WEBVTT 00:00:06.654 --> 00:00:07.967 ああ 春ですね 00:00:07.967 --> 00:00:11.738 草木が芽生え 花は咲き誇り 木々は新しい葉をつけます 00:00:11.738 --> 00:00:13.567 でもアレルギーがあれば 00:00:13.567 --> 00:00:19.136 この新しい生命の芽生えは 喜ばしいというより憂鬱でしょう 00:00:19.136 --> 00:00:23.127 外に出れば数分と経たないうちに くしゃみが出て鼻が詰まります 00:00:23.127 --> 00:00:24.421 鼻水は出るし 00:00:24.421 --> 00:00:26.283 目は腫れて涙が出るし 00:00:26.283 --> 00:00:27.896 喉はイガイガします 00:00:27.896 --> 00:00:32.559 あなたをはじめ何百万人もの人々にとって 春は季節性アレルギーの季節なのです 00:00:32.559 --> 00:00:35.492 この粘液による猛攻撃の理由は 何なのでしょう? 00:00:35.492 --> 00:00:38.328 理由はあなたの中にあります 00:00:38.328 --> 00:00:39.775 あなたの免疫機構です 00:00:39.775 --> 00:00:44.245 季節性アレルギーは 枯草熱や アレルギー性鼻炎とも呼ばれ 00:00:44.245 --> 00:00:49.205 実際は害のないものに対する 免疫機構の過剰反応です 00:00:49.205 --> 00:00:51.067 草木の花粉や 00:00:51.067 --> 00:00:56.442 小さな真菌類に由来するカビ胞子などが あなたの粘膜に接触し 00:00:56.442 --> 00:00:59.182 あなたの身体が これらの無害な訪問者を 00:00:59.182 --> 00:01:02.303 感染性のバクテリア同様に 攻撃するのです 00:01:02.303 --> 00:01:04.366 免疫機構には記憶力があります 00:01:04.366 --> 00:01:07.552 体外からの物質が 「危険」だと識別されると 00:01:07.552 --> 00:01:10.476 白血球がそれに合わせた 抗体を作り 00:01:10.476 --> 00:01:14.309 次に同じ物質が入ってくると 認識されるのです 00:01:14.309 --> 00:01:17.432 すると すぐさま 体内の防衛チームを呼んできます 00:01:17.432 --> 00:01:20.751 しかし時には 免疫機構が誤って 00:01:20.751 --> 00:01:24.096 花粉のような無害なものを 識別することがあります 00:01:24.096 --> 00:01:27.887 花粉が再び入ってくると 白血球の表面にある抗体が 00:01:27.887 --> 00:01:30.246 認識して 捉えるのです 00:01:30.246 --> 00:01:33.464 これによって細胞は 炎症性の物質を放出します 00:01:33.464 --> 00:01:34.717 例えばヒスタミンです 00:01:34.717 --> 00:01:36.427 これは神経細胞を刺激して 00:01:36.427 --> 00:01:41.483 粘膜中の血管が腫れたり 体液を漏らす原因になります 00:01:41.483 --> 00:01:46.151 つまり かゆみやくしゃみ 鼻づまりや鼻水です 00:01:46.151 --> 00:01:52.035 必ずではありませんが アレルギーは 普通子供時代に発症します 00:01:52.035 --> 00:01:55.640 でも どうしてアレルギーがある人と ない人がいるのでしょうか? 00:01:55.640 --> 00:02:00.078 アレルギーは家族内で発症する傾向にあるので 遺伝も原因のひとつでしょう 00:02:00.078 --> 00:02:03.951 実は 免疫機構の制御を助ける 遺伝子におけるエラーが 00:02:03.951 --> 00:02:06.716 高率に見られるアレルギーと 結び付けられています 00:02:06.716 --> 00:02:09.668 育つ環境も また関係があります 00:02:09.668 --> 00:02:12.216 赤ちゃんの時に アレルゲンに晒されていると 00:02:12.216 --> 00:02:15.957 それらに対するアレルギーを 起こしにくくなります 00:02:15.957 --> 00:02:17.817 農場で育ったり 00:02:17.817 --> 00:02:18.951 大家族で育ったり 00:02:18.951 --> 00:02:22.908 発展途上国で育つと アレルギーは少ない傾向にあります 00:02:22.908 --> 00:02:27.580 しかし 例外も多くあり その理由の一部は遺伝によるものです 00:02:27.580 --> 00:02:29.865 ある説によると そういった人々は子供の時に 00:02:29.865 --> 00:02:32.561 伝統的な狩猟社会とともに進化を遂げた 00:02:32.561 --> 00:02:36.619 より多くの微生物や寄生虫と 接触するのだそうです 00:02:36.619 --> 00:02:39.128 これは「衛生仮説」と呼ばれ 00:02:39.128 --> 00:02:41.451 この考え方は免疫機構が 00:02:41.451 --> 00:02:44.990 よくある微生物に晒されないと 00:02:44.990 --> 00:02:49.592 無害な物質に対して 防御反応を示してしまうのだといいます 00:02:49.592 --> 00:02:50.972 例えば花粉です 00:02:50.972 --> 00:02:55.161 別の説によると 免疫機構が 多くの病原体によって強くなると 00:02:55.161 --> 00:02:58.470 アレルゲンに対して 過剰反応を起こしにくくなるといいます 00:02:58.470 --> 00:03:02.817 花粉はよくある原因物質ですが それは頻繁に接触するからです 00:03:02.817 --> 00:03:04.845 実は 様々な物質が原因となります 00:03:04.845 --> 00:03:05.667 ほこり 00:03:05.667 --> 00:03:06.682 動物の鱗屑 00:03:06.682 --> 00:03:07.780 虫の毒 00:03:07.780 --> 00:03:08.966 薬品 00:03:08.966 --> 00:03:10.096 特定の食品 00:03:10.096 --> 00:03:13.704 これらも免疫機構に 過剰反応を起こさせます 00:03:13.704 --> 00:03:15.829 アレルギー反応には 恐ろしいものもあります 00:03:15.829 --> 00:03:19.175 アレルギーは本格的な アナフィラキシーになることもあり 00:03:19.175 --> 00:03:21.492 これは典型的には 重度の腫れや 00:03:21.492 --> 00:03:22.775 息切れ 00:03:22.775 --> 00:03:24.965 非常な低血圧を伴います 00:03:24.965 --> 00:03:26.636 死に至ることさえあります 00:03:26.636 --> 00:03:30.568 身体はそれ自身に対して アレルギー反応を起こすこともあります 00:03:30.568 --> 00:03:32.306 自己免疫疾患を起こして 00:03:32.306 --> 00:03:36.622 多発硬化症や全身エリテマトーデスや 1型糖尿病などを起こします 00:03:36.622 --> 00:03:41.128 命に関わらないアレルギー症状であっても 惨めな気持ちになることはあります 00:03:41.128 --> 00:03:42.799 では どうすればいいのでしょう? 00:03:42.799 --> 00:03:45.500 薬を飲めば 症状を抑えることができます 00:03:45.500 --> 00:03:49.071 最も一般的なものはヒスタミンが 細胞にくっつくのを防ぎます 00:03:49.071 --> 00:03:52.810 抗ヒスタミン薬は 炎症反応を止めてくれます 00:03:52.810 --> 00:03:56.222 ステロイド系の薬は 免疫機構を弱めてくれます 00:03:56.222 --> 00:03:59.926 より長持ちする選択肢には 免疫療法があります 00:03:59.926 --> 00:04:01.954 意図的に管理下で 00:04:01.954 --> 00:04:04.948 徐々に高濃度のアレルゲンに 身体を晒すことで 00:04:04.948 --> 00:04:09.458 免疫機構に実は 無害な物質だと教えるのです 00:04:09.458 --> 00:04:12.929 もっと大胆な方法が良ければ あまり一般的でない方法があります 00:04:12.929 --> 00:04:15.341 腸管寄生虫です 00:04:15.341 --> 00:04:18.719 鉤虫が腸壁に噛みつく時に 00:04:18.719 --> 00:04:21.938 免疫機構を鈍らせる物質を 分泌するのです 00:04:21.938 --> 00:04:26.349 研究の中には鉤虫が アレルギーを治療できるというものもあり 00:04:26.349 --> 00:04:27.508 もしかすると これも 00:04:27.508 --> 00:04:30.989 アレルギーが先進国に より多い理由かもしれません 00:04:30.989 --> 00:04:34.273 これらの国では 鉤虫があまり見られないからです 00:04:34.273 --> 00:04:37.650 もちろん 季節性アレルギーが やむのをただ待つこともできます 00:04:37.650 --> 00:04:41.188 春の花粉による猛攻撃は 夏至の頃までにはやみますから 00:04:41.188 --> 00:04:44.310 その頃にはブタクサの季節が やってきてしまいますけどね