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交流の明日 | 丸々亭 おはぎ | TEDxSannomiya

  • 0:32 - 0:34
    短いお話を1つ
  • 0:34 - 0:36
    (客) 「おい 植木屋」
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    (植木屋) 「へい お越し」
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    「お前んとこ どんな花でもあるか?」
  • 0:39 - 0:43
    「へぇ うちはどんな花でも
    木でもおまっせ」
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    「ほんなら 物言う花てあるか?」
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    「物言う花?」
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    「こいつなぶりに来おったな」
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    「へぇ おまっせ」
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    「あるか?」
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    「へい おます」
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    「うちは花でも木でも皆 物言います
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    なんなら名前なと尋ねてみなはれ
  • 0:58 - 1:00
    返事しよるさかいに」
  • 1:00 - 1:01
    「ホンマかいな?」
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    「ほんならお前
    名前なんちゅうねん?」
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    「さくら」
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    「ほんに こいつ もの言いよったがな
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    ほしたら お前は?」
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    「うめ」
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    「なるほどな〜 お前は?」
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    「ぼたん」
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    「ほー 感心やな」
  • 1:23 - 1:25
    「お前は?」
  • 1:25 - 1:28
    「お前は?」
  • 1:28 - 1:30
    「おい 植木屋
    こいつ 物言いよらへんがな」
  • 1:30 - 1:34
    「え?あー これ くちなしや」
  • 1:34 - 1:37
    (拍手)
  • 1:40 - 1:43
    突然の小噺でしたけれども
  • 1:43 - 1:47
    これは私が68歳で
  • 1:47 - 1:50
    落語を習い始めたときに
  • 1:50 - 1:54
    一番初めに教えていただいた
    小噺でございます
  • 1:56 - 2:01
    なぜ68歳で落語を
    習い始めたかと申しますと
  • 2:01 - 2:05
    社会との繋がりがなくなることに
  • 2:05 - 2:09
    不安を感じたからでございます
  • 2:09 - 2:13
    それまで私は仕事を持っておりました
  • 2:13 - 2:18
    毎日 人と接する生活をしておりました
  • 2:18 - 2:22
    ところが 定年になりまして
  • 2:22 - 2:26
    もう子供たちも独立しておりますし
  • 2:26 - 2:29
    孫の手も離れて
  • 2:29 - 2:32
    これから私は毎日家で
  • 2:32 - 2:36
    独りで 誰とも喋らない暮らしが
  • 2:36 - 2:39
    続くのかと思いました時に
  • 2:39 - 2:43
    それが怖くなったのでございます
  • 2:43 - 2:47
    なんとか世間との接点を持った
  • 2:47 - 2:50
    暮らしが続けられないものか?
  • 2:50 - 2:54
    そう考えたのが
  • 2:54 - 2:58
    68歳でございました
  • 2:59 - 3:05
    たまたま 神戸に落語教室がある
    というのを知りました
  • 3:05 - 3:07
    落語なら私は若い頃から
  • 3:07 - 3:10
    見に行くのが好きだったものですから
  • 3:10 - 3:13
    いっぺんやってみようか?位の
  • 3:13 - 3:17
    軽い気持ちで受講を決めました
  • 3:17 - 3:21
    初めてお教室へ行ってみますと
  • 3:21 - 3:23
    先輩の生徒さん方が
  • 3:23 - 3:27
    師匠の前で
    もうプロの噺家さんのように
  • 3:27 - 3:30
    落語を演じてらっしゃいます
  • 3:30 - 3:35
    「わーすごいな 私もこんな風に
    なれるのかしら?」
  • 3:35 - 3:38
    と思いました
  • 3:38 - 3:43
    1年もしますと 発表会というのが
    開かれるんですけれども
  • 3:43 - 3:46
    私は生まれて初めて
  • 3:47 - 3:50
    赤い毛氈の敷き詰められた
  • 3:50 - 3:53
    高座というところに上がりまして
  • 3:53 - 3:56
    覚えたての落語を披露いたしました
  • 3:56 - 4:01
    すると 客席から笑い声がおきたんです
  • 4:01 - 4:04
    わー 私みたいな落語にでも
  • 4:04 - 4:06
    笑ってくださった
  • 4:06 - 4:09
    もう この感激が忘れられずに
  • 4:09 - 4:14
    それからは すっかり
    落語にはまってしまいます
  • 4:16 - 4:19
    そのうちに
    生徒さん方で開いてらっしゃる
  • 4:19 - 4:22
    素人落語会というのに
  • 4:22 - 4:25
    私も出していただけるようになりました
  • 4:25 - 4:26
    そうなりますと
  • 4:26 - 4:29
    落語のネタを
    増やさないといけません
  • 4:29 - 4:31
    落語を覚えないといけません
  • 4:31 - 4:36
    私は一生懸命落語を覚えました
  • 4:37 - 4:40
    そのうちに 私自身にも
  • 4:40 - 4:44
    出演依頼をいただけるようになりました
  • 4:44 - 4:48
    地域の自治会とか 老人会から
  • 4:48 - 4:51
    呼んでいただけるんです
  • 4:51 - 4:54
    会場へ伺いますと
  • 4:54 - 4:57
    お集まりいただいたお客様方が
  • 4:57 - 5:01
    私の落語を聞いて
    とても喜んでくださるんです
  • 5:01 - 5:03
    主催者の方も喜んでくださって
  • 5:03 - 5:08
    また次の落語会の依頼をくださいます
  • 5:08 - 5:11
    こういう人とのつながりが
  • 5:11 - 5:15
    落語を始めるまでは感じたことのない
  • 5:15 - 5:19
    生きがいとか やりがいを感じまして
  • 5:19 - 5:25
    気がついたら6年が過ぎておりました
  • 5:26 - 5:29
    この年の発表会では
  • 5:29 - 5:32
    私は30分の大ネタで
  • 5:32 - 5:37
    トリを取らせていただくまでに
    なっておりました
  • 5:37 - 5:39
    聞きに来てくださったお友達は
  • 5:39 - 5:44
    口を揃えて「すばらしかった
    感心したと」
  • 5:44 - 5:48
    お褒めの言葉をくださいます
  • 5:48 - 5:51
    しかし私は このとき
  • 5:51 - 5:55
    75歳も間近に迫っておりまして
  • 5:55 - 5:58
    新しい落語のネタを覚えるにも
  • 5:58 - 6:02
    もう四苦八苦の有様でございます
  • 6:02 - 6:05
    また来年の発表会に
  • 6:06 - 6:09
    このままで 新しいネタを
  • 6:09 - 6:12
    今年 褒めていただけたような落語を
  • 6:12 - 6:14
    できるのだろうか?
  • 6:14 - 6:17
    お教室に通っておりましても
  • 6:17 - 6:23
    技術の向上もままならないのでは
    ないかと考えまして
  • 6:23 - 6:28
    そこで落語教室をやめたのでございます
  • 6:29 - 6:32
    ところがその翌年
  • 6:32 - 6:36
    2013年の3月に 神戸で
  • 6:37 - 6:41
    「素人女性落語家コンテスト」
  • 6:41 - 6:44
    というのが開かれました
  • 6:44 - 6:48
    いっぺん 力試しがしてみたい
  • 6:48 - 6:52
    私は応募いたしました
  • 6:52 - 6:59
    予選44人の中の7人に
    選んでいただけたのです
  • 6:59 - 7:02
    もう これだけで 嬉しくて
  • 7:02 - 7:05
    お友達に言い回りました
  • 7:06 - 7:10
    本戦までは1週間です
  • 7:10 - 7:16
    7人のうちで3人が受賞となります
  • 7:16 - 7:20
    なんとかこの3人に入りたい
  • 7:21 - 7:24
    私はもう 1週間の間
  • 7:24 - 7:26
    自分のネタを一生懸命に
  • 7:26 - 7:29
    何度も練習いたしまして
  • 7:29 - 7:33
    本番に臨みました
  • 7:34 - 7:36
    審査の結果は
  • 7:36 - 7:40
    3位には入っておりません
  • 7:40 - 7:43
    2位にも無理でした
  • 7:43 - 7:46
    「あーやっぱりだめだったか」と
  • 7:46 - 7:50
    もう諦めかけた その時
  • 7:50 - 7:53
    「1位は 丸々亭おはぎさん」
  • 7:53 - 7:55
    という声が聞こえてきたんです
  • 7:55 - 7:58
    もう 私は気が遠くなるような
  • 7:58 - 8:01
    指の先まで冷たくなるような感覚で
  • 8:01 - 8:04
    賞状を受け取っておりました
  • 8:04 - 8:07
    全応募者の中で
  • 8:07 - 8:10
    私が最高齢でしたので
  • 8:10 - 8:12
    審査員の先生方も
  • 8:12 - 8:16
    おまけで1位を
    くださったのだと思います
  • 8:18 - 8:23
    このコンテストの結果が新聞に載ります
  • 8:23 - 8:27
    テレビが私のことを紹介してくれます
  • 8:27 - 8:29
    それをご覧になった方が
  • 8:29 - 8:35
    私に出演依頼をくださいます
  • 8:35 - 8:37
    東京のテレビ局までが
  • 8:37 - 8:40
    私のことを取材してくれまして
  • 8:40 - 8:44
    全国放送で流してくれました
  • 8:44 - 8:48
    その上 今日はこのステージに
  • 8:48 - 8:51
    立たせていただくという機会まで
  • 8:51 - 8:55
    与えていただきました
  • 8:55 - 9:00
    このどこにでもいる普通のおばあさんが
  • 9:00 - 9:05
    1年前まではもう
    想像することもできなかったような
  • 9:05 - 9:09
    素晴らしい体験を
    させていただいております
  • 9:09 - 9:17
    もう こんな嬉しい
    ありがたいことはございません
  • 9:17 - 9:22
    しかし 私はあと10日もしない間に
  • 9:22 - 9:27
    76歳を迎えてしまいます
  • 9:27 - 9:30
    68歳から落語を始めた
  • 9:30 - 9:34
    この8年間は
  • 9:34 - 9:38
    30代40代の8年間とは全然違います
  • 9:39 - 9:42
    体力や頭脳の衰えは
  • 9:42 - 9:45
    目に見えて速くなっております
  • 9:47 - 9:51
    しかし 私はこの先も
  • 9:51 - 9:54
    落語をやめようとは思いません
  • 9:56 - 9:59
    いくら歳を重ねても
  • 10:01 - 10:05
    人やお客様を喜ばせる力
  • 10:05 - 10:09
    お客様に喜んでもらおうと思う力
  • 10:09 - 10:12
    パワーというものは
  • 10:12 - 10:15
    衰えるものではないからです
  • 10:15 - 10:19
    人を喜ばせる力は
  • 10:19 - 10:23
    人との交流が楽しければ
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    そこから自然に湧いてくるものです
  • 10:27 - 10:31
    そもそも世間との交流を続けたい
  • 10:31 - 10:37
    という気持ちから私は
    落語を習い始めました
  • 10:38 - 10:41
    落語を習い始めまして
  • 10:41 - 10:46
    老人会などで落語をすることも
    楽しかった
  • 10:46 - 10:51
    落語教室へ通うことも楽しかった
  • 10:51 - 10:57
    人との交流が楽しかったのです
  • 10:57 - 11:00
    老人会などでの交流が
  • 11:00 - 11:04
    私の落語を磨いてくれました
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    力を与えてくれました
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    1つの交流が新しい交流を生み
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    新たな可能性を生んでくれました
  • 11:20 - 11:22
    落語クイーンになれたのも
  • 11:22 - 11:25
    今ここに立てているのも
  • 11:25 - 11:30
    誰かとの交流がきっかけになったのは
  • 11:30 - 11:34
    間違いございません
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    大切なのは
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    交流の場へ自分から
  • 11:39 - 11:43
    足を踏み入れることです
  • 11:44 - 11:47
    人との交流が
  • 11:47 - 11:50
    考えることのできないほど
  • 11:50 - 11:56
    大きな可能性を
    育んでくれるものと信じて
  • 11:56 - 11:58
    私は これからも
  • 11:58 - 12:03
    落語を続けていこうと
    思っております
  • 12:04 - 12:06
    それではここで
  • 12:06 - 12:12
    会場の皆様と
    楽しく交流をいたしましょう
  • 12:13 - 12:18
    こちらに
    小噺がでてまいりました
  • 12:18 - 12:22
    「かなづち」という
    小噺ですけれども
  • 12:22 - 12:25
    これを私が今から
    読ませていただきますので
  • 12:25 - 12:27
    一度聞いていてください
  • 12:28 - 12:31
    「おとなりへ行って
    金槌借りてきなはれ
  • 12:31 - 12:34
    この釘うってしまうさかいに」
  • 12:34 - 12:36
    「行ってきたけど
    貸してくれしまへんねん」
  • 12:36 - 12:38
    「なんで貸さんねん?」
  • 12:38 - 12:42
    「金槌で何すんねん言うさかい
    釘打ちますねん言うたら
  • 12:42 - 12:44
    「釘と金槌とがすれて ちびる言うて
  • 12:44 - 12:47
    貸してくれしまへん」
  • 12:47 - 12:50
    「なんとけちな奴がおるなあ
    世の中には
  • 12:50 - 12:52
    なんぼほど ちびるねんそんなもん
  • 12:52 - 12:54
    借るな借るな
  • 12:54 - 12:57
    そんな けちな奴から
    借らいでもええ
  • 12:57 - 12:59
    うちのん出して使い」
  • 12:59 - 13:00
    (笑)
  • 13:00 - 13:03
    こういう小噺で
    ございますけれども
  • 13:03 - 13:05
    これを会場の皆様
  • 13:05 - 13:09
    いままで黙って
    座っていらしゃいましたので
  • 13:09 - 13:10
    ちょっと声を出すのも
  • 13:10 - 13:13
    楽しいかと思いますので
  • 13:13 - 13:14
    ご一緒に
  • 13:14 - 13:17
    かなづちは退けまして
    「おとなりへ」から
  • 13:17 - 13:20
    声を揃えて
    読んでいただきましょう
  • 13:20 - 13:22
    では まいります
    さん はい
  • 13:22 - 13:24
    おとなりへ行って
  • 13:24 - 13:27
    金槌借りてきなはれ
  • 13:27 - 13:32
    この釘をうってしまうさかい
  • 13:32 - 13:35
    行ってきたけど
    貸してくれまへん
  • 13:35 - 13:37
    なんで 貸さんねん
  • 13:37 - 13:41
    金槌で何すんねん言うさかい
  • 13:41 - 13:44
    釘打ちますねん言うたら
  • 13:44 - 13:48
    釘と金槌とが擦れて ちびる言うて
  • 13:48 - 13:51
    貸してくれしまへん
  • 13:51 - 13:55
    なんとけちな奴がおるなぁ 世の中には
  • 13:55 - 13:58
    なんぼほどちびるねん
    そんなもん
  • 13:58 - 14:01
    借るな借るな
  • 14:01 - 14:05
    そんなけちな奴から
    借らいでもええ
  • 14:05 - 14:08
    うちのん出して使え
  • 14:09 - 14:11
    (拍手)
    ありがとうございます
  • 14:11 - 14:14
    それでは それではね
  • 14:14 - 14:16
    どのへんなのかな?
    ここからか
  • 14:16 - 14:20
    こっちから
    この通路側からこっちの人は
  • 14:20 - 14:23
    黒地に白で書いてあるところを
  • 14:23 - 14:29
    この通路からこっちの方は
    白地に黒で書いてあるところを
  • 14:29 - 14:32
    大きな声で 両方負けずに
  • 14:32 - 14:34
    読んでいただきたいと思います
  • 14:34 - 14:36
    では こちらから行きます
  • 14:36 - 14:38
    「おとなりへ」からですよ
    さん はい
  • 14:38 - 14:43
    おとなりへ行って金槌を
    借りてきなはれ
  • 14:43 - 14:46
    この釘をうってしまうさかい
  • 14:46 - 14:50
    行ってきたけど
    貸してくれしまへん
  • 14:50 - 14:53
    なんで貸さんねん?
  • 14:53 - 14:56
    金槌で何すんねん言うさかい
  • 14:56 - 14:59
    釘打ちますねん言うたら
  • 14:59 - 15:03
    釘と金槌とが擦れて
    ちびる言うて
  • 15:03 - 15:05
    貸してくれしまへん
  • 15:05 - 15:08
    なんとけちな奴がおるなあ
  • 15:08 - 15:10
    世の中には
  • 15:10 - 15:13
    なんぼほどちびるねん
    そんなもん
  • 15:13 - 15:15
    借るな借るな
  • 15:15 - 15:20
    そんなけちな奴から
    借らいでもええ
  • 15:20 - 15:23
    うちのん出して使え
  • 15:23 - 15:27
    ありがとうございました
    (拍手)
  • 15:27 - 15:31
    それでは これで
    私の話は終わらせていただきます
  • 15:31 - 15:33
    ありがとうございました
Title:
交流の明日 | 丸々亭 おはぎ | TEDxSannomiya
Description:

このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。

落語は日本の話芸の1つです。丸々亭おはぎは定年退職後、社会とのつながりを求めて落語を始めました。落語を通して、一つの交流が新たな交流を生む様子、年齢を重ねても決して衰えることのない原動力について、小噺を交えながら語ります。

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Video Language:
Japanese
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
15:43

Japanese subtitles

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