WEBVTT 00:00:11.098 --> 00:00:14.431 ミツバチは 大忙しの小さなキューピッド 00:00:14.431 --> 00:00:17.066 あらゆる意味で お助け役を務めています 00:00:17.066 --> 00:00:20.633 キューピッドのミツバチは 性教育の先生となって 00:00:20.633 --> 00:00:23.960 植物の受粉と生殖を助けます 00:00:23.960 --> 00:00:26.138 花粉媒介者として 00:00:26.138 --> 00:00:28.488 私たちが口にする食べ物の 1/3ほどの生産に 00:00:28.488 --> 00:00:31.703 ミツバチは欠かせません 00:00:31.703 --> 00:00:33.095 そしてハチたちは 00:00:33.095 --> 00:00:35.549 孤独な植物のキューピッドを きっちり務めますが 00:00:35.549 --> 00:00:37.001 彼らだけではありません 00:00:37.001 --> 00:00:40.041 むしろ お相手探しを手伝う生き物の 00:00:40.041 --> 00:00:41.706 非常に複雑なネットワークが 00:00:41.706 --> 00:00:46.912 自然生態系と作物の受粉には重要です 00:00:46.912 --> 00:00:51.232 多くの自然生態系において 植物は受粉を必要としています 00:00:51.232 --> 00:00:54.482 たいていの人々と同じく 忙しすぎて相手が見つかりません 00:00:54.482 --> 00:00:56.403 光合成で非常に忙しくて 00:00:56.403 --> 00:00:58.986 足を進化させる時間がなく 00:00:58.986 --> 00:01:00.982 婚活パーティに歩いて行けません 00:01:00.982 --> 00:01:03.639 こういう場所は 肉市場(ナンパの場所)と揶揄されています 00:01:03.639 --> 00:01:05.006 植物は歩けないからです 00:01:05.006 --> 00:01:07.231 ですから 同じ植物種の花へ 00:01:07.231 --> 00:01:09.150 花粉の粒子を運んでくれる 00:01:09.150 --> 00:01:11.675 媒介者のキューピッドが必要です 00:01:11.675 --> 00:01:14.563 見返りに植物は花粉媒介者に 食料を渡します 00:01:14.563 --> 00:01:18.376 こんにち 17万種もの植物が 00:01:18.376 --> 00:01:20.636 20万種以上の花粉媒介者から 00:01:20.636 --> 00:01:24.330 送受粉サービスを受けています 00:01:24.330 --> 00:01:26.885 花粉媒介者には 多種のミツバチ 00:01:26.885 --> 00:01:33.659 蝶 蛾 蝿 スズメバチ 甲虫類のほか 鳥やコウモリまで含まれます 00:01:33.659 --> 00:01:36.693 彼らは一同に 木 低木 その他 花をつける顕花植物の多くの 00:01:36.693 --> 00:01:39.576 受粉を助けています 00:01:39.576 --> 00:01:45.166 代わりに 顕花植物は 花粉媒介者にとって 豊富で多様な食料源となっています 00:01:45.166 --> 00:01:47.217 例えば 化石記録によると 00:01:47.217 --> 00:01:50.877 花の蜜の味を覚えて 狩りをやめたスズメバチから 00:01:50.877 --> 00:01:53.608 ミツバチが進化したことを 示唆しています 00:01:53.608 --> 00:01:56.336 植物の送受粉ネットワークは どこでも見つかります 00:01:56.336 --> 00:01:59.819 環境学者は野外調査で これらネットワークを記録し 00:01:59.819 --> 00:02:03.053 どの花粉媒介者が どの植物を訪れるか観察したり 00:02:03.053 --> 00:02:07.616 あるいは 体についた花粉の 同定解析を行ったりします 00:02:07.616 --> 00:02:09.712 このような方法で登録された ネットワークには 00:02:09.712 --> 00:02:12.588 20から800の種が含まれます 00:02:12.588 --> 00:02:16.424 これらのネットワークは繰り返し構造 つまりアーキテクチャーを示しています 00:02:16.424 --> 00:02:20.482 花粉媒介者の植物との関わり方は たいへん様々です 00:02:20.482 --> 00:02:22.612 大半の植物はスペシャリストで 00:02:22.612 --> 00:02:25.624 花粉媒介者は1種か2種の生物だけです 00:02:25.624 --> 00:02:27.992 一方 ジェネラリストの種も わずかにいて 00:02:27.992 --> 00:02:30.847 多様な花粉媒介者に頼ります 00:02:30.847 --> 00:02:34.357 ネットワークのほぼ全ての受粉媒介者に 来てもらえるのです 00:02:34.357 --> 00:02:36.437 同じことは花粉媒介者にも 当てはまります 00:02:36.437 --> 00:02:40.992 多くの媒介者は 数種の植物だけを 糧にするスペシャリストですが 00:02:40.992 --> 00:02:43.989 ミツバチを含め 花粉媒介者のほとんどは 00:02:43.989 --> 00:02:47.849 生態系における ほぼ全ての植物から ひっきりなしに食料を得て 00:02:47.849 --> 00:02:51.305 送受粉を助けるジェネラリストです 00:02:51.305 --> 00:02:54.785 興味深いことに スペシャリストとジェネラリストは 00:02:54.785 --> 00:02:57.211 植物と花粉媒介者の垣根を超えて 00:02:57.211 --> 00:02:59.932 ある特定のパターンに分類できます 00:02:59.932 --> 00:03:04.239 データが取れている送受粉ネットワークの ほとんどはネスト化しています 00:03:04.239 --> 00:03:07.973 ネスト化したネットワークでは スペシャリストが選ぶ相手は 00:03:07.973 --> 00:03:10.987 スペシャリストよりも ジェネラリストとする傾向があります 00:03:10.987 --> 00:03:13.308 なぜなら あなたが スペシャリストの植物だとして 00:03:13.308 --> 00:03:16.913 唯一のお相手も同じく あなたを唯一の食料源として 00:03:16.913 --> 00:03:18.525 特化していると 00:03:18.525 --> 00:03:20.955 絶滅の恐れがあるからです 00:03:20.955 --> 00:03:24.940 ですから あなたは他の食料源もある ジェネラリストの花粉媒介者と 00:03:24.940 --> 00:03:26.574 特に手を組んだ方が 00:03:26.574 --> 00:03:29.902 条件の悪い年には持ちこたえられます 00:03:29.902 --> 00:03:32.728 同様に もしあなたがスペシャリストの 花粉媒介者なら 00:03:32.728 --> 00:03:34.610 ジェネラリストの食物に特化するほうが 00:03:34.610 --> 00:03:37.060 長い目で見れば有利です 00:03:37.060 --> 00:03:39.082 あなたが不在で役立てないときには 00:03:39.082 --> 00:03:41.819 他の種が送受粉を 助けてくれるからです 00:03:41.819 --> 00:03:44.008 最後に ネスト化に加えて 00:03:44.008 --> 00:03:46.468 ネットワークは通常 モジュール構造となっています 00:03:46.468 --> 00:03:48.764 これはネットワークにおける種が 00:03:48.764 --> 00:03:52.438 いくつかの植物と動物から成る モジュールに分割されていて 00:03:52.438 --> 00:03:54.119 その中での相互関係の方が 00:03:54.119 --> 00:03:56.533 他のモジュールとの関係よりも 強いことを意味しています 00:03:56.533 --> 00:03:58.398 彼らを社会的小集団と考えてみてください 00:03:58.398 --> 00:04:01.196 絶滅しそうな植物や受粉媒介者がいると 00:04:01.196 --> 00:04:03.516 モジュール内の他の種に影響します 00:04:03.516 --> 00:04:07.025 しかし 他のネットワークへの影響は さほど深刻ではありません 00:04:07.025 --> 00:04:08.995 なぜ それほどまでに 重要なのでしょうか? 00:04:08.995 --> 00:04:13.061 なぜなら ネットワーク構造は 生態系の安定に寄与するからです 00:04:13.061 --> 00:04:17.425 多様な関係や ネスト化 モジュール構造のおかげで 00:04:17.425 --> 00:04:22.069 ネットワークは より上手く絶滅を防ぎ (他種の絶滅に)適応できるのです 00:04:22.069 --> 00:04:25.223 自然が決して安定していないゆえ これは重要なことです 00:04:25.223 --> 00:04:28.026 毎年は表に出てこない種もいます 00:04:28.026 --> 00:04:30.542 植物は 異なる時期に花を咲かせます 00:04:30.542 --> 00:04:33.455 花粉媒介者の成長過程は様々です 00:04:33.455 --> 00:04:36.513 ジェネラリストの花粉媒介者は 自分の好みを 00:04:36.513 --> 00:04:39.240 それぞれの植物が開花する時期に 合わせなければなりません 00:04:39.240 --> 00:04:41.987 ですから ある開花シーズンから 別の開花シーズンに移ると 00:04:41.987 --> 00:04:44.148 関与する種や マッチングのパターンが 00:04:44.148 --> 00:04:46.358 大きく変わる可能性があります 00:04:46.358 --> 00:04:47.763 こうした不確定要素を考えると 00:04:47.763 --> 00:04:50.502 ミツバチのような ジェネラリストの受粉媒介者が 00:04:50.502 --> 00:04:53.967 作物の収穫だけでなく 00:04:53.967 --> 00:04:56.901 自然界にみられる植物と花粉媒介者の ネットワーク全体の安定性に 00:04:56.901 --> 00:04:59.557 いかに重要か ご理解いただけるでしょう 00:04:59.557 --> 00:05:02.190 次の機会に ミツバチが飛んでいるのを目にしたら 00:05:02.190 --> 00:05:05.986 ミツバチは あなたの周りにいる全ての植物の 愛の出会いに欠かせないキューピッドたちの 00:05:05.986 --> 00:05:09.753 複雑なネットワークの一員だと 思い出してください