[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:27.45,0:00:32.44,Default,,0000,0000,0000,,これは昨日の河北新報の朝刊1面です Dialogue: 0,0:00:32.44,0:00:35.74,Default,,0000,0000,0000,,ここに 今年 米の値段が暴落して Dialogue: 0,0:00:35.74,0:00:39.52,Default,,0000,0000,0000,,米農家さんが大変困ってるという \Nニュースが書いてます Dialogue: 0,0:00:39.52,0:00:48.38,Default,,0000,0000,0000,,具体的には 秋田県産のひとめぼれが\N今年 8400円 去年に比べて2800円下がったと Dialogue: 0,0:00:48.38,0:00:52.24,Default,,0000,0000,0000,,そして農家が泣いているというニュースです Dialogue: 0,0:00:52.24,0:00:58.29,Default,,0000,0000,0000,,皆さんはこのニュースに触れたとき\N一体何を感じるでしょうか Dialogue: 0,0:00:58.29,0:01:04.47,Default,,0000,0000,0000,,おそらく「いやぁ 米農家も困ってるんだな\N大変なんだな」と 同情すると思います Dialogue: 0,0:01:04.47,0:01:09.95,Default,,0000,0000,0000,,だけれども この新聞を読み終えた途端に Dialogue: 0,0:01:09.95,0:01:14.27,Default,,0000,0000,0000,,皆さんの頭の中からこのニュースは\N消えてしまうんじゃないでしょうか Dialogue: 0,0:01:16.75,0:01:22.66,Default,,0000,0000,0000,,私たちが毎日食べているお米\Nこれを作っている生産者が困ってるんですから Dialogue: 0,0:01:22.66,0:01:24.84,Default,,0000,0000,0000,,決して他人事ではいられないはずです Dialogue: 0,0:01:24.84,0:01:29.49,Default,,0000,0000,0000,,だけれども どうしてこうも\N他人事になってしまうのでしょうか Dialogue: 0,0:01:29.49,0:01:36.50,Default,,0000,0000,0000,,それは 困っている農家の具体的な顔が\N思い浮かばないからだと思います Dialogue: 0,0:01:36.50,0:01:40.47,Default,,0000,0000,0000,,もしも その顔が思い浮かぶという\N農家が知り合いにいたら Dialogue: 0,0:01:40.47,0:01:43.74,Default,,0000,0000,0000,,決して他人事ではいられないんではないでしょうか Dialogue: 0,0:01:43.74,0:01:49.58,Default,,0000,0000,0000,,その相手との関係性が共感力を育むんです Dialogue: 0,0:01:50.70,0:01:56.69,Default,,0000,0000,0000,,消費者と生産者が大きな流通システムで\N分断されてしまったこの国で Dialogue: 0,0:01:56.69,0:02:00.85,Default,,0000,0000,0000,,私たち消費者が得られる食べ物の情報は Dialogue: 0,0:02:00.85,0:02:05.44,Default,,0000,0000,0000,,値段 見た目 食味 カロリー等 Dialogue: 0,0:02:05.44,0:02:08.16,Default,,0000,0000,0000,,すべて消費領域の話です Dialogue: 0,0:02:08.16,0:02:12.24,Default,,0000,0000,0000,,もちろん食べ物を選ぶ上で\Nこれらの情報も大事な訳ですけれども Dialogue: 0,0:02:12.24,0:02:15.39,Default,,0000,0000,0000,,決定的に欠けている情報があります Dialogue: 0,0:02:15.39,0:02:21.96,Default,,0000,0000,0000,,それが 食べ物の裏側にいる\N血の通った人間の存在です Dialogue: 0,0:02:21.96,0:02:27.60,Default,,0000,0000,0000,,皆さんは日頃 食べている食べ物の中で Dialogue: 0,0:02:27.60,0:02:31.93,Default,,0000,0000,0000,,「生産者の顔知ってるよ」 何人知っていますか? Dialogue: 0,0:02:31.93,0:02:37.72,Default,,0000,0000,0000,,おそらく一人も知らないという方が\N大半ではないでしょうか Dialogue: 0,0:02:37.72,0:02:41.08,Default,,0000,0000,0000,,共感力を失ってしまった日本の一次産業は今 Dialogue: 0,0:02:41.08,0:02:43.73,Default,,0000,0000,0000,,深刻な状況になっています Dialogue: 0,0:02:43.73,0:02:50.74,Default,,0000,0000,0000,,私が生まれるちょっと前の1970年に\N1025万人も農家はいたんです Dialogue: 0,0:02:50.74,0:02:54.53,Default,,0000,0000,0000,,それが今 260万人に激減しました Dialogue: 0,0:02:54.53,0:02:59.77,Default,,0000,0000,0000,,そのうち実に75%が60歳以上の高齢者です Dialogue: 0,0:02:59.77,0:03:07.27,Default,,0000,0000,0000,,そして私と同じ40歳以下の若い農家さんは\Nたったの17万人しかいません Dialogue: 0,0:03:07.27,0:03:13.03,Default,,0000,0000,0000,,漁師に至っては 同じ1970年に\N57万人いました Dialogue: 0,0:03:13.03,0:03:18.52,Default,,0000,0000,0000,,それが今や17万人\Nそして過半数が60歳以上の高齢者で Dialogue: 0,0:03:18.52,0:03:23.01,Default,,0000,0000,0000,,40歳以下はたったの2万人です Dialogue: 0,0:03:23.01,0:03:30.36,Default,,0000,0000,0000,,10年後 20年後 \N私たちの食べ物を誰が作っているのでしょうか Dialogue: 0,0:03:30.36,0:03:34.16,Default,,0000,0000,0000,,おそらく今 私のこの問いかけに対して皆さんは Dialogue: 0,0:03:34.16,0:03:39.10,Default,,0000,0000,0000,,「いやぁ一次産業なんとかしなきゃいけない」\Nという気持ちになっていると思います Dialogue: 0,0:03:39.10,0:03:43.70,Default,,0000,0000,0000,,だけれども やはりこの会場を出た途端に Dialogue: 0,0:03:43.70,0:03:49.42,Default,,0000,0000,0000,,皆さんの気持ちはどこかに消えてしまうでしょう Dialogue: 0,0:03:49.42,0:03:57.06,Default,,0000,0000,0000,,私たち消費者に決定的に欠けているのは\N私たちの命に直結する一次産業の問題を Dialogue: 0,0:03:57.06,0:04:01.17,Default,,0000,0000,0000,,自分ごと化する 共感力なんです Dialogue: 0,0:04:01.17,0:04:05.70,Default,,0000,0000,0000,,そしてこの日本の一次産業を立て直していく為に Dialogue: 0,0:04:05.70,0:04:10.21,Default,,0000,0000,0000,,食べ物の裏側にいる人間の存在を知り Dialogue: 0,0:04:10.21,0:04:16.51,Default,,0000,0000,0000,,そしてそことつながっていくことで\N共感力を磨いていくことが大事だと思います Dialogue: 0,0:04:16.51,0:04:19.70,Default,,0000,0000,0000,,そこで私が考えついたのが Dialogue: 0,0:04:19.70,0:04:23.64,Default,,0000,0000,0000,,食べ物付きの月刊誌 「東北食べる通信」です Dialogue: 0,0:04:23.64,0:04:28.28,Default,,0000,0000,0000,,毎月東北の生産者にクローズアップして特集し Dialogue: 0,0:04:28.28,0:04:33.68,Default,,0000,0000,0000,,そこにその生産者が育てた食べ物を\Nこうして付けて読者に送ります Dialogue: 0,0:04:33.68,0:04:36.22,Default,,0000,0000,0000,,普通の食の宅配サービスは Dialogue: 0,0:04:36.22,0:04:38.78,Default,,0000,0000,0000,,段ボールに野菜がいっぱいぎっしり詰まって Dialogue: 0,0:04:38.78,0:04:42.42,Default,,0000,0000,0000,,そこに生産者情報の紙切れ1枚が入っていますが Dialogue: 0,0:04:42.42,0:04:44.89,Default,,0000,0000,0000,,我々はそれをひっくり返したんです Dialogue: 0,0:04:44.89,0:04:51.36,Default,,0000,0000,0000,,この紙切れ1枚こそが この生産者の生き様こそが\Nメインの商品だよと Dialogue: 0,0:04:51.36,0:04:56.23,Default,,0000,0000,0000,,そしてそこにあえて付録として\Nこうして食べ物を付けました Dialogue: 0,0:04:56.23,0:05:02.25,Default,,0000,0000,0000,,一年間やってきて今 読者が1400人になっています Dialogue: 0,0:05:02.25,0:05:07.53,Default,,0000,0000,0000,,読者は 届いた雑誌 16ページありますけれども\Nまず生産者のことを知る Dialogue: 0,0:05:07.53,0:05:10.22,Default,,0000,0000,0000,,その上で調理をして食べる Dialogue: 0,0:05:10.22,0:05:12.04,Default,,0000,0000,0000,,ここで終わりません Dialogue: 0,0:05:12.04,0:05:18.82,Default,,0000,0000,0000,,我々は特集した生産者と読者を\NFacebookのグループでつなげてみました Dialogue: 0,0:05:18.82,0:05:22.52,Default,,0000,0000,0000,,そうしたところ \N実に活発なコミュニケーションが起きたんです Dialogue: 0,0:05:22.52,0:05:27.28,Default,,0000,0000,0000,,だって初めて知った訳です \N自分が口の中に入れる食べ物を作っている人 Dialogue: 0,0:05:27.28,0:05:29.84,Default,,0000,0000,0000,,そうして多くの読者の方々が Dialogue: 0,0:05:29.84,0:05:35.50,Default,,0000,0000,0000,,「こんな風に息子と調理して食べました」\Nというレシピの写真の投稿と共に Dialogue: 0,0:05:35.50,0:05:37.77,Default,,0000,0000,0000,,生産者に対して感謝の言葉を Dialogue: 0,0:05:37.77,0:05:41.52,Default,,0000,0000,0000,,「いただきます」「ありがとうございます」\N「感動しました」「ごちそうさまでした」 Dialogue: 0,0:05:41.52,0:05:46.53,Default,,0000,0000,0000,,連日 食べ物の感謝の気持ちを生産者に伝えました Dialogue: 0,0:05:46.53,0:05:50.59,Default,,0000,0000,0000,,そして生産者も これまでは流通に出して終わりです Dialogue: 0,0:05:50.59,0:05:55.07,Default,,0000,0000,0000,,しかし食べて喜んでくれる人の声に連日触れて Dialogue: 0,0:05:55.07,0:05:57.76,Default,,0000,0000,0000,,「よし もっとうまいもの作ってやろう」と Dialogue: 0,0:05:57.76,0:06:00.28,Default,,0000,0000,0000,,こういう生産意欲を増しています Dialogue: 0,0:06:00.28,0:06:03.04,Default,,0000,0000,0000,,さらに Dialogue: 0,0:06:03.04,0:06:05.96,Default,,0000,0000,0000,,[オンラインの] SNSのこういう交流だけではなくて Dialogue: 0,0:06:05.96,0:06:10.08,Default,,0000,0000,0000,,実際に生産者さんを東京に呼んで交流会を開いたり Dialogue: 0,0:06:10.08,0:06:13.100,Default,,0000,0000,0000,,あるいは読者が生産現場を訪ねて Dialogue: 0,0:06:13.100,0:06:16.85,Default,,0000,0000,0000,,実際に体を動かして出荷を体験する Dialogue: 0,0:06:16.85,0:06:19.93,Default,,0000,0000,0000,,こういうリアルの体験イベントも行っています Dialogue: 0,0:06:19.93,0:06:25.77,Default,,0000,0000,0000,,これらの一連の体験をパッケージとして\N毎月読者の皆様にお届けしているわけですが Dialogue: 0,0:06:25.77,0:06:32.75,Default,,0000,0000,0000,,こうした一連の体験を通じて\N読者は共感力を増していきました Dialogue: 0,0:06:32.75,0:06:37.84,Default,,0000,0000,0000,,その共感力を遺憾なく発揮した事例が最近ありました Dialogue: 0,0:06:37.84,0:06:45.32,Default,,0000,0000,0000,,昨年10月号で特集した 秋田県 潟上市の米農家\N菊地晃生さんです Dialogue: 0,0:06:45.32,0:06:52.56,Default,,0000,0000,0000,,彼は ここは現場なんですけれども\N耕さない冬水田んぼという農法で Dialogue: 0,0:06:52.56,0:06:56.51,Default,,0000,0000,0000,,人間と自然にとても優しい米を作っています Dialogue: 0,0:06:56.51,0:06:59.86,Default,,0000,0000,0000,,ところが 今年雨が長引いて Dialogue: 0,0:06:59.86,0:07:03.80,Default,,0000,0000,0000,,稲刈りの時期になっても 田んぼがぬかるんだ状態で Dialogue: 0,0:07:03.80,0:07:08.21,Default,,0000,0000,0000,,稲刈り機のコンバインを入れても\N前に進まないという状況になったんです Dialogue: 0,0:07:08.21,0:07:12.07,Default,,0000,0000,0000,,小さな娘さん二人 そして妻と四人で手刈りをしても Dialogue: 0,0:07:12.07,0:07:17.55,Default,,0000,0000,0000,,例年の10分の1も刈り取れないということで\N絶望の縁に立たされました Dialogue: 0,0:07:17.55,0:07:23.28,Default,,0000,0000,0000,,彼はそこで 自分の窮状について\NFacebookで発信して Dialogue: 0,0:07:23.28,0:07:27.18,Default,,0000,0000,0000,,食べる通信の読者グループにSOSを出したんですね Dialogue: 0,0:07:27.18,0:07:31.70,Default,,0000,0000,0000,,そしたらば なんと200人に及ぶ読者を始めとする Dialogue: 0,0:07:31.70,0:07:35.53,Default,,0000,0000,0000,,晃生さんの仲間たちが 秋田までわざわざ行って Dialogue: 0,0:07:35.53,0:07:41.26,Default,,0000,0000,0000,,裸足になって 田んぼに入って\Nそして一緒に手で刈って Dialogue: 0,0:07:41.26,0:07:48.76,Default,,0000,0000,0000,,およそ野球場一つになるぐらいの広大な\N1ヘクタールのこの田んぼが Dialogue: 0,0:07:48.76,0:07:53.90,Default,,0000,0000,0000,,まもなく人力によって刈り取られようとしています Dialogue: 0,0:07:53.90,0:08:01.72,Default,,0000,0000,0000,,つまり読者と生産者が \N心配し合う家族みたいになっているわけですよ Dialogue: 0,0:08:01.72,0:08:06.76,Default,,0000,0000,0000,,読者はこうして食べ物の裏側にいる\N人間の存在を知ることで Dialogue: 0,0:08:06.76,0:08:11.79,Default,,0000,0000,0000,,まさにこの米農家に降り掛かった災難を\N自分ごと化して Dialogue: 0,0:08:11.79,0:08:16.73,Default,,0000,0000,0000,,そして自ら突き動かして生産現場に訪れていきました Dialogue: 0,0:08:16.73,0:08:22.40,Default,,0000,0000,0000,,私は今 地縁血縁がどんどん\N希薄になっていく世の中になって Dialogue: 0,0:08:22.40,0:08:29.23,Default,,0000,0000,0000,,食べる人と作る人がつながることで \N豊かにできるコミュニティに可能性を見出しています Dialogue: 0,0:08:29.23,0:08:33.28,Default,,0000,0000,0000,,一年間を通じて私たちは\Nこういうコミュニティをつくりました Dialogue: 0,0:08:33.28,0:08:37.24,Default,,0000,0000,0000,,この中には漁師もいれば農家もいます 前の方にいます Dialogue: 0,0:08:37.24,0:08:38.50,Default,,0000,0000,0000,,後ろの方は読者です Dialogue: 0,0:08:38.50,0:08:40.98,Default,,0000,0000,0000,,見てくださいこの笑顔 Dialogue: 0,0:08:40.98,0:08:43.76,Default,,0000,0000,0000,,笑顔になっているのは生産者だけではなくて Dialogue: 0,0:08:43.76,0:08:50.43,Default,,0000,0000,0000,,食べる方 読者の方も \N実はどんどん どんどん喜びに満ちていきます Dialogue: 0,0:08:50.43,0:08:55.74,Default,,0000,0000,0000,,今回の秋田の米農家さんのところに\N手伝いに行った読者も Dialogue: 0,0:08:55.74,0:08:59.41,Default,,0000,0000,0000,,元気になって都会に帰っていくんですよ Dialogue: 0,0:08:59.41,0:09:04.55,Default,,0000,0000,0000,,自分の命を支えている食べ物が\Nどういう自然環境に育まれ Dialogue: 0,0:09:04.55,0:09:10.23,Default,,0000,0000,0000,,そこに生産者がどういう手間を加えて\N作っているのかを 肌で感じることで Dialogue: 0,0:09:10.23,0:09:14.02,Default,,0000,0000,0000,,読者は 命が喜ぶと言います Dialogue: 0,0:09:14.02,0:09:20.75,Default,,0000,0000,0000,,私は一年間 この食べる人と作る人をつなげる\N「食べる通信」という仕事をしてみて Dialogue: 0,0:09:20.75,0:09:23.48,Default,,0000,0000,0000,,気付きました Dialogue: 0,0:09:23.48,0:09:27.03,Default,,0000,0000,0000,,生産者と消費者が分断され Dialogue: 0,0:09:27.03,0:09:31.48,Default,,0000,0000,0000,,困っていたのは 実は生産者だけではなかった Dialogue: 0,0:09:31.48,0:09:37.24,Default,,0000,0000,0000,,この消費者の命が喜ばず \N元気を失っていたということに気付きました Dialogue: 0,0:09:37.24,0:09:41.28,Default,,0000,0000,0000,,そしてこの両者の間にある垣根を取り払っていくことで Dialogue: 0,0:09:41.28,0:09:43.51,Default,,0000,0000,0000,,両者が交わっていくことで Dialogue: 0,0:09:43.51,0:09:48.50,Default,,0000,0000,0000,,お互いの元気 そして生きる力を \N交換できるんだということを Dialogue: 0,0:09:48.50,0:09:51.82,Default,,0000,0000,0000,,僕は彼らに教わったんです Dialogue: 0,0:09:53.14,0:09:59.12,Default,,0000,0000,0000,,今 私たちは 完成された消費社会を生きています Dialogue: 0,0:09:59.12,0:10:03.19,Default,,0000,0000,0000,,このスマートフォン一台あれば\Nマンションの一室にこもって Dialogue: 0,0:10:03.19,0:10:06.28,Default,,0000,0000,0000,,何でも買えてしまう \N生きていける Dialogue: 0,0:10:06.28,0:10:10.42,Default,,0000,0000,0000,,だけれども そこには波乱の困難もありません Dialogue: 0,0:10:10.42,0:10:16.41,Default,,0000,0000,0000,,食べ物を育む自然だったり \Nそこに手間を加えた食べ物を作っている生産者は Dialogue: 0,0:10:16.41,0:10:18.91,Default,,0000,0000,0000,,視界の外に消えてしまいます Dialogue: 0,0:10:18.91,0:10:24.50,Default,,0000,0000,0000,,そうして予測やコントロールや秩序や正義が成された Dialogue: 0,0:10:24.50,0:10:27.16,Default,,0000,0000,0000,,完璧なまでの消費社会の中で Dialogue: 0,0:10:27.16,0:10:33.70,Default,,0000,0000,0000,,私たちは生きる喜びや 生きる実感を\N気付かぬうちに Dialogue: 0,0:10:33.70,0:10:37.75,Default,,0000,0000,0000,,失いかけて来たんではないんでしょうか Dialogue: 0,0:10:37.75,0:10:45.53,Default,,0000,0000,0000,,私は そういう狭い世界をひっくり返したいと思いました Dialogue: 0,0:10:45.53,0:10:50.26,Default,,0000,0000,0000,,この構築された消費社会に \N風穴を開けたいと思いました Dialogue: 0,0:10:50.26,0:10:55.27,Default,,0000,0000,0000,,その方法を私は「食べる通信」を通じて知ったんです Dialogue: 0,0:10:55.27,0:10:59.50,Default,,0000,0000,0000,,その方法を 今日は皆さんに教えようと思います Dialogue: 0,0:10:59.50,0:11:04.54,Default,,0000,0000,0000,,何も地方に移住して生産者になる必要はないです Dialogue: 0,0:11:04.54,0:11:07.73,Default,,0000,0000,0000,,都市に暮らしながらにしてできることです Dialogue: 0,0:11:07.73,0:11:16.25,Default,,0000,0000,0000,,それは これまでの交換可能な\Nお金と食べ物という貧しい関係から抜け出して Dialogue: 0,0:11:16.25,0:11:23.58,Default,,0000,0000,0000,,本来の交換不可能な 食べる人と作る人という\N豊かな関係に戻すことで Dialogue: 0,0:11:23.58,0:11:27.17,Default,,0000,0000,0000,,皆さんにとって 食べるということは Dialogue: 0,0:11:27.17,0:11:31.43,Default,,0000,0000,0000,,他者との関係性や まだ見ぬ広い世界とつながる Dialogue: 0,0:11:31.43,0:11:35.07,Default,,0000,0000,0000,,回路として再生していくことができるんです Dialogue: 0,0:11:35.07,0:11:39.32,Default,,0000,0000,0000,,そしてこの回路を通じて Dialogue: 0,0:11:39.32,0:11:41.99,Default,,0000,0000,0000,,この小さな小さな 小さいかもしれないけれども Dialogue: 0,0:11:41.99,0:11:46.52,Default,,0000,0000,0000,,この回路を通じて 構築された消費社会に Dialogue: 0,0:11:46.52,0:11:49.81,Default,,0000,0000,0000,,隙間 創造的なスペースを作り出し Dialogue: 0,0:11:49.81,0:11:54.74,Default,,0000,0000,0000,,そしてそこから私たちは\N生きる力や 生きる喜びや 生きる実感や Dialogue: 0,0:11:54.74,0:11:57.92,Default,,0000,0000,0000,,そして想像力を取り戻していく Dialogue: 0,0:11:57.92,0:12:04.50,Default,,0000,0000,0000,,狭い世界に閉じ込められた私たち人間が持っていた\N本来の可能性や精神性を Dialogue: 0,0:12:04.50,0:12:06.85,Default,,0000,0000,0000,,未来へと解き放っていくんです Dialogue: 0,0:12:06.85,0:12:14.55,Default,,0000,0000,0000,,その先にこそ 私たちの命が喜ぶ\N新しいフロンティアが待っていると思います Dialogue: 0,0:12:14.55,0:12:18.27,Default,,0000,0000,0000,,私たちが暮らすこの日本で\N私たちは今 Dialogue: 0,0:12:18.27,0:12:23.89,Default,,0000,0000,0000,,命が喜ばない 命の居心地がとても悪くなっています Dialogue: 0,0:12:23.89,0:12:26.95,Default,,0000,0000,0000,,何でこんなことになってしまったのでしょうか Dialogue: 0,0:12:26.95,0:12:29.30,Default,,0000,0000,0000,,私は思います Dialogue: 0,0:12:29.30,0:12:32.04,Default,,0000,0000,0000,,頭と体のバランスが崩れ Dialogue: 0,0:12:32.04,0:12:36.89,Default,,0000,0000,0000,,我々は皆 \N頭でっかちになってしまったのではないでしょうか Dialogue: 0,0:12:36.89,0:12:41.53,Default,,0000,0000,0000,,消費社会というのは 私たちの頭が考え出し\N作り出したものです Dialogue: 0,0:12:41.53,0:12:46.90,Default,,0000,0000,0000,,それに対して 私たちがいくら考えても\N作り出せないものがあります Dialogue: 0,0:12:46.90,0:12:50.22,Default,,0000,0000,0000,,それが自然です Dialogue: 0,0:12:50.22,0:12:53.55,Default,,0000,0000,0000,,私たちは元々自然から発生してきたので Dialogue: 0,0:12:53.55,0:12:57.98,Default,,0000,0000,0000,,自然の中に身を置くと 誰もが心地いいと感じるでしょう Dialogue: 0,0:12:57.98,0:13:02.47,Default,,0000,0000,0000,,その自然を消費社会は徹底的に排除していきました Dialogue: 0,0:13:02.47,0:13:06.08,Default,,0000,0000,0000,,そして我々のこの体自体も Dialogue: 0,0:13:06.08,0:13:10.52,Default,,0000,0000,0000,,人間が作り出せないという意味で\N本来は自然のものです Dialogue: 0,0:13:10.52,0:13:15.30,Default,,0000,0000,0000,,ですから 気持ちがいいとか 美しいとか\N感動したとか Dialogue: 0,0:13:15.30,0:13:20.82,Default,,0000,0000,0000,,こういう感情というのは \N頭ではなくて体で感じるものです Dialogue: 0,0:13:20.82,0:13:24.98,Default,,0000,0000,0000,,この身体性や精神性 Dialogue: 0,0:13:24.98,0:13:31.06,Default,,0000,0000,0000,,こういうものも 感情も 消費社会は時に \N私たちから奪い去ってしまうことになります Dialogue: 0,0:13:31.06,0:13:35.24,Default,,0000,0000,0000,,同じことが 日本にも言えると思うんです Dialogue: 0,0:13:35.24,0:13:40.51,Default,,0000,0000,0000,,人間は頭と体の釣り合いが取れるところが\N必ずあるはずです Dialogue: 0,0:13:40.51,0:13:43.47,Default,,0000,0000,0000,,ここの均衡が崩れると 人は Dialogue: 0,0:13:43.47,0:13:45.74,Default,,0000,0000,0000,,命の心地が悪くなります Dialogue: 0,0:13:45.74,0:13:51.82,Default,,0000,0000,0000,,日本も今 頭と体の関係と 都市と地方の関係\N僕は似てると思うんです Dialogue: 0,0:13:51.82,0:13:58.05,Default,,0000,0000,0000,,東京一極集中が加速し\Nそして全国の農山漁村が消滅の危機にあります Dialogue: 0,0:13:58.05,0:14:03.33,Default,,0000,0000,0000,,かつて長男が戦後 全国の農山漁村に残って Dialogue: 0,0:14:03.33,0:14:08.24,Default,,0000,0000,0000,,次男以下の兄弟が出稼ぎでつくった街が\N今の東京 大阪 名古屋です Dialogue: 0,0:14:08.24,0:14:12.48,Default,,0000,0000,0000,,つまり都市と地方は血でつながっていたんです Dialogue: 0,0:14:12.48,0:14:16.30,Default,,0000,0000,0000,,ですからみんな 盆暮れに帰省ラッシュするのでしょう Dialogue: 0,0:14:16.30,0:14:19.09,Default,,0000,0000,0000,,ところがあと20年30年経つと Dialogue: 0,0:14:19.09,0:14:23.30,Default,,0000,0000,0000,,この帰省ラッシュが無くなると言われています\Nつまり Dialogue: 0,0:14:23.30,0:14:27.52,Default,,0000,0000,0000,,都市生まれの 都市育ちの ふるさとがない人間が Dialogue: 0,0:14:27.52,0:14:30.74,Default,,0000,0000,0000,,たくさん量産されるということです Dialogue: 0,0:14:30.74,0:14:35.34,Default,,0000,0000,0000,,こうなると 都市と地方の分断は決定的になるでしょう Dialogue: 0,0:14:35.34,0:14:43.19,Default,,0000,0000,0000,,そうして消費社会に閉じ込められて\N命が喜ばない そういう人たちが Dialogue: 0,0:14:43.19,0:14:47.02,Default,,0000,0000,0000,,また量産されていく Dialogue: 0,0:14:47.02,0:14:58.11,Default,,0000,0000,0000,,生物の進化というのは 自らの生存を脅かす環境変化に\N適応する形で成されてきました Dialogue: 0,0:14:58.11,0:15:04.50,Default,,0000,0000,0000,,消費 文明社会の先頭を走って\N命が輝かなくなった我々日本は Dialogue: 0,0:15:04.50,0:15:11.90,Default,,0000,0000,0000,,もしかしたら 人類の進化の最先端に今\N立っているのかもしれません Dialogue: 0,0:15:11.90,0:15:17.51,Default,,0000,0000,0000,,その進化とは 頭と体 都市と地方 Dialogue: 0,0:15:17.51,0:15:22.52,Default,,0000,0000,0000,,もっと言えば 先進国と途上国の\N均衡 バランスを図っていく Dialogue: 0,0:15:22.52,0:15:27.57,Default,,0000,0000,0000,,そういう壮大なチャレンジになっていくでしょう Dialogue: 0,0:15:31.41,0:15:36.68,Default,,0000,0000,0000,,70年代 パーソナルコンピューターが出てきましたね Dialogue: 0,0:15:36.68,0:15:39.39,Default,,0000,0000,0000,,情報が贅沢品だった時代です Dialogue: 0,0:15:39.39,0:15:41.43,Default,,0000,0000,0000,,あの頃 人々は高揚しました Dialogue: 0,0:15:41.43,0:15:45.82,Default,,0000,0000,0000,,その場にいながら世界中の情報にアクセスできる Dialogue: 0,0:15:45.82,0:15:49.28,Default,,0000,0000,0000,,そうしてあの大きな箱を持ち運びできるようにして Dialogue: 0,0:15:49.28,0:15:51.50,Default,,0000,0000,0000,,使いやすくしたのはスティーブ・ジョブズでした Dialogue: 0,0:15:51.50,0:15:54.24,Default,,0000,0000,0000,,その延長線上にこのiPhoneがあります Dialogue: 0,0:15:54.24,0:15:59.49,Default,,0000,0000,0000,,しかしもはやこの頭の世界 この箱の中の世界も Dialogue: 0,0:15:59.49,0:16:03.75,Default,,0000,0000,0000,,かなり開墾してしまってですね\Nもはや情報は贅沢品ではありません Dialogue: 0,0:16:03.75,0:16:07.91,Default,,0000,0000,0000,,むしろ この世界最先端の消費社会において Dialogue: 0,0:16:07.91,0:16:13.56,Default,,0000,0000,0000,,私たちの贅沢品は今 関係性と生存実感になっています Dialogue: 0,0:16:13.56,0:16:17.57,Default,,0000,0000,0000,,そしてこの関係性と生存実感 生きる実感は Dialogue: 0,0:16:17.57,0:16:19.56,Default,,0000,0000,0000,,決してマンションの一室にこもって Dialogue: 0,0:16:19.56,0:16:23.46,Default,,0000,0000,0000,,iPhoneで買えるものではありません Dialogue: 0,0:16:23.46,0:16:28.73,Default,,0000,0000,0000,,自然に出て そして生産者と共に\N自らが生み出していくものなんです Dialogue: 0,0:16:28.73,0:16:32.46,Default,,0000,0000,0000,,そこが私は新しい 私たちの命が喜ぶ Dialogue: 0,0:16:32.46,0:16:34.19,Default,,0000,0000,0000,,フロンティアになっていくと思います Dialogue: 0,0:16:34.19,0:16:39.50,Default,,0000,0000,0000,,そしてそのフロンティアは \N一人の天才が切り開くものではもはやありません Dialogue: 0,0:16:39.50,0:16:41.94,Default,,0000,0000,0000,,食べる人と作る人が一緒になって Dialogue: 0,0:16:41.94,0:16:43.56,Default,,0000,0000,0000,,開墾していくんです Dialogue: 0,0:16:43.56,0:16:50.43,Default,,0000,0000,0000,,その先に新しいふるさとが\N待っているんではないでしょうか Dialogue: 0,0:16:50.43,0:16:58.27,Default,,0000,0000,0000,,このアップルは\N私たちの頭と知識を豊かにしてくれました Dialogue: 0,0:16:58.27,0:17:05.28,Default,,0000,0000,0000,,それに対して私は こちらのアップル\Nリアルな食べ物 Dialogue: 0,0:17:05.28,0:17:10.64,Default,,0000,0000,0000,,私たちの命を支えてくれる\Nこのリアルな食べ物の世界につながることで Dialogue: 0,0:17:10.64,0:17:17.08,Default,,0000,0000,0000,,私たちの心を豊かに そして\N私たちの命に輝きを取り戻していきたいんです Dialogue: 0,0:17:17.08,0:17:22.08,Default,,0000,0000,0000,,それを実現する為に\Nこっちのアップルも上手に活用していきたいと思います Dialogue: 0,0:17:22.08,0:17:30.76,Default,,0000,0000,0000,,つまり頭と体 都市と地方の融合です Dialogue: 0,0:17:33.20,0:17:39.70,Default,,0000,0000,0000,,皆さん 誰にとっても身近な\Nこの 食べるということから Dialogue: 0,0:17:39.70,0:17:46.31,Default,,0000,0000,0000,,皆さんお一人お一人が\N世界を変えられる力を持っていることを自覚してください Dialogue: 0,0:17:46.31,0:17:48.75,Default,,0000,0000,0000,,世なおしは 食なおし Dialogue: 0,0:17:48.75,0:17:50.49,Default,,0000,0000,0000,,さぁ皆さん Dialogue: 0,0:17:50.49,0:17:52.71,Default,,0000,0000,0000,,進化の最前線を楽しみながら Dialogue: 0,0:17:52.71,0:17:59.75,Default,,0000,0000,0000,,世界を変える冒険に出発しようではありませんか Dialogue: 0,0:17:59.75,0:18:02.74,Default,,0000,0000,0000,,終わります