WEBVTT 00:00:11.797 --> 00:00:14.567 やあ みんな ガイドツアーを始めよう 00:00:14.567 --> 00:00:17.271 博物館の博物館にようこそ 00:00:17.271 --> 00:00:21.912 博物館は2000年以上もの間 人間の歴史の一部だったけれど 00:00:21.912 --> 00:00:25.144 昔から現在私たちが訪れる 博物館のような形であったわけではない 00:00:25.144 --> 00:00:31.733 博物館の歴史は君たちが思うより ずっと古くてずっと奇妙なんだ 00:00:31.733 --> 00:00:34.368 まずはこのギリシャ棟から始めよう 00:00:34.368 --> 00:00:38.450 museumという言葉は ギリシャ語のmouseionから来ていて 00:00:38.450 --> 00:00:43.774 これは芸術や科学の女神 ミューズのための神殿の意味だよ 00:00:43.774 --> 00:00:47.637 嘆願者たちは学者たちを 見守ってくれるように 00:00:47.637 --> 00:00:51.234 そして価値ある者に才を与えるように ミューズに祈ったんだ 00:00:51.234 --> 00:00:54.420 神殿には彫刻 00:00:54.420 --> 00:00:55.450 モザイクや 00:00:55.450 --> 00:00:57.917 複雑な科学的装置 00:00:57.917 --> 00:01:00.276 詩や文学的な碑文など 00:01:00.276 --> 00:01:04.530 人間が神の霊感に 値することを示すものが 00:01:04.530 --> 00:01:07.088 供え物として たくさん置かれていた 00:01:07.088 --> 00:01:10.241 メソポタミア棟にやってきたよ 00:01:10.241 --> 00:01:16.384 初の博物館は紀元前530年に 現在のイラクで作られた 00:01:16.384 --> 00:01:20.866 最初の学芸員は 実は王女だったんだ 00:01:20.866 --> 00:01:26.274 エンニガルディ・ナンナは メソポタミア文明の遺物を集めて 00:01:26.274 --> 00:01:29.163 彼女の家である エ・ギグ・パーに収蔵した 00:01:29.163 --> 00:01:31.631 考古学者がこの地域を発掘したところ 00:01:31.631 --> 00:01:36.009 何十もの遺物が きれいに列をなして並べられ 00:01:36.009 --> 00:01:39.728 3つの言語で説明が書かれた 粘土板と一緒に見つかった 00:01:39.728 --> 00:01:42.493 ずいぶん興味深い人たちと 関わっていたんだね 00:01:42.493 --> 00:01:47.929 興味深い物を集めて 展示する伝統は模倣されて 00:01:47.929 --> 00:01:51.228 ここローマ棟にも見られるね 00:01:51.228 --> 00:01:53.801 政治家や将軍の宝物殿は 00:01:53.801 --> 00:01:56.692 戦争で略奪した品物でいっぱいで 00:01:56.692 --> 00:01:59.655 帝国の動物園では 外来の動物たちが 00:01:59.655 --> 00:02:04.152 剣闘士のトーナメントのような 特別な機会に一般公開された 00:02:04.152 --> 00:02:07.044 見てわかるように ライオンと剣闘士がいるね 00:02:07.044 --> 00:02:11.800 この棟の管理人も いるはずなんだけど 00:02:11.800 --> 00:02:13.694 はやく 先を急ごう 00:02:13.694 --> 00:02:17.519 博物館の進化における 次の段階はルネサンス期に訪れた 00:02:17.519 --> 00:02:21.409 西洋が無知であった およそ千年の時を経て 00:02:21.409 --> 00:02:24.523 自然界を研究することが 再び奨励されたんだ 00:02:24.523 --> 00:02:28.540 珍宝蒐集室とも呼ばれる 「驚異の部屋」は 00:02:28.540 --> 00:02:33.044 様々な物を集めた 実物でできた百科事典のような場所で 00:02:33.044 --> 00:02:35.287 人工遺物を展示したものだ 00:02:35.287 --> 00:02:39.103 この戸棚の中に入ってごらん どうぞ コートに気を付けて 00:02:39.103 --> 00:02:41.772 オラフ・ヴォルムの蒐集室を のぞいてみよう 00:02:41.772 --> 00:02:43.779 もっとも有名な驚異の部屋のひとつで 00:02:43.779 --> 00:02:46.904 オラフ・ヴォルムという 17世紀の裕福な 00:02:46.904 --> 00:02:50.729 博物学者かつ古物研究家 そして外科医であった人物のものだ 00:02:50.729 --> 00:02:52.924 オラフ・ヴォルムは自然の標本や 00:02:52.924 --> 00:02:54.523 ヒトの頭蓋骨― 00:02:54.523 --> 00:02:56.226 古代ルーン文字の文書や 00:02:56.226 --> 00:02:59.211 新世界からの人工遺物を蒐集した 00:02:59.211 --> 00:03:00.815 他の驚異の部屋には 00:03:00.815 --> 00:03:02.653 遺伝的異常や 00:03:02.653 --> 00:03:03.843 貴石 00:03:03.843 --> 00:03:05.152 芸術作品や 00:03:05.152 --> 00:03:07.753 宗教的・歴史的遺物が見られる 00:03:07.753 --> 00:03:10.518 おっと 触っちゃだめだよ 00:03:10.518 --> 00:03:14.184 こうした蒐集室は個人のもので しばしば私邸にあり 00:03:14.184 --> 00:03:18.169 所有者や時の支配者 貴族などや 00:03:18.169 --> 00:03:21.316 商人や初期の科学者が 学芸員となったんだ 00:03:21.316 --> 00:03:24.080 おや サーカスのオルガンが聞こえるかな? 00:03:24.080 --> 00:03:25.366 1840年代には 00:03:25.366 --> 00:03:28.811 フィニアス T. バーナムという 若き実業家の興行師が 00:03:28.811 --> 00:03:32.920 ヨーロッパにある有名な驚異の部屋を いくつも買い取って 00:03:32.920 --> 00:03:37.352 ニューヨークシティに バーナムのアメリカ博物館を開いた 00:03:37.352 --> 00:03:39.570 見応えあるもののごった煮で 動物園や 00:03:39.570 --> 00:03:40.579 講義室 00:03:40.579 --> 00:03:41.922 蝋人形館 00:03:41.922 --> 00:03:43.047 劇場など 00:03:43.047 --> 00:03:46.894 そして見世物小屋には 種々様々なものが集められていた 00:03:46.894 --> 00:03:48.051 例えば クマや 00:03:48.051 --> 00:03:48.926 ゾウ 00:03:48.926 --> 00:03:49.929 曲芸師や 00:03:49.929 --> 00:03:50.944 巨人に 00:03:50.944 --> 00:03:52.292 シャム双生児や 00:03:52.292 --> 00:03:53.811 フィジーの人魚 00:03:53.811 --> 00:03:56.053 それからひげの貴婦人など 00:03:56.053 --> 00:04:00.274 近代的な機械や 科学機器も展示されていた 00:04:00.274 --> 00:04:04.248 一般公開の博物館というのは 比較的新しいものなんだ 00:04:04.248 --> 00:04:06.989 バーナム以前の 初期の公共博物館は 00:04:06.989 --> 00:04:10.411 上流階級や中流階級の人しか 入ることができず 00:04:10.411 --> 00:04:12.830 公開日も限定されていた 00:04:12.830 --> 00:04:15.300 入館したい人は 博物館に手紙を書いて 00:04:15.300 --> 00:04:17.642 拝観を申し出なければならず 00:04:17.642 --> 00:04:20.890 1日に入館できる人数も ごく限られていた 00:04:20.890 --> 00:04:25.116 ルーヴル美術館は誰にでも 一般に公開したことで有名だけど 00:04:25.116 --> 00:04:27.732 週に3日だけのことだったんだ 00:04:27.732 --> 00:04:29.149 19世紀には 00:04:29.149 --> 00:04:32.294 私たちが知っているような 博物館ができ始めた 00:04:32.294 --> 00:04:34.481 スミソニアン博物館のような 組織が作られたので 00:04:34.481 --> 00:04:39.273 展示品はしまいこまれるだけでなく 見て研究することができるようになった 00:04:39.273 --> 00:04:41.678 とりわけアメリカの博物館は 00:04:41.678 --> 00:04:43.122 実験を依頼したり 00:04:43.122 --> 00:04:48.489 探検家を雇って 自然の標本を集めたりした 00:04:48.489 --> 00:04:54.249 博物館は学問や芸術的・科学的発見の 中心となったんだ 00:04:54.249 --> 00:04:57.226 これはしばしば「博物館の時代」と呼ばれる 00:04:57.226 --> 00:05:01.377 現在では博物館は誰にでも 公開され 00:05:01.377 --> 00:05:02.886 学びと研究の中心であり 00:05:02.886 --> 00:05:06.902 もっと身近な組織になりつつある 00:05:06.902 --> 00:05:10.465 でも 誰が入れるのかという問題は まだ重要なんだ 00:05:10.465 --> 00:05:13.590 入場料のせいで 未来の学者や芸術家や 00:05:13.590 --> 00:05:19.052 天賦の才能を持つ者が 好奇心を満たすために必要な 00:05:19.052 --> 00:05:22.358 お金が無いために 入場できないこともある 00:05:22.358 --> 00:05:23.898 今日はお越しいただき ありがとう 00:05:23.898 --> 00:05:27.306 お帰りの際は おみやげ屋のおみやげ屋に 立ち寄るのもお忘れなく