WEBVTT

00:00:00.628 --> 00:00:03.544
あなたに平安を (挨拶)

00:00:03.544 --> 00:00:05.230
ドーハへようこそ

00:00:05.230 --> 00:00:08.632
私の仕事は この国の食物を
安定的に供給することです

00:00:08.632 --> 00:00:10.683
今後２年間かけて

00:00:10.683 --> 00:00:13.099
総括的な計画をまとめ

00:00:13.099 --> 00:00:16.632
10年かけて実行に移します

00:00:16.632 --> 00:00:18.652
もちろん沢山の方と協力していきます

00:00:18.652 --> 00:00:23.299
まず私自身の話をさせてください

00:00:23.299 --> 00:00:27.167
皆さんが今日いらっしゃる
この国の話です

00:00:27.167 --> 00:00:30.717
ここにいるほとんどの方が
今日３度 食事を取ったでしょうし

00:00:30.717 --> 00:00:35.250
このイベント以降も
同様に 食事を取り続けるでしょう

NOTE Paragraph

00:00:35.250 --> 00:00:39.683
本題に入ります
1940年代のカタールの様子です

00:00:39.683 --> 00:00:43.883
ここには1万1,000人が暮らし

00:00:43.883 --> 00:00:50.899
水はなく エネルギー 石油
車も 一切ありませんでした

00:00:50.899 --> 00:00:52.294
住民のほとんどが

00:00:52.294 --> 00:00:54.766
沿岸の漁村で暮らすか

00:00:54.766 --> 00:01:00.716
それか水を求めて移動する
遊牧民でした

00:01:00.716 --> 00:01:04.118
近年見られるような
魅力は皆無でした

00:01:04.118 --> 00:01:09.266
現在のドーハ, ドバイ, アブダビ等の様な
都市はありませんでした

00:01:09.266 --> 00:01:11.883
都市を作ることができなかった訳ではなく

00:01:11.883 --> 00:01:13.982
人材や資源がなかったのです

00:01:13.982 --> 00:01:16.815
ご覧の通り 平均寿命も短く
大抵の方は

00:01:16.815 --> 00:01:18.717
50歳前後で亡くなっていました

NOTE Paragraph

00:01:18.717 --> 00:01:22.516
次の話題に移ります
石油時代の到来です

00:01:22.516 --> 00:01:25.733
石油が発見されたのは1939年ですが

00:01:25.733 --> 00:01:30.533
残念ながら 第二次世界大戦が終わるまでは

00:01:30.533 --> 00:01:32.983
商業的な開拓まで至りませんでした

00:01:32.983 --> 00:01:35.117
その後 石油は何をもたらしたのか

00:01:35.117 --> 00:01:38.417
皆さんご存知のように
この国を変えてしまったんです

00:01:38.417 --> 00:01:42.149
家畜を養うため 水や食物を探して
放浪していた 砂漠の遊牧民の

00:01:42.149 --> 00:01:45.433
家畜を養うため 水や食物を探して
放浪していた 砂漠の遊牧民の

00:01:45.433 --> 00:01:49.536
生活の「都市化」です

NOTE Paragraph

00:01:49.536 --> 00:01:51.500
不思議に思うかもしれませんが

00:01:51.500 --> 00:01:55.349
私の家族はそれぞれが
異なる訛りを持っています

00:01:55.349 --> 00:01:59.349
私の母の訛りは
父とはだいぶ異なります

00:01:59.349 --> 00:02:04.383
およそ30万人
皆 同じ国の住民なのに

00:02:04.383 --> 00:02:07.917
この国には ５,６種類の方言があります

00:02:07.917 --> 00:02:11.733
「なぜこのような事が？」とお思いでしょう

00:02:11.733 --> 00:02:13.516
それは 散り散りに暮らしてきたからです

00:02:13.516 --> 00:02:18.668
資源がなく 一ヶ所にまとまって暮らせなかったのです

00:02:18.668 --> 00:02:22.479
そして資源…石油が出て来たとき

00:02:22.479 --> 00:02:25.533
素晴らしい 先端技術施設を
作りだすようになり

00:02:25.533 --> 00:02:29.183
組織を作る必要性から
一同が集まるようになりました

00:02:29.183 --> 00:02:31.567
そこで 人々は互いの事を知るようになり

00:02:31.567 --> 00:02:35.516
いくつかの訛りがあることに気づきました

NOTE Paragraph

00:02:35.516 --> 00:02:38.451
石油時代の話はここまでです

00:02:38.451 --> 00:02:40.566
今日の生活を見てみましょう

00:02:40.566 --> 00:02:45.292
これが皆さんご存知であろう
ドーハのスカイラインです

00:02:45.292 --> 00:02:46.683
現在の人口は

00:02:46.683 --> 00:02:48.933
170万人です

00:02:48.933 --> 00:02:51.632
60年弱で この増加です

00:02:51.632 --> 00:02:57.534
過去５年間の経済成長率は
年間平均15%ほどです

00:02:57.534 --> 00:03:00.367
寿命は78歳まで延び

00:03:00.367 --> 00:03:05.176
水の消費量は430リットルまで増え

00:03:05.176 --> 00:03:08.583
世界的に見ても
最大消費国となりました

00:03:08.583 --> 00:03:10.750
水がほぼ全くない時代から

00:03:10.750 --> 00:03:16.234
今では 他のどの国よりも
水を消費しているのです

00:03:16.234 --> 00:03:20.000
水が無かった時代の反動かは分かりませんが

NOTE Paragraph

00:03:20.000 --> 00:03:26.200
ここまでの話で
興味深い点は何でしょう？

00:03:26.200 --> 00:03:29.383
それは我々が
発展し続けているという点です

00:03:29.383 --> 00:03:35.983
水もないのに５年にわたって
毎年平均15%もですよ

00:03:35.983 --> 00:03:40.933
これは前例のない 歴史的なことです

00:03:40.933 --> 00:03:44.866
水不足により
多くの街が消滅してきましたが

00:03:44.866 --> 00:03:47.382
この地域では 歴史的な出来事です

00:03:47.382 --> 00:03:49.299
私たちが作っているのは

00:03:49.299 --> 00:03:54.452
単なる街ではなく 科学者や医者になりたいと願う
人々の夢が詰まった街です

00:03:54.452 --> 00:03:57.601
いい家庭を持ち
素敵なマイホームを建てた街です

00:03:57.601 --> 00:04:03.800
これらの人々は まだ何もない時代から
ここが住処だと信じた人です

00:04:03.800 --> 00:04:05.769
もちろん技術を駆使して です

00:04:05.769 --> 00:04:12.283
ブラジルの年間降水量は 1,782ミリです

00:04:12.283 --> 00:04:15.134
カタールは74ミリにも関わらず
この経済成長率です

NOTE Paragraph

00:04:15.134 --> 00:04:17.150
どうやって？

00:04:17.150 --> 00:04:20.416
どのように成し遂げたのでしょう

00:04:20.416 --> 00:04:22.500
ここにはほとんど水がありません

00:04:22.500 --> 00:04:28.799
単に 海水から塩分を除去する
巨大な装置のおかげです

00:04:28.799 --> 00:04:32.967
エネルギー資源が鍵となります
これが全てを変えました

00:04:32.967 --> 00:04:37.466
地面から吸い上げ
毎日何トンも燃焼し続けるもの

00:04:37.466 --> 00:04:40.466
皆さんがドーハに来る時も使ったはずです

00:04:40.466 --> 00:04:43.367
これが この国の湖 そして―

00:04:43.367 --> 00:04:45.216
この国の川の姿です

00:04:45.216 --> 00:04:50.558
皆さんが水を使用するために
このような状況になっています

00:04:50.558 --> 00:04:57.184
この地域が持つ最高の技術が
この脱塩装置なのです

NOTE Paragraph

00:04:57.184 --> 00:04:59.452
リスクを考えたことがありますか

00:04:59.452 --> 00:05:01.002
リスクを考えたことがありますか

00:05:01.002 --> 00:05:04.918
世界的な現状を見れば

00:05:04.918 --> 00:05:07.509
憂うべき問題だと
言わざるを得ません

00:05:07.509 --> 00:05:10.018
人口が増加するに従って 需要も増えます

00:05:10.018 --> 00:05:13.267
数か月前 世界の人口は
70億人になりました

00:05:13.267 --> 00:05:16.759
当然 食糧の需要も増えます

00:05:16.759 --> 00:05:19.967
2050年には 90億人に達するとか

NOTE Paragraph

00:05:19.967 --> 00:05:22.823
つまり水のない国では

00:05:22.823 --> 00:05:26.474
国境の向こうで何が起こるのか
考える必要があります

00:05:26.474 --> 00:05:28.806
食物に関しても

00:05:28.806 --> 00:05:32.872
社会経済レベルが向上することで

00:05:32.872 --> 00:05:35.055
趣向が変わってきます

00:05:35.055 --> 00:05:38.055
肉などをより多く食すようになります

00:05:38.055 --> 00:05:40.408
一方で 気候変動やその他の要因によって

00:05:40.408 --> 00:05:43.106
食物の生産量は減少傾向にあります

00:05:43.106 --> 00:05:48.274
誰かが危機を予見して
警鐘を鳴らす必要があるのです

NOTE Paragraph

00:05:48.274 --> 00:05:52.089
知らない方に申し上げますと
これがカタールの現状です

00:05:52.089 --> 00:05:55.439
我々は たった２日分しか貯水できず

00:05:55.439 --> 00:05:57.723
90%の食物を輸入しており

00:05:57.723 --> 00:06:01.423
耕地は国土の１%にも満たないのです

00:06:01.423 --> 00:06:03.872
この国の限られた農業者は

00:06:03.872 --> 00:06:07.406
独自の農法からは遠ざけられた上に

00:06:07.406 --> 00:06:12.955
公開市場政策などの結果
厳しい競争に迫られています

00:06:12.955 --> 00:06:16.206
つまり リスクにも直面しているのです

00:06:16.206 --> 00:06:23.389
これらのリスクは国家の存続にも
直接に影響してきます

NOTE Paragraph

00:06:23.389 --> 00:06:25.907
はたして解決策はあるのでしょうか―

00:06:25.907 --> 00:06:28.089
持続可能な解決策が？

00:06:28.089 --> 00:06:30.073
実はあるのです

00:06:30.073 --> 00:06:34.106
これは過去２年間以上かけて作った
何千ページもの技術文書を要約したものです

00:06:34.106 --> 00:06:36.790
これは過去２年間以上かけて作った
何千ページもの技術文書を要約したものです

00:06:36.790 --> 00:06:38.222
まずは水の問題です

00:06:38.222 --> 00:06:41.991
もうご存知ですね
先ほど話した通り エネルギーが必要です

00:06:41.991 --> 00:06:45.089
では必要なのは
どんな種類のエネルギーでしょうか

00:06:45.089 --> 00:06:47.388
限りあるエネルギー？
化石燃料か―

00:06:47.388 --> 00:06:49.783
それとも
何か別のエネルギーでしょうか？

00:06:49.783 --> 00:06:53.122
他のエネルギーを使うことに
利点はあるのでしょうか？

00:06:53.122 --> 00:06:57.256
もうお分かりですね
ここでは 年間晴れ日が300日あります

00:06:57.256 --> 00:07:02.588
この再生可能エネルギーを使って
必要な水を供給します

00:07:02.588 --> 00:07:07.989
1,800メガワットの太陽光発電を使えば

00:07:07.989 --> 00:07:10.598
35億リットルの水を
生み出せるでしょう

00:07:10.598 --> 00:07:12.622
これは相当な量です

NOTE Paragraph

00:07:12.622 --> 00:07:14.890
この水が農業者へ行き渡ることで

00:07:14.890 --> 00:07:17.127
農業者が作物に水をやれるようになり

00:07:17.127 --> 00:07:21.257
食物を社会に
供給できるようになるでしょう

00:07:21.257 --> 00:07:23.374
しかし この一連の横の流れを保つためには

00:07:23.374 --> 00:07:26.705
我々が提供するシステム全体を支える為の

00:07:26.705 --> 00:07:29.339
縦の流れをつくる必要もあります

00:07:29.339 --> 00:07:34.657
システムの維持 高度な教育 研究開発

00:07:34.657 --> 00:07:39.719
産業 技術 その技術の応用 そして
最終的に市場を確保することです

00:07:39.719 --> 00:07:45.852
そしてこれらを可能にするのが
法律や政策や規則の制定であり

00:07:45.852 --> 00:07:48.085
これは必要不可欠です

NOTE Paragraph

00:07:48.085 --> 00:07:49.637
以上が我々の計画です

00:07:49.637 --> 00:07:53.168
２年以内にこの計画をまとめ

00:07:53.168 --> 00:07:55.135
実行に移すことが出来るかと思います

00:07:55.135 --> 00:08:01.835
私達の目標は すでに各地に存在するような
大都市になることです

00:08:01.835 --> 00:08:08.970
例えば イスタンブール ローマ ロンドン
パリ ダマスカス カイロなどのように

00:08:08.970 --> 00:08:13.065
私たちの街には
わずか60年の歴史しかありませんが

00:08:13.065 --> 00:08:17.626
平和の中での
恒久的な繁栄を願っています

NOTE Paragraph

00:08:17.626 --> 00:08:19.571
ありがとうございました

NOTE Paragraph

00:08:19.571 --> 00:08:23.650
(拍手)