WEBVTT 00:00:00.000 --> 00:00:05.830 ♪ [音楽] ♪ 00:00:09.378 --> 00:00:12.444 [アレックス] 今回はもう少し 込み入った話になります。 00:00:12.444 --> 00:00:16.014 この授業でお見せするのは 費用が一定の産業が 00:00:16.014 --> 00:00:19.189 平坦な供給曲線を 形成するということです。 00:00:19.205 --> 00:00:20.594 始めましょう。 00:00:25.211 --> 00:00:28.064 費用が一定の産業とは、 00:00:28.064 --> 00:00:31.860 費用を増加させることなく 生産量を増加できる産業です。 00:00:32.228 --> 00:00:35.929 例えば、鉛筆、カブ、 ドメイン名の登録などは 00:00:35.929 --> 00:00:38.477 費用が一定の産業に属します。 00:00:38.477 --> 00:00:40.047 鉛筆を例にとりましょう。 00:00:40.047 --> 00:00:42.530 鉛筆の生産量を増やそうと思ったら、 00:00:42.530 --> 00:00:47.370 鉛筆の生産費用を増やすことなく かなりの量の鉛筆を生産できます。 00:00:47.370 --> 00:00:50.478 なぜかって?鉛筆を生産する際 必要なものはなんでしょうか。 00:00:50.488 --> 00:00:52.869 木材と黒鉛、 00:00:52.869 --> 00:00:54.305 ゴムが必要ですね。 00:00:54.305 --> 00:00:57.551 しかし、増産に必要とする木材の量は 00:00:57.551 --> 00:01:00.251 世界の木材供給量と比べたら 微々たるものです。 00:01:00.251 --> 00:01:03.113 黒鉛にしても、世界の供給量の 00:01:03.113 --> 00:01:04.113 ほんの一部です。 00:01:04.113 --> 00:01:06.842 ゴムにしても、世界の供給量の 00:01:06.842 --> 00:01:08.197 一部です。 00:01:08.490 --> 00:01:13.143 言い換えると、鉛筆を増産するには、 00:01:13.143 --> 00:01:16.912 材料の供給量を、世界全体から見て 気づかないほどの微量を 00:01:16.912 --> 00:01:19.129 増やせばいいのです。 00:01:19.129 --> 00:01:22.170 鉛筆を増産するといっても、 00:01:22.170 --> 00:01:25.180 木材の価格が上昇する わけではないのです。 00:01:25.244 --> 00:01:27.543 住宅産業では こうはいきません。 00:01:27.543 --> 00:01:30.650 住宅の生産量を増やしたければ、 00:01:30.650 --> 00:01:33.720 木材の需要は大幅に増え、 木材の価格は 00:01:33.720 --> 00:01:35.056 上昇しかねません。 00:01:35.056 --> 00:01:38.995 これは、費用が増加する産業です。 00:01:39.753 --> 00:01:42.260 カブはどうでしょうか? 考え方は同じです。 00:01:42.260 --> 00:01:45.766 土地や肥料などの 投入の価格を増やすことなく 00:01:45.766 --> 00:01:48.561 容易にカブの生産量を 00:01:48.561 --> 00:01:50.755 増やすことができます。 00:01:50.755 --> 00:01:54.666 土地や肥料の市場に占める 00:01:54.666 --> 00:01:56.897 カブの生産量は小さすぎて 00:01:56.897 --> 00:02:00.670 カブの生産を大幅に増産したところで 00:02:00.670 --> 00:02:04.428 投入の価格が増える ことはありません。 00:02:05.147 --> 00:02:07.422 ドメイン名の登録でも同じです。 00:02:07.422 --> 00:02:11.660 インターネットは 大きく拡張しましたが、 00:02:11.660 --> 00:02:14.714 今日でもドメイン名登録は $6、7で済んでしまいます。 00:02:14.714 --> 00:02:16.567 パソコンをいくつか使うだけで 00:02:16.567 --> 00:02:19.404 登録できてしまうからです。 00:02:19.404 --> 00:02:21.927 パソコンをもう少し増やせばー 00:02:21.927 --> 00:02:24.876 それでも、パソコンの総数に 比べれば微々たるものですがー 00:02:24.876 --> 00:02:27.961 ドメイン名登録の供給量を 00:02:27.961 --> 00:02:29.651 容易に増やすことができます。 00:02:30.475 --> 00:02:34.761 どういう意味かというと 00:02:34.761 --> 00:02:37.709 鉛筆やカブ、ドメイン名登録といった 産業については、 00:02:37.709 --> 00:02:40.903 長期的な供給曲線は 00:02:40.903 --> 00:02:43.173 平坦になるということです。 00:02:43.182 --> 00:02:45.525 図を用いて詳しく見ていきましょう。 00:02:46.083 --> 00:02:47.688 この図では、 00:02:47.688 --> 00:02:51.221 費用が一定の産業が いかにして需要の増加に 00:02:51.221 --> 00:02:53.365 対応するのか、 00:02:53.365 --> 00:02:57.200 同時に、費用が一定である 理由についても見ていきます。 00:02:57.620 --> 00:03:00.444 二つの図を見比べながら説明します。 00:03:00.444 --> 00:03:03.644 左が市場、右が代表企業です。 00:03:03.764 --> 00:03:05.751 この産業には企業がいくつもあるので、 00:03:05.751 --> 00:03:07.371 その中から一つ選んで 00:03:07.371 --> 00:03:09.014 説明していきます。 00:03:09.014 --> 00:03:10.931 市場の図から始めましょう。 00:03:10.931 --> 00:03:12.542 もう見慣れていますね。 00:03:12.542 --> 00:03:17.226 こちらが需要曲線で、 こちらが短期的な供給曲線です。 00:03:17.724 --> 00:03:20.515 需要量が供給量と同値である時、 00:03:20.515 --> 00:03:23.935 初期の、あるいは短期的な 均衡となります。 00:03:23.935 --> 00:03:26.841 実は、これは長期的な 均衡ともなるのです。 00:03:26.841 --> 00:03:29.613 理由は後ほど説明します。 00:03:29.613 --> 00:03:32.794 今度は代表企業の均衡も 00:03:32.794 --> 00:03:34.909 求めていきます。 00:03:34.909 --> 00:03:37.700 企業が利潤を最大化している ということは 00:03:37.700 --> 00:03:40.223 価格が限界費用と同値になる ということですね。 00:03:40.223 --> 00:03:42.690 そして、価格は平均費用とも 同値になります。 00:03:42.690 --> 00:03:46.869 なぜなら、企業は 00:03:46.869 --> 00:03:49.370 経済利益はゼロ、つまり 00:03:49.370 --> 00:03:50.972 正常利潤を得るからです。 00:03:50.972 --> 00:03:53.524 というわけで、 市場の初期均衡では 00:03:53.524 --> 00:03:56.573 供給量は需要量と同値です。 00:03:56.573 --> 00:03:59.835 企業の方では、 価格は限界費用と同値なので、 00:03:59.835 --> 00:04:02.638 企業は利潤を最大化できています。 そして価格は、 00:04:02.638 --> 00:04:06.854 平均費用と同値なので、 利潤は正常、つまりゼロです。 00:04:07.831 --> 00:04:10.589 さて、今度は需要を 増やすとどうなるか 00:04:10.589 --> 00:04:12.517 見ていきましょう。 00:04:12.517 --> 00:04:14.615 市場の図では 二つのことが起こります。 00:04:14.615 --> 00:04:17.403 需要曲線は動くので 価格は上昇し、 00:04:17.403 --> 00:04:19.036 新たな均衡点になります。 00:04:19.036 --> 00:04:21.383 企業の方では、価格は 00:04:21.383 --> 00:04:25.152 限界費用曲線に沿って 増加していきます。 00:04:25.152 --> 00:04:27.584 市場から見てみましょう。 00:04:27.584 --> 00:04:29.204 この変化は同時に起こります。 00:04:29.204 --> 00:04:30.791 まずは市場をみて、 00:04:30.791 --> 00:04:33.749 そのあとに 代表企業の変化を見ます。 00:04:34.028 --> 00:04:36.841 それではいきましょう。 需要が増加すると、 00:04:36.841 --> 00:04:40.619 価格は上昇し、新たな均衡である、 00:04:40.619 --> 00:04:45.888 点Bが求められます。 企業の方では、 00:04:45.888 --> 00:04:49.756 限界費用曲線に沿って増加するので、 00:04:49.756 --> 00:04:53.174 新たな均衡は同じく点Bとなります。 00:04:53.174 --> 00:04:55.247 もう一度ご覧ください。 00:04:55.247 --> 00:04:56.920 今度は、 00:04:56.920 --> 00:04:58.308 代表企業です。 00:04:58.710 --> 00:05:00.737 代表企業を見ていくと、 00:05:00.737 --> 00:05:04.612 需要が増えると、価格が上昇します。 00:05:04.612 --> 00:05:08.577 すると企業は限界曲線に沿って 増加していきます。 00:05:08.871 --> 00:05:12.308 短期的な需要曲線が 00:05:12.308 --> 00:05:16.914 上向きである理由は 00:05:16.914 --> 00:05:20.279 産業内の企業は 価格が上昇するとともに 00:05:20.279 --> 00:05:23.500 限界費用曲線に沿って 大きくなるからです。 00:05:23.500 --> 00:05:26.132 短期的、というのは、 00:05:26.132 --> 00:05:30.352 新たな企業が産業に参入する以前 00:05:30.352 --> 00:05:31.688 ということです。 00:05:31.688 --> 00:05:36.264 つまり、短期的な供給量の増加は 00:05:36.264 --> 00:05:40.958 今ある企業による、 価格の上昇に乗じて行われた、 00:05:40.958 --> 00:05:46.160 供給量の増加によるもの ということです。 00:05:46.975 --> 00:05:51.200 代表企業は当初 経済利益がゼロ、 00:05:51.200 --> 00:05:55.073 つまり正常利潤であることを 思い出してください。 00:05:55.073 --> 00:05:57.715 需要が増加すると、 正常利潤以上の 00:05:57.715 --> 00:05:59.550 利益を出しているのです。 00:05:59.550 --> 00:06:03.673 (価格ー平均費用)×数量が 利潤の出し方でしたね。 00:06:03.673 --> 00:06:06.943 つまりこの時点の利益は プラス、正常利潤以上です。 00:06:06.943 --> 00:06:11.042 この状態にあると、 他の企業も例に倣います。 00:06:11.042 --> 00:06:13.995 「あの企業が成功してるんだったら、 00:06:13.995 --> 00:06:15.971 我が社もやろうじゃないか」と。 00:06:15.971 --> 00:06:19.392 価格が平均費用以上の時に 00:06:19.392 --> 00:06:22.110 参入が起きるのでした。 00:06:22.431 --> 00:06:25.010 参入にはどのような 影響があるのでしょうか。 00:06:25.010 --> 00:06:26.380 二つのことが起こります。 00:06:26.380 --> 00:06:28.839 市場の方では、 短期的な供給曲線が 00:06:28.839 --> 00:06:30.807 右に移動します。 00:06:30.807 --> 00:06:33.132 短期的な供給曲線が 00:06:33.132 --> 00:06:38.296 右に移動するので、 価格は減少します。 00:06:38.296 --> 00:06:41.915 価格が減少すると、 企業は限界費用曲線に沿って 00:06:41.915 --> 00:06:46.244 利潤と共々、正常利潤に 00:06:46.244 --> 00:06:47.346 達するまで 00:06:47.346 --> 00:06:49.732 減少していきます。 00:06:49.732 --> 00:06:51.689 もう二回お見せしましょう。 00:06:51.689 --> 00:06:53.372 最初に市場について、 00:06:53.372 --> 00:06:55.548 次に代表企業を見ていきましょう。 00:06:55.548 --> 00:06:59.466 短期的に起こる利潤は 企業の参入を促します。 00:06:59.466 --> 00:07:01.914 企業が参入すると、 短期的な供給曲線は 00:07:01.914 --> 00:07:04.454 増加して、 00:07:04.454 --> 00:07:06.901 価格は、新たな均衡まで 00:07:06.901 --> 00:07:09.929 減少します。ここですね。 00:07:09.929 --> 00:07:13.507 こちらの図では利潤がゼロになります。 00:07:13.507 --> 00:07:16.506 代表企業の方から 見ていきましょう。 00:07:17.007 --> 00:07:19.484 右側が代表企業です。 00:07:19.484 --> 00:07:21.468 利潤は参入を促します。 00:07:21.468 --> 00:07:24.111 参入によって 価格が押し下げられ、 00:07:24.111 --> 00:07:25.409 何が起きるでしょうか。 00:07:25.409 --> 00:07:27.519 価格が減少すると、企業は 00:07:27.519 --> 00:07:29.320 限界費用曲線に沿って減少します。 00:07:29.320 --> 00:07:33.470 これで、長期的には平坦な曲線に なる理由がわかります。 00:07:33.852 --> 00:07:38.281 平均費用曲線の最小値である 00:07:38.281 --> 00:07:43.274 点Aから始めて、 点Cまでいきます。 00:07:43.284 --> 00:07:46.206 ここが点Cです。 ここも平均費用曲線の 00:07:46.206 --> 00:07:48.129 最小値です。 00:07:48.129 --> 00:07:52.601 つまり、長期的に見ると供給曲線は 平均費用曲線の最小値で 00:07:52.601 --> 00:07:54.483 一定なのです。 00:07:54.502 --> 00:07:58.841 では、産業費用が一定であるという憶測は どこから来るのでしょうか? 00:07:58.841 --> 00:08:00.254 ここからきます。 00:08:00.254 --> 00:08:04.153 参入によって 00:08:04.153 --> 00:08:07.707 産業が拡大する時、 00:08:07.707 --> 00:08:10.178 代表企業の費用は上昇しません。 00:08:10.178 --> 00:08:14.204 なぜなら、投入市場に比べると、 00:08:14.204 --> 00:08:16.354 産業自体はとても小さいからです。 00:08:16.354 --> 00:08:19.750 つまり、産業が拡大する時には、 投入価格は 00:08:19.750 --> 00:08:20.901 上昇しないのです。 00:08:20.901 --> 00:08:24.341 産業が拡大しようと縮小しようと 00:08:24.341 --> 00:08:27.885 平均費用曲線は変わりません。 00:08:27.885 --> 00:08:30.834 なぜなら、代表企業の費用曲線は 00:08:30.834 --> 00:08:33.674 変化せず、経済利益がゼロである 00:08:33.674 --> 00:08:37.367 唯一の均衡点は最小値の時、 00:08:37.367 --> 00:08:39.417 価格が平均費用と同値の時だからです。 00:08:39.417 --> 00:08:43.273 長期的に見ると、価格は常に 00:08:43.273 --> 00:08:46.765 平均費用曲線の最小値まで、 00:08:46.765 --> 00:08:49.542 経済利益がゼロのところ まで減少します。 00:08:49.542 --> 00:08:54.535 点Aと点Cは産業の 長期的な供給曲線に沿っています。 00:08:54.535 --> 00:08:56.767 平坦ですね。 00:08:57.096 --> 00:09:00.184 新しい情報が色々出てきました。 00:09:00.184 --> 00:09:03.441 図を使ってちょっと復習しましょう。 00:09:04.050 --> 00:09:07.732 点Aは初期の均衡です。 00:09:07.732 --> 00:09:10.452 短期的な需要の増加によって 00:09:10.452 --> 00:09:15.372 点Bに移動しました。 企業はプラスの利益を出していました。 00:09:15.759 --> 00:09:19.635 プラスの利益によって 新しい企業の参入が促されました。 00:09:19.635 --> 00:09:22.409 企業の参入によって 短期的な供給曲線が 00:09:22.409 --> 00:09:26.239 右に移動し、価格が減少しました。 00:09:26.239 --> 00:09:30.083 価格は長期的な均衡まで 減少しました。 00:09:30.083 --> 00:09:32.557 新たな長期的均衡は、 00:09:32.557 --> 00:09:34.811 経済利益がゼロの時、 00:09:34.811 --> 00:09:37.893 つまり、平均費用曲線が 00:09:37.893 --> 00:09:39.539 最小値の時です。 00:09:39.539 --> 00:09:43.580 平均費用曲線は動きません。 なぜなら投入価格は 00:09:43.580 --> 00:09:47.532 産業が拡張しようが 縮小しようが変わらないからです。 00:09:47.532 --> 00:09:51.028 だからこそ、長期的な 供給曲線は平坦なのです。 00:09:51.701 --> 00:09:55.328 そんな感じです。 情報量が多かったですね。 00:09:55.773 --> 00:09:58.908 費用が増加する産業では 00:09:58.908 --> 00:10:00.964 供給曲線が上向きで、 00:10:00.964 --> 00:10:02.626 費用が一定の産業では 00:10:02.626 --> 00:10:05.342 供給曲線が平坦であることが わかりました。 00:10:05.342 --> 00:10:08.431 次回は、費用が減少する産業という 00:10:08.431 --> 00:10:12.134 珍しい産業の場合、 一定の範囲において下向きの曲線を 00:10:12.134 --> 00:10:13.929 描くことをお見せします。 00:10:13.929 --> 00:10:15.532 次の動画でまた会いましょう。 00:10:16.570 --> 00:10:18.215 [告知] 自分の知識を 00:10:18.215 --> 00:10:20.201 確認したい方は「練習問題」を 00:10:20.201 --> 00:10:23.694 次の動画を見たい方は、 「次の動画」をクリックしてください。 00:10:23.694 --> 00:10:28.429 ♪ [音楽] ♪