12,552 --> 00:11:14,577 問題は その空間が 真実であるにも関わらずー 259 00:11:14,577 --> 00:11:16,803 “偽りの奉仕” と 見なされてしまう事です 260 00:11:16,803 --> 00:11:19,559 でも偽りの物語が 浮き彫りになるのが 261 00:11:19,559 --> 00:11:21,246 自然です 262 00:11:21,246 --> 00:11:23,395 むしろ反対だったらいいのに 263 00:11:23,395 --> 00:11:25,529 もし私が第四の壁を破るならー 264 00:11:25,529 --> 00:11:27,872 物語から現実の世界へとー 265 00:11:27,872 --> 00:11:29,955 読者を導きます 266 00:11:29,955 --> 00:11:34,554 秘密の扉を開いて 現実の世界へ いざなう物語ー 267 00:11:34,554 --> 00:11:37,446 それが本であってほしい 268 00:11:37,446 --> 00:11:40,427 そこで やってみました 269 00:11:40,427 --> 00:11:41,970 一つの例をご紹介します 270 00:11:41,970 --> 00:11:43,892 私のデビュー作でー 271 00:11:43,892 --> 00:11:46,513 『ビリー・ツイッターと シロナガスクジラ問題』という本は 272 00:11:46,513 --> 00:11:48,643 子どもがシロナガスクジラを 世話する話です 273 00:11:48,643 --> 00:11:50,229 ただし おしおき としてで 274 00:11:50,229 --> 00:11:52,704 ビリーの生活は一転します 275 00:11:52,704 --> 00:11:55,516 ある日クジラが FedUp (くたびれ) 社から配達されます 276 00:11:55,516 --> 00:11:58,106 (笑) 277 00:11:58,106 --> 00:12:00,100 とにかく学校にクジラを 連れて行く訳ですがー 278 00:12:00,100 --> 00:12:01,454 彼の住むサンフランシスコではー 279 00:12:01,454 --> 00:12:03,985 かなり無謀です 280 00:12:03,985 --> 00:12:08,419 無数の丘に プレミアム付きの不動産物件 281 00:12:08,419 --> 00:12:10,927 考えられません 282 00:12:10,927 --> 00:12:14,718 この本を書いた時 ある事をしました 283 00:12:14,718 --> 00:12:18,904 本の表紙の下にー 284 00:12:18,904 --> 00:12:20,284 広告を載せたんです 285 00:12:20,284 --> 00:12:23,527 “安心の30日間トライアルでー 286 00:12:23,527 --> 00:12:25,426 シロナガスクジラを飼育できます 287 00:12:25,426 --> 00:12:28,420 切手を貼った自分宛の 封筒を同封すれば 288 00:12:28,420 --> 00:12:32,270 クジラをお届けします” と 289 00:12:32,270 --> 00:12:36,610 すると子どもたちは 手紙を書きます 290 00:12:36,610 --> 00:12:40,018 ご紹介しましょう “皆さんへー 291 00:12:40,018 --> 00:12:43,199 シロナガスクジラが送られない事に 10ドル賭けます 292 00:12:43,199 --> 00:12:45,676 エリオット・ギャノン (6歳)より” 293 00:12:45,676 --> 00:12:49,350 (笑)(拍手) 294 00:12:50,838 --> 00:12:52,960 こうやってエリオットや 他の子どもたちがー 295 00:12:52,960 --> 00:12:55,451 手紙を書いて受け取るのはー 296 00:12:55,451 --> 00:12:58,376 ノルウェーの法律事務所からの 小さな活字で綴られた手紙です (笑) 297 00:12:58,376 --> 00:13:02,337 ノルウェーの法律事務所からの 小さな活字で綴られた手紙です (笑) 298 00:13:02,337 --> 00:13:05,698 “関税法の変更により 君のクジラはー 299 00:13:05,698 --> 00:13:07,905 ソグネ・フィヨルドで保護されました 300 00:13:07,905 --> 00:13:09,129 とても快適なフィヨルドで...” 301 00:13:09,129 --> 00:13:10,593 こうやって フィヨルドやー 302 00:13:10,593 --> 00:13:13,073 北欧の食べ物の話で 本題からそれます 303 00:13:13,073 --> 00:13:14,855 (笑) 304 00:13:16,767 --> 00:13:18,680 ただし 終わりにこう綴りますー 305 00:13:18,680 --> 00:13:21,414 “君のクジラは 君と お話しをしたがっています 306 00:13:21,414 --> 00:13:23,000 だから この番号に電話して 307 00:13:23,000 --> 00:13:27,714 メッセージを残して下さい” 308 00:13:27,714 --> 00:13:30,290 子どもたちが クジラに電話するとー 309 00:13:30,290 --> 00:13:32,281 応答メッセージが流れます 310 00:13:32,281 --> 00:13:37,399 クジラの鳴き声と ピーッという音です 311 00:13:37,399 --> 00:13:40,954 この音の方がクジラっぽいです 312 00:13:40,954 --> 00:13:42,934 すると 子どもたちは 自分のクジラをイメージします 313 00:13:42,934 --> 00:13:45,465 これはランドルフです 314 00:13:45,465 --> 00:13:48,806 ランドルフの飼い主は ニコといいー 315 00:13:48,806 --> 00:13:53,088 彼は一番最初に電話してきました 316 00:13:53,088 --> 00:13:55,398 少し聞いてみましょう 317 00:13:55,398 --> 00:13:59,530 これは一回目のメッセージです 318 00:13:59,530 --> 00:14:01,769 (音声)ニコ: “こんにちは 僕はニコだよ 319 00:14:01,769 --> 00:14:05,803 君の主人だよ ランドルフ こんにちは 320 00:14:05,803 --> 00:14:09,279 初めてお話しするね 321 00:14:09,279 --> 00:14:15,523 また今度 電話するよ さよなら” 322 00:14:15,523 --> 00:14:18,110 マック:そして 1時間後 ニコから電話がありました 323 00:14:18,110 --> 00:14:20,360 (笑) 324 00:14:20,360 --> 00:14:24,297 ニコからの別のメッセージです 325 00:14:24,297 --> 00:14:27,840 (音声)ニコ: “こんにちは ランドルフ ニコだよ 326 00:14:27,840 --> 00:14:32,993 長い間 お話ししなかったね 327 00:14:32,993 --> 00:14:37,688 でも土曜日か日曜日に お話ししたね 328 00:14:37,688 --> 00:14:39,938 土曜日か日曜日だったね 329 00:14:39,938 --> 00:14:42,953 だから今日 電話してみたよ 330 00:14:42,953 --> 00:14:47,869 元気?今 何をしてるの? 331 00:14:47,869 --> 00:14:50,805 また電話するね 332 00:14:50,805 --> 00:14:52,988 明日か今日 333 00:14:52,988 --> 00:14:57,184 また後で バイ” 334 00:14:57,184 --> 00:15:01,492 マック:そして数時間後 ニコから電話がありました 335 00:15:01,492 --> 00:15:05,373 ニコは ランドルフに4年間でー 336 00:15:05,373 --> 00:15:08,125 25件のメッセージを残しました 337 00:15:08,125 --> 00:15:10,216 ニコが思い浮かぶでしょう? 338 00:15:10,216 --> 00:15:11,852 彼の大好きな お婆ちゃんやー 339 00:15:11,852 --> 00:15:14,207 それ程 好きでない お婆ちゃんの姿も 340 00:15:14,207 --> 00:15:16,400 (笑) 341 00:15:16,400 --> 00:15:18,827 またクロスワードパズルをする 彼の姿も 342 00:15:18,827 --> 00:15:22,607 他のメッセージも聞いてみましょう 343 00:15:22,607 --> 00:15:25,910 ニコからのクリスマス メッセージです 344 00:15:25,910 --> 00:15:28,273 (ビープ音) (音声)ニコ: “こんにちは ランドルフ 345 00:15:28,273 --> 00:15:31,528 長い間 電話できなくて ごめんね 346 00:15:31,528 --> 00:15:34,194 学校が始まったから 347 00:15:34,194 --> 00:15:36,893 とっても忙しかったんだ 348 00:15:36,893 --> 00:15:39,926 君はクジラだから 349 00:15:39,926 --> 00:15:43,807 多分 知らないと思うけど 350 00:15:43,807 --> 00:15:48,487 今日は君にー 351 00:15:48,487 --> 00:15:52,177 メリークリスマスを 伝えたかったんだ 352 00:15:52,177 --> 00:15:56,778 素敵なクリスマスをー 353 00:15:56,778 --> 00:16:03,651 バイバイ ランドルフ さようなら” 354 00:16:03,651 --> 00:16:05,175 マック:ニコはー 355 00:16:05,175 --> 00:16:08,306 18ヶ月間 電話してきませんでした 356 00:16:08,306 --> 00:16:12,424 これは 2日前に残したメッセージです 357 00:16:12,424 --> 00:16:14,850 彼の声は全く変わっていますがー 358 00:16:14,850 --> 00:16:18,350 電話口でベビーシッターと一緒にー 359 00:16:18,350 --> 00:16:22,211 ランドルフに とても優しく 話しかけていました 360 00:16:22,211 --> 00:16:26,561 ニコは最高の読者です 361 00:16:26,561 --> 00:16:30,287 私は読者にー 362 00:16:30,287 --> 00:16:32,428 私が創り出す物語を 363 00:16:32,428 --> 00:16:34,664 しっかり感じて欲しいのです 364 00:16:34,664 --> 00:16:38,365 ニコのような読者に 出会えた私は幸せです 365 00:16:38,365 --> 00:16:41,960 彼らは 最高の本を読むに ふさわしい読者です 366 00:16:41,960 --> 00:16:44,162 ありがとうございました 367 00:16:44,162 --> 00:16:46,817 (拍手)