1 00:00:00,999 --> 00:00:04,365 1年前 ベルリンにある スイス大使館に招かれて 2 00:00:04,365 --> 00:00:06,388 私たちの作品を展示しました 3 00:00:06,999 --> 00:00:11,133 招待されるのは慣れていますが この時は本当にドキドキしました 4 00:00:11,586 --> 00:00:14,451 ベルリンのスイス大使館は特別なんです 5 00:00:14,451 --> 00:00:17,443 官庁街にある建物の中で 6 00:00:17,443 --> 00:00:20,423 第二次世界大戦の破壊を免れた 唯一の建物で 7 00:00:20,423 --> 00:00:23,191 連邦首相府のすぐ隣にあるんです 8 00:00:23,723 --> 00:00:27,863 スイスの外交官ほど メルケル首相の近くにいる人はいません 9 00:00:27,863 --> 00:00:29,839 (笑) 10 00:00:30,656 --> 00:00:34,725 ベルリンの官庁街には “Reichstag” つまり国会議事堂や 11 00:00:34,725 --> 00:00:37,334 ブランデンブルク門もあります 12 00:00:37,334 --> 00:00:40,299 門のそばには 大使館がたくさんあって 13 00:00:40,299 --> 00:00:43,696 その中にはアメリカ大使館と イギリス大使館もあります 14 00:00:44,657 --> 00:00:47,897 ドイツは民主主義の点で先進国ですが 15 00:00:47,897 --> 00:00:50,722 市民の憲法上の権利は 官庁街において 16 00:00:50,722 --> 00:00:52,299 制限のあるものとなっています 17 00:00:52,299 --> 00:00:56,686 集会とデモの権利が 制限されているのです 18 00:00:57,607 --> 00:01:01,299 これは芸術家の立場から見ると 面白い状況です 19 00:01:01,299 --> 00:01:06,035 参加する権利を行使し 自己表現するためには 20 00:01:06,035 --> 00:01:08,299 常に一定の秩序に従う必要があり 21 00:01:08,299 --> 00:01:11,798 何らかの制約を受けるものです 22 00:01:11,798 --> 00:01:16,581 そして 規制に頼っていることに 気づいてはじめて 23 00:01:16,581 --> 00:01:19,299 新たな見方ができるんです 24 00:01:19,299 --> 00:01:23,977 既存の決まりが 私たちの認識や行動や生活を 25 00:01:23,977 --> 00:01:25,564 形作っているんです 26 00:01:26,168 --> 00:01:29,299 違う状況下では これが極めて重要になります 27 00:01:29,299 --> 00:01:30,801 過去2年間に渡って 28 00:01:30,801 --> 00:01:35,299 アメリカ イギリス両大使館の屋根の上から 29 00:01:35,299 --> 00:01:40,060 シークレットサービスが この地区全域を盗聴していて 30 00:01:40,060 --> 00:01:43,299 そこにはアンゲラ・メルケル独首相の 携帯電話も含まれていたことが分かっています 31 00:01:43,299 --> 00:01:48,299 イギリスの諜報機関GCHQのアンテナが 白い円筒形のレーダードームに隠され 32 00:01:48,299 --> 00:01:51,340 アメリカ NSAの情報収集拠点は 33 00:01:51,340 --> 00:01:54,299 無線を通す幕で覆われています 34 00:01:55,342 --> 00:01:58,903 ただ 偽装され目に見えない勢力に どう対抗すればいいのか? 35 00:01:58,903 --> 00:02:01,299 同僚のクリストフ・ワクターと共に 36 00:02:01,299 --> 00:02:03,902 スイス大使館からの招待に応じて 37 00:02:04,783 --> 00:02:08,886 この機会を利用しようと考えたんです 38 00:02:10,508 --> 00:02:13,674 誰かが こちらを監視しているのなら 私たちが話していることを 39 00:02:13,674 --> 00:02:16,299 向こうは聞いているはずです 40 00:02:16,299 --> 00:02:20,299 (笑) 41 00:02:20,299 --> 00:02:24,299 スイス大使館の屋上に 一連のアンテナを設置しました 42 00:02:26,729 --> 00:02:31,007 アメリカやイギリスのものほど 立派ではありません 43 00:02:31,007 --> 00:02:32,298 (笑) 44 00:02:32,298 --> 00:02:34,045 私たちのは 空き缶で作ったアンテナで 45 00:02:34,045 --> 00:02:37,034 偽装などしておらず あからさまな上に 丸見えでした 46 00:02:38,299 --> 00:02:41,134 ベルリン芸術アカデミーも この作品に参加してくれたので 47 00:02:41,134 --> 00:02:44,532 そこの屋根に もう1つ大きなアンテナを立てました 48 00:02:44,532 --> 00:02:48,574 NSAとGCHQの情報収集拠点の ちょうど中間地点です 49 00:02:48,574 --> 00:02:50,454 (笑) 50 00:02:50,454 --> 00:02:55,299 インスタレーション・アートを作る間に ここまで監視されたことはありません 51 00:02:55,299 --> 00:02:57,575 ヘリが私たちの頭上を旋回しながら 52 00:02:57,575 --> 00:03:00,829 カメラで一挙一動を記録し 53 00:03:00,829 --> 00:03:04,039 アメリカ大使館の屋上には 警備員が巡視していました 54 00:03:05,499 --> 00:03:10,712 官庁街は厳格な警察令の 支配下にありますが 55 00:03:10,712 --> 00:03:14,871 デジタル・コミュニケーションについて 特に法律はありません 56 00:03:15,548 --> 00:03:19,055 だから私たちのインスタレーションは 完全に合法でしたし 57 00:03:19,055 --> 00:03:22,252 スイス大使が メルケル首相にも このことを伝えました 58 00:03:23,101 --> 00:03:26,300 作品のタイトルは “Can You Hear Me?” (『聞こえますか?』) 59 00:03:26,300 --> 00:03:27,980 (笑) 60 00:03:28,805 --> 00:03:33,090 この一連のアンテナで 無料の オープンWi-Fiネットワークを作りました 61 00:03:33,090 --> 00:03:36,299 参加しようと思ったら 62 00:03:36,299 --> 00:03:39,435 Wi-Fi対応デバイスで 誰でも自由に参加でき 63 00:03:39,435 --> 00:03:41,380 特定の周波数を 64 00:03:41,380 --> 00:03:45,460 傍受している人々に向けて メッセージを送れます 65 00:03:46,510 --> 00:03:49,029 テキストでも ボイスチャットでも ファイル共有でも 66 00:03:49,029 --> 00:03:51,678 何でも匿名で送信できます 67 00:03:52,852 --> 00:03:55,299 そして本当に 多くの人が送信しました 68 00:03:55,299 --> 00:03:58,299 1万5千を超えるメッセージが 送信されたんです 69 00:03:58,299 --> 00:04:00,051 いくつか紹介しましょう 70 00:04:01,299 --> 00:04:05,811 「ハロー ワールド ハロー ベルリン ハロー NSA ハロー GCHQ」 71 00:04:07,208 --> 00:04:11,299 「NSA職員へ 正しいことをしよう! 内部告発しよう!」 72 00:04:12,884 --> 00:04:16,697 「こちらNSA 我らは神を信ずる 神以外は追跡する!!!!!」 73 00:04:16,697 --> 00:04:18,863 (笑) 74 00:04:20,233 --> 00:04:24,019 「アノニマスが NSAとGCHQを 監視している 我々は組織の一部だ 75 00:04:24,019 --> 00:04:26,299 待っていろ シャットダウンしてやろう」 76 00:04:27,483 --> 00:04:30,967 「これがNSAのアキレス腱 オープンネットワークだ」 77 00:04:30,967 --> 00:04:35,705 「職員へ 自分の孫に どんな嘘をつくつもりだ?」 78 00:04:36,454 --> 00:04:40,894 「@NSA 隣家がうるさい ドローンで攻撃してくれ」 79 00:04:40,894 --> 00:04:43,346 (笑) 80 00:04:44,529 --> 00:04:46,840 「サイバー戦じゃなく セックスしよう」 81 00:04:47,602 --> 00:04:50,299 私たちは各国大使館と政府機関を 82 00:04:50,299 --> 00:04:53,129 オープンネットワークに招待したところ 83 00:04:53,129 --> 00:04:55,066 驚いたことに 参加してくれました 84 00:04:55,066 --> 00:04:58,010 ネットワーク上に ファイルが現れ その中には 85 00:04:58,010 --> 00:05:00,652 議会調査委員会からリークされた 機密文書も含まれていました 86 00:05:00,652 --> 00:05:04,366 そこから明らかになったのは 重要情報の自由なやり取りや議論が 87 00:05:04,366 --> 00:05:08,706 国会議員ですら 難しくなりつつあることです 88 00:05:09,746 --> 00:05:13,092 また私たちは 権力の分布を 現地で経験し 探るために 89 00:05:13,092 --> 00:05:15,166 ツアーを開催しました 90 00:05:15,166 --> 00:05:18,527 ツアーでは大使館周辺の 制限地区を訪れて 91 00:05:18,527 --> 00:05:22,926 コミュニケーションの 可能性と重要性について議論しました 92 00:05:24,299 --> 00:05:28,502 もし私たちが権力の分布や 93 00:05:28,502 --> 00:05:31,322 コミュニケーションの条件に気付けば 94 00:05:31,322 --> 00:05:33,677 視野が広がるだけでなく 95 00:05:33,677 --> 00:05:38,239 自分の世界観や 社会的 政治的 美学的な慣習を制限する 96 00:05:38,239 --> 00:05:41,699 規制の背景が見えてきます 97 00:05:42,461 --> 00:05:44,414 実例を見てみましょう 98 00:05:45,383 --> 00:05:48,494 パリ郊外にある 仮設住宅で暮らす 99 00:05:48,494 --> 00:05:50,245 人々の運命は 100 00:05:50,245 --> 00:05:52,409 隠蔽され 見えにくくなっています 101 00:05:53,299 --> 00:05:54,758 これは悪循環です 102 00:05:55,299 --> 00:05:58,575 貧困や人種差別や排除は 目新しいものではありません 103 00:05:58,575 --> 00:06:02,117 新しい状況とは 地球規模の圧倒的な コミュニケーションと情報交換の時代に 104 00:06:02,117 --> 00:06:03,769 現実が隠され 105 00:06:03,769 --> 00:06:07,865 人間が見えなくなっている 状況なんです 106 00:06:08,595 --> 00:06:11,454 そんな仮設住宅地は違法とされていて 107 00:06:11,454 --> 00:06:14,750 そこに住む人々には 自分の声を届ける機会は 108 00:06:14,750 --> 00:06:16,575 ありません 109 00:06:16,575 --> 00:06:22,025 それどころか 人々が表に現れ 姿を晒すリスクを冒しても 110 00:06:22,025 --> 00:06:24,759 さらなる迫害と排除と抑圧を招く 111 00:06:24,759 --> 00:06:26,792 理由を与えるだけなのです 112 00:06:26,792 --> 00:06:32,020 私たちは この隠れた部分を 知る方法に興味を持ちました 113 00:06:32,020 --> 00:06:35,433 何か接点がないか探していて とうとう見つけました 114 00:06:35,433 --> 00:06:39,720 その接点とはデジタルなものではなく 形のあるもの すなわち「ホテル」です 115 00:06:39,720 --> 00:06:42,235 プロジェクト名は『ホテル・ジェレム』 116 00:06:42,713 --> 00:06:46,760 ロマ(欧州の少数民族)の一族と共に ヨーロッパ中にホテルを何軒か建てました 117 00:06:46,760 --> 00:06:49,623 ドイツのフライブルクや パリ近郊モントルイユ 118 00:06:49,623 --> 00:06:51,299 バルカン諸国にも建てました 119 00:06:51,299 --> 00:06:52,684 全部 本物のホテルで 120 00:06:52,684 --> 00:06:54,299 泊まることができます 121 00:06:54,299 --> 00:06:56,299 ただ これは事業ではありません 122 00:06:56,299 --> 00:06:57,781 シンボルなんです 123 00:06:58,575 --> 00:07:02,251 オンラインで招待を申請すれば 124 00:07:02,251 --> 00:07:06,661 ホテル・ジェレム すなわち ロマの家で数日間 125 00:07:06,661 --> 00:07:10,153 食事や仕事をして 暮らすことになります 126 00:07:10,748 --> 00:07:13,939 ここでは ロマの一族は旅人ではなく 127 00:07:13,939 --> 00:07:15,584 訪問者が旅人です 128 00:07:15,584 --> 00:07:18,663 マイノリティは ロマの一族ではなく 129 00:07:18,663 --> 00:07:19,957 訪問者の方です 130 00:07:21,833 --> 00:07:25,746 重要なのは判断することではなく 131 00:07:25,746 --> 00:07:29,420 この多様で 一見 解消できない矛盾を決定づける 132 00:07:29,420 --> 00:07:31,803 背景に目を向けることにあります 133 00:07:32,299 --> 00:07:34,563 このグローバル化する世界では 134 00:07:34,563 --> 00:07:37,299 大陸同士が どんどん近づいています 135 00:07:37,299 --> 00:07:39,847 文化や商品や人間の交換は 絶え間なく続きますが 136 00:07:39,847 --> 00:07:43,521 同時に 恵まれた世界と そこから排除された世界の間にある 137 00:07:43,521 --> 00:07:45,973 溝は深くなるばかりです 138 00:07:47,591 --> 00:07:49,299 最近 オーストラリアに行きました 139 00:07:49,299 --> 00:07:51,924 私たちは問題なく入国できました 140 00:07:51,924 --> 00:07:54,606 ヨーロッパのパスポートと ビザ そして航空券があったからです 141 00:07:55,059 --> 00:07:58,785 でも ボートでオーストラリアに たどり着いた亡命者は 142 00:07:58,785 --> 00:08:00,821 強制送還か 刑務所送りです 143 00:08:01,299 --> 00:08:02,798 ボートを捕捉していることや 144 00:08:02,798 --> 00:08:05,903 亡命者たちが拘留システムの中に 消えていくことは 145 00:08:05,903 --> 00:08:08,546 オーストラリア当局が隠しています 146 00:08:09,062 --> 00:08:13,006 こういった手続きは 極秘の軍事作戦とされているんです 147 00:08:13,768 --> 00:08:16,936 危険地帯や戦争地帯から 劇的な逃亡を図った後に 148 00:08:16,936 --> 00:08:21,071 男性も女性も子どもも 裁判なしでオーストラリア政府に拘束され 149 00:08:21,071 --> 00:08:23,044 それが数年に渡ることもあります 150 00:08:25,036 --> 00:08:27,156 私たちは滞在期間中に 151 00:08:27,156 --> 00:08:31,299 拘留されている亡命者たちに 厳しい審査と隔離があるにも関わらず 152 00:08:31,299 --> 00:08:33,501 なんとか接触し 一緒に作業ができました 153 00:08:34,057 --> 00:08:38,190 このような背景から インスタレーションが生まれました 154 00:08:38,190 --> 00:08:41,275 場所はブリスベンの クイーンズランド工科大学ギャラリーです 155 00:08:42,635 --> 00:08:45,690 見た目は簡素なインスタレーションです 156 00:08:46,182 --> 00:08:49,611 床には様式的なコンパスが それぞれ入国者収容所の 157 00:08:49,611 --> 00:08:51,643 方向を指していて 158 00:08:51,643 --> 00:08:56,299 距離と施設名が書かれています 159 00:08:56,299 --> 00:09:00,642 ただ展覧会はネットワークに 接続する形で行われました 160 00:09:00,642 --> 00:09:04,299 床に描かれたサインの上には ヘッドホンがあります 161 00:09:04,299 --> 00:09:08,939 観客は その収容所に 入所していた難民に 162 00:09:08,939 --> 00:09:11,299 直接 話しかけ 163 00:09:11,299 --> 00:09:13,511 個人的に 164 00:09:13,511 --> 00:09:15,932 会話することになります 165 00:09:16,916 --> 00:09:19,806 この展覧会は 安全な環境なので 166 00:09:19,806 --> 00:09:22,457 亡命者は自分自身のことや身の上話 167 00:09:22,457 --> 00:09:26,147 自分が置かれた状況などを 結果を恐れず 自由に話せました 168 00:09:26,694 --> 00:09:29,730 観客は長時間 話しこんでいました 169 00:09:29,730 --> 00:09:33,507 離れ離れになった家族のこと 戦場からの劇的な逃亡の様子 170 00:09:33,507 --> 00:09:35,143 自殺しようとしたこと 171 00:09:35,143 --> 00:09:37,753 収容された子どもたちの運命などです 172 00:09:38,618 --> 00:09:40,626 強い感情が表れ 観客の多くが泣きました 173 00:09:40,626 --> 00:09:43,032 展覧会に何度か足を運ぶ人もいました 174 00:09:43,032 --> 00:09:45,372 とても力強い経験でした 175 00:09:46,459 --> 00:09:50,731 今ヨーロッパには大量の移民が 流入しています 176 00:09:51,413 --> 00:09:55,299 亡命者が置かれた状況は 矛盾する政策と 177 00:09:55,299 --> 00:09:58,594 軍による対応を求める声のせいで 悪化の一歩をたどっています 178 00:09:59,299 --> 00:10:02,013 私たちはコミュニケーションの設備を 179 00:10:02,013 --> 00:10:05,081 スイスとギリシャにある 人里離れた難民収容所にも設置しました 180 00:10:05,692 --> 00:10:08,877 医療費や法律情報や アドバイスといった 181 00:10:08,877 --> 00:10:10,751 必要な情報を提供するためです 182 00:10:11,163 --> 00:10:13,211 こういった設備は とても重要です 183 00:10:13,211 --> 00:10:14,553 インターネットの情報のおかげで 184 00:10:14,553 --> 00:10:17,307 危険なルートでも安全が確保できますが 185 00:10:17,307 --> 00:10:18,724 こういった情報は検閲され 186 00:10:18,724 --> 00:10:23,411 次第に 情報を提供すること自体が 違法になりつつあります 187 00:10:24,601 --> 00:10:27,675 そして これが自作ネットワークや ベルリンのスイス大使館の 188 00:10:27,675 --> 00:10:29,929 屋上に設置したアンテナ そして 189 00:10:29,929 --> 00:10:32,003 “Can You Hear Me?” プロジェクトにつながります 190 00:10:32,725 --> 00:10:35,959 制限なくネットに接続できることを 当たり前と思ってはいけません 191 00:10:35,959 --> 00:10:38,016 自分なりの接続環境を作り 192 00:10:38,016 --> 00:10:42,540 平等に接続できる世界という 理想を求めて戦うべきです 193 00:10:42,540 --> 00:10:45,299 これは 私たちが ものを言えない状況を乗り越え 194 00:10:45,299 --> 00:10:48,419 敵対する政治勢力が生んだ分裂を 乗り越えるためには不可欠です 195 00:10:48,839 --> 00:10:52,054 この経験が持つ「改革の力」に 196 00:10:52,054 --> 00:10:54,944 本当の意味で身をさらして初めて 197 00:10:54,944 --> 00:10:58,299 偏見や疎外を乗り越えられるのです 198 00:10:58,299 --> 00:10:59,477 ありがとう 199 00:10:59,477 --> 00:11:04,835 (拍手) 200 00:11:04,835 --> 00:11:06,546 (ブルーノ・ジュッサーニ) ありがとう マティアス 201 00:11:06,546 --> 00:11:08,535 芸術家コンビの もう1人にも 来ていただきました 202 00:11:08,535 --> 00:11:10,556 クリストフ・ワクター ステージにどうぞ 203 00:11:10,556 --> 00:11:15,938 (拍手) 204 00:11:15,938 --> 00:11:17,367 まず 細かい点ですが 教えてください 205 00:11:17,367 --> 00:11:19,470 ホテルの名前は 適当なものではないですよね 206 00:11:19,470 --> 00:11:22,755 ロマ語で「ジェレム」は 特別な意味を持っていますから 207 00:11:22,755 --> 00:11:27,597 (マティアス・ユード)はい 『ジェレム・ジェレム』はロマの公式賛歌で 208 00:11:27,597 --> 00:11:30,275 「私は旅した 長い道のりを」という意味です 209 00:11:30,980 --> 00:11:33,223 (ブルーノ)先ほどの話に 付け加えたいのですが 210 00:11:33,223 --> 00:11:35,931 お二人は最近レスボス島に行って 211 00:11:35,931 --> 00:11:38,646 2日前 帰ってきたばかりですね 212 00:11:38,646 --> 00:11:41,078 ギリシャでは この数か月 213 00:11:41,078 --> 00:11:43,390 難民が何千人も 流入し続けています 214 00:11:43,390 --> 00:11:45,856 どんな様子でしたか? そこで何をしましたか? 215 00:11:45,856 --> 00:11:49,681 (クリストフ・ワクター)レスボス島は ギリシャの島の中でも トルコに近く 216 00:11:49,681 --> 00:11:51,100 滞在中にも 217 00:11:51,100 --> 00:11:56,545 たくさんの亡命者が 定員オーバーの ゴムボートでやって来ていて 218 00:11:56,545 --> 00:12:00,228 上陸後は 放置されていました 219 00:12:00,228 --> 00:12:04,043 彼らはサービスの多くを受けられません 220 00:12:04,043 --> 00:12:06,561 例えばバスの切符の購入や ホテルへの宿泊は 221 00:12:06,561 --> 00:12:07,990 許可されていません 222 00:12:07,990 --> 00:12:12,700 だから文字通り路上で寝る 家族も多いんです 223 00:12:12,700 --> 00:12:17,360 そこで 基本的な通信手段を提供するため ネットワークを設置しました 224 00:12:17,360 --> 00:12:19,487 その理由は 225 00:12:19,487 --> 00:12:24,950 私たちは難民について 話し合うだけでなく 226 00:12:24,950 --> 00:12:28,655 彼らに話しかける必要があると 思ったからです 227 00:12:28,655 --> 00:12:32,299 そして 話しかけることで これが人間の問題であり 228 00:12:32,299 --> 00:12:35,086 彼らの暮らしや 生きるための苦労の 問題だということがわかるのです 229 00:12:35,086 --> 00:12:37,020 (ブルーノ)そして 彼らからも 話せるようにしているんですね 230 00:12:37,020 --> 00:12:38,959 クリストフ 参加していただいて ありがとうございました 231 00:12:38,959 --> 00:12:42,001 マティアス 話をしていただいて ありがとうございました 232 00:12:42,001 --> 00:12:44,132 (拍手)