0:00:07.712,0:00:12.480 まず喉が痒くなり[br]やがて咳がでる 0:00:12.480,0:00:14.485 筋肉痛が始まり 0:00:14.485,0:00:15.955 イライラし 0:00:15.955,0:00:17.922 食欲が減退します 0:00:17.922,0:00:20.820 はい[br]間違いなくかぜです 0:00:20.820,0:00:24.105 惨めなくらい次々と現れる[br]いくつもの症状から察すると 0:00:24.105,0:00:27.291 おそらく感染が体の[br]あちこちで悪さをしているのでしょう 0:00:27.291,0:00:29.191 でもそれが事実なのでしょうか 0:00:29.191,0:00:31.927 本当は何が気分を悪くしているのでしょうか 0:00:31.927,0:00:37.403 あなたの体そのものが[br]悪質な猛撃の張本人だとしたら? 0:00:37.403,0:00:42.260 体内にかぜウィルスなどの病原体が[br]侵入するとまず具合が悪くなります 0:00:42.260,0:00:44.925 さらに感染が進み[br]あなたの細胞を殺します 0:00:44.925,0:00:47.477 しかしこの歓迎せざるべき侵入は[br]もう一つの効果ももたらします 0:00:47.477,0:00:51.231 免疫システムに[br]あなたの状態を警告するのです 0:00:51.231,0:00:56.591 感染したと気づいた途端[br]体は防衛態勢に入ります 0:00:56.591,0:01:00.862 マクロファージという細胞が[br]まず第一線での攻撃を引き受けます 0:01:00.862,0:01:05.498 ウィルスと 感染した細胞を探し[br]破壊します 0:01:05.498,0:01:10.553 その後 マクロファージは[br]サイトカインというタンパク質を放出します 0:01:10.553,0:01:11.999 サイトカインの役割は[br]免疫システムから 0:01:11.999,0:01:16.988 ウィルスを破壊する細胞を[br]呼び寄せ組織します 0:01:16.988,0:01:19.304 このような連携プレイが[br]充分強ければ 0:01:19.304,0:01:23.413 感染症は本人が気づく前に[br]一掃されてしまうでしょう 0:01:23.413,0:01:27.194 しかしこれは本当に必要な行動のための[br]体の準備に過ぎないのです 0:01:27.194,0:01:29.925 場合によってウィルスは[br]さらに広がっていきます 0:01:29.925,0:01:32.538 血流や生命に関わる臓器にも侵入します 0:01:32.538,0:01:35.014 この危険を回避するために 0:01:35.014,0:01:38.239 私達の免疫システムは[br]もっと強力な攻撃を 0:01:38.239,0:01:41.293 脳との連携で仕掛ける必要があります 0:01:41.293,0:01:43.714 そこで前述の不快な症状が発生するのです 0:01:43.714,0:01:45.765 熱が上昇することから始まり 0:01:45.765,0:01:46.829 体のあちこちが痛みはじめ 0:01:46.829,0:01:48.307 眠くなってくる 0:01:48.307,0:01:51.172 ではどうしてこういった[br]体験をするのでしょうか 0:01:51.172,0:01:53.524 免疫システムが猛攻撃を受けると 0:01:53.524,0:01:55.908 サイトカインがさらに分泌されます 0:01:55.908,0:01:57.999 その結果2つの反応が現れます 0:01:57.999,0:02:02.019 迷走神経を通じて 0:02:02.019,0:02:05.337 いち早く脳幹に情報を発信します 0:02:05.337,0:02:09.422 痛みを処理する重要な部位の[br]近くを通り抜けます 0:02:09.422,0:02:12.993 次はサイトカインが体内を巡り 0:02:12.993,0:02:15.924 体温や喉の渇き 空腹[br]睡眠などを制御する 0:02:15.924,0:02:16.899 体温や喉の渇き 空腹[br]睡眠などを制御する 0:02:16.899,0:02:17.789 体温や喉の渇き 空腹[br]睡眠などを制御する 0:02:17.789,0:02:18.919 体温や喉の渇き 空腹[br]睡眠などを制御する 0:02:18.919,0:02:20.558 脳の視床下部に[br]到達します 0:02:20.558,0:02:22.076 その情報を受け取ると 0:02:22.076,0:02:24.426 視床下部はまた別の[br]分子を産生します 0:02:24.426,0:02:28.995 プロスタグランジンE2と呼ばれ[br]視床下部を戦闘状態にします 0:02:28.995,0:02:32.765 視床下部は体内の筋肉に対し[br]収縮するよう司令を送ります 0:02:32.765,0:02:35.655 すると体温が上がります 0:02:35.655,0:02:37.396 眠くもなります 0:02:37.396,0:02:40.742 そして食欲が失せ[br]口渇感を失います 0:02:40.742,0:02:43.905 しかしなぜそのような[br]不快な症状を起こすのでしょうか 0:02:43.905,0:02:45.613 明確にはまだわかってないのですが 0:02:45.613,0:02:48.834 身体の回復を支援するためだと[br]解説する人もいます 0:02:48.834,0:02:51.523 熱が上がることによって[br]細菌の活動を低下させ 0:02:51.523,0:02:54.587 免疫システムの[br]病原体破壊を支援します 0:02:54.587,0:02:58.643 睡眠をとることで身体はエネルギーを[br]感染と戦うことに振り向けられます 0:02:58.643,0:03:03.314 食べることを休むと[br]肝臓は血液中の鉄の大部分を取り込みます 0:03:03.314,0:03:06.270 鉄分は細菌の生命維持に[br]不可欠なので 0:03:06.270,0:03:09.233 それにより効果的に[br]細菌を飢餓状態に追い込みます 0:03:09.233,0:03:12.674 口渇感が減ると[br]軽度の脱水状態になり 0:03:12.674,0:03:14.959 くしゃみ 咳 嘔吐 下痢を減らし[br]さらなる伝染を減らします 0:03:14.959,0:03:15.802 くしゃみ 咳 嘔吐 下痢を減らし[br]さらなる伝染を減らします 0:03:15.802,0:03:16.700 くしゃみ 咳 嘔吐 下痢を減らし[br]さらなる伝染を減らします 0:03:16.700,0:03:17.896 くしゃみ 咳 嘔吐 下痢を減らし[br]さらなる伝染を減らします 0:03:17.896,0:03:20.813 しかし水分を充分に摂らないで 0:03:20.813,0:03:23.621 脱水症状になると危険を伴うということは[br]知っておくべきです 0:03:23.621,0:03:26.265 痛みがあると身体が敏感になりますが 0:03:26.265,0:03:29.958 悪化しつつある[br]あるいは重大な病状になりそうな 0:03:29.958,0:03:32.925 感染した患部に注目を集めることができます 0:03:32.925,0:03:34.728 身体的な症状に加え 0:03:34.728,0:03:37.113 病気は気分を落ち着きなくさせ 0:03:37.113,0:03:37.823 落ち込んだり 0:03:37.823,0:03:39.233 錯乱させることもあります 0:03:39.233,0:03:41.298 サイトカインやプロスタグランジンは 0:03:41.298,0:03:44.385 脳内の高次の組織に到達し 0:03:44.385,0:03:46.958 神経伝達物質の活性を阻害します 0:03:46.958,0:03:47.931 神経伝達物質とは[br]グルタミン酸とか 0:03:47.931,0:03:49.053 エンドルフィン 0:03:49.053,0:03:50.238 セロトニン 0:03:50.238,0:03:52.171 ドーパミンといった物質です 0:03:52.171,0:03:56.256 それによって[br]感情を調節する大脳辺縁系や 0:03:56.256,0:04:00.702 論理的思考に関わる大脳皮質などに[br]影響を与えます 0:04:00.702,0:04:03.384 ですから実際には[br]病気にかかったときに発生する 0:04:03.384,0:04:07.918 不快な症状のほとんどは[br]免疫反応によって起きているのです 0:04:07.918,0:04:10.909 残念ながらそれが常に[br]完璧に機能するわけではありません 0:04:10.909,0:04:16.212 特に世界中の何百万人という人が[br]自己免疫疾患に苦しんでいます 0:04:16.212,0:04:21.204 身体は正常な状態なのに[br]免疫機能が脅威とみなし 0:04:21.204,0:04:23.719 自分の身体を攻撃する状態です 0:04:23.719,0:04:25.688 しかし人類のほとんどは 0:04:25.688,0:04:29.484 何百万年という進化を経て[br]免疫機能が微調整されているので 0:04:29.484,0:04:32.704 身体にとってどちらかといえば[br]悪いことよりよいことをしてくれます 0:04:32.704,0:04:35.216 病気の症状は不快なものですが 0:04:35.216,0:04:38.745 しかしこれから何世紀にも渡り[br]外界の脅威から私たちの体を 0:04:38.745,0:04:43.129 守り続けてくれるのは 0:04:43.129,0:04:45.589 これらの症状が力を寄せ合う[br]原始的な作用ということなのでしょう