ヒッグス粒子とはなんでしょう? 私たちが1964 年以降 抱いてきたこのアイデアは アングレア、ブロウト、ヒッグスにより提案されたもので 空っぽの空間は媒質のようなものだ というものです 素粒子がこの媒質のなかを進むと 一部の素粒子は媒質と 相互作用を起こしますが 他のものは相互作用を起しません この媒質と相互作用する素粒子は 質量を持つことになるのです そして 相互作用なしに通り過ぎるものは 質量を持たない素粒子となります 今の話を例えてみましょう 無限にひろがる雪原を想像してみてください これは空間をどこまでも広がり フラットで何もなく 全ての方向に広がっています シベリアの真ん中のように さて あなたは この雪原を渡ろうとしていると 想像してみてください あなたがスキーヤーだとしたら 雪原の上を滑って渡るでしょう これは素粒子が ヒッグス場と 相互作用しない場合に似ています 雪に沈まないので 速く移動できるのです 質量を持たない素粒子が 光速で動くのにあたります でも 雪靴しかなかったら 雪の「ヒッグス場」に沈んでしまいます スキーヤーよりもスピードが遅く 光速よりも遅いからです これは 質量を持つ素粒子で あなたは雪の「ヒッグス場」と 結びつき 相互作用しているからです 最後に 普通のブーツしかない場合 雪に深く沈んでしまいますね 移動のスピードは とてもとても遅くなります とても大きな質量の素粒子の場合です ですから ヒッグス場をこのような ユニバーサルな 雪の平原のようなものと 考えてみてください さて ヒッグス ボゾンは どこに登場するのでしょう? みなさん 雪が何でできているかご存知でしょう そう 雪の結晶です 同じように このユニバーサルな雪のヒッグス場は 量子でできています こうした雪の結晶のような量子を ヒッグスボゾンと呼んでいるのです ヒッグスボゾンにはこのようにして 他のすべての素粒子に 質量を与える役割があるのです 素粒子物理学の標準模型で 基礎方程式を眺めると 私のTシャツに書かれているように 強い対称性があることがわかります さまざまな素粒子があたかも 同一であるように現れます 少なくとも上の2行には 異なる質量をもつ素粒子を 区別するものは見当たりません ですが この対称性は破られなければならない 電子はミューオンよりも軽く トップクォークは 原子核を作る素粒子よりも もっとずっと重いのです ですから 上の2行 対称性を持った2行で すべてということはありえない 異なるタイプの素粒子を 区別する何かがあるはずです それが ヒッグスボゾンの役割であり 下の2行の役割でもあります これらの異なるタイプのクォーク または 電子とミューオンが どのようにヒッグス場とつながるか またヒッグスボゾンとどう関係するかによって 異なる質量をもようになり 素粒子間の対称性が破られているのです